(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基体の外面から突出するように形成された突起部と、前記基体内に形成された凹部であって前記突起部と対応する位置に形成された凹部と、前記基体と突起部とを破断可能に接続する接続部とを備え、
前記突起部は、前記接続部が破断していない突出状態から、前記接続部が破断し、少なくとも一部が前記凹部内に押し込まれた非突出状態に変更可能であり、
前記接続部は、前記突起部の根元部の周囲を前記枠体と接続するとともに、前記突起部の根元部と前記凹部の底部との境界に位置し、
前記突起部の根元部の径は、前記凹部の底部の径よりも大きく、
前記非突出状態においては、前記突起部の少なくとも前記根元部を含む部分が、前記凹部内で保持されることを特徴とするピン構造体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図、
図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置に配設される現像装置の構成を示す断面図である。
【0011】
図において、10は画像形成装置としてのプリンタであり、現像装置としてのイメージドラムユニット20と、定着装置としての定着器32とを有する。そして、前記イメージドラムユニット20は媒体上に現像剤像としてのトナー像を形成し、前記定着器32は前記トナー像を媒体に定着させる。画像形成装置は、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機等であり、電子写真方式によって、印刷用紙、封筒、OHP(Over Head Projector)シート、ロール紙等の媒体上にモノクロやカラーの画像を形成する装置であれば、いかなる種類の装置であってもよいが、ここでは、カラーの画像を形成するプリンタ10であるものとして説明する。この場合、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色に対応するイメージドラムユニット20が、媒体の搬送方向(
図3における左方向)に沿って順次並ぶように配設される。
【0012】
そして、35はプリンタ10本体の下部に配設された媒体収容部であり、該媒体収容部35は、単票(カットシート)状の媒体を収容するための媒体カセットを備える。媒体は、媒体カセットから媒体繰り出し部材としてのホッピングローラ36によって1枚ずつ繰り出され、媒体搬送路に送り込まれ、レジストローラに送られ、停止させられた状態のレジストローラによって搬送が一旦(たん)停止させられる。レジストローラは、媒体の進行方向先端を検知し、一旦、前記媒体を停止させた後、イメージドラムユニット20の画像形成タイミングに合わせて前記媒体を送り出す。
【0013】
続いて、レジストローラが回転させられると、媒体は転写ベルトユニット31の搬送ベルトに送られる。該搬送ベルトに送られた媒体は、図示されない吸着装置によって静電荷が付与され、搬送ベルトに静電気力によって吸着された後、搬送ベルトによって搬送される。その間に、イメージドラムユニット20では、静電潜像担持体としての感光体ドラム11の表面に露光装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド34によって形成された静電潜像がイメージドラムユニット20によって現像され、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像が形成される。
【0014】
そして、該ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像が、転写ローラの静電気力によって感光体ドラム11の表面から媒体に転写され、カラーのトナー像が形成される。カラーのトナー像が転写された媒体は、その後、定着器32に送られ、該定着器32の加熱ローラと加圧ローラとの間を通過し、その間にカラーのトナー像が媒体に定着され、カラー画像が記録される。そして、カラー画像が記録された媒体は、媒体排出部材としての排出ローラ33によって搬送され、プリンタ10本体の上部に形成されたスタッカ上に排出される。
【0015】
前記イメージドラムユニット20は、いずれも、現像器21と、該現像器21に装着可能な現像剤収容体としてのトナーカートリッジ12とを備える。そして、前記現像器21は、感光体ドラム11と、該感光体ドラム11を一様に、かつ、均一に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ13と、感光体ドラム11の表面に現像剤としてのトナーを供給し、LEDヘッド34によって形成された感光体ドラム11の表面における静電潜像を現像して各色のトナー像を形成するトナー担持体としての現像ローラ14と、トナーを貯蔵するトナー貯蔵室22と、該トナー貯蔵室22内のトナーを現像ローラ14に供給するトナー供給ローラ15と、現像ローラ14上のトナーを均一に薄層化するトナー層規制部材としての現像ブレード16と、感光体ドラム11の表面に残留した不要なトナーを除去するトナー除去部材としてのクリーニングブレード17とを有する。
