特許第5964171号(P5964171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964171印刷用マンドレル、2ピース缶の製造方法及び印刷機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964171
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】印刷用マンドレル、2ピース缶の製造方法及び印刷機
(51)【国際特許分類】
   F16C 13/00 20060101AFI20160721BHJP
   B41F 17/22 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F16C13/00 Z
   B41F17/22
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-174951(P2012-174951)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-34986(P2014-34986A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186854
【氏名又は名称】昭和アルミニウム缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】真壁 英貴
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊二
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−265779(JP,A)
【文献】 特開昭56−121657(JP,A)
【文献】 特開昭57−170758(JP,A)
【文献】 特開2003−073745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 13/00
B41F 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と胴部が一体成形された金属製缶体が嵌挿されて保持される印刷用マンドレルであって、
空気が吸引される空間が先端に設けられ、前記空間が陰圧の状態で前記金属製缶体が嵌挿されるマンドレル本体と、
前記マンドレル本体の内部に設けられ、前記金属製缶体内部から空気が吸引される空気流路が形成されたマンドレル軸と、
前記マンドレル軸の先端部および基端部に配置され、前記マンドレル本体を前記マンドレル軸に対して回転自在に支持するベアリングを有するベアリング部と、
前記マンドレル本体外部から前記マンドレル本体と前記マンドレル軸の隙間を通って、前記空間へ至る経路において、少なくとも一方の前記ベアリングを迂回するように設けられる通気流路と、
を備えることを特徴とする印刷用マンドレル。
【請求項2】
前記通気流路は、前記マンドレル軸の先端部側の前記ベアリングの外周面と前記マンドレル本体との間、または前記マンドレル軸の基端部側の前記ベアリングの外周面と前記マンドレル本体との間の少なくともいずれか一方に設けられることを特徴とする請求項1に記載の印刷用マンドレル。
【請求項3】
前記通気流路は、複数設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用マンドレル。
【請求項4】
前記通気流路は、前記ベアリングの外周に沿って均等な間隔で設けられることを特徴とする請求項3に記載の印刷用マンドレル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用マンドレルを用いて印刷されることを特徴とする2ピース缶の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用マンドレルを用いて印刷されることを特徴とする印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製缶胴を印刷する際に用いられる印刷用マンドレルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶胴と缶底が一体に成形された円筒状の金属製缶体、所謂、2ピース缶を印刷機で印刷するにあたって、金属製缶体が嵌挿されるマンドレル本体と、マンドレル本体の先端部及び後端部に設けられるベアリングと、マンドレル本体内部で、各ベアリングを介して回転自在にマンドレル本体を支持するマンドレル軸とを備えたマンドレルが印刷機に設けられることが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
