(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着座シートが固定されるメインフレームの前端を前部フレームに、同メインフレームの中間部付近を後部フレームの前端に車体幅方向の第1および第2の折畳み軸によってそれぞれ連結するとともに、前記前部フレームと後部フレームとを連結するフレーム連結用リンクの両端部と前記第1および第2の折畳み軸とで四辺リンクを形成して車体を折り畳み可能に構成し、
前記前部フレームは、操作ハンドルのハンドル支軸を保持させる操舵軸保持部と、この操舵軸保持部から前記メインフレームの前端に向けて突設されて当該前端に前記第1の折畳み軸によって連結される連結部と、を備える一方、前記メインパイプの後端には手押し棒を回動可能に保持させる手押し棒保持部を備え、
前記操舵軸保持筒部および手押し棒保持筒部内に収容されて前記ハンドル支軸および手押し棒とそれぞれ一体に回動する第1および第2の操舵板と、
前記メインフレーム内を通して前後端が前記第1および第2の操舵板にそれぞれ連結されるとともに、前記第1の折畳み軸の付近に位置するジョイント部でそれぞれ屈曲可能と成した一対の連結ロッドと、を備えて、前記手押し棒によって前記操作ハンドルを操舵可能に構成してなる折畳み三輪車であって、
前記連結ロッドの前記ジョイント部の付近で当該ジョイント部の下降を防ぐ保持部材と、
前記第2の折畳み軸を中心にして前記後部フレームと一体に回動するロック板と、
前記メインフレームに軸支されて前記車体の折畳み状態と展開状態とで前記ロック板に係脱自在に係合して、当該車体の折畳み状態と展開状態を選択的にロックするロックレバーと、
前記ロック板とのロックを解除するように引き上げられる前記ロックレバーの引上げ操作端側から前記手押し棒に沿わせて上方に延設させるロック解除操作部材と、を備えていることを特徴とする折畳み三輪車。
前記ロック解除操作部材は、帯状または紐状に形成され、その一端側を前記着座シートの後部下方に位置する前記ロックレバーの引上げ操作端側に連結するとともに、他端側を前記手押し棒に沿って起立する前記着座シートの背凭れ部の上辺部付近に位置させて当該他端側に備えた指掛け操作環を引き上げることによって、前記ロックレバーの前記ロック板とのロックを解除するとともに背凭れ部または手押し棒を掴み引き上げて車体を折り畳めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載された折畳み三輪車。
前記手押し棒は、前記着座シートの背凭れ部の上辺部付近の上方に位置するヒンジ部から折り曲げ可能に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載された折畳み三輪車。
車体幅方向の支軸により後部フレームに回動腕杆を介して回動可能に軸着されて、前記着座シートの下方位置両側の使用位置と、車体後方の不使用格納位置にロック可能な補助ステップと、
前記回動腕杆の支軸に回動可能に取り付けられて前記補助ステップのロックを解除するロック解除板と、
車体を折り畳むときのフレーム連結用リンクの回動に連動して前記ロック解除板を回動させて前記補助ステップのロックを解除するロック解除用リンクと、を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された折畳み三輪車。
前記回動腕杆に、前記補助ステップの使用位置と不使用格納位置におけるロックを解除するためのロック解除操作部を備えられていることを特徴とする請求項4に記載された折畳み三輪車。
前記補助ステップは、足載せ部に足を保護する保護部材を備えているとともに、該保護部材を含めて前記足載せ部に確保される足載せスペースの長さが可変可能に形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載された折畳み三輪車。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る折畳み三輪車について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る折畳み三輪車の使用時の展開状態を示す縦断側面図であり、
図2および
図3は、同展開状態を斜め前方及び斜め後方から見たときの斜視図であり、
図4および
図5は、車体の拡大断面図である。
なお、本実施形態では、折畳み三輪車(以後、単に「三輪車」と称する)Aに乗る子供から見た方向に従い、
図2において、Frが車体1の前側、Rrが車体1の後側、Lが車体1の左側、Rが車体1の右側を示す。
【0017】
≪三輪車の構成≫
三輪車Aは、四辺リンクによって車体(車体フレーム)1が折畳み状態と展開状態(三輪車の使用時状態)に切り換え可能に構成されているとともに、車体1の後部に折り曲げ可能な手押し棒2を備えている。
また、三輪車Aは、車体前後方向のメインフレーム1a内を通して、操作ハンドル3のハンドル支軸3aを回動可能に保持させる車体前部の後記する操舵軸保持筒部12内と、手押し棒2を回動可能に保持させる車体後部の後記する手押し棒保持筒部24内にわたり連動機構が組込み内蔵されている。これにより、三輪車Aは、保護者が握る車体後部の手押し棒2によって走行を後押しつつ走行方向(前進方向)を操舵し得るように構成されている。
【0018】
車体1は、金属やその他の材料からなるパイプ材を用いてそれぞれ形成されている。この車体1は、
図1および
図4に示すように、着座シート4が取り付けられるメインフレーム(中間フレーム)1aと、前輪5が保持される前部フレーム1bと、後輪6が保持される後部フレーム1cとを備えて構成されている。
【0019】
メインフレーム1aは、車体1の前後方向に長く形成されて、その前端側に前部フレーム1bとの結合用の前端軸支板7を備え、中間部付近には後部フレーム1cとの結合用の中間軸支板8を備えている。
前端軸支板7は、後記の
図9に示すように、メインフレーム1aの前端外周両側面に固着により左右対を成すように前方突出状に備えられ、前部フレーム1bの後記する連結筒部13に第1の折畳み軸9によって回動可能に連結されるように形成されている。
【0020】
中間軸支板8は、
図4に示すように、インフレーム1aの中間部外周下面側に固着により左右対を成すように下向き突出状に備えられ、後部フレーム1cの前端側が第2の折畳み軸10によって回動可能に連結されるように形成されている。
