【文献】
GARRINGER, H.J. et al.,"Molecular genetic and biochemical analyses of FGF23 mutations in familial tumoral calcinosis.",AM. J. PHYSIOL. ENDOCRINOL. MATAB.,2008年10月,Vol.295, No.4,P.E929-E937
【文献】
WHITE, K.E. et al.,"Autosomal-dominant hypophosphatemic rickets (ADHR) mutations stabilize FGF-23.",KIDNEY INTERNATIONAL,2001年12月,Vol.60, No.6,P.2079-2086
【文献】
GASPARIAN, M.E. et al.,"Overexpression in Escherichia coli and purification of human fibroblast growth factor (FGF-2).",BIOCHEMISTRY(MOSCOW),2009年 2月,Vol.74, No.2,P.221-225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0012】
2.発明の概要
本明細書は、融合ポリペプチドまたは可溶性ポリペプチドでの加齢関連状態または代謝障害を予防または処置するための方法、使用、キットおよび組成物に関する。本明細書の融合ポリペプチドは、FGF(例えば、FGF23)、およびクロトータンパク質またはその活性なフラグメント(例えば、sクロトー)および/またはFcフラグメント(例えば、FcLALA)のいずれか、および、所望により、リンカーから形成される。いくつかの態様において、FGF23は変異される。いくつかの態様において、本明細書は、クロトータンパク質またはその活性なフラグメントおよび線維芽細胞増殖因子またはその活性なフラグメントを含むクロトー融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、クロトーポリペプチド、FGF(例えば、FGF23)および修飾されたFcフラグメントを含む。Fcフラグメントは、例えば、減少したFc−ガンマ−受容体への結合および増加した血清半減期を有することができる。sクロトー、FGF23およびFcLALA(減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメント)を含む融合タンパク質は、配列番号46、47、48および49に記載されている。いくつかの態様において、融合ポリペプチドまたはタンパク質は、FGF(例えば、FGF23)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、および修飾されたFcフラグメントまたはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む。FGF23およびFcLALAを含む融合タンパク質は、配列番号50、51、52および53に記載されている。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、凝集および/もしくはプロテアーゼ介在開裂を減少させるFGF23において1つ以上の変異を有する。
【0013】
第1の局面において、本明細書は、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子またはそれらの活性なフラグメントを有する融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性(例えば、減少したKaまたは増加したKd)および/または増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。クロトー細胞外ドメインは、アルファまたはベータクロトーアイソフォームのいずれか由来であり得る。さらに、クロトー融合ポリペプチドのFGF成分は、線維芽細胞増殖因子−19、線維芽細胞増殖因子−21および線維芽細胞増殖因子−23に関して主に記載されているが、任意の23個の既知のFGFを本明細書の実施において使用することができると考慮される。本出願の読者は、それぞれのヒトFGFタンパク質またはそれらの活性なフラグメントとアルファまたはベータ細胞外ドメインとのそれぞれの全ての組合せを、個々におよび具体的に考慮すると想定し得る。
【0014】
本明細書において、クロトータンパク質の細胞外ドメインは、クロトータンパク質のKL−D1およびKL−D2ドメインまたはそれらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)の1つまたは両方を含むことができる。いくつかの態様において、本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、クロトータンパク質の少なくとも2つの細胞外サブドメインまたはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を有する。例えば、少なくとも2つの細胞外サブドメインは、タンデムリピートにおける少なくとも2つのKL−D1ドメイン、タンデムリピートにおける少なくとも2つのKL−D2ドメイン、または少なくとも1つのKL−D1ドメインおよび少なくとも1つのKL−D2ドメインであり得る。種々の態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、全長アルファクロトータンパク質のアミノ酸28−292またはアミノ酸28−982(配列番号:7)を含む。別の態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、全長ベータクロトータンパク質のアミノ酸52−997を含む。
【0015】
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドの成分は、(a)線維芽細胞増殖因子23(FGF23)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含むポリペプチドであって、FGF23が、Q156、C206およびC244の1つ以上の位置で変異を有するポリペプチド、および(b)減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメント、またはクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドのいずれか、またはそれらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、および、所望により(c)リンカーを含む。成分は、例えば、ペプチド結合によりインフレームにて化学的に連結または融合され得る。それらはまた、リンカーを介して連結され得る。ポリペプチドリンカーの非限定的な例は、配列番号:11、12、13、14、15、16、17および18である。このようなリンカーは、少なくとも1個、最大約30個の繰り返しの配列番号:11、12、13、14、15、16、17および18を含み得る。別の非限定的な態様において、融合ポリペプチドは、(2)FGFまたはその活性なフラグメントおよび(3)修飾されたFcフラグメントを含む。融合ポリペプチドの種々の成分は、任意の順に作動可能に連結され得る。(1)のポリペプチドは、(2)または(3)のポリペプチドのN−末端に作動可能に連結され得る、(2)のポリペプチドは、(1)または(3)のポリペプチドのN−末端に作動可能に連結され得る、(3)のポリペプチドは、(1)または(2)のポリペプチドのN−末端に作動可能に連結され得る。
【0016】
本明細書において、クロトータンパク質の細胞外サブドメイン、線維芽細胞増殖因子および減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する(任意の)修飾されたFcフラグメントは、種々の方向および方法において互いに作動可能に連結され得る。例えば、クロトータンパク質の細胞外サブドメインは、線維芽細胞増殖因子のN−末端に作動可能に連結することができ、あるいは、線維芽細胞増殖因子は、クロトータンパク質の細胞外サブドメインのN−末端に作動可能に連結することができる。
【0017】
1つの態様において、本明細書は、クロトータンパク質のsクロトーおよびリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、アルファクロトータンパク質のsクロトーおよびリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、ベータクロトータンパク質のsクロトーおよびリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。さらに別の態様において、本明細書は、ヒトFGFタンパク質またはその活性なフラグメント(例えば、シグナルペプチドを有さない)およびリンカーを提供する。1つの態様において、本明細書は、病理学的疾患の治療における使用のための、または処置における使用のための医薬としての、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物を提供する。加齢関連状態または代謝障害を処置または予防するための、本明細書の融合タンパク質を含む医薬組成物およびその使用はまた、本明細書により包含される。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0018】
1つの態様において、本明細書は、FGF−23に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、FGF−23に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないFGF−23に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトーを提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないFGF−23に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0019】
1つの態様において、本明細書は、FGF−23(R179Q)変異体に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、FGF−23(R179Q)変異体に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトーを提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体に(リンカーを介して直接的または間接的に)融合されたシグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0020】
1つの態様において、本明細書は、(a)線維芽細胞増殖因子23(FGF23)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含むポリペプチドであって、FGF23が、Q156、C206およびC244の1つ以上の位置で変異を有するポリペプチド、および(b)減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメント、またはクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドのいずれか、またはそれらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、および、所望により(c)リンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。このような融合ポリペプチドは、配列番号:54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67および68に記載されている。
【0021】
1つの態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトーまたはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)リンカー、および(3)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトー、またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)リンカー、および(3)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体、またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、グリコシル化される。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0022】
1つの態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:44または配列番号:45)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)配列番号:11を含むリンカー、および(3)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体(配列番号:43)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:7)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)配列番号:11を含むリンカー、および(3)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体(配列番号:43)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む融合ポリペプチドを提供する。1つの態様において、本明細書は、配列番号:19、20、40または41のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、グリコシル化される。
【0023】
1つの態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:44または配列番号:45)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、および配列番号:11を含むリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:7)、および配列番号:11を含むリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、グリコシル化される。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0024】
1つの態様において、本明細書は、ヒトFGFタンパク質またはその活性なフラグメント(例えば、シグナルペプチドを有さない)、および配列番号:11を含むリンカーを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、グリコシル化される。いくつかの態様において、融合タンパク質は、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0025】
1つの態様において、本明細書は、ヒトFGFタンパク質(例えば、FGF23)またはその活性なフラグメント(例えば、シグナルペプチドを有さない)、リンカー(例えば、配列番号:11を含むリンカー)、およびsクロトー(シグナルペプチドを有するか、または有さない)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体))またはFc−ガンマ−受容体(例えば、FcLALA)を含む融合ポリペプチドであって、FGF(例えば、FGF23)がこれらの残基で1つ以上の変異:R179、Q156、C206、および/またはC244を有する融合ポリペプチドを提供する。種々の態様において、変異は、R179Q、Q156A、C206Sおよび/またはC244Sである。これらの変異は、ヒト、アカゲザル、ウシ、マウスおよびラットFGF23において保存されているにもかかわらず、それらの変異はFGF23活性を防止しない。むしろ、これらのアミノ酸の変異は、凝集を減少させること、望ましくないプロテアーゼ誘導開裂を減少させること、および細胞からのタンパク質生産を増加させることにより、タンパク質の質を予想外に増強する。種々の態様において、1つ以上のFGF23変異を含む融合タンパク質は、グリコシル化される。
【0026】
1つの態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体(配列番号:43)、または凝集および/もしくはプロテアーゼ介在開裂を減少させるさらなる変異を含む変異体、またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)所望により、配列番号:11を含むリンカー、および(3)シグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:44または配列番号:45)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、または減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントを含む、融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物(例えば、筋肉内投与形態における)、ならびに病理学的疾患の処置、例えば、加齢関連状態、例えば、筋萎縮の処置および/または予防のための治療における、または医薬としての、該医薬組成物の使用を提供する。別の態様において、本明細書は、(1)シグナルペプチドを有さないFGF−23(R179Q)変異体(配列番号:43)、または凝集および/もしくはプロテアーゼ介在開裂を減少させるさらなる変異を含む変異体、またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、(2)配列番号:11を含むリンカー、および(3)シグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:7)またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)、または減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントまたはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む、融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物(例えば、筋肉内投与形態における)、ならびに病理学的疾患の処置、例えば、加齢関連状態、例えば、筋萎縮の処置および/または予防のための治療における、または医薬としての医薬組成物の使用を提供する。1つの態様において、本明細書は、配列番号:19、20、40または41のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物(例えば、筋肉内投与形態における)、ならびに病理学的疾患の処置、例えば、加齢関連状態、例えば、筋萎縮の処置および/または予防のための治療における、または医薬としての医薬組成物の使用を提供する。
【0027】
1つの態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有するアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:44または配列番号:45)および配列番号:11を含むリンカーを含む、融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物(例えば、筋肉内投与形態における)、ならびに加齢関連状態、例えば、筋萎縮を処置および/または予防するための医薬組成物の使用を提供する。別の態様において、本明細書は、シグナルペプチドを有さないアルファクロトータンパク質のsクロトー(配列番号:7)および配列番号:11を含むリンカーを含む、融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物(例えば、筋肉内投与形態における)、ならびに病理学的疾患の処置、例えば、加齢関連状態、例えば、筋萎縮の処置および/または予防のための治療における、または医薬としての医薬組成物の使用を提供する。いくつかの態様において、融合タンパク質は、修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0028】
1つの態様において、本明細書は、ヒトFGFタンパク質またはその活性なフラグメント(例えば、シグナルペプチドを有さない)および配列番号:11を含むリンカーを含む、融合ポリペプチド(例えば、グリコシル化された、またはグリコシル化されていない)を含む(例えば、単一の薬学的に活性な成分として)医薬組成物を提供する。
【0029】
本明細書の融合タンパク質を含む医薬組成物および病理学的疾患の処置、例えば、加齢関連状態(例えば、筋萎縮)または代謝障害(例えば、糖尿病)の処置のための治療における、または医薬としてのその使用もまた、本明細書により包含される。
【0030】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:19と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:20と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0031】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:40と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:41と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0032】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:46と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:47と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0033】
別の態様において、本明細書は、配列番号:48と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:49と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0034】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:50と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:51と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0035】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:52と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、配列番号:53と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0036】
別の態様において、本明細書は、配列番号:54と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0037】
別の態様において、本明細書は、配列番号:55と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0038】
別の態様において、本明細書は、配列番号:56と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0039】
別の態様において、本明細書は、配列番号:57と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0040】
別の態様において、本明細書は、配列番号:58と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0041】
別の態様において、本明細書は、配列番号:59と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0042】
別の態様において、本明細書は、配列番号:60と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0043】
別の態様において、本明細書は、配列番号:61と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0044】
別の態様において、本明細書は、配列番号:62と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0045】
別の態様において、本明細書は、配列番号:63と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0046】
別の態様において、本明細書は、配列番号:64と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0047】
別の態様において、本明細書は、配列番号:65と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0048】
別の態様において、本明細書は、配列番号:66と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0049】
別の態様において、本明細書は、配列番号:67と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0050】
別の態様において、本明細書は、配列番号:68と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一である融合ポリペプチドを提供する。
【0051】