ベアリングには、良好な回転動作が行われるようにグリスなどの潤滑剤が塗布されている。
【0004】
図6を参照して従来技術について説明すると、従来の印刷用マンドレル91は、マンドレル軸93の中心に設けられた空気流路931を介して空気の吸引或いは注入がなされて印刷用マンドレル91の内圧が制御される。
【0005】
空気流路931から空気が吸引されることによって、マンドレル本体92に嵌挿された金属製缶体10内部の空間Kが陰圧となり、金属製缶体10が印刷用マンドレル91に吸着保持される、或いは空気流路931に空気が注入されることによって空間Kが陽圧となり、金属製缶体10が印刷用マンドレル91から離脱し易くなるように構成されている。
【0006】
マンドレル本体92は、マンドレル軸93に対して回転するものであるため、マンドレル本体92及びマンドレル軸93の間に隙間97,98が生じている。
【0007】
尚、図中に示す矢印は、空気の流れの一例を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−265779号公報
【特許文献2】特開平6−249233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、金属製缶体10とマンドレル本体92で囲まれた空間Kを陰圧にすることによって、外部の空気が、隙間97,98を通って空間Kに流れ込む際にベアリング941,942の隙間を通過することにより、ベアリング94に塗布された潤滑剤が流されてマンドレルエンドキャップ921に付着してしまうという問題があった。
【0010】
マンドレルエンドキャップ921に潤滑剤が付着していると、空間Kを陽圧にした際に、印刷機側から注入された空気に当該潤滑剤が流されるなどして、缶体10の内面に汚れのある不良缶が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、金属製缶胴を印刷する際に用いられ、缶体内面汚れを低減することのできる印刷用マンドレルの提供を目的とする。
【0012】
即ち、本発明は下記[1]〜[7]に記載の構成を有する。
【0013】
[1] 底部と胴部が一体成形された金属製缶体が嵌挿されて保持される印刷用マンドレルであって、
空気が吸引される空間が先端に設けられ、前記空間が陰圧の状態で前記金属製缶体が嵌挿されるマンドレル本体と、
前記マンドレル本体の内部に設けられ、前記金属製缶体内部から空気が吸引される空気流路が形成されたマンドレル軸と、
前記マンドレル軸の先端部および基端部に配置され、前記マンドレル本体を前記マンドレル軸に対して回転自在に支持するベアリングを有するベアリング部と、
前記マンドレル本体外部から前記マンドレル本体と前記マンドレル軸の隙間を通って、前記空間へ至る経路において、少なくとも一方の前記ベアリングを迂回するように設けられる通気流路と、
を備えることを特徴とする印刷用マンドレル。
【0014】
[2] 前記通気流路は、前記マンドレル軸の先端部側の前記ベアリングの外周面と前記マンドレル本体との間、または前記マンドレル軸の基端部側の前記ベアリングの外周面と前記マンドレル本体との間の少なくともいずれか一方に設けられることを特徴とする前項1に記載の印刷用マンドレル。
【0015】
[3] 前記通気流路は、複数設けられることを特徴とする前項1または2に記載の印刷用マンドレル。
【0016】
[4] 前記通気流路は、前記ベアリングの外周に沿って均等な間隔で設けられることを特徴とする前項3に記載の印刷用マンドレル。
【0017】
[5] 前項1〜4のいずれかに記載の印刷用マンドレルを用いて印刷されたことを特徴とする2ピース缶。
【0018】
[6] 前項1〜4のいずれかに記載の印刷用マンドレルを用いて印刷されることを特徴とする2ピース缶の製造方法。
【0019】
[7] 前項1〜4のいずれかに記載の印刷用マンドレルを用いて印刷されることを特徴とする印刷機。
【発明の効果】
【0020】
上記[1]に記載の発明によれば、空気が吸引される空間が先端に設けられ、空間が陰圧の状態で前記金属製缶体が嵌挿されるマンドレル本体と、マンドレル本体の内部に設けられ、金属製缶体内部から空気が吸引される空気流路が形成されたマンドレル軸と、マンドレル軸の先端部および基端部に配置され、マンドレル本体をマンドレル軸に対して回転自在に支持するベアリングを有するベアリング部と、マンドレル本体外部からマンドレル本体とマンドレル軸の隙間を通って、空間へ至る経路において、少なくとも一方のベアリングを迂回するように設けられる通気流路を備えるので、空間の空気が吸引されて空間が陰圧となることによって、マンドレル本体外部から空気が流入するようになっても、流入する空気は少なくとも一方のベアリングを迂回するように流れるため、ベアリングに塗布された潤滑剤がベアリングの外部に流れ出ることが低減されるようになる。
