特許第5964222号(P5964222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964222
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】交通情報受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20160721BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H04B1/16 M
   G01C21/26 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-267816(P2012-267816)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-116708(P2014-116708A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】駒場 勇人
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−282147(JP,A)
【文献】 特開2001−308732(JP,A)
【文献】 特開2008−306310(JP,A)
【文献】 特開平09−284153(JP,A)
【文献】 特開2007−116242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DAB放送を受信するDABチューナと、
DAB放送の電界強度が低下したときにDAB放送と同一内容のFM放送を受信するとともに、FM放送とは別に交通情報を受信するFMチューナと、
前記交通情報を受信したことを知らせる通知画面を表示部に表示する表示処理手段と、
を備え、前記表示処理手段は、前記交通情報の受信終了時に受信対象がFM放送の交通情報に切り替えられたときに、この切り替えられた交通情報に対応する前記通知画面を表示しないことを特徴とする交通情報受信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記交通情報の受信終了時にDAB放送に復帰する際に、DAB放送の電界強度が低下している場合に、このDAB放送に対応するFM放送に切り替えられ、その時点でFM放送の交通情報を受信したときに、前記表示処理手段は、この交通情報に対応する前記通知画面を表示しないことを特徴とする交通情報受信装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記FMチューナは、RDSデコーダを有し、
前記FMチューナは、RDSデコーダによって得られるRDSデータに含まれる前記交通情報を受信することを特徴とする交通情報受信装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記表示処理手段は、前記RDSデータに含まれるTAコードがオンのときに前記通知画面を表示することを特徴とする交通情報受信装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記DABチューナによってDAB放送を受信中に、前記FMチューナを用いて、前記DAB放送と同一内容のFM放送の探索と、前記交通情報の受信監視を行うことを特徴とする交通情報受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常番組受信中に優先的に交通情報を受信する交通情報受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つのチューナを備え、一方のチューナで一般放送を受信中に他方のチューナで同一内容の他の局を追尾し、常に受信状態のよい局を受信するネットワークフォロー機能と、交通情報受信要求時に追尾側チューナで交通情報局を検索し、その受信レベルが一定値以上のときに自動的に一般放送に代えて交通情報を受信するようにした車載用ラジオ受信機が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−247724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、DAB(Digital Audio Broadcasting)チューナとRDS(Radio Data System)チューナを備えることにより同様の番組受信や交通情報受信を行うことができるものがある。例えば、DABチューナを用いてDAB放送を受信中に放送波の電界強度が低下した場合に、同じ内容のFM放送に切り替えたり(FMリンク機能)、DABチューナを用いてDAB放送を受信中にRDSチューナで交通情報を受信して切り替えるとともに、交通情報を受信した旨の通知画面を表示することができる。
