【実施例1】
【0039】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1のスイッチング電源装置を示す回路図である。
【0040】
このスイッチング電源装置は、1コンバータ方式の絶縁型スイッチング電源装置であり、ACの電圧viを整流してDCの電圧Viを出力する整流回路(例えば、全波整流回路)20を有している。全波整流回路20は、例えば、ブリッジ接続された4個のダイオード等の整流素子により構成され、あるいは、その4個の整流素子の出力側に、平滑回路が接続されて構成されている。この全波整流回路20の出力側には、一対の第1入力端子21−1及び第2入力端子21−2が接続されている。DCの電圧Vi(以下「入力電圧Vi」という。)を入力する第1入力端子21−1と第2入力端21−2との間には、インダクタ22と、第1接続点N1と、第1スイッチ信号S23によりオン/オフ動作する昇圧制御用のトランジスタ等の第1スイッチ素子23と、を有する第1直列回路が、接続されている。第1接続点N1、第1入力端子21−1及び第2入力端子21−2と、DCの出力電圧Voを出力する一対の第1出力端子40−1及び第2出力端子40−2との間には、m個(但し、mは2以上の任意の数であって、例えば、2個)の電圧変換部30−1,30−2が接続されている。
【0041】
2個の電圧変換部30−1,30−2は、同一の回路構成であって、第1接続点N1及び第1入力端子21−1と第2入力端子21−2とに、並列に接続されている。
【0042】
一方の電圧変換部30−1は、第2スイッチ信号S31−1によりオン/オフ動作する電流切り替え用のトランジスタ等の第2スイッチ素子31−1と、巻数比が例えばn:1(但し、nは任意の数)の1次巻線32−1a及び2次巻線32−1bを有するトランス32−1と、1次側のダイオード等の第1整流素子33−1と、第3スイッチ信号S34−1によりオン/オフ動作する降圧制御用のトランジスタ等の第3スイッチ素子34−1と、2次側のダイオード等の第2整流素子35−1と、平滑用の
第1コンデンサ36−1と、を有している。
【0043】
1次側の第1接続点N1と第2入力端子21−2との間には、前記の第2スイッチ素子31−1、トランス32−1の1次巻線32−1a、第2接続点N2−1、及び第3スイッチ素子34−1を有する第2直列回路が、接続されている。この第2直列回路において、第2スイッチ素子31−1と1次巻線32−1aとの接続位置を入れ替えても良い。第2接続点N2−1は、順方向の第1整流素子33−1を介して、第1入力端子21−1に接続されている。2次側の第4接続点N4−1と第3接続点N3−1との間には、トランス32−1における2次巻線32−1bと、順方向の第2整流素子35−1と、を有する第3直列回路が、接続されている。この第3直列回路において、第2整流素子35−1は、第4接続点N4−1と2次巻線32−1bとの間に順方向に接続しても良い。第3接続点N3−1と第4接続点N4−1との間には、コンデンサ36−1が接続されている。
【0044】
同様に、他方の電圧変換部30−2は、第2スイッチ信号S31−2によりオン/オフ動作する電流切り替え用のトランジスタ等の第2スイッチ素子31−2と、巻数比が例えばn:1の1次巻線32−2a及び2次巻線32−2bを有するトランス32−2と、1次側のダイオード等の第1整流素子33−2と、第3スイッチ信号S34−2によりオン/オフ動作する降圧制御用のトランジスタ等の第3スイッチ素子34−2と、2次側のダイオード等の第2整流素子35−2と、平滑用の
第2コンデンサ36−2と、を有している。
【0045】
1次側の第1接続点N1と第2入力端子21−2との間には、前記の第2スイッチ素子31−2、トランス32−2の1次巻線32−2a、第2接続点N2−2、及び第3スイッチ素子34−2を有する第2直列回路が、接続されている。この第2直列回路において、前記と同様に、第2スイッチ素子31−2と1次巻線32−2aとの接続位置を入れ替えても良い。第2接続点N2−2は、順方向の第1整流素子33−2を介して、第1入力端子21−1に接続されている。2次側の第4接続点N4−2と第3接続点N3−2との間には、トランス32−2における2次巻線32−2bと、順方向の第2整流素子35−2と、を有する第3直列回路が、接続されている。この第3直列回路において、第2整流素子35−2は、前記と同様に、第4接続点N4−2と2次巻線32−2bとの間に順方向に接続しても良い。第3接続点N3−2と第4接続点N4−2との間には、コンデンサ36−2が接続されている。一方の電圧変換部30−1側の第4接続点N4−1と、他方の電圧変換部30−2側の第3接続点N3−2とは、接続されている。
【0046】
