【文献】
高田敏則,蒸気の質の改善による省エネ・生産性・品質の向上,クリーンエネルギー,日本,2008年 7月10日,Vol.17, No.7,p.20-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記未知数演算部が、与えられた圧力を挟む2つの参照圧力の各々において、前記差分値算出部の算出した前記差分値とを挟む2つの比較差分値を前記関数テーブルの差分値から検索し、前記比較差分値に対応する前記未知数を読み出し、読み出した4つの未知数を補間し、与えられた前記圧力と前記変数とに対応した前記未知数を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気表値演算システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態による蒸気表値演算システムの構成例を示す概略ブロック図である。この第1の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを求める構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
【0023】
この
図1において、蒸気表値演算システムは、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3及びデータベース4を備えている。
本実施形態においては、温度値Trとエンタルピー値hが急激に変化する(後述する
図2において、飽和水エンタルピー値h’sから飽和蒸気エンタルピーhsに変化する)温度である特異点である飽和温度値Tsとの差分値ΔTに対応し、未知数としてのエンタルピーhの数値を示す関数を、上記データベース4に予め書き込んで記憶させている。
【0024】
次に、
図2は、圧力、温度及びエンタルピーの関係を示すグラフである。この
図2から判るように、飽和温度値Tsは圧力毎に異なっている。このため、本実施形態においては、圧力毎にエンタルピーhを求める関数を準備する。また、この圧力毎の関数として、飽和温度値Ts未満の温度値Trの領域に対応した第1関数f(ΔT)と、飽和温度値Tsを超える温度値Trの領域に対応した第2関数f(ΔT)とを設ける。ここで、第1関数は、圧力毎に設けられており、例えば、圧力P1の第1関数は飽和温度Ts1未満(第1区間)の温度Trに対応したエンタルピーhを算出する関数であり、一方、圧力P2の第1関数は飽和温度Ts未満の温度Trに対応したエンタルピーhを算出する関数である。また、第2関数は、第1関数と圧力毎に組として設けられており、例えば、圧力P1の第2関数は飽和温度Ts1を越える(第2区間)温度Trに対応したエンタルピーhを算出する関数であり、一方、圧力P2の第2関数は飽和温度Tsを越える温度Trに対応したエンタルピーhを算出する関数である。
【0025】
図1に戻り、差分値算出部1は、供給される温度値Trと、エンタルピーhが急激に変化する温度を特異点である飽和温度値Tsとの差分を算出して差分値ΔTを、以下の(1)式により求める。
Tr − Ts = ΔT …(1)
ここで、差分値算出部1は、圧力値毎の飽和温度値Tsを内部記憶部に予め書き込まれて記憶されており、供給される圧力値に対応した飽和温度値Tsにより、上記差分値ΔTを算出する。
【0026】
関数読出部2は、供給される圧力値と、差分値の正負とにより、データベース4からエンタルピー値hを算出する関数(第1関数及び第2関数)を抽出して読み出す。すなわち、関数読出部2は、圧力値に対応する第1関数及び第2関数の組を選択し、差分値ΔTが負の場合に第1関数を読み出し、差分値が正の場合に第2関数を読み出し、読み出した関数を未知数演算部3へ出力する。
【0027】
未知数演算部3は、関数読出部2が読み出した関数に対して差分値ΔTを代入し、未知数であるエンタルピー値hを算出する。
【0028】
また、データベース4には、各圧力値の飽和温度値Tsおけるエンタルピー値hを示す飽和値関数が記憶されている。
そして、供給された圧力値における温度値Trが飽和温度値Tsである場合、関数読出部2は、データベース4から飽和値関数を読み出し、この飽和値関数に対して圧力値を代入してエンタルピー値hを求める。
【0029】
上述した構成により、本実施形態によれば、圧力値毎において、第1の関数と第2の関数とは特異点を含まない簡易な構成とすることができ、特異点近傍であっても、それ以外の領域であっても同一の関数でかつ計算回数も1回とすることができ、エンタルピー値hを求めるために、従来のように飽和温度値Tsに対応した温度領域毎に、異なった回数の繰り返し計算を行うことがなくなる。
これにより、本実施形態によれば、計算回数の等時性を実現するとともに、計算回数を低減することができるため、エンタルピー値hの算出を高速化することができる。
【0030】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの
図1の構成と同様である。この第2の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
【0031】
本実施形態においては、飽和温度値Tsにてエンタルピー値hが急激に変化するため、飽和温度値Tsを特異点として、この特異点におけるエンタルピー値hである飽和蒸気エンタルピー値hsと、飽和水エンタルピー値h’sとを用い、未知数としての温度Trの数値を示す関数を、第1の実施形態と同様に、上記データベース4に予め書き込んで記憶させている。
【0032】
次に、
図2は、圧力、温度及びエンタルピーの関係を示すグラフである。この
図2から判るように、飽和温度値Tsは圧力毎に異なっている。このため、本実施形態においては、圧力毎に温度Trを求める関数を準備する。また、この圧力毎の関数として、飽和水エンタルピー値h’s未満のエンタルピー値hの領域に対応した第1関数f(Δh)と、飽和蒸気エンタルピー値hsを超えるエンタルピー値hの領域に対応した第2関数f(Δh)とを設ける。
【0033】
図1に戻り、差分値算出部1は、供給されるエンタルピー値hと、飽和温度値Tsを特異点とし、第1関数及び第2関数の計算に用いる差分値Δhを求める。ここで、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s未満の場合、以下に示す式で差分値Δhを算出する。
h − h’s = Δh
一方、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値hsを越える場合、以下に示す式で差分値Δhを算出する。
h − hs = Δh
ここで、差分値算出部1は、圧力値毎の飽和蒸気エンタルピー値hsあるいは飽和水エンタルピー値h’sが内部記憶部に予め書き込まれて記憶されており、供給される圧力値に対応した飽和蒸気エンタルピー値hs及び飽和水エンタルピー値h’sにより、上記差分値Δhを算出する。
【0034】
関数読出部2は、供給される圧力値Pと、差分値Δhの正負とにより、データベース4から温度を算出する関数を抽出して読み出す。すなわち、関数読出部2は、圧力値に対応する第1関数及び第2関数の組を選択し、差分値Δhが負の場合に第1関数を読み出し、差分値Δhが正の場合に第2関数を読み出し、読み出した関数を未知数演算部3へ出力する。
【0035】
未知数演算部3は、関数読出部2が読み出した関数に対して差分値Δhを代入し、未知数である温度値Trを算出する。
【0036】
また、データベース4には、各圧力値における飽和水エンタルピー値h’sから飽和蒸気エンタルピー値hsの範囲における温度値Tr(すなわち飽和温度値Ts)を示す飽和値関数が記憶されている。