【0005】
ところで、RDSチューナでは、FMリンク機能を用いて受信する交通情報のほかに、RDSデータを用いて受信する交通情報があり、同じ交通情報でもわずかに配信時間が異なる場合がある。このため、RDSデータを用いて受信する交通情報と並行して通知画面を表示し、この交通情報の受信が終了した後に、FMリンク機能によって切り替えられた交通情報が終了しておらず、同じ内容の交通情報であるにもかかわらず通知画面が一時的に再度表示されてしまうことがある。この通知画面を見た利用者は、新たな交通情報を受信したと勘違いするおそれがあり、望ましくない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、交通情報の受信を知らせる通知画面の重複した表示を防止することができる交通情報受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の交通情報受信装置は、DAB放送を受信するDABチューナと、DAB放送の電界強度が低下したときにDAB放送と同一内容のFM放送を受信するとともに、FM放送とは別に交通情報を受信するFMチューナと、交通情報を受信したことを知らせる通知画面を表示部に表示する表示処理手段とを備え、表示処理手段は、交通情報の受信終了時に受信対象がFM放送の交通情報に切り替えられたときに、この切り替えられた交通情報に対応する通知画面を表示しない。これにより、FM放送の交通情報の受信タイミングと、FM放送とは別の交通情報の受信タイミングとがずれている場合であっても、通知画面の表示回数を1回とすることができ、通知画面の重複した表示を防止することができる。
【0008】
また、交通情報の受信終了時にDAB放送に復帰する際に、DAB放送の電界強度が低下している場合に、このDAB放送に対応するFM放送に切り替えられ、その時点でFM放送の交通情報を受信したときに、表示処理手段は、この交通情報に対応する通知画面を表示しないことが望ましい。これにより、交通情報受信終了時にDAB放送に切り替え、さらにFMリンク切替手段によってFM放送の交通情報に切り替えられた場合であっても、通知画面の重複した表示を防止することができる。
【0009】
また、上述したFMチューナは、RDSデコーダを有し、FMチューナは、RDSデコーダによって得られるRDSデータに含まれる交通情報を受信することが望ましい。また、上述した表示処理手段は、RDSデータに含まれるTAコードがオンのときに通知画面を表示することが望ましい。これにより、交通情報受信の有無を、容易かつ確実に知ることができる。
【0010】
また、上述したDABチューナによってDAB放送を受信中に、FMチューナを用いて、DAB放送と同一内容のFM放送の探索と、交通情報の受信監視を行うことが望ましい。これにより、交通情報以外のDAB放送を受信しながら確実に交通情報を受信することができるとともに、DAB放送の電界強度低下時に切り替えるFM放送を事前に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の交通情報受信装置の構成を示す図である。
図2】DAB放送信号のフレーム構成を示す図である。
図3】RDSデータの基本的ベースバンドコーディング構造の説明図である。
図4】DABチューナとFMチューナのそれぞれの受信内容の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態の交通情報受信装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の交通情報受信装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の交通情報受信装置は、DABチューナ20、FMチューナ40、出力処理部50、アンプ52、スピーカ54、主制御部60、表示部70、操作部80を備えている。この交通情報受信装置は車両に搭載されている。
【0013】
DABチューナ20は、変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いたマルチキャリア方式で放送されたデジタル放送信号(DAB放送信号)を受信して復調処理および復号化処理を行って音声データを再生する。例えば、このDABチューナ20は、フロントエンド(F/E)22、アナログ−デジタル変換器(A/D)24、デコーダ26を含んで構成されている。フロントエンド22は、アンテナ10を介して受信した放送信号を中間周波信号に変換する。アナログ−デジタル変換器24は、アナログの中間周波信号をデジタルデータ(中間周波データ)に変換する。デコーダ26は、中間周波データに対して復調処理と復号化処理を行ってサービス毎の音声データを生成する。
【0014】