【0016】
また、前記トナーカートリッジ12は、本体部としてのアウターカートリッジ41を有し、その内部にトナーを収容する容器であって、その下部における円筒状の側壁乃至底壁に設けられたトナーを放出するための開口としてのトナー供給口42が形成されている。そして、前記トナーカートリッジ12内には、概略円筒状の形状を備えるシャッタ43が回転可能に収容され、該シャッタ43の円筒状の側壁に形成されたトナー開放口がトナー供給口42と一致すると、トナーカートリッジ12内に収納されたトナーがトナー供給口42を通して落下し、トナー貯蔵室22に供給される。
【0017】
次に、前記トナーカートリッジ12の現像器21への装着について詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの外観構成を示す斜視図、
図2は本発明の第1の実施の形態におけるピン及びその周辺の構造を示す断面図であって
図1におけるA−A矢視断面図、
図5は本発明の第1の実施の形態における現像器の外観構成を示す斜視図、
図6は本発明の第1の実施の形態における現像器にトナーカートリッジを装着した状態を示す斜視図、
図7は本発明の第1の実施の形態におけるピンと相手方ピンとの関係を説明する図であって
図6におけるB−B矢視断面図である。なお、
図2において、(a)〜(c)はピンを押し込む動作の過程を示す図であり、
図7において、(a)〜(d)はピンと相手方ピンと関係の例を示す図である。
【0019】
図1は、トナーカートリッジ12を斜め下方から観た状態を示す図であり、アウターカートリッジ41の底部にトナー供給口42が形成されていること、及び、開口しているトナー供給口42の内側に、該トナー供給口42を開閉する供給口開閉部材としてのシャッタ43が配設されていることを明瞭に示している。
【0020】
また、トナーカートリッジ12の長手方向の一端には、該一端を塞(ふさ)ぐ枠体である基体としてのサイドプレート44が取り付けられている。該サイドプレート44は、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジェンスチレン)樹脂から成る射出成形品である。
【0021】
さらに、前記サイドプレート44はピン構造体を含んでいる。該ピン構造体は、サイドプレート44の外面44aから突出するように成形された突起部としてのピン45と、サイドプレート44内に形成された凹部46であって前記ピン45と対応する位置に形成された凹部46と、前記サイドプレート44とピン45とを破断可能に接続する接続部47とを含んでいる。
【0022】
具体的には、前記サイドプレート44に一体的に成形された第1のピンとしてのピン45が、前記サイドプレート44の複数箇所に複数個配設されている。前記ピン45は、現像器21の支持体である基体としてのプレート54に配設された第2のピンとしてのピン55と協働して、誤装着防止部材として機能する。
【0023】
図5は、現像器21を斜め上方から観た状態を示す図であり、現像器21の長手方向の一端に、トナーカートリッジ取付部材として、上方へ延出するプレート54が配設されていることを明瞭に示している。該プレート54は、
図6に示されるように、現像器21にトナーカートリッジ12を装着した状態で、該トナーカートリッジ12のサイドプレート44と対向するように構成されている。
【0024】
また、前記プレート54におけるサイドプレート44と対向する面、すなわち、外面54aには、前記サイドプレート44のピン45と対向する部位に、突起部である第2のピンとしてのピン55が一体的に成形されて複数個配設されている。該ピン55は、サイドプレート44のピン45の相手方ピン、すなわち、相手方突起部として機能し、ピン45と協働して、誤装着防止部材として機能する。
【0025】
図2(a)に示されるように、ピン45はサイドプレート44の外面44aから突出するように形成されている。そして、サイドプレート44におけるピン45の裏側に対応する位置には、凹部46が形成されている。また、ピン45の根元部45bの周囲は、薄肉の接続部47を介してサイドプレート44に接続されている。なお、前記接続部47は、ピン45と凹部46との境界部に位置しているので、ピン45と凹部46との接続部である、とも言える。
【0026】
そして、ピン45の軸方向(
図2(a)における上下方向)に関する接続部47の厚さはtである。ここで、ピン45の根元部45b(
図2(a)における下端部)の径をφa、凹部46の底部46b(
図2(a)における上端部)の径をφbとすると、φa>φbの関係にある。なお、