そして、供給された圧力値におけるエンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’sから飽和蒸気エンタルピー値hsの間に含まれる場合、関数読出部2は、データベース4から飽和値関数を読み出し、この飽和値関数に対して圧力値を代入して温度値Trを求める。
【0037】
上述した構成により、本実施形態によれば、圧力値毎において、第1の関数と第2の関数とは特異点を含まない簡易な構成とすることができ、特異点近傍であっても、それ以外の領域であっても同一の関数でかつ計算回数も1回とすることができ、温度値Trを求めるために、従来のように飽和エンタルピー値hsに対応したエンタルピー領域毎に、異なった回数の繰り返し計算を行うことがなくなる。
これにより、本実施形態によれば、計算回数の等時性を実現するとともに、計算回数を低減することができるため、温度値Trの算出を高速化することができる。
【0038】
<第3の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの
図1の構成と同様である。この第3の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを求める構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
【0039】
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、データベース4に記憶されている第1関数及び第2関数の構成が異なる点である。第3の実施形態においては、第1関数及び第2関数から求めた未知数であるエンタルピー値hを、所定の周期の点列としてデータベース4に予め書き込んで記憶させている。
【0040】
次に、
図3は、データベース4に記憶されている第1関数及び第2関数の関数テーブルを示す図である。
図3(A)は、圧力毎に設定された飽和温度値Ts未満の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、
図3(B)は、圧力毎に設定された飽和温度Tsを越える温度領域におけるエンタルピー値hを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
【0041】
次に、
図4は、圧力値P毎、例えば圧力P1及び圧力P2の各々の差分値ΔTとエンタルピー値hとの対応を示す第2関数のグラフである。この
図4のグラフは、縦軸がエンタルピー値hを示し、横軸が差分値ΔTを示している。第1関数も図示はしないが、この
図4の第2関数と同様である。
【0042】
図1に戻り、差分値算出部1は、圧力値Pのエンタルピー値hを算出するため、圧力値P1及びP2の関数を用いる場合の情報が関数読出部2から供給されると、圧力値P1における飽和温度値Ts1と、圧力値P2における飽和温度値Ts2とを用い、圧力値P1における飽和温度値Ts1と温度値Trとの差分値ΔT1(
図4の点A1)と、圧力値P2における飽和温度値Ts2と温度値Trとの差分値ΔT2(
図4の点A2)とを求める。そして、差分値算出部1は、求めた圧力値P1における差分値ΔT1と、圧力値P2における差分値ΔT2とを、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0043】
関数読出部2は、エンタルピー値hを算出するための圧力値P及び温度値Trが外部装置から供給されると、この圧力値Pを挟む点列の圧力値から、圧力値P1(圧力値Pを挟む点列の隣接するの圧力値における、圧力値P以下の圧力値)及び圧力値P2(圧力値Pを挟む点列の隣接する圧力値における、圧力値P以上の差分値)の2つの第1関数及び第2関数とを選択する。
【0044】
ここで、関数読出部2は、
図4に示すように、圧力値Pのエンタルピーの算出に対し、圧力値P1及びP2の関数を用いるとする情報を、差分値算出部1に対して出力する。
また、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値ΔT1が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値ΔT1が正の場合に圧力値P1における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値ΔT1が負の場合に圧力値P1における第1関数テーブルを選択する。同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値ΔT2が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値ΔT2が正の場合に圧力値P2における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値ΔT2が負の場合に圧力値P2における第1関数テーブルを選択する。
そして、関数読出部2は、未知数演算部3に対し、圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いること、またこの圧力値P1及びP2における第1関数テーブルまたは第2関数テーブルのいずれをエンタルピー値hの算出に用いるかを示すテーブル情報を未知数演算部3に対して出力する。
【0045】
未知数演算部3は、関数読出部2からテーブル情報が供給されると、このテーブル情報の示す圧力値P1及びP2の関数テーブル(第1関数テーブルあるいは第2関数テーブル)により、差分値算出部1から供給される差分値ΔT1及びΔT2により、対応するエンタルピーを求める。例えば、以下の説明においては、差分値ΔT1及びΔT2の双方ともに正であり、圧力値P1及びP2の第2関数テーブルを用いて、エンタルピー値hを求める処理として説明する。
【0046】
このとき、未知数演算部3は、圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値ΔT1近傍の差分値ΔTb(差分値ΔT1を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT1以下の差分値)及びΔTc(差分値ΔT1を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT1以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値ΔTbの点Bにおけるエンタルピー値hbと、差分値ΔTcの点Cにおけるエンタルピー値hcとを読み出す。
また、圧力値P1の第2関数テーブルの場合と同様に、未知数演算部3は、圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値ΔT2近傍の差分値ΔTd(差分値ΔT2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT2以下の差分値)及びΔTe(差分値ΔT2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値ΔT2以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値ΔTdの点Dにおけるエンタルピー値hdと、差分値ΔTeの点Eにおけるエンタルピー値heとを読み出す。
【0047】
次に、未知数演算部3は、得られた4つのエンタルピー値hb、hc、hd及びheを用いて、エンタルピー値hを補間演算を行うことにより求める。この補間演算はどのような演算を用いても良い。