【0021】
これにより、ベアリングに塗布された潤滑剤が、缶体内面に付着する虞が低減され、潤滑剤の付着による不良缶の発生が低減する。
【0022】
上記[2]に記載の発明によれば、マンドレル本体と、マンドレル軸の先端部側のベアリングの外周面との間、またはマンドレル本体と、マンドレル軸の基端部側のベアリングの外周面との間の少なくともいずれか一方に、ベアリングを迂回する通気流路が設けられるので、簡単に構成することができる上、空気に流された潤滑剤が缶体内面に付着する虞がより低減され、潤滑剤が付着した不良缶の発生が低減する。
【0023】
上記[3]に記載の発明によれば、通気流路が複数設けられるので、流入及び流出する空気がより効率よく流れやすくなり、空気に流された潤滑剤が缶体内面に付着する虞がより低減し、潤滑剤の付着による不良缶の発生が低減する。
【0024】
上記[4]に記載の発明によれば、複数の通気流路がベアリングの外周に沿って均等な間隔で設けられるので、流入及び流出した空気が安定的に流れ、より効率よく流れやすくなる。
【0025】
上記[5]に記載の発明によれば、前項1〜4に記載の印刷用マンドレルを用いて2ピース缶の印刷がなされるので、空気に流された潤滑剤が缶体内面に付着することなく正常な缶体を製造することができる。
【0026】
上記[6]に記載の発明によれば、前項1〜4に記載の印刷用マンドレルを用いて2ピース缶の製造がなされるので、空気に流された潤滑剤が缶体内面に付着することなく正常な缶体を製造することができる。
【0027】
上記[7]に記載の発明によれば、前項1〜4に記載の印刷用マンドレルを用いて金属製缶体の印刷がなされるので、空気に流された潤滑剤が缶体内面に付着することなく正常な缶体を印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る印刷用マンドレルを説明するための概略図である。
図2】本発明に係る印刷用マンドレルの空気の流れを説明するための概略図である。
図3】本発明に係る印刷用マンドレルを説明するためのマンドレル本体の側面図及びA−A断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る印刷用マンドレルを説明するためのマンドレル本体の側面図及びA−A断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る印刷用マンドレルを説明するためのマンドレル本体の側面図及びA−A断面図である。
図6】従来のマンドレルを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、印刷用マンドレル1を説明するための概略図、図2は、印刷用マンドレル1の空気の流れを説明するための概略図、図3は、印刷用マンドレル1を説明するためのマンドレル本体2の側面図及びA−A断面図、図4は、第2実施形態に係る印刷用マンドレル1を説明するためのマンドレル本体2の側面図及びA−A断面図、図5は、第3実施形態に係る印刷用マンドレル1を説明するためのマンドレル本体2の側面図及びA−A断面図、図6は、従来の印刷用マンドレル91を説明するための説明図である。
【0031】
印刷用マンドレル1は、印刷機に複数設けられているものであり、底部と胴部が一体成形された金属製缶体10、所謂、2ピース缶が嵌挿されて保持されるものである。
【0032】
印刷用マンドレル1の先端部側に金属製缶体10が嵌装された状態で、マンドレル1が、金属製缶体10を回転させるように動作することにより、金属製缶体10の外周面の印刷が行われる。
【0033】
印刷用マンドレル1は、缶体10が嵌挿されるマンドレル本体2、マンドレル本体2内部に設けられるマンドレル軸3、及びマンドレル軸3の先端部及び基端部に配置されるベアリング部4などを備え、片持ち状に設けられている。
【0034】
マンドレル本体2は、円筒形状に形成されており、内部が中空状に形成されている。
【0035】
マンドレル本体2の外径寸法は、金属製缶体10をマンドレル本体2の先端部側に被せて着脱可能な寸法であり、嵌挿された缶体10の内面がマンドレル本体2の外周面に密着するような寸法となっている。
【0036】
マンドレル本体2の外径は、缶体10の内径寸法よりもやや小径となっているが、その寸法差は、缶体10の着脱が可能となる程度の極僅かな差である。
【0037】
マンドレル本体2は、缶体10が嵌挿された状態で回転するように構成されており、そのため印刷機側に設けられたフランジ6との間に僅かな間隙8を有して設けられている。
【0038】