1つの態様において、本明細書は、FGF−19またはその活性なフラグメントに融合した(リンカーを介して直接的または間接的に)シグナルペプチドを有するベータクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。別の態様において、本明細書は、FGF−19またはその活性なフラグメントに融合した(リンカーを介して直接的または間接的に)シグナルペプチドを有さないベータクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、FGF−21またはその活性なフラグメントに融合した(リンカーを介して直接的または間接的に)シグナルペプチドを有するベータクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様において、本明細書は、FGF−21またはその活性なフラグメントに融合した(リンカーを介して直接的または間接的に)シグナルペプチドを有さないベータクロトータンパク質のsクロトーを含む融合ポリペプチドを提供する。
【0052】
本明細書は、本明細書に記載されているクロトー融合ポリペプチドのいずれかをコードする核酸配列および該核酸を含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0053】
本明細書はまた、本明細書において考慮されるクロトー融合ポリペプチドのいずれかを有する組成物を提供する。本明細書の組成物は、ヘパリンをさらに含み得る。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0054】
本明細書はまた、個体における加齢関連状態を処置または予防するための方法を提供する。個体(例えば、ヒト)に、加齢関連状態を処置または予防するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン(例えば、アルファクロトータンパク質)および線維芽細胞増殖因子またはその活性なフラグメントを有するクロトー融合ポリペプチドを含む治療有効用量の医薬組成物を投与する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。特に、本明細書は、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子(またはその活性なフラグメント)を有する治療有効量の融合ポリペプチドを個体(例えば、ヒト)に投与することを含む、筋肉疲労を処置または予防する方法を提供する。
【0055】
さらに、本明細書は、個体における代謝障害を処置または予防するための方法を提供する。個体に、代謝障害を処置するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子(またはその活性なフラグメント)を有する本明細書の融合ポリペプチドを含む治療有効用量の医薬組成物を投与する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。特に、ベータ−クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子21を有する本明細書の融合ポリペプチドは、代謝障害を処置するために有用である。
【0056】
本明細書のクロトー−FGF23融合ポリペプチドは、個体における高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するために使用することができる。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有する本明細書のクロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を、高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するために投与する。特に、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子23を有する本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、高リン血症または石灰沈着症を処置するために有用である。
【0057】
本明細書のクロトー−FGF23融合ポリペプチドは、個体における慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するために使用することができる。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。クロトータンパク質(例えば、アルファクロトータンパク質)の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有する本明細書のクロトー融合ポリペプチドを含む治療有効用量の医薬組成物を、慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するために投与する。
【0058】
本明細書のクロトー−FGF23融合ポリペプチドは、個体における癌(例えば、乳癌)を処置または予防するために使用することができる。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。クロトータンパク質(例えば、アルファクロトータンパク質)の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有する本明細書のクロトー融合ポリペプチドを含む治療有効用量の医薬組成物を、癌または乳癌を処置または予防するために投与する。
【0059】
本明細書は、医薬における使用のためのクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよびFGFまたはそれらの活性なフラグメントを含む融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。1つの態様において、本明細書は、筋萎縮の処置または予防における使用のためのクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよびFGFまたはそれらの活性なフラグメントを含む融合ポリペプチドを提供する。本明細書はまた、可溶性クロトータンパク質を含む治療有効用量の医薬組成物を必要とする個体に投与することを含む、加齢関連状態(例えば、筋萎縮)を処置または予防する方法を提供する。
【0060】
本明細書は、さらに、個体における病理学的疾患、例えば、加齢関連状態、代謝障害、高リン血症または石灰沈着症、慢性腎臓疾患または慢性腎不全の医薬としての治療における使用のための、または処置における使用のための、または癌または乳癌を予防するための、上記ペプチドおよび融合ポリペプチドまたは該ペプチドを含む医薬組成物を提供する。さらに、本明細書は、病理学的疾患の処置、特に上記障害、好ましくは加齢関連状態、例えば、筋萎縮の処置のための医薬の製造における、本発明のポリペプチド、核酸または医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0061】
本明細書はまた、個体における加齢関連状態または代謝障害を処置または予防するためのキットを含む。キットは、使用のための指示書およびクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有する精製されたクロトー融合ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0062】
本明細書はまた、本明細書のクロトー融合ポリペプチドを生産するためのキットを提供する。本明細書のキットは、使用のための指示書およびクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0063】
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドは、(a)線維芽細胞増殖因子またはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含むポリペプチド、および(b)減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントまたはその機能的に活性な変異体もしくは誘導体(例えば、少なくとも1つの保存アミノ酸置換および/または1つのアミノ酸欠失を含む変異体)を含む。
【0064】
本明細書の1つの態様において、(a)のポリペプチドおよび(b)のポリペプチドは、ポリペプチドリンカーにより連結される。リンカーは、1から30回またはそれ以上繰り返し得る。
【0065】
本明細書の1つの態様において、ポリペプチドリンカーは、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17および配列番号:18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む
【0066】
本明細書の1つの態様において、(a)のポリペプチドは該ポリペプチドリンカーのN−末端にペプチド結合により連結されており、(b)のポリペプチドは該ポリペプチドリンカーのC−末端にペプチド結合により連結されている。
【0067】
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドはシグナルペプチドをさらに含む。
本明細書の1つの態様において、シグナルペプチドはIgGシグナルペプチドである。
【0068】
本明細書の1つの態様において、線維芽細胞増殖因子は、線維芽細胞増殖因子−23または線維芽細胞増殖因子−23変異体(R179Q)である。
本明細書の1つの態様において、線維芽細胞増殖因子は、線維芽細胞増殖因子−19または線維芽細胞増殖因子−21である。
【0069】
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドは、配列番号:51または配列番号:53のアミノ酸配列と95%以上同一であるアミノ酸配列を含む。
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドは配列番号:51または配列番号:53のアミノ酸配列を含む。
本明細書の1つの態様において、融合ポリペプチドはFcLALAを含む。
3.図面の簡単な説明
【発明を実施するための形態】
【0078】
4.詳細な説明
本明細書は、加齢関連状態および代謝障害を予防または処置するための方法、キットおよび組成物、ならびに病理学的疾患の治療における該組成物の医薬としての使用または処置における使用に関する。本明細書の融合ポリペプチドは、クロトータンパク質またはその活性なフラグメントを含む。いくつかの態様において、本明細書の融合ポリペプチドは、線維芽細胞増殖因子ポリペプチドまたはその活性なフラグメントに作動可能に連結したクロトータンパク質またはその活性なフラグメントを含む。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFcRnへの結合する能力および/または増加した血清における安定性を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。別の態様において、融合ポリペプチドは、FGF(例えば、FGF23)および減少したFcRnへの結合する能力および/または増加した血清における安定性を有する修飾されたFcフラグメントを含む。
【0079】
本明細書の融合タンパク質またはsクロトーは、種々の加齢関連状態、例えば、サルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、期待寿命の低下(diminished life expectancy)、記憶障害、しわ、腎機能障害および加齢性難聴、ならびに代謝障害、例えば、II型糖尿病、メタボリック・シンドローム、高血糖および肥満の処置および予防において有用である。
【0080】
本発明は、少なくとも一部分において、物理的制約条件(例えば、クロトーおよびFGFポリペプチド両方の大きいサイズ)にもかかわらず、クロトー−FGF融合ポリペプチドがFGF受容体の活性化において非常に有効である発見に基づく。これらの2つのタンパク質の融合物がヘテロ二量化、したがってタンパク質の活性化を妨げるであろう;例えば、タンパク質の結合ドメインが融合物により乱され得るか、例えば、タンパク質の結合ドメインが融合物により乱され得るか、または「シス」構造を構築するとき、タンパク質が空間的に間違った方向に向けられ得ることを考慮すると、この発見は予期されないものである。
【0081】
単独で、または別のポリペプチドと一緒に投与されるクロトーまたはFGFと比較して活性を増強させる、単一の治療タンパク質の投与を可能にするため、本明細書に記載されている融合ポリペプチドには利点がある。2つの別々のポリペプチド(すなわち、クロトーポリペプチドおよび別のFGFポリペプチド)よりもむしろ単一の融合ポリペプチドとしてのクロトーおよびFGFの使用が、FGF受容体の活性化にさらに有効である。
【0082】
定義
本明細書において使用される「クロトーポリペプチド」、「クロトータンパク質」または「クロトー」は、野生型「クロトー」の活性なフラグメント、誘導体、模倣物、変異体および化学的に修飾された化合物またはそれらのハイブリッドを含む。活性なクロトーフラグメントは、FGFポリペプチドに結合する能力を有する。一般的に、活性なクロトーポリペプチドは少なくとも1つのクロトーサブドメイン(例えば、KL−D1およびKL−D2)を含む。野生型クロトーは天然で見出されたとおりのアミノ酸配列を有する。本明細書において使用するために適当な例のクロトーポリペプチドは、アルファ−クロトー(配列番号:2)およびベータ−クロトー(配列番号:4)を含む。アルファ−クロトーおよびベータ−クロトーのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、GenBankデータベースにおいてそれぞれ受入番号NM_004795、NP_004786およびNM_175737、NP_783864において見出せる。クロトーポリペプチドは米国特許第6,579,850号(この内容をその全体において出典明示により本明細書に包含させる)において記載されているものを含む。クロトーポリペプチドは、マウス(NP_038851)、ラット(NP_112626)、ウサギ(NP_001075692)のアルファ−クロトーおよびマウス(NP_112457)のベータ−クロトーを含むヒト以外の他の種のものを含む。アルファ−クロトーを有することが予測される種は、チンパンジー(XP_522655)、マカク(XP_001101127)、ウマ(XP_001495662)、ウシ(XP_001252500)、カモノハシ(XP_001510981)およびニワトリ(XP_417105)を含む。ベータ−クロトーを有することが予測される種は、チンパンジー(XP_526550)、マカク(XP_001091413)、ウマ(XP_001495248)、イヌ(XP_536257)、ラット(XP_001078178)、カモノハシ(XP_001512722)およびニワトリ(XP_423224)を含む。クロトーポリペプチドは、配列番号:2または配列番号:4のアミノ酸配列と実質的に同一である。すなわち、配列番号:2または配列番号:4のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列またはそれらの活性なフラグメントを有する。
【0083】
本明細書において使用される「融合ポリペプチド」または「融合タンパク質」は、天然に同じポリペプチドに存在しない2つ以上の別々のポリペプチドまたはそれらの活性なフラグメントを含むポリペプチドを意味する。いくつかの態様において、2つ以上の別々のポリペプチドは、ペプチド結合によりインフレームで、互いに作動可能に共有結合、例えば、化学的に結合または融合されている。本明細書において使用される「クロトー融合ポリペプチド」は、クロトーポリペプチドのアミノ酸配列またはその活性なフラグメントを含む融合ポリペプチドである。融合ポリペプチドは、非限定的な例として、クロトー(例えば、sクロトー)、FGF(例えば、FG23)、および減少したFC−ガンマ−受容体に対する結合親和性および/もしくは増加した血清半減期)を有する(所望により)修飾されたFcフラグメント(例えば、修飾されたFcフラグメントを含み得る。融合ポリペプチドのこの型の例は、配列番号46から49にに示される。別の態様において、融合タンパク質は、FGF(例えば、FGF23)および修飾されたFc(例えば、FcLALA)を含む。FGF23およびFcLALAを含む融合タンパク質は、配列番号50、51、52および53に記載されている。FcLALAは、効率低下でADCCを誘導し、弱くヒト補体に結合し、活性化するLALA変異(L234A、L235A)を有するFcフラグメントである。Hessellら 2007 Nature 449:101-104。
【0084】
「繊維芽細胞増殖因子」および「FGF」は、本明細書において互換的に使用され、ヒト対象を含む動物における細胞増殖、移動、分化、ホメオスタシス、組織修復および損傷応答を調節するポリペプチドを示す。FGFは、繊維芽細胞増殖因子受容体に結合し、FGFRの自己リン酸化、FRS2(FGF受容体基質2)およびERK1/2(細胞外シグナル−調節タンパク質キナーゼ1/2)のリン酸化およびEgr−1(初期増殖応答−1)の活性化を含む活性を調節する能力を有する。「FGF」なる用語は、例えば、当分野で既知である、ならびに米国特許第7,223,563号および米国特許第7,259,248号(これらの内容をその全体において出典明示により本明細書に包含させる)において記載されている、野生型「FGF」の活性なフラグメント、誘導体、模倣物、変異体および化学的に修飾された化合物またはそれらのハイブリッドを含む。野生型FGFは天然で見出されたとおりのアミノ酸配列を有する。本発明において使用するために適当な例の繊維芽細胞増殖因子は、繊維芽細胞増殖因子−19(FGF19;配列番号:31)、繊維芽細胞増殖因子−21(FGF21;配列番号:33)および繊維芽細胞増殖因子−23(FGF23;配列番号:35)を含む。FGFポリペプチドは、マウスFGFを含むヒト以外の他の種のものを含む。一般的に、FGFポリペプチドは、配列番号:31、配列番号:33または配列番号:35のアミノ酸配列と実質的に同一である。すなわち、配列番号:31、配列番号:33または配列番号:35のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上または100%同一であるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列またはそれらの活性なフラグメントを有する。FGF、特にFGF23のさらなる非限定的な例は、配列番号:47のaa1002−1228、配列番号:49のaa1002−1228、配列番号:51のaa1−251および配列番号:53のaa1−251、ならびに、これらの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上または100%同一である配列で提供される。これらの配列をコードするヌクレオチドは、配列番号:46、48、50および52において提供される。
【0085】
「FGF」なる用語は完全長ポリペプチドの活性なフラグメントを含む。対応するFGF受容体に結合することができる活性なFGFフラグメントは、当分野で既知であり、本明細書の使用において考慮される。本明細書に記載されている配列に基づいて、FGFの重複フラグメントが、例えば、Sambrookら (1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)およびAusubelら (1997, Current Protocols in Molecular Biology, Green & Wiley, New York)に記載されている標準組換え技術を使用して生産することができることは、当業者に理解される。本明細書に存在する記載に基づいて、FGFフラグメントの生物学的活性がFGF受容体への結合を含む当分野で既知の、および本明細書に記載されている方法により試験することができることは、当業者に理解される。同様に、必要なFGFシグナル伝達機構(すなわちFGF受容体)を有する細胞培養モデルは、FGFフラグメントでトランスフェクトされ、次に野生型FGFと比較してFGFシグナル伝達における変化に関して試験され得る。
【0086】
FGFは、特に異なるFGFサブファミリー中で、長さおよび一次配列両方において高度に異なるN−およびC−末端配列の横に配置されている、FGF核相同性ドメイン(約120アミノ酸長)の相同性に基づいて7つのサブファミリーに分類される(Goetzら Molecular and Cellular Biology, 2007, Vol 27, 3417-3428)。FGF活性ポリペプチドは、一般的に少なくとも1つのFGF核相同性ドメインを含む。いくつかの態様において、FGF活性ポリペプチドは、FGF核相同性ドメインに加えて、結合FGF受容体においてさらなる特異性を与え得るフランキング配列を含み得る。リガンドの核領域が他のFGFと比較して高い配列同一性を共有するため(FGF19対FGF21:38%同一性、FGF19対FGF23:36%同一性)、FGF19、FGF21およびFGF23はFGF19サブファミリーに分類される。FGF19サブファミリーメンバーは内分泌腺系のシグナル伝達分子と同様に作用し、古典的なFGFに珍しくない異なる生理学的プロセスを調節する(例えば、FGF19:エネルギーおよび胆汁酸ホメオスタシス、FGF21、グルコースおよび脂質代謝、およびFGF23、リン酸塩およびビタミンDホメオスタシス)。
【0087】
本明細書において使用される「繊維芽細胞増殖因子受容体」および「FGFR」は、当分野で既知のFGFR1−4のいずれか、またはそれらのスプライス変異体(例えば、FGFR1c)を示す。本明細書において使用するために適当な例の繊維芽細胞増殖因子受容体は、繊維芽細胞増殖因子受容体−19(例えば、FGFR4−ベータクロトー)、繊維芽細胞増殖因子受容体−21(例えば、FGFR1c−アルファクロトー)および繊維芽細胞増殖因子受容体−23(例えば、FGFR1c−アルファクロトー、FGFR3−アルファクロトー、FGFR4−アルファクロトー)を含む。
【0088】
本明細書において使用される「細胞外ドメイン」は、細胞の外側に存在する(例えば、細胞内または膜貫通領域を含まない)膜貫通タンパク質のフラグメントを示す。「クロトータンパク質の細胞外ドメイン」、「可溶性クロトー」または「sクロトー」(例えば、配列番号:7;配列番号:39)は、繊維芽細胞増殖因子に結合することができる、および/または繊維芽細胞増殖因子に結合することにより繊維芽細胞増殖因子が繊維芽細胞増殖因子受容体に結合することを可能にすることができるクロトーポリペプチドの細胞外ドメインを示す。クロトー細胞外ドメインは、全長アルファクロトー配列(配列番号:2)のアミノ酸残基28−982および全長ベータクロトー配列(配列番号:4)のアミノ酸残基52−997に対応する。
【0089】
「クロトータンパク質の細胞外サブドメイン」は、繊維芽細胞増殖因子を結合することができる、および/または繊維芽細胞増殖因子への結合により繊維芽細胞増殖因子の繊維芽細胞増殖因子受容体への結合を可能にすることができる、クロトーポリペプチドの細胞外ドメインの領域を示す。種々の態様において、融合ポリペプチドは、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチド、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチド、および、所望により、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントを含む。クロトー細胞外ドメインは、繰り返されている2つの相同サブドメイン、すなわち、KL−D1(配列番号:5)およびKL−D2(配列番号:6)を有する。KL−D1およびKL−D2は、それぞれ、全長アルファクロトーポリペプチド(配列番号:2)のアミノ酸残基58−506および517−953、ならびに、それぞれ、全長ベータクロトーポリペプチド(配列番号:4)のアミノ酸残基77−508および571−967に対応し、本明細書において使用するために適当である。一般的に、少なくとも1つのクロトーサブドメインを含むポリペプチドは活性なクロトーポリペプチドである。本明細書のポリペプチドにおいて使用するためのクロトー細胞外サブドメインは、それぞれ配列番号:5または配列番号:37のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するアルファクロトーまたはベータクロトーKL−D1ドメインであり得る。さらに、クロトーKL−D1ドメインは、配列番号:5または配列番号:37のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を有し得る。クロトー細胞外サブドメインは、また、それぞれ配列番号:6または配列番号:38のアミノ酸配列と実質的に同一であるアルファまたはベータクロトーポリペプチドKL−D2ドメインであり得る。さらなる態様において、KL−D2ドメインは、配列番号:6または配列番号:38のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、クロトータンパク質の少なくとも2つの細胞外サブドメイン(例えば、KL−D1およびKL−D2、タンデムリピートにおけるKL−D1およびKL−D1、タンデムリピートにおけるKL−D2およびKL−D2など)を含む。
【0090】