例えば、未知数演算部3は、以下のように、補間演算を行うことにより、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから差分値ΔTにおけるエンタルピー値hを算出する。
まず、未知数演算部3は、圧力値P1における差分値ΔTのエンタルピー値h1を、以下の式により算出する。
h1=[hb×(ΔT−ΔTb)+hc×(ΔTc−ΔT)]/(ΔTc−ΔTb)
次に、未知数演算部3は、圧力値P2における差分値ΔTのエンタルピー値h2を、以下の式により算出する。
h2=[hd×(ΔT−ΔTd)+he×(ΔTe−ΔT)]/(ΔTe−ΔTd)
【0048】
そして、未知数演算部3は、以下の式において、圧力値P及び差分値ΔTにおけるエンタルピー値hを、以下の式により算出する。
h=[h1×(P1−P)+h2×(P−P2)]/(P1−P2)
上述した補間の演算においては、差分値ΔTと差分値ΔP1及び差分値P2の各々との距離の比、及び圧力値Pと圧力値P1及び差分値P2の各々との距離の比を用いた。
しかしながら、単純に、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点の平均を求める補間を行って、エンタルピー値hを求めるように、未知数演算部3を構成しても良い。
【0049】
次に、
図1、
図4及び
図5を用いて、本実施形態の蒸気表値演算システムの動作の説明を行う。
図5は、本実施形態の蒸気表値演算システムにおけるエンタルピー算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及び温度値Trがエンタルピー値hを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
【0050】
ステップS2:
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
【0051】
ステップS3:
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1及びP2の各々における飽和温度値Ts1及びTs2を、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和温度値を示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和温度値を、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和温度値との関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における温度値Tr及び飽和温度値Ts1間の差分値ΔT1と、圧力値P2における温度値Tr及び飽和温度値Ts2間の差分値ΔT2とを求め、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0052】
ステップS4:
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値ΔT1の正負判定により、圧力値P1における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値ΔT2の正負判定により、圧力値P2における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が正である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために第2関数を用いることを示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
【0053】
ステップS5:
次に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P1の第2関数テーブルにおける差分値ΔT1に隣接する差分値ΔTb及びΔTcを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値ΔTb及びΔTcの各々に対応するエンタルピー値hb及びhcを読み出す。
また、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルにおける差分値ΔT2に隣接する差分値ΔTd及びΔTeを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値ΔTd及びΔTeの各々に対応するエンタルピー値hd及びheを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点のエンタルピー値hを得る。
【0054】
ステップS6:
次に、未知数演算部3は、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから、補間演算によって、圧力値P及び温度値Trの場合のエンタルピー値hを算出する。
そして、未知数演算部3は、エンタルピー値hを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出したエンタルピー値hを出力する。
【0055】
また、データベース4には、各圧力値における飽和温度値Tsに対応して、算出されたエンタルピー値hが予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、未知数演算部3は、各圧力値において差分値ΔTが0の場合(温度値Trが飽和温度値Tsと同一の場合)には、この圧力値に対応して記憶されたエンタルピーを読み出し、この2つの圧力値におけるエンタルピー値hを用いた補間演算により、飽和温度値Tsにおけるエンタルピー値hを算出する。
【0056】
次に、
図3(A)に示す第1関数テーブル及び
図3(B)に示す第2関数テーブルの作成について、
図6、
図7及び
図8を用いて説明する。
図6は、差分値ΔTが30℃の場合における圧力変化に対応したエンタルピー値hの変動幅を示す図である。
図6において、横軸が圧力値Pを示し、縦軸が1at(気圧)当たりのエンタルピーの変動値を示している。この図から、圧力値Pが小さいほどエンタルピー値hの変動幅が大きくなることが解る。
【0057】
したがって、圧力値Pが0<P<50までにおいて、圧力値Pの変化によるエンタルピー値hの変化が大きいため、エンタルピー値の変動幅に応じて、補間演算を行い易い、例えば高い精度で直線補間が行える圧力値幅で、テーブルにおける圧力値の点列を作成する。
これにより、本実施形態によれば、従来のように、単純にルックアップテーブルにおける圧力値の点列の幅を、飽和温度値近傍で細かくするのに比較し、エンタルピー値hの変動幅に合わせて、補間演算(例えば、直線補間)が容易に行える圧力値幅にて点列を作成することで、精度を保持しかつテーブルの記憶容量を低下させることができる。
【0058】
次に、
図7は、差分値ΔTと、差分値ΔTの単位温度(例えば、1℃)当たりのエンタルピー値hの変化量との対応を示すグラフである。この
図7において、横軸が差分値ΔTを示し、縦軸が温度1℃当たりのエンタルピーの変化量を示している。
この
図7は、差分値ΔTが1℃変化する際に変化するエンタルピー値hの変化量が、差分値が小さくなるほど(温度値Trが飽和温度値Tsに近くなるほど)大きくなることを示している。そして、0<ΔT<50の差分値の温度範囲において、差分値ΔTが1℃変化する際に変化するエンタルピー値hの変化量が急激に大きくなっていることが解る。