図2(a)に示される例において、ピン45の高さは5.5〔mm〕、サイドプレート44の厚さは5.5〔mm〕、接続部47の厚さtは0.5〔mm〕、ピン45の根元部45bの径φaは3.19〔mm〕、及び、凹部46の底部46bの径φbは3.12〔mm〕となっているが、これらの寸法は単なる例示に過ぎないものであって、任意に変更することができる。
【0027】
図に示される例において、ピン45は、サイドプレート44から突出する円柱状の中実部材であって、根元から先端までストレート形状である。すなわち、根元部45bから先端部45aまで径が一定である。凹部46は、サイドプレート44内に形成された円柱状の空間、すなわち、穴であって、穴底から穴入口までストレート形状である。すなわち、底部46bから入口部46aまで径が一定である。
【0028】
なお、ピン45及び凹部46は、ともに、射出成形によって形成されるので、金型から外れやすくするために、若干の抜き勾(こう)配が付いていてもよい。すなわち、根元部45bから先端部45aに向かって、及び、入口部46aから底部46bに向かって、径が若干減少するようなテーパ形状であってもよい。
【0029】
接続部47が薄肉であるために、
図2(b)において矢印で示されるような力、すなわち、荷重をピン45に付与することによって、前記接続部47を破断させて、ピン45を凹部46内に圧入する、すなわち、押し込むことができる。これにより、所望のピン45を選択的に移動させて、すなわち、変位させて、
図2(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さとなるように凹部46内に押し込まれた状態、すなわち、非突出状態にすることができる。また、押し込まれなかったピン45は、
図2(a)に示されるように、突出状態を維持する。
【0030】
なお、プレート54の外面54aから突出するように形成されているピン構造体としてのピン55は、
図2に示されるような前記ピン45の構造と同様の構造を有するので、その説明を省略する。つまり、ピン55も、所望のピン55を押し込むことによって、選択的に非突出状態にすることができる。
【0031】
したがって、ピン45の突出状態及び非突出状態を適宜選択するとともに、これに対応するように、相手方突起部であるピン55を非突出状態及び突出状態とすることによって、トナーカートリッジ12が不適切な現像器21に装着されてしまう、いわゆる誤装着の発生を確実に防止することができる。
【0032】
例えば、
図7(a)〜(d)に示されるように、複数(図に示される例では4本)のピン45の突出状態及び非突出状態を適宜選択するとともに、複数(図に示される例では4本)のピン55の非突出状態及び突出状態を対応させることができる。
【0033】
ここで、
図7(a)〜(d)に示される例の各々を、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応するイメージドラムユニット20の各々に適用したと想定する。すると、各色に対応する現像器21に同色のトナーを収容するトナーカートリッジ12を装着する際には、突出状態のピン45に非突出状態のピン55が対応し、非突出状態のピン45に突出状態のピン55が対応するので、突出状態のピン45と突出状態のピン55とが干渉せず、サイドプレート44がプレート54に近接可能となり、トナーカートリッジ12が現像器21に装着可能であることが分かる。しかし、各色に対応する現像器21に異なる色のトナーを収容するトナーカートリッジ12を装着しようとすると、すなわち、誤装着が発生しそうになると、突出状態のピン45と突出状態のピン55とが干渉し、サイドプレート44がプレート54に近接不能となり、トナーカートリッジ12が現像器21に装着不能となるので、誤装着の発生が防止されることが分かる。
【0034】
次に、前記ピン45の加工方法、すなわち、前記ピン45を突出状態から非突出状態に変更する方法について説明する。
【0035】
図8は本発明の第1の実施の形態におけるピンを凹部内に圧入する際にピンに付与される荷重の変化を示す図、
図9は本発明の比較例におけるトナーカートリッジの外観構成を示す斜視図、
図10は本発明の第1の実施の形態における一部のピンを非突出状態に変更したトナーカートリッジの外観構成を示す斜視図である。
【0036】
ピン45を突出状態から非突出状態に変更する場合には、例えば、専用治具によって、
図2(b)において矢印で示されるような軸方向の荷重をピン45の先端部45aに付与する。これにより、接続部47が破断し、ピン45は、図における下方に変位して凹部46内に押し込まれる。そして、荷重の付与を継続し、
図2(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45を凹部46内に押し込む。この場合、φa>φbの関係にあるので、ピン45は凹部46内に圧入された状態となって固定される。
【0037】
図8には、本発明の発明者が実際にピン45を凹部46内に圧入する実験を行った際に計測したピン45に付与される荷重と、ピン45の図における下方への変位との関係を示すグラフが示されている。荷重及び変位の測定には、引張圧縮試験機を使用し、試験速度、すなわち、ピン45に下方向の荷重を付与する部材の下方向への変位速度は、1〔mm/s〕とした。
