特許第5964224号(P5964224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964224
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】地熱発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03G 4/00 20060101AFI20160721BHJP
   F22B 3/00 20060101ALI20160721BHJP
   F24J 3/08 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F03G4/00 551
   F03G4/00 511
   F22B3/00
   F24J3/08
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-271886(P2012-271886)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118818(P2014-118818A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−086368(JP,U)
【文献】 特開昭60−169608(JP,A)
【文献】 実開昭59−082504(JP,U)
【文献】 特開昭58−187702(JP,A)
【文献】 特開昭58−088405(JP,A)
【文献】 特開昭63−105344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 4/00
F24J 3/08
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱により熱水を発生する生産井と、該熱水を地上まで導いて沸騰した状態の熱水から蒸気と分離させるセパレータと、分離された蒸気により作動するタービンと、該タービンに接続される発電機とを具備する地熱発電システムにおいて、
前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に介在されるデミスタ部を備え、
該デミスタ部は、前記セパレータからの分離蒸気に飛沫同伴する液滴・液膜を捕捉する捕捉手段と、該捕捉手段に捕捉された液滴・液膜を加熱して蒸発させる加熱手段と、
を備え
前記デミスタ部は、前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に着脱交換可能なデミスタ収容体に配設されている
ことを特徴とする地熱発電システム。
【請求項2】
地熱により熱水を発生する生産井と、該熱水を地上まで導いて沸騰した状態の熱水から蒸気と分離させるセパレータと、分離された蒸気により作動するタービンと、該タービンに接続される発電機とを具備する地熱発電システムにおいて、
前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に介在されるデミスタ部を備え、
該デミスタ部は、前記セパレータからの分離蒸気に飛沫同伴する液滴・液膜を捕捉する捕捉手段と、該捕捉手段に捕捉された液滴・液膜を加熱して蒸発させる加熱手段と、
を備え、
前記デミスタ部における加熱手段は、電熱線で一体化されたデミスタで構成されている
ことを特徴とする地熱発電システム。
【請求項3】
前記電熱線は、短絡しないように熱伝導性絶縁材で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の地熱発電システム。
【請求項4】
前記デミスタ部は、前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に着脱交換可能なデミスタ収容体に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の地熱発電システム。
【請求項5】
前記デミスタ収容体は、前記蒸気流路の軸直交方向に着脱交換可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は4に記載の地熱発電システム。
【請求項6】
前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に介在されるデミスタ部に、
該デミスタ部を迂回するバイパス流路を設けてなる、ことを特徴とする請求項1、及びのうち何れか一項に記載の地熱発電システム。
【請求項7】
前記セパレータから前記タービンに至る蒸気流路に、別異のデミスタ部を配設したデミスタ収容体を介在した蒸気流路を設けてなる、請求項1、及びのうち何れか一項に記載の地熱発電システム。