本明細書において使用される「修飾されたFcフラグメント」は、修飾された配列を含む抗体のFcフラグメントを意味する。Fcフラグメントは、CH2、CH3およびヒンジ領域の部分を含む抗体の一部である。修飾されたFcフラグメントは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4由来であり得る。FcLALAは、効率低下でADCCを誘導し、弱くヒト補体に結合し、活性化するLALA変異(L234A、L235A)を有する修飾されたFcフラグメントであるHessellら 2007 Nature 449:101-104。Fcフラグメントに対するさらなる修飾は、例えば、米国特許第7,217,798号に記載されている。例えば、種々の修飾されたFcフラグメントにおいて、(a)アミノ酸残基250はグルタミン酸であり、アミノ酸残基428はフェニルアラニンである、または(b)アミノ酸残基250はグルタミンであり、アミノ酸残基428はフェニルアラニンである、または(c)アミノ酸残基250はグルタミンであり、アミノ酸残基428はロイシンである。いくつかの態様において、アミノ酸残基250および428は、アミノ酸残基250がグルタミン酸またはグルタミンであり、アミノ酸残基428がロイシンまたはフェニルアラニンである修飾されていないFc融合タンパク質において存在する残基が異なっており、アミノ酸残基は米国特許第7,217,798号に記載されているEU番号制により番号付けされる。いくつかの態様において、修飾されたFc−融合タンパク質は、pH8.0でよりもpH6.0でFcRnに対するより高い親和性を有する。好ましくは、修飾されたFcフラグメントは、減少したFcRnに対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する。修飾されたFcフラグメントの非限定的な例は、配列番号:47のaa(アミノ酸)1234−1459、配列番号:49のaa1234から1450、配列番号:51のaa257から482および配列番号:53のaa257から473、ならびに、これらの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上または100%同一である配列を含む。これらの配列をコードするヌクレオチドは、配列番号:46、48、50および52において提供される。
【0091】
本明細書において使用される「シグナルペプチド」は、小胞体へのタンパク質の翻訳後輸送を指向して、切断され得るペプチド鎖(3−60アミノ酸長)を意味する。本明細書において使用するために例の典型的なシグナルペプチドはクロトーシグナルペプチド(配列番号:19)およびIgGシグナルペプチド(配列番号:20)を含む。産生細胞系により分泌および開裂されると、シグナルペプチド(例えば、配列番号:19および配列番号:20に対応するペプチドの)は開裂されることに注意すること。したがって、産生細胞系によるシグナルペプチドの分泌および開裂後、配列番号:19のペプチドは配列番号:41のペプチドを産生する。
【0092】
本明細書において使用される「リンカー」は、互いに結合することができるように、共有結合が2つ以上のポリペプチドまたは核酸を結合する機能の基(例えば、化学物質またはポリペプチド)を意味する。本明細書において使用される「ペプチドリンカー」は、2つのタンパク質を互いに結合する(例えば、クロトーの細胞外ドメインおよび繊維芽細胞増殖因子−23を結合する)ために使用される1つ以上のアミノ酸を意味する。本明細書において使用するために適当なペプチドリンカーは、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17および配列番号:18により示されているアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むが、これらに限定されない。ポリペプチドリンカーは、これらのアミノ酸配列のいずれかの少なくとも1、最大約30の繰り返しを含み得る。
【0093】
本明細書において使用される「作動可能に連結している」は、生体分子と関連する生物学的機能、活性および/または構造を少なくとも保持することができるような2つ以上の生体分子の結合を意味する。ポリペプチドに関して、該用語は、2つ以上のポリペプチドの結合がそれぞれのポリペプチド成分の少なくともいくつかのそれぞれの個々の活性を保持する融合ポリペプチドとなることを意味する。2つ以上のポリペプチドは直接、またはリンカーを介して結合し得る。核酸に関して、該用語は、適当な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が第2のポリヌクレオチドに結合しているとき、第1のポリヌクレオチドが第1のポリヌクレオチドの転写を指向する第2のポリヌクレオチドに隣接して配置されることを意味する。
【0094】
本明細書において使用される「特異的に結合する」は、第1の分子がそれ自体と他の標的分子間の非共有相互作用の形成をもたらす特定の構造を取ることができるため、第1の分子が暴露され得る多くの異なる型の分子の中から1つの標的分子に結合することができることを示す。第1の分子は安定な複合体を形成する標的に結合するが、他の何らかの非特異的な分子に対して、実質的にあまり、認識せず、接触せず、または第1の分子と複合体を形成しない。
【0095】
本明細書において使用される「ポリペプチド変異体」または「タンパク質変異体」は、1つ以上のアミノ酸が参照配列から異なるアミノ酸により置換されているポリペプチドを示す。いくつかのアミノ酸が、以下に記載されているポリペプチド(保存的置換)の活性の性質を変化することなく広範に同様の性質を有して、他のものにより置換され得ることは当分野で理解されている。これらの用語は、また、1つ以上のアミノ酸が付加されたか、もしくは欠失されたか、または異なるアミノ酸で置換されたポリペプチド、例えば、タンパク質アイソフォームを包含する。本明細書において使用するために適当な繊維芽細胞増殖因子−23の変異体の例は、繊維芽細胞増殖因子−23変異体(R179Q)である。
【0096】
本明細書において使用される「医薬組成物」は、個体における疾患または障害を処置または予防するために投与され得る化合物(例えば、本明細書の融合ポリペプチド)を含む組成物を意味する。
【0097】
本明細書において使用される「個体」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジまたはネコを含むが、これらに限定されない哺乳動物を示す。
【0098】
本明細書において使用される「処置」は、疾患の発症または進行を減少、抑制、減衰、軽減、阻止または安定させることを意味する。本明細書との関係において、本明細書のポリペプチドの投与は、サルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、期待寿命の低下、記憶障害、しわ、腎機能障害および加齢関連難聴を含む加齢関連状態、ならびにII型糖尿病、メタボリック・シンドローム、高血糖および肥満を含む代謝障害を処置するために使用され得る。
【0099】
本明細書において使用される「予防」は、対象における障害の発症を減少させる、または障害またはそれに関連する症状を有する危険性を減少させることを意味する。本明細書との関係において、本明細書のポリペプチドの投与は、サルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、期待寿命の低下、記憶障害、しわ、腎機能障害および加齢関連難聴を含む加齢関連状態、ならびにII型糖尿病、メタボリック・シンドローム、高血糖および肥満を含む代謝障害を予防するために使用され得る。予防は、加齢関連状態または代謝障害の完全な、例えば、全体の欠如であり得る。予防は、また、対象における加齢関連状態または代謝障害の発症の可能性が本明細書を受けていない対象よりも発症する可能性を低くするような、部分的なものであり得る。
【0100】
本明細書において使用される「疾患」は、細胞、組織または臓器の正常機能を損なう、または妨げるすべての状態または障害を意味する。
【0101】
本明細書において使用される「加齢関連状態」は、母集団における発生率または個体における重症度が年齢の進行と関連があるすべての疾患または障害を意味する。1つの態様において、加齢関連状態は、100,000個体以上の選択された母集団中で、30−40歳のヒト個体と比較して60歳以上のヒト個体中で発生率が少なくとも1.5倍である疾患または障害である。本明細書に関連する加齢関連状態は、サルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、期待寿命の低下、記憶障害、しわ、腎機能障害および加齢関連難聴を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書において使用される「代謝障害」は、細胞におけるエネルギー生産または細胞、組織、臓器もしくは個体における毒素の蓄積に影響することにより、細胞、組織または臓器における正常機能を損なう、または妨げるすべての疾患または障害を意味する。本明細書に関連する代謝障害は、II型糖尿病、メタボリック・シンドローム、高血糖および肥満を含むが、これらに限定されない。
【0103】
「有効用量」または「有効量」は、有益な、または望ましい臨床結果をもたらすために十分な量である。本明細書との関係において、それは、意図された薬理学的、治療または予防結果を引き起こすために十分なクロトー融合ポリペプチドまたはsクロトーの量である。治療有効用量は、障害または障害の1つ以上の症状(例えば、加齢関連状態または代謝障害)の予防または改善をもたらす。治療有効用量は、対象および処置される疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与様式などに依存して変化し、当業者によって容易に決定することができる。
【0104】
本明細書において使用される「クロトー核酸分子」は、クロトータンパク質をコードする遺伝子である。例のヒトクロトー遺伝子は、GenBank受入番号NM_004795(配列番号:1)で提供される。クロトーのさらなる非限定的な例は、配列番号:47のaa1−982および配列番号:49のaa1−982、ならびに、これらの配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上または100%同一である配列で提供される。
【0105】
本明細書において使用される「フラグメント」は、ポリペプチドまたは核酸分子の一部を示す。この一部は、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上を含む。フラグメントは10、20、30、40、50、60、70、80、90または100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000または最大3000ヌクレオチドまたはアミノ酸を含み得る。
【0106】
「実質的に同一」なる用語は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されているアミノ酸配列のいずれか1つ)または核酸配列(例えば、本明細書に記載されている核酸配列のいずれか1つ)と少なくとも50%同一性を示すポリペプチドまたは核酸分子を示す。好ましくは、このような配列は、アミノ酸レベルまたは核酸において、比較のために使用される配列と少なくとも60%、70%、75%、80%または85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である。
【0107】
本明細書は、加齢関連状態および代謝障害を予防または処置するための方法、キットおよび組成物、および病理学的疾患の治療における使用のための、または、処置における使用のための医薬としての、該組成物の使用に関する。いくつかの態様において、本明細書は、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを有する融合ポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、線維芽細胞増殖因子またはその活性なフラグメントをさらに含む。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。他の態様において、融合ポリペプチドは、修飾されたFc(例えば、FcLALA)に融合したFGF(例えば、FGF19、FGF21、FGF23またはFGF23変異体R179Q)を含む。FcLALAは、効率低下でADCCを誘導し、弱くヒト補体に結合し、活性化するLALA変異(L234A、L235A)を有するFcフラグメントである。クロトー細胞外ドメインはアルファまたはベータクロトーアイソフォームのいずれか由来であり得る。さらに、クロトー融合ポリペプチドのFGF成分は繊維芽細胞増殖因子−19、繊維芽細胞増殖因子−21および繊維芽細胞増殖因子−23に関して主に記載されているが、23の既知のFGFまたはそれらの活性なフラグメントのすべてが本明細書の実施において使用することができると考えられる。
【0108】
クロトータンパク質の細胞外ドメインは、クロトータンパク質のKL−D1およびKL−D2ドメインの1つまたは両方を含むことができる。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは、クロトータンパク質の少なくとも2つの細胞外サブドメインを有する。例えば、少なくとも2つの細胞外サブドメインは、タンデムリピートにおける少なくとも2つのKL−D1ドメイン、タンデムリピートにおける少なくとも2つのKL−D2ドメイン、または少なくとも1つのKL−D1ドメインおよび少なくとも1つのKL−D2ドメインであり得る。
【0109】
クロトータンパク質の細胞外サブドメインおよび繊維芽細胞増殖因子(またはそれらの活性なフラグメント)は、種々の方向および様式において互いに作動可能に連結することができる。例えば、クロトータンパク質の細胞外サブドメインは繊維芽細胞増殖因子のN−末端に作動可能に連結されていてよく、あるいは繊維芽細胞増殖因子はクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインのN−末端に作動可能に連結されていてもよい。
【0110】
本明細書の融合ポリペプチドは、クロトー細胞外ドメイン、すなわち、KL−D1(配列番号:5)およびKL−D2(配列番号:6)の1つまたは両方を含み得る。KL−D1およびKL−D2は、それぞれ全長アルファクロトーポリペプチド(配列番号:2)のアミノ酸残基58−506および517−953ならびに全長ベータクロトーポリペプチド(配列番号:4)のアミノ酸残基77−508および571−967に対応し、本明細書において使用するために適当である。クロトー融合ポリペプチドは、配列番号:5のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するアルファクロトーポリペプチドまたは配列番号:37のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するベータクロトーポリペプチドのKL−D1ドメインを有し得る。具体的には、クロトー融合ポリペプチドは、配列番号:5または配列番号:37と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を有し得る。クロトー融合ポリペプチドは、配列番号:6のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するアルファクロトーポリペプチドまたは配列番号:38のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するベータクロトーポリペプチドのKL−D2ドメインを有し得る。具体的には、クロトー融合ポリペプチドは、それぞれ配列番号:6または配列番号:38と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を有し得る。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書のクロトー融合ポリペプチドは可溶性であり、FGF受容体に結合することができる。
【0112】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを有するポリペプチドおよび繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを接続するポリペプチドリンカーを含むことができる。適当なリンカーは当分野で既知であり、一般的にいくつかのGlyおよびいくつかのSer残基、例えば、(Gly
4 Ser)
3(配列番号:11)、Gly
4 Serポリペプチド(配列番号:12)、Gly(配列番号:13)、Gly Gly(配列番号:14)、Gly Ser(配列番号:15)、Gly
2 Ser(配列番号:16)、Ala(配列番号:17)およびAla Ala(配列番号:18)を含む。いくつかの態様において、リンカーは配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18のいずれかに記載されているアミノ酸配列の少なくとも2から最大約30までの繰り返しを有する。
【0113】
ポリペプチドリンカーが本明細書のクロトー融合ポリペプチドに存在するとき、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを有するポリペプチドは、ポリペプチドリンカーのC−末端にペプチド結合により接続されているFGFと、リンカーポリペプチドのN−末端にペプチド結合により接続されていてもよい。あるいは、FGFは、ポリペプチドリンカーのC−末端にペプチド結合により接続されている、クロトーの少なくとも1つの細胞外サブドメインを有するポリペプチドと、リンカーポリペプチドのN−末端にペプチド結合により接続されていてもよい。化学的リンカーが、また、2つのポリペプチドを連結するために使用することができる。
【0114】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドはシグナルペプチドを含み得る。クロトー融合ポリペプチドにおいて使用するためのシグナルペプチドの例は、クロトーシグナルペプチド(配列番号:8)およびIgGシグナルペプチド(配列番号:9)を含むが、これらに限定されない。
【0115】
いくつかの態様において、本明細書は、FGF(例えば、FGF19、FGF21、FGF23またはFGF23変異体R179Q)および修飾されたFc(例えば、FcLALA)間の融合ポリペプチドを提供する。融合ポリペプチドはまた、所望によりFGFおよびFc部分間のリンカーを含み得る。融合ポリペプチドはまた、所望によりシグナルペプチドを含み得る。種々の態様において、本明細書は、これらの融合ポリペプチドをコードする核酸、これらの核酸を含むベクターおよびこれらの核酸を含む宿主細胞を含む。
【0116】
4.1.クロトーおよび繊維芽細胞増殖因子ポリペプチド
本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、天然のFGFに相当する生物学的活性を示す、例えば、FGF受容体に結合し、FGF受容体、FRS2(FGF受容体基質2)およびERK1/2(細胞外シグナル−調節タンパク質キナーゼ1/2)のリン酸化を誘導し、Egr−1(初期増殖応答−1)遺伝子を活性化させることが期待される。FGFは、FGF受容体に結合する分泌ペプチド増殖因子である。FGFのアミノ酸および核酸配列は、当業者が容易に利用することができる。例えば、例のFGF19、FGF21およびFGF23の核酸配列(配列番号:30、32および34として本明細書に記載されている)は、GenBankデータベースにおいて、それぞれアクセッションナンバー:NM_005117、NM_019113およびNM_020638の下に見出すことができる。例のFGF19、FGF21およびFGF23のアミノ配列(配列番号:31、33および35として本明細書に記載されている)は、GenBankデータベースにおいて、それぞれアクセッションナンバー:NP_005108、NP_061986およびNP_065689の下に見出すことができる。さらに、FGFはタンパク質の発現に役立つ1つ以上の変化を含み得る(例えば、FGF23(R179Q)変異体(配列番号:36))。
【0117】
クロトータンパク質は、細胞外ドメインおよび短い細胞質ドメインを有する130kDaの1回膜貫通型タンパク質である。クロトーのアミノ酸および核酸配列は、当業者が容易に利用することができる。例えば、例のアルファ−クロトーおよびベータ−クロトーの核酸配列(配列番号:7および8として本明細書に記載されている)は、GenBankデータベースにおいて、それぞれアクセッションナンバー:NM_004795およびNM_175737の下に見出すことができる。例のアルファ−クロトーおよびベータ−クロトーのアミノ酸配列(配列番号:2および4として本明細書に記載されている)は、GenBankデータベースにおいて、それぞれアクセッションナンバー:NP_004786およびNP_783864の下に見出すことができる。
【0118】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、繊維芽細胞増殖因子受容体に結合することができ、繊維芽細胞増殖因子−19(配列番号:31)、繊維芽細胞増殖因子−21(配列番号:33)、繊維芽細胞増殖因子−23(配列番号:35)またはそれらの変異体(繊維芽細胞増殖因子−23変異体(R179Q)(配列番号:36)を含む)のいずれかに作動可能に連結しているアルファ−クロトーまたはベータ−クロトー細胞外ドメインを有する。
【0119】
具体的には、本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、繊維芽細胞増殖因子−23(配列番号:35)または繊維芽細胞増殖因子−23変異体(R179Q)(配列番号:36)に作動可能に連結しているアルファ−クロトー(配列番号:2)を含み得る。さらに、本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、繊維芽細胞増殖因子−19(配列番号:31)に作動可能に連結しているベータ−クロトー(配列番号:4)を有し得る。本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、繊維芽細胞増殖因子−21(配列番号:33)に作動可能に連結しているベータ−クロトー(配列番号:4)を含み得る。
【0120】
本明細書は、種々のクロトーおよびFGF遺伝子およびこれらの遺伝子によってコードされるタンパク質のホモログを含む。遺伝子に関して、「ホモログ」は、遺伝子の少なくとも一部と実質的に同一である核酸配列もしくはその相補鎖またはそれらの一部を意味する、ただし、核酸配列が遺伝子によってコードされるタンパク質と実質的に同じ活性/機能を有するタンパク質をコードする。本明細書に記載されている遺伝子のホモログは、推定ホモログのアミノ酸または核酸配列と遺伝子またはそれらによってコードされるタンパク質配列間の同一性パーセントにより同定することができる(例えば、クロトーおよびFGFをコードする遺伝子に対する核酸配列またはそれらの相補鎖)。同一性パーセントは、例えば、視覚的検査により、または当分野で既知の、または本明細書に記載されている種々のコンピュータープログラムを使用することにより測定され得る。配列同一性は、一般的に、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST, BESTFIT, GAPまたはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失および/または他の修飾に関して相同性の程度を割り当てることにより、同一または同様の配列を合わせる。保存アミノ酸置換は、一般的に、以下のグループ内の置換を含む。
グリシンおよびアラニン、
バリン、イソロイシンおよびロイシン、
アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミン、
セリンおよびスレオニン、
リジンおよびアルギニン、ならびに
フェニルアラニンおよびチロシン。
【0121】
したがって、アラニンへのグリシンの変異、グリシンへのアラニンの変異、イソロイシンまたはロイシンへのバリンの変異、イソロイシンのバリンまたはロイシンでの置換、ロイシンのバリンまたはイソロイシンでの置換などは、保存アミノ酸置換である。本明細書は、少なくとも1つの保存アミノ酸置換を有する本明細書に記載されている全てのアミノ酸配列の変異体を提供する。
【0122】
同一性の程度を測定するための手段の例において、密接な関連配列を示すプロバビリティスコアe
−3からe
−100を使用するBLASTプログラムが使用され得る。
【0123】
1つの態様において、本明細書は、配列番号:19の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:20の融合ポリペプチドを提供する。
1つの態様において、本明細書は、配列番号:40の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:41の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
1つの態様において、本明細書は、配列番号:46の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:47の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:48の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:49の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する
1つの態様において、本明細書は、配列番号:50の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:51の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
1つの態様において、本明細書は、配列番号:52の融合ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:53の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:54の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
【0124】
別の態様において、本明細書は、配列番号:55の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:56の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:57の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:58の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:59の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:60の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:61の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:62の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:63の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
