特許第5964191号(P5964191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964191
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20160721BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20160721BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20160721BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G06K13/06 C
   G06K7/00 030
   G06K7/00 069
   G06K7/08 040
   G06K17/00 009
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-216449(P2012-216449)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-71606(P2014-71606A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】石川 和寿
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一徳
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−176078(JP,A)
【文献】 特開平09−128872(JP,A)
【文献】 特開平11−085916(JP,A)
【文献】 特開2010−160665(JP,A)
【文献】 特開2010−160666(JP,A)
【文献】 特開2009−245108(JP,A)
【文献】 実開平02−027249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 7/08
G06K 13/06
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形状に形成されるカードを前記カードの短手方向に搬送して処理するカードリーダにおいて、
前記カードの挿入口が形成されるカード挿入部を備えるとともに、前記挿入口に繋がる前記カードの搬送路が形成され、
前記カード挿入部は、前記カードの取込方向における前記挿入口の奥側に配置され前記搬送路を閉鎖する第1閉鎖位置と前記搬送路を開放する第1開放位置との間で移動可能な第1シャッタ部材と、前記第1閉鎖位置と前記第1開放位置との間で前記第1シャッタ部材を駆動するシャッタ駆動機構と、前記第1シャッタ部材よりも前記挿入口側に配置され前記搬送路を閉鎖する第2閉鎖位置と前記搬送路を開放する第2開放位置との間で移動可能な第2シャッタ部材と、前記第2閉鎖位置に向かって前記第2シャッタ部材を付勢する付勢部材と、前記第2閉鎖位置にあるときの前記第2シャッタ部材が当接する当接部材と、前記第2シャッタ部材が前記第2開放位置へ移動したことを検知するシャッタ部材センサとを備え、
前記当接部材は、前記カードの搬送方向と前記カードの搬送方向に直交する前記搬送路の幅方向とに直交する前記カードの厚さ方向における前記搬送路の一方側である前記搬送路の上側に配置され、
前記第2シャッタ部材は、前記付勢部材によって前記当接部材に向かって付勢され、前記挿入口から挿入された前記カードが接触すると、前記第2開放位置へ移動するとともに、前記第2開放位置にあるときに前記搬送路の下側に退避しており、
前記カード挿入部の、前記第2シャッタ部材の下側には、前記カードリーダの外部へ通じる開口部が形成されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記第2シャッタ部材は、前記カードの搬送方向に直交する前記搬送路の幅方向を回転の軸方向として回転可能なローラであることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記第2シャッタ部材は、前記カードの長手方向が前記カードの搬送方向と一致するように前記カードが前記挿入口から挿入された場合に、前記カードの搬送方向に直交する前記搬送路の幅方向におけるどの位置で前記カードが挿入されても、挿入された前記カードが接触する位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記カードの搬送方向に直交する前記搬送路の幅方向における前記第2シャッタ部材の幅は、前記カードの長手方向が前記カードの搬送方向と一致するように前記カードが前記挿入口から挿入された場合に、前記搬送路の幅方向におけるどの位置で前記カードが挿入されても、挿入された前記カードが前記第2シャッタ部材に接触するように設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記シャッタ駆動機構は、前記シャッタ部材センサでの検知結果に基づいて前記第1シャッタ部材を駆動することを特徴とする請求項からのいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記カード挿入部は、前記第1シャッタ部材に取り付けられ前記第1シャッタ部材から前記挿入口側へ突出する突出部材を備え、
前記突出部材の前記挿入口側には、前記カードが当接するカード当接面が形成され、
前記カードの搬送方向における前記挿入口と前記カード当接面との距離は、前記カードの短手方向の幅よりも短くなっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略長方形状に形成されるカードをその短手方向に搬送して処理するカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気媒体に形成された磁気ストライプからの磁気データの読取と磁気ストライプへの磁気データの書込とを行う磁気ヘッド移動型の磁気ストライプ読取・書込装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気ストライプ読取・書込装置で処理される磁気媒体では、磁気媒体の搬送方向に対して直交する方向に磁気ストライプが形成されている。この磁気ストライプ読取・書込装置は、磁気ストライプが形成された方向へ磁気ヘッドを移動させるスライド機構と、磁気ヘッドの移動方向に直交する方向へ磁気媒体を搬送する搬送ローラとを備えている。
【0003】
また、従来、カードに記録された磁気データの読取やカードへの磁気データの書込を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のカードリーダは、カードの搬送機構や磁気ヘッドを有するカード処理部と、カードの挿入口が形成されるカード挿入部とを備えている。挿入口の奥側には、カードが搬送されるカード搬送路が形成されている。カード挿入部は、挿入口からカードが挿入されたか否かを検知するためのカード挿入検知機構と、カード搬送路を開閉するシャッタ部材とを備えている。シャッタ部材は、カード搬送路の幅方向におけるカード搬送路の全域でカード搬送路を閉鎖することが可能となっている。また、カード挿入部は、カードに磁気データが記録されているか否かを検知するためのプリヘッド(磁気ヘッド)と、カードにICチップが内蔵されているか否かを検知するための金属センサとを備えている。
【0004】
特許文献2に記載のカードリーダでは、カードの搬送方向において、挿入口とシャッタ部材との間に、カード挿入検知機構とプリヘッドと金属センサとが配置されている。このカードリーダでは、カードが挿入される前の待機状態においては、シャッタ部材がカード搬送路を閉鎖している。また、このカードリーダでは、カード挿入検知機構、プリヘッドおよび金属センサの検知結果に基づいて、正規のカードが挿入口から挿入されたことが検知されると、シャッタ部材がカード搬送路を開放する。
【0005】