【請求項8】
前記デミスタ収容体は、蒸気流路中に位置して前記デミスタ部を配置した使用室と、
該使用室の外側にあって、それぞれ蒸気漏洩防止用遮断部材を介して連通する、使用前デミスタを収容する使用前デミスタ収容室と、
使用後デミスタを収容する使用後デミスタ収容室と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の地熱発電システム。
【請求項9】
前記デミスタ収容体は、蒸気配管を形成する管壁を回転中心として回転可能に設けられ、
前記デミスタ収容体の内部に使用前、使用後のデミスタを収容する収容室が画成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の地熱発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱源から得られた蒸発(熱エネルギー)を動力に変換するいわゆる地熱フラッシュ発電に関し、特には、地熱熱水等におけるスケール抑制が可能な地熱発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地熱発電システム1は、例えば図10に示すように、地下深部の熱源により熱水を発生する生産井2と、生産井2から地上まで導いて沸騰した熱水を、蒸気と分離させるセパレータ3を具備する。
また地熱発電システム1は、セパレータ3で分離された熱水を戻す還元井4と、分離された蒸気により回転するタービン5と、タービン5に接続の発電機6とを具備する。
さらに、地熱発電システム1は、タービン5を通過した蒸気を温水化する復水器7と、温水を冷却する冷却塔8とを具備する。
また、図11に地熱発電システム1に用いられるタービン5としての蒸気タービンの一例を示す。
この蒸気タービン5は、例えば、周知の軸流式蒸気タービンであり、ローターシャフト5a側に動翼5bとケーシング5c側に固定された静翼(ノズル)5dとが、多段的に交互に対向するように列設されている。ローターシャフト5aには、発電機6のロータが連結されている。セパレータ3からの蒸気は、蒸気入口から初段ノズル5dを通じて導入され、単段もしくは多段の動翼5b、静翼5d間を通過して蒸気排出口から放出され、動翼5bが回転してローターシャフト5aを回し、発電機6のロータを回して、電力を取り出すようになっている。
【0003】
ところで、生産井から噴出する高温の熱水は、井戸水や河川水よりもカルシウムや溶存シリカを多く含むため、炭酸カルシウムやシリカなどのスケールを析出しやすい。特に地上部では、熱水が地上部で温度降下することにより発生するシリカスケールを抑制することが課題である。
【0004】
これまでは、シリカスケールの抑制法として(1)硫酸注入法、(2)熱水をアルカリ性にする方法、(3)生産井内でカルシウムやマグネシウムを捕捉するキレート剤を併用することで、生産井内における炭酸カルシウムや硬石膏、マグネシウム珪酸塩の析出を抑制する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、地熱熱水はボイラ用水などと異なり、カルシウム濃度、溶存シリカ濃度が高いため、アルカリ領域においてはカルシウムとシリカが塩を作り、カルシウム珪酸塩水和物(以下、CSHと称す)が生成する。特に上記方法においては、アルカリ剤を注入する際、注入口付近でpHが局所的に大きくなるため、CSHスケールが析出するという未解決の課題がある。
【0006】
また特許文献1では、地熱熱水中の懸濁物質を回収するために、内部を部分的に区画し流路を設けたタンクに熱水を導入し、このタンクの上部に設けた容器にタンクからの横溢水を集水するとともに、タンクの下部に沈殿した物質を容器に送給し、かつこの容器内の熱水を蒸発させる一方、容器内の熱水の一部をタンクに返送するとしている。
この場合において、タンクに熱水を導入して所定時間滞留させて、熱水中の懸濁物質を沈降または浮上分離させ、これをタンクの下部または上部から沈殿した物質または横溢水の形態で容器に送り、この容器内の熱水を蒸発・濃縮するとともに、この濃縮された懸濁物質を熱水シードとしてタンクに返送し、地熱熱水中に含有するシリカ等の懸濁物質の結晶核成長促進およびまたは結晶粒数を増加させ、一層タンク内の懸濁物質の沈降または浮上分離を促すとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3303804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の手段では、地熱熱水を一旦、集水するタンク他、容器等、配管などの設備が必要であり、タービンまで蒸気を導くまでの熱水処理系統の複雑化を招き、設置スペースの拡大化、設備コストの上昇を招いている。