第1出力端子40−1には、スイッチ制御手段41が接続されている。スイッチ制御手段41は、DCの出力電圧Vo等を入力して、ACの入力電力の力率を改善すると共に出力電圧Voが一定になるように、スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2をオン/オフ動作させるためのスイッチ信号S23,S31−1,S31−2,S34−1,S34−2を所定のタイミングで出力する回路である。このスイッチ制御手段41の構成としては、力率の改善を図るために、電流連続モード制御方式、電流不連続モード制御方式等の構成が採用可能である。
【0047】
例えば、電流連続モード制御方式のスイッチ制御手段41では、出力電圧Vo及び入力電圧Viを図示しない抵抗により降圧して入力すると共に、第1入力端子21−1及び第2入力端子21−2間を流れるDCの入力電流Iiを入力する。そして、このスイッチ制御手段41は、基準電圧と降圧されて入力された出力電圧Voとの誤差を求める誤差増幅手段と、降圧されて入力された入力電圧Viと前記誤差増幅手段の出力電圧とを乗算した後に入力電流Iiとの誤差を増幅する乗算・誤差増幅手段と、前記増幅された値と三角波とを比較してパルス幅変調(以下「PWM」という。)信号を生成する比較手段と、前記PWM信号を使って所定のタイミングでスイッチ信号S23,S31−1,S31−2,S34−1,S34−2を出力する出力手段と、により構成される。
【0048】
又、電流不連続モード制御方式のスイッチ制御手段41では、出力電圧Voを図示しない抵抗により降圧して入力する。そして、このスイッチ制御手段41は、基準電圧と降圧されて入力された出力電圧Voとの誤差を求める誤差増幅手段と、この誤差増幅手段の出力電圧と三角波とを比較してPWM信号を生成する比較手段と、前記PWM信号を使って所定のタイミングでスイッチ信号S23,S31−1,S31−2,S34−1,S34−2を出力する出力手段と、により構成される。
【0049】
スイッチ制御手段41の構成としては、その他に、電流臨界モード制御方式等の他の構成を採用することも可能である。
【0050】
本実施例1のスイッチング電源装置には、電圧差検出手段42と、この出力側に接続された補正手段43とが設けられている。
【0051】
電圧差検出手段42は、第3接続点N3−1と第4接続点N4−2との間(即ち、第1出力端子40−1と第2出力端子40−2との間)に直列に接続された2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差ΔVを検出する回路である。
【0052】
この電圧差検出手段42としては、例えば、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2との中点電圧と、出力電圧Voを抵抗で1/2に分圧した電圧と、の電位差を差動増幅器等で検出する回路構成や、あるいは、コンデンサ36−2の電圧と出力電圧Voとを計測して、出力電圧Voの1/2の電圧とコンデンサ36−2の電圧との差を演算で求める回路構成等、種々の回路構成を採用できる。
【0053】
補正手段43は、検出された電圧差ΔVに基づき、この電圧差ΔVが許容値以下になるように、スイッチ制御手段41にて生成される第2スイッチ信号S31−1,S31−2及び第3スイッチ信号S34−1,S34−2のオン時間をそれぞれ補正する回路であり、この出力側に、スイッチ制御手段41が接続されている。
【0054】
なお、
図1において、I22はインダクタ22に流れる電流、V22はインダクタ22の電圧である。
【0055】
(実施例1の動作)
図1のスイッチング電源装置における昇圧モードの動作(1)、降圧モードの動作(2)、昇降圧モードの動作(3)、及び、全体の動作(4)を説明する。
【0056】
(1) 昇圧モードの動作
図3は、
図1のスイッチング電源装置の昇圧モードにおける各スイッチ素子のオン/オフパターンを示す図である。
図3の横軸は時間、縦軸は各スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2のオン/オフ状態、インダクタ22の電圧V22波形及びインダクタ22の電流I22波形である。
【0057】
昇圧モードの動作の場合、昇圧制御用のスイッチ素子23のオン/オフで制御を行う。電流切り替え用のスイッチ素子31−1,31−2は、常にデューティ50%で交互にオン/オフする。降圧制御用のスイッチ素子34−1,34−2は、スイッチ素子23がオフの時に交互にオンされ、その位相がスイッチ素子31−1,31−2と同期する。
【0058】
スイッチ素子23がオンすると、第1入力端子21−1及び第2入力端子21−2間は、インダクタ22で短絡される。この時、インダクタ22にはDCの入力電圧Viが印加される。