【0059】
したがって、差分値ΔTが0<ΔT<50までにおいて、差分値ΔTの変化によるエンタルピー値hの変化が大きいため、エンタルピー値の変動幅に応じて、補間演算を行い易い、例えば高い精度で直線補間が行える差分値ΔTの温度値幅、すなわち直線補間の可能な温度値の刻み幅で、テーブルにおける温度値の点列を作成する。
これにより、本実施形態によれば、従来のように、単純にルックアップテーブルにおける温度値の点列の幅を、飽和温度値近傍で細かくするのに比較し、エンタルピー値hの変動幅に合わせて、補間演算が行える温度値幅にて点列を作成することで、精度を保持しかつテーブルの記憶容量を低下させることができる。
【0060】
次に、
図8は、作成された圧力毎の第2関数テーブルにおける差分値ΔTとエンタルピー値hとの関係を示すグラフである。この
図8において、横軸は差分値ΔTを示し、縦軸がエンタルピー値hを示している。図では重なってしまうため、圧力値Pは20気圧単位で記載されているが、50気圧以下に関しては圧力値の刻み幅がエンタルピーの変化量の大きさに応じて小さくなっている。
また、図では明確に記載されていないが、各圧力値において差分値ΔTが小さくなるほど、エンタルピー値hの単位温度当たりの変化量が大きくなるため、差分値ΔTの点列の刻み幅は、差分値ΔTが小さくなるにつれて、徐々に小さく設定されている。
【0061】
<第4の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の構成は、第1の実施形態による蒸気表値演算システムの
図1の構成と同様である。この第4の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
【0062】
第4の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、データベース4に記憶されている第1関数及び第2関数の構成が異なる点である。第4の実施形態においては、第1関数及び第2関数から求めた未知数である温度Trを、所定の周期の点列としてデータベース4に予め書き込んで記憶させている。
【0063】
次に、
図9は、データベース4に記憶されている第1関数及び第2関数の関数テーブルを示す図である。
図9(A)は、圧力毎に設定された飽和水エンタルピー値h’s未満のエンタルピー領域における温度値Tを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度値Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、
図9(B)は、圧力毎に設定された飽和蒸気エンタルピー値hsを越えるエンタルピー領域における温度値Tを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度値Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
【0064】
次に、
図4は、圧力値P毎、例えば圧力P1及び圧力P2の各々の差分値Δhと温度値Tとの対応を示す第2関数のグラフである。この
図4のグラフは、縦軸がエンタルピー値hを示し、横軸が差分値ΔTを示している。第1関数も図示はしないが、この
図4の第2関数と同様である。
【0065】
図1に戻り、差分値算出部1は、圧力値Pの温度値Tを算出するため、圧力値P1及びP2の関数を用いるとする情報が関数読出部2から供給されると、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを用い、圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2におけるΔT2とを求める。そして、差分値算出部1は、求めた圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2における差分値Δh2とを、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0066】
関数読出部2は、圧力値P及びエンタルピー値h(
図10における点A’)が外部装置から供給されると、この圧力値Pを挟む点列の圧力値から、圧力値P1(圧力値Pを挟む点列の隣接する圧力値における、圧力値P以下の圧力値)及びP2(圧力値Pを挟む点列の隣接する圧力値における、圧力値P以上の差分値)の2つの第1関数及び第2関数とを選択する。
【0067】
ここで、関数読出部2は、圧力値Pの温度値Tの算出に対し、圧力値P1及びP2の関数を用いるとする情報を、差分値算出部1に対して出力する。
また、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値Δh1が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値Δh1が正の場合に圧力値P1における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値Δh1が負の場合に圧力値P1における第1関数テーブルを選択する。同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される差分値Δh2が正または負のいずれかであるかの判定を行い、差分値Δh2が正の場合に圧力値P2における第2関数テーブルを選択し、一方、差分値Δh2が負の場合に圧力値P2における第1関数テーブルを選択する。
そして、関数読出部2は、未知数演算部3に対し、圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いること、またこの圧力値P1及びP2における第1関数テーブルまたは第2関数テーブルのいずれをエンタルピー値hの算出に用いるかを示すテーブル情報を未知数演算部3に対して出力する。
【0068】
未知数演算部3は、関数読出部2からテーブル情報が供給されると、このテーブル情報の示す圧力値P1及びP2の関数テーブル(第1関数テーブルあるいは第2関数テーブル)により、差分値算出部1から供給される差分値Δh1及びΔh2により、対応する温度値Tを求める。例えば、以下の説明においては、差分値Δh1及びΔh2の双方ともに正であり、圧力値P1及びP2の第2関数テーブルを用いて、温度値Tを求める処理として説明する。
次に、
図10は、圧力値P毎、例えば圧力P1及び圧力P2の各々の差分値ΔTとエンタルピー値hとの対応を示す第2関数のグラフである。この
図10のグラフは、縦軸が差分値ΔTを示し、横軸がエンタルピー値hを示している。第1関数も図示はしないが、この
図10の第2関数と同様である。
【0069】
図1に戻り、未知数演算部3は、
図10に示すように、圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値Δh1近傍の差分値Δhb(差分値Δh1を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh1以下の差分値)及びΔhc(差分値Δh1を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh1以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値hTbの点B’における温度Tbと、差分値Δhcの点C’における温度Tcとを読み出す。