本発明は、以上のような課題を克服するために提案されたものであって、簡単に、且つ設備コストも嵩張らないデミスタ部を用いて、地熱熱水の蒸気中に同伴するミストを処理することで、蒸気からミストと共にカルシウム及びシリカを分離することで、スケールがタービンなどへ付着するのを防止して、タービンの出力を維持するとともに、メンテナンス性向上を図った、地熱発電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1では、地下深部の熱源により高温高圧の熱水を発生する生産井と、高温高圧の熱水を地上まで導いて沸騰した熱水を、蒸気と分離させるセパレータと、分離された蒸気により回転するタービンと、タービンに接続の発電機と、タービンを通過した蒸気を温水化する復水器と、温水を冷却する冷却塔とを具備する地熱発電システムにおいて、セパレータからタービンに至る蒸気流路に介在されるデミスタ部を備え、デミスタ部は、セパレータからの分離蒸気に飛沫同伴する液滴・液膜を捕捉する捕捉手段と、捕捉手段に捕捉された液滴・液膜を加熱して蒸発させる加熱手段と、を備え、デミスタ部は、セパレータからタービンに至る蒸気流路に着脱交換可能なデミスタ収容体に配設されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、セパレータからの分離蒸気に飛沫同伴する液滴・液膜は、デミスタ部における捕捉手段で捕捉され、捕捉された液滴・液膜は加熱手段により、蒸発させることができ、タービンへの蒸気を清浄化することができる。
また、これにより、液滴・液膜が捕捉されたデミスタに、通電によって蒸発した液滴・液膜が、スケールとなって生成されても、所定期間ごとにデミスタ収容体ごと交換して、新しいデミスタをセットすることができるので、簡単に復旧させることができ、メンテナンス性向上が期待できる。
【0011】
本発明にかかる請求項2では、デミスタ部における加熱手段は、電熱線で一体化されたデミスタで構成されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、デミスタにより捕捉された液滴・液膜は、通電によりデミスタが加熱されることで効率的に蒸発させることができる。
【0013】
本発明にかかる請求項3では、電熱線は、短絡しないように熱伝導性絶縁材で被覆されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、電熱線は短絡することなく、デミスタ全体が発熱し、捕捉されたミストを蒸発させることができる。
【0015】
本発明にかかる請求項4では、デミスタは、セパレータからタービンに至る蒸気流路に着脱交換可能なデミスタ収容体に配設されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、液滴・液膜が捕捉されたデミスタに、通電によって蒸発した液滴・液膜が、スケールとなって生成されても、所定期間ごとにデミスタ収容体ごと交換して、新しいデミスタをセットすることができるので、簡単に復旧させることができ、メンテナンス性向上が期待できる。
【0017】
本発明にかかる請求項5では、デミスタ収容体は、蒸気流路の軸直交方向に着脱交換可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、デミスタ収容体の着脱交換作業は容易となる。
【0019】
本発明にかかる請求項6では、セパレータからタービンに至る蒸気流路に介在されるデミスタ部に、デミスタ部を迂回するバイパス流路を設けてなる、ことを特徴とする。
【0020】
これにより、通常運転時には、デミスタ部の介在される蒸気流路を開ける。デミスタ部交換時には、バイパス流路を開けて、デミスタ部の介在される蒸気流路を閉じて、配管が冷めるのを待って交換作業を行うことができる。
【0021】
本発明にかかる請求項7では、セパレータからタービンに至る蒸気流路に、もう一つのデミスタ部を配設したデミスタ収容体を介在した蒸気流路を設けてなることを特徴とする。
【0022】
これにより、プラントを停止させることなく、安全にデミスタを取り換えることが可能となる。さらに、交換時でさえもデミスタによりミストを除去することができる。
もう一つのデミスタを配設したデミスタ収容体を設けることにより、コストは微増するが、タービンノズルへのスケール付着防止効果のメリットが大きい。
【0023】
