(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなグリル装置は、加熱調理容器を使用する場合、グリル庫に出し入れ可能に収容されるトレー上に載置する主として線材で構成される専用の容器支持体によってトレー上で加熱調理容器を支持するようになっている。加熱調理容器は、用途が異なると深さも異なり、一般に容器の深さに合わせて容器支持体を交換するようにしている。
【0005】
その結果、例えば、グリル装置において深さの異なる2種類の加熱調理容器を使用可能としている場合、それぞれの深さに合わせた専用の容器支持体を必要とするので、容器支持体を台所の収納部に収納する際に嵩張ってしまい、2つの加熱調理容器の収納スペースも含めて広い収納スペースが必要となる。また、加熱調理容器の大きさに合わせて容器支持体を選択しなければならないので、容器支持体の選択ミスが生じることがあり利便性が悪い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であって、深さが異なる2つの加熱調理容器を用いて加熱調理をすることができる加熱調理器において1つの容器支持体により各加熱調理容器を支持できるようにして利便性を向上し、しかも、容器支持体の収納スペースをできるだけ小さくできる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、
加熱手段が設けられたグリル庫内に、食材が収納される加熱調理容器を収容して加熱調理をすることが可能な加熱調理器であって、
グリル庫内に出し入れ可能に配置され、加熱調理容器を支持する容器支持体を備え、
容器支持体は、深さが異なる深型加熱調理容器と浅型加熱調理容器とを兼用して支持し、かつ、浅型加熱調理容器の底面の位置が深型加熱調理容器の底面の位置よりも高い位置となるように支持する構成とし、
深型加熱調理容器は、浅型加熱調理容器よりもグリル庫内に配置させた時の前後の長さが短くなるように形成され、
容器支持体は、浅型加熱調理容器を支持する上部支持枠を備え、
上部支持枠は、浅型加熱調理容器の前部を支持する前側上部支持枠と、浅型加熱調理容器の後部を支持する後側上部支持枠とを備え、前側上部支持枠と後側上部支持枠との間に深型加熱調理容器を配置させるように構成している。
【0008】
このような構成によれば、加熱調理容器の深さに合わせて容器支持体を選択する必要が無くなり、容器支持体の選択ミスが起こらず利便性が向上する。しかも、2つの加熱調理容器と1つの容器支持体の収納スペースを確保すればよいので、複数の容器支持体を収納する場合に比べて収納スペースを小さくすることができる。
【0009】
また、浅型加熱調理容器の底面の位置が深型加熱調理容器の底面の位置よりも高い位置となるようにそれぞれの加熱調理容器を1つの容器支持体により支持するので、浅型加熱調理容器及び深型加熱調理容器の上面は、加熱手段が上方に設けられている場合には、上方の加熱手段から同じ距離にすることが可能となり、深さが異なる加熱調理容器であっても上方の加熱手段による加熱を同等に良好に行なうことができる。
【0010】
ところで、加熱手段を下方側方にもつ加熱調理器で加熱調理容器を用いて調理する場合には、特に加熱調理容器は側方から加熱されることになる。深型加熱調理容器で調理する場合、一般に調理時間が長いので容器の側面のみが直接加熱されてもグリル庫内全体が温度上昇して加熱調理容器全体が均一に加熱されるため問題なく良好に調理できる。しかしながら、浅型加熱調理容器は、魚や肉などの焼き物を主とする比較的調理時間の短い加熱調理に使用されるため、主に容器側面が加熱されると、短い調理時間で加熱調理容器全体が均一に加熱されず容器内部の食材を良好に焼くことができない。
【0011】
そこで、本発明の加熱調理器は、加熱手段が、グリル庫内の左右両側の側面下部に設けられる下火ガスバーナを備える場合には、容器支持体は、浅型加熱調理容器の底面が下火ガスバーナの炎口の位置よりも上方に位置するように浅型加熱調理容器を支持する上部支持枠を備える構成とすることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、浅型加熱調理容器の底面を下火ガスバーナにより良好に加熱することが可能となり、調理時間が短くても浅型加熱調理容器内の食材を良好に焼くことができる。
さらに、浅型加熱調理容器を下火ガスバーナよりも上方に配置させることができるので、浅型加熱調理容器の側方に対して下火ガスバーナとの干渉が無くなり、浅型加熱調理容器の面積をできるだけ広げることができ、1つの浅型加熱調理容器による調理物の量を増加することができる。
【0013】
また、本発明に係る加熱調理器は、
深型加熱調理容器は、浅型加熱調理容器よりもグリル庫内に配置させた時の前後の長さが短くなるように形成され、
容器支持体は、浅型加熱調理容器を支持する上部支持枠を備え、
上部支持枠は、浅型加熱調理容器の前部を支持する前側上部支持枠と、浅型加熱調理容器の後部を支持する後側上部支持枠とを備え、前側上部支持枠と後側上部支持枠との間に深型加熱調理容器を配置させるように構成する。
【0014】
このような構成によれば、深型加熱調理容器が浅型加熱調理容器よりも前後の長さが短くても、浅型加熱調理容器を支持する上部支持枠の前側上部支持枠と後側上部支持枠とによって深型加熱調理容器の少なくとも前後方向の位置決めを行なうことができる。その結果、深型加熱調理容器を加熱手段の加熱領域の範囲内に常に配置させることができるので、深型加熱調理容器により良好に加熱調理が行なえる。
【0015】
また、本発明の加熱調理器は、加熱手段が、グリル庫内の左右両側の側面下部に設けられ、グリル庫内において前後に延びる下火ガスバーナを備える場合には、上部支持枠の前側上部支持枠と後側上部支持枠とは、浅型加熱調理容器の底面が下火ガスバーナの炎口の位置よりも上方に位置するように浅型加熱調理容器を支持すると共に、下火バーナの炎口の前後方向の範囲から外れて配置されるように構成することが好ましい。
【0016】
このように上部支持枠の前側上部支持枠と後側上部支持枠とは下火ガスバーナの炎口の範囲を避けて配置させることができるので、上部支持枠に下火ガスバーナの熱が奪われることが無くなるので調理時の熱効率の低下を防止でき、また、燃焼排気の滞留による燃焼悪化を抑制することができる。さらに、下火ガスバーナの炎により上部支持枠の部材が焼けて変色することをできるだけ防止することができる。