【0021】
前部フレーム1bは、操作ハンドル3のハンドル支軸3aおよび前輪フォーク11のフォーク支軸11aを回動可能に保持させる操舵軸保持筒部12と、この操舵軸保持筒部12からメインフレーム1aの前端(前端軸支板7)に向けて突設させる連結筒部13とを備える側面視で略横向きT字状に形成されている。連結筒部13にはメインフレーム1aの前端軸支板7が車体幅方向の第1の折畳み軸9によって回動可能に連結される。
第1の折畳み軸9は、前部フレーム1bの連結筒部13の外周両側面に添設される左右の前端軸支板7を貫通して当該前端軸支板7を連結筒部13に回動可能に連結するものであるが、後記する
図9に示すように、左右に二分割されて、連結筒部13の内部を車体幅方向に横断しない軸着構造にて左右の前端軸支板7(メインフレーム1aの前端)を連結筒部13に回動可能に連結するように形成されている。これにより、連動機構を構成する後記の第1および第2の操舵板38,39に前後端が連結される一対の連結ロッド40a、40bを、メインフレーム1a内を通して第1および第2の操舵板38,39間にわたり組込み内設し得るようにしている。
【0022】
後部フレーム1cは、メインフレーム1aの中間軸支板8に車体幅方向の第2の折畳み軸10によって回動可能に連結される前端側から車体1の後方に向けて左右に広がりながら斜め下方に延出するように形成された左右一対の2部材からなる。左右の後部フレーム1cの前端側はクロスパイプ14によって所定の間隔(メインフレーム1aの外径に相当する間隔)をあけて平行に固着されており、左右の後輪6が取り付けられる後端側は車軸保護パイプ15によって固着されている。
【0023】
そして、前部フレーム1bと後部フレーム1cとの間をフレーム連結用リンク16によって連結することで、フレーム連結用リンク16の両端部の軸着部P1,P2と第1および第2の折畳み軸9,10の軸着部P3,P4とで四辺リンクが形成されて車体1を後記の
図17の(a)に示す展開状態と同図の(d)に示す折畳み状態とに切り換え可能に構成している。
【0024】
フレーム連結用リンク16は、金属棒材などから所定の長さに形成された左右一対の2部材からなる。このフレーム連結リンク16の前端側は、
図3および
図4に示すように、前部フレーム1bの連結筒部13から下向きに突出する連結板13aによって両側から挟み込まれるように当該連結板13aに回動可能に連結される。一方、フレーム連結用リンク16の後端側は、後記の
図10に示すように、平面視で略外向きL字状に折り曲げ形成されており、このL字折曲端をメインフレーム1aに対する第2の折畳み軸10による軸着部P4よりも車体後方に位置する左右の後部フレーム1cにそれぞれ回動可能に掛止させた状態で連結される。
【0025】
以上詳述のように、フレーム連結用リンク16の両端部の軸着部P1,P2と第1および第2の折畳み軸9,10の軸着部P3,P4とで形成される四辺リンクによって折畳み・展開可能に構成された三輪車Aの車体1によれば、車体1を展開状態から折畳み状態に円滑な折り畳み操作でコンパクトに折り畳むことができ、また、折畳み状態から子供が乗る展開状態(使用状態)に速やかに切り換えることができる。
【0026】
そして、本実施例では、四辺リンクによって折畳み・展開可能に構成された車体1を展開状態と折畳み状態とに維持するためにそれら状態を選択的にロックするロック機構を備えている。
【0027】
≪ロック機構の構成≫
図6は、ロックレバーの一例並びに車体の一部を示す斜視図である。ここでは、
図1、
図4および
図5を適宜参照しながら説明する。
ロック機構は、後部フレーム1c側に備えられるロック板17と、メインフレーム1a側に備えられるロックレバー18と、メインフレーム1aの外周下面側に備えられてロックレバー18をロック板17の方向に常時付勢する弾発部材19とから構成されている。
【0028】
ロック板17は、三輪車Aが使用される車体1の展開状態においてロックレバー18が係脱可能に係合するロック溝17aと、車体1の折畳み状態(展開状態から折り畳まれたとき)においてロックレバー18が係脱可能に係合するロック溝17bを備えている。このロック板17は、左右の後部フレーム1cのうち、一方の後部フレーム1cの内側に固着されて第2の折畳み軸10を中心にして後部フレーム1cと一体に回動するようになっている。
【0029】
ロックレバー18は、所定の長さを有する金属棒材などを用いて、
図1および
図4に示すように、メインフレーム1aを上下に貫通させるように下向きに屈曲させた短尺杆部18aと、車体1の後方に向けて延出する長尺杆部18bとから側面視で横向きの略L字状に形成されている。このロックレバー18は、短尺杆部18aと長尺杆部18bとの連設屈曲部分を、
図4および
図6に示すように、メインフレーム1aの中間部付近の外周上面に突出する支持部20に回動可能に軸着されてメインフレーム1a側に備えられる。
そして、ロックレバー18は、メインフレーム1aの外周下面より貫通突出する短尺杆部18aの解放端側を車体幅方向に屈曲させて当該屈曲端部がロック板17のロック溝17aまたは17bに対して選択的に係合するようにしている。
また、ロックレバー18の長尺杆部18bの解放端側は、メインフレーム1aに取り付けられる着座シート4の下部後方(メインフレーム1aの後端に固着される手押し棒保持筒部24側)に向けて延出させて、当該解放端側を車体幅方向に屈曲させてロック板17とのロックを解除するように上方に引き上げられる引上げ操作端としてなる。
【0030】
弾発部材19は、ロックレバー18の短尺杆部18a側をロック板17方向に向けて常時付勢するものであり、バネ材19aと、このバネ材19aと短尺杆部18aとの間に介装される押圧ロッド19bとから構成されている。弾発部材19は、メインフレーム1aの外周下面側のフレーム内側に取り付けられる一端閉塞の筒状ケース21に組み込み装填されて、ロックレバー18の短尺杆部18a側をロック板17のロック溝17a,17bとの係合方向に常時付勢するようにしている。