【0059】
スイッチ素子23がオフすると、インダクタ22の電流I22は、スイッチ素子31−1→トランス32−1の1次巻線32−1a→スイッチ素子34−1のルートか、又は、スイッチ素子31−2→トランス32−2の1次巻線32−2a→スイッチ素子34−2のルートのいずれかを通って流れる。いずれの場合でも、トランス32−1,32−2の1次巻線32−1a,32−2aに電流が流れると、2次側の整流素子35−1又は35−2が導通する。この時、整流素子35−1,35−2の電圧降下を無視すれば、DCの出力電圧Voが2個のコンデンサ36−1,36−2により分圧されてそれぞれ電圧Vo/2となっているので、トランス32−1又は32−2の2次巻線電圧はVo/2となる。そのため、トランス32−1又は32−2の1次巻線電圧は、nVo/2となる。従って、スイッチ素子31−1,34−1,31−2,34−2の電圧降下を無視すれば、インダクタ22の電圧V22はVi−nVo/2となる。
【0060】
(2) 降圧モードの動作
図4は、
図1のスイッチング電源装置の降圧モードにおける各スイッチ素子のオン/オフパターンを示す図である。
図4の横軸は時間、縦軸は各スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2のオン/オフ状態、インダクタ22の電圧V22波形及びインダクタ22の電流I22波形である。
【0061】
降圧モードの動作の場合、昇圧制御用のスイッチ素子23は使用しないので、常にオフとなる。電流切り替え用のスイッチ素子31−1,31−2は常にデューティ50%で交互にオン/オフする。降圧制御用のスイッチ素子34−1,34−2のオン/オフで制御を行い、その位相がスイッチ素子31−1,31−2と同期する。
【0062】
スイッチ素子34−1,34−2がオンする時は、前述したように、対応するスイッチ素子31−1,31−2がオンしている。そのため、インダクタ22の電流I22は、スイッチ素子31−1→トランス32−1の1次巻線32−1a→スイッチ素子34−1のルートか、又は、スイッチ素子31−2→トランス32−2の1次巻線32−2a→スイッチ素子34−2のルートのいずれかを通って流れる。従って、昇圧モードで説明したように、インダクタ22の電圧V22は、Vi−nVo/2となる。
【0063】
スイッチ素子34−1,34−2がオフすると、インダクタ22の電流I22は、スイッチ素子31−1→トランス32−1の1次巻線32−1a→整流素子33−1のルートか、又は、スイッチ素子31−2→トランス32−2の1次巻線32−2a→整流素子33−2のルートのいずれかを通って流れる。この時、2次側の整流素子35−1又は35−2が導通するので、昇圧モードで説明したように、トランス32−1又は32−2の1次巻線電圧はnVo/2となる。従って、整流素子33−1,33−2の電圧降下を無視すれば、インダクタ22の電圧V22は−nVo/2となる。
【0064】
(3) 昇降圧モードの動作
図5は、
図1のスイッチング電源装置の昇降圧モードにおける各スイッチ素子のオン/オフパターンを示す図である。
図5の横軸は時間、縦軸は各スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2のオン/オフ状態、インダクタ22の電圧V22波形及びインダクタ22の電流I22波形である。
【0065】
昇降圧モードの動作の場合、昇圧制御用のスイッチ素子23のオン/オフで制御を行う。電流切り替え用のスイッチ素子31−1,31−2は、常にデューティ50%で交互にオン/オフする。この昇降圧モードでは、スイッチ素子34−1,34−2を使用しないので、常にオフとなる。
【0066】
スイッチ素子23がオンすると、第1入力端子21−1及び第2入力端子21−2間は、インダクタ22で短絡される。この時、インダクタ22にはDCの入力電圧Viが印加される。
【0067】
スイッチ素子23がオフすると、インダクタ22の電流I22は、スイッチ素子31−1→トランス32−1の1次巻線32−1a→整流素子33−1のルートか、又は、スイッチ素子31−2→トランス32−2の1次巻線32−2a→整流素子33−2のルートのいずれかを通って流れる。この時、2次側の整流素子35−1又は35−2が導通するので、トランス32−1又は32−2の1次巻線電圧はnVo/2となる。従って、整流素子33−1,33−2の電圧降下を無視すれば、インダクタ22の電圧は−nVo/2となる。
【0068】
(4)全体の動作
前記(1)〜(3)で説明したように、本実施例1の
図1のスイッチング電源装置では、従来の