【0017】
また、本発明の加熱調理器は、トレーより上方に配置される容器支持体を支持した状態でグリル庫内に出し入れ可能に配置される受け部材を備え、
受け部材は、グリル庫の開口を前方としたときの前後方向の両端において上方に向けて立ち上がる位置決め部を備えており、容器支持体を前後の位置決め部の間に配置させるように構成することが好ましい。
このような構成によれば、容器支持体を受け部材に載せたときに、位置決め部により容器支持体が前後にずれることなくグリル庫内の出し入れを容易に行なえ、さらに、容器支持体の下方にトレーを配置させる場合でも、トレーに接触させることなく容器支持体をグリル庫内に配置させることが可能となり、トレーが容器支持体によって損傷することを防止できる。
また、受け部材の前後の位置決め部により、受け部材に支持された容器支持体の前後の移動を規制することができるので、容器支持体を支持した状態で受け部材をグリル庫内に出し入れする際でも、容器支持体を前後に移動することなく受け部材上の所定の位置に維持したまま出し入れすることができるので、受け部材の損傷も抑制できる。
【0018】
また、本発明の加熱調理器は、受け部材を備える場合には、
受け部材の位置決め部が、左右両端の上部に形成される段部と、これら段部に連続して左右方向中央部においてさらに上方に向けて突出する凸部とを有し、
容器支持体は、前後両端部において前後方向外方に向けて突出して形成される左右一対の載置部が設けられ、
容器支持体の左右の載置部は、受け部材の凸部に沿って案内されながら段部に載置させるように構成することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、容器支持体を受け部材で支持する際、容器支持体の左右の載置部の間に受け部材の凸部が位置するので、凸部が容器支持体の左右の位置規制となりながら、載置部のガイドとして機能するので、容器支持体を受け部材の所定の位置に容易に支持させることができる。
【0020】
また、本発明の加熱調理器は、容器支持体を受け止める受け部材を備える場合には、受け部材の前後に設ける凸部の上端の位置は、前側より後側が高くなるように形成することが好ましい。
このような構成によれば、容器支持体を受け部材にセットし易くなり、しかも、何れかの加熱調理容器を支持した状態で受け部材をグリル庫内に出し入れする際に衝撃で加熱調理容器の蓋体が容器本体から外れたとしても、蓋体が受け部材の後側の位置決め部よりも後方に落ちることを防止できる。
【0021】
また、本発明の加熱調理器は、容器支持体を受け止める受け部材を備える場合には、受け部材の前後に設ける左右の段部は、左右方向内方に下方に向けて傾斜するように形成することが好ましい。
このような構成によれば、容器支持体の載置部が段部に対して略点接触状態で載置されるので、製造時に受け部材の段部の平行度がバラついても、容器支持体を受け部材に載置させた際のガタつきを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の加熱調理器は、深さの異なる2種類の浅型加熱調理容器及び深型加熱調理容器を1つの容器支持体により支持することができるので、加熱調理容器の大きさに合わせて容器支持体を選択する必要が無くなり利便性が向上し、さらに、1つの容器支持体の収納スペースを確保すればよいので、複数の容器支持体を収納する場合に比べて収納スペースを小さくすることができる。
また、浅型加熱調理容器の底面の位置が深型加熱調理容器の底面の位置よりも高い位置となるように各加熱調理容器を1つの容器支持体により支持することができるので、浅型加熱調理容器及び深型加熱調理容器の上面を、例えば上方の加熱手段から同じ距離となるように配置させることができ、各加熱調理容器の上方の加熱手段による加熱を良好に行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施形態1]
以下に、本発明の実施形態1に係る加熱調理器について、図を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器としてのグリル装置2は、ガスコンロ1に組み付けられている。
【0025】
ガスコンロ1は、システムキッチンのカウンタトップ内(図示せず)に埋設して使用するビルトイン式である。ガスコンロ1は、天板11の上面に、鍋やフライパン等の調理器具を支持する五徳12が3つ載置されているとともに、各五徳12の中央には、ガスの燃焼炎によって調理器具を加熱するコンロバーナ13が配設されている。
【0026】
グリル装置2は、ガスコンロ1の内部に設けられており、魚などの被調理物を加熱調理するためのグリル庫20を備えている。グリル庫20は、
図3に示すように、加熱手段として、内部の天井部に上火ガスバーナ21が、左右側面下部に下火ガスバーナ22が組み付けられている。下火ガスバーナ22は、
図3に示すように、グリル庫20内の左右両側の側面下部で皿状のトレー3の配設位置より上方に設けられ、グリル庫20内において前後に延びるように配置されている。なお、加熱手段は、ガスバーナに限らず、電気ヒータを用いることもできる。
【0027】
また、グリル庫20の前面はスライドレール26に連結されたグリル扉23によりスライド自在に開閉され、
図3及び
図5に示すように、グリル扉23にはトレー3及び図示していない焼き網を載せるための受け部材4が取付けられている。トレー3には、焼き網に替えて、
図1に示す浅皿タイプの浅型加熱調理容器5及び
図2に示す深さの深い鍋タイプの深型加熱調理容器6を支持する容器支持体7を載置させるようになっている。グリル扉23に固定したハンドル24を持って前後にスライドさせてグリル扉23を開閉する。グリル扉23を前後に摺動させることにより、トレー3を引き出したり収納したりする。
【0028】
トレー3は、
図3、
図5〜
図11に示すように、本実施形態1では平面視略矩形状をして上方に開口部を有する浅い皿状のトレー本体31と、トレー本体31の開口部の4辺から外方へと連設される外形矩形状のフランジ部32と、フランジ部32における左右の長辺端部から上方に向けて立ち上がりさらに水平方向外方に向けて屈曲した立上部33とからなる。トレー本体31の底面は、加熱調理容器5,6から万一こぼれた煮汁や油脂が溜まる汁受け部となる。