なお、磁気ストライプを有するカードの形状は、国際規格やJIS規格によって規定されており、四隅に丸みを持った略長方形状となっている。また、磁気ストライプは、略長方形状に形成されるカードの長手方向に平行な帯状に形成されている。特許文献2に記載のカードリーダでは、国際規格やJIS規格に準拠した磁気ストライプ付きのカードが処理されており、カードはその長手方向に搬送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−128872号公報
【特許文献2】特開2010−160666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の磁気ストライプ読取・書込装置のように、磁気ストライプの方向と直交する方向に磁気媒体を搬送する装置で、国際規格やJIS規格に準拠した磁気ストライプ付きのカードが処理される場合、カードは、その短手方向に搬送される。カードが短手方向に搬送される装置においても、正規のカード以外のカードが装置内に取り込まれるのを防止したり、いたずら等を防止したりするためにシャッタ部材がカード挿入部に配置されていることが好ましい。
【0008】
一方、カードがその短手方向に搬送される装置の場合、カードがその長手方向に搬送される装置と比較して、カードを搬送する搬送ローラを挿入口により近い位置に配置しなければ、挿入口に挿入されたカードを取り込んだり、挿入口からカードを排出したりすることができない。そのため、挿入口とシャッタ部材との間に搬送ローラを配置せざるを得ない場合が生じうるが、挿入口とシャッタ部材との間に搬送ローラが配置されると、挿入口とシャッタ部材との距離が長くなる。挿入口とシャッタ部材との距離が長くなると、挿入口から入り込んだ塵埃や水等がカード挿入部に溜まって、挿入口から挿入されたカードの処理に支障を来す場合が生じうる。
【0009】
そこで、本発明の課題は、略長方形状に形成されるカードをその短手方向に搬送して処理するカードリーダにおいて、カードの挿入口が形成されるカード挿入部の内部に塵埃や水等が溜まるのを抑制することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、略長方形状に形成されるカードをカードの短手方向に搬送して処理するカードリーダにおいて、カードの挿入口が形成されるカード挿入部を備えるとともに、挿入口に繋がるカードの搬送路が形成され、カード挿入部は、カードの取込方向における挿入口の奥側に配置され搬送路を閉鎖する第1閉鎖位置と搬送路を開放する第1開放位置との間で移動可能な第1シャッタ部材と、第1閉鎖位置と第1開放位置との間で第1シャッタ部材を駆動するシャッタ駆動機構と、第1シャッタ部材よりも挿入口側に配置され搬送路を閉鎖する第2閉鎖位置と搬送路を開放する第2開放位置との間で移動可能な第2シャッタ部材と、第2閉鎖位置に向かって第2シャッタ部材を付勢する付勢部材と、第2閉鎖位置にあるときの第2シャッタ部材が当接する当接部材と、第2シャッタ部材が第2開放位置へ移動したことを検知するシャッタ部材センサとを備え、当接部材は、カードの搬送方向とカードの搬送方向に直交する搬送路の幅方向とに直交するカードの厚さ方向における搬送路の一方側である搬送路の上側に配置され、第2シャッタ部材は、付勢部材によって当接部材に向かって付勢され、挿入口から挿入されたカードが接触すると、第2開放位置へ移動するとともに、第2開放位置にあるときに搬送路の下側に退避しており、カード挿入部の、第2シャッタ部材の下側には、カードリーダの外部へ通じる開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のカードリーダでは、搬送路を閉鎖する第1閉鎖位置と搬送路を開放する第1開放位置との間で移動可能な第1シャッタ部材が挿入口の奥側に配置され、この第1シャッタ部材にシャッタ駆動機構が連結されている。そのため、本発明では、正規のカードが正しい姿勢で挿入口から挿入された場合に、シャッタ駆動機構で第1シャッタ部材を駆動して、第1開放位置へ第1シャッタ部材を移動させることが可能になる。したがって、本発明では、正規のカード以外のカードや誤った姿勢で挿入されたカードがカードリーダ内へ取り込まれるのを防止したり、いたずら等を防止したりすることが可能になる。
【0012】
また、本発明では、搬送路を閉鎖する第2閉鎖位置と搬送路を開放する第2開放位置との間で移動可能な第2シャッタ部材が第1シャッタ部材よりも挿入口側に配置されている。この第2シャッタ部材は、付勢部材によって第2閉鎖位置に向かって付勢されており、挿入口から挿入されたカードが接触すると、第2開放位置へ移動する。すなわち、第2シャッタ部材は、カードが挿入されていないときには、付勢部材の付勢力で常時、搬送路を閉鎖している。そのため、本発明では、第1シャッタ部材と挿入口との距離が長くなっていても、第1シャッタ部材よりも挿入口側に配置される第2シャッタ部材によって、挿入口からカード挿入部の内部へ塵埃や水等が入り込むのを抑制することが可能になる。したがって、本発明では、カード挿入部の内部に塵埃や水等が溜まるのを抑制することが可能になる。また、本発明では、第2シャッタ部材は、付勢部材によって第2閉鎖位置に向かって付勢され、挿入口から挿入されたカードが接触すると、第2開放位置へ移動するため、第2シャッタ部材を駆動するための駆動機構を設ける必要がない。したがって、本発明では、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。また、本発明では、第2閉鎖位置にあるときの第2シャッタ部材が当接する当接部材が、カードの搬送方向とカードの搬送方向に直交する搬送路の幅方向とに直交するカードの厚さ方向における搬送路の一方側である搬送路の上側に配置されているため、カードの厚さ方向における搬送路の両側に第2シャッタ部材が配置されている場合と比較して、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。また、本発明では、当接部材は、搬送路の上側に配置され、第2シャッタ部材は、第2開放位置にあるときに搬送路の下側に退避しており、カード挿入部の、第2シャッタ部材の下側には、カードリーダの外部へ通じる開口部が形成されているため、第2シャッタ部材によってカード挿入部の内部への侵入を遮られた塵埃や水等を開口部からカード挿入部の外部へ排出することが可能になる。したがって、カード挿入部の内部に塵埃や水等が溜まるのを効果的に抑制することが可能になる。また、本発明では、カード挿入部が、第2シャッタ部材が第2開放位置へ移動したことを検知するシャッタ部材センサを備えているため、第2シャッタ部材とシャッタ部材センサとを用いて、挿入口からカードが挿入されたことを検知することが可能になる。
【0013】
本発明において、第2シャッタ部材は、カードの搬送方向に直交する搬送路の幅方向を回転の軸方向として回転可能なローラであることが好ましい。このように構成すると、第2シャッタ部材とカードとの接触時に、第2シャッタ部材であるローラを回転させることが可能になる。したがって、第2シャッタ部材とカードとが接触しているときのカードの搬送抵抗を低減することが可能になる。
【0017】
本発明において、第2シャッタ部材は、カードの長手方向がカードの搬送方向と一致するようにカードが挿入口から挿入された場合に、カードの搬送方向に直交する搬送路の幅方向におけるどの位置でカードが挿入されても、挿入されたカードが接触する位置に配置されていることが好ましい。また、本発明において、カードの搬送方向に直交する搬送路の幅方向における第2シャッタ部材の幅は、カードの長手方向がカードの搬送方向と一致するようにカードが挿入口から挿入された場合に、搬送路の幅方向におけるどの位置でカードが挿入されても、挿入されたカードが第2シャッタ部材に接触するように設定されていることが好ましい。このように構成すると、カードの短手方向がカードの搬送方向と一致するようにカードが挿入口から挿入された場合のみならず、カードの長手方向がカードの搬送方向と一致するようにカードが挿入口から挿入された場合にも、第2シャッタ部材とシャッタ部材センサとを用いて、挿入口からカードが挿入されたことを検知することが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、シャッタ駆動機構は、シャッタ部材センサでの検知結果に基づいて第1シャッタ部材を駆動する。
【0019】