また、圧力値P1の第2関数テーブルの場合と同様に、未知数演算部3は、圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値の点列から差分値Δh2近傍の差分値Δhd(差分値Δh2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh2以下の差分値)及びΔhe(差分値Δh2を挟む点列の隣接する差分値における、差分値Δh2以上の差分値)の各々を検索し、それぞれ差分値Δhdの点D’における温度Tdと、差分値Δheの点E’における温度Teとを読み出す。また、点A’が求める未知数の温度値に対するエンタルピー値の差分値Δhと圧力値Pの点である。
【0070】
次に、未知数演算部3は、得られた4つの温度Tb、Tc、Td及びTeを用いて、温度Tを補間演算を行うことにより求める。この補間演算はどのような演算を用いても良い。
例えば、未知数演算部3は、以下のように、補間演算を行うことにより、温度Tb、Tc、Td及びTeから差分値Δhにおける温度Tを算出する。
まず、未知数演算部3は、圧力値P1における差分値Δhの温度T1を、以下の式により算出する。
T1=[Tb×(Δh−Δhb)+Tc×(Δhc−Δh)]/(Δhc−Δhb)
次に、未知数演算部3は、圧力値P2における差分値Δhの温度T2を、以下の式により算出する。
T2=[Td×(Δh−Δhd)+Te×(Δhe−Δh)]/(Δhe−Δhd)
【0071】
そして、未知数演算部3は、以下の式において、圧力値P及び差分値Δhにおける温度値Tを、以下の式により算出する。
T=[T1×(P1−P)+T2×(P−P2)]/(P1−P2)
上述した補間の演算においては、差分値Δhと差分値Δh1及び差分値Δh2の各々との距離の比、及び圧力値Pと圧力値P1及び差分値P2の各々との距離の比を用いた。
しかしながら、単純に、温度Tb、Tc、Td及びTeの4点の平均を求める補間を行って、温度Tを求めるように、未知数演算部3を構成しても良い。
【0072】
次に、
図1、
図10及び
図11を用いて、本実施形態の蒸気表値演算システムの動作の説明を行う。
図11は、本実施形態の蒸気表値演算システムにおける温度算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS11:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及びエンタルピー値hが温度Tを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
【0073】
ステップS12:
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
【0074】
ステップS13:
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーとの関係を示すテーブルから読み出す。
【0075】
次に、差分値算出部1は、圧力値P1において、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s1未満か飽和蒸気エンタルピー値hs1を越えるかの判定を行う。
このとき、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和蒸気エンタルピー値hs1を越えるため、h−hs1により、圧力値P1の差分値Δh1を算出する。
また、差分値算出部1は、圧力値P2において、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s2未満か飽和蒸気エンタルピー値hs2を越えるかの判定を行う。
このとき、差分値算出部1は、エンタルピー値hが飽和蒸気エンタルピー値hs2を越えるため、h−hs2により、圧力値P2の差分値Δh2を算出する。
そして、差分値算出部1は、算出した差分値Δh1及びΔh2を、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0076】
ステップS14:
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値Δh1の正負判定により、圧力値P1における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、温度値Tの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値Δh2の正負判定により、圧力値P2における第1関数テーブル及び第2関数テーブルのいずれを、温度値Tの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値Δh1及びΔh2の双方が正である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために第2関数を用いることを示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
【0077】
ステップS15:
次に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P1の第2関数テーブルにおける差分値Δh1に隣接する差分値Δhb及びΔhcを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の第2関数テーブルから、差分値Δhb及びΔhcの各々に対応する温度Tb及びTcを読み出す。
また、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルにおける差分値Δh2に隣接する差分値Δhd及びΔheを検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P2の第2関数テーブルから、差分値Δhd及びΔheの各々に対応する温度Td及びTeを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、温度Tb、Tc、Td及びTeの4点の温度Tを得る。
【0078】
ステップS16:
次に、未知数演算部3は、温度Tb、Tc、Td及びTeから、補間演算によって、圧力値P及びエンタルピー値hの場合の温度Tを算出する。
そして、未知数演算部3は、温度Tを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出した温度Tを出力する。
【0079】
また、データベース4には、各圧力値における飽和水エンタルピー値h’s及び飽和蒸気エンタルピー値hsに対応して、算出された温度値Tを予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、未知数演算部3は、各圧力値において差分値Δhが0の場合(エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s及び飽和蒸気エンタルピー値hsと同一の場合)には、この圧力値に対応して記憶された温度値Tを読み出し、この2つの圧力値における温度値Tを用いた補間演算により、エンタルピー値hが飽和水エンタルピー値h’s及び飽和蒸気エンタルピー値hs間にある際の温度値Tを算出する。
【0080】
<第5の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。
