特許第5964156号(P5964156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5964156-塗布具付き容器 図000002
  • 特許5964156-塗布具付き容器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964156
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20160721BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20160721BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20160721BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20160721BHJP
   B65D 51/32 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A45D34/04 560
   A45D34/00 510A
   A45D34/00 510Z
   B65D25/20 E
   B65D51/24 F
   B65D51/32 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-147465(P2012-147465)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-8260(P2014-8260A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】川島 英芳
(72)【発明者】
【氏名】保坂 明弘
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−222193(JP,A)
【文献】 実開昭62−177660(JP,U)
【文献】 特開2009−067411(JP,A)
【文献】 実開平02−120336(JP,U)
【文献】 特開2000−203621(JP,A)
【文献】 特開2011−234763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 34/00
B65D 25/20
B65D 51/24
B65D 51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有しその内側に内容物の充填空間を備える容器本体と、該充填空間につながる取り出し口を残して該上部開口を覆う天壁を有し該容器本体に装着される中栓と、該中栓に覆い被さり該容器本体に着脱自在に保持される蓋体とを備える容器において、
前記中栓は、前記蓋体との相互間に前記充填空間内の内容物を掬い取る塗布具を収める収納空間を有し、
該天壁は、該天壁上に載置される塗布具の前記取り出し口への移動を阻止する少なくとも1つの突起を備え
前記中栓は、前記天壁の外縁から立ち上がる環状壁を有し、
前記塗布具は、前記環状壁の内面と前記突起との間で、該環状壁の内面と該突起との両方に当接するように保持されることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
前記塗布具は、へら状の本体部から突出させて設けた摘み部を有する請求項1に記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクリーム状やゲル状の内容物を収容する容器に関するものであり、特に、内容物を掬い取って対象物へ塗布する塗布具を備える塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容した、例えば、クリーム状やゲル状の内容物(化粧料等)を取り出すにあたっては、指で直接掬い取る他、へら状の塗布具(スパチュラとも言う)を用いることがある。そして、このような塗布具を容器と一緒に保管することができれば、内容物を塗布したい時に直ぐに塗布具を使用することができて利便性が高まることから、本出願人は、容器の側方に塗布具を保持することができる容器の付属品保持具を既に提案している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−331105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような付属品保持具を用いる場合は、塗布具が容器の外側で保持されることになるので、塗布具の取り出しやすさの点では優れているものの、狭い場所では保管しづらくなることがあった。また、塗布具表面が常に露出することになることから、埃等の付着を避けるべく、保管時は塗布具をカバーしておきたいとの要望もあった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、容器と塗布具とを一緒にしておき塗布具を直ぐに取り出して使用でき、また、保管時は塗布具をカバーしておくことができる新たな塗布具付き容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上部開口を有しその内側に内容物の充填空間を備える容器本体と、該充填空間につながる取り出し口を残して該上部開口を覆う天壁を有し該容器本体に装着される中栓と、該中栓に覆い被さり該容器本体に着脱自在に保持される蓋体とを備える容器において、
前記中栓は、前記蓋体との相互間に前記充填空間内の内容物を掬い取る塗布具を収める収納空間を有し、
該天壁は、該天壁上に載置される塗布具の前記取り出し口への移動を阻止する少なくとも1つの突起を備え
前記中栓は、前記天壁の外縁から立ち上がる環状壁を有し、