本発明において、カード挿入部は、第1シャッタ部材に取り付けられ第1シャッタ部材から挿入口側へ突出する突出部材を備え、突出部材の挿入口側には、カードが当接するカード当接面が形成され、カードの搬送方向における挿入口とカード当接面との距離は、カードの短手方向の幅よりも短くなっていることが好ましい。このように構成すると、第1シャッタ部材と挿入口との距離が長くなっていても、第1シャッタ部材が搬送路を閉鎖している状態で、たとえば、想定外の速さでカードが無理やり差し込まれたときに、カード当接面にカードを当接させるとともに、カード当接面に当接しているカードの端部をユーザが掴むことが可能なように、挿入口からカードを突出させることが可能になる。したがって、カードの搬送方向における挿入口とシャッタ部材との距離を確保しつつ、シャッタ部材が搬送路を閉鎖している状態でカードが無理やり差し込まれてもカードの端部をユーザが掴むことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、略長方形状に形成されるカードをその短手方向に搬送して処理するカードリーダにおいて、カードの挿入口が形成されるカード挿入部の内部に塵埃や水等が溜まるのを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードリーダの概略構成を側面から説明するための図である。
図3図1に示すカードの平面図である。
図4図2に示すヘッド移動機構の構成を上面から説明するための図である。
図5図2に示すヘッド移動機構の構成を正面から説明するための図である。
図6図2に示すIC接点ブロックを駆動する接点ブロック駆動機構を正面から説明するための図である。
図7図2に示すシャッタ部材が搬送路を閉鎖している状態を側面から説明するための図である。
図8図7に示すシャッタ部材が搬送路を開放している状態を側面から説明するための図である。
図9図2に示すシャッタ部材を駆動するシャッタ駆動機構を正面から説明するための図である。
図10図2に示すカード挿入部の前端側の構成を側面から説明するための図である。
図11図2に示すカード挿入部の構成を上面から説明するための図である。
図12図2に示すカード挿入部の前端側の構成を正面から説明するための図である。
図13図12に示す磁気センサと挿入口から挿入されたカードとの上下方向の位置関係を正面から説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の概略構成を側面から説明するための図である。図3は、図1に示すカード2の平面図である。図4は、図2に示すヘッド移動機構8の構成を上面から説明するための図である。図5は、図2に示すヘッド移動機構8の構成を正面から説明するための図である。図6は、図2に示すIC接点ブロック9を駆動する接点ブロック駆動機構10を正面から説明するための図である。
【0024】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取およびカード2への磁気データの記録の少なくとも一方を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4を備えている。図2に示すように、カードリーダ1の内部には、挿入口3に繋がるカードの搬送路5が形成されている。
【0025】
また、カードリーダ1は、カード2を搬送するカード搬送機構6と、カード2に当接してカード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッド7と、カード2の搬送方向に直交する方向へ磁気ヘッド7を移動させるヘッド移動機構8と、カード2に形成される後述の端子部2bに接触してデータの通信を行うためのIC接点ブロック9と、IC接点ブロック9を駆動する接点ブロック駆動機構10と、カードリーダ1内に取り込まれたカード2を位置決めするための位置決め機構11とを備えている。
【0026】
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。本形態のカード2は、国際規格(たとえば、ISO/IEC7811)やJIS規格(たとえば、JISX6302)に準拠した磁気ストライプ付きのカードであり、四隅に丸みを持った略長方形状に形成されている。カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。また、カード2は、接触式のICカードである。すなわち、カード2には、ICチップ(図示省略)が内蔵され、カード2のおもて面には、8個の外部接続端子からなる端子部2bが形成されている。カード2の一部は、エンボス加工が施されるエンボス加工領域2cとなっている。すなわち、カード2には、エンボス加工が施されるエンボス加工領域2cが画定されている。
【0027】
磁気ストライプ2aは、略長方形状に形成されるカード2の長手方向(図3のU方向)に平行な細長い帯状に形成されている。この磁気ストライプ2aは、カード2の長手方向の全域に形成されている。また、磁気ストライプ2aは、カード2の短手方向(図3のV方向)において、カード2の短手方向における一端2d側に形成されている。具体的には、国際規格やJIS規格に基づいて、磁気ストライプ2aは、カード2の短手方向において、カード2の一端2dを基準とする所定の範囲内に形成されている。
【0028】
端子部2bは、カード2の長手方向における一端側、かつ、カード2の短手方向における略中間位置に形成されている。端子部2bを構成する8個の外部接続端子は、カード2の短手方向において4行、かつ、カード2の長手方向において2列に配列されている。エンボス加工領域2cは、カード2の短手方向における他端2e側に配置されている。また、カード2の長手方向における両端側を除く所定の範囲がエンボス加工領域2cとなっている。エンボス加工領域2cにエンボス加工されて形成される文字や数字等は、おもて面側に突出している。
【0029】
本形態では、図1等に示すX方向でカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向であり、X1方向は、カード2の取込方向であり、X2方向は、カード2の排出方向である。また、本形態では、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1にカード2が取り込まれる。また、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1内でカード2が搬送される。すなわち、カードリーダ1は、カード2の短手方向でカード2を搬送して所定の処理を行う。
【0030】
また、X方向に直交するY方向は、搬送路5の幅方向であり、カードリーダ1内に正しい姿勢で取り込まれたカード2の長手方向である。また、X方向とY方向とに直交する図1等のZ方向は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の厚さ方向である。本形態では、Z方向と鉛直方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されている。なお、以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とし、また、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0031】
カード挿入部4は、カードリーダ1の前面側部分を構成している。このカード挿入部4は、挿入口3の奥側に配置される第1シャッタ部材としてのシャッタ部材14と、前後方向における挿入口3とシャッタ部材14との間に配置される第2シャッタ部材としてのシャッタ部材15と、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカードリーダ1にカード2が挿入されたこと(すなわち、挿入口3にカード2が挿入されたこと)を検知する挿入検知機構16と、カード2に磁気データが記録されていることを検知する磁気センサ17、18と、カード2にICチップの外部接続端子が固定されていること(すなわち、端子部2bが固定されていること)を検知する金属センサ19と、カードリーダ1の前方の人間の動きを検知する人体検知用の赤外線センサ20と、これらの構成が収容されるケース体21とを備えている。カード挿入部4の具体的な構成については後述する。