【0029】
また、グリル扉23に固定される受け部材4は、線材を平面視略矩形の枠状に形成した枠部41と、トレー3の前後のフランジ部32の下面を受け止める板状の受け部44とを備える。
【0030】
枠部41は、トレー3における左右のフランジ部32の下方に配置される1対の連結部42と、各連結部42の前後両端部から上方に向けて立ち上り、トレー3及び容器支持体7の位置決めを行なう位置決め部43とを備える。位置決め部43は、各連結部42の前後両端部から上方に向けて立ち上り左右方向中央に向けて屈曲する段部43aと、段部43aに連続し、左右方向中央部においてさらに上方に向けて凸状に屈曲し、上部に水平部が形成される凸部43bとを有する。段部43aは、左右内方に下方に向けて傾斜するように形成されている。凸部43bは、後側の凸部43bの水平部の高さが前側の凸部43bの水平部の高さよりも高くなるように形成されている。
【0031】
板状の受け部44は、一対の連結部42に掛け渡されるように前後両端部において固定されている。また、前後の位置決め部43の間にトレー3及び容器支持体7が配置され、これら位置決め部43によってトレー3及び容器支持体7が位置決めされる。さらに、後部の受け部44の下面には、後述する実施形態2の説明に用いる
図13にも記載されているように、グリル庫20内に設けるガイドレール25にスライド可能に当接させるガイド部45が固定されている。
【0032】
浅型加熱調理容器5は、
図1、
図6及び
図7に示すように、食材が収納される平面視略矩形状をした容器本体51と、この容器本体51の開口部に被せて取り付けられる平面視略矩形状をした蓋体52とから構成されている。本実施形態1では、浅型加熱調理容器5は、
図1に示すように、長手方向が前後方向となるように、グリル庫20内に収容するトレー3の上方に配置するようになっている。
【0033】
本実施形態1に係る浅型加熱調理容器5は、主として焼き料理をグリル装置2で行なうために用いられる。そのため、浅型加熱調理容器5の蓋体52には、内部の食材への焼き色をつけ易くするために、多数の長孔55が形成されている。本実施形態1では、浅型加熱調理容器5は、鋳鉄から形成されているが、鋳鉄に限らず、銅、アルミ等の他の金属、陶器、ガラスなどのセラミックから形成してもよい。
【0034】
浅型加熱調理容器5の容器本体51は、平面視が長方形状をしており、4cm程度の比較的浅い深さを有する。底面は中央部が少し盛り上がった状態に形成されており、内部で食材を焼いたときに出る油が底部の外周部に溜まるようになっている。
また、容器本体51は、側面のうち一対の長辺側面における開口部の近くに長辺側面と略同じ長さのフランジ状の本体側取っ手53が形成されている。
浅型加熱調理容器5の蓋体52にも、容器本体51の本体側取っ手53と対向する位置に外側に向けて延設される蓋体側取っ手54が形成されている。
【0035】
深型加熱調理容器6は、
図2、
図8〜
図10に示すように、食材が収納される平面視略矩形状をした深さの深い容器本体61と、この容器本体61の開口部に被せて取り付けられる平面視略矩形状をした蓋体62とから構成されている。
深型加熱調理容器6も、
図2に示すように、長手方向が前後方向となるように、グリル庫20内に収容するトレー3上に配置するようになっている。深型加熱調理容器6は、容器本体61の深さが深く、蓋体62に多数の長孔が形成されていない、いわゆるダッチオーブンタイプのものであり、通常オーブンで調理するパンやケーキなどの焼き料理、煮込み料理、蒸し料理などをグリル装置2で行なうために用いられる。深型加熱調理容器6も、鋳鉄から形成されているが、鋳鉄に限らず、銅、アルミ等の他の金属、陶器、ガラスなどのセラミックから形成してもよい。
【0036】
深型加熱調理容器6の容器本体61も側面のうち一対の長辺側面における開口部の近くに長辺側面と略同じ長さのフランジ状の本体側取っ手63が形成されている。また、蓋体62も、容器本体61の本体側取っ手63と対向する位置に外側に向けて延設される蓋体側取っ手64が形成されている。
【0037】
深型加熱調理容器6の容器本体61は、浅型加熱調理容器5の容器本体51とは深さが異なるだけでなく、左右及び前後の長さが浅型加熱調理容器5の容器本体51よりも短くなっている。
【0038】
そして、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6は、1つの容器支持体7によりトレー3の上方で支持されるようになっている。
本実施形態1では、容器支持体7は、
図5に示すようにトレー3のフランジ部の上に中間支持体71の短辺部71aを載置させることにより、トレー3で支持されるようになっている。このように容器支持体7は、トレー3に対して取外し可能になっており、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6を使用せずに図示しない焼網を用いて魚などを焼く場合には、この焼網を受け部材4上に載置させる。
【0039】
グリル扉23をトレー3と共にグリル庫20に対して前方に引き出した状態で、トレー3上に容器支持体7を載置し、この容器支持体7で浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を支持してグリル扉23を押し込んで閉じることにより、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6がグリル庫20内に収容される。
【0040】
容器支持体7は、
図4及び
図5に示すように、浅型加熱調理容器5の底部形状、及び、深型加熱調理容器6の側面及び底部形状に合わせて複数の線材を所定形状に変形させて、所定の高さで固定することにより、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を所定の高さ及び所定水平方向位置に配置できるようになっている。
【0041】
具体的には、容器支持体7は、
図3〜
図11に示すように、2本ずつ異なる高さ位置で水平方向に配置される線材部分を有しており、中間支持枠71と、下部支持枠72と、上部支持枠73と、1対の固定板74とを備える。