これにより、例えば、車体1の展開状態においてロックレバー18の引上げ操作端側を上方に引き上げてロック板17とのロックを解除して車体1の折畳み操作が完了する直前か、完了した時点でロックレバー18の引上げ操作端側の引き上げ状態を放す。すると、弾発部材19によって常時ロック板17方向に付勢されているロックレバー18の短尺杆部18aはロック板17のロック溝17b側に自動的に係合する。つまり、車体1の折畳み状態を維持するロックが、折畳み操作が完了した時点で弾発部材19によって自動的に行われる。
【0031】
そして、本実施例では、以上詳述のように、四辺リンクによって車体1が折り畳み・展開可能で、かつ、車体1の展開状態と折畳み状態とを選択的にロックするロック機構を備えて構成されている三輪車Aにおいて、着座シート4の下部後方に位置するロックレバー18の引上げ操作端側から手押し棒2に沿わせて上方に延設させたロック解除操作部材21を備えている。
【0032】
≪ロック解除操作部材の構成≫
図7は、ロック解除操作部材をロックレバーとともに示す斜視図である。ここでは、
図4および
図5を適宜参照しながら説明する。
ロック解除操作部材21は、ロック板17とのロックを解除するときのロックレバー18の引上げ操作端側の引き上げ操作を、手押し棒2に沿って起立する着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近か、それよりも上方位置において行うことができるように延設される延長操作部である。
このロック解除操作部材21は、適度の可撓性を有する材料を用いて、例えば、
図7に示すように、帯状に形成されている。ロック解除操作部材21は、
図4および
図5に示すように、その一端側をロックレバー18の長尺杆部18bの引上げ操作端(車体幅方向屈曲端)側に連結具22によって連結するとともに、他端側を手押し棒2に沿わせた着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近に位置させて当該他端側に指掛け操作環23を備えた形態に形成されている。これにより、指掛け操作環23に指を掛けて上方に引き上げることによってロックレバー18のロック板17とのロックが解除されるようになっている。
【0033】
指掛け操作環23は、ロック解除操舵部材21の他端側に連結されて着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近に位置して配されるものであるが、車体の展開状態においてロック板17とのロックを解除する際のロックレバー18の引上げ操作端側の引き上げ移動量分だけ手押し棒2の後記するヒンジ部35から下方位置とすることが好ましいものである。
つまり、車体1を展開状態からロック板17とのロックを解除して折り畳むときに、指を掛けて引き上げられた指掛け操作環23が手押し棒2のヒンジ部の高さ位置まで移動するようにすることが好ましい。これにより、指掛け操作環23に指を掛けて引き上げる片手でヒンジ部35を掴み手押し棒2を引き上げて車体1を折り畳むことができる。
なお、ロック解除操作部材21の他端側は、
図1および
図4に示すように、着座シート4の背凭れ部4aの背面上部側に位置して手押し棒2に取り付けられるガイド部材24によって上下に移動(摺動)し得るように支持されている。これにより、ロック解除操作部材21の他端側は、背凭れ部4aと手押し棒2との間において手押し棒2に沿って背凭れ部4aの上辺部付近の上方に位置して支持されて指掛け操作環23を備える。
【0034】
≪操舵軸保持筒部および手押し棒保持筒部の構成≫
つぎに、操作ハンドル3のハンドル支軸3aおよび前輪フォーク11のフォーク支軸11aを回動可能に保持する操舵軸保持筒部12と手押し棒2を回動可能に保持する手押し棒保持筒部24について説明する。ここでは、
図4を適宜参照しながら説明する。
まず、操舵軸保持筒部12について説明する。
操舵軸保持筒部12は、
図4に示すように、回動筒体25を同軸上に内設している。この回動筒体25は、前輪フォーク11のフォーク支軸11aが同軸上に挿入される内径を有し、操舵軸保持筒部12の上下開口部に被嵌状に取り付けられて一部が筒内に挿設される上下のキャップ26,27によって回動可能に保持される。
【0035】
このように、操舵軸保持筒部12内に回動可能に内設されている回動筒体25に対し、下側のキャップ27から前輪フォーク11のフォーク支軸11aを挿入させて当該フォーク支軸1aに備えられている連結ピン28を回動筒体25の下向き開口の係合溝29に係合させることで、回動筒体25とフォーク支軸11aとが同軸一体となって回動するようにしている。
また、上側のキャップ26から突出するフォーク支軸11aに対し、操作ハンドル3のハンドル支軸3aを被嵌状に取り付けるとともに、径方向に貫通するピンやボルトなどによってハンドル支軸3aをフォーク支軸11aに連結することで、同両支軸3a、11aは一体に回動する。つまり、ハンドル支軸3aとフォーク支軸11aは同軸一体に連結されて回動筒体25によって操舵軸保持筒部12に回動可能に保持される。
【0036】
つぎに、手押し棒保持筒部24について説明する。
手押し棒保持筒部24は、
図4に示すように、車体1のメインフレーム1aの後端に溶接などによって一体に取り付けられて着座シート4の下部後方に位置する車体幅方向の略中央部位に配設されて、着座シート4の下部後方から車体後部の斜め上方に向けた状態で手押し棒2を保持する。
この手押し棒保持筒部24は、前記の操舵軸保持筒部12と同様に、上下のキャップ30,31によって回動可能に保持される回動筒体32を同軸上に内設している。回動筒体32は、手押し棒2の後記する下側杆部2bの細杆部2b−1を抜き差し自在に挿入保持し得る内径を有する。
【0037】
このように、手押し棒保持筒部24内に回動可能に保持されている回動筒体32に対し、上側のキャップ30から手押し棒2の下側杆部2bの細杆部2b−1を挿入させて当該細杆部2b−1の後記する連結ピン35を回動筒体32の上向き開口の係合溝33に係合させることで、回動筒体32と手押し棒2とが同軸一体となって回動するようにしている。
【0038】
なお、具体的な図示を省略しているが、手押し棒保持筒部24は、回動筒体32に挿入された手押し棒2の細杆部2b−1の抜け止めを図るための抜け止めロック機構を備えている。簡単に説明すると、手押し棒2の細杆部2b−1が回動筒体32に対する挿入限まで挿入されたところで、後記の
図8に示す細杆部2b−1のロック溝37にスライド係止せしめて抜け止めを図るロック板が、ロック溝37との係止方向にバネ材によって常時付勢された状態で軸芯と直交する方向にスライド可能に内設されている。そして、