【0032】
搬送路5は、前後方向におけるカードリーダ1の略全域に形成されている。カード搬送機構6は、カード2の上面に当接してカード2を搬送する搬送ローラ31〜33と、下側から搬送ローラ31〜33に対向配置されるパッドローラ34〜36とを備えている。搬送ローラ31は、カード挿入部4の内部に配置されている。具体的には、搬送ローラ31は、前後方向において、カード挿入部4の奥端側に配置されるシャッタ部材14よりも前側に配置されている。搬送ローラ32、33は、カード挿入部4の奥側に配置されるカードリーダ1の本体部37の内部に配置されている。具体的には、搬送ローラ32は、前後方向において、磁気ヘッド7およびIC接点ブロック9よりも前側に配置されるとともにシャッタ部材14よりも奥側に配置されている。また、搬送ローラ33は、位置決め機構11を構成する後述の位置決め部材66の当接部66aよりも奥側に配置されている。搬送ローラ31〜33は、搬送路5の左右の両端側のそれぞれに配置されている。搬送ローラ31〜33には、ベルト、プーリおよび歯車列等によって構成される動力伝達機構38を介してモータ39が連結されている。
【0033】
パッドローラ34は、搬送ローラ31に向かって付勢されており、下側からカード2に当接可能となっている。パッドローラ35は、搬送ローラ32に向かって付勢されており、下側からカード2に当接可能となっている。パッドローラ36は、搬送ローラ33に向かって付勢されており、下側からカード2に当接可能となっている。上述のように、搬送ローラ31〜33は、搬送路5の左右の両端側のそれぞれに配置されており、カード2の長手方向における両端側の上面に搬送ローラ31〜33が当接し、カード2の長手方向における両端側の下面にパッドローラ34〜36が当接する。具体的には、搬送ローラ31〜33およびパッドローラ34〜36は、カード2の長手方向における両端側であって、かつ、エンボス加工領域2cを避けた部分に当接する。なお、搬送ローラ31〜33がカード2の下面に当接し、パッドローラ34〜36が上側から搬送ローラ31〜33に対向配置されても良い。
【0034】
磁気ヘッド7は、前後方向において、搬送ローラ32およびパッドローラ35と、搬送ローラ33およびパッドローラ36との間に配置されている。ヘッド移動機構8は、磁気ヘッド7が搭載されるキャリッジ42と、左右方向へキャリッジ42を案内するガイド軸43と、キャリッジ42を左右方向へ送るリードスクリュー44と、磁気ヘッド7を上下動させるためのカム板45と、ガイド軸43を中心とするキャリッジ42の回動を防止するための回動防止軸46とを備えている。キャリッジ42は、キャリッジ本体47と、磁気ヘッド7を保持するヘッド保持部材48とを備えている。キャリッジ本体47には、リードスクリュー44に係合するメネジ部材49と、ガイド軸43に係合する摺動軸受50と、回動防止軸46に係合する摺動部材51とが取り付けられている。リードスクリュー44には、プーリおよびベルトから構成される動力伝達機構52を介してモータ53が連結されている。
【0035】
キャリッジ本体47には、ヘッド保持部材48を回動可能に保持する固定軸54が左右方向を軸方向として固定されている。キャリッジ本体47とヘッド保持部材48との間には、ネジリコイルバネ55が配置されており、ヘッド保持部材48は、ネジリコイルバネ55の付勢力によって、固定軸54を中心にして、磁気ヘッド7が上昇する方向へ付勢されている。カム板45は、左右方向に細長い長尺状に形成されており、ヘッド保持部材48には、左右方向におけるカム板45の両端側に形成されるカム45aに当接するローラ56が回転可能に取り付けられている。
【0036】
本形態では、モータ53が駆動して、リードスクリュー44が回転すると、ガイド軸43に沿って、磁気ヘッド7がキャリッジ42とともに左右方向へ移動する。左右方向における両端側では、カム45aにローラ56が当接しており、図5の二点鎖線で示すように、磁気ヘッド7は、ネジリコイルバネ55の付勢力に抗して搬送路5よりも下側へ退避している。一方、磁気ヘッド7がキャリッジ42とともに左右方向へ移動して、カム45aからローラ56が外れると、カム45aによって搬送路5よりも下側に退避するように案内されていた磁気ヘッド7がネジリコイルバネ55の付勢力で上昇して、カード2の磁気ストライプ2aに当接可能になる。磁気ヘッド7が磁気ストライプ2aに当接しながら、キャリッジ42が左右方向へ移動することで、磁気ヘッド7によって磁気データの読取や記録が行われる。なお、磁気ヘッド7は、所定のケーブルを介して、カードリーダ1の制御基板に接続されている。
【0037】
IC接点ブロック9は、図6に示すように、カード2の端子部2bを構成する外部接続端子のそれぞれに接触するIC接点バネ59と、IC接点バネ59を保持するバネ保持部材60と、IC接点バネ59が接続される基板61とを備えている。基板61は、バネ保持部材60に固定されている。IC接点ブロック9は、前後方向において、搬送ローラ32およびパッドローラ35と磁気ヘッド7との間に配置されている。また、IC接点ブロック9は、左右方向において、搬送路5の左端側に配置されるとともに、搬送路5の上側に配置されている。
【0038】
接点ブロック駆動機構10は、IC接点ブロック9が固定されるブロック保持部材62とソレノイド63とを備えている。ブロック保持部材62は、前後方向を軸方向として本体部37のフレームに固定される固定軸64に回動可能に保持されている。ソレノイド63のプランジャ63aには、固定ピン65が固定されている。固定ピン65は、ブロック保持部材62に形成される係合溝62aに係合している。ソレノイド63は、プランジャ63aが左右方向へ移動するように配置されている。ソレノイド63の本体63bとプランジャ63aとの間には、図示を省略する圧縮コイルバネが配置されており、この圧縮コイルバネの付勢力でプランジャ63aは、本体63bから突出する方向に付勢されている。
【0039】
この圧縮コイルバネの付勢力でプランジャ63aが本体63bから突出しているときには、図6(A)に示すように、IC接点ブロック9が搬送路5の上側へ退避している。この状態で、ソレノイド63が駆動すると、圧縮コイルバネの付勢力に抗して、プランジャ63aが本体63b側に引き込まれて、図6(B)に示すように、IC接点ブロック9が下降する。IC接点ブロック9が下降すると、IC接点バネ59が端子部2bを構成する外部接続端子に接触可能となる。
【0040】
位置決め機構11は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の奥端が当接する当接部66aが形成された位置決め部材66と、搬送路5から当接部66aを退避させる退避機構(図示省略)とを備えている。当接部66aは、前後方向において、磁気ヘッド7よりも奥側に配置されている。また、当接部66aは、前後方向において、搬送ローラ33およびパッドローラ36よりも前側に配置されている。退避機構は、所定のリンク機構や駆動源等を備えており、カード2の奥端が当接部66aに当接可能な当接位置と、当接部66aが搬送路5から退避して搬送ローラ33およびパッドローラ36に向かってカード2が通過可能な退避位置との間で、位置決め部材66を移動させる。本形態では、位置決め部材66は、通常、当接位置にあり、所定の処理を行う場合に、退避位置へ移動する。
【0041】
(カード挿入部の構成)
図7は、図2に示すシャッタ部材14、15が搬送路5を閉鎖している状態を側面から説明するための図である。図8は、図7に示すシャッタ部材14、15が搬送路5を開放している状態を側面から説明するための図である。図9は、図2に示すシャッタ部材14を駆動するシャッタ駆動機構70を正面から説明するための図である。図10は、図2に示すカード挿入部4の前端側の構成を側面から説明するための図である。図11は、図2に示すカード挿入部4の構成を上面から説明するための図である。図12は、図2に示すカード挿入部4の前端側の構成を正面から説明するための図である。図13は、図12に示す磁気センサ17、18と挿入口3から挿入されたカード2との上下方向の位置関係を正面から説明するための図である。
【0042】
上述のように、カード挿入部4は、シャッタ部材14、15と挿入検知機構16と磁気センサ17、18と金属センサ19と赤外線センサ20とケース体21とを備えている。