【0042】
中間支持枠71は、トレー3の前後のフランジ部32に載置される線材部分及び深型加熱調理容器6の容器本体61の左右の側面に対向する線材部分を有する。下部支持枠72は、深型加熱調理容器6の容器本体61の底部を受け止める線材部分を有する。上部支持枠73は、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底部を受け止める線材部分及び浅型加熱調理容器5の容器本体51の左右の側面に対向する線材部分を有する。固定板74は、中間支持枠71及び上部支持枠73が固定され、受け部材4の前後の位置決め部43にそれぞれ対向して配置される。
【0043】
中間支持枠71は、
図4及び
図5に示すように、短辺部71aと長辺部71bとを有する平面視矩形状をしている。短辺部71aは、図示していないが中央部において上方に突出させた状態に屈曲され、
図3及び
図5に示すように、短辺部71aの両端側がトレー3の前後のフランジ部32上に載置され、中央の突出部が固定板74に固定される。中間支持枠71の長辺部71bは、
図8及び
図10に示すように、深型加熱調理容器6の容器本体61の左右の側面下部に対向して配置される。本実施形態1の容器支持体7は、この長辺部71bと後述する上部支持枠73の浅型容器支持枠部73aにより深型加熱調理容器6の左右方向の位置が固定される。
【0044】
下部支持枠72は、
図4及び
図5に示すように、グリル庫20の左右方向に延びる前後一対の線材部分と前後方向に延びる左右一対の線材部分とを有し、左右方向に延びる線材部分の両端部を内方側にUターンするように湾曲させて中間支持枠71への固定用枠部72aを形成している。この固定用枠部72aは、中間支持枠71の長辺部71bの上に載置させた状態で溶接により固定される。
【0045】
この固定用枠部72aのU字状の左右方向の両端部は、
図10及び
図11に示すように、中間支持枠71の長辺部71bよりも外方で、トレー3の立上部33の内面に近接するように配置されており、この固定用枠部72aの左右両端部により容器支持体7の左右方向の位置決めを行なう。
【0046】
固定用枠部72aの内方側における湾曲部分の端部を下方に向けて延設し、それぞれの下方端部を中間支持枠71の長辺部71bより下方位置で前後方向に延びる直線の線材部分と連結させている。この前後方向に延びる線材部分が深型加熱調理容器6の容器本体61の底面を受け止めて支持する深型容器支持枠部72bとなる。
【0047】
上部支持枠73は、
図4及び
図5に示すように、トレー3の前部上方に配置されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面の前部を受け止める前側上部支持枠731と、トレー3の後部上方に配置されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面の後部を受け止める後側上部支持枠732とを備える。
【0048】
前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面を受ける水平方向に延びる線材部分からなる浅型容器支持枠部73aと、この浅型容器支持枠部73aの左右両端部から上方に向けて延設されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の左右の側面から前後の側面に沿って湾曲する線材部分からなる浅型容器位置決め枠部73bとを有する。
【0049】
浅型容器支持枠部73aは、
図11にも示すように、左右方向中央部が前後方向外側に向けて山形に突出した状態に屈曲されており、この屈曲部分は、深型加熱調理容器6の容器本体61の側面に沿い、深型加熱調理容器6の容器本体61の側面の4箇所(
図11の点Pで示す位置)において略点接触するように形成されている。従って、深型加熱調理容器6は、浅型容器支持枠部73aにより4箇所で支持されるので前後方向及び左右方向の位置が固定される。
【0050】
前側上部支持枠731は、前方側の固定板74に固定され、後側上部支持枠732は、後方側の固定板74に固定される。
さらに、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、浅型容器支持枠部73aの位置が、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面を下火ガスバーナ22の炎口22aの位置よりも上方で支持できる位置となるように固定板74に固定される。そして、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、下火ガスバーナ22の炎口22aの前後方向の範囲から外れ、しかも、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732との間(
図7の範囲a)に深型加熱調理容器6を配置できるように固定板74に固定される。
【0051】
容器支持体7における後方の固定板74は、左右方向両端部から後方に向けて延びる板状の側板74aが形成されており、これら側板74aには受け部材4の位置決め部43に形成した段部43aに係止する段状の切欠部74bが形成されている。さらに、後方の固定板74には、上端部から後方に向けて延びる上板74cが形成されており、この上板74cには、受け部材4の位置決め部43に形成した凸部43bが嵌り込む左右一対の凹部74dが形成されている。
【0052】
そして、容器支持体7を受け部材4に取付ける際に、受け部材4の段部43aに切欠部74bを係合させることにより容器支持体7は受け部材4に対して後方への移動が規制され、受け部材4の凸部43bの上下に延びる線材部分に凹部74dを位置合わせすることによりガイドされながら容器支持体7を受け部材4の所定の位置に配置させることができる。
【0053】
また、容器支持体7における前方の固定板74には、受け部材4の位置決め部43に引っ掛けるフック部75が形成されている。このフック部75は、線材を逆U字状に屈曲させて形成されている。逆U字状に曲げられたフック部75の間隔は、受け部材4の位置決め部43を構成する線材が容易に嵌め易い幅となっており、このフック部75により容器支持体7の受け部材4に対する前後方向の位置決めを行なう。