図12は、この発明の第5の実施形態による蒸気表値演算システムの構成例を示す概略ブロック図である。この第5の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、エンタルピーを未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及び温度からこの未知数であるエンタルピーを算出し、その算出時間に基づいてエンタルピーの算出に異常があるか否かを判定する構成である。この外部装置は、圧力及び温度を変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体の温度を検出する温度計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、温度計は流体の温度値を検出して出力する。
【0081】
第5の実施形態が第3の実施形態と異なる点は、蒸気表演算システムが計時部5及び異常検出部6をさらに備える点と、データベース4に記憶されている情報が異なる点である。
計時部5は、算出開始から未知数の演算結果出力までに要する時間を計時する。異常検出部6は、計時部5が計時した時間が所定の範囲内であるか否かに基づいて、未知数の演算に異常があるか否かを判定する。
【0082】
データベース4は、飽和温度値Ts未満の温度値Trの領域に対応した第1関数と、飽和温度値Tsを超える温度値Trの領域に対応した第2関数と、第1関数及び第2関数の領域より広い領域に対応した第3関数とを、所定の周期の点列としてデータベース4に予め書き込んで記憶させている。
例えば、第1関数の区間(第1区間)がTs−ΔT
Th(ΔT
Thは正数)超かつTs未満であり、第2関数の区間(第2区間)がTs超Ts+ΔT
Th未満である場合、第3関数の区間(第3区間)は、Ts−ΔT
Th以下の値を下限値とし、Ts+ΔT
Th以上の値を上限値とする。
【0083】
次に、
図13は、データベース4に記憶されている第1関数、第2関数及び第3関数の関数テーブルを示す図である。
図
13(A)は、圧力毎に設定された飽和温度値Ts未満かつTs−ΔT
Th超の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、図
13(B)は、圧力毎に設定された飽和温度Ts超かつTs+ΔT
Th未満の温度領域におけるエンタルピー値hを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値ΔTの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の差分値ΔTとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、図
13(C)は、圧力毎に設定された、入力されうる温度値Trの下限値以上かつ入力されうる温度値Trの上限値以下における温度領域におけるエンタルピー値hを求める第3関数を用い、所定間隔の点列の温度Tの各々を代入して求めたエンタルピー値hと、求めた際の温度値Trとの関係を示す第3関数テーブルを示している。なお、第3関数テーブルの周期は、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの周期より長い値であって、第3関数テーブルの点列の数が、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの点列の数と同じになるような値である。この第3関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
【0084】
次に、
図12及び
図14を用いて、本実施形態の蒸気表値演算システムの動作の説明を行う。
図14は、本実施形態の蒸気表値演算システムにおけるエンタルピー算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS21:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及び温度値Trがエンタルピー値hを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
【0085】
ステップS22:
次に、計時部5は、現在時刻からの経過時間の計時を開始する。
【0086】
ステップS23:
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
【0087】
ステップS24:
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1及びP2の各々における飽和温度値Ts1及びTs2を、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和温度値を示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和温度値を、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和温度値との関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における温度値Tr及び飽和温度値Ts1間の差分値ΔT1と、圧力値P2における温度値Tr及び飽和温度値Ts2間の差分値ΔT2とを求め、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0088】
ステップS25:
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値ΔT1の正負判定、及びΔT1の絶対値と閾値ΔT
Thとの比較により、圧力値P1における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値ΔT2の正負判定、及びΔT2の絶対値と閾値ΔT
Thとの比較により、圧力値P2における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、エンタルピー値hの算出に用いるかの判定を行う。
ここで、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が負であり、かつΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔT
Th未満である場合、圧力値P1及びP2ともに第1関数を用いると判定する。また、関数読出部2は、例えば、差分値ΔT1及びΔT2の双方が正であり、かつΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔT
Th未満である場合、圧力値P1及びP2ともに第2関数を用いると判定する。また、関数読出部2は、ΔT1及びΔT2の双方の絶対値が閾値ΔT
Th以上である場合、圧力値P1及びP2ともに第3関数を用いると判定する。
そして、関数読出部2は、圧力値P1及びP2ともに、エンタルピーを算出するために用いる関数を示すテーブル情報を、未知数演算部3に対して出力する。
【0089】
ステップS26:
次に、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第1関数テーブルまたは第2関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、差分値ΔT1に隣接する差分値ΔTb及びΔTcを逐次探索により検出する。本明細書において「逐次探索」とは、関数テーブルの先頭から末尾までの全ての値と差分値ΔT1とを比較する探索であって、目的の値が検出されたとしても残りの探索を継続するものである。