【0125】
別の態様において、本明細書は、配列番号:64の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:65の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:66の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:67の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
別の態様において、本明細書は、配列番号:68の融合ポリペプチドまたは少なくとも1つの保存アミノ酸置換を含むその変異体を提供する。
【0126】
本明細書において使用される「相同性」および「相同」なる用語は、理論上共通の遺伝的先祖を有するタンパク質を示すことに限定せず、進化した遺伝的に関連し得ないが、それにもかかわらず、同様の機能を行い、および/または同様の構造を有するようなタンパク質を含む。本明細書に記載されている機能的相同性の種々のタンパク質は、また、ホモログである対応するタンパク質の活性を有するタンパク質を含む。機能的相同性を有するタンパク質に関して、それらがそれらのアミノ酸配列において有意な同一性を有する必要はなく、むしろ、機能的相同性を有するタンパク質は同様の、または同一の活性を有することにより定義される。例えば、クロトー分子に関して、ポリペプチドはFGFポリペプチドへの結合の機能的特徴と有し、FGFRへのFGFの結合が可能であるべきである。FGF分子に関して、ポリペプチドはFGFRに結合し、FGFRの活性化(例えば、リン酸化)を引き起こす機能的特徴を有するべきである。FGF受容体へのFGF結合および/またはFGFシグナル伝達経路の活性化を評価するためのアッセイは、当分野で既知であるか、または本明細書に記載されている(実施例2参照)。クロトー活性を評価するためのアッセイも、当分野で既知であるか、本明細書に記載されている(例えば、FGFポリペプチドへの結合)。構造的相同性を有するタンパク質は、類似の三次(または四次)構造を有するものとして定義されるが、それらをコードする遺伝子に対するアミノ酸同一性または核酸同一性は必ずしも必要ではない。ある特定の状況では、構造的ホモログはタンパク質の活性部位または結合部位のみで構造的相同性を維持するタンパク質を含み得る。
【0127】
構造的および機能的相同性に加えて、本明細書は、さらに本明細書に記載されている種々のクロトーおよびFGFアミノ酸配列とアミノ酸同一性を有するタンパク質を包含する。2つのアミノ酸配列の同一性/相同性パーセントを決定するために、該2つの配列を最適な比較目的のために並べる(例えば、一方のタンパク質のアミノ酸配列と最適なアライメントのために、ギャップをもう一方のタンパク質のアミノ酸配列に導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。一方の配列の位置がもう一方の配列の対応する位置に同じアミノ酸残基が存在するとき、それらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列において共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の#/位置の全#×100)。
【0128】
本明細書に記載されている本明細書の分子のアミノ酸配列は、本明細書に記載されているアミノ酸配列と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一または相同であるアミノ酸配列を有する。
【0129】
本明細書に記載されている本明細書の分子の核酸配列は、本明細書に記載されている核酸配列とハイブリダイズするか、または本明細書に記載されている核酸配列と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一または相同である核酸配列を有する。
【0130】
本明細書の融合ポリペプチドにおいて使用するために適当な核酸分子は、ストリンジェント条件下で、クロトーまたはFGFをコードする核酸分子の相補体にハイブリダイズするクロトーまたはFGF核酸配列を有し得る。本明細書において使用される「ストリンジェント条件下でハイブリダイズする」なる用語は、互いに少なくとも約70%、80%、85%、90%以上相同である核酸配列が一般的に互いにハイブリダイズの維持下にて、ハイブリダイゼーションおよび洗浄する条件を表すことを意図する。このようなストリンジェント条件は当業者に既知であり、Ausubelら Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York (2001), 6.3.1-6.3.6において見出すことができる。特定の非限定的な例のストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃でハイブリダイゼーション、次に0.2×SSC、0.1%のSDS中で50−65℃での1回以上の洗浄である。
【0131】
4.2.本明細書のクロトー−FGF融合ポリペプチド
本明細書のいくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは、クロトーポリペプチドの第1のポリペプチド配列またはそれらの活性なフラグメントおよびFGFをコードする第2のポリペプチド配列またはそれらの活性なフラグメントを有するポリペプチド鎖を有する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0132】
本明細書は、配列番号:19−28に存在するアミノ酸配列と少なくとも約95%以上相同である融合ポリペプチドを含む。配列番号:19のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体(配列番号:36)のN−末端に結合しているクロトー細胞外ドメインを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:20のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体のN−末端に結合しているシグナルペプチドを欠いているクロトー細胞外ドメインのN−末端に結合しているIgGシグナルペプチドを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:21のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体のN−末端に結合しているKL−D1細胞外サブドメインを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:22のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体のN−末端に結合しているKL−D2細胞外サブドメインを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:23のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体のN−末端に結合している2つのKL−D1細胞外サブドメインを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:24のアミノ酸配列は、FGF23(R179Q)変異体のN−末端に結合している2つのKL−D2細胞外サブドメインを有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:25のアミノ酸配列は、クロトー細胞外ドメインのN−末端に結合しているFGF23(R179Q)変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:26のアミノ酸配列は、KL−D1細胞外サブドメインのN−末端に結合しているFGF23(R179Q)変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:27のアミノ酸配列は、KL−D2細胞外サブドメインのN−末端に結合しているFGF23(R179Q)変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:28のアミノ酸配列は、2つのKL−D1細胞外サブドメインのN−末端に結合しているFGF23(R179Q)変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。配列番号:29のアミノ酸配列は、2つのKL−D2細胞外サブドメインのN−末端に結合しているFGF23(R179Q)変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0133】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、配列番号:7に記載されているアミノ酸配列と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を含み得る。配列番号:7のアミノ酸配列はシグナルペプチドを欠いているクロトー細胞外ドメインをコードする。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。
【0134】
対象融合タンパク質は本明細書に記載されており、当分野で既知の方法を使用して製造することができる。例えば、本明細書の融合ポリペプチドは、米国特許第6,194,177号に記載されているとおりに構築され得る。クロトーポリペプチドの使用は、米国特許第6,579,850号に記載されている。FGF核酸分子の使用は、米国特許第7,223,563号に記載されている。
【0135】
いくつかの態様において、クロトーをコードする核酸分子は、PCRによりクローニングされ、インフレームで、FGFをコードする核酸分子と結合される。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。融合ポリペプチドをコードする核酸は、発現を可能にするプロモーターに作動可能に連結している。次に、融合ポリペプチドをコードする核酸分子を発現のための宿主細胞にトランスフェクトする。最終構築物の配列はシーケンシングにより確認することができる。
【0136】
本明細書の融合タンパク質を製造するとき、クロトーの細胞外サブドメインをコードする核酸分子を、インフレームでFGFをコードする核酸分子および修飾されたFcフラグメントをコードする(任意の)核酸に融合する。得られた核酸分子の発現は、FGFポリペプチドに関してN−末端で融合しているクロトーの細胞外サブドメインを生じる。融合物は、クロトーの細胞外サブドメインがFGFポリペプチドに関してC−末端で融合しているものも可能である。融合タンパク質を製造するための方法は当分野で既知である。
【0137】
本明細書の融合ポリペプチドは、一方のポリペプチドが1つのタンパク質配列またはドメイン、例えばクロトー由来であり、そして、もう一方のポリペプチドが別のタンパク質配列またはドメイン、例えばFGF由来である、共有結合されてた少なくとも2つのポリペプチドを有する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドは、減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントをさらに含む。別の態様において、本明細書は、修飾されたFcフラグメントに融合したFGFを含む。本明細書の融合ポリペプチドのクロトーおよび/またはFGFおよび/または(任意の)修飾されたFcフラグメントは、当業者によく知られている方法により連結することができる。これらの方法は化学的および組換え方法両方を含む。
【0138】
本明細書の融合ポリペプチドに組み込まれるドメインをコードする核酸は、組換え遺伝の分野における通常の技術を使用して得ることができる。本明細書において使用される一般的な方法を記載している基本的な文献は、Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubelら eds., 1994-1999)を含む。本明細書のクロトー融合ポリペプチドをコードする核酸において、配列番号:1および配列番号:3それぞれにより示されているアルファ−クロトーまたはベータ−クロトーをコードする核酸配列が使用され得る。クロトー融合ポリペプチドをコードする核酸において、配列番号:30、配列番号:32および配列番号:34それぞれにより示されているFGF19、FGF21またはFGF23をコードする核酸配列が使用され得る。本明細書に記載されている本明細書の分子の核酸配列は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:30、配列番号:32または配列番号:34とハイブリダイズするか、または少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一または相同である核酸配列を含む。
【0139】
融合物の種々の成分[クロトーおよび/またはFGFペプチドおよび/または(任意の)修飾されたFcフラグメント]をコードする核酸配列は、種々の方法のいずれかを使用して得ることができる。例えば、ポリペプチドをコードする核酸配列は、プローブとのハイブリダイゼーションによりcDNAおよびゲノムDNAライブラリーからクローニングされるか、またはオリゴヌクレオチドプライマーとの増幅技術を使用して単離され得る。より一般的には、増幅技術はDNAまたはRNA鋳型を使用してクロトーおよびFGF配列を増幅および単離するために使用される(例えば、Dieffenfach & Dveksler, PCR Primers: A Laboratory Manual (1995)、参照)。あるいは、重複オリゴヌクレオチドは合成的に生産し、1つ以上のドメインを生産して連結することができる。クロトーまたはFGFをコードする核酸は、また、プローブとして抗体を使用して発現ライブラリーから単離することができる。
【0140】
本明細書において、融合物の種々の成分[クロトー、および/またはFGFおよび/または(任意の)修飾されたFcフラグメント]は、アミノ酸リンカーを含む共有結合リンカー、例えば、ポリグリシンリンカー、または炭水化物リンカー、脂質リンカー、脂肪酸リンカー、ポリエーテルリンカーを含む別のタイプの化学リンカー、例えば、PEGなどで直接、または、それらを介してのいずれかで連結することができる(例えば、Hermanson, Bioconjugate techniques (1996)、参照)。融合物/融合ポリペプチドを形成するポリペプチドは、一般的に、C−末端からN−末端に連結するが、それらは、C−末端からC−末端、N−末端からN−末端またはN−末端からC−末端に連結することもできる。1つ以上のポリペプチドドメインが、本明細書の融合ポリペプチド内の内部の位置に挿入され得る。融合タンパク質のポリペプチドは任意の順番であり得る。融合ポリペプチドは、隣接して融合タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチドを製造することにより、1つのタンパク質配列からのアミノ酸鎖、例えば、クロトーの細胞外サブドメインと別のタンパク質配列からのアミノ酸鎖、例えば、FGFの共有結合により生産され得る。融合タンパク質におけるアミノ酸の異なる鎖は、互いに直接的にスプライシングされるか、化学結合基またはアミノ酸結合基を介して互いに間接的にスプライシングされ得る。アミノ酸結合基は、約200以上のアミノ酸長または一般的に1から100アミノ酸長であり得る。いくつかの態様において、プロリン残基がリンカーに組み込まれ、リンカーによる重要な二次構造成分の構成を妨げる。リンカーは、しばしば、組換え融合タンパク質の一部として合成されるフレキシブルなアミノ酸部分配列であり得る。このようなフレキシブルなリンカーは当業者に既知である。
【0141】
本明細書において、融合物[クロトーの細胞外サブドメインおよび/またはFGFおよび/または(任意の)修飾されたFcフラグメント]のアミノ酸配列は、ペプチドリンカーを介して連結されていてもよい。例のペプチドリンカーは当分野で既知であり、本明細書に記載されている。例えば、ペプチドリンカーは、一般的に、いくつかのGlyおよびいくつかのSer残基、例えば:(Gly
4 Ser)
3(配列番号:11)、Gly
4 Serポリペプチド(配列番号:12)、Gly(配列番号:13)、Gly Gly(配列番号:14)、Gly Ser(配列番号:15)、Gly
2 Ser(配列番号:16)、Ala(配列番号:17)およびAla Ala(配列番号:18)を含む。特に、本明細書の融合タンパク質において使用するためのペプチドリンカーは、フレキシブルなヒンジとして作用し得る。
【0142】
クロトーまたはFGFのシグナル配列は、本明細書の融合タンパク質へのクロトーの導入前に、除去され得る。融合タンパク質のクロトーまたはFGFに対するシグナル配列は、例えば、配列番号:19により示されているポリペプチドを含み得る。しかしながら、このような配列は、また、除去されるか、または異なるタンパク質のシグナル配列、例えば、IgGシグナル配列(配列番号:9)で置き換えられ得る。一般的に、本明細書の医薬組成物はクロトーおよびFGFの成熟形態を含む。
【0143】
一般的に、イントロンは、融合ポリペプチドへの導入の前に、クロトーまたはFGF部分のいずれか1つまたは両方から除外される。
【0144】
本明細書の融合ポリペプチドは、1つ以上の活性アミノ酸側鎖に共有結合した1つ以上のポリマーを含み得る。非限定的な例として、このようなポリマーは、1つ以上の遊離のシステインスルフヒドリル残基と結合することができるポリエチレングリコール(PEG)を含み、それにより、タンパク質が酸化条件に暴露されたとき、ジスルフィド結合および凝集の形成をブロックすることができる。加えて、本明細書の融合ポリペプチドのペグ化は、半減期、溶解度およびプロテアーゼ抵抗性の増加のようなこのような改良された特性を提供することが期待される。あるいは、本明細書の融合ポリペプチドは、遊離アミノ基、例えば、リシンイプシロンまたはN−末端アミノ基へのポリマーの共有結合的付加により修飾され得る。共有結合修飾に対して特定の特異的なシステインおよびリシンは、受容体結合、ヘパリン結合または適当なタンパク質フォールディングに関連しないものある。特定のアミノ酸残基の修飾が望ましいタンパク質の活性に影響するか否かを測定するために、融合ポリペプチドの生化学的および/または生物学的活性をアッセイするための方法が使用され得ることは、当業者に明らかである。他の同様の適当な修飾が考えられ、当分野で既知である。
【0145】
本明細書は、また、配列番号:19−28に存在するアミノ酸配列と少なくとも約95%以上相同である融合ポリペプチドの発現に関する。
【0146】
本明細書は、(a)クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインまたはそれらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体を含むポリペプチド、(b)線維芽細胞増殖因子またはそれらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体を含むポリペプチド、および(c)減少したFc−ガンマ−受容体に対する親和性および/もしくは増加した血清半減期を有する修飾されたFcフラグメントを含む融合ポリペプチドを含む。「それらの機能的に活性な変異体もしくは誘導体」は、生物学的活性を保持するが、対応する野生型ポリペプチドよりもより長い、より短いまたは改変されたアミノ酸配列を含む変異体もしくは誘導体を意味する。したがって、クロトータンパク質の細胞外サブドメインまたは線維芽細胞増殖因子の「機能的に活性な変異体もしくは誘導体」は、野生型ポリペプチド配列の少なくとも1つの生物学的活性を保持するが、野生型クロトータンパク質の細胞外サブドメインまたは線維芽細胞増殖因子よりもより少ない、より多いまたは改変されたアミノ酸配列を含む。本明細書に記載されているポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体はまた、翻訳後修飾(例えば、ペグ化、メチル化および/またはグリコシル化)において変化しているか、またはそれに加えられたさらなる部分または因子を有するが、本明細書に記載されているポリペプチドの同じアミノ酸配列を含み得る。種々の態様において、FGF23の変異体もしくは誘導体は、R179Qを含むか、または含まない。
【0147】
1つの態様において、機能的に活性な変異体もしくは誘導体ポリペプチドは、本明細書に記載されている配列(例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインまたは線維芽細胞増殖因子)と少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、ポリペプチドは、本明細書に記載されている配列と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上同一である。
【0148】
本明細書において使用される2つのアミノ酸配列(または2つの核酸配列)の同一性パーセントは、KarlinおよびAltschul(PNAS USA 87:2264-2268, 1990)のアルゴリズムを使用して決定され、Karlin and Altschul, PNAS USA 90:5873-5877, 1993)において修飾される。このようなアルゴリズムは、Altschulら(J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で行われる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で行われる。比較目的のためのギャップアラインメントを取得するために、GappedBLASTを、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997)に記載されているとおりに利用し得る。BLASTおよびGappedBLASTプログラムを利用するとき、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを、本発明の核酸分子に対して相同のヌクレオチド配列を得るために使用し得る。
【0149】
同一性または同一は、アミノ酸配列(または核酸配列)類似性を意味し、当分野で認識される意味を有する。同一性を有する配列は、同一の、または同様のアミノ酸(または核酸)を共有する。したがって、参照配列と85%のアミノ酸配列同一性を共有する候補配列が、参照配列と候補配列の以下のアラインメントの後に、候補配列における85%のアミノ酸が、参照配列における対応するアミノ酸と同一であり、そして/または保存アミノ酸変化を構成することを必要とする。
【0150】
本明細書に記載されているポリペプチドの機能的に活性な変異体は、元のポリペプチドまたはフラグメントの実質的に同じ機能活性を保持する。天然機能的に活性な変異体、例えば、対立遺伝子変異体および種変異体および非天然機能的に活性な変異体は、本発明において含まれ、例えば、変異誘発技術または直接合成により生産することができる。
【0151】
機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、本明細書に記載されているポリペプチドから約または少なくとも、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60またはそれ以上のアミノ酸残基で異なっている。この比較がアラインメントを必要とするとき、配列は最大相同性となるようにアラインされる。変異部位は、本明細書に記載されているポリペプチドと実質的に同様の活性を有する限り、ポリペプチド中どこでも起こり得る。
【0152】
表現型でサイレントアミノ酸置換を有する変異体および誘導体を作製する方法についての案内は、Bowieら Science, 247:1306-1310 (1990)において提供され、これは、アミノ酸配列の変化への耐用性を研究するための2つの主な戦略があることを教示している。
【0153】
第1の戦略は、進化の過程の自然選択によるアミノ酸置換の耐用性を利用する。異なる種中のアミノ酸配列を比較することにより、種間で保存されているアミノ酸位置を同定することができる。例えば、
図5参照。これらの保存されたアミノ酸は、タンパク質機能のために重要であろう。対照的に、置換が自然選択によって耐用性であるアミノ酸位置は、タンパク質機能に重要でない位置を示す。したがって、アミノ酸置換に耐用性である位置は修飾することができるが、ポリペプチドの特定の結合活性を維持している。
【0154】
第2の戦略は、タンパク質機能に重要である領域を同定するために、クローン遺伝子の特定の位置にアミノ酸変化を導入する遺伝子操作を使用する。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニン−スキャン変異誘発(分子中の全ての残基において単一のアラニン変異の導入)を使用することができる(Cunninghamら Science, 244:1081-1085 (1989))。
【0155】
タンパク質のアミノ酸に変異を導入する方法は、当業者によく知られている。例えば、Ausubel (ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1994); T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))参照。変異もまた、市販のキット、例えば、「QuikChange.TM. Site-Directed Mutagenesis Kit」(Stratagene)を使用して導入することができる。ポリペプチドに対してポリペプチドの機能に影響しないアミノ酸を置換することによるポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体の産生は、当業者により成し遂げることができる。
【0156】
変異体または誘導体は、例えば、少なくとも1つの生物学的活性を保持する1つ以上の保存的置換を有し得る。保存的置換は、ペプチド化学の当業者が、ポリペプチドの二次構造および水に対する性質が実質的に変化しないと予期されるように、アミノ酸を同様の特性を有する別のアミノ酸に置換された置換である。一般的に、アミノ酸の以下のグループは保存変化を示す:(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr、(2)cys、ser、tyr、thr、(3)val、ile、leu、met、ala、phe、(4)lys、arg、his、および(5)phe、tyr、trp、his。