図1、
図4および
図5に示されているロック解除釦34によってロック板をバネ材に抗してスライド後退させることで、ロック溝のロック板との係止(ロック)が解除され、細杆部2b−1を回動筒体32から引き抜いて手押し棒2を車体1から取り外すことができるようになっている。
【0039】
≪手押し棒の構成≫
図8は、手押し棒の一例を示す斜視図である。ここでは、
図1〜
図5を適宜参照しながら説明する。
手押し棒2は、金属やその他の材料からなるパイプを用いて、
図1〜
図3に示すように、着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近の上方に位置するヒンジ部35から折り曲げ可能に形成されている。この手押し棒2は、
図8に示すように、ヒンジ部35を介して折り曲げ可能に連結される上側杆部2aおよび下側杆部2bと、上側杆部2aの上端側に取り付けられる掴持部(操舵部)2cとを備えている。
また、手押し棒2は、
図4および
図5に示すように、下側杆部2bの下端側に車体後部の手押し棒保持筒部24内の回動筒体32に抜き差し自在に挿入保持させる細杆部2b−1を備えている。この細杆部2b−1には、回動筒体32に係合させて回動筒体32との回動一体化を図る連結ピン36を備えている。
連結ピン36は、
図4および
図5に示すように、回動筒体32の上端開口から筒方向に上部開口状に形成されている係合部33に係脱自在に係合することで、細杆部2b−1と回動筒体32の回動(操舵)方向の一体化を図る。
また、手押し棒2の細杆部2b−1の下端外周には、抜け止めロック機構のロック板が係脱自在に係止するロック溝37がリング状に形成されている。
【0040】
ヒンジ部35は、その具体的な図示を省略しているが、下側杆部2bに対して上側杆部2aが直線状となす手押し棒2の使用状態と、上側杆部2aを下側杆部2bに対して車体後方側に折り曲げた折曲状態とをそれぞれロック(維持)するためのロック機構が樹脂材などからなるヒンジケース内に内設されている。そして、各状態におけるロックの解除は、ヒンジケースより外部に突出させたロック解除釦をヒンジケース内部に押し込むなどの簡単な操作によって行うことができるようになっている。
【0041】
≪連動機構の構成≫
つぎに、メインフレーム1a内を通して、操作ハンドル3を回動可能に保持させる車体前部の操舵軸保持筒部12内と、手押し棒2を回動可能に保持させる車体後部の手押し棒保持筒部24内にわたり組み込み装着される連動機構について説明する。
図9は、連動機構が組み込み内設されている車体の一部を拡大して示す横断平面図である。ここでは、
図4および
図5を適宜参照しながら説明する。
連動機構は、車体前部の操舵軸保持筒部12および車体後部の手押し棒保持筒部24内に収容されてハンドル支軸3a(フォーク支軸11a)および手押し棒2の細杆部2b−1とそれぞれ一体に回動する第1および第2の操舵板38,39と、車体1のメインフレーム1a内を通して前後端が第1および第2の操舵板38,39にそれぞれ連結される一対の連結ロッド40a,40bとを備えて構成されている。
【0042】
第1および第2の操舵板38,39は、
図9に示すように、平面視で略小判型形状に形成されて操舵軸保持筒部12内および手押し棒保持筒部24内の回動筒体25,32の筒方向略中央部位の外周にそれぞれ固着される。また、第1および第2の操舵板38,39は、短辺両側の対称位置に長辺方向(長手方向)に長い連結長孔41,42をそれぞれ備えて、一対の連結ロッド40a、40bの前後端が差し込み掛止により連結されるようにしている。
【0043】
連結長孔41,42は、回動筒体25,32の軸芯を支点として一体に回動する第1および第2の操舵板38,39の長辺方向に長く形成されていることで、一対の連結ロッド40a、40bの回動筒体25,32の外周への接触を回避した状態で手押し棒2による前輪5の左右操舵角度を大きく設定することができるようにしている。つまり、
図9の(a)に示す車体1の直進走行の状態から手押し棒2を左右いずれかの方向に操舵させたとき、
図9の(b)に示すように、一対の連結ロッド40a、40bの前後端は、長孔41,42の長辺外側(回動筒体25,32の回動軸芯から離れる方向)へ移動する。
これにより、車体1の直進走行の状態と変わらぬ一対の連結ロッド40a、40bの平行間隔にて手押し棒2による前輪5の左右操舵角度を大きく設定することができる。換言すれば、一対の連結ロッド40a、40bを通すメインフレーム1aを必要以上に太くすることなく、車体1を構成することができる。
【0044】
一対の連結ロッド40a、40bは、操舵軸保持筒部12および手押し棒保持筒部24内の第1および第2の操舵板38,39にわたる長さに形成されているとともに、その前後端を下向きに直角とする略L字状に折り曲げている。これにより、前後端を第1および第2の操舵板38,39の連結長孔41,42に上方からそれぞれ差し込み掛止させて第1および第2の操舵板38,39に連結する連結形態を採用している。
【0045】
また、一対の連結ロッド40a、40bは、
図9に示すように、メインフレーム1a前端の前部フレーム1bの連結筒部13に対する軸着部P3(第1の折畳み軸9)の付近(軸線上)に位置するジョイント部43,44でそれぞれ上下方向に屈曲可能に形成されている。これにより、車体1を後記する
図17の(a)に示す展開状態から同図の(d)に示す折畳み状態に折り畳むときのメインフレーム1aの前端が、
図4および
図5に示すように、軸着部P3を支点にして屈曲する動きに追動して一対の連結ロッド40a、40bもジョイント部43,44より同屈曲方向に屈曲する動きを成すようにしている。
【0046】
そして、本実施例では、一対の連結ロッド40a、40bのジョイント部43,44が内在している前部フレーム1bの連結筒部13に保持部材45を装着してジョイント部43,44の下降を防ぐ対策を講じている。
【0047】
保持部材45は、連結筒部13内に内嵌めにて取り付けられる略キャップ形状に形成されているとともに、球面状の閉鎖端面部の中心部付近から胴部に至る範囲にて側面視で略横向きL字状に開口させた左右のガイド溝孔46を備えている。