なお、DABチューナ20では、フロントエンド22から出力される中間周波信号をデジタルデータに変換した後にデコーダ26で復調処理と復号化処理を行っているが、どの部分までをアナログ処理で行いどの部分からデジタル処理で行うかは適宜変更可能である。
【0015】
図2は、DAB放送信号のフレーム構成を示す図である。図2に示すように、フレームは、同期チャネル、ファースト・インフォメーション・チャネルFIC、メイン・サービス・チャネルMSCによって構成されている。
【0016】
同期チャネルは、NULLシンボルと位相基準シンボルPRS(Phase Reference Symbol)からなり、フレームの先頭部分を検出してフレーム同期をとるために用いられる。ファースト・インフォメーション・チャネルFICは、メイン・サービス・チャネルMSCの内容を説明する領域であり、時間/日付データ、サービス(番組)の配列データ、サービスのラベル(名称)、サービス識別コードSID(Service Identification Code)などが含まれる。複数個のFIG(ファースト・インフォメーション・グループ)がエネルギ拡散されて、所定の情報単位である1個のFIB(ファースト・インフォメーション・ブロック)を構成している。また、各FIBは、畳み込み符号化され、この畳み込み符号化された3個のFIBが1個のFICを構成している。メイン・サービス・チャネルMSCは、複数のサービスのそれぞれに対応する主に音楽データが含まれる。このメイン・サービス・チャネルMSCは、エネルギ拡散され、畳み込み符号化され、タイムインターリーブされた複数個のサブ・チャネル(SubCh)を含んでいる。
【0017】
FMチューナ40は、アンテナ30を介して受信したアナログ放送としてのFM放送信号とRDS放送信号を受信するためのものである。例えば、このFMチューナ40は、フロントエンド(F/E)42、復調部44、RDSデコーダ46を含んで構成されている。
【0018】
RDS放送は、19kHzのステレオパイロット信号の3次高調波である57kHzを副搬送波とし、フィルタリングおよび2相コード化された番組関連情報や交通情報関連等のデータを示すデータ信号により、副搬送波を振幅変調してラジオデータ(RDSデータ)とし、この振幅変調された副搬送波を主搬送波に周波数変調して放送している。
【0019】
図3は、RDSデータの基本的ベースバンドコーディング構造の説明図である。図3に示すように、RDSデータは、104ビットを1グループとするグループ単位で構成され、各グループはそれぞれ4ブロック(A、B、C、D)からなり、1ブロックは16ビットの情報語(m0〜m15)と10ビットの検査語およびオフセット語(C’0〜C’9)とから構成されている。
【0020】
ブロックAには、国名データや番組データからなるネットワークを示す番組識別コード(PIコード:Program Identification Code)が配置される。ブロックBには、交通情報番組を放送する交通情報放送局であることを示す交通情報放送局識別コード(TPコード:Traffic program Identification code)やこの交通情報にかかる放送番組が放送中であるか否かを示す交通アナウンス識別コード(TAコード:Traffic Announcement code)が配置される。ブロックCには、同一番組を放送しているネットワーク局群の各局の周波数に関するデータ、すなわち代替局周波数コード(AFデータ:Alternative Frequency code)が配置される。ブロックDには、放送局名やネットワーク名等の放送局名コード(PSデータ:Program Service code)が配置される。
【0021】
また、各グループは、その内容に応じてタイプ0〜15の16通りに区分され、さらに各タイプ(0〜15)に対応してそれぞれ2つのバージョン(A、B)が定義されており、これらの識別コードはブロックBに配置されている。
【0022】
フロントエンド42は、アンテナ30を介して受信した放送信号の中から所望の放送信号を抽出するとともに周波数変換を行ってこの放送波に対応する中間周波信号を生成する。復調部44は、入力される中間周波信号に基づいてFM復調処理およびステレオ復調処理を行う。FM復調された後のデータには、所定のメッセージデータを含むRDSデータが重畳されている。メッセージデータには、以下の内容が含まれる。
【0023】
(1)番組識別コード(PI)
(2)交通情報放送局識別コード(TPコード)
(3)交通アナウンス識別コード(TAコード)
復調部44によってステレオ復調された音声データは、出力処理部50に入力される。
【0024】