【0157】
変異体および誘導体の特定の例は、限定はしないが、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体および誘導体、例えば、野生型配列(配列番号:5または6に記載されている)とわずか約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60またはそれ以上のアミノ酸残基の違いを有する、少なくとも約100、150、200、250、300、350、375、400または425個の隣接するクロトーの細胞外ドメインのアミノ酸(例えば、配列番号:5または6)を含み、野生型ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を保持しているポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約400個の隣接する配列番号:5または6のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約50個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約400個の隣接する配列番号:5または6のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約25個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約425個の隣接する配列番号:5または6のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約10個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約425個の隣接する配列番号:5または6のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。別の例においてクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、野生型配列とわずか約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、100、110、120、140、150、160、170、180、190または200個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、925、950または982個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約500個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約600個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約700個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約800個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約100個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約900個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインを含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約50個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約900個の隣接する配列番号:7のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。
【0158】
変異体および誘導体の特定の例は、限定はしないが、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体および誘導体、例えば、野生型配列(配列番号:31、33または35に記載されている)とわずか約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60またはそれ以上のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約100、125、150、150、175、200、225または250個の隣接する線維芽細胞増殖因子のアミノ酸、例えば、FGF19(配列番号:31)、FGF21(配列番号:33)またはFGF23(配列番号:35)を含み、野生型ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を保持しているポリペプチドを含む。種々の態様において、変異体または誘導体は、R179Q変異を含み得るか、または含むことができない。例えば、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約25個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約150個の隣接する配列番号:31、33または35のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約25個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約175個の隣接する配列番号:31、33または35のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約25個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約200個の隣接する配列番号:31、33または35のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約50個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約225個の隣接する配列番号:35のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。例えば、線維芽細胞増殖因子を含むポリペプチドの機能的に活性な変異体もしくは誘導体は、わずか約25個のアミノ酸残基の違いを有する少なくとも約225個の隣接する配列番号:35のアミノ酸を含むポリペプチドを含む。
【0159】
4.3.本明細書の融合ポリペプチドの発現
本明細書の融合タンパク質を発現するために、本明細書に記載されているいずれかの方法または当分野で既知である方法により得られるDNA分子を、当分野で既知の技術により適当な発現ベクターに挿入することができる。例えば、二本鎖cDNAは、ホモポリマーの付加または合成DNAリンカーの使用に関連する制限酵素結合または平滑末端ライゲーションにより、適当なベクターにクローニングすることができる。DNAリガーゼは、通常、DNA分子をライゲートするために使用され、望ましくない結合はアルカリホスファターゼでの処理により避けることができる。
【0160】
したがって、本明細書は、本明細書に記載されている核酸分子(例えば、遺伝子または遺伝子をコードする組換え核酸分子)を含むベクター(例えば、組換えプラスミドおよびバクテリオファージ)を含む。「組換えベクター」なる用語は、組換えベクターが由来する天然または非人工の核酸分子において含まれる核酸配列よりも、より多い、より少ない、または異なる核酸配列を含むように、変化、修飾または加工されたベクター(例えば、プラスミド、ファージ、ファスミド、ウイルス、コスミド、フォスミドまたは他の精製された核酸ベクター)を含む。例えば、組換えベクターは、本明細書において定義されている調節配列、例えば、プロモーター配列、終結配列および/または人工リボソーム結合部位(RBS)に作動可能に連結しているクロトー−FGF23融合物をコードする核酸配列を含み得る。ベクターに包含されている遺伝子または核酸の発現が可能である組換えベクターを「発現ベクター」と称する。
【0161】
真核生物宿主において、異なる転写および翻訳調節配列は、宿主の性質に依存して使用され得る。それらはアデノウイルス、ウシパピローマ・ウイルス、シミアン・ウイルスなどのウイルス源由来であり得、調節シグナルは高レベルの発現を有する特定の遺伝子と関連している。例えば、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40早期プロモーター、酵母菌ga14遺伝子プロモーターなどを含むが、これらに限定されない。転写開始調節シグナルは、遺伝子の発現を調節することができるように抑制または活性化することができるものを選択され得る。
【0162】
本明細書に記載されているいくつかの本明細書の分子において、融合ポリペプチドの1つ以上のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を有する1つ以上のDNA分子は、望ましいDNA分子を宿主細胞に組み込むことができる1つ以上の調節配列に作動可能に連結している。導入されたDNAにより安定に形質転換された細胞は、例えば、発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することにより、選択することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、発現する核酸配列に直接結合するか、または共トランスフェクションにより同じ細胞に導入することができる。さらなる因子が、また、本明細書に記載されているタンパク質の最適な合成のために必要であり得る。使用するさらなる因子がどれであるかは、当業者に明白である。
【0163】
特定のプラスミドまたはウイルスベクターの選択において重要な因子は、ベクターを含む受容細胞が認識され、ベクターを含まない受容細胞から選択される容易さ、特定の宿主において望ましいベクターのコピーの数、および、異なる種の宿主細胞間のベクターを「往復する」ことができることが望ましいかどうかを含むが、これらに限定されない。
【0164】
発現に関するDNA配列を含むようにベクターを構築するとき、例えば、形質転換、トランスフェクション、コンジュゲーション(conjugation)、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム−沈降、直接マイクロインジェクションなどを含むが、これらに限定されない、当分野で既知の1つ以上の種々の適当な方法により、適当な宿主細胞に導入され得る。
【0165】
宿主細胞は、原核生物または真核生物のいずれかであり得る。真核生物宿主細胞の例は、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、サル、マウスおよびチャイニーズハムスター(CHO)細胞を含む。このような細胞は、例えば、正しいフォールディングまたはグリコシル化を含むタンパク質の翻訳後修飾を容易にする。さらに、酵母細胞も本明細書の融合ポリペプチドを発現するために使用することができる。多くの哺乳動物細胞のように、酵母細胞も、例えば、グリコシル化を含むタンパク質の翻訳後修飾を可能にする。酵母菌におけるタンパク質の生産のために利用することができる強いプロモーター配列および高コピー数プラスミドのどれを利用するかにおいては、多くの組換えDNA戦略が存在する。酵母菌の転写および翻訳機構は、クローニングされた哺乳動物の遺伝子産物におけるリーダー配列を認識することができ、それによりリーダー配列を有するペプチド(すなわち、前ペプチド)の分泌を可能にする。本明細書の融合ポリペプチドの高収率生産の特定の方法は、DHFR−欠損CHO細胞におけるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)増幅の使用を介して、米国特許第4,889,803号に記載されているメトトレキサートのレベルの連続的な増加の使用によるものである。得られたポリペプチドをグリコシル化してもよい。
【0166】
1つ以上のベクターの導入後、宿主細胞を、通常、ベクター含有細胞の増殖を選択する選択培地中で増殖させる。組換えタンパク質の精製は、当分野で既知の、または本明細書に記載されているいずれかの方法、例えば、抽出、沈降、クロマトグラフィーおよび電気泳動法に関するいずれかの慣用の方法により実施することができる。タンパク質を精製するために使用され得るさらなる精製方法は、標的タンパク質を結合するモノクローナル抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーである。一般的に、組換えタンパク質を含む粗製造物を、適当なモノクローナル抗体が固定されているカラムに通過させる。不純物は通過するが、タンパク質は、通常、特異的な抗体を介してカラムに結合する。カラムを洗浄後、タンパク質を、例えば、pHまたはイオン強度を変化させることにより、ゲルから溶離する。
【0167】
4.4.融合ポリペプチド活性を評価するためのアッセイ
本明細書に記載されているアッセイ(実施例2、参照)および当分野で既知のものを、本明細書の融合ポリペプチドのクロトーまたはFGF活性を検出するために使用することができる。適当な活性アッセイは、受容体結合アッセイ、細胞増殖アッセイおよび細胞シグナル伝達アッセイを含む。例えば、融合ポリペプチドがクロトーまたはFGF活性を有するか否かを測定するために使用され得る結合アッセイは、融合ポリペプチドのFGF受容体への結合をアッセイすることを含む。FGF受容体結合アッセイは、競合および非競合アッセイ両方を含むが、これらに限定されない。例えば、FGF受容体結合は、FGF受容体を発現する細胞を標識FGF(例えば、放射性標識)と接触させ、非標識クロトー−FGF融合ポリペプチドの濃度を増加させることにより検出することができる。同じ受容体への結合に対して競合する2つのリガンドを、細胞を含む反応混合物に加える。次に細胞を洗浄し、標識FGFを測定する。非標識融合ポリペプチドの存在下で受容体に対する標識FGFの量の減少は、受容体へのクロトー−FGF融合ポリペプチドの結合を示す。あるいは、クロトー−FGF融合ポリペプチドを標識し、細胞への融合ポリペプチドの直接結合を検出してもよい。
【0168】
クロトーまたはFGF活性は、また、融合ポリペプチドが細胞応答を誘導するか否かを決定することにより測定することができる。例えば、いくつかの態様において、クロトー−FGF融合ポリペプチドの生物学的活性を検出するためのアッセイは、FGF受容体を発現する細胞を融合ポリペプチドと接触させ、細胞応答、例えば、細胞増殖またはEgr−1活性化、C2C12細胞における筋管直径をアッセイし、融合ポリペプチドの存在および非存在下で細胞応答を比較することを含む。融合ポリペプチド複合体の非存在下と比較して融合ポリペプチド複合体の存在下での細胞応答の増加は、融合ポリペプチドが生物学的活性を有することを示す。また、受容体からの下流シグナル伝達事象の増加も、生物学的活性(例えば、FGFR、FRS2、ERK1/2、p70S6Kのリン酸化など)の証拠として、測定することができる。
【0169】
4.5.医薬組成物および処置法
本明細書は、また、1つ以上の本明細書の融合ポリペプチドおよび薬学的に許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物に関する。該医薬組成物は薬学的有効用量のヘパリンをさらに含むことができる。このような医薬組成物はキットまたは容器に含まれ得る。このようなキットまたは容器には、融合ポリペプチドのインビボ半減期またはインビトロ寿命の延長に関する指示書と共にパッケージされていてもよい。所望により、このようなキットまたは容器には、医薬または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する行政機関により指示されている形での通知を添付することができ、この通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売の行政機関による承認を反映する。このような組成物は、医薬組成物を患者に投与することにより、患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける疾患または疾患症状(例えば、加齢関連状態または代謝障害)を処置、予防または改善する方法において使用され得る。
【0170】
一般的に、本明細書の医薬組成物の治療有効量は、約0.0001mg/kgから0.001mg/kg、0.001mg/kgから約10mg/kg体重または約0.02mg/kgから約5mg/kg体重である。一般的に、融合ポリペプチドの治療有効量は、例えば、約0.001mgから約0.01mg、約0.01mgから約100mgまたは約100mgから約1000mgである。好ましくは、融合ポリペプチドの治療有効量は、約0.001mg/kgから2mg/kgである。
【0171】
融合ポリペプチドに関する最適な医薬製剤は、投与経路および望ましい用量に依存して当業者により決定することができる(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990), Mack Publishing Co., Easton, Pa.、参照、この文献の全体を出典明示により本明細書に包含させる)。
【0172】
本明細書の融合ポリペプチドは、固体、液体または気体(エアロゾル)の形態であってよい医薬組成物として投与され得る。典型的な投与経路は、経口、局所、非経腸、舌下、経直腸、膣、皮内および鼻腔内を含むが、これらに限定されない。非経腸投与は、皮下注射、静脈内、筋肉内、腹膜内、胸膜内、胸骨内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は非経腸的に投与される。さらに好ましくは、組成物は静脈内に投与される。本明細書のポリペプチドが対象への組成物の投与時に生物学的に利用可能にするように、本明細書の医薬組成物を処方することができる。例えば、錠剤が単一の投与単位であり、エアロゾル形態の本明細書のポリペプチドの容器が複数の投与単位を入れることができるとき、組成物は1つ以上の投与単位の形態を取ることができる。
【0173】
医薬組成物の製造において使用される物質は使用される量において非毒性であり得る。医薬組成物における活性成分の最適な用量が種々の因子に依存することは当業者に明らかである。関連因子は、対象の型(例えば、ヒト)、対象の健康全般、処置の必要な対象の加齢関連状態または代謝障害の型、多剤レジメンの一部としての組成物の使用、本明細書のポリペプチドの特定の形態、投与様式および使用される組成物を含むが、これらに限定されない。
【0174】
薬学的に許容される担体またはビヒクルは、組成物が、例えば、錠剤または粉末形態で存在できるような粒子であり得る。担体は、例えば、経口シロップまたは注射可能な液体である組成物と共に液体であり得る。加えて、担体は、例えば、吸入投与に有用なエアロゾル組成物を提供するために気体であり得る。
【0175】
「担体」なる用語は、本明細書のポリペプチドと一緒に投与される希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を示す。このような医薬担体は、液体、例えば、水および油(石油、動物性、植物性または合成のものを含む)、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであり得る。担体は、塩水、アカシア・ゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、ウレアなどであり得る。加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を使用することができる。1つの態様において、対象に投与されるとき、本明細書のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体は滅菌される。本明細書のポリペプチドが静脈内投与されるとき、水は特定の担体である。塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液は、また、液体担体、特に注射可能溶液として使用され得る。適当な医薬担体は、また、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、ライス、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。望ましいとき、本組成物は少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含み得る。
【0176】
組成物は、経口投与用であり得、そのとき、組成物は好ましくは固体または液体形態であり、半固体、半液体、懸濁液およびゲル形態が本明細書において固体または液体のいずれかとして考慮される形態内に含まれる。
【0177】
経口投与用の固体組成物として、組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、錠剤、カプセル、チューインガム、ウエハースなどの形態に製剤化することができる。このような固体組成物は一般的に1つ以上の不活性な希釈剤を含む。加えて、1つ以上の以下のものが存在し得る、結合剤、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロースまたはゼラチン、賦形剤、例えば、デンプン、ラクトースまたはデキストリン、崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンデンプンなど、滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックス、流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリン、香味剤、例えば、ペパーミント、サルチル酸メチルまたはオレンジ香味剤、ならびに着色剤。
【0178】
医薬組成物がカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態であるとき、医薬組成物は、上記の型の物質に加えて、液体担体、例えば、ポリエチレングリコール、シクロデキストリンまたは脂肪油を含むことができる。
【0179】
医薬組成物は液体の形態、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルジョンまたは懸濁液であり得る。液体は経口投与または注射による送達のために有用であり得る。経口投与用のとき、組成物は1つ以上の甘味剤、防腐剤、色素/着色料および香味料を含み得る。注射による投与用の組成物において、また、1つ以上の界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤および等張剤を含み得る。
【0180】
溶液、懸濁液または他の形態であろうとなかろうと、本明細書の液体組成物は、また、1つ以上の以下のものを含むことができる、滅菌希釈剤、例えば、注射用水、塩水溶液、好ましくは生理食塩水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒体として働くことができる合成モノもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒、抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム、キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩および等張化剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経腸用の組成物は、ガラス、プラスチックまたは他の物質製であるアンプル、使い捨て注射器または複数回バイアルに包まれていてもよい。生理食塩水は特定の好ましいアジュバントである。注射可能な組成物は好ましくは滅菌である。
【0181】
医薬組成物は、適当な用量が得られる有効量の本明細書の化合物(例えば、融合ポリペプチド)を含む。医薬組成物は、それぞれの障害に対して現在処方されている既知の有効量の化合物を含み得る。
【0182】
加齢関連状態または代謝障害の予防、処置および/または管理において有効である予防および/または治療レジメンにおいて使用される本明細書のポリペプチドの投与経路は、当分野で既知の他の治療に対して現在処方されている投与形路に基づくことができる。本明細書のポリペプチドは、任意の便利な経路、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮性または皮膚粘膜裏当てを介する吸収(例えば、経口粘膜、経直腸および腸粘膜など)により投与することができる。投与は全身的または局所的であり得る。種々の送達系は、例えば、マイクロ粒子、マイクロカプセル、カプセルなどが知られており、本明細書のポリペプチドを投与するために有用であり得る。1つ以上の本明細書のポリペプチドが対象に投与され得る。投与の方法は、経口投与および非経腸投与、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、髄腔内、膣内、経皮を含むが、これらに限定されない非経腸投与、経直腸的、吸入による、または、眼、鼻、耳または皮膚への局所的を含むが、これらに限定されない。
【0183】
本明細書のポリペプチドは非経腸的に投与され得る。具体的には、本明細書のポリペプチドは静脈内に投与され得る。
【0184】
肺投与は、また、例えば、吸入器または噴霧器、およびエアロゾル剤との製剤の使用により、またはフルオロ炭素または合成肺界面活性剤でのかん流を介して、使用することができる。本明細書のポリペプチドは、また、伝統的な結合剤および担体、例えば、トリグリセリドと一緒に坐薬として製剤化することができる。
【0185】
本明細書のポリペプチドは制御放出系において送達することができる。例えば、ポンプを使用することができる(Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 1987, 14, 201; Buchwaldら Surgery 1980, 88: 507; Saudekら N. Engl. J. Med. 1989, 321: 574、参照)。ポリマー物質も、本明細書のポリペプチドの制御放出のために使用することができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, FL, 1974; Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York, 1984; Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 1983, 23, 61、参照;Levyら Science 1985, 228, 190; Duringら Ann. Neurol., 1989, 25, 351; Howardら J. Neurosurg., 1989, 71, 105も参照)。具体的には、制御放出系を、本明細書のポリペプチドの標的、例えば、脳の近接に置くことができ、したがって、全身投与量に対してほんのわずかしか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, 1984, pp. 115-138、参照)。Langerによる文献(Science 1990, 249, 1527-1533)において論じられている他の制御放出系を使用することができる。