このガイド溝孔46は、メインフレーム1a内における一対の連結ロッド40a、40bの間隔にて平行に開口されて車体1の展開状態において、ジョイント部43,44付近における一対の連結ロッド40a、40b部分を摺動可能に保持するように形成されている。これにより、車体1の展開状態において、一対の連結ロッド40a、40bのジョイント部43,44が下方へ折れ曲がるのを防いで、手押し棒2から操作ハンドル3に操舵力が確実に伝えられるようにしている。
【0048】
また、保持部材45は、車体1が展開状態から折り畳まれるときにメインフレーム1aの前端が、軸着部P3を支点にして屈曲するときの動きに追動して一対の連結ロッド40a、40bがジョイント部43,44より同屈曲方向に屈曲する動きを補助する役目を成す。これにより、車体1を折り畳むとき、一対の連結ロッド40a、40bがジョイント部43,44より屈曲する動きを円滑にして車体1を折り畳むことが可能になる。
【0049】
以上詳述のように、車体1のメインフレーム1a内を通す一対の連結ロッド40a、40bによって車体後部の手押し棒2と車体前部の操作ハンドル3のハンドル支軸3aとを連動させる構成の連動機構を備えた三輪車Aによれば、
図9の(a)に示す車体1の直進走行の状態から手押し棒2を左右いずれか、例えば
図9の(b)に示す左回り方向に操舵させると、手押し棒2の細杆部2b−1が一体に挿入連結されている手押し棒保持筒部24内の回動筒体32を介して第2の操舵板39が一体に回動する。第2の操舵板39の回動によって、
図9の(b)に示すように、一方の連結ロッド40aが車体1の前方に押し出され、他方の連結ロッド40bが車体1の後方に牽引される。すると、前輪フォーク11のフォーク支軸11aが一体に挿入連結されている操舵軸保持筒部12内の回動筒体25は、他方側の連結ロッド40bの後方への牽引方向に第1の操舵板38を介して一体に回動する。これにより、操作ハンドル3は、手押し棒2により保護者が操舵した方向と同じ左回り方向に操舵される。
このとき、一対の連結ロッド40a、40bは、ジョイント部43,44が保持部材45によって下から摺動可能に受け支えられていることで、ジョイント部43,44から不用意に下方へ折れ曲がることなく、手押し棒2の操舵方向に連動して車体1の前後方向に移動し、手押し棒2の操舵力を操作ハンドル3に確実に伝える。
【0050】
また、本実施形態に係る三輪車Aは、
図1および
図2に示すように、左右の補助ステップ47を備えている。この補助ステップ47は、着座シート4の下方位置両側の使用位置と車体後方の不使用格納位置にロック機構によって選択的にロックされるようになっている。
【0051】
≪補助ステップおよびステップロック機構の構成≫
図10は、補助ステップとステップロック機構並びに車体の一部を示す斜視図であり、
図11は、補助ステップを分解して示す斜視図であり、
図12は、同補助ステップの縦断側面図であり、
図13は、同補助ステップを不使用格納位置に回動格納させた状態を示す拡大側面図である。
左右の補助ステップ47は、後部フレーム1cのメインフレーム1aへの第2の折畳み軸10による軸着部P4付近に、回動腕杆48および車体幅方向のステップ保持杆49を介して回動可能に取り付けられて、着座シート4に座った子供が両足を載せる着座シート4の下方位置両側の使用位置と、車体後方の不使用格納位置に回動格納されるようになっている。
この補助ステップ47は、
図11および12図に示すように、足載せ部47aと、この足載せ部47aの前側(載せた足のつま先側)に前後スライド可能に取り付けられる保護部材47bとの2部材から構成されている。
【0052】
足載せ部47aは、略子供の足幅サイズ(靴サイズ)に合わせた大きさを有する平面視で略小判型形状に形成されている。そして、足載せ面47a−1における両側長辺側寄りに位置させて保護部材47bを前後スライド可能に取り付けるためのピン挿通孔52を備えている。
また、足載せ部47aは、足載せ面47a−1の前側短辺の両側から両側長辺に至る両側にスリット53を備えて、足載せ面47a−1の裏側に保護部材47bの後記するスライド連結片部54を前後スライド可能に取り付けるように形成されている。
【0053】
保護部材47bは、足幅にてつま先側を覆うように足載せ部47aに取り付けられるものであり、
図11および
図12に示すように、下面および後方開放の平面視で略コの字形状を呈する袋状に形成されている保護部47b−1の下面両側から後方に延設させたスライド連結片部54を備えている。そして、保護部材47bは、両側のスライド連結片部54に足載せ部47aのピン挿通孔52にリベットピン55などを用いたピン止めによって、前後スライド可能に取り付けるための連結長孔56を備えている。
【0054】
このように形成されている補助ステップ47によれば、
図13に示すように、車体後方の不使用格納位置に格納させときに、保護部材47bをスライド後退させて足載せ部47aの足載せスペースの長さを短く可変しておくことができる。換言すれば、車体後方の不使用格納位置に格納させた補助ステップ47と地面GLとの間隔を広くすることができる(
図13のL1<L2)。
これにより、前輪5の左右のペダル72を踏み込まずに、両足で地面を交互に蹴りながら子供が三輪車に乗る場合などに、車体1の後方に蹴り上げた足のかかとなどが補助ステップ47に当たることを防ぐことができる。
【0055】
つぎに、補助ステップ47を使用位置と不使用格納位置に選択的にロックするロック機構について説明する。
図14は、補助ステップのステップロック機構を概略的に示す拡大側面図であり、
図15は、同側面図の一部をさらに拡大して示す縦断側面図ある。
ステップロック機構は、
図10および
図14に示すように、後部フレーム1c側に備えられるステップ保持板60と、回動腕杆48側に備えられるロックピン61およびロック解除操作部62とから構成されている。
【0056】
ステップ保持板60は、左右の後部フレーム1cの外側に固着されて下向き突出状に取り付けられる。そして、左右のステップ保持板60のうち、一方側のステップ保持板60の下向き円弧外周には
図10に示すように、ロックピン61が係脱可能なロック溝60a,60bが形成されている。ロック溝60aは、補助ステップ47の使用位置においてロックピン61が係合する。ロック溝60bは、補助ステップ47を使用位置から不使用格納位置に回動させたときにロックピン61が係合する。
【0057】