図2のスイッチング電源装置と同様に、各スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2のオン/オフパターンを変えるだけで、昇圧、降圧、昇降圧の動作を自由に選択することが可能となる。
【0069】
特に、本実施例1では、従来の1個のコンデンサ16に代えて、2個のコンデンサ36−1,36−2の直列回路にしている。そして、トランス32−1の2次巻線32−1bと整流素子35−1とを有する第3直列回路は、コンデンサ36−1に接続し、トランス32−2の2次巻線32−2bと整流素子35−2とを有する第3直列回路は、コンデンサ36−2に接続している。このような構成にしたので、従来、昇圧モード動作において最大2nVoであったスイッチ素子11−1,11−2の電圧は、本実施例1のスイッチ素子31−1,31−2では、nVoの電圧となるため、その電圧を半分にすることができる。これにより、高耐圧の素子を使用する必要が無く、その結果、電力変換効率の向上と、電源装置の小型化が可能になる。
【0070】
但し、これはコンデンサ36−1とコンデンサ36−2の電圧が等しいことを前提としている。例えば、昇圧モード動作において、スイッチ素子31−1とスイッチ素子31−2のオン時間及びオフ時間が完全に等しく、且つ、スイッチ素子34−1とスイッチ素子34−2のオン時間及びオフ時間が完全に等しく、且つ、トランス32−1とトランス32−2の特性、整流素子35−1と整流素子35−2の特性、及び、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2の特性が、完全に等しければ、動作の対称性から、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2の電圧が等しくなるが、現実には素子特性のばらつきがあるため、そうはならない。
【0071】
そこで、本実施例1では、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2の電圧差ΔVを検出する電圧差検出手段42と、その電圧差ΔVに基づいてスイッチ素子31−1,31−2及びスイッチ素子34−1,34−2のオン時間(即ち、スイッチ信号S31−1,S31−2及びスイッチ信号S34−1,S34−2のオン時間)を補正する補正手段43を設けている。これにより、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2の電圧を等しくすることができる。
【0072】
即ち、コンデンサ36−1の電圧がコンデンサ36−2の電圧よりも高い場合、補正手段43により、
図3〜
図5の破線で示すように、スイッチ素子31−1のオン時間を減らし、スイッチ素子31−2のオン時間を増やすことにより、電圧差ΔVを小さくすることが可能である。逆にコンデンサ36−1の電圧がコンデンサ36−2の電圧よりも低い場合、補正手段43により、
図3〜
図5の一点鎖線で示すように、スイッチ素子31−1のオン時間を増やし、スイッチ素子31−2のオン時間を減らすことによって電圧差ΔVを小さくすることが可能である。
【0073】
(実施例1の効果)
本実施例1のスイッチング電源装置によれば、次の(a)、(b)のような効果がある。
【0074】
(a) 2個の電圧変換部30−1,30−2における出力側に、コンデンサ36−1,36−2をそれぞれ設け、これらの2個のコンデンサ36−1,36−2を、第3接続点N3−1と第4接続点N4−2との間(即ち、第1出力端子40−1と第2出力端子40−2との間)に、直列に接続している。そのため、従来に比べて、1次側のスイッチ素子23,31−1,31−2に掛かる電圧が低くなり、より低耐圧のスイッチ素子を使用することができる。これにより、内部損失の低下を抑制して電力変換効率を向上できると共に、電源装置の小型化が可能になる。
【0075】
(b) 電圧差検出手段42及び補正手段43を設けたので、スイッチ素子31−1,31−2、整流素子35−1,35−2、及びコンデンサ36−1,36−2等の特性にばらつきがあっても、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2の電圧を等しくすることができ、これにより、前記(a)の効果を奏することが可能になる。
【実施例4】
【0084】
図8は、本発明の実施例4のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例1のスイッチング電源装置を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0085】
本実施例4のスイッチング電源装置は、1コンバータ方式の絶縁型スイッチング電源装置であり、実施例1のスイッチング電源装置において、トランス32−1,32−2の2次側に配置された電圧差検出手段42の構成例が開示され、更に、この電圧差検出手段42の出力側が、新たに追加された絶縁手段44を介して、補正手段43に接続されている。