【0043】
シャッタ部材14は、カード挿入部4の奥端に配置されている。このシャッタ部材14は、搬送路5を閉鎖する第1閉鎖位置(図7に示す位置)と、搬送路5を開放する第1開放位置(図8に示す)との間で移動可能となっている。第1閉鎖位置で搬送路5を閉鎖するシャッタ部材14の閉鎖部14aは、左右方向に細長い略長方形の平板状に形成されている。閉鎖部14aの左右方向の幅は、搬送路5の左右方向の幅よりも広くなっている。すなわち、第1閉鎖位置にあるシャッタ部材14は、左右方向における搬送路5の全域で搬送路5を閉鎖している。シャッタ部材14は、第1閉鎖位置と第1開放位置との間でシャッタ部材14を駆動するシャッタ駆動機構70に連結されている(図9参照)。
【0044】
シャッタ駆動機構70は、2個の第1リンク部材72と、第2リンク部材73と、ソレノイド74とを備えている。第1リンク部材72は、前後方向を軸方向として固定される固定軸75に回動可能に保持されるとともに、シャッタ部材14の下端側に回動可能に連結されている。第2リンク部材73は、前後方向を軸方向として固定される2本の固定軸76によって左右方向へスライド可能に保持されている。第2リンク部材73には、前後方向を軸方向として2本の固定ピン77が固定されている。固定ピン77は、第1リンク部材72の下端側に形成される係合凹部72aに係合している。また、第2リンク部材73には、ソレノイド74のプランジャ74aに固定される固定ピン78が係合している。ソレノイド74は、プランジャ74aが左右方向へ移動するように配置されている。ソレノイド74の本体74bとプランジャ74aとの間には、図示を省略する圧縮コイルバネが配置されており、この圧縮コイルバネの付勢力でプランジャ74aは、本体74bから突出する方向に付勢されている。
【0045】
図9に示すように、この圧縮コイルバネの付勢力でプランジャ74aが本体74bから突出しているときには、シャッタ部材14は、図7に示すように第1閉鎖位置にあり、搬送路5を閉鎖している。この状態で、ソレノイド74が駆動すると、圧縮コイルバネの付勢力に抗して、プランジャ74aが本体74b側に引き込まれ、第2リンク部材73が左側へスライドするとともに第1リンク部材72が回動して、シャッタ部材14が下降する。シャッタ部材14が下降して、搬送路5の下側へ退避すると、シャッタ部材14は、図8に示すように第1開放位置にあり、搬送路5を開放している。このように、第1開放位置にあるシャッタ部材14は、搬送路5の下側へ退避しており、第1開放位置にあるシャッタ部材14が上昇すると、シャッタ部材14が第1閉鎖位置へ移動する。なお、シャッタ部材14は、モータ等の他の駆動源の動力によって、第1閉鎖位置と第1開放位置との間を移動しても良い。すなわち、シャッタ駆動機構70は、モータ等によって構成されても良い。
【0046】
シャッタ部材14には、閉鎖部14aの前面から前側へ突出する突出部材80が取り付けられている。本形態では、図11に示すように、左右方向に所定の間隔をあけた状態で2個の突出部材80が閉鎖部14aに固定されている。具体的には、閉鎖部14aの左右両端側のそれぞれに突出部材80が固定されている。突出部材80は、閉鎖部14aに固定される平板状の被固定部80aと、被固定部80aから前側へ突出する平板状の突出部80bとから構成されている。突出部80bの前端面は、シャッタ部材14が閉鎖位置にあるときに、たとえば、想定外の速さで挿入口3から無理やり差し込まれたカード2の奥端が当接するカード当接面80cとなっている。
【0047】
前後方向におけるカード当接面80cと挿入口3との距離L1(図7参照)は、カード2の短手方向の幅W1よりも短くなっている。本形態では、カード2の短手方向と前後方向とが一致するように挿入口3に挿入されたカード2の奥端がカード当接面80cに当接しているときに、挿入口3から突出するカード2の前端側をユーザが掴むことが可能なように距離L1が設定されている。たとえば、距離L1は、幅W1よりも10〜15mm程度短く設定されている。なお、本形態では、前後方向における閉鎖部14aの前面と挿入口3との距離L2(図7参照)は幅W1よりもわずかに短くなっているが、距離L2は、幅W1と同じであっても良いし、幅W1より長くても良い。
【0048】
シャッタ部材15は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。具体的には、シャッタ部材15は、搬送ローラ31およびパッドローラ34よりも前側に配置されている。本形態のシャッタ部材15は、左右方向を回転の軸方向として回転可能なローラである。このシャッタ部材15は、左右方向を軸方向として配置される軸81に回転可能に保持されている。軸81は、軸保持部材82の上端側に固定されている。軸保持部材82は、左右方向を軸方向としてカード挿入部4のフレームに固定される固定軸83に回動可能に保持されている。軸81、軸保持部材82および固定軸83は、搬送路5の下側に配置されている。なお、本形態のシャッタ部材15は、左右方向に3分割される3個のローラによって構成されている。3個のローラは、左右方向で互いに接触するように軸81に保持されている。
【0049】
シャッタ部材15は、固定軸83を中心に軸保持部材82と一緒に回動可能となっている。具体的には、シャッタ部材15は、搬送路5に配置されて搬送路5を閉鎖する第2閉鎖位置(図7に示す位置)と、搬送路5の下側に退避して搬送路5を開放する第2開放位置(図8に示す位置)との間で移動可能となっている。すなわち、シャッタ部材15は、搬送路5に出没可能となっている。軸保持部材82は、図示を省略するバネ(たとえば、ネジリコイルバネや引張りコイルバネ)等の付勢部材によって、シャッタ部材15が上昇する方向に付勢されている。すなわち、シャッタ部材15は、付勢部材によって第2閉鎖位置に向かって付勢されている。シャッタ部材15の上側には、第2閉鎖位置に向かって付勢されるシャッタ部材15の上端が当接する当接部材84が配置されており、第2閉鎖位置にあるときのシャッタ部材15の上端は、当接部材84の下面に当接している。当接部材84は、カード挿入部4のフレームに固定されており、搬送路5の上側に配置されている。
【0050】
カードリーダ1にカード2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材15は、軸保持部材82を付勢する付勢部材の付勢力で第2閉鎖位置に向かって付勢されており、搬送路5を閉鎖する第2閉鎖位置にある。この状態で、挿入口3から挿入されたカード2がシャッタ部材15に接触すると、シャッタ部材15は、付勢部材の付勢力に抗して下側へ退避して第2開放位置へ移動する。すなわち、シャッタ部材15は、第2開放位置にあるときに搬送路5の下側に退避している。第2開放位置にあるシャッタ部材15の上端は、カード2のおもて面または裏面に接触している。なお、第2閉鎖位置にあるシャッタ部材15では、シャッタ部材15の、軸81よりも上側の部分が搬送路5を閉鎖している。
【0051】
シャッタ部材15は、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合に、左右方向のどの位置でカード2が挿入されても、挿入されたカード2が接触する位置に配置されている(図11参照)。また、シャッタ部材15の幅(左右方向の幅)は、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合に、左右方向のどの位置でカード2が挿入されても、挿入されたカード2がシャッタ部材15に接触するように設定されている。そのため、カード2の短手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合だけでなく、カード2の長手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合であっても、第2閉鎖位置にあるシャッタ部材15は、第2開放位置へ移動する。なお、本形態では、シャッタ部材15の幅(左右方向の幅)は、搬送路5の幅(左右方向の幅)よりも狭くなっているが、シャッタ部材15の幅は、搬送路5の幅と同じであっても良いし、搬送路5の幅より広くても良い。
【0052】