ロックピン61は、ロック溝60a,60bを備えるステップ保持板60に軸着される一方側の回動腕杆48に組み込み装填されて、補助ステップ47の使用位置と不使用格納位置においてそれぞれのロック溝60a,60bに係合するように形成されている。
具体的に説明すると、
図10に示すように、扁平なパイプ材から成る回動腕杆48は、杆軸方向の上端側にロックピン61のピン突出長孔63を備え、下端側にロック解除操作部62の取付け長孔64を備えている。そして、上端側にロックピン61を側方突出状に備え、下端面側軸芯にバネ材65を同軸上に備えるピン保持部材66を回動腕杆48内に摺動可能に装填させるとともに、ロックピン61をピン突出長孔63から突出させることで、
図14に示すように、ロックピン61をバネ材65によってステップ保持板60の円弧外周方向に常時付勢させて当該外周のロック溝60a,60bに係脱可能に係合するようにしている。
【0058】
ロック解除操作部62は、保護者がピン保持部材66をバネ材65に抗して引き下げることで、ロックピン61のステップ保持板60に対するロックを解除(ロック溝60a,60bからロックピン61を離脱)するための手動用である。
このロック解除操作部62は、外表面に滑り止めを有し、保護者が親指と人差し指または親指と人差し指、中指で摘まむことができる程度の大きさを有する略筒状に形成されて回動腕杆48の外側に杆軸方向に移動可能に装着される。
具体的に説明すると、ロック解除操作部62は、ピン保持部材66の下端側を車体幅方向に貫通して回動腕杆48の両取付け長孔64から突出する止めネジ67によって回動腕杆48の外側に取り付けられて、取付け長孔64内で回動腕杆48の杆軸方向に移動可能に装着される。これにより、例えば、
図13に実線および
図15の(b)に二点鎖線で示すように、補助ステップ47を不使用格納位置に移動変位させるとき、ロック解除操作部62を摘まみバネ材65に抗して引き下げる操作によって、ロックピン61をステップ保持板60のロック溝60aから離脱させてステップ保持板60とのロックを解除することができる。
そして、ステップ保持板60とのロックを解除して回動腕杆48を回動させた後にロック解除操作部62を放すことで、ロックピン61はバネ材65によってステップ保持板60の方向に付勢される。これにより、補助ステップ47を不使用格納位置に移動変位させる位置まで回動腕杆48を回動させることで、
図15の(b)に二点鎖線で示すように、ロックピン61はロック溝60bに自動的に係合する。つまり、不使用格納位置に補助ステップ47を保持するロックが、格納操作が完了した時点で自動的に行われる。
【0059】
また、本実施形態に係る三輪車Aでは、ステップロック機構のステップ保持板60に対するロックピン61のロックの解除が車体1の折畳み操作に連動して自動的に行われるように構成してなる。ここでは、
図10、
図14および
図15を適宜参照しながら説明する。
すなわち、
図14および
図15に示すように、ステップロック機構は、回動腕杆48の上端側をステップ保持板60に軸着する車体幅方向の支軸(止めネジ)68に回動可能に取り付けられるロック解除板69を備えている。
このロック解除板69は、
図10および
図15に示すように、外周の一部にピン離脱爪部69aを有するカム形状に形成されて、ステップ保持板60に隣接して支軸68に回動可能に取り付けられる。そして、ロック解除板69は、
図10、
図14および
図15に示すように、外周から円周方向に延出させた連結腕片部69bをフレーム連結用リンク16の後端側(軸着部P2)に固着されて一体に回動するアーム70にロック解除用リンク71を介して連結させている。
【0060】
このように、ロックピン61のステップ保持板60に対するロックを車体1の折畳み操作に連動して解除するためのロック解除板69を備えた三輪車Aによれば、補助ステップ47が着座シート4の下方位置両側の使用位置にある車体1の展開状態から車体1を引き上げ折り畳むときのフレーム連結用リンク16と一体に回動するアーム70によってロック解除板69が同じ方向に回動する。ロック解除板69が回動すると、ロック解除板69のロック離脱爪片部69aが、ステップ保持板60のロック溝60aに係合しているロックピン61をバネ材65に抗して離脱方向に押してロック溝60aから離脱させる。すると、回動腕杆48は回動可能となって補助ステップ47を不使用格納位置に移動変位させる方向に回動する。
これにより、車体1を折り畳むとき、補助ステップ47が着座シート4の下方位置両側の使用位置にあったとしても、補助ステップ47が前輪5の左右のペダル72に接触するなどの折り畳み操作に邪魔になることが無く、前記詳述のように、四辺リンクによって車体1を円滑に折り畳むことができる。
【0061】
また、本実施形態に係る三輪車Aでは、
図1および
図2に示すように、着座シート4の背凭れ部4aの両側から車体1の前方に向けて張り出すように突設させた両側のサイドガード部80を備えている。
サイドガード部80は、前輪5の左右のペダル72を交互に踏みながら自力で走行する子供の上半身や保護者が手押し棒2により走行を補助しているときの子供の上半身が、左右に振られて着座シート4からずり落ちることを防ぐ役目を成すものである。
このサイドガード部80は、背凭れ部4aの上辺部の高さと略同じ高さにて車体1の前方に張り出すように形成されている。詳しくは、
図2に示すように、背凭れ部4aの上辺部との連設平面視形状が略半月形状を成すように、背凭れ部4aの両側から車体1の前方に向けて張り出すように形成されている。
【0062】
このように、背凭れ部4aの両側にサイドガード部80を備えている着座シート4によれば、前輪5のペダル72を交互に踏み込みながら自力で走行するときなどにおいて、ペダル72を踏み込んだ側に前輪5が振られて子供の体も前輪5が振られている方向に振られようとした場合、その動きはサイドガード部80によって保持(ガード)されて、着座シート4に対する着座姿勢の安定性が図られる。特に、上半身が左右に振れないように着座姿勢がサイドガード部80によって保持されることで、着座シート4からずり落ちることを防ぐことができる。
【0063】
また、本実施形態に係る三輪車Aでは、
図16に示すように、両側のサイドガード部80に取り付けられる補助ガード81をさらに備えている。