【0054】
これら浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を用いて加熱調理を行なう場合は、まず、グリル扉23を開いて受け部材4に載せているトレー3を引き出し、後方の固定板74に形成されている切欠部74bを後方の位置決め部43の段部43aに嵌め合わす共に、凹部74dを凸部43bの上下に延びる線材部分に位置合わせしてガイドされながら、受け部材4の前後の位置決め部43の間に容器支持体7を配置させて、受け部材4の前側の位置決め部43の凸部43bに容器支持体7のフック部75を引っ掛けて容器支持体7を受け部材4に取付ける。これにより、容器支持体7を受け部材4に対して所定の位置に配置させた状態で、容器支持体7における中間支持枠71の短辺部71aがトレー3の前後のフランジ部32に当接して、容器支持体7がトレー本体31の上面より上方に配置された状態となる。
【0055】
そして、浅型加熱調理容器5を容器支持体7に支持させる場合には、
図1、
図3、
図6〜
図7に示すように、容器支持体7における前側上部支持枠731及び後側上部支持枠732の浅型容器位置決め枠部73bに容器本体51の側面を沿わせながら、浅型容器支持枠部73aに容器本体51の底面を載置させる。
【0056】
また、深型加熱調理容器6を容器支持体7に支持される場合には、
図2、
図8〜
図11に示すように、容器支持体7における前側上部支持枠731及び後側上部支持枠732の浅型容器支持枠部73aに深型加熱調理容器6の容器本体61の側面を
図11に示す点Pの4箇所で当接させて、容器本体61を中間支持枠71の各長辺部71bの間に挿入させて、下部支持枠72の深型容器支持枠部72bに容器本体61の底面を載置させる。
【0057】
そして、内部に食材が入れられた浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を容器支持体7に載置させた状態でグリル扉23を閉じて焼き料理またはオーブン調理を行う。
【0058】
本実施形態1に係るグリル装置2によれば、容器支持体7に高さの異なる線材部分によって形成される上部支持枠73と下部支持枠72とが形成されていることによって、1つの容器支持体7を用いて浅型加熱調理容器5の底面の位置が深型加熱調理容器6の底面の位置よりも高い位置となるように、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6をそれぞれの底面がトレーの上面より上方となるように支持することができる。
【0059】
本実施形態1のグリル装置2によれば、容器支持体7の上部支持枠73により浅型加熱調理容器5を常にトレー3の上方の所定の位置に配置させることができる。また、深型加熱調理容器6が浅型加熱調理容器5よりも左右前後方向の幅が小さくても容器支持体7の上部支持枠73、中間支持枠71及び下部支持枠72により深型加熱調理容器6を常にトレー本体31の上面より上方の所定の位置に配置させることができる。その結果、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6はそれぞれの位置が使用のたびに変化することなく、これら浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6によって常に安定した加熱調理を行なうことができる。特に、誰がセットしても高さだけでなく、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6の前後左右の位置も変化することなく常に同じ位置にセットされるため、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6を使用する際の調理性能が安定する。
【0060】
さらに、1つの容器支持体7により浅型加熱調理容器5と深型加熱調理容器6とを底面の高さが異なるように支持することができるので、加熱調理容器の大きさに合わせて容器支持体を選択する必要が無くなり、容器支持体の選択ミスが起こらず利便性が向上する。しかも、浅型加熱調理容器5、深型加熱調理容器6及び1つの容器支持体7の収納スペースを確保すればよいので、複数の容器支持体を収納する場合に比べて収納スペースを小さくすることができる。
【0061】
本実施形態1に係る容器支持体7を用いることにより、浅型加熱調理容器5の上面及び深型加熱調理容器6の上面を上火ガスバーナ21から同じ距離にすることができるので、深さが異なる加熱調理容器であっても上火ガスバーナ21による加熱を同等に良好に行なうことができる。
【0062】
さらに、浅型加熱調理容器5の底面の支持位置を下火ガスバーナ22の炎口22aよりも上方にしているので、下火ガスバーナ22による熱が容器底面の中央部分に行き渡るようになり、調理時間が短くても浅型加熱調理容器5内の食材を良好に焼くことができる。
【0063】
また、浅型加熱調理容器5の底面を深型加熱調理容器6の底面よりも上方に位置させると共に下火ガスバーナ22の炎口22aよりも上方に位置させているので、浅型加熱調理容器5の左右側方と下火ガスバーナ22との干渉が無くなり、浅型加熱調理容器5の横幅をできるだけ広げることができ、1つの浅型加熱調理容器5による調理物の量を増加できる。
【0064】
容器支持体7の前後に設ける前側上部支持枠731と後側上部支持枠732の間隔は、下火ガスバーナ22の炎口22aの範囲より大きくする。このようにすることで、下火ガスバーナ22の炎口22aの範囲を避けることができるので、上部支持枠73の線材に下火ガスバーナの熱が奪われることが無くなるので調理時の熱効率の低下を防止でき、また、燃焼排気の滞留による燃焼悪化を抑制することができる。さらに、下火ガスバーナ22の炎により上部支持枠73の線材が焼けて変色することをできるだけ防止することができる。
【0065】
その結果、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6は、直接トレー3に接触することなく、容器支持体7によりトレー3の上面よりも上方に配置させることができ、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6により、トレー3の表面が損傷するのを防止できる。