また、カード挿入部4は、シャッタ部材15が第2開放位置へ移動したことを検知するためのシャッタ部材センサとしてのセンサ85を備えている。すなわち、カード挿入部4は、搬送路5へのシャッタ部材15の出没状態を検知するためのセンサ85を備えている。センサ85は、発光素子とこの発光素子からの光を受光する受光素子とを備える透過型の光学式センサである。軸保持部材82には、センサ85の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部82aが形成されている。
【0053】
シャッタ部材15が第2閉鎖位置にあるときには、図7に示すように、遮光部82aは、センサ85の発光素子と受光素子との間から外れている。一方、シャッタ部材15が第2開放位置にあるときには、図8に示すように、遮光部82aは、センサ85の発光素子と受光素子との間を遮っている。そのため、センサ85の発光素子から受光素子へ向かう光が遮光部82aによって遮られることで、挿入口3からカード2が挿入されて、シャッタ部材15が第2開放位置に移動したことが検知される。
【0054】
挿入検知機構16は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。具体的には、挿入検知機構16は、前後方向において、シャッタ部材15と略同じ位置に配置されている。より具体的には、前後方向において、後述のカード接触部88aがシャッタ部材15と略同じ位置に配置されている。この挿入検知機構16は、カード挿入部4の左右の両端側に配置され搬送路5に出没可能な2個の検知レバー88と、2個の検知レバー88のそれぞれの動きを検知する(すなわち、検知レバー88の搬送路5への出没状態を検知する)2個のセンサ89とを備えている。センサ89は、発光素子とこの発光素子からの光を受光する受光素子とを備える透過型の光学式センサである。
【0055】
検知レバー88は、搬送路5の左右両端側で搬送路5に出没してカード2の左右方向の両端のそれぞれに接触可能なカード接触部88aと、センサ89の発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部88bとを備えている。カード接触部88aの上側は、前後方向を軸方向としてカード挿入部4のフレームに固定される固定軸90(図12参照)に回動可能に保持されている。また、検知レバー88は、図示を省略するバネ等の付勢部材によって、カード接触部88aが左右方向の内側へ移動するように付勢されている。
【0056】
カードリーダ1にカード2が挿入される前の待機時には、この付勢部材の付勢力によって、カード接触部88aは、搬送路5内に配置されている。このときには、図12(A)に示すように、センサ89の発光素子と受光素子との間を遮光部88bが遮っている。この状態で、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されると、2個の検知レバー88のそれぞれに、カード2の左右両端のそれぞれが接触して、固定軸90を中心に検知レバー88が回動する。検知レバー88が回動すると、図12(B)に示すように、センサ89の発光素子と受光素子との間から遮光部88bが外れる。
【0057】
そのため、2個のセンサ89において発光素子からの光を受光素子が受光することで、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたことが検知される。なお、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されると、2個の検知レバー88のうちの一方の検知レバー88のみが回動して他方の検知レバー88が回動しないか、あるいは、2個の検知レバー88の両方が回動しない。そのため、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されると、2個のセンサ89のうちの一方のセンサ89においてのみ発光素子からの光を受光素子が受光するか、あるいは、2個のセンサ89の両方において発光素子からの光を受光素子が受光しない。
【0058】
磁気センサ17、18は、励磁コイルと、検出コイルと、励磁コイルおよび検出コイルが巻回されるコアとを備えるフラックスゲートセンサである。また、磁気センサ17、18は、互いに直交する3方向の磁気を感知する(すなわち、互いに直交する3方向を磁気検出方向とする)3軸磁気センサである。この磁気センサ17、18は、磁性体からの距離に応じたレベルの出力信号を出力する。具体的には、磁気センサ17、18と磁性体との距離が近くなるにしたがって磁気センサ17、18からの出力信号のレベルが高くなる。また、磁気センサ17と磁気センサ18とは、同一構造であり、その感度が等しくなるように調整されている。なお、磁気センサ17、18は、磁気インピーダンスを利用して磁気データを検出する磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)であっても良い。
【0059】
磁気センサ17、18は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。具体的には、磁気センサ17、18は、前後方向において、シャッタ部材15と略同じ位置に配置されている。また、磁気センサ17、18は、左右方向において、カード2が通過する位置に配置されている。具体的には、磁気センサ17、18は、搬送路5の右端側に配置されている。より具体的には、図12(B)に示すように、磁気センサ17、18は、カード2の短手方向が前後方向と一致するように挿入されたカード2のエンボス加工領域2cを避けた位置に配置されている。
【0060】
また、磁気センサ17、18は、挿入口3から挿入されたカード2を上下方向で挟むように配置されている。また、磁気センサ17、18は、上下方向から見たときに少なくともその一部が互いに重なるように配置されている。本形態では、上下方向から見たときに磁気センサ17と磁気センサ18とが完全に重なるように、磁気センサ17、18が配置されている。また、本形態では、磁気センサ17が搬送路5の上側に配置され、磁気センサ18が搬送路5の下側に配置されている。磁気センサ17は、感磁面が下側を向くように配置され、磁気センサ18は、感磁面が上側を向くように配置されている。
【0061】
さらに、磁気センサ17、18は、その磁気検出方向の1つが上下方向と平行になるように配置されている。また、磁気センサ17は、上下方向から見たときの残りの2つの磁気検出方向(図11の矢印D1、D2で示す方向)が前後方向に対して傾くように配置されている。同様に、磁気センサ18は、上下方向から見たときの残りの2つの磁気検出方向が前後方向に対して傾くように配置されている。具体的には、上下方向から見たときに、磁気センサ17、18の残りの2つの磁気検出方向は、前後方向および左右方向に対して約45°傾いている。また、上下方向から見たときに、磁気センサ17、18の残りの2つの磁気検出方向は、斜め前方向を向いている。なお、上下方向から見たときの、磁気センサ17、18の残りの2つの磁気検出方向の前後方向および左右方向に対する傾きは、45°以外であっても良い。
【0062】
また、磁気センサ17、18は、図13に示すように、挿入口3から挿入されたカード2のおもて面および裏面との間に隙間があくように配置されている。具体的には、挿入口3から挿入されたカード2の下面と磁気センサ17の下面との距離L11が、挿入口3から挿入されたカード2の下面と磁気センサ18の上面との距離L12よりも長くなり、かつ、挿入口3から挿入されたカード2の上面と磁気センサ17の下面との距離L13が、挿入口3から挿入されたカード2の上面と磁気センサ18の上面との距離L14よりも短くなるように、磁気センサ17、18が配置されている。
【0063】
そのため、カード2の短手方向が前後方向と一致するように、かつ、カード2の裏面を下側に向けた状態で、カード2が挿入口3から挿入されると、磁気センサ18から出力される出力信号のレベルが磁気センサ17から出力される出力信号のレベルよりも高くなる。一方、カード2の短手方向が前後方向と一致するように、かつ、カード2のおもて面を下側に向けた状態で、カード2が挿入口3から挿入されると、磁気センサ17からの出力信号のレベルが磁気センサ18からの出力信号のレベルよりも高くなる。したがって、磁気センサ17からの出力信号のレベルと磁気センサ18からの出力信号のレベルとを比較することで、カード2が裏面を下側に向けた状態で、挿入口3から挿入されたのか、それとも、カード2がおもて面を下側に向けた状態で、挿入口3から挿入されたのかが検知される。