【0186】
本明細書のポリペプチドの制御または持続放出を達成するために使用されるポリマー物質は、例えば、米国特許第5,679,377号、米国特許第5,916,597号、米国特許第5,912,015号、米国特許第5,989,463号、米国特許第5,128,326号、PCT公開WO99/15154およびPCT公開WO99/20253において記載されている。持続放出製剤において使用されるポリマーの例は、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)およびポリオルトエステルを含むが、これらに限定されない。好ましくは、持続放出製剤において使用されるポリマーは、不活性で、浸出される不純物を含まず、保存安定性、滅菌性かつ生分解性である。
【0187】
一般的に、本明細書の医薬組成物の治療有効量は、約0.0001mg/kgから0.001mg/kg、0.001mg/kgから約10mg/kg体重または約0.02mg/kgから約5mg/kg体重である。
【0188】
他の態様において、予防および/または治療レジメンは、少なくとも0.01μg/mLから少なくとも400μg/mLの本明細書のポリペプチドの血漿レベルを達成する、有効量の本明細書のポリペプチドを患者に1回以上投与することを含む。
【0189】
予防および/または治療レジメンは、少なくとも0.01μg/mLから400μg/mLの本明細書のポリペプチドの血漿レベルを維持する、有効量の本明細書のポリペプチドを患者へ複数回投与することを含み得る。予防および/または治療レジメンにて、少なくとも1日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月または9ヶ月間投与され得る。
【0190】
予防および/または治療レジメンは、1つ以上のさらなる治療と組み合わせての本明細書のポリペプチドの投与を含み得る。加齢関連状態または代謝障害の予防、処置および/または管理のために現在使用されている1つ以上の治療の推奨される用量は、Hardmanら eds., Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics, 10th ed., Mc-Graw-Hill, New York, 2001; Physician’s Desk Reference (60th ed., 2006)(この内容を出典明示により本明細書に包含させる)を含むが、これらに限定されない当分野の参考文献から得ることができる。
【0191】
本発明は、クロトータンパク質およびFGFのアゴニスト活性が望ましい障害を処置するための方法を含む。本明細書は、クロトータンパク質およびFGFのアゴニスト活性が望ましい病理学的疾患の治療における、または処置のための医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用をさらに含む。本明細書のこのような方法または使用の例は、加齢関連状態または代謝障害を含むが、これらに限定されない。
【0192】
本明細書は、個体における加齢関連状態を処置または予防するための方法、および個体における加齢関連状態を処置または予防するための治療における、または医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用を含む。処置の必要な対象は、加齢関連状態を処置または予防するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは薬理学的有効用量のヘパリンと共投与される。加齢関連状態はサルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、期待寿命の低下、記憶障害、しわ、腎機能障害および加齢関連難聴を含む。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドはアルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含む。特定の態様において、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインおよび繊維芽細胞増殖因子23を含むクロトー融合タンパク質は、筋肉疲労に対して処置の必要な対象に投与される。
【0193】
本発明は、また、個体における代謝障害を処置または予防するための方法、および個体における代謝障害を処置または予防するための治療における、または医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用に関する。処置の必要な個体は、代謝障害を処置するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび繊維芽細胞増殖因子およびFcRnへの減少した結合および/または増加した血清半減期および/または安定性を有する(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは薬理学的有効用量のヘパリンと共投与される。該方法はII型糖尿病、メタボリック・シンドローム、高血糖および肥満の処置または予防において使用され得る。特定の態様において、ベータ−クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインおよび繊維芽細胞増殖因子21を含むクロトー融合タンパク質は、代謝障害に対して処置の必要な対象に投与される。
【0194】
本明細書はまた、個体における高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するための方法、および個体における高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するための治療における、または医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用を提供する。処置の必要な個体は、高リン血症または石灰沈着症を処置するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは薬理学的有効用量のヘパリンと共投与される。特定の態様において、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインおよび線維芽細胞増殖因子23および(任意の)修飾されたFcフラグメントを含むクロトー融合タンパク質は、高リン血症または石灰沈着症に対して処置の必要な個体に投与される。
【0195】
本明細書は、また、個体における慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するための方法、および個体における慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するための治療における、または医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用を提供する。処置の必要な個体は、慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは薬理学的有効用量のヘパリンと共投与される。いくつかの態様において、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含むクロトー融合タンパク質は、慢性腎臓疾患または慢性腎不全に対して処置の必要な個体に投与される。
【0196】
本明細書はまた、個体における癌を処置または予防するための方法、個体における癌を処置または予防するための治療における、または医薬としての記載されているタンパク質、融合タンパク質、核酸分子または医薬組成物の使用を含む。処置の必要な個体は、癌を処置するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。該方法は乳癌の処置または予防において使用され得る。いくつかの態様において、クロトー融合ポリペプチドは薬理学的有効用量のヘパリンと共投与される。いくつかの態様において、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含むクロトー融合タンパク質は、癌に対して処置の必要な個体に投与される。
【0197】
クロトー融合ポリペプチドを含む医薬組成物を投与することにより障害を処置する方法において、または、治療においてクロトー融合ポリペプチドを含む医薬組成物を使用するとき、クロトー融合ポリペプチドおよび(任意の)修飾されたFcフラグメントはクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメインおよび線維芽細胞増殖因子を有する。特定の態様において、クロトー融合タンパク質は、ベータクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインおよび繊維芽細胞増殖因子21を含む。
【0198】
別の態様において、融合ポリペプチドは、FGF(例えば、FGF19、FGF21、FGF23またはFGF23変異体)および減少したFcRnへの結合および/または増加した血清安定性を有する修飾されたFcフラグメントを含む。この型の融合ポリペプチドを、上記種々の疾患において使用することができる、または当分野で知られているあらゆるFGF関連疾患を処置または予防するために使用することができる。融合ポリペプチドをそれを必要とする個体に投与することができる。
【0199】
融合ポリペプチド組成物は、当業者に知られている、および本明細書に記載されている投与方法にしたがって投与することができる。投与の特定の方法は皮下または静脈内を含む。他の有効な投与様式は本明細書に記載されている。
【0200】
4.6.処置法および有効性を評価するためのアッセイ方法
本明細書に記載されている融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、加齢関連状態または代謝障害を含む種々の障害を処置するために使用することができる。何らかの特定の理論に限定されることなく、融合ポリペプチドは、クロトーまたはFGFの調節異常がある障害を処置するために使用され得る。例の障害は代謝障害および加齢関連状態を含む。例えば、FGF23またはクロトーノックアウトマウス両方は、低い物理的活性、成長遅延、筋肉疲労、皮膚萎縮、アテローム性動脈硬化症、寿命の短縮などを含む種々の同様の表現型を示す(Razzaque and Lanske, J. of Endrocrinology, 194:1-10 (2007)、参照(これを出典明示により本明細書に包含させる))。
【0201】
特に、本明細書の融合ポリペプチドは、筋肉疲労を含む老化関連障害の処置において特に有用である。理論に束縛されることなく、ミネラル(例えば、リン酸塩およびカルシウム)およびビタミンDホメオスタシスをコントロールするクロトーおよびFGF23の能力は、これらのタンパク質が老化および筋萎縮を調節することを意味し得る。
【0202】
他方では、本明細書の融合ポリペプチドは、代謝障害を処置するために使用され得る。例えば、ベータ−クロトーおよびFGF19は、コレステロール7−α−ヒドロキシラーゼ(CYP7A1)を調節することにより、胆汁酸ホメオスタシスをコントロールすることが示されている。胆汁ホメオスタシス障害の非限定的な例は胆汁うっ滞である。ベータ−クロトーおよびFGF21は、脂肪細胞における脂肪分解を誘導し、したがって、脂肪貯蔵を減少させ、グルコース摂取を増加させることが示されている。脂肪分解/脂肪貯蔵障害の非限定的な例は代謝関連肥満および心臓血管疾患である。
【0203】
少なくとも、FGF23が尿におけるリン酸塩の排出を刺激することができ、それにより血清中のリン酸塩レベルを減少させる発見の一部に基づいて、本明細書のクロトー−FGF23融合ポリペプチドは、個体における高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するために使用することができる。例えば、患者におけるクロトーの欠損となるクロトーにおけるホモ接合型ミスセンス変異が深刻な腫瘍性石灰沈着症および動脈石灰化を引き起こし得ることが示されている(Ichikawaら J. Clin. Invest. 117:2684-2691 (2007)(これを出典明示により本明細書に包含させる))。個体は、高リン血症または石灰沈着症を処置または予防するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、線維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有するクロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。特に、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを含むクロトー融合ポリペプチドは、高リン血症または石灰沈着症を処置するために有用である。
【0204】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドはまた、個体における慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するために使用され得る。例えば、クロトー発現が、慢性腎不全を有さない患者の腎臓と比較して、慢性腎不全を有する患者の腎臓において減少していることが示されている(Kohら Biochem. Biophys. Res. Comm. 280:1015-1020 (2001)(これを出典明示により本明細書に包含させる))。個体は、慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置または予防するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。特に、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含むクロトー融合ポリペプチドは慢性腎臓疾患または慢性腎不全を処置するために有用である。
【0205】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドはまた、個体における癌を処置または予防するために使用され得る。例えば、クロトー発現が、正常乳癌組織と比較して、乳癌組織において減少していることが示されている(Wolfら Oncogene (2008)オンライン先行出版(これを出典明示により包含させる))。個体は、癌または乳癌を処置または予防するように、クロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外サブドメイン、繊維芽細胞増殖因子および(任意の)修飾されたFcフラグメントを有する、クロトー融合ポリペプチドを含む薬理学的有効用量の医薬組成物を投与される。特に、アルファクロトータンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含むクロトー融合タンパク質は癌または乳癌を処置するために有用である。
【0206】
加齢関連状態または代謝障害における本明細書のクロトー融合ポリペプチドの有効性を評価する、および/または有効用量を決定するための方法は、例えば、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、霊長類またはいくつかの他の非ヒト)または他の動物(例えば、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュまたは無脊椎動物、例えば、昆虫または線虫)を使用する生物ベースアッセイを含む。クロトー融合ポリペプチドは、1回またはレジメン(定期的または不規則的)のとおりに生物体に投与することができる。次に生物体のパラメーター、例えば、加齢関連パラメーターを評価する。興味あるクロトー融合ポリペプチドは、参照、例えば、コントロール生物体のパラメーターと比較して、パラメーターにおける変化をもたらす。他のパラメーター(例えば、毒性、クリアランスおよび薬物動態学に関連する)も評価され得る。
【0207】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドは、特定の障害、例えば、本明細書に記載されている障害、例えば、加齢関連障害、代謝障害を有する動物を使用して、評価され得る。これらの障害は、また、生理学における試験ポリペプチドの効果を観察することができる感受性の系を提供することができる。例の障害は、脱神経、廃用性萎縮、代謝障害(例えば、肥満および/または糖尿病動物、例えば、db/dbマウスおよびob/obマウスの障害)、脳、肝臓虚血、シスプラチン/タキソール/ビンクリスチンモデル、種々の組織(異種移植)移植物、トランスジェニック骨モデル、疼痛症候群(炎症性および神経障害を含む)、パラコート、遺伝毒性および酸化ストレスモデル、および腫瘍Iモデルを含む。
【0208】
加齢関連状態を測定するために、動物モデルはカロリー制限されたときに変化した表現型を有する動物であり得る。例えば、F344ラットは、クロトー融合ポリペプチドを評価するために有用なアッセイ系を提供する。カロリー制限されたとき、F344ラットはネフロパシーに対して0から10%の発生率を有する。しかしながら、自由食餌のとき、それらはネフロパシーに対して60から100%の発生率を有する。
【0209】
本明細書のクロトー融合ポリペプチドを評価するために、それを動物(例えば、F344ラットまたは他の適当な動物)に投与し、動物のパラメーターを、例えば、期間後に評価する。動物は自由食餌または通常であり得る(例えば、カロリー制限下ではないが、いくつかのパラメーターはこのような条件下で評価することができる)。一般的に、このような動物のコホートはアッセイのために使用される。一般的に、試験ポリペプチドがカロリー制限と同様の動物対象の表現型の方向におけるパラメーターに作用するとき、試験ポリペプチドは動物における寿命調節を好ましく変化させるものとして示すことができる。このような試験ポリペプチドは、生物体からカロリー摂取を奪うことなく、少なくともいくつかのカロリー制限の寿命調節効果、例えば、このような効果の一部をもたらし得る。
【0210】
試験すべきパラメーターは、年齢関連または疾患関連パラメーター、例えば、動物モデルと関連する障害の症状であり得る。例えば、試験ポリペプチドをSHラットに投与することができ、血圧をモニタリングする。好ましいと示される試験ポリペプチドは、該ポリペプチドで処理されていない同様の参照動物と比較して、症状の改善を引き起こすことができる。障害または老化に関連する他のパラメーターは、抗酸化レベル(例えば、抗酸化酵素レベルまたは活性)、ストレス抵抗性(例えば、パラコート抵抗性)、中核温、グルコースレベル、インスリンレベル、甲状腺−刺激ホルモンレベル、プロラクチンレベルおよび黄体形成ホルモンレベルを含み得る。
【0211】
加齢関連状態を処置するための本明細書のポリペプチドの有効性を測定するために、減少したクロトー発現を有する動物が使用され得る、例えば、変異クロトーを有するマウス;Kurooら Nature, 390; 45 (1997)および米国出願番号第2003/0119910号、参照(これら両方をそれら全体において出典明示により本明細書に包含させる)。例えば、試験ポリペプチドを変異マウスに投与し、加齢関連パラメーターをモニタリングする。好ましいと示される試験ポリペプチドは、該ポリペプチドで処理されていない同様の参照動物と比較して、症状の改善を引き起こすことができる。代謝障害または老化に関連するパラメーターは、体重の測定、生殖能力の獲得の検査、血糖レベルの測定、寿命の観察、皮膚の観察、歩行のような運動機能の観察などにより評価することができる。評価は、また、胸腺体重の測定、胸腔の内面上に形成された石灰化結節のサイズの観察などにより作ることができる。さらに、クロトー遺伝子またはクロトータンパク質に対するmRNAの定量も評価のために有用である。
【0212】
さらに、他のインビボモデルおよび生物アッセイは、代謝パラメーター、例えば、インスリン障害、II型糖尿病に関連するパラメーターに対して動物を評価することを含む。例の代謝パラメーターは、グルコース濃度、インスリン濃度およびインスリン感受性を含む。
【0213】
別の系の例は、例えば、動物モデルにおける腫瘍を特徴とする。腫瘍は自発的なものまたは誘導されたものであり得る。例えば、腫瘍は例えば、p53+またはp53−であり得る種々の遺伝的構成を有する細胞から発生し得る。自己免疫疾患である生物体、例えば、SLEにかかりやすいNZBマウスを使用することも可能である。骨疾患の特徴を評価するために、例えば、骨粗鬆症におけるモデルとして卵巣摘出した動物を使用することが可能である。同様に、関節疾患において、モデルはアジュバント関節炎に基づき(例えば、マウスが軟骨プロテオグリカン、高移動度グループタンパク質、連鎖球菌細胞壁物質またはコラーゲンの免疫を有し得る)、腎臓疾患において、kd/kdマウスを使用することができる。認知、特に学習および記憶の動物モデルも利用することができる。糖尿病およびその合併症の動物モデル、例えば、ストレプトゾトシンモデルも利用することができる。イヌモデルを、例えば、卒中および虚血を評価するために使用することができる。
【0214】
試験ポリペプチドが寿命調節を変化することができるか否かの評価において、多くの加齢関連パラメーターまたはバイオマーカーをモニタリングまたは評価することができる。例の加齢関連パラメーターは、(i)細胞または生物体の寿命、(ii)生物学的加齢依存発現パターンを有する細胞または生物体における遺伝子転写物または遺伝子産物の存在または不存在、(iii)ストレスに対する細胞または生物体の抵抗性、(iv)細胞または生物体の1つ以上の代謝パラメーター(例のパラメーターは循環インスリンレベル、血中グルコースレベル、脂肪含有量、中核温などを含む)、(v)細胞または生物体に存在する複数の細胞の増殖能、および(vi)細胞または生物体の外見または挙動を含む。
【0215】
「平均寿命」なる用語は、生物体のコホートの死の年齢の平均を意味する。いくつかの場合において、「平均寿命」は、コントロール環境条件下で、遺伝的に同一の生物体のコホートを使用して評価される。事故による死は除外される。平均寿命がコントロール環境条件下で決定できないとき(例えば、ヒト)、十分に大きな母集団に対する信頼性のある統計情報(例えば、保険数理表から)を平均寿命として使用することができる。
【0216】
2つのこのような生物体、例えば、1つの参照生物体およびクロトー融合ポリペプチドで処理された1つの生物体間の分子差の特性化は、生物体の生理学的状態における違いを示すことができる。参照生物体および処理された生物体は、一般的に同じ実年齢である。本明細書において使用される「実年齢」なる用語は、あらかじめ選択された事象、例えば、受胎、定義されている胎生または胎児期、または、さらに好ましくは、出生からの経過時間を示す。生物体が比較分析のための「同じ」実年齢であるかどうかを決定するために、種々の基準が使用することができる。一般的に、必要とされる精度の程度は、野生型生物体の平均寿命と相関関係である。例えば、実験室野生型株N2がいくつかのコントロール条件下で平均約16日間生存する線虫シー・エレガンスにおいて、同じ年齢の生物体は同じ日数の生存であってよい。マウスに関して、同じ年齢の生物体は、同じ週または月数、霊長類またはヒトに関して、同じ年数(または2、3または5年以内)などの生存であってよい。一般的に、同じ実年齢の生物体は、その種の野生型生物体の平均寿命の15、10、5、3、2または1%以内の時間の生存であってよい。好ましくは、生物体は成体であり、例えば、生物体は、少なくとも平均野生型生物体が繁殖能を有する齢に成熟する時間生存している。
【0217】
生物スクリーニングアッセイは、生物体が老化の明白な物理的特徴を示す前に実施することができる。例えば、生物体は、同じ種の野生型生物体の平均寿命の10、30、40、50、60または70%だけ生存した成体であり得る。代謝、免疫能力および染色体構造における加齢関連変化が報告されている。あらゆるこれらの変化を、試験対象(例えば、生物体ベースアッセイにおける)または患者(例えば、本明細書に記載されている治療処置の前、中または後)のいずれかに対して評価することができる。
【0218】
カロリー制限と関連するマーカーは、また、スクリーニングアッセイの対象生物体(または処置される対象)を評価することができる。これらのマーカーは加齢関連ではないかもしれないが、それらはクロトー経路が調節されるとき、変化する生理学的状態を示し得る。マーカーはmRNAまたはタンパク質であってよく、これらの多くはカロリー制限された動物において変化する。WO01/12851および米国特許第6,406、853号は例のマーカーを記載している。本明細書に記載されている動物細胞由来の細胞モデルまたは本明細書に記載されている動物モデルの類似物を細胞ベースアッセイのために使用することができる。
【0219】
筋萎縮における試験ポリペプチドの効果を評価するためのモデルは、1)例えば、中部の腿で右坐骨神経を切断することによる脱神経から生じるラット内側腓腹筋の筋肉量喪失、2)固定、例えば、90度の屈曲で固定された右足関節から生じるラット内側腓腹筋の筋肉量喪失、3)後肢懸垂から生じるラット内側腓腹筋の筋肉量喪失(例えば、米国2003−0129686、参照)、4)悪液質サイトカイン、インターロイキン−1(IL−1)での処理から生じる骨格筋萎縮(R. N. Cooney, S. R. Kimball, T. C. Vary, Shock 7, 1-16 (1997))、および5)グルココルチコイド、デキサメタゾンでの処理から生じる骨格筋萎縮(A. L. Goldberg, J Biol Chem 244, 3223-9 (1969))を含む。
【0220】