【0066】
また、浅型加熱調理容器5の容器本体51の開口面積は、深型加熱調理容器6の容器本体61の横断面積よりも大きいので、浅型加熱調理容器5の容器本体51の上に深型加熱調理容器6の容器本体61を重ね合わせ、さらにその上に双方の蓋体52、62を重ねて収納することができ、必要な収納スペースをできだけ小さくすることができる。
【0067】
また、浅型加熱調理容器5の支持位置を下火ガスバーナ22との相対位置から決定しているので、各容器を熱伝導率の悪い素材で構成した場合でも均熱性を向上できる。
深型加熱調理容器6は、高さが高くても、容器本体61の底面がトレー3に直接接触することがないので、トレー3の表面被膜がはがれたり、損傷したりするのを防止できる。
【0068】
さらに、浅型加熱調理容器5を普段から常に使用するようにすれば、深型加熱調理容器6を使用する場合を除き、常時グリル庫20内に浅型加熱調理容器5を入れておくことができるので、浅型加熱調理容器5を収納するためのスペースを無くすことができる。なお、深型加熱調理容器6を使用する場合には、深型加熱調理容器6を収納していたスペースに浅型加熱調理容器5を収納しておくことができる。また、常時グリル庫20内に浅型加熱調理容器5を入れておく場合には、容器支持体7も入れたままの状態となるので、容器支持体7を収納するためのスペースも無くすことができる。
【0069】
[実施形態2]
実施形態1に係るグリル装置2では、容器支持体7は、トレー3のフランジ部32に載置するようにしたが、
図12〜
図16に示す実施形態2のように、容器支持体7をトレー3に接触させることなくトレー3の上方に配置されるように受け部材4に支持させる構成とすることもできる。
【0070】
本実施形態2に係るグリル装置2は、
図1〜
図3の実施形態1に示すグリル装置2と、グリル庫20、トレー3、受け部材4、浅型加熱調理容器5そして深型加熱調理容器6は同じものであり、容器支持体7の構成のみが異なる。同じ構成部分については同じ符号で示し、説明を省略する。
【0071】
本実施形態2に係る容器支持体7も、
図12〜
図16に示すように、浅型加熱調理容器5の底部形状、及び、深型加熱調理容器6の側面及び底部形状に合わせて複数の線材を所定形状に変形させて、所定の位置で固定することにより、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を所定の高さ及び所定水平方向位置に配置できるようになっている。
【0072】
具体的には、容器支持体7は、
図12に示すように、2本ずつ異なる高さ位置で水平方向に配置される線材部分を有しており、中間支持枠71と、下部支持枠72と、上部支持枠73と、1つの固定板74とを備える。
【0073】
中間支持枠71は、
図13に示すように、受け部材4の前後の位置決め部43の幅方向両端側の上部に載置される線材部分及び深型加熱調理容器6の容器本体61の左右の側面に対向する線材部分を有する。下部支持枠72は、深型加熱調理容器6の容器本体61の底部を受け止める線材部分を有する。上部支持枠73は、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底部を受け止める線材部分及び浅型加熱調理容器5の容器本体51の左右の側面に対向する線材部分を有する。固定板74は、中間支持枠71の後端部及び後部の上部支持枠73が固定されると共に、受け部材4の後側の位置決め部43を覆うように配置される。
【0074】
中間支持枠71は、
図12〜
図14に示すように、短辺部71aと長辺部71bとを有する平面視矩形状をしている。短辺部71aは、長辺部71bとの両端の連結部分から上方に立上り前後方向外方に向けて平面視コ字状に突出させて屈曲される載置部71cが左右両端に形成されている。さらに、これら載置部71cの左右方向の内側の端部を左右方向内方に延設して受け部材4の凸部43bに当接させる当接部71dを形成した後、左右方向中央部において互いに前後方向内方に向けて平面視コ字状に突出させて屈曲させた突出部71eが形成されている。短辺部71aの両端の載置部71cにおける外側の線材部分が受け部材4の前後の位置決め部43の傾斜状の段部43aに載置されるようになっている。
【0075】
なお、長辺部71bの前側端部から上方に延びる線材部分と前側の当接部71dの前後方向外側端部の位置は同じ位置となるように前側の短辺部71aが形成されており、長辺部71bの後側端部から上方に延びる線材部分と後側の当接部71dの前後方向外側端部の位置は当接部71dの方が外側に位置するように後側の短辺部71aが形成されている。
【0076】
受け部材4における左右一対の傾斜状の段部43aは、受け部材4に支持された状態のトレー3の上端部より上方に位置しており、容器支持体7の載置部71cを受け部材4の段部43aに載置させることにより、容器支持体7をトレー3の上方位置でトレー3に接触することなく受け部材4に支持させるようなっている。
【0077】
中央の突出部71eのうち、前側の突出部71eには後述する前側上部支持枠731が固定され、後側の突出部71eは固定板74に固定される。中間支持枠71の長辺部71bは、
図16に示すように、深型加熱調理容器6の容器本体61の左右の側面下部に対向して配置され、前後の長手方向中央部において互いに内方に向けて水平方向に突出させるように屈曲させて突出部71fが形成されている。この突出部71fと後述する前側下部支持枠721と後側下部支持枠722の深型容器支持枠部72bの左右両側における上下方向に延びる部分の計6箇所で支持することにより深型加熱調理容器6の左右方向の位置が固定される。
【0078】
また、容器支持体7を受け部材4に取付ける際には、受け部材4の前後の凸部43bの両側に容器支持体7の載置部71cを配置させるので、受け部材4の前後の凸部43bと4箇所の載置部71cとにより容器支持体7の左右の位置を規制できると共に、凸部43bが載置部71cのガイドとして機能するので、容器支持体7を受け部材4に対して所定の位置に容易に支持させることができる。なお、焼き網も受け部材4の段部43aに載置するようになっている。
【0079】