【0038】
図8に示されるグラフから分かるように、接続部47を破断させるために必要な荷重は、グラフのピーク値であって、約35〔kgf〕であった。また、
図2(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45が凹部46内に押し込まれたときの荷重は、グラフがほぼ平坦(たん)となっている値であって、約6〔kgf〕であった。
【0039】
つまり、凹部46内に押し込まれたピン45を変位させるには、約6〔kgf〕の荷重が必要であることが分かった。このことから、一旦凹部46内に押し込まれたピン45は、強固に保持されるので、簡単に凹部46から抜け出て外れてしまうことがない、と言える。また、ピン45と凹部46との間から、トナーカートリッジ12内のトナーが漏れ出ることもない。なお、凹部46内に押し込まれたピン45を保持する力を更に強くする必要がある場合には、φa−φbの値を大きく設定すればよい。つまり、ピン45の根元部45bの径φaを、凹部46の底部46bの径φbに対して、より大きくすればよい。
【0040】
なお、ここでは、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45を凹部46内に押し込む例についてのみ説明したが、必ずしも、ピン45の先端部45aの面をサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さにする必要はない。つまり、非突出状態は、ピン45の少なくとも根元部45bを含む部分、すなわち、ピン45の少なくとも一部が凹部46内に押し込まれた状態をすべて含むものであって、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aよりも外部に突出した状態であってもよいし、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aよりも凹部46内に凹入した状態であってもよい。
【0041】
ところで、「背景技術」の項でも説明したように、トナー収納容器の誤装着を防止するために、固定部に駒を装着する例が、従来、知られている。例えば、
図9に示される比較例では、トナー収納容器であるトナーカートリッジの取付部49に、駒であるL字状のブロック48を装着するようになっている。該ブロック48は、凸部48a及び平坦部48bを備え、取付部49に装着した状態で、凸部48aがトナーカートリッジのサイドプレートから突出した状態となる。つまり、取付部49に装着されたブロック48は、凸部48aが本実施の形態におけるピン45の突出状態に対応し、平坦部48bが本実施の形態におけるピン45の非突出状態に対応するものである、と言える。
【0042】
そして、前記ブロック48は、任意に左右反転させて取付部49に装着可能となっている。つまり、凸部48aが右側に位置し、かつ、平坦部48bが左側に位置する姿勢でも、凸部48aが左側に位置し、かつ、平坦部48bが右側に位置する姿勢でも、取付部49に装着することができる。
図9に示される比較例では、2つのブロック48が左右に並んで装着されるので、凸部48a及び平坦部48bから成る凹凸の組み合わせ方法は、2×2=4通りとなる。したがって、図示されない現像器のプレートに形成された凹凸の状態に対応する凹凸の組み合わせとなるように、ブロック48の姿勢を選択して取付部49に装着することによって、前記現像器に対するトナーカートリッジの誤装着を防止することができる。
【0043】
これに対して、本実施の形態においては、ピン45を選択的に押し込んで非突出状態とすることによって、例えば、
図10に示されるように、ピン45の突出状態及び非突出状態の組み合わせ方法、すなわち、凹凸の組み合わせ方法を決定する。したがって、
図9に示される比較例のように、ブロック48の姿勢を制御しつつ、ブロック48を取付部49に装着する必要がないので、手間が掛かることがなく、容易に凹凸の組み合わせを実現することができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、ブロック48のような別部材を使用する必要がないので、コストを低減することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態においては、
図10に示されるように、ピン45が4本並んで配設されている場合には、ピン45の突出状態及び非突出状態の組み合わせ方法、すなわち、凹凸の組み合わせ方法は、2×2×2×2=16通りとなる。したがって、
図9に示される比較例よりもはるかに多数種類の凹凸の組み合わせを実現することができ、極めて広範囲に亘(わた)る誤装着の防止を実現することができる。
【0046】
なお、本実施の形態におけるピン45は、途中まで押し込んだ状態でも使用することができる。つまり、先端部45aの面が