また、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第3関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、温度値Trに隣接する温度値Tb及びTcを逐次探索により検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の関数テーブルから、検出した差分値ΔTb及びΔTc、または温度値Tb及びTcの各々に対応するエンタルピー値hb及びhcを読み出す。
同様に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルを逐次探索して、差分値ΔT2に隣接する差分値ΔTd及びΔTe、または温度値Trに隣接する温度値Td及びTeに対応するエンタルピー値hd及びheを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びheの4点のエンタルピー値hを得る。
【0090】
ステップS27:
次に、未知数演算部3は、エンタルピー値hb、hc、hd及びheから、補間演算によって、圧力値P及び温度値Trの場合のエンタルピー値hを算出する。
そして、未知数演算部3は、エンタルピー値hを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出したエンタルピー値hを出力する。
【0091】
ステップS28:
次に、計時部5は、ステップS25で開始した経過時間の計時を終了する。
【0092】
ステップS29:
次に、異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間、つまりエンタルピーの算出による計算時間が、所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定範囲とは、第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルの逐次探索及び補間計算に要する時間を基準とした、キャッシュメモリの参照による計算時間のずれの許容範囲である。
【0093】
ステップS30:
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内であると判定した場合(ステップS29:YES)、エンタルピーの算出に異常がないと判定する。
【0094】
ステップS31:
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内でないと判定した場合(ステップS29:NO)、エンタルピーの算出に異常があると判定する。例えば、経過時間が所定範囲より短い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算が異常終了したことが考えられる。また、経過時間が所定範囲より長い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算におけるエラーによる遅延が発生したことが考えられる。
【0095】
このように、本実施形態によれば、第1関数テーブル、第2関数テーブル、及び第3関数テーブルが示す点列の数が同じである。これにより、異常検出部6は、エンタルピーの算出開始から演算結果出力までの時間の等時性を判定することで、エンタルピー値の演算に異常があったか否かを適切に判定することができる。
【0096】
<第6の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態の構成は、第5の実施形態による蒸気表値演算システムの
図12の構成と同様である。この第6の実施形態は、蒸気表値としての圧力、温度及びエンタルピーにおいて、温度を未知数としている。そして、本実施形態においては、外部装置から与えられる圧力及びエンタルピーからこの未知数である温度を求める構成である。この外部装置は、圧力及びエンタルピーを変数値として供給する入力手段、あるいはボイラーに設けられた流体(例えば、水なとの液体、蒸気などの気体)の圧力を検出する圧力計、及び流体のエンタルピーを検出するエンタルピー検出計である。圧力計は流体の圧力値を検出して出力し、エンタルピー検出計は流体のエンタルピーを検出して出力する。
【0097】
第6の実施形態が第4の実施形態と異なる点は、蒸気表演算システムが計時部5及び異常検出部6をさらに備える点と、データベース4に記憶されている情報が異なる点である。
計時部5は、算出開始から未知数の演算結果出力までに要する時間を計時する。異常検出部6は、計時部5が計時した時間が所定の範囲内であるか否かに基づいて、未知数の演算に異常があるか否かを判定する。
【0098】
データベース4は、飽和水エンタルピー値h’s未満の温度値Trの領域に対応した第1関数と、飽和
蒸気エンタルピー値hsを超える温度値Trの領域に対応した第2関数と、第1関数及び第2関数の領域より広い領域に対応した第3関数とを、所定の周期の点列としてデータベース4に予め書き込んで記憶させている。
例えば、第1関数の区間(第1区間)が
h’s−ΔhTh(ΔhThは正数)超かつ
h’s未満であり、第2関数の区間(第2区間)がhs超hs+ΔhTh未満である場合、第3関数の区間(第3区間)は、
h’s−ΔhTh以下の値を下限値とし、hs+ΔhTh以上の値を上限値とする。
【0099】
次に、
図15は、データベース4に記憶されている第1関数、第2関数及び第3関数の関数テーブルを示す図である。
図3(A)は、圧力毎に設定された飽和水エンタルピー値h’s未満かつh’s−ΔhTh超の温度領域における温度Tを求める第1関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第1関数テーブルを示している。この第1関数テーブルは、圧力毎に設けられている。
また、
図3(B)は、圧力毎に設定された飽和温度水エンタルピー値hs超かつhs+ΔhTh未満の温度領域における温度Tを求める第2関数を用い、所定間隔の点列の差分値Δhの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際の差分値Δhとの関係を示す第2関数テーブルを示している。この第2関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
また、
図3(C)は、圧力毎に設定された、入力されうるエンタルピー値hrの下限値以上かつ入力されうるエンタルピー値hrの上限値以下における温度領域における温度Tを求める第3関数を用い、所定間隔の点列のエンタルピー値hrの各々を代入して求めた温度Tと、求めた際のエンタルピー値hrとの関係を示す第3関数テーブルを示している。なお、第3関数テーブルの周期は、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの周期より長い値であって、第3関数テーブルの点列の数が、第1関数テーブル及び第2関数テーブルの点列の数と同じになるような値である。この第3関数テーブルは、第1関数テーブルと同様に、圧力毎に設けられている。
【0100】
次に、
図12及び
図16を用いて、本実施形態の蒸気表値演算システムの動作の説明を行う。
図16は、本実施形態の蒸気表値演算システムにおける温度算出処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS41:
蒸気表値演算システムに対して、外部装置から圧力値P及びエンタルピー値hrが温度Tを算出することを要求する制御信号とともに供給される。
【0101】
ステップS42:
次に、計時部5は、現在時刻からの経過時間の計時を開始する。
【0102】
ステップS43:
関数読出部2は、圧力値Pが供給されると、データベース4における圧力値の点列から圧力値Pを隣接して挟む、2つの圧力値P1及びP2を検出する。
そして、関数読出部2は、この検出した圧力値P1及びP2の関数テーブルを用いることを示す情報を、差分値算出部1に対して出力する。
【0103】
ステップS44:
次に、差分値算出部1は、関数読出部2から供給される圧力値P1及びP2の関数を用いることを示す情報により、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを、自身内部の内部記憶部から読み出す。
また、この圧力値毎の飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを示すテーブルは、データベース4に予め書き込んで記憶させておいても良い。この場合、差分値算出部1は、圧力値に対応する飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーを、データベース4における圧力値とこの圧力値における飽和水エンタルピー及び飽和蒸気エンタルピーとの関係を示すテーブルから読み出す。
そして、差分値算出部1は、圧力値P1における飽和水エンタルピー値h’s1及び飽和蒸気エンタルピー値hs1と、圧力値P2における飽和水エンタルピー値h’s2及び飽和蒸気エンタルピー値hs2とを用い、圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2におけるΔT2とを求める。そして、差分値算出部1は、求めた圧力値P1における差分値Δh1と、圧力値P2における差分値Δh2とを、関数読出部2及び未知数演算部3に対して出力する。
【0104】
ステップS45:
次に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P1における差分値Δh1の正負判定、及びΔh1の絶対値と閾値Δh
Thとの比較により、圧力値P1における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、温度Tの算出に用いるかの判定を行う。
同様に、関数読出部2は、差分値算出部1から供給される圧力値P2における差分値Δh2の正負判定、及びΔh2の絶対値と閾値Δh
Thとの比較により、圧力値P2における第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルのいずれを、温度Tの算出に用いるかの判定を行う。
【0105】
ステップS46:
次に、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第1関数テーブルまたは第2関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、差分値Δh1に隣接する差分値Δhb及びΔhcを逐次探索により検出する。また、未知数演算部3は、選択した関数テーブルが第3関数テーブルである場合、圧力値P1についての関数テーブルから、エンタルピー値hrに隣接するエンタルピー値hb及びhcを逐次探索により検出する。
そして、未知数演算部3は、データベース4の圧力値P1の関数テーブルから、検出した差分値Δhb及びΔhc、またはエンタルピー値hb及びhcの各々に対応する温度Tb及びTcを読み出す。
同様に、未知数演算部3は、データベース4における圧力値P2の関数テーブルを逐次探索して、差分値Δh2に隣接する差分値Δhd及びΔhe、またはエンタルピー値hrに隣接するエンタルピー値hd及びheに対応する温度Td及びTeを読み出す。
これにより、未知数演算部3は、データベース4から、エンタルピー値hb、hc、hd及びHeの4点の温度Tを得る。
【0106】
ステップS47:
次に、未知数演算部3は、温度Tb、Tc、Td及びTeから、補間演算によって、圧力値P及びエンタルピーhrの場合の温度Tを算出する。
そして、未知数演算部3は、温度Tを算出することを指示する制御信号を出力した外部装置に対して、算出した温度Tを出力する。
【0107】
ステップS48:
次に、計時部5は、ステップS45で開始した経過時間の計時を終了する。
【0108】
ステップS49:
次に、異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間、つまり温度の算出による計算時間が、所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、所定範囲とは、第1関数テーブル、第2関数テーブル及び第3関数テーブルの逐次探索及び補間計算に要する時間を基準とした、キャッシュメモリの参照による計算時間のずれの許容範囲である。
【0109】
ステップS50:
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内であると判定した場合(ステップS49:YES)、温度の算出に異常がないと判定する。
【0110】
ステップS51:
異常検出部6は、計時部5が計時した経過時間が所定範囲内でないと判定した場合(ステップS49:NO)、温度の算出に異常があると判定する。例えば、経過時間が所定範囲より短い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算が異常終了したことが考えられる。また、経過時間が所定範囲より長い場合は、差分値算出部1、関数読出部2、未知数演算部3のいずれかによる演算におけるエラーによる遅延が発生したことが考えられる。
【0111】
このように、本実施形態によれば、第1関数テーブル、第2関数テーブル、及び第3関数テーブルが示す点列の数が同じである。これにより、異常検出部6は、温度の算出開始から演算結果出力までの等時性を判定することで、温度の演算に異常があったか否かを適切に判定することができる。
【0112】
また、
図1の第1の実施形態から第4の実施形態における蒸気表値演算システムを、制御装置あるいはシミュレータに付加して用いることができる。
例えば、ボイラーの制御装置の場合、流体である水や水蒸気の温度や圧力のみでは十分な燃料の制御が行えないため、エンタルピーにより燃料制御を行うことが行われている。
このため、ボイラー内部の流体の温度値T及び圧力値Pを測定し、この測定した温度値T及び圧力値Pを、第1及び第3の実施形態の蒸気表値演算システムに供給すれば、対応するエンタルピー値hが得られ、このエンタルピー値hによりボイラーを加熱するための燃料の供給量を調整することができる。
【0113】
また、シミュレータの場合、圧力Pにおいてエンタルピー値hを得るためには温度値Tをどの程度に制御すれば良いか求めるために用いることができる。
この圧力P及びエンタルピー値hを、第2及び第4の実施形態の蒸気表値演算システムに供給すれば、対応する温度値Tが得られ、圧力Pでエンタルピー値hを得るためのボイラーの温度を求めることができる。
【0114】
また、
図1の蒸気表値演算システムを、
図5のエンタルピーの算出の機能を実現するためのプログラム、また
図11の温度の算出の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりエンタルピーの算出処理あるいは温度の算出処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0115】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0116】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。