【0086】
5個のスイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2は、全てトランス32−1,32−2の1次側に配置されているので、これらを制御するスイッチ制御手段41及び補正手段43も、1次側に配置することが、結線や製造の容易化等を考えると自然である。スイッチ制御手段41及び補正手段43を1次側に配置した場合、2個のコンデンサ36−1,36−2の電圧差ΔVを検出する電圧差検出手段42で得られた検出結果の情報を、補正手段43に伝えるために、新たに絶縁手段44が設けられている。
【0087】
電圧差検出手段42は、電圧差検出部42aと、第1出力端子40−1と第2出力端子40−2との間に直列に接続された2個の分圧抵抗42b,42cと、により構成されている。電圧差検出部42aは、2個のコンデンサ36−1,36−2間の中点電圧と、出力電圧Voが分圧抵抗42b,42cで1/m(例えば、1/2)に分圧された分圧電圧と、の電圧差を求めて2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差ΔVを検出し、この検出結果を絶縁手段44へ出力する回路であり、例えば、差動増幅器等で構成されている。
【0088】
絶縁手段44は、電圧差検出部42aの検出結果を補正手段43へ伝達する回路であり、例えば、入出力間が絶縁された絶縁増幅器や、入出力間が絶縁されてシリアル通信信号等を伝送するホトカプラ等により、構成されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0089】
本実施例4のスイッチング電源装置によれば、電圧差検出部42aにより、2個のコンデンサ36−1,36−2間の中点電圧と、出力電圧Voが分圧抵抗42b,42cで1/2に分圧された分圧電圧と、の電圧差が求められて2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差ΔVが検出される。この検出結果は、絶縁手段44を介して、補正手段43へ伝送され、スイッチ素子31−1,31−2,34−1,34−2のオン時間(即ち、スイッチ信号S31−1,S31−2,S34−1,S34−2のオン時間)が補正される。これにより、コンデンサ36−1とコンデンサ36−2との電圧を等しくすることができ、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0090】
なお、本実施例4の電圧差検出手段42及び絶縁手段44は、実施例2の
図6のスイッチング電源装置や、実施例3の
図7のスイッチング電源装置に設ければ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例5】
【0091】
図9は、本発明の実施例5のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例1のスイッチング電源装置を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0092】
本実施例5のスイッチング電源装置は、1コンバータ方式の絶縁型スイッチング電源装置であり、実施例1のスイッチング電源装置において、トランス32−1,32−2の1次側に配置された電圧差検出手段42の構成例が開示されている。
【0093】
実施例4を示す
図8では、スイッチ素子23,31−1,31−2,34−1,34−2を制御するスイッチ制御手段41及び補正手段43をトランス32−1,32−2の1次側に配置し、電圧差検出手段42をトランス32−1,32−2の2次側に配置しているので、電圧差検出手段42の検出結果を補正手段43へ伝送するための絶縁手段44を設けている。しかし、絶縁手段44を、例えば、絶縁増幅器で構成すると、コスト増となり、シリアル通信信号をホトカプラで絶縁する構成にすると、通信の遅れが制御性を悪くする、といった不都合がある。
【0094】
そこで、このような不都合を無くすために、本実施例5のスイッチング電源装置では、実施例1の電圧差検出手段42を、電圧検出部42dにより構成し、この電圧検出部42dを、トランス32−1,32−2の1次側に配置して、第1スイッチ素子23の電圧を計測する構成にしている。電圧検出部42dは、第1スイッチ素子23の両端電圧を計測して、2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差を間接的に検出し、この検出結果を補正手段43へ与える回路であり、例えば、第1スイッチ素子23の両端電圧を降圧して検出する分圧抵抗、その検出電圧をデジタル値に変換するアナログ/デジタル変換器、及び、そのデジタル値をカウントするカウンタ等により構成されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0095】