【0064】
金属センサ19は、励磁用コイルと、検出用コイルと、励磁用コイルおよび検出用コイルが巻回されるコアとを備える磁気式のセンサである。この金属センサ19は、励磁用コイルが発生させる磁界の変化を検出用コイルで検出して金属部材を検知する。金属センサ19は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。具体的には、金属センサ19は、前後方向において、磁気センサ17、18よりもわずかに前側に配置されている。また、金属センサ19は、左右方向において、正しい姿勢で挿入されたカード2の端子部2bが通過する位置に配置されている。具体的には、金属センサ19は、搬送路5の左端側に配置されている。さらに、金属センサ19は、搬送路5の上側に配置されている。また、金属センサ19は、感磁面が下側を向くように配置されている。
【0065】
本形態では、カード2が裏面を下側に向けた状態で、カード2の短手方向における一端2d側から挿入されると、金属センサ19によってカード2の端子部2bが検知される。また、カード2がおもて面を下側に向けた状態で、カード2の短手方向における他端2e側から挿入されても、金属センサ19によってカード2の端子部2bが検知される。そのため、磁気センサ17、18での検知結果と金属センサ19での検知結果に基づいて、カード2の一端2d側からカード2が挿入されたのか、それとも、カード2の他端2e側からカード2が挿入されたのかが検知される。
【0066】
赤外線センサ20は、焦電型の赤外線センサであり、焦電効果によって赤外線を含む光を検知する焦電素子を備えている。この赤外線センサ20は、上述のように、カードリーダ1の前方の人間の動きを検知する。具体的には、赤外線センサ20は、カードリーダ1の前方の人間の手等の動きを検知する。また、赤外線センサ20は、カードリーダ1の前方の人間が発生する赤外線に基づいて、カードリーダ1の前方の人間の体温と赤外線センサ20の検知範囲内における人間の周囲の温度との差等を検知することで、カードリーダ1の前方の人間の動きを検知する。図1に示すように、赤外線センサ20は、カード挿入部4の前面側に配置されている。
【0067】
ケース体21は、透光性を有する樹脂材料で形成されている。具体的には、ケース体21は、透明な樹脂材料で形成されている。ケース体21の、シャッタ部材15の下側部分には、上下方向に貫通する開口部(図示省略)が形成されている。すなわち、ケース体21の、シャッタ部材15の下側部分には、カードリーダ1の外部へ通じる開口部が形成されている。この開口部は、たとえば、固定軸83を中心に回動する軸保持部材82の回動範囲に形成されており、軸保持部材82とケース体21との接触を防止する機能を果たしている。
【0068】
上述のように、挿入口3からカード2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材14は第1閉鎖位置にあり、搬送路5を閉鎖している。シャッタ駆動機構70は、磁気センサ17、18、金属センサ19、およびセンサ85、89での検知結果に基づいて、シャッタ部材14を駆動して、シャッタ部材14を第1開放位置へ移動させる。具体的には、センサ85での検知結果に基づいて挿入口3からカード2が挿入されたことが検知され、センサ89での検知結果に基づいてカード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたことが検知されるとともに、磁気センサ17、18および金属センサ19での検知結果に基づいて、端子部2bを有し磁気データが記録されたカード2が裏面を下側に向けた状態で、カード2の一端2d側から挿入されたことが検知されると、シャッタ駆動機構70は、シャッタ部材14を第1開放位置へ移動させる。すなわち、正規のカード2が正しい姿勢で挿入口3から挿入されたことが検知されると、シャッタ駆動機構70は、シャッタ部材14を第1開放位置へ移動させる。
【0069】
なお、正規のカード2が正しい姿勢で挿入口3から挿入されたことが検知されると、モータ39が起動して、カード2の一端2dが位置決め部材66の当接部66aに突き当たるまで、カード搬送機構6がカード2を奥側へ搬送する。また、その後、モータ53が起動し、磁気ヘッド7がカード2の磁気ストライプ2aに当接しながら左右方向へ移動して、磁気データの読取や記録を行う。また、ソレノイド63が起動し、カード2の端子部2bを構成する外部接続端子にIC接点バネ59を接触させてカード2との間でデータの通信を行う。本形態では、カード2の一端2dが当接部66aに突き当たると、シャッタ部材14の奥側にカード2の全体が取り込まれるようになっており、挿入口3から挿入されたカード2がシャッタ部材14の奥側に完全に取り込まれると、シャッタ部材14は、第1閉鎖位置に移動して、搬送路5を閉鎖する。
【0070】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、挿入口3の奥側にシャッタ部材14が配置されている。また、本形態では、カード2が挿入される前の待機時に、シャッタ部材14は第1閉鎖位置にあり、正規のカード2が正しい姿勢で挿入口3から挿入されたことが検知されると、シャッタ駆動機構70が、シャッタ部材14を第1開放位置へ移動させる。そのため、本形態では、正規のカード2以外のカードや誤った姿勢で挿入されたカード2がカードリーダ1の本体部37の中に取り込まれるのを防止したり、いたずら等を防止したりすることが可能になる。
【0071】
また、本形態では、シャッタ部材14よりも前側にシャッタ部材15が配置されている。このシャッタ部材15は、軸保持部材82を付勢する付勢部材によって第2閉鎖位置に向かって付勢されており、挿入口3から挿入されたカード2が接触すると、第2開放位置へ移動する。すなわち、本形態では、シャッタ部材15は、カード2が挿入されていないときに、付勢部材の付勢力で常時、搬送路5を閉鎖している。そのため、本形態では、シャッタ部材14がカード挿入部4の奥端に配置されて、シャッタ部材14と挿入口3との距離が長くなっていても、シャッタ部材14よりも前側に配置されるシャッタ部材15によって、カード挿入部4の内部へ塵埃や水等が入り込むのを抑制することが可能になる。具体的には、シャッタ部材15および当接部材84の奥側に塵埃や水等が入り込むのを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、カード挿入部4の内部に塵埃や水等が溜まるのを抑制することが可能になる。
【0072】
特に本形態では、ケース体21の、シャッタ部材15の下側部分に、カードリーダ1の外部へ通じる開口部が形成されているため、シャッタ部材15によってカード挿入部4の内部への侵入を遮られた塵埃や水等を開口部からカード挿入部4の外部へ排出することが可能になる。したがって、本形態では、カード挿入部4の内部に塵埃や水等が溜まるのを効果的に抑制することが可能になる。
【0073】
本形態では、シャッタ部材15は、軸保持部材82を付勢する付勢部材によって第2閉鎖位置に向かって付勢されており、挿入口3から挿入されたカード2が接触すると、第2開放位置へ移動する。そのため、本形態では、シャッタ部材15を駆動するための駆動機構を設ける必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0074】
本形態では、シャッタ部材15は、左右方向を回転の軸方向として回転可能なローラであり、カード2と接触しているときには、回転している。そのため、本形態では、シャッタ部材15とカード2とが接触しているときのカード2の搬送抵抗を低減することが可能になる。
【0075】
本形態では、カード挿入部4は、シャッタ部材15が第2開放位置へ移動したことを検知するためのセンサ85を備えており、シャッタ部材15を回転可能に保持する軸保持部材82に、センサ85の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部82aが形成されている。そのため、本形態では、シャッタ部材15、軸保持部材82およびセンサ85等を用いて、挿入口3からカード2が挿入されたことを検知することができる。