AMDに対する例の動物モデルは、滲出性(湿性)黄斑変性症を模倣するレーザー−誘導マウスモデル Boraら Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 100:2679-84 (2003)、AMDの「地図状萎縮」型と関連する特徴となるカテプシンDの変異型を発現するトランスジェニックマウス(Rakoczyら Am. J. Pathol., 161:1515-24 (2002))、およびCNVとなる網膜色素上皮においてVEGFを過剰発現するトランスジェニックマウスSchwesingerら Am. J. Pathol. 158:1161-72 (2001)を含む。
【0221】
パーキンソン病の動物モデルの例は、ドーパミン神経毒1−メチル−4フェニル1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)での処理によりパーキンソン病になった霊長類(以下参照、例えば、米国特許公開第20030055231号およびWichmannら Ann. N.Y. Acad. Sci., 991:199-213 (2003)、6−ヒドロキシドーパミン−障害ラット(例えば、Lab. Anim. Sci.,49:363-71 (1999))、およびトランスジェニック無脊椎動物モデル(例えば、Laksoら J. Neurochem. 86:165-72 (2003)およびLink, Mech. Ageing Dev., 122:1639-49 (2001))を含む。
【0222】
II型糖尿病の分子モデルの例は、欠損Nkx−2.2またはNkx−6.1を有するトランスジェニックマウス、(米国特許第6,127,598号)、ズッカー糖尿病肥満fa/fa(ZDF)ラット(米国特許第6,569,832号)、および自発的に肥満を発症し、次に頻繁に明白な2型糖尿病に進行するアカゲザル(Hottaら Diabets, 50:1126-33 (2001)、および2型糖尿病−様インスリン抵抗性を有するドミナント・ネガティブIGF−I受容体(KR−IGF−IR)を有するトランスジェニックマウスを含む。
【0223】
ニューロパシーに対する例の動物および細胞モデルは、マウス(米国特許第5,420,112号)またはウサギ(Ogawaら Neurotoxicology, 21:501-11 (2000))におけるビンクリスチン誘導感覚運動ニューロパシー、自律性ニューロパシーの試験のためのストレプトゾトシン(STZ)−糖尿病ラット(Schmidtら Am. J. Pathol., 163:21-8 (2003))、および進行性運動ニューロパシー(pmn)マウス(Martinら genomics, 75:9-16 (2001))を含む。
【0224】
高リン血症または腫瘍性石灰沈着症の動物モデルの例は、クロトーノックアウトマウスおよびFGF23ノックアウトマウス(Yoshidaら Endocrinology 143:683-689 (2002))を含む。
【0225】
慢性腎臓疾患または慢性腎不全の動物モデルの例は、COL4A3+/−マウス(Beirowskiら J. Am. Soc. Nephrol. 17:1986-1994 (2006))を含む。
【0226】
癌の動物モデルの例は、当分野で既知であるヌードマウスへの癌細胞または組織の移植または注入を含む(Giovanellaら Adv. Cancer Res. 44:69-120 (1985))。例えば、乳癌の動物モデルは、乳癌細胞または組織を移植または注入されたヌードマウスを含む(例えば、Yueら Cancer Res. 54:5092-5095 (1994); Glinskyら Cancer Res. 56:5319-5324 (1996); Visonneau Am. J. Path. 152:1299-1311 (1998))。
【0227】
当該組成物は、対象、例えば、成体対象、特に健常成体対象または加齢関連疾患を有する対象に投与することができる。後者の場合、当該方法は、例えば、加齢関連疾患の症状または他の疾患のマーカーを特徴付けるために対象を評価し、それにより神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病または加齢関連疾患を有するか、またはこのような疾患になりやすい対象を同定することができる。
【0228】
骨格筋萎縮
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、骨格筋萎縮を処置するために使用することができる。筋萎縮は、多数の神経筋、代謝、免疫および神経障害および疾患ならびに飢餓、栄養欠損、代謝ストレス、糖尿病、老化、筋ジストロフィーまたはミオパシーを含む。筋萎縮は老化プロセス中に起こる。筋萎縮は、また、筋肉の使用の減少または不使用による。症状は骨格筋組織量の減少で引き起こされる。ヒト男性において、筋肉量は50から80齢の間に1/3に減少する。筋萎縮のいくつかの分子特徴は、ユビキチンリガーゼの上方調節および筋原線維タンパク質の喪失を含む(Furunoら J. Biol. Chem., 265:8550-8557, 1990)。これらのタンパク質の崩壊は、例えば、アクチンの特異的成分であり、ミオシンの特定の筋肉中の3−メチル−ヒスチジン生産を測定することによって追跡することができる(Goodman, Biochem. J. 241:121-12, 1987 and Lowellら Metabolism, 35:1121-112, 1986; Stein and Schluter, Am. J. Physiol. Endocrinol.Metab. 272: E688-E696, 1997)。クレアチンキナーゼの放出(細胞損傷マーカー)(Jacksonら Neurology, 41: 101 104, 1991)も示され得る。
【0229】
非インスリン依存糖尿病
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、非−インスリン−依存糖尿病を処置するために使用することができる。非−インスリン−依存糖尿病は、「成人発症型」糖尿病および2型糖尿病とも呼ばれる。2型糖尿病は、また、「非−2型肥満」および「2型肥満」を含む。II型糖尿病は、(1)血中グルコースレベルバランスを維持するために必要な量未満のインスリンが生産される、膵臓−ベータ−島−細胞のインスリンの分泌の減少、および/または(2)体がインスリンに正常に応答しない「インスリン抵抗性」(米国特許第5,266,561号および米国特許第6,518,069号)により特徴付けることができる。例えば、グルコース−刺激インスリンレベルは、一般的に4.0nmol/L以上に上がらない(米国特許第5,266,561号)。例のII型糖尿病の症状は、空腹時の高血糖(米国特許第5,266,561号)、疲労、過度の口渇、頻尿、視力障害および感染率の増加を含む。II型糖尿病の指標は膵島のアミロイド沈着を含む。
【0230】
ニューロパシー
ニューロパシーは、運動、感覚、感覚運動または自律神経を冒す全身性疾患、遺伝性疾患または毒物により引き起こされる中枢および/または末梢神経機能障害を含み得る(例えば、米国特許出願第20030013771号、参照)。症状は神経損傷の原因および冒されている神経の特定の型に依存して変化し得る。例えば、運動ニューロパシーの症状は、肉体作業の実施におけるぎこちなさまたは筋力低下、軽い運動後の極度の疲労、立位または歩行の困難および神経筋反射の減衰または欠損を含む(米国特許出願第20030013771号)。自律性ニューロパシーの症状は便秘、心臓の不規則性および姿勢低血圧反射の減衰を含む(米国特許出願第20030013771号)。感覚ニューロパシーの症状は疼痛および無感覚、手、脚または足のチクチク感、ならびに接触に対する極端な感度を含み、網膜症の症状は視力障害、突然の失明、黒斑および閃光を含む。
【0231】
アルツハイマー病
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、アルツハイマー病(AD)を処置するために使用することができる。アルツハイマー病は、ニューロンの不可逆性喪失を引き起こす複雑な神経変性疾患である。それは、加齢関連状態でもある神経変性疾患の単に1つの例を提供する。アルツハイマー病の臨床的特徴は、記憶、判断、物理的周囲に対する見当識、および言語における進行性の障害を含む。ADの神経病理学的特徴は領域特異的なニューロン脱落、アミロイド斑および神経原線維変化を含む。アミロイド斑は、8−アミロイド前駆タンパク質(APPとしても既知)の分解産物であるアミロイドペプチド(ApまたはAp42としても既知)を含む細胞外の斑である。神経原線維変化は異常に高リン酸化された微小管関連タンパク質のフィラメントから構成される不溶性細胞内凝集体であり、tautアミロイド斑および神経原線維変化はアポトーシスによりニューロン脱落となる二次事象に寄与し得る(Clark and Karlawish, Ann. Intern. Med. 138(5):400-410 (2003))。例えば、p−アミロイドは培養されたニューロンにおいてカスパーゼ−2−依存アポトーシスを誘導する(TroyらJ Neurosci. 20(4):1386-1392)。斑の沈着は、in vivaで、同様の様式において近位ニューロンのアポトーシスを誘導し得る。
【0232】
遺伝学、生化学、生理学的および認知基準を含む種々の基準を、対象におけるADを評価するために使用することができる。ADの症状および診断は医師に知られている。ADのいくつかの症状およびマーカーの例は以下のものである。これらの徴候およびADと関連することが知られている他の徴候についての情報を、「AD関連パラメーター」として使用することができる。AD関連パラメーターは定性的または定量的情報を含むことができる。定量的情報の例は、1つ以上の特徴の数値、例えば、タンパク質の濃度または断層マップである。定性的情報は評価、例えば、医師のコメントまたは二者択一(「イエス」/「ノー」)などを含むことができる。AD−関連パラメーターは、対象がADと診断されないか、またはADの特定の徴候を有さないことを示す情報、例えば、典型的なADの典型ではない認知試験結果、またはADと関連しない遺伝的なAPOE多型を含む。
【0233】
進行性の認識機能障害はADの特徴である。この障害は、記憶、判断、意思決定、周りの物理的方向および言語の減衰として現れ得る(Nussbaum and Ellis, New Eng J. Med. 348(14):1356 35 1364 (2003))。他の型の認知症の排除はADの診断に役立てることができる。神経細胞死は、AD患者における進行性の脳萎縮を引き起こす。映像技術(例えば、磁気共鳴映像法またはコンピューター断層撮影)は、脳におけるAD関連病変および/または脳萎縮を検出するために使用することができる。
【0234】
AD患者は疾患の病状によって生じる生化学的異常を示し得る。例えば、脳脊髄液におけるタウタンパク質のレベルはAD患者において高まる(Andreasen, Nら Arch Neurol. 58:349-350 (2001))。
【0235】
アミロイドベータ42(A,B42)ペプチドのレベルは、AD患者のCSFにおいて減少し得る。Ap42のレベルはAD患者の血漿において増加し得る(Ertekein-Taner, Nら Science 290:2303 2304 (2000))。対象からのサンプルにおいて生化学異常を検出するための技術は、当分野で既知の細胞、免疫および他の生物学的方法を含む。一般的なアドバイスのために、例えば、Sambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3r Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (2001), Ausubelら Current Protocols in Molecular Biology (Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989), (Harrow, E. and Lane, D. (1988)Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)ならびにそれらの最新版に記載されている技術、参照。
【0236】
例えば、抗体、他の免疫グロブリンおよび他の特異的結合リガンドを、ADと関連する生体分子、例えば、タンパク質または他の抗原を検出するために使用することができる。例えば、1つ以上の特異抗体を、サンプルを調べるために使用することができる。種々の方法、例えば、ELISA、蛍光−ベースアッセイ、ウエスタンブロットおよびタンパク質アッセイが可能である。ポリペプチドアレイを生産する方法は、当分野において、例えば、De Wildtら (2000). Nature Biotech. 18, 989-994; Luckingら (1999). Anal. Biochem. 270, 103-111; Ge, H. (2000). Nucleic Acids Res. 28, e3, I-VII; MacBeath, G., and Schreiber, S.L. (2000). Science 289, 1760 to 1 763;およびWO99/5 1 773A1において記載されている。
【0237】
1つのアッセイにおいて、ADの非ヒト動物モデル(例えば、マウスモデル)が、例えば、ポリペプチドまたは治療レジメンを評価するために使用される。例えば、米国特許第6,509,515号は、天然に学習および記憶試験で使用することができる1つのこのようなモデル動物を記載している。該動物は、該動物が誕生から短期間内、一般的に誕生から1年以内、好ましくは誕生から2から6月以内に進行性の神経障害を発症するようなレベルで脳組織においてアミロイド前駆タンパク質(APP)配列を発現する。APPタンパク質配列を胚形成期の動物または動物の原細胞、好ましくは1つの細胞または受精卵母細胞期および一般的に約8細胞期より遅くない細胞に導入する。次に受精卵または胚を、里親のメスとして擬似−妊娠期に発達させる。アミロイド前駆タンパク質遺伝子を、脳の皮質辺縁領域、進行性の神経疾患状態、例えばADにおいて顕著に影響される脳の領域において、アミロイド前駆タンパク質の過剰な内因性発現および進行性の神経疾患の発症を引き起こす状態において、染色体に組み込まれるように動物胚に導入する。グリオーシスおよび臨床症状が、トランスジェニック動物モデルにおいて神経疾患を起こす。神経疾患の進行性の局面は、探索および/または運動行動の減少およびデオキシグルコース摂取/利用の減少および脳の皮質辺縁領域における異常肥大グリオーシスにより特徴付けられる。さらに、見られる変化は、いくつかの老化動物において見られるものと同様である。他の動物モデルは、また、US5,387,742、5,877,399、6,358,752および6,187,992に記載されている。
【0238】
パーキンソン病
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、パーキンソン病を処置するために使用することができる。パーキンソン病は、運動機能を調節する黒質線条体ドーパミン系の変性となる、黒質におけるドーパミンニューロンの神経変性を含む。この病状は、同様に、運動機能障害を引き起こす(例えば、Lothariusら Nat. Rev. Neurosci., 3:932-42 (2002)、参照)。例の運動症状は、無動症、前屈姿勢、歩行困難、姿勢の不安定、強硬症、筋硬直および振戦を含む。例の非運動症状は、鬱病、意欲の欠如、消極的な態度、認知症および消化器機能障害を含む(例えば、Fahn, Ann. N.Y. Acad. Sci., 991:1-14 (2003)およびPfeiffer, Lancet Neurol., 2:107-16 (2003)、参照)。パーキンソン病は65から69歳の個体の0.5から1パーセントおよび80歳以上の個体の1から3パーセントで観察された(例えば、Nussbaumら N. Engl. J. Med., 348:1356-64 (2003)、参照)。パーキンソン病の分子マーカーは、芳香族性Lアミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)の減少(例えば、米国出願第20020172664号、参照)、および黒質線条体におけるドーパミン含量の喪失(例えば、Fahn, Ann. N.Y. Acad. Sci., 991:1-14 (2003)およびLothariusら Nat. Rev. Neurosci., 3:932-42 (2002)、参照)を含む。いくつかの家族性症例において、PDはアルファ−シヌクレインおよびパーキン(E3ユビキチンリガーゼ)タンパク質をコードする単一の遺伝子の変異に関連する(例えば、Riessら J. Neurol. 250 Suppl 1:I3 10 (2003)およびNussbaumら N. Engl. J. Med., 348:1356-64 (2003))。ニューロン特異的C−末端ユビキチンヒドロラーゼ遺伝子におけるミスセンス変異もパーキンソン病と関連する(例えば、Nussbaumら N. Engl. J. Med., 348:1356-64 (2003))。
【0239】
ハンチントン病
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、ハンチントン病を処置するために使用することができる。ハンチントン病におけるクロトー融合ポリペプチドの有効性を評価および/または有効用量を決定するための方法は、例えば、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、霊長類または他の何らかの非ヒト)または他の動物(例えば、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュまたは無脊椎動物、例えば、昆虫または線虫)を使用する生物ベースアッセイを含む。ハンチントン病において多くの動物モデル系が利用できる。例えば、Brouillet, Functional Neurology 15(4): 239-251 (2000); Onaら Nature 399: 263-267 (1999), Batesら Hum Mol Genet. 6(10):1633-7 (1997); Hanssonら J. of Neurochemistry 78: 694-703;およびRubinsztein, D. C., Trends in Genetics, Vol. 1S, No. 4, pp. 202-209(HDの種々の動物および非ヒトモデルにおける確認)、参照。
【0240】
このような動物モデルの例は、R6/2系のトランスジェニックマウス系である(MangiariniらCell 87: 493-506 (1996))。R6/2マウスはヒトHD遺伝子のエクソン1を過剰発現する(内因性プロモーターのコントロール下)トランスジェニックハンチントン病マウスである。R6/2ヒトHD遺伝子のエクソン1は広範なCAG/ポリグルタミン繰り返し(平均で150のCAG繰り返し)を有する。これらのマウスは、ヒトハンチントン病の多くの特徴を有する進行性の最終的に致命的な神経疾患を発症する。ハンチンチン(HDエクソン1によってコードされる)のN末端部分により構成される異常凝集体が、R6/2マウスにおいて、細胞質および細胞の核において両方とも45で観察される(Daviesら Cell 90: 537-548 (1997))。例えば、トランスジェニック動物におけるヒトハンチンチンタンパク質は、少なくとも55のCAG繰り返しおよびさらに好ましくは約150のCAG繰り返しを含む遺伝子によってコードされる。これらのトランスジェニック動物はハンチントン病様表現型を発現することができる。
【0241】
これらのトランスジェニックマウスは、誕生後8から10週の体重増加の減少、寿命の減少および異常な足取りにより特徴付けられる運動障害、静止振戦、後肢抱擁および過活動により特徴付けられる(例えば、R6/2系;Mangiariniら Cell 87: 493-506 (1996)、参照)。表現型は運動機能低下の方向へ悪化する。これらのトランスジェニックマウスの脳は、神経化学的および組織学的異常、例えば、神経伝達物質受容体(グルタミン酸塩、ドーパミン)の変化、N−アセチルアスパラギン酸(完全なニューロンのマーカー)の濃度の減少ならびに線条体および脳サイズの減少を示す。したがって、評価は、神経伝達物質レベル、神経伝達物質受容体レベル、脳サイズおよび線条体サイズに関連するパラメーターを評価することを含むことができる。加えて、部分または完全長のトランスジェニック・ヒトハンチンチンタンパク質を含む異常凝集体は、これらの動物(例えば、R6/2トランスジェニックマウス系)の脳組織において存在する。例えば、Mangiariniら Cell 87: 493-506 (1996), Daviesら Cell 90: 537-548 (1997), Brouillet, Functional Neurology 15(4): 239-251 (2000)およびChaら Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 6480-6485 (1998)、参照。
【0242】
動物モデルにおける本明細書に記載されている試験ポリペプチドまたは既知のポリペプチドの効果を試験するため、異なる濃度の試験ポリペプチドを、例えば、試験ポリペプチドを動物の循環系に注射することにより、トランスジェニック動物に投与する。ハンチントン病のような症状が動物において評価され得る。次に、例えば、マウスモデルに関して上記されているハンチントン病のような症状の進行を、試験ポリペプチドでの処理が症状の軽減または遅延をもたらすか否かを決定するためにモニタリングする。他のアッセイにおいて、これらの動物におけるハンチンチンタンパク質凝集体の分離をモニタリングする。次に動物を殺し、脳スライスを得ることができる。次に脳スライスを、トランスジェニックヒトハンチンチンタンパク質、その一部、またはヒトハンチンチンタンパク質もしくはその一部を含む融合タンパク質を含む凝集体の存在に関して分析する。この分析は、例えば、脳組織のスライスを抗−ハンチンチン抗体で染色し、抗−ハンチントン抗体を認識するFITCを結合させた二次抗体を加え(例えば、抗−ハンチンチン抗体はマウス抗−ヒト抗体であり、二次抗体はヒト抗体に特異的である)、蛍光顕微鏡法によりタンパク質凝集体を視覚化することを含むことができる。
【0243】
種々の方法がハンチントン病を評価および/またはモニタリングするために利用できる。該疾患に対する種々の臨床的症状および兆候は知られている。ハンチントン病は、運動障害、精神問題および認知変化を引き起こす。これらの症状の程度、発症年齢および症状は変化し得る。運動障害は速いランダムなダンスのような動きを含むことができ、舞踏病と呼ばれる。
【0244】
例の運動評価は、追跡眼球運動、サッカード開始、サッカード速度、構音障害、挺舌、指をたたく能力、回内/回外、げんこつ−手−手のひらの反復(a lo fist-hand-palm)、腕の硬直、動作緩慢、最大のジストニア(体幹、上および下肢)、最大の舞踏病(例えば、体幹、顔、上および下肢)、足取り、タンデム歩行および後方突進を含む。例の処置は、例えば、1年間にわたって、Total Motor Score 4(TMS−4)、UHDRSの下位尺度を変化させることである。
【0245】
癌
クロトー融合ポリペプチドを個体に投与することを提供する本明細書の方法または使用は、癌を処置するために使用することができる。癌は、不適当に高レベルの細胞分裂、不適当に低いレベルのアポトーシスまたはその両方により誘導されるか、または引き起こされるすべての疾患を含む。癌の例は、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、および固形腫瘍、例えば、肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、皮脂腺癌腫、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌腫、腎細胞癌腫、肝臓癌、胆管(nile duct)癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌腫、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上皮性癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫および網膜芽腫)を含むが、これらに限定されない。リンパ組織増殖性障害も増殖性疾患と考慮される。
【0246】
本明細書で引用するすべての特許、特許出願および刊行物は、出典明示によりそれらの全体を本明細書に包含する。本明細書はその態様について具体的に示され、記載されているが、本明細書の範囲から逸脱することなく、形態における種々の変化および詳細が添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解される得ることは当業者に明らかである。
【実施例】
【0247】
5.実施例
実施例1.クロトー融合ポリペプチドの発現および精製
クロトー融合ポリペプチドの発現
本明細書のポリペプチドは、HEK293T細胞をアルファクロトーの細胞外ドメインおよびFGF23(R179Q)変異体を有する、クロトー融合ポリペプチドをコードする発現ベクターで一時的にトランスフェクトすることにより作った。発現したポリペプチドを含む条件培地を、クロトー、FGF23およびクロトー−FGF23(R179Q)融合タンパク質のそれぞれの発現プラスミドの一時的なトランスフェクションにより製造した。トランスフェクションを、リポフェクタミン2000(Invitrogen, Cat # 11668-019)を使用して6−ウェルプレートにて行った。トランスフェクションの5時間後、トランスフェクション混合物を、3mlのDMEMプラス1%のFBSで置き換えた。条件培地を、3mlのDMEMプラス1%のFBSの添加72時間後に回収した。種々の一時的にトランスフェクトされたHEK293T細胞の条件培地のサンプルをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により分離し、ウエスタンブロットにより分析するか(
図3A)、またはクマシーブルーで染色した(
図3B)。
【0248】
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を種々のサンプルで実施した(レーン1、コントロール;レーン2、FGF23;レーン3、sクロトー;レーン4−6、sクロトー−FGF23)。クマシーブルー染色は、クロトー融合ポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクトされていないサンプルを含むレーン1−3において存在しない、>180kDaバンド(