マンドレル本体2の先端は、開口しており、缶体10がマンドレル本体2の先端に嵌挿された際に、マンドレル本体2と缶体10の底部とで囲われる空間Kが設けられている。
【0039】
マンドレル軸3は、フランジ6を介して印刷機に取り付けられ、棒状体に形成されている。
【0040】
マンドレル軸3は、マンドレル本体2の軸となるものであり、マンドレル軸3の軸径は、マンドレル本体2の内径よりもやや小径となるように形成され、マンドレル軸3にマンドレル本体2の中空部が被せられる。
【0041】
マンドレル軸3及びマンドレル本体2は、缶体10の径サイズに応じたマンドレル本体2をマンドレル軸3に着脱可能に構成されており、マンドレル軸3にマンドレル本体2が嵌め込まれた状態で、マンドレル本体2内周面とマンドレル軸3の外周面との間には、マンドレル軸3に対してマンドレル本体2を回転させるため、間隙(空隙7)が形成されている。
【0042】
マンドレル軸3の中心部には、マンドレル軸3の先端部側から基端部側まで軸方向に延びる空気流路31が設けられ、該空気流路31を利用して空気の流入及び流出などがなされる。尚、図2で示す矢印は、空気の流れの一例を示している。
【0043】
例えば、図示しない真空ポンプなどを用いて空気流路31を通って吸引された空間K及び缶体10内部の空気は、印刷機側に流入されるように構成されている。
【0044】
また逆に、印刷機側から送出された空気は、空気流路31を通って空間Kに流出するように構成されている。
【0045】
空気流路31は、先端部側から基端部側にかけてマンドレル軸3を貫通して設けられており、空気流路31に空気が流入及び流出することによって、金属製缶体10を印刷用マンドレル1に嵌装、或いは印刷用マンドレル1から離脱させる。
【0046】
マンドレル軸3の先端部側には、マンドレル軸3に嵌め込んだマンドレル本体2を固定するためのマンドレルエンドキャップ21が設けられている。
【0047】
マンドレルエンドキャップ21には、マンドレル軸3の空気流路31に形成された雌ねじ部に螺嵌される雄ねじ部が設けられ、当該雄ねじ部の軸方向には、マンドレル軸3の空気流路31の内径寸法と略同等、或いは空気流路31の内径寸法よりも小径に設定された孔が形成されている。
【0048】
空気流路31を流入及び流出する空気は、マンドレルエンドキャップ21の孔を介して空間Kに通じている。
【0049】
ベアリング部4は、マンドレル本体2の先端部側及び後端部側に設けられており、それぞれ種類の異なるベアリングが用いられている。尚、後端部とは、前述の基端部側と同義である。
【0050】
例えば、本実施形態では、マンドレル軸3の先端部にはボールベアリング41、マンドレル軸3の基端部にはニードルベアリング42が設けられており、マンドレル本体2は、各ベアリング41,42で回転自在に支持されている。
【0051】
マンドレル軸3の先端部のベアリング部4には、ベアリング部4の先端部側、且つマンドレル本体2の内周に溝が形成されており、当該溝には、ベアリング41の抜け止めとなる止め輪が設けられ、同様にして、後端部側のベアリング部4には、基端部側に形成された溝にベアリング42の止め輪が設けられている。
【0052】
当該両止め輪は、ベアリング41,42の回転動作を阻害しないよう、ベアリング41,42の外輪の側部にのみ当接するように設けられている。
【0053】
各ベアリングには、回転をスムーズにするために、グリスなどの潤滑剤が塗布されている。
【0054】
通気流路5は、マンドレル軸3の先端部及び基端部の両ベアリング41,42の外側に設けられている。
【0055】
図1〜3に示すように、通気流路5(51,52)は、それぞれマンドレル1の軸心方向に平行になるよう形成され、ベアリング部4とマンドレル本体2の間で局所的に複数個設けられている。
【0056】
本実施形態では、図2,3における軸心方向断面図に示すように、印刷用マンドレル1の先端部側の通気流路51は、ベアリング41外周の先端部側から後端部側にかけて、マンドレル本体2の内壁に形成されている。
【0057】
通気流路51の先端は、金属製缶体10内部の空間Kに通じており、一方、通気流路51の後端は、マンドレル本体2内周面とマンドレル軸3外周面の間に形成された空隙7に通じている。
【0058】
通気流路51は、図3(a)に示すように、断面の一部が円弧を有する形状で設けられており、ベアリング部4の外周に沿って均等な間隔(例えば、90度間隔)で設けられている。
【0059】
例えば、マンドレル本体2の基端部側とフランジ6とがなす間隙8から流入した空気は、空隙7から通気流路51を通って金属製缶体10内部の空間Kへ流入する。
【0060】
空気が通気流路51に流入して、ボールベアリング41を迂回するように形成されているので、ボールベアリング41の隙間に流入する空気量が低減し、潤滑剤が空気の流れに流される虞が低減する。