図2(b)に示される位置と
図2(c)に示される位置との略中間の位置にあるように、ピン45を半分程度押し込んだ半突出状態でも使用することができる。このような半突出状態をピン45の非突出状態の一つの形態とし、先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになる状態をピン45の非突出状態の他の形態として識別するようにすれば、更に多数種類の凹凸の組み合わせを実現することができる。
【0047】
このように、本実施の形態においては、トナーカートリッジ12のサイドプレート44に、該サイドプレート44の外面44aから突出するようなピン45が形成されるとともに、前記サイドプレート44におけるピン45の裏側に対応する位置に凹部46が形成されている。そして、前記ピン45は、選択的に凹部46内に押し込むことができる。
【0048】
したがって、手間が掛からず、ピン45を選択的に凹部46内に押し込むだけで、トナーカートリッジ12の現像器21への誤装着を防止する構造を容易に実現することができる。また、ブロック48のような別部品を使用する必要がないので、コストを低減することができる。さらに、誤装着を防止する構造である凹凸の組み合わせパターンとして多数種類のパターンを実現することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0050】
図11は本発明の第2の実施の形態におけるトナーカートリッジの外観構成を示す斜視図、
図12は本発明の第2の実施の形態におけるピン及びその周辺の構造を示す断面図であって
図11におけるC−C矢視断面図、
図13は本発明の第2の実施の形態におけるピン及びその周辺の構造を示す断面の斜視図である。なお、
図12において、(a)〜(c)はピンを押し込む動作の過程を示す図である。
【0051】
図11は、本実施の形態におけるトナーカートリッジ12を斜め下方から観た状態を示す図であり、前記第1の実施の形態と同様に、トナーカートリッジ12の長手方向の一端に取り付けられたサイドプレート44の複数箇所に、ピン45が複数個配設されている。
【0052】
図12(a)及び13に示されるように、突起部としてのピン45はサイドプレート44の外面44aから突出するように形成されている。そして、サイドプレート44におけるピン45の裏側に対応する位置には、凹部46が形成されている。また、ピン45は、薄肉の接続部47を介してサイドプレート44に接続されている。そして、ピン45の軸方向(
図12(a)における上下方向)に関する接続部47の厚さはtである。さらに、ピン45の根元部45bの径をφa、凹部46の底部46bの径をφbとすると、φa>φbの関係にある。
【0053】
ピン45は、サイドプレート44から突出する円柱状の中実部材であって、前記第1の実施の形態と同様に、根元から先端までストレート形状である。すなわち、根元部45bから先端部45aまで径が一定である。
【0054】
一方、本実施の形態において、凹部46は、サイドプレート44内に形成された円柱状の空間、すなわち、穴であって、穴入口から穴底の手前までストレート形状であるが、穴底に円錐(すい)台部61が形成されている。すなわち、入口部46aから底部46bの手前まで径が一定であるが、底部46bには、奥に進むほど径が減少する円錐面61aを含む円錐台部61が形成されている。
【0055】
なお、ピン45及び凹部46は、ともに射出成形によって形成されるので、それぞれのストレート形状の部分には、若干の抜き勾配が付いていてもよい。
【0056】
また、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
次に、本実施の形態におけるピン45の加工方法について説明する。
【0058】
ピン45を突出状態から非突出状態に変更する場合には、例えば、専用治具によって、
図12(b)において矢印で示されるような荷重をピン45の先端部45aに付与する。これにより、接続部47が破断し、ピン45は、図における下方に変位して凹部46内に押し込まれる。
【0059】
このとき、凹部46の底部46bに形成された円錐台部61がピン45の下端部となり、該ピン45の下端部が凹部46内に進入し始めるときに、凹部46の中心軸に向かって傾斜する傾斜面である円錐面61aの周辺が内側に変形し、この変形部分が凹部46内に誘導されるので、該凹部46内へのピン45の進入が容易に開始される。なお、前記第1の実施の形態では、凹部46の底部46bが平らであるので、ピン45がぐらついて傾きやすく、凹部46内へのピン45の進入が困難になることがあった。
【0060】
そして、荷重の付与を継続し、
図12(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45を凹部46内に押し込む。この場合、φa>φbの関係にあるので、ピン45は凹部46内に圧入された状態となって固定される。そして、前記第1の実施の形態と同様に、ピン45は凹部46内に強固に保持されるので、簡単に凹部46から抜け出て外れてしまうことがない。また、ピン45と凹部46との間から、トナーカートリッジ12内のトナーが漏れ出ることもない。