RDSデコーダ46は、復調部44によってFM復調されたデータに対して所定のデコード処理を行ってRDSデータを復元する。また、RDSデコーダ46は、RDSデータの誤りをブロック同期を取りながら検出し、その誤りを訂正する動作を行う。なお、通常は、RDSデータの誤り検出および訂正動作はRDSデータのデコード処理とは別であって、別の誤り検出・訂正部が備わっている。
【0025】
なお、FM放送信号に対応する各番組には番組識別コード(PIコード)が対応付けられており、上述したDAB放送信号に含まれるサービスと同一内容を有するFM放送の番組については、サービスに対応するサービス識別コードSIDとFM放送の番組に対応する番組識別コードPIとが同じ番号になっている。したがって、DAB放送のサービスと同一内容を有するFM放送の番組を探す場合には、サービス識別コードSIDと同じ値の番組識別コードPIを有する番組を検出すればよい。
【0026】
出力処理部50は、DABチューナ20およびFMチューナ40のそれぞれから出力される音声データが入力されており、出力対象となる音声データの切り替えや音量の可変制御、他の音(例えば操作音)の重ね合わせ処理等を行う。アンプ52は、出力処理部50から出力される音声データを増幅してスピーカ54から増幅後の音声を出力する。なお、実際には、出力処理部50における各種処理後の音声データをアナログの音声信号に変換する必要があるが、この変換処理は出力処理部50内で行ってもよいが、出力処理部50の後段にデジタル−アナログ変換器を設けて行うようにしてもよい。
【0027】
主制御部60は、交通情報受信装置全体の受信動作を制御するとともに交通情報の受信動作を制御する。このために、主制御部60は、FMリンク切替部62、TA監視部64、TA切替部66、テロップ表示処理部68を備えている。なお、通常の受信動作の制御に関する構成(受信対象となるサービスを選択する動作や受信中のサービスについて受信内容を表示する動作などに必要な構成)については図示が省略されている。
【0028】
FMリンク切替部62は、DABチューナ20にて受信中のサービスについて、このサービスのサービス識別コードSIDと同じ値のプログラム識別コードPIを有するFM放送の番組を検索したり、DAB放送の電界強度が低下したときに、同一内容のFM放送の番組に切り替える処理を行う。
【0029】
TA監視部64は、TAコードに基づいて交通情報番組の放送開始を監視する。TAコードがオンならば交通情報の放送番組が放送中であることを示している。なお、交通情報を放送する放送局であるか否かは、あらかじめ各放送局の放送波に含まれるTPコードを抽出して調査済みであり、この抽出された放送局についてのみTAコードのオン/オフを調べればよい。
【0030】
TA切替部66は、いずれかの放送局で交通情報の送信が開始されたときに、FMチューナ40をこの放送局に切り替える処理を行う。テロップ表示処理部68は、交通情報の受信タイミングに合わせて、交通情報を受信中であることを示す所定の通知画面を表示部70に表示する。テロップ表示処理部68が表示処理手段に対応する。具体的には、TAコードがオンのときに、メッセージ「TA−Information」を画面中央に含む通知画面が表示部70から表示される。なお、TAコードは、図3に示すブロックBに含まれ、繰り返し受信することができるが、本実施形態では、TAコードがオンになっても、この初回のオン情報は廃棄している。したがって、TAコードがオンになった2回目以降に通知画面が表示されることになる。
【0031】
表示部70は、交通情報受信装置の動作状態を示す動作画面や各種操作を行うための操作画面、交通情報を受信中であることを示す通知画面などを表示する。操作部80は、利用者が操作指示を行うためのものであり、各種の操作キーや操作つまみなどが含まれる。利用者による音量の変更指示や受信対象となるサービス(番組)の切替指示などが操作部80を用いて行われる。
【0032】
本実施形態の交通情報受信装置はこのような構成を有しており、次に、DABチューナ20を用いて通常番組(交通情報以外の番組)を受信中に、交通情報の放送が開始され、これを受信する動作について説明する。
【0033】
本実施形態の交通情報受信装置は、基本的に以下のように動作する。
・交通情報を受信していない場合には、DABチューナ20で通常番組を受信する。このとき、FMチューナ40では、DABチューナ20で受信中の通常番組と同一内容を有するFM放送(FMリンク局)を探す動作と、交通情報が放送される可能性のある受信周波数の検索(PIコードがオンになっている放送局の検索)が行われる。
・DABチューナ20を用いた受信動作中に受信中のDAB放送の電界強度が所定値(良好に番組内容を聴取可能なしきい値)よりも低下した場合には、FM放送に切り替える。
・RDSデータを用いた交通情報の放送が開始されると、優先的にこの交通情報を受信する。交通情報の放送開始は、TAコードがオンに切り替わったことで知ることができる。