さらに、容器支持体7を受け部材4に取付ける際、後側の位置決め部43の凸部43bに中間支持枠71の当接部71dを当接させることにより容器支持体7の後方への移動を規制することができる。容器支持体7を受け部材4に取付けた後は、前側の位置決め部43の凸部43bに中間支持枠71の当接部71dが当接することにより容器支持体7は後方だけでなく前方への移動も規制される。
【0080】
また、長辺部71bの前側端部から上方に延びる線材部分を受け部材4の段部43aに当接させることによっても、容器支持体7が前方へ移動するのを規制することができ、後述するように固定板74の切欠部74bを段部43aに当接させることによっても、容器支持体7が後方へ移動するのを規制することができるようになっている。
【0081】
下部支持枠72は、
図12〜
図14に示すように、中間支持枠71の長辺部71bに掛け渡される2本の線材により形成されており、前側に配置される前側下部支持枠721と後側に配置される後側下部支持枠722とにより構成されている。前側下部支持枠721及び後側下部支持枠722は、下向きに屈曲されており、両端部が中間支持枠71への固定用枠部72aとなり、これら固定用枠部72aの間の下向きに屈曲した部分が中間支持枠71の長辺部71bより下方位置で深型加熱調理容器6の容器本体61の底面を受け止めて支持する深型容器支持枠部72bとなる。深型容器支持枠部72bは、受け部材4にトレー3を配置させた時にトレー本体31の上面に接触しないようになっている。
【0082】
上部支持枠73は、
図12〜
図14に示すように、トレー3の前部上方に配置されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面の前部を受け止める前側上部支持枠731と、トレー3の後部上方に配置されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面の後部を受け止める後側上部支持枠732とを備える。
【0083】
前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、中間支持枠71の長辺部71bに掛け渡される2本の線材により形成されており、浅型容器支持枠部73aと、浅型容器位置決め枠部73bと、固定用枠部73cを有する。
【0084】
浅型容器支持枠部73aは、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面を受ける水平方向に延びる線材部分からなる。浅型容器位置決め枠部73bは、浅型容器支持枠部73aの左右両端部から上方に向けて延設されて浅型加熱調理容器5の容器本体51の左右の側面と前後の側面に接触可能に屈曲させた線材部分からなる。固定用枠部73cは、中間支持枠71の長辺部71bに固定される。
【0085】
前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、両端の固定用枠部73cから水平方向に内方に延び、中央部で上方に屈曲させた後に水平方向外側に再度屈曲させて浅型容器支持枠部73aが形成される。そして、中間支持枠71の長辺部71bの手前上方で上方に向けて屈曲させた後、前後方向外側に向けて屈曲させて浅型容器位置決め枠部73bが形成される。深型加熱調理容器6は、
図16に示すように浅型容器支持枠部73aにより前後方向の位置が固定される。
【0086】
前側上部支持枠731の浅型容器位置決め枠部73bの左右方向中間部は、中間支持枠71の短辺部71aに形成した突出部71eに固定される。後側上部支持枠732の浅型容器位置決め枠部73bの左右方向中間部は、後側の固定板74に固定される。
【0087】
さらに、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、浅型容器支持枠部73aの位置が、浅型加熱調理容器5の容器本体51の底面を下火ガスバーナ22の炎口22aの位置よりも上方で支持するように配置されている。そして、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732とは、実施形態1と同様に、下火ガスバーナ22の炎口22aの前後方向の範囲から外れ、しかも、前側上部支持枠731と後側上部支持枠732との間に深型加熱調理容器6を配置できるように中間支持枠71に固定されている。
【0088】
本実施形態2では、固定板74は、
図13に示すように、後側が開放され、受け部材4の後側の位置決め部43を覆うように形成されている。そのため、後側の位置決め部43に固定板74を被せるようにして支持させながら、容器支持体7を受け部材4に略垂直方向に簡単に取付けることができる。
【0089】
また、固定板74の左右の側板74aには下向きに開放される切欠部74bが形成されており、前述したように、これら切欠部74bに段部43aを当接することによっても容器支持体7の後方への移動を規制することができる。なお、本実施形態2では、中間支持枠71は、長辺部71bの後側端部から上方に延びる線材部分と後側の当接部71dの前後方向外側端部の位置は異なるように後側の短辺部71aが形成されているが、前側の短辺部71aと同様に長辺部71bの後側端部から上方に延びる線材部分と後側の当接部71dの前後方向外側端部の位置が同じ位置となるように後側の短辺部71aを形成することもできる。この場合は、長辺部71bの後側端部から上方に延びる線材部分を受け部材4の段部43aに当接させることによって、容器支持体7が後方へ移動するのを規制することができる。
【0090】
本実施形態2では、受け部材4の前後に設ける凸部43bの上端の位置が、前側より後側が高くなるように形成し、しかも、受け部材4の後側の位置決め部43が固定板74で覆われて壁のようになっているので、浅型加熱調理容器5又は深型加熱調理容器6を支持した状態で受け部材4をグリル庫内に出し入れする際に衝撃で加熱調理容器の蓋体が容器本体から外れたとしても、蓋体が受け部材の後側の位置決め部よりも後方に落ちることを防止できる。
【0091】
本実施形態2では、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を用いて加熱調理を行なう場合は、まず、グリル扉23を開いて受け部材4に載せているトレー3を引き出し、