また本発明にかかる請求項8では、デミスタ収容体は、蒸気流路中に位置してデミスタを配置した使用室と、使用室の外側にあって、それぞれ蒸気漏洩防止用遮断部材を介して連通する、使用前デミスタを収容する使用前デミスタ収容室と、使用後デミスタを収容する使用後デミスタ収容室と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
これにより、デミスタの交換は、プラントを停止させずに行うことができる。デミスタ収容体には、交換前、交換後のデミスタが収容され、バイパス流路を形成する配管は不要である。
【0025】
さらに本発明にかかる請求項9では、デミスタ収容体は、蒸気配管を形成する管壁を回転中心として回転可能に設けられ、デミスタ収容体の内部に使用前、使用後のデミスタを収容する収容室が画成されている、ことを特徴とする。
【0026】
これにより、一層、デミスタ部を単純化して省スペース化することができ、しかも、デミスタの交換は、プラントを停止させずに行うことができる。またバイパス流路を形成する配管は不要である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、デミスタを蒸気が通過する際、万遍なく、デミスタに蒸気中の液滴・液膜が捕捉され、加熱手段によって、捕捉された液滴・液膜が加熱されて効率的に蒸発させることができる。
また、デミスタを交換可能にすれば、蒸発した液滴・液膜が、スケールとなってデミスタに生成されても、所定期間ごとにデミスタ収容体ごと交換して、新しいデミスタをセットすることができるので、メンテナンス性向上が期待できる。
また、セパレータからタービンに至る蒸気流路に、もう一つのデミスタを配設したデミスタ収容体を介在した蒸気流路を設ける構成によれば、プラントを停止させることなく、安全にデミスタを取り換えることが可能となる。さらに、交換時でさえもデミスタによりミストを除去することができる。
もう一つのデミスタを配設したデミスタ収容体を設けることにより、コストは微増するが、タービンノズルへのスケール付着防止効果のメリットが大きい。
さらに、上記地熱発電システムを使用して地熱熱水のスケール発生を抑制する発電システムを構成することにより、配管や還元井内でのスケール析出を防ぐことができ、メンテナンス回数や還元井の浚渫回数を低減し、経済的に発電を行うことが可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明にかかる地熱発電システムの第1実施形態を示す、系統図である。
図2図1に示す地熱発電システムに用いられるデミスタ部の構成を示す、模式図である。
図3図2に示すデミスタ部に配設されるデミスタの一例を示した、概略模式図である。
図4図2に示すデミスタ部に配設されるデミスタの別例を示した、概略模式図である。
図5】本発明にかかる地熱発電システムの第2実施形態で用いられるデミスタ部の配置構成を示した、模式的配管構成図である。
図6】本発明にかかる地熱発電システムの第3実施形態で用いられるデミスタ部の配置構成を示した、模式的配管構成図である。
図7】本発明にかかる地熱発電システムの第4実施形態で用いられるデミスタ部の構成を示した、模式的断面図である。
図8】本発明にかかる地熱発電システムの第5実施形態で用いられるデミスタ部の構成を示した、模式的断面図である。
図9図8に示すデミスタ部の平面的断面説明図である。
図10】従来の地熱発電システムを示す、概略系統説明図である。
図11図10に示す地熱発電システムに用いられる蒸気タービンの一例を示した、要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる地熱発電システムの一実施形態を挙げ、添付の図面に基づいて説明する。
図1に、地熱発電システム10を示す。
この地熱発電システム10は、地下深部の熱源により高温高圧の熱水を発生する生産井11と、高温高圧の熱水を地上まで導いて沸騰した熱水を、蒸気と分離させるセパレータ12と、セパレータ12で分離された熱水を戻す還元井13と、分離された蒸気により回転するタービン14と、タービン14に接続の発電機15と、タービン14を通過した蒸気を温水化する復水器16と、温水を冷却する冷却塔17とを具備する。
【0030】
生産井11からセパレータ12へは、熱水取出し流路18を通じて熱水が取り出される。熱水取出し流路18には流量調節弁19が介在される。
【0031】
セパレータ12は例えばサイクロン型気水分離器であり、セパレータ容器上部側に蒸気、容器下部側に熱水を集めることで熱水から蒸気を分離するようにしている。セパレータ12で分離された蒸気は蒸気流路20を通じてタービン14に送り込まれるようになっている。ここで蒸気流路20中には、詳細は後述するが、本発明の主たる要旨であるデミスタ部21が介在されている。デミスタ部21は、セパレータ12で分離された蒸気に飛沫同伴する液滴・液膜(以下、ミスト)を捕捉して、加熱によってミストを蒸発する機能を有するものである。