・RDSデータを用いた交通情報の放送が終了すると、DABチューナ20による番組受信状態に自動的に復帰する。交通情報の放送終了は、TAコードがオフに切り替わったことで知ることができる。
・交通情報の受信を利用者に知らせる通知画面は、RDSデータを用いた交通情報を受信中(対応するTAコードがオン)の場合と、FM放送の交通情報を受信中(対応するTAコードがオン)の場合のいずれにも対応して表示される。
【0034】
図4は、DABチューナ20とFMチューナ30のそれぞれの受信内容の具体例を示す図である。図4において、「DAB」はDABチューナ20の受信内容を、「FMリンク」はFMチューナ40を用いて受信されるFM放送であって、FMリンク機能によりDAB放送と同一内容を受信しているFM放送の受信内容を、「RDS TA局」はRDSデコーダ46から出力されるRDSデータに含まれる交通情報の受信内容をそれぞれ示している。また、「通常」は通常番組を受信している状態を、「交通」は交通情報を受信している状態をそれぞれ示している。さらに、「TAオフ」がTAコードがオフの状態を、「TAオン」はTAコードがオンの状態をそれぞれ示している。
【0035】
(1)最初に、DABチューナ20を用いて通常番組が受信されている。この通常番組と同じ内容の番組(FMリンク局)は、FMチューナ40でも受信されている。
【0036】
(2)この状態でTAコードがオンになると、TA監視部64はこれを検出する。また、TA切替部66は、受信対象の番組を、放送が開始された交通情報に変更する。以後、出力処理部50からはRDSデータを用いた交通情報の音声データが出力される。
【0037】
(3)交通情報の放送が終了してTAコードがオフになると、TA監視部64はこれを検出し、DABチューナ20による受信状態に復帰する。このとき、DAB放送の電界強度が低下しているため、自動的にFM放送に切り替わる。この時点では、FM放送の交通情報は終了していない。本来は、RDSデータを用いた交通情報と内容が同じであり、この交通情報と同時に終了するはずであるが、交通情報の終了時点あるいはTAコードがオフになるタイミングのみが若干遅くなることが確かめられている。しかし、本実施形態では、FMリンク局に切り替わってTAコードがオンになっても、1回目のTAコード:オンは廃棄されるため、テロップ表示処理部68は、直ちに通知画面の表示は行わない。
【0038】
このように、本実施形態の交通情報受信装置では、FM放送の交通情報(FMリンク局)の受信タイミングと、FM放送とは別の交通情報(TA局)の受信タイミングとがずれている場合であっても、通知画面の表示回数を1回とすることができ、通知画面の重複した表示を防止することができる。特に、図4に示したように、交通情報受信終了時にDAB放送に切り替え、さらにFM放送の交通情報に切り替えられた場合であっても、通知画面の重複した表示を防止することができる。
【0039】
また、DABチューナ20によってDAB放送を受信中に、FMチューナ40を用いて、DAB放送と同一内容のFM放送の探索と、交通情報の受信監視を行っており、交通情報以外のDAB放送を受信しながら確実に交通情報を受信することができるとともに、DAB放送の電界強度低下時に切り替えるFM放送を事前に知ることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、テロップ表示処理部68は、TAコードがオンになっても1回目のTAコードは廃棄して2回目以降のTAコードに対応して通知画面の表示を行っているが、廃棄対象となるTAコードの数は2回以上であってもよい。RDSデータを用いた交通情報の放送終了タイミングと、FM放送の交通情報の放送終了タイミングとがずれる長さを越えるように上記のTAコードを廃棄する回数を設定すればよい。また、回数で設定する代わりに、時間で設定してもよい。例えば、TAコードがオンになった後所定時間経過するまでは通知画面を表示しないようにしても同様の効果(通知画面の重複表示の防止)を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述したように、本発明によれば、FM放送の交通情報の受信タイミングと、FM放送とは別の交通情報の受信タイミングとがずれている場合であっても、通知画面の表示回数を1回とすることができ、通知画面の重複した表示を防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
10、30 アンテナ
20 DABチューナ
22、42 フロントエンド(F/E)
24 アナログ−デジタル変換器(A/D)
26 デコーダ
40 FMチューナ
44 復調部
46 RDSデコーダ
50 出力処理部
60 主制御部
62 FMリンク切替部
64 TA監視部
66 TA切替部
68 テロップ表示処理部
70 表示部
図1
図2
図3
図4