【0061】
なお、ピン45の加工方法におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
このように、本実施の形態においては、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏することに加え、凹部46の底部46bに円錐台部61が形成されているので、該円錐台部61の円錐面61aの周辺が内側に変形して誘い込みとなるために、凹部46内へのピン45の進入が容易に開始される、という効果をも奏する。
【0063】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0064】
図14は本発明の第3の実施の形態におけるピン周辺の構造を示す断面図である。なお、図において、(a)〜(c)はピンを押し込む動作の過程を示す図である。
【0065】
図14(a)に示されるように、ピン構造体としてのピン45はサイドプレート44の外面44aから突出するように形成されている。そして、サイドプレート44におけるピン45の裏側に対応する位置には、凹部46が形成されている。また、ピン45は、薄肉の接続部47を介してサイドプレート44に接続されている。そして、ピン45の軸方向(
図14(a)における上下方向)に関する接続部47の厚さはtである。さらに、ピン45の根元部45bの径をφa、凹部46の底部46bの径をφbとすると、φa>φbの関係にある。
【0066】
ピン45は、サイドプレート44から突出する円柱状の中実部材であって、前記第1の実施の形態と同様に、根元から先端までストレート形状である。すなわち、根元部45bから先端部45aまで径が一定である。凹部46は、サイドプレート44内に形成された円柱状の空間、すなわち、穴であって、穴底から穴入口までストレート形状である。すなわち、底部46bから入口部46aまで径が一定である。
【0067】
なお、ピン45及び凹部46は、ともに射出成形によって形成されるので、それぞれのストレート形状の部分には、若干の抜き勾配が付いていてもよい。
【0068】
本実施の形態においては、
図14(a)に示されるように、前記ピン45の根元部45bの外周を取り囲むように、V溝71が形成されている。該V溝71は、ピン45の根元部45bとサイドプレート44の外面44aとの境界部分に形成されたV字状の溝であって、前記根元部45bから外側に向けて傾斜する傾斜面72と、ピン45の円柱状の外周面とによって画定された断面がV字状の溝である。
【0069】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0070】
次に、本実施の形態におけるピン45の加工方法について説明する。
【0071】
ピン45を突出状態から非突出状態に変更する場合には、例えば、専用治具によって、
図14(b)において矢印で示されるような荷重をピン45の先端部45aに付与する。このとき、ピン45の根元部45bの外周に形成されたV溝71の先端に応力が集中するので、ここが起点となって、接続部47が破断する。そして、ピン45は、図における下方に変位して凹部46内に押し込まれる。
【0072】
さらに、荷重の付与を継続し、
図14(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45を凹部46内に押し込む。この場合、φa>φbの関係にあるので、ピン45は凹部46内に圧入された状態となって固定される。そして、前記第1の実施の形態と同様に、ピン45は凹部46内に強固に保持されるので、簡単に凹部46から抜け出て外れてしまうことがない。また、ピン45と凹部46との間から、トナーカートリッジ12内のトナーが漏れ出ることもない。
【0073】
なお、ピン45の加工方法におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
このように、本実施の形態においては、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏することに加え、ピン45の根元部45bの外周にV溝71が形成されているので、応力が集中して力の分散が抑えられるために、不必要に大きな荷重をピン45の先端部45aに付与することなく、接続部47を破断させて、ピン45を凹部46内に容易に押し込むことができる、という効果をも奏する。
【0075】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0076】
図15は本発明の第4の実施の形態におけるピン周辺の構造を示す断面図である。なお、図において、(a)〜(c)はピンを押し込む動作の過程を示す図である。