【0061】
例えば、通気流路51の高さ寸法、即ち、マンドレル本体2の内周面及びベアリング41の外周面の間隔は、約4.0mmに設定され、通気流路51の幅寸法は、約5.0mmに設定される。
【0062】
後端部側の通気流路52も同様に、ベアリング42外周の先端部側から後端部側にかけて、マンドレル本体2の内壁に軸心方向の溝状に形成されている。
【0063】
通気流路52の先端は、空隙7に通じており、一方、通気流路52の後端は、マンドレル本体2とフランジ6とがなす間隙8に通じている。
【0064】
通気流路52は、通気流路51と同様、図3(c)に示すような断面の一部が円弧を有する形状で設けられており、ベアリング部4の外周に沿って均等な間隔(例えば、90度間隔)で設けられている。
【0065】
例えば、間隙8から流入した空気は、通気流路52から空隙7及び通気流路51を通って金属製缶体10内部の空間Kへ流入する。
【0066】
空気が通気流路52に流入して、ニードルベアリング42を迂回するように形成されているので、通気流路51と同様の効果を奏し、また、通気流路51と通気流路52の両方が設けられた印刷用マンドレル1であれば、ボールベアリング41及びニードルベアリング42の隙間に流入する空気量が低減し、潤滑剤が空気の流れに流される虞がより低減する。
【0067】
例えば、通気流路52の高さ寸法、即ち、マンドレル本体2の内周面及びベアリング42の外周面の間隔は、約4.0mmに設定され、通気流路52の幅寸法は、約7.0mmに設定される。
【0068】
(嵌挿・離脱方法)
以下では、マンドレル軸3の先端部及び後端部に通気流路5(51,52)を設けた本願発明の印刷用マンドレル1に缶体10を嵌挿及び離脱する方法について説明する。
【0069】
金属製缶体10は、図示しない真空ポンプによって、空間Kの空気が、空気流路31を介して印刷機側から吸引された状態で、マンドレル本体2の先端部側外周に被せるようにして嵌挿される。
【0070】
空気が印刷機側へ吸引されることで空間Kは陰圧になり、缶体10がマンドレル本体2の外面に吸着され、金属製缶体10をマンドレル本体2に嵌装させやすい。
【0071】
金属製缶体10がマンドレル本体2に完全に嵌挿された後も、空気流路31の吸引は続けられるため、金属製缶体10がマンドレル本体2に吸着保持され続ける。
【0072】
一方、金属製缶体10をマンドレル本体2から離脱させる場合には、缶体10を嵌挿させる場合とは逆に、印刷機から空気流路31に流入させた空気が、マンドレルエンドキャップ21の孔を通って空間Kに流れ、空間Kを陽圧にする。
【0073】
空間Kが陽圧となることで、金属製缶体10をマンドレル本体2から離脱させやすくなる。
【0074】
このように、本願発明の印刷用マンドレル1は、マンドレル1の内圧を制御することによって金属製缶体10を嵌挿及び離脱させ易い構成となっている。
【0075】
次に、図4に示すように、マンドレル軸3の先端部側のベアリング部4に通気流路51が設けられた第2実施形態に係る印刷用マンドレル1について説明する。
【0076】
第2実施形態に係る印刷用マンドレル1は、上述した実施形態の印刷用マンドレル1とは異なり、印刷用マンドレル1の先端部側の通気流路51のみが設けられている。
【0077】
通気流路51は、先の実施形態と同様に、図4(a)の軸方向に直行する断面図に示すように、先端部側のベアリング41の外周に沿って、均等な間隔(例えば、90度間隔)で4つ設けられ、図4(b)の軸方向断面図に示すように、ベアリング41外側の先端部側から後端部側にかけて、マンドレル本体2の内壁に軸心方向の溝状に形成されている。
【0078】
通気流路51の先端は、マンドレル本体2の先端に設けられた空間Kに通じており、一方、通気流路51の後端は、マンドレル本体2内周面とマンドレル軸3外周面の間に形成された空隙7に通じている。
【0079】
例えば、間隙8から流入した空気が、空隙7から通気流路51を通って金属製缶体10内部の空間Kへ流入する。間隙8から流入した空気はベアリング42の隙間を通る。
【0080】
本実施形態に係る印刷用マンドレル1は、隙間7,8を流れる空気が先端部側のベアリング41の隙間を迂回して流れるように通気流路51が形成される。
【0081】
先端部側に設けられたベアリング41は、缶体10の近くに設けられているので、ベアリング41の隙間を空気が経由すると、塗布されている潤滑剤が缶体10に付着し易いが、このベアリング41を迂回する通気流路51が設けられた構成であるので、外部から流入した空気の流れがベアリング41を迂回し、缶体10への潤滑剤の付着を効果的に防止することができる。
【0082】