なお、セパレータ12の容器下部側に集められた熱水は、還流路22を通じて還元井13に戻されるようになっている。
【0032】
タービン14は、周知の軸流式蒸気タービンであり、図示は省略するがローターシャフト側に動翼とケーシング側に固定された静翼とが、多段的に交互に対向するように列設されている。ローターシャフトには、発電機15のロータが連結されている。デミスタ部21からの蒸気は、蒸気入口から初段ノズルを通じて導入され、多段の動翼、静翼間を通過して蒸気排出口から放出され、動翼が回転してローターシャフトを回し、発電機15のロータを回して、電力を取り出すようになっている。
【0033】
復水器16は、タービン14を通過した蒸気を凝縮して温水化するもので、ここでは復水器16は、蒸気を凝縮するために後述する冷却塔17で冷却された水を用いるようにしている。
【0034】
そして冷却塔17には、復水器16からの温水が、復水流路23を通じて復水流路23に介在されるポンプ24により導入されるようになっている。
冷却塔17は、復水器16からの温水を、冷却塔17内で送風機25により強制的に送り込んだ外気と接触させて冷却するようにしている。このとき、復水は一部が蒸発することで、蒸発のための潜熱で温水は、さらに効果的に冷却される。
また、冷却塔17に充填剤を配設して復水を通過させることで、外気と接触させる時間を長くして冷却するようにしてもよい。
【0035】
以上のような地熱発電システム10において、用いられるデミスタ部21について実施形態を挙げ、詳細に説明する。
【0036】
(第1実施形態)
図2に第1実施形態にかかる地熱発電システム10に用いられるデミスタ部21を示す。
ここでのデミスタ部21は、セパレータ12からタービン14に至る蒸気流路20に、蒸気流路20の軸直交方向に着脱交換可能に配置されるデミスタ収容体26を備えている。この場合、デミスタ収容体26は、蒸気流路20を構成する蒸気配管27の上流側および下流側の端面に設けられた継手部27f、27fに継手部26f、26fを介して相互に当接し、締結部材Bでデミスタ収容体26を装着する構成としている。
そしてデミスタ収容体26内には、管断面全体に通路を遮蔽するように装着された、ミストの捕捉手段としてのデミスタ21mを有している。かかるデミスタ21mは、蒸気配管27の内部断面形状に対応した円形状か(図3参照)、非円形、例えば矩形状(図4参照)のものでもよい。
【0037】
デミスタ21mは、例えば、ミストの捕捉手段としての機能の他、加熱手段として機能させるために、熱伝導性絶縁材で被覆された電熱線を全体略均一な大きさの網目状に編みこんで構成されている。
電熱線は例えば通電することでジュール熱で発熱する例えばニクロム線が可能である。
そして、かかるデミスタ21mには、電力を供給するための電源部28が接続されるようになっている。
【0038】
以上のような構成のデミスタ部21を備えた地熱発電システム10において、地下深部の生産井11から熱水取出し流路18を通じて取り出された熱水は、沸騰し、セパレータ12において、蒸気と熱水に分離される。
セパレータ12で分離された蒸気は蒸気流路20を通じてタービン14に送り込まれる。なお、セパレータ12の容器下部側に集められた熱水は、還流路22を通じて還元井13に戻される。
【0039】
セパレータ12で分離された蒸気には、液滴・液膜が含まれ、ミストとして飛沫同伴し、デミスタ部21にもたらされる。
デミスタ部21において、蒸気がデミスタ21mを通過する際、デミスタ21mは、熱伝導性絶縁材で被覆された電熱線を全体略均一な大きさの網目状に編みこんで構成されているので、デミスタ21mにより蒸気中のミストが効果的に捕捉される。
次いで、デミスタ21mに対し、電源部28から電力が供給されると、デミスタ21mがジュール熱で発熱し、捕捉されたミストを効果的に蒸発させることができる。これにより、ミストが除去された蒸気をタービン14に送り込むことができる。したがって、蒸気がタービン14の蒸気入口から初段ノズルを通じて導入されても、これまでのように初段ノズルにスケールが形成されることはない。
【0040】
デミスタ部21からの蒸気が、蒸気入口から初段ノズルを通じて導入されると、多段の動翼、静翼を通過して蒸気排出口から放出され、動翼が回転してローターシャフトを回し、発電機15のロータを回して、電力を取り出すことができる。
【0041】
タービン14を通過した蒸気は復水器16において、冷却塔17で冷却された水と熱交換して蒸気が凝縮して温水化することができる。