図16は、補助ガードを備えた本実施形態に係る折畳み三輪車の展開状態において手押し棒を折り曲げ畳んだ状態の平面図である。
補助ガード81は、着座シート4に座った子供の上半身を背凭れ部4aおよび両側のサイドガード部80によって囲繞状に包囲保護するためのである。この補助ガード81は、可撓性を有する材料からなる芯材の外側をウレタンやその他の軟質材料からなる被覆体にて被覆してなるベルト状に形成されている。そして、補助ガード81は、
図16に示すように、平面視で略半円形状(略C型形状)を呈する形態にて両端側が、両側のサイドガード部80の外側に位置して取付け部材82を介して着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0064】
取付け部材82は、補助ガード81の両端側にそれぞれ取り付けられる雄側部材82aと、着座シート4の両側のサイドガード部80にそれぞれ取り付けられる雌側部材82bとから構成されている。
雄側部材82aおよび雌側部材82bの具体的な構造について図示を省略しているが、雄側部材82aは、雌側部材82bに対してスライド自在に挿入連結されるように本体部の両側に凸条の係止部を備えている形態に形成されている。そして、雄側部材82aは、雌側部材82bに対してスライド挿入させて連結させたときに抜け止めを図る係止爪部を備えている。
この係止爪部は、雄側部材82aが雌側部材82bに対してスライド挿入されたとき、バネ材によって雌側部材82bに係脱自在に係止される。そして、雄側部材82aに備えられている係止解除部によって雌側部材82bとの係止が解除されるようになっている。
【0065】
一方、雌側部材82bは、雄側部材82aがスライド挿入により連結される本体部の両側に、雄側部材82aの係止部がスライド係止される凹条の係止溝を備えている。また、雌側部材82bは、雄側部材82aがスライド挿入されたときに、雄側部材82aの係止爪部が係脱自在に挿入係止される係止窓を備えている。
【0066】
このように形成されている取付け部材82によって着座シート4の両側のサイドガード部80にわたり取り付けられる補助ガード81によれば、子供が三輪車Aに乗るとき、三輪車Aから降りるときには、
図16に二点鎖線で示すように、補助ガード81の一端側を取り外すことで、その乗り降りに邪魔にならない。装着状態では、着座シート4に座った子供の上半身を背凭れ部4aおよび両側のサイドガード部80によって囲繞状に包囲保護することができる。
そして、子供の成長などによって補助ガード81を必要としなくなった場合には、両側のサイドガード部80から補助ガード81の両側を取り外して保管して置くことができる。
【0067】
また、本実施形態に係る三輪車Aでは、具体的な内部切換え機構について図示を省略しているが、
図1に示すように、前輪ホイールに備えられている切換え摘み81を、前輪ホイールの外面に表示されているフリー側位置とロック側位置に選択的に切り換えることで、ペダル駆動軸(クランク軸)が前輪5に対して空転状態(フリー回転)と固定状態(一体回転)に切り換わるようにしている。
つまり、子供がペダル72を交互にこぎながら自力で走行するときには前輪5に対してペダル駆動軸を固定状態に、一方、保護者が手押し棒2で走行を後押しするときや補助ステップ47を車体後方の不使用格納位置に格納させた状態で子供が両足で地面を蹴りながら自力走行するときなどには前輪5に対してペダル駆動軸を空転状態に選択的に切り換えることができるようにしている。この空転状態(路面に接地している前輪5のみが回転してペダル駆動軸は回転しない)への切り換えによって、子供の足に前輪5と一体に回転するペダル72が当たるなどによって思わぬ事態を引き起こさないようにしている。
【0068】
[作用説明]
つぎに、以上のように構成されている本実施形態に係る三輪車Aの使用について説明する。
図17は、車体の折畳みを段階的に示した動作説明である。ここでは、
図4および
図5、
図9を適宜参照しながら説明する。
まず、四辺リンクによって折り畳み・展開可能に構成された車体1の折畳み・展開を行う際の操作について、
図4および
図17の(a)に示す展開状態から同図の(d)に示す折畳み状態に車体1を折り畳む場合には、手押し棒2の上側杆部2aをヒンジ部35より下側杆部2bの後側に折り曲げ畳んだ後に、ヒンジ部35の下方で着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近にある指掛け操作環23に指を掛けてロック解除操作部材21を上方に引き上げる。すると着座シート4の下部後方に位置するロックレバー18の引上げ操作端が引き上げられ、ロックレバー18のロック板17とのロックが解除される。
【0069】
つぎに、指掛け操作環23を上方に引き上げた状態を維持して、当該指掛け操作環23に指を掛けた片手で手押し棒2のヒンジ部35を掴み手押し棒2によって車体1を上方に引き上げる。すると、車体1のメインフレーム1aが、
図17の(b)から同図の(d)に示すように、第1の折畳み軸9による前部フレーム1b(連結筒部13)との軸着部P3を支点に上方に回動立ち上げられるとともに、前部フレーム1bにフレーム連結用リンク16によって連結されている後部フレーム1cが、第2の折畳み軸10によるメインフレーム1aとの軸着部P4を支点に回動して前部フレーム1b(前輪5)側に引き寄せられるように立ち上げられる。
【0070】
これにより、メインフレーム1aが軸着部P3を支点に上方に回動立ち上げられると同時に、後輪6を地面GLに接地させた状態で後部フレーム1cも軸着部P4を支点に回動立ち上る動きによって、
図17の(d)に示すように、前輪5と後輪6とがともに地面GLに接地された状態で車体1は縦方向に折り畳まれる。このとき、メインフレーム1aに通されている一対の連結ロッド40a,40bは、前部フレーム1bに対するメインフレーム1aの軸着部P3付近に位置するジョイント部43,44よりメインフレーム1aの回動立ち上る動きに追動して屈曲される(
図4の状態から
図5の状態)。また、車体1の折畳み操作が完了する直前か、完了した時点で指掛け操作環23を放すことで、弾発部材19によってロック板17方向に付勢されているロックレバー18の短尺杆部18a側がロック溝17bに係合し、車体1の折畳み状態を自立で維持するロックが自動的に行われる。