続いて、図5に示すように、マンドレル軸3の後端部側のベアリング部4に通気流路52が設けられた第3実施形態に係る印刷用マンドレル1について説明する。
【0083】
第3実施形態に係る印刷用マンドレル1は、上述した第1,2実施形態の印刷用マンドレル1とは異なり、印刷用マンドレル1の後端部側の通気流路52のみが設けられる。
【0084】
通気流路52は、図5(a)の軸方向に直行する断面図に示すように、断面の一部が円弧を有する形状で後端部側のベアリング42の外周に沿って、均等な間隔(例えば、90度間隔)で4つ設けられ、図5(b)の軸方向断面図に示すように、ベアリング42外側の先端部側から後端部側にかけて、マンドレル本体2の内壁に軸心方向の溝状に形成されている。
【0085】
通気流路52の先端は、マンドレル本体2内周面とマンドレル軸3外周面の間に形成された空隙7に通じており、通気流路52の後端は、マンドレル本体2とフランジ6とからなる間隙8に通じている。
【0086】
例えば、間隙8から流入した空気は、通気流路52を通って空隙7から空間Kへ流入する。空隙7から空間Kに流入する空気はベアリング41の隙間を通る。
【0087】
本実施形態に係る印刷用マンドレル1は、隙間7,8を流れる空気が後端部側のベアリング42の隙間を迂回して流れるように通気流路52が形成される。
【0088】
ニードルベアリング42は、潤滑剤の塗布量が多く、ベアリング42の隙間を空気が経由すると、塗布されている潤滑剤が流され易いが、印刷用マンドレル1の後端部側に通気流路52が設けられた構成であるので、外部から流入した空気の流れがベアリング42を迂回し、缶体10への潤滑剤の付着を効果的に防止することができる。
【0089】
上述したように、通気流路5(51,52)が、マンドレル軸3の先端部側のベアリング41の外周面、またはマンドレル軸3の基端部側のベアリング42の外周面の少なくともいずれか一方と、マンドレル本体2との間に、ベアリング41,42を迂回するように通気流路5が設けられて構成されることによって、簡単に構成することができる上、空気に流された潤滑剤が缶体10内面に付着する虞がより低減され、潤滑剤が付着した不良缶の発生が低減する。
【0090】
(評価試験)
本発明の印刷用マンドレル1を備えた印刷機によって印刷された金属製缶体10と、従来の印刷用マンドレル91を備えた印刷機によって印刷された金属製缶体10との比較試験を行った。
【0091】
本評価では、図4で示すような、マンドレル軸3の先端部側のベアリング部4に通気流路5(51)が設けられた印刷用マンドレル1(実施例1)、図3に示すような、マンドレル軸3の先端部側及び後端部側の両ベアリング部4に通気流路5(51,52)が設けられた印刷用マンドレル1(実施例2)を本発明の印刷用マンドレル1として用いた。
【0092】
実施例1及び実施例2の何れも、ベアリング41,42の外周面とマンドレル本体2との間で軸心方向に延びる通気流路5が、ベアリング41,42の外周に沿って均等な間隔(例えば、90度間隔)で4つ設けられている。
【0093】
比較例における印刷用マンドレル1は、何れのベアリング部4にも本発明のような通気流路5が設けられておらず、流入或いは流出した空気はベアリング部4(41,42)の隙間を通るように構成されている。
【0094】
本発明品の評価に用いられる缶種は、350ml用缶及び500ml用缶とし、それぞれの缶種に対して本発明の印刷用マンドレル1を備えた印刷機及び従来の印刷用マンドレル91を備えた印刷機を用いて印刷が行われた。
【0095】
表1には、上述した条件の本発明品(実施例1,2)及び比較例を用いて印刷を行った評価結果を示している。
【0096】
【表1】
【0097】
評価結果は、印刷用マンドレル1に缶体10を嵌装して印刷した後、印刷用マンドレル1から缶体10を離脱させる一連の工程を複数の缶体10に対して所定期間継続して行うことによって、印刷用マンドレル1内部で空気を流動させて、印刷された複数の缶体10におけるグリスの付着状況を目視検査した結果である。
【0098】
稼動開始から4時間後、各印刷機におけるマンドレルエンドキャップ21のグリス汚れについて目視による確認を行った。
【0099】
少なくとも一方のベアリング部4に通気流路5が設けられた実施例1及び実施例2の印刷用マンドレル1を備えた印刷機では、空気の流入及び流出によってベアリング部4のグリスがマンドレルエンドキャップ21に殆ど付着することはなかった。
【0100】
一方、ベアリング部4に通気流路5を設けない比較例の印刷用マンドレル1を備えた印刷機では、ベアリング41,42の隙間に空気が流れ込むことにより、空気の流れに流されてベアリング部4からはみ出したグリスが、マンドレルエンドキャップ21の裏側まで広範囲に付着していた。
【0101】