前記塗布具は、前記環状壁の内面と前記突起との間で、該環状壁の内面と該突起との両方に当接するように保持されることを特徴とする塗布具付き容器である。
【0007】
前記塗布具は、へら状の本体部から突出させて設けた摘み部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
中栓と蓋体との相互間に塗布具を収める収納空間を設けておくことで、蓋体を閉めると、内容物とともに塗布具をカバーすることができ、保管時に塗布具表面に埃等が付着するおそれがなくなる。また、塗布具を容器内に収納することができるので、狭い場所での保管がより行いやすくなる。さらに、中栓の天壁に設けた突起によって、天壁に設けた取り出し口へ塗布具が落下するのを防止でき、蓋体を開けると直ぐに塗布具を取り出して使用することができる。
【0009】
塗布具に、本体部から突出する摘み部を設ける場合は、この摘み部を摘んで持ち上げることができるので、塗布具を取り出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従う塗布具付き容器の実施形態を示す斜視図(蓋体を二点鎖線で示す)である。
図2図1に示す塗布具付き容器につき、(a)は平面図(蓋体は取り外して示す)であり、(b)は軸線を境として側面図及び断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う塗布具付き容器の実施形態を示す斜視図(蓋体を二点鎖線で示す)であって、図2は、図1に示す塗布具付き容器につき、(a)は平面図(蓋体は取り外して示す)であり、(b)は軸線を境として側面図及び断面図を示す図である。
【0012】
図1において符号1は、本発明に従う塗布具付き容器である。塗布具付き容器1(以下、「容器1」と言う)は、容器本体10と、容器本体10に装着される中栓20と、中栓20に覆い被さり容器本体10に着脱自在に保持される蓋体30とを備えている。また、符号40は、塗布具である。
【0013】
容器本体10は、図2(b)に示すように、本実施形態では円板状となる底壁11の外縁に、上部を開口させた(上部開口12)円筒状の側壁13を一体連結している。また、底壁11及び側壁13にて取り囲まれる空間(充填空間M)には、内容物が収容される。
【0014】
側壁13の上部外周面には、図示の例ではねじ部14を設けていて、さらにねじ部14の上方には、係合部15を設けている。
【0015】
中栓20は、上部開口12を覆う円板状の天壁21を備えている。天壁21の外縁には、同心二重配置となる一対の環状壁を有するとともにこれらの上部同士を連結して設けた係合受け部22を一体連結している。これにより中栓20は、係合受け部22の一対の環状壁間に形成される下向き開放の凹部空間に係合部15を挿入させて、容器本体10に保持されている。
【0016】
天壁21には、本実施形態では三日月形となる貫通孔23が、天壁21の端寄りに設けられていて、この貫通孔は、充填空間Mにつながる内容物の取り出し口として機能する。さらに天壁21には、上部に向けて突出する少なくとも1つの突起24が、天壁21の中央寄りに設けられている。本実施形態において突起24は、円柱状にて2つ設けられているが、形状及び個数は適宜変更することができる。
【0017】
蓋体30は、容器本体10と略同形状となる円板状の頂壁31と、頂壁31の外縁から垂下される円筒状の外周壁32とを備えていて、外周壁32の内周面には、ねじ部14に対応するねじ部33が設けられている。これにより蓋体30は、ねじ止めにて容器本体10に着脱自在に保持される。なお、これらのねじ部14、33に代えてアンダーカットを設けて、蓋体30を保持することもできる。また、中栓20と蓋体30との相互間には、塗布具40を収める収納空間Sが形成される。
【0018】
塗布具40は、へら状となる本体部41を備えている。本実施形態において本体部41は、扁平な平板状で平面視が三日月形となっている。なお本体部41は、平板状のものに限られず、掬った内容物を保持できるように下向きに湾曲していてもよい、また、その平面視での外形形状は、長方形状、楕円形状等、種々選択することができる。そして、本体部41には、図示の例では、本体部41から起立する柱体の上部に本体部41に沿って片側に突出させて設けた、L字状の摘み部42を備えている。なお、摘み部42の形状は種々変更が可能であり、柱体の上部に本体部41に沿って両側に突出させて設けたT字状となるものであっても、また、柱体の上部に本体部41に沿って全周に亘って突出させて設けたものであっても、さらに、柱体のみを設けたものであってもよい。
【0019】
上記のように構成される容器1は、図1に示すように、塗布具40を天壁21上に載置して保管する。天壁21には突起24が設けられているので、容器1の持ち運び等によって振動が加わっても、塗布具40が取り出し口(貫通孔)23へ落下してしまう不具合が防止できる。また、塗布具40の使用後は、使用前と同様にして天壁21上に載置し、蓋体30を容器本体10にねじ付けることで、塗布具40をカバーすることができる。
【0020】
また、図2(b)に示すように、塗布具40を、突起24と係合受け部22の内側の環状壁22aとの両方に当接するようにしてもよく、これにより塗布具40が位置ずれすること無く保持される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、容器と塗布具とを一緒にしておくことができるので使い勝手に優れ、また、保管時は塗布具をカバーしておくことができるので埃等の付着を効果的に防止でき、さらに、塗布具が中栓の取り出し口へ落下するのを防止することができる、新規の塗布具付き容器を提供できる。
【符号の説明】
【0022】
1 容器(塗布具付き容器)
10 容器本体
12 上部開口
20 中栓
21 天壁
23 貫通孔(取り出し口)
24 突起
30 蓋体
40 塗布具
41 本体部
42 摘み部
M 充填空間
S 収納空間
図1
図2