図14に示すように、受け部材4の前後の位置決め部43の間に容器支持体7を配置させて、受け部材4の位置決め部43の段部43aに容器支持体7の短辺部71aに形成した載置部71cを載置する。これにより、容器支持体7がトレー3に全く接触することなくトレー3の上方に配置された状態となる。
【0092】
そして、浅型加熱調理容器5を容器支持体7に支持させる場合には、
図15に示すように、容器支持体7における前側上部支持枠731及び後側上部支持枠732の浅型容器位置決め枠部73bに容器本体51の側面を沿わせながら、浅型容器支持枠部73aに容器本体51の底面を載置させる。
【0093】
また、深型加熱調理容器6を容器支持体7に支持される場合には、
図16に示すように、容器支持体7における前側上部支持枠731及び後側上部支持枠732の浅型容器支持枠部73aに深型加熱調理容器6の容器本体61の前後の側面を沿わせながら、容器本体61を中間支持枠71の各長辺部71bの間に挿入させて、下部支持枠72の深型容器支持枠部72bに容器本体61の底面を載置させる。
【0094】
そして、内部に食材が入れられた浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6を容器支持体7に載置させた状態でグリル扉23を閉じて焼き料理またはオーブン調理を行う。
【0095】
本実施形態2に係るグリル装置2も、上述した実施形態1と同様の効果を発揮できる。
さらに、本実施形態2の容器支持体7は、前側上部支持枠731を中間支持枠71の前側の突出部71eに固定するようにしているので、実施形態1の前側の固定板74を無くすことができる。その結果、部品点数を減らすることができるので、表面処理もし易く、生産性が向上し、簡素化・軽量化・コストダウンが可能となり、清掃性も向上する。そして、前側に固定板が無くなることで、グリル庫20内に排気がこもり難くなり燃焼性が良好となる。
【0096】
さらに、本実施形態2では、容器支持体7や焼き網を受け部材4に載せたときに、受け部材4の位置決め部43によりこれらが前後にずれることを防止できる。そして、受け部材4の凸部43bは、容器支持体7の載置部71cを受け部材4の段部43aに載置させる際に、各載置部71cの左右方向の内側が対向することにより、載置部71cのガイドとなる。しかも、容器支持体7の載置部71cの間に凸部43bが位置されるので、凸部43bは容器支持体7の左右位置を規制する機能を有する。また、受け部材4の凸部43bは、容器支持体7の載置部71cを受け部材4の段部43aに載置させる際に、容器支持体7の当接部71dを凸部43bに当接させることで、容器支持体7の前後位置を規制する機能も有する。
【0097】
また、受け部材4の段部43aは、左右内方に向けて下方に傾斜させているので、容器支持体7の載置部71cが段部43aに対して略点接触状態で載置されるので、製造時に受け部材4の段部43aの平行度がバラついても、容器支持体7のガタつきを抑制することができる。なお、段部43aは、水平に形成してもよい。
【0098】
さらに、受け部材4における前後の凸部43bは、後側の凸部43bの上端水平部の位置が前側の凸部43bの上端水平部の位置よりも高さが高くなっているので、容器支持体7の固定板74がセットし易くなり、しかも、何れかの加熱容器5,6を支持した状態で受け部材4をグリル庫20内に出し入れする際に衝撃で加熱容器の蓋体が容器本体から外れたとしても、蓋体が受け部材4の後側の位置決め部43よりも後方に落ちることを防止できる。
【0099】
なお、実施形態2では、後側に設けた固定板74は、受け部材4の位置決め部43を覆うような構成としたが、固定板74の上部を切り欠いて位置決め部43が見えるように構成することもできる。このような構成にすれば、位置決め部43が見え易くなり、容器支持体7を受け部材4によりセットし易くなる。また、固定板74の上部を切り欠くことにより、下火ガスバーナ22の燃焼排気も上方に円滑に流れるようにすることができる。
【0100】
さらに、本実施形態2の容器支持体7は、受け部材4に載置させる構成となっているので、浅型加熱調理容器5及び深型加熱調理容器6だけでなく、容器支持体7もトレー3に接触することなくトレー3の上面よりも上方に配置させることができる。その結果、浅型加熱調理容器5または深型加熱調理容器6、そして、容器支持体7により、トレー3の表面被膜がはがれたり、損傷したりするのを防止できる。さらに、トレー3が無くても使用できる。
【0101】
なお、上記実施形態2では、受け部材4は線材で構成される枠部41と板状の受け部44により構成し、さらに、枠部41の位置決め部43の段部43aと凸部43bとを線材を屈曲させて形成したが、位置決め部43は、左右両端側に段部と、段部を挟む凸部とを有する板状部材により構成し、板状部材を連結部となる線材で連結して構成することもできる。この場合も、位置決め部43の左右の段部の上端に容器支持体7の左右の載置部71cを載置でき、凸部の左右側面により左右の載置部71cをガイドできながら、凸部に載置部71c及び当接部71dを当接させることにより容器支持体7の前後左右の移動を規制することができる。
【0102】
なお、上記各実施形態では、容器支持体7は、容器5,6の底面を支持するようにしたが、浅型加熱調理容器5の底面の位置が深型加熱調理容器6の底面の位置よりも高くなるように支持できれば、浅型加熱調理容器5や深型加熱調理容器6の側面を支持する構成とすることもできる。また、上記各実施形態では、受け部材4は、トレー3の下方に枠部41の連結部42と受け部44とを配置させたが、板状の受け部44を設けることなくトレー3の周縁上面に線材で形成された連結部42を載置させることもできる。
また、容器支持体7を構成する部材として、上記各実施形態では断面円形の線材を用いたが、板状の板金材を用いることもできる。
【0103】
なお、本発明に係るグリル装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を施すことが可能である。
さらに、上記実施形態に係るグリル装置は、ガスコンロに組み込まれるものを挙げたが、IHコンロなどの各種の加熱調理器に組み込まれたものでもよく、また、独立に設置されるグリル装置に適用することもできる。