図3B、右側に矢印で示されている)の高い発現を示した。培地に分泌されたクロトー融合ポリペプチドの質をウエスタンブロットにより評価した(
図3A)。抗−FGF23ラットモノクローナルIgG2A(R&D Systems, Cat# MAB26291)を、ウエスタンブロットによるクロトー融合ポリペプチドを検出するための一次抗体として使用した。クマシー染色ゲルにおいて観察されたさらなるバンドがクロトー融合ポリペプチドであることをウエスタンブロットで確認した。クロトー融合ポリペプチドがクロトー融合ポリペプチドの期待された分子量を有することをウエスタンブロットで確認した。この分析はクロトー−FGF23(R179Q)融合タンパク質の発現を示す。
【0249】
クロトー融合ポリペプチドの精製
本明細書のポリペプチドを、アルファクロトーの細胞外ドメインおよびFGF23 R179Q変異体を有するクロトー融合ポリペプチドをコードする発現ベクターで一時的にトランスフェクトされたHEK293T細胞の培養した条件培地から精製した。条件培地を製造するために、sクロトー−FGF23−6×Hisをコードする発現ベクターを、発現培地(Freestype 293発現培地(GIBCO, Cat #12338)中で10
6細胞/mlで464mlのHEK293T細胞)で懸濁液中で培養されたHEK293細胞にトランスフェクトした(18mlの2μg/mlのポリエチレンイミン(PEI)と混合された18mlのOptiMEM 1(GIBCO, Cat #11058)中で500μgのDNA)。トランスフェクション後、培養物を増殖させた(120時間、37℃ 5%CO
2インキュベーター中、125rpmで振とう)。インキュベーション終了後、条件培地を遠心分離(1000rpmで5分)により回収した。次に条件培地をニッケル−アガロースカラムに付した。sクロトー−FGF23−6×Hisがカラムにしっかりと結合し、50mMのイミダゾールで溶離した。次に得られた精製された物質をPBS中で透析し、イミダゾールと取り除いた。精製されたsクロトー−FGF23−6×HisのサンプルをSDS−PAGEにより分離し(レーン1、精製されたsクロトー−FGF23−6×His;レーン2、分子量マーカー)、クマシーブルーでの染色により分析した(
図3C)。精製されたsクロトー−FGF23−6×Hisが期待された分子量を有することを染色されたSDS−PAGEゲルで確認した。精製された物質で負荷されたレーンにおける完全長sクロトー−FGF23−6×His以外のタンパク質に対応するバンドを検出しないということは、sクロトー−FGF23−6×Hisが精製されたことを示すものであった。
【0250】
実施例2.クロトー融合ポリペプチドの活性を評価するインビトロアッセイ
Egr−1−ルシフェラーゼ
発現したアルファクロトー融合ポリペプチドの生物学的活性を、Egr−1−ルシフェラーゼレポーターアッセイで試験した。FGF23受容体へのクロトー融合ポリペプチドの結合により、Egr−1プロモーターにより調節される、Egr−1の下流活性化およびルシフェラーゼレポーターの発現を引き起こした。Egr−1−ルシフェラーゼレポーター遺伝子はUrakawaら(Nature, 2006, Vol 444, 770-774)の報告に基づいて構築した。48−ウェル ポリ−D−リシン プレートに播種したHEK293T細胞を、トランスフェクション正規化レポーター遺伝子(ウミシイタケルシフェラーゼ)と一緒にEgr−1−ルシフェラーゼレポーター遺伝子でトランスフェクトした。Egr−1ルシフェラーゼレポーター遺伝子のトランスフェクションの5時間後、トランスフェクション混合物を3mlのDMEMプラス1%のFBSで置き換えた。条件培地を、3mlのDMEMプラス1%のFBSの添加72時間後に回収した。5時間後、トランスフェクション混合物を活性を試験するサンプルと置き換えた。最初の実験において、20μg/mlのヘパリン(Sigma, Cat#H8537;2mg/mlの貯蔵物としてDMEMに溶解されている)の存在または非存在下で、50%の条件培地(クロトー、FGF23、クロトーおよびFGF23、ならびにクロトー−FGF23(R179Q)融合タンパク質を含む)および1%のFBSを有する50%のDMEMを、Egr−1−ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて試験した(
図4)。さらなる実験では、定義された量の精製されたポリペプチドを使用した(
図5Aおよび5B)。細胞を不活性な溶解緩衝剤(Promega, Cat #E194A)中で20時間で溶解し、ルシフェラーゼ活性をDual−Gloルシフェラーゼアッセイ系(Promega, Cat #E2940)を使用して決定した。
【0251】
最初の実験において、クロトー融合ポリペプチド活性を非分画条件培地中で実施した。Egr−1−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用して、これらの実験ではルシフェラーゼレポーターの発現における倍数変化を定量した(
図4)。FGF23およびクロトータンパク質の細胞外ドメインの組合せを含む条件培地はEgr−1−ルシフェラーゼを活性化させたが、FGF23のみを含む条件培地またはクロトーの細胞外ドメインのみを含む条件培地ではEgr−1−ルシフェラーゼを活性化させなかった。融合タンパク質sクロトー−FGF23(R179Q)を含む条件培地は、FGF23またはクロトーのいずれか単独を含む条件培地と対照的に、Egr−1−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化した。これらの実験において、融合タンパク質sクロトー−FGF23(R179Q)を含む条件培地は、FGF23およびクロトーの組合せを含む条件培地よりも有意に良くEgr−1−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化した。ヘパリンの存在下で、融合タンパク質sクロトー−FGF23(R179Q)を含む条件培地およびFGF23およびクロトーの組合せを含む条件培地による誘導ではわずかに高まった。表1は、Egr−1−ルシフェラーゼレポーターアッセイにおける、条件培地における種々のFGF−クロトー融合ポリペプチドの相対発現、および種々のFGF−クロトー融合ポリペプチドに対応する非分画条件培地の相対活性を示す。
【0252】
表1.sクロトー−FGF23融合物変異体の発現および活性
【表1】
* 活性の欠如は、低発現の結果であり得る
【0253】
Egr−1−ルシフェラーゼレポーターアッセイは、また、実施例1に記載されている精製方法を使用して、条件培地から精製された定義された量のタンパク質を使用して行った。発現したポリペプチドを含む非分画条件培地を使用する以前の結果と一致して、精製されたFGF23およびsクロトーの組合せでの処理ではルシフェラーゼレポーター活性が得られたが、精製されたFGF23単独での処理では得られなかった(
図5A)。精製されたFGF23およびsクロトーの組合せによるルシフェラーゼレポーター活性は、さらに精製されたsクロトーの用量に依存し、該効果はヘパリンの存在(20μg/ml)により高められた。ルシフェラーゼ活性におけるsクロトー−FGF23−6×His融合ポリペプチドの効果は、Egr−1−ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて、約1.21nM程度の低濃度(1.2倍変化)および少なくとも最大約19.3nMまで(2.4倍変化)で検出することができた(
図5B)。ルシフェラーゼ活性におけるsクロトー−FGF23−6×His融合ポリペプチドの活性は、ヘパリン(20μg/ml)の存在下で有意に高まった。ヘパリンの存在下で、ルシフェラーゼ活性におけるsクロトー−FGF23−6×His融合ポリペプチドの効果は、約0.6nM程度の低濃度(2.0倍変化)で検出することができた。該結果は、精製されたsクロトー−FGF23−6×Hisが用量依存的にEGR−1−lucレポーター遺伝子を誘導したこと、およびsクロトー−FGF23−6×Hisにおける処置を示した。
【0254】
実施例3.筋肉細胞におけるクロトー融合ポリペプチドの効果を評価するインビトロアッセイ
発現したクロトー融合ポリペプチドの生物学的効果をC2C12筋芽細胞で試験した。C2C12筋芽細胞をIGF−1、FGF2またはsクロトー−FGF23で処理することにより、筋管増殖およびシグナル伝達タンパク質のリン酸化を引き起こした。C2C12筋芽細胞を、6ウェルのポリ−D−リシンおよびフィブロネクチン被覆プレートにおいて40,000細胞/ウェルの密度で、増殖培地中に(DMEMおよびF12、3対1)、10%のFBS、1%のGlut、1%のP/S、1%のリノール酸、0.1%のITS:[インスリン(10mg/ml)、トランスフェリン(5.5mg/ml)およびセレン(5ng/ml)]播種した。筋芽細胞がコンフルエンスに達した後(3日間)、培地を分化培地に変えた(2%のウマ血清、1%のGlut、1%のP/Sを有するDMED)。
【0255】
筋管直径実験のために、コンフルエント3日後、培地を分化培地に変え、細胞を、分化培地中でデキサメタゾン(100μM)の存在または非存在下で、IGF−1(10nM)、FGF2(20ng/ml)またはsクロトー−FGF23(20nM)で24時間処理した。処置終了後、細胞をグルタルアルデヒド(PBS中で5%)で固定し、多重蛍光像を回収した。筋管直径をPipeline Pilotプログラムを使用して測定し、肥大または萎縮を測定した。
【0256】
シグナル伝達タンパク質リン酸化実験のために、コンフルエント3日後、培地を分化培地に変え、細胞を、FBSなしのDMEMで4時間飢餓にし、次にラパマイシン(40nM)の存在または非存在下で、IGF−1(10nM)、FGF2(20ng/ml)またはsクロトー−FGF23(20nM)で30分処理した。細胞をプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤の存在下でRIPA緩衝剤中で溶解した。ウエスタンブロット分析を行い、膜を図で示されるように異なる抗体で探査し、スキャンしたX線フィルムを現像した。
【0257】
この試験の結果は、sクロトー−FGF23が、コントロールと比較して筋管直径の増加を引き起こし、IGF−1およびFGF2の結果と同様にC2C12筋管肥大を誘導することを示した(
図5A)。加えて、sクロトー−FGF23、IGF−1およびFGF2での処理は、筋管直径の測定に基づいて、デキサメタゾンにより誘導された筋管萎縮を部分的に逆転させることができた。デキサメタゾンの存在または非存在下で、筋管形態における(筋管の厚さにより測定される)sクロトー−FGF23とFGF2間での差は、観察されなかった。sクロトー−FGF23、IGF−1およびFGF2の栄養作用は統計学的に有意であった。
【0258】
C2C12筋管における効果と一致して、sクロトー−FGF23融合タンパク質シグナル伝達はp70S6KおよびERKのリン酸化を誘導したが、C2C12筋管におけるAKTまたはFオキソにおいて誘導しなかった(
図5B)。シグナル伝達におけるsクロトー−FGF23の効果はFGF2と同様であったが、IGF−1と異なっていた。sクロトー−FGF23によるERKリン酸化の程度は、IGF−1またはFGF2未満であることが観察された。sクロトー−FGF23によるp70S6Kのリン酸化は、ラパマイシン感受性であった。C2C12細胞に関する実験において、ヘパリンはシグナル伝達を活性化するために必要ではなかった。これらの結果は、sクロトー−FGF23融合ポリペプチドがC2C12筋管においてシグナル伝達を活性化させたことを示す。
【0259】
実施例4.sクロトー、FGF23およびFcLALAを含む融合ポリペプチド
種々の融合ポリペプチドは、sクロトー、FGF23および抗体の修飾されたFcフラグメントを使用して構築される。これらの修飾されたFc分子は、改変された(減少した)FcRnへの結合、したがって増加した血清半減期を有する。それらはまた、修飾されたバイオアベイラビリティならびに改変された粘膜表面および体内の他の標的への輸送を有する。本実施例において、FGF23およびsクロトーは、米国特許第7,217,798号およびHessellら 2007 Nature 449:101-104に記載されているFcLALAに融合される。これらの融合ポリペプチドの種々の成分間の仲介は、Lodeら 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 2475-2480に記載されているリンカーである。これらの融合物は、構築物、例えば、pcDNA3.1(Invitrogen, Carlsbad, CA)に挿入され、HEK293細胞において発現される。
【0260】
A.sクロトー−FGF23−FcLALA v1
sクロトー、リンカー、FGF23、別のリンカーおよびFcLALAを含む融合物を構築する。この態様は、sクロトー−FGF23−FcLALA v1と称され、以下の配列番号:46および47に示される。
sクロトー−FGF23−FcLALA v1のヌクレオチド配列(1として開始
ATG)は配列番号:46に示されている。
sクロトー−FGF23−FcLALA v1のアミノ酸配列は、配列番号:47として以下に記載されている。
この配列において、融合物の種々の成分は以下のとおりである:
sクロトー:1−982;リンカー1:983−1001;FGF23:1002−1228;リンカー2;1229−1233;FcLALA:1234−1459。
【0261】
B.sクロトー−FGF23−FcLALA v2
sクロトー、リンカー、FGF23、別のリンカーおよびFcLALAを含む融合物を構築する。この態様は、sクロトー−FGF23−FcLALA v2と称され、以下の配列番号:48および49に示される。
sクロトー−FGF23−FcLALA v2のヌクレオチド配列(1として開始
ATG)は配列番号:48に示されている。
sクロトー−FGF23−FcLALA v2のアミノ酸配列は、配列番号:49として以下に記載されている。
この配列において、融合物の種々の成分は以下のとおりである:
sクロトー:(aaまたはアミノ酸)1−982;リンカー1:983−1001;FGF23:1002−1228;リンカー2;1229−1233;FcLALA:1234−1450。
【0262】
他の融合ポリペプチドならびにその変異体および誘導体を、本明細書に記載されている、または当分野で知られているとおりに、種々の組合せにおいて、FGF、クロトー、修飾されたFcフラグメントおよび(所望により)リンカー配列を組み合わせることにより構築することができる。
【0263】
実施例5.FGF23およびFcLALAを含む融合ポリペプチド
種々の融合ポリペプチドは、米国特許第7,217,798号に記載されているとおりに、FGF23および抗体の修飾されたFcフラグメントを使用して構築される。これらの修飾されたFc分子は、改変された(減少した)FcRnへの結合、したがって増加した血清半減期を有する。それらはまた、修飾されたバイオアベイラビリティならびに改変された粘膜表面および体内の他の標的への輸送を有する。本実施例において、FGF23は、FcLALAに融合される。これらの融合ポリペプチドの種々の成分間の仲介は、Lodeら 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 2475-2480に記載されているリンカーである。これらの融合物は、例えば、pcDNA3.1(Invitrogen, Carlsbad, CA)に挿入され、HEK293細胞において発現される。
【0264】
C.FGF23−FcLALA v1
FGF23、リンカーおよびFcLALAを含む融合物を構築する。この構築物は、FGF23−FcLALA v1と称され、以下の配列番号:50および51に示される。
FGF23−FcLALA v1のヌクレオチド配列(1として開始
ATG)は配列番号:50に示されている。
FGF23(R179Q)−FcLALAv1のアミノ酸配列は、配列番号:51として以下に記載されている。
この配列において、融合物の種々の成分は以下のとおりである:
FGF23:(aa)1−251;リンカー:252−256;FcLALA:257−482。
【0265】
D.FGF23−FcLALA v2
FGF23およびFcLALAを含むFGF23−FcLALA v2を含む融合物を構築する。
FGF23−FcLALA v2のヌクレオチド配列(1として開始
ATG)は配列番号:52に示されている。
FGF23(R179Q)−FcLALAv2のアミノ酸配列は、配列番号:53として以下に記載されている。
この配列において、融合物の種々の成分は以下のとおりである:
FGF23:1−251;リンカー:252−256;FcLALA:257−473。
【0266】
他の融合ポリペプチドを、本明細書に記載されている、または当分野で知られているとおりに、種々の組合せにおいて、FGF配列、修飾されたFcフラグメントおよび(所望により)リンカー、およびそれらの変異体および誘導体を組み合わせることにより構築することができる。
【0267】
E.sクロトー−FGF23(R179Q)−FcLALA融合タンパク質によるEgr−1−lucレポーター遺伝子の活性化、FGF23(R179Q)−FcLALAタンパク質によるEgr−1−lucレポーター遺伝子の活性化、およびFGF23(R179Q) 対 FGF23(R179Q)−FcLaLav2の薬物動態学プロフィールを決定する。
【0268】
図7は、sクロトー−FGF23(R179Q)−FcLALA融合タンパク質によるEgr−1−lucレポーター遺伝子の活性化を示す。HEK293T細胞を、Egr−1−lucレポーター遺伝子で一過性にトランスフェクトし、20μg/mlのヘパリンの非存在または存在下で示されている馴化培地でインキュベートする。次に、ルシフェラーゼ活性を18時間後に決定する。結果は、sクロトー−FGF23−FcLALA融合タンパク質がレポーター遺伝子活性を誘導することを示す。これらの誘導は、ヘパリンの存在において有意に増強される。sKF−Fcv1:sクロトー−FGF23−FcLALAv1;sKF−Fcv2:sクロトー−FGF23−FcLALAv2。
【0269】
図8は、FGF23(R179Q)−FcLALAタンパク質によるEgr−1−lucレポーター遺伝子の活性化を示す。HEK293T細胞を、クロトーの全長膜貫通形態と共にEgr−1−lucレポーター遺伝子で一過性にトランスフェクトし、示されている30%の馴化培地でインキュベートする。次に、ルシフェラーゼ活性を18時間後に決定する。結果は、FGF23−FcLALA融合タンパク質がFGF23と同様の様式においてレポーター遺伝子活性を誘導することを示す。
【0270】
図9は、FGF23(R179Q) 対 FGF23(R179Q)−FcLALAv2の薬物動態学プロフィールを示す。グループあたり4匹のマウスに、FGF23(R179Q)−6×HisまたはFGF23(R179Q)−FcLALAv2を2mg/kgで皮下注射する。示されている時間に、血清サンプルを回収し、ELISAによりFGF23について分析する。血清中のFGF23(R179Q)−FcLALA濃度は、24時間時点で上昇を維持するが、FGF23(R179Q)−6×Hisは基底レベルに戻る。結果は、FcLALAの添加で、FGF23(R179Q)のインビボ半減期が有意に改善されることを示す。
【0271】
実施例6.デキサメタゾン誘導筋萎縮後の筋肉成長の増強におけるsクロトー−FGF23融合物のインビボ有効性
実験データは、sクロトー−FGF23の筋肉内注射は、デキサメタゾン誘導筋萎縮後の筋肉量の成長を有意に増強することを示す。この実験において、配列番号:41に対応するペプチドを使用する。
【0272】
図10は、腓腹筋−ヒラメ筋−足底筋(GSP)筋肉の絶対重量(A)および重量変化パーセント(B)を示し、sクロトー−FGF23(KLOFGF)の筋肉内注射は、sクロトー(sKLO)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の筋肉内注射と比較して、デキサメタゾン(DEX)−誘導筋萎縮後の筋肉量の再成長を有意に増強することを示す。
【0273】
80匹の15週齢のオスC57BL/6マウスを、それぞれ10匹のマウスで8つのグループに体重においてランダム化する。2.4mg/kg/日で3週間、4つのグループにDEXなしの水を与え(W21d)、他の4つのグループにDEXありの飲料水を与える(D21d)。3週間後、DEX処置を停止し、1つのW21dおよび1つのD21dグループを即座に殺し、DEX処置により誘導される筋萎縮の程度を確立する。残りの3つのグループのW21dまたはD21dマウスは、右側の腓腹筋−ヒラメ筋−足底筋の筋肉複合体に1日おきに、2×50μlのPBS、sクロトー−FGF23(KLOFGF;1.6mg/ml)またはsクロトー(sKLO;1.6mg/ml)のいずれかを筋肉内注射で与える別の14日間(R14d)中に回復することができる。マウスを最後の筋肉内注射24時間後に殺し、筋肉体重を決定し、絶対重量(A)またはW21d+PBSグループと比較しての変化パーセントとして示す。
【0274】
これらのデータは、デキサメタゾン誘導筋萎縮後の筋肉成長の増強におけるsクロトー−FGF23融合物のインビボ有効性を示す。
【0275】
実施例7.凝集を減少させる、望ましくないプロテアーゼ誘導開裂を減少させる、および生産を増加させる融合タンパク質のFGF23部分におけるさらなる変異
いくつかの変異を、sクロトー−FGF23およびFGF23−FcLaLa融合ポリペプチドのFGF23部分内で試験する。これらは、Q156、C206およびC244(数字はFGF23アミノ酸配列に基づく)を含む。実施例の個々の変異は、Q156A、C206SおよびC244Sを含み、これらの部位のいずれかでの変異は、R179(例えば、R179Q)での変異と組み合わせることができる。実施例の配列は、
図2の配列番号:54から68において提供される。
【0276】
C206およびC244は、二量化に関与することと考えられ、Q156は、プロテアーゼ感受性部位として本発明者らにより同定された部位である。他の任意のアミノ酸へのこれらのアミノ酸の変異は、FGF23活性を妨害することなく、凝集を減少させること、望ましくないプロテアーゼ誘導開裂を減少させること、および細胞からのタンパク質生産を増加させることによりタンパク質の質を増強する。これは、これらの3つの位置がヒト、アカゲザル、ウシ、マウスおよびラットにおいて見出されるFGF23タンパク質において保存されているため、予期し得ない結果である。この保存は、太字で下線のQ156、C206およびC244にて、配列番号:69、70、71、72および73間の比較において以下に示される。
【表2】
【0277】
これらの3つの変異がFGF23活性を妨害しないという事実は、
図11に示される。この図は、FGF23(R179Q)−FcLALAならびにQ156A、C206S、C244SおよびC206S/C244S変異体によるEgr−1−lucレポーター遺伝子の活性化を示す。
【0278】
HEK293T細胞を、HEK293T細胞を、クロトーの全長膜貫通形態と共にEGR−1−lucレポーター遺伝子で一過性にトランスフェクトし、FGF23−FcLaLa変異体を示す。次に、ルシフェラーゼ活性を18時間後に決定する。結果は、C206S、C244S、C206S/C244S(3つの独立したクローン)およびQ156A(3つの独立したクローン)変異体が、EGR−1−Lucレポーター遺伝子活性の活性化において、FGF23−FcLALA融合タンパク質と同等に有効であることを示す。
【0279】
C244およびC206の変異がFGF23の二量化および凝集を変化させることを示すデータは、
図12に示される。この図は、FGF23(R179Q)−FcLaLaのWT、Q156A、C206S、C244SおよびC206S/C244S変異体のタンパク質の質を示す。示されるFGF23−FcLaLa発現ベクターで一過性にトランスフェクトされたHEK293T細胞由来の馴化培地を、FGF23抗体を使用してウェスタンブロットにより分析する。結果は、C206S/C244S変異がタンパク質二量化を妨害し、Q156A変異が減少したタンパク質分解フラグメントを有することを示す。
【0280】
したがって、驚くべきことに、これらのQ156、C206およびC244残基が種間で保存されているにもかかわらず、それらは、FGF23活性を減少させることなく変異させることができ、凝集および開裂を減少させること、および生産を改善することにより、タンパク質の質を増強することができる。
【0281】
他に定義がない限り、本明細書において使用されている技術的および科学的用語は、本明細書が属する分野でよく知っている専門家により通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0282】
他に示されていない限り、具体的に詳細に記載されていないすべての方法、工程、技術および操作は、当業者に明らかであるため、それ自体既知の方法で行うことができるか、または行われている。例えば、標準ハンドブックおよび本明細書に記載されている一般的な背景技術および本明細書で引用されているさらなる文献も参照されたい。
【0283】
特許請求の範囲は、非限定的であり、以下で提供される。
特定の態様および特許請求の範囲は、本明細書に詳細に記載されているが、これは、説明の目的のためのほんの一例としてであり、特許請求の範囲、または、あらゆる対応するさらなる出願の特許請求の範囲の対象の範囲に対して限定することを意図しない。特に、種々の置換、変化および修飾が、特許請求の範囲により定義されている記載の精神および範囲から逸脱することなく、本記載から作られ得ると本発明者らは考える。核酸出発物質、興味あるクローンの選択は、本明細書に記載されている態様の知識を有する当業者に対して日常的な事柄であると考えられる。他の局面、有利なものおよび修飾は、特許請求の範囲内であると考える。後に出願された対応する出願における特許請求の範囲の補正は、種々の国の特許法による限定のためであって、特許請求の範囲の対象を放棄すると解釈されるべきではない。
【0284】
【表3】
【表4】
【0285】
【表5】
【表6】
【0286】
【表7】
【表8】
【0287】
【表9】
【表10】
【0288】
【表11】
【表12】
【0289】
【表13】
【表14】
【0290】
【表15】
【表16】
【0291】
【表17】
【表18】
【0292】
【表19】
【表20】
【0293】
【表21】
【表22】
【0294】
【表23】
【表24】
【0295】
【表25】
【表26】
【0296】
【表27】
【表28】
【0297】
【表29】
【表30】
【0298】
【表31】
【表32】
【0299】
【表33】
【表34】