次いで、復水器16からの温水は、復水流路23を通じて介在されるポンプ24により冷却塔17に導入される。
そして冷却塔17は、復水器16からの温水を、冷却塔17内で送風機25により強制的に送り込んだ外気と接触させて冷却することができる。このとき、復水は一部が蒸発することで、蒸発のための潜熱で温水は、さらに効果的に冷却される。
なお、冷却塔17に充填剤を配設して復水を通過させる方式においては、外気と接触させる時間を長くすることができ、温水を効果的に冷却することができる。
【0042】
以上、デミスタ部21を備えた地熱発電システム10について、一連の運転サイクルを説明した。
かかる運転サイクルが繰り返される中、タービン14にはスケールが生成されることはないが、デミスタ部21におけるデミスタ21mに捕捉されたミスト(液滴・液膜)が蒸発することで、ミストに含まれたカルシウムやケイ素などがスケールとなって蓄積される。
そこで、所定運転サイクルを経たところで、デミスタ21mを内蔵するデミスタ収容体26を締結部材Bを緩めて取り外し、新しいデミスタ21mが配設されたデミスタ収容体26を蒸気配管27に装着する。
これによって、デミスタ部21の機能は再びミストを除去する能力を回復することができ、簡単に通常の地熱発電システム10として発電運転を行うことができる。
このように、蒸発した液滴・液膜が、スケールとなってデミスタ部21に生成されても、所定期間ごとにデミスタ収容体26ごと交換して、新しいデミスタ部21をセットすることができるので、簡単に機能を回復することができ、メンテナンス性向上が大いに期待できる。
【0043】
本発明は、以下の第2実施形態のように実施することもできる。なお、第2実施形態においては、発明の要部であるデミスタ部21周囲を示し、説明する。
(第2実施形態)
図5に第2実施形態にかかる地熱発電システム10における、デミスタ部21の周囲構成を示す。
すなわち、第2実施形態における地熱発電システム10では、セパレータ12からタービン14に至る、デミスタ部21を介在した蒸気流路20に、デミスタ部21を迂回するように、バイパス流路29を分岐している。
この場合、デミスタ部21は、第1実施形態同様、デミスタ21mを内蔵するデミスタ収容体26を締結部材Bによって、蒸気流路20を構成する蒸気配管27に装着する構造となっている。かかるデミスタ部21を挟んで蒸気配管27の上流側および下流側には、それぞれ流路開閉用の開閉バルブ30、31が介在されている。
一方、バイパス流路29を構成するバイパス管32においても開閉バルブ33が配置されている。
【0044】
このような第2実施形態にかかる地熱発電システム10において、通常運転時には、デミスタ部21の介在される蒸気流路20である蒸気配管27を、蒸気配管27の上流側および下流側の開閉バルブ30、31をそれぞれ開けることで、セパレータ12からの蒸気を流すことができる。これにより、デミスタ部21のデミスタ21mにより、蒸気中のミストを捕捉して、電源部28からデミスタ21mに通電することで、捕捉されたミストを蒸発させることができる。
【0045】
一方、デミスタ部21の交換時には、バイパス流路29であるバイパス管32を、開閉バルブ33を開として開けると共に、デミスタ部21の介在される蒸気配管27を、蒸気配管27の上流側および下流側の開閉バルブ30、31をそれぞれ閉じて、デミスタ部21に流れる蒸気を遮断する。そして、蒸気配管27が冷めるのを待って、デミスタ21mを内蔵するデミスタ収容体26を、締結部材Bを緩めて取り外し、新しいデミスタ21mが配設されたデミスタ収容体26を蒸気配管27に装着することで交換作業を行うことができる。
【0046】
本発明は、以下の第3実施形態のように実施することもできる。なお、第3実施形態においても、発明の要部であるデミスタ部21周囲を示し、説明する。また、第1、第2実施形態において示される構成要素と同じ構成要素に対しては、同符号を付している。
(第3実施形態)
図6に第3実施形態にかかる地熱発電システム10における、デミスタ部21の周囲構成を示す。
すなわち、第3実施形態における地熱発電システム10では、セパレータ12からタービン14に至るデミスタ部21を介在した蒸気流路20に、もう一つのデミスタ部21を介在した蒸気流路20を分岐構成している。かかる分岐された蒸気流路20である蒸気配管27の上流側、下流側においても開閉バルブ30、31を配設している。
【0047】
以上のような第3実施形態にかかる地熱発電システム10によれば、容易に解るように、プラントを停止させることなく、安全にデミスタ部21を取り換えることが可能となる。さらに、交換時でさえもデミスタ部21によりミストを除去することができる。