【0076】
本形態では、シャッタ部材15は、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合に、左右方向のどの位置でカード2が挿入されても、挿入されたカード2が接触する位置に配置されている。また、本形態では、シャッタ部材15の左右方向の幅は、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合に、左右方向のどの位置でカード2が挿入されても、挿入されたカード2がシャッタ部材15に接触するように設定されている。そのため、本形態では、上述のように、カード2の短手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合だけでなく、カード2の長手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合であっても、第2閉鎖位置にあるシャッタ部材15は、第2開放位置へ移動する。したがって、本形態では、カード2の短手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合だけでなく、カード2の長手方向と前後方向とが一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合であっても、シャッタ部材15、軸保持部材82およびセンサ85等を用いて、挿入口3からカード2が挿入されたことを検知することができる。
【0077】
本形態では、シャッタ部材14に、シャッタ部材14の閉鎖部14aの前面から前側へ突出する突出部材80が取り付けられている。また、本形態では、カード2の短手方向と前後方向とが一致するように挿入口3に挿入されたカード2の奥端が突出部材80のカード当接面80cに当接しているときに、挿入口3から突出するカード2の前端側をユーザが掴むことが可能なように、前後方向におけるカード当接面80cと挿入口3との距離L1が設定されている。そのため、本形態では、前後方向における挿入口3とシャッタ部材14との距離(具体的には、閉鎖部14aの前面と挿入口3との距離L2)を長くしても、閉鎖部14aが搬送路5を閉鎖している状態でカード2が挿入口3から無理やり差し込まれたときに、カード当接面80cにカード2を当接させることができ、また、カード当接面80cに当接しているカード2の前端部をユーザは掴むことができる。したがって、本形態では、前後方向における挿入口3とシャッタ部材14との距離を確保しても、閉鎖部14aが搬送路5を閉鎖している状態で無理やり差し込まれたカード2の前端部をユーザは掴むことができる。
【0078】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0079】
上述した形態では、シャッタ部材15は、左右方向に分割される3個のローラによって構成されている。この他にもたとえば、シャッタ部材15は、1個のローラによって構成されても良いし、左右方向に分割される2個のローラによって構成されても良い。また、シャッタ部材15は、左右方向に分割される4個以上のローラによって構成されても良い。また、上述した形態では、シャッタ部材15を構成する3個のローラは、左右方向で互いに接触するように軸81に保持されているが、シャッタ部材15を構成する3個のローラが左右方向に所定の隙間をあけた状態で軸81に保持されても良い。この場合には、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたときに、左右方向のどの位置でカード2が挿入されても、シャッタ部材15を構成する3個のローラの少なくとも1個のローラに挿入されたカード2が接触するように、ローラの幅が設定されるとともにローラが所定の位置に配置される。
【0080】
上述した形態では、シャッタ部材15は、左右方向を回転の軸方向として回転可能なローラである。この他にもたとえば、シャッタ部材15は、左右方向を揺動の軸方向として揺動可能なブロック状のガイド部材であっても良い。また、シャッタ部材15は、軸保持部材82に固定される、あるいは、軸保持部材82と一体で形成されるブロック状のガイド部材であっても良い。この場合には、シャッタ部材15は、たとえば、摺動性に優れる樹脂材料で形成される。
【0081】
上述した形態では、シャッタ部材15の上側に当接部材84が配置されている。この他にもたとえば、当接部材84に代えて、搬送路5を閉鎖する閉鎖位置と搬送路5を開放する開放位置との間で移動可能でかつバネ等の付勢部材によって下側に付勢されるシャッタ部材がシャッタ部材15の上側に配置されても良い。この場合には、たとえば、カード挿入部4は、このシャッタ部材が開放位置に移動したことを検知するためのセンサを備えている。ただし、シャッタ部材15の上側にシャッタ部材が配置される場合と比較して、シャッタ部材15の上側に当接部材84が配置されている方がカードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0082】
上述した形態では、第2開放位置にあるシャッタ部材15は、搬送路5の下側へ退避している。この他にもたとえば、第2開放位置にあるシャッタ部材15が搬送路5の上側へ退避しても良い。また、上述した形態では、第1開放位置にあるシャッタ部材14は、搬送路5の下側へ退避しているが、第1開放位置にあるシャッタ部材14が搬送路5の上側へ退避しても良い。
【0083】
上述した形態では、カード搬送機構6は、搬送ローラ31〜33およびパッドローラ34〜36等によって構成されている。この他にもたとえば、カード搬送機構6は、カード2の上面や下面に当接してカード2を搬送するベルト等によって構成されても良い。また、カード搬送機構6は、カード2を把持する把持機構およびこの把持機構を前後方向へ移動させる移動機構等によって構成されても良い。
【0084】
上述した形態では、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。この他にもたとえば、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。また、カード2には、ICチップが内蔵されていなくても良い。この場合には、カードリーダ1は、IC接点ブロック9および金属センサ19等を備えていなくても良い。また、この場合には、たとえば、磁気センサ17、18の検知タイミングとセンサ85および/またはセンサ89の検知タイミングとの差に基づいて、カード2の一端2d側からカード2が挿入されたのか、それとも、カード2の他端2e側からカード2が挿入されたのかを検知すれば良い。また、カードリーダ1は、磁気センサ17、18を備えていなくても良いし、センサ85を備えていなくても良い。
【0085】
上述した形態では、カード2の裏面に磁気ストライプ2aが形成されている。この他にもたとえば、カード2の裏面に代えて、あるいは、カード2の裏面に加えて、カード2のおもて面に磁気ストライプが形成されても良い。たとえば、JISX6302の規格に準拠した磁気ストライプがカード2のおもて面に形成されても良い。カード2のおもて面のみに磁気ストライプが形成される場合には、搬送路5の上側に磁気ヘッド7が配置される。また、磁気ストライプ2aに加えて、カード2のおもて面に磁気ストライプが形成される場合には、搬送路5の上側および下側の両方に磁気ヘッド7が配置される。
【符号の説明】
【0086】
1 カードリーダ
2 カード
3 挿入口
4 カード挿入部
5 搬送路
14 シャッタ部材(第1シャッタ部材)
15 シャッタ部材(第2シャッタ部材)
70 シャッタ駆動機構
80 突出部材
80c カード当接面
84 当接部材
85 センサ(シャッタ部材センサ)
L1 挿入口とカード当接面との距離
U カードの長手方向
V カードの短手方向
W1 カードの短手方向の幅
X カードの搬送方向
X1 カードの取込方向
Y 搬送路の幅方向
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13