尚、上述した評価試験では、何れの缶種においても、ベアリング部4の外周に沿って通気流路5が複数設けられるように説明したが、この構成に限定されるものではなく、ベアリング部4に設ける通気流路5の個数及びその間隔は、缶種や空気流路31の形状などに応じて適宜設定するとよい。
【0102】
上述したように、通気流路5が複数設けられると、流入及び流出する空気がより効率よく流れやすくなり、空気に流された潤滑剤が缶体10内面に付着する虞がより低減し、潤滑剤の付着による不良缶の発生が低減するので好ましいが、通気流路5の個数は単数であっても複数であっても良い。
【0103】
また、通気流路5が複数設けられる場合には、ベアリング41,42の外周に沿って均等な間隔で通気流路5が設けられると、流入及び流出した空気が安定的に流れ、より効率よく流れやすくなるので好ましいが、これに限定されるものではなく、通気流路5が単一で設けられる場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0104】
また、両方のベアリング部4に通気流路5を設ける場合に、何れのベアリング部4にも同数の通気流路5を設けるように説明したが、もちろん先端部側のベアリング部4と後端部側のベアリング部4で設けられた通気流路5の個数が異なるように構成するのであってもよい。
【0105】
更に、上述したように、塗布されたグリス量の多いベアリングに設けられた通気流路5の径寸法が大きければ、当該ベアリングの隙間を通過する空気量が減少して、空気の流れに流される潤滑剤が低減するので好ましいが、これに限定されるものではなく、両端部の通気流路51,52(5)ともに同一の径寸法に設定されるのであってもよい。
【0106】
上述では、マンドレル本体2が円筒状に形成され、マンドレル軸3が棒状体に形成されたマンドレルとして説明したが、マンドレル本体2及びマンドレル軸3の形状はこれに限定されるものではなく、金属製缶体10が挿嵌されるに適した形状に形成されているのであればよい。
【0107】
上述したように、高精度の印刷を行うために基端部方向に強く缶体10が押し付けられて、片持ち状に設けられたマンドレルの基端部分に強い負荷がかかるため、マンドレルの基端側のベアリングには負荷容量の高いニードルベアリング42が設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0108】
上述では、マンドレル軸3が、マンドレル本体2の軸方向長さと略同等の長さ寸法に設けられるように説明したが、マンドレル軸3の長さ寸法はこれに限定されるものではない。
【0109】
また、上述では、マンドレル本体2がマンドレル軸3に着脱可能に構成されるように説明したが、マンドレル本体2はマンドレル軸3から着脱できないように形成されているのであってもよい。
【0110】
以上説明したように、底部と胴部が一体成形された缶体10が嵌挿されて保持される本願発明の印刷用マンドレル1は、空気が吸引される空間Kが先端に設けられ、前記空間Kが陰圧の状態で前記缶体10が嵌挿されるマンドレル本体2と、前記マンドレル本体2の内部に設けられ、金属製缶体10内部から空気が吸引される空気流路31が形成されたマンドレル軸3と、前記マンドレル軸3の先端部および基端部に配置され、マンドレル本体2をマンドレル軸3に対して回転自在に支持するベアリング41,42を有するベアリング部4と、マンドレル本体2外部からマンドレル本体2とマンドレル軸3の隙間を通って、前記空間Kへ至る経路において、少なくとも一方の前記ベアリング41,42を迂回するように設けられる通気流路5と、を備えて構成されるので、空間Kの空気が吸引されて空間Kが陰圧となることによって、マンドレル本体2外部から空気が流入するようになっても、流入する空気は少なくとも一方のベアリング41,42を迂回するように流れるため、ベアリング41,42に塗布された潤滑剤がベアリング41,42の外部に流れ出ることが低減されるようになる。
【0111】
これにより、ベアリング41,42に塗布された潤滑剤が、缶体10内面に付着する虞が低減され、潤滑剤の付着による不良缶の発生が低減する。
【0112】
また、上述したような印刷用マンドレル1を用いて2ピース缶の印刷及び製造がなされることによって、ベアリング41,42に塗布された潤滑剤が缶体10内面に付着することなく正常な缶体10を製造することができる。
【0113】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0114】
1…印刷用マンドレル
2…マンドレル本体
3…マンドレル軸
4…ベアリング部
5…通気流路
10…缶体(金属製缶体)
31…空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6