このように、もう一つのデミスタ部21を配設したデミスタ収容体26を設けることにより、コストは微増するが、タービンノズルへのスケール付着防止効果のメリットが大きい。
【0048】
また、本発明は、以下の第4実施形態によっても実施することもできる。
なお、第4実施形態においても、発明の要部であるデミスタ部21周囲を示し、説明する。また、第1〜第3実施形態において示される構成要素と同じ構成要素に対しては、同符号を付している。
(第4実施形態)
図7に第4実施形態にかかる地熱発電システム10における、デミスタ部21の周囲構成を示す。
すなわち、第4実施形態における地熱発電システム10では、デミスタ収容体26は、蒸気流路20である蒸気配管27内に位置してデミスタ部21を配置した使用室26aと、使用室26aの外側にあって、それぞれ蒸気漏洩防止用遮断部材34を介して連通する、使用前デミスタ21mを収容する使用前デミスタ収容室26bと、使用後デミスタ21mを収容する使用後デミスタ収容室26cと、を備えている。
【0049】
デミスタ収容体26は、使用室26aと使用前デミスタ収容室26bと使用後デミスタ収容室26cとを、蒸気漏洩防止用遮断部材34によって、蒸気が使用室26aから漏洩しないように遮蔽されている。
蒸気漏洩防止用遮断部材34は、図示しない昇降動力機構により昇降可能に構成されている。
また、デミスタ収容体26は、使用前デミスタ収容室26bと使用後デミスタ収容室26cとが形成される位置には、それぞれ装入口、取出し口(いずれも図示省略)設けられる。
【0050】
以上のような第4実施形態にかかる地熱発電システム10によれば、デミスタ21mの交換は、プラントを停止させずに行うことができる。デミスタ収容体26には、交換前、交換後のデミスタ21mが収容され、しかもバイパス流路を形成する配管は不要である。
【0051】
また、本発明は、以下の第5実施形態によっても実施することもできる。
なお、第5実施形態は、第4実施形態の変形例を示している。
(第5実施形態)
図8に第5実施形態にかかる地熱発電システム10における、デミスタ部21の周囲構成を示す。
ここでのデミスタ部21のデミスタ収容体26は、蒸気配管27を形成する管壁を回転中心として回転可能に設けられている。
かかるデミスタ収容体26は、回転円筒体であり、内部に使用前、使用後のデミスタ21mを収容する同容積の収容室26sが画成されている。すなわちここでのデミスタ収容体26は、適宜な動力機構によりリボルバー式に回転可能に蒸気配管27に取り付けられている(図9参照)。
【0052】
このような構成により、一層、デミスタ部21を単純化して省スペース化することができ、しかも、第4実施形態同様、デミスタ21mの交換は、プラントを停止させずに行うことができる。またバイパス流路を形成する配管は不要である。
【0053】
以上、本発明によれば、デミスタを蒸気が通過する際、万遍なく、デミスタに蒸気中の液滴・液膜が捕捉され、加熱手段によって、捕捉された液滴・液膜が加熱されて効率的に蒸発させることができる。
また、デミスタ部を交換可能にすれば、蒸発した液滴・液膜が、スケールとなってデミスタに生成されても、所定期間ごとにデミスタ収容体ごと交換して、新しいデミスタをセットすることができるので、メンテナンス性向上が期待できる。
また、セパレータからタービンに至る蒸気流路に、もう一つのデミスタを配設したデミスタ収容体を介在した蒸気流路を設ける構成によれば、プラントを停止させることなく、安全にデミスタを取り換えることが可能となる。さらに、交換時でさえもデミスタによりミストを除去することができる。
さらにもう一つのデミスタを配設したデミスタ収容体を設けることにより、コストは微増するが、タービンノズルへのスケール付着防止効果のメリットが大きい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、様々な規模の、さらには、様々な方式の地熱発電システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 地熱発電システム
11 生産井
12 セパレータ
13 還元井
14 タービン
15 発電機
16 復水器
17 冷却塔
18 熱水取出し流路
19 流量調整弁
20 蒸気流路
21 デミスタ部
21mデミスタ
22 還流路
23 復水流路
24 ポンプ
25 送風機
26 デミスタ収容体
26a使用室
26b使用前デミスタ収容室
26c使用後デミスタ収容室
26f継手部
26s収容室
27 蒸気配管
27f継手部
28 電源部
B 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11