また、このとき、補助ステップ47を車体1の使用位置にロックするステップ保持板60のロック溝60aに対するロックピン61の係合が、車体1を折り畳むときのフレーム連結用リンク16と一体に回動するアーム70によって同じ方向に回動するロック解除板69によって解除される。つまり、車体1を折り畳むときのフレーム連結用リンク16の回動が、アーム70、ロック解除用リンク71を介してロック解除板69に伝えられる。ロック解除板69が回動すると、ロック解除板69外周のピン離脱爪部69aが、ステップ保持板60のロック溝60aからロックピン61を押して離脱させる。これにより、補助ステップ47の回動腕杆48は回動可能となって補助ステップ47を不使用格納位置に移動変位させる方向に回動する。
【0071】
一方、
図17の(d)に示す折畳み状態から同図の(a)に示す展開状態に車体1を展開させる場合には、指掛け操作環23に指を掛けて引き上げた状態を保ち、当該指掛け操作環23に指を掛けた片手で手押し棒2のヒンジ部35を掴み手押し棒2を押し下げる。すると、車体1のメインフレーム1aが、第1の折畳み軸9による前部フレーム1bとの軸着部P3を支点に下方に戻されるとともに、前部フレーム1bにフレーム連結用リンク16によって連結されている後部フレーム1cが、第2の折畳み軸10によるメインフレーム1aとの軸着部P4を支点に前部フレーム1b(前輪5)から離れる車体後方に展開されることによって、車体1は展開状態に戻される。展開状態に戻された車体1は、弾発部材19による付勢によって自動的の行われるロックレバー18の短尺杆部18a側のロック板17のロック溝17aへの係合によるロックによって維持される。
【0072】
そして、展開状態での使用において、保護者は車体後部の手押し棒保持筒部24に抜き差し脱着可能に保持されている手押し棒2によって車体1を後押しつつ走行を手助けすることができる。また、手押し棒2を左右いずれかの方向に操舵させることで、メインフレーム1a内の一対の連結ロッド40a,40bを介して車体前部の操舵軸保持筒部12内の回動筒部25を回動させて操作ハンドル3(前輪フォーク11)を、
図9の(a)および(b)に示すように、手押し棒2による操舵方向と同じ方向に操舵して車体1の走行方向(進行方向)を変えることができる。このとき、一対の連結ロッド40a、40bのジョイント部43,44は、保持部材45によって下から摺動可能に受け支えられていることで、ジョイント部43,44から不用意に下方へ折れ曲がることなく、手押し棒2の操舵力を操作ハンドル3に確実に伝える。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る三輪車Aは、四辺リンクによって車体1をコンパクトで、自立折畳み状態に折り畳むことができる。このとき、ロックレバー18の引上げ操作端側から手押し棒2に沿って車体1の上方に延設させたロック解除操作部材21によって、ロックレバー18の引上げ操作端側を上方に引き上げてロック板17とのロックを解除することができるので、保護者は前屈みなどの煩わしい姿勢を取ることなく、車体1の展開状態を維持するロックを解除して車体1を折り畳むことができる。
【0074】
また、車体1を折り畳むとき、手押し棒2のヒンジ部35の下方で着座シート4の背凭れ部4aの上辺部付近に位置する指掛け操作環23に指を掛けて当該指掛け操作環23でロック解除操作部材21を引き上げてロックレバー18のロック板17とのロックを解除する操作と、手押し棒2のヒンジ部35を掴み引き上げて車体1を折り畳む操作とを連続させた一連の片手操作で行うことができる。また、片手操作で車体1を折畳み状態から展開させることができる。これにより、例えば、保護者が子供や手荷物などを一方の片手で抱きかかえているときなどにおいて、他方の片手で車体1を折り畳む、展開させることができるので、取扱い性に加えて利便性を格段に向上させた三輪車Aとすることができる。
【0075】
また、車体1の折畳み・展開操作に連動させて前部フレーム1bと後部フレーム1cとを連結するフレーム連結用リンク16と一体に回動するアーム70によってロック解除板69を回動させて、補助ステップ47の使用位置と不使用格納位置におけるロックを自動的に解除することができる。
また、補助ステップ47の使用位置と不使用格納位置におけるロックの解除を、回動腕杆48に備えたロック解除操作部62による手動操作によって行うことができる。これにより、補助ステップ47を使用する子供と使用しない子供が三輪車Aに乗るそれぞれの使用に応じて補助ステップ47を使用位置と不使用格納位置に選択的にロック、例えば、補助ステップ47を使用しない子供が三輪車Aに乗る場合には邪魔にならないように不使用格納位置に補助ステップ47を格納させておくことができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態の具体例を詳細に説明したが、前記詳述の実施形態は例示にすぎなく、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術事項には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計の変更などがあっても含まれる。
例えば、車体を折り畳むときのロック解除操作部材によるロックレバーのロック板とのロックの解除を、手押し棒の上側杆部をヒンジ部から折り曲げ畳むときの操作に連動させることができる。つまり、ロック解除操作部材の他端側を手押し棒の上側杆部や把持部などに掛脱可能に掛止させて置く。この場合、ロック解除操作部材が手押し棒から離脱することなく手押し棒に沿わせるためのガイド部材などを上側杆部の要所に備えることが望ましい。これにより、上側杆部を下側杆部の後方側に折り曲げ畳むときのヒンジ部の回動軸部を中心とする上側杆部の根元の回動(移動)によって、ロック解除操作部材が上方に引き上げてロックレバーのロック板とのロックを解除することができる。
【0077】
また、ロック解除操作部材は、帯状に限らず、ワイヤなどを含む紐状であってもよく、また、ロックレバーなどと同じく、棒状であってもよい。棒状に形成した場合には、一端側をロックレバーの引上げ操作端側に回動可能に連結するとともに、他端側を着座シートの背凭れ部の上辺部付近に位置させて指掛け操作環を備えることが好ましい。この場合、指掛け操作環を曲げ加工などによって、棒状ロック解除操作部材の上端側に一体に備えることができる。