【0077】
図15(a)に示されるように、ピン構造体としてのピン45はサイドプレート44の外面44aから突出するように形成されている。そして、サイドプレート44におけるピン45の裏側に対応する位置には、凹部46が形成されている。また、ピン45は、薄肉の接続部47を介してサイドプレート44に接続されている。そして、ピン45の軸方向(
図15(a)における上下方向)に関する接続部47の厚さはtである。さらに、ピン45の根元部45bの径をφa、凹部46の底部46bの径をφbとすると、φa>φbの関係にある。
【0078】
ピン45は、サイドプレート44から突出する円柱状の中実部材であって、前記第1の実施の形態と同様に、根元から先端までストレート形状である。すなわち、根元部45bから先端部45aまで径が一定である。凹部46は、サイドプレート44内に形成された円柱状の空間、すなわち、穴であって、穴底から穴入口までストレート形状である。すなわち、底部46bから入口部46aまで径が一定である。
【0079】
なお、ピン45及び凹部46は、ともに射出成形によって形成されるので、それぞれのストレート形状の部分には、若干の抜き勾配が付いていてもよい。
【0080】
図15(a)に示されるように、本実施の形態においては、前記第3の実施の形態と同様に、前記ピン45の根元部45bの外周を取り囲むように、V溝71が形成されている。該V溝71は、ピン45の根元部45bとサイドプレート44の外面44aとの境界部分に形成されたV字状の溝であって、前記根元部45bから外側に向けて傾斜する傾斜面72と、ピン45の円柱状の外周面とによって画定された断面がV字状の溝である。
【0081】
さらに、本実施の形態においては、凹部46の底部46bの周囲を取り囲むように、V溝81が形成されている。該V溝81は、凹部46のストレートな円柱状の内周面と凹部46の底部46bとの境界部分に形成されたV字状の溝であって、前記底部46bから内側に向けて傾斜する傾斜面82と、凹部46の円柱状の内周面とによって画定された断面がV字状の溝である。
【0082】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0083】
次に、本実施の形態におけるピン45の加工方法について説明する。
【0084】
ピン45を突出状態から非突出状態に変更する場合には、例えば、専用治具によって、
図15(b)において矢印で示されるような荷重をピン45の先端部45aに付与する。このとき、ピン45の根元部45bの外周に形成されたV溝71の先端、及び、凹部46の底部46bの周縁に形成されたV溝81の先端に応力が集中するので、ここが起点となって、接続部47が破断する。そして、V溝71の先端とV溝81の先端とを結ぶ直線に沿った方向に、すなわち、凹部46の中心方向に向かって力が作用するので、破断直後の力がそのままピン45を押し込む力として軸方向に加わり、ピン45は、図における下方にスムーズに変位して凹部46内に押し込まれる。なお、前記第3の実施の形態では、凹部46の底部46bが平らであるので、ピン45がぐらついて傾きやすく、凹部46内へピン45を押し込むことが困難になることがあった。
【0085】
さらに、荷重の付与を継続し、
図15(c)に示されるように、ピン45の先端部45aの面がサイドプレート44の外面44aとほぼ同一の高さになるまで、ピン45を凹部46内に押し込む。この場合、φa>φbの関係にあるので、ピン45は凹部46内に圧入された状態となって固定される。そして、前記第1の実施の形態と同様に、ピン45は凹部46内に強固に保持されるので、簡単に凹部46から抜け出て外れてしまうことがない。また、ピン45と凹部46との間から、トナーカートリッジ12内のトナーが漏れ出ることもない。
【0086】
なお、ピン45の加工方法におけるその他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
このように、本実施の形態においては、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏することに加え、ピン45の根元部45bの外周にV溝71が形成され、さらに、凹部46の底部46bの周縁にV溝81が形成されているので、応力が集中して力の分散が抑えられるために、不必要に大きな荷重をピン45の先端部45aに付与することなく、容易に接続部47を破断させることができるとともに、接続部47が破断するときに凹部46の中心方向に向かう力が作用するために、ピン45を凹部46内に容易に押し込むことができる、という効果をも奏する。
【0088】
なお、前記第1〜第4の実施の形態においては、画像形成装置がプリンタである場合についてのみ説明したが、本発明は、プリンタに限ることなく、複写機、ファクシミリ機、これらを複合させた複合機等にも適用可能である。
【0089】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。