本実施例5のスイッチング電源装置では、第1スイッチ素子23の電圧を計測するための電圧検出部42dを設けている。そのため、第1スイッチ素子23がオフで、第2スイッチ素子31−1と第3スイッチ素子34−1がオンの期間は、第1スイッチ素子23の電圧が、コンデンサ36−1の電圧のn倍電圧となることと、第1スイッチ素子23がオフで、第2スイッチ素子31−2と第3スイッチ素子34−2がオンの期間は、第1スイッチ素子23の電圧が、コンデンサ36−2の電圧のn倍電圧となることから、1つの電圧検出部42dで、コンデンサ36−1の電圧のn倍電圧と、コンデンサ36−2の電圧のn倍電圧と、の両方を測定することが可能である。そのため、電圧検出部42dにより、その両方の計測値の差分を取ることで、2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差を間接的に検出することができる。
【0096】
本実施例5のスイッチング電源装置によれば、トランス32−1,32−2の1次側に配置した電圧検出部42dにより、第1スイッチ素子23の電圧を計測し、2個のコンデンサ36−1,36−2間の電圧差を間接的に検出する構成にしたので、実施例4のような絶縁手段44が不要になって、回路構成を簡単化できる。しかも、本実施例5の電圧検出部42dは、コンデンサ36−1,36−2の直列数が増えても、そのまま使える利点もある。
【0097】
なお、本実施例5の電圧検出部42dは、実施例2の
図6のスイッチング電源装置や、実施例3の
図7のスイッチング電源装置に設ければ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例6】
【0098】
図10は、本発明の実施例6のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例5のスイッチング電源装置を示す
図9中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0099】
本実施例6のスイッチング電源装置は、実施例1〜5と同様に、1コンバータ方式の絶縁型スイッチング電源装置である。実施例1〜5のスイッチング電源装置を示す
図1、
図6〜
図9では、2個のトランス32−1,32−2を使用しているが、トランス32−1,32−2の個数は、2個に限定されるものではなく、任意の個数のトランス32−1〜32−mを使用できるように拡張しても良い。
【0100】
本実施例6では、電圧変換部30−1と同一構成の複数の電圧変換部30−mが、第1接続点N1及び第1入力端子21−1と第2入力端21−2との間に、並列に接続されている。各電圧変換部30−mは、電圧変換部30−1と同様に、第2スイッチ信号S31−mによりオン/オフ動作する第2スイッチ素子31−mと、第3スイッチ信号S34−mによりオン/オフ動作する第3スイッチ素子34−mと、第1整流素子33−mと、1次巻線32−ma及び2次巻線32−mbを有するトランス32−mと、第2整流素子35−mと、コンデンサ36−mと、により構成されている。
【0101】
更に、実施例5とほぼ同様に、電圧検出部42d及び補正手段43と、複数のスイッチ信号S23,S31−1〜S31−m,S34−1〜S34−mを出力するスイッチ制御手段41と、が設けられている。その他の構成は、実施例5と同様である。
【0102】
本実施例6のスイッチング電源装置によれば、実施例5のスイッチング電源装置と同様の作用効果を奏することができる。特に、本実施例6では、電圧変換部30−1〜30−mの個数を増やすことにより、トランス32−1〜32−mの個数も増加することができる。トランスを増やすと、出力リップルが減少する利点がある。その理由は、トランスの数が2個(32−1,32−2)の場合、1周期でインダクタ22の電圧は2回プラスマイナスが反転するが、例えば、トランスの数を3個(32−1,32−2,32−3)にすれば、3回反転するようになる。その分、インダクタ22のリップル電流が減るので、そのリップル電流がコンデンサ36−1〜36−3に流れ込んだときに発生するリップル電圧が減少する。
【0103】
なお、実施例2の
図6のスイッチング電源装置や、実施例3の
図7のスイッチング電源装置において、本実施例6のように、電圧変換部30−1A,30−2A,30−1B,30−2Bの個数を増やすことにより、本実施例6と同様の作用効果を奏することができる。