特許第5964273号(P5964273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5964273-タッチパネルセンサ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964273
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】タッチパネルセンサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160721BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G06F3/041 490
   G06F3/044 127
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-111287(P2013-111287)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-229280(P2014-229280A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 寛行
(72)【発明者】
【氏名】梅本 徹
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−194679(JP,A)
【文献】 特開2011−253546(JP,A)
【文献】 特開2009−073090(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073990(WO,A1)
【文献】 特開2013−008099(JP,A)
【文献】 特開2012−203701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、該透明基材の一方の側に、第1の屈折率調整層と、第1の透明電極パターンと、第2の屈折率調整層と、第1の接着層とをこの順に有し、
前記透明基材の他方の側に、第3の屈折率調整層と、第2の透明電極パターンと、第4の屈折率調整層と、第2の接着層とをこの順に有し、
前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層は、それぞれ屈折率が1.6〜1.8であり、かつ厚みが50nm〜150nmであることを特徴とする、タッチパネルセンサ。
【請求項2】
前記第1および第3の屈折率調整層の屈折率は、前記透明基材の屈折率より大きく、前記第1および第2の透明電極パターンの屈折率より小さいことを特徴とする、請求項1記載のタッチパネルセンサ。
【請求項3】
前記第2および第4の屈折率調整層の屈折率は、前記第1および第2の接着層の屈折率より大きく、前記第1の透明電極パターンおよび第2の透明電極パターンの屈折率より小さいことを特徴とする、請求項1又は2記載のタッチパネルセンサ。
【請求項4】
前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の屈折率は、それぞれ1.6〜1.7であることを特徴とする、請求項1記載のタッチパネルセンサ。
【請求項5】
前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の厚みは、それぞれ85nm〜120nmであることを特徴とする、請求項1記載のタッチパネルセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指やスタイラスペン等の接触によって情報を入力することが可能な入力表示装置等に適用されるタッチパネルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明基材の両側に透明導電体層を有する積層フィルムが知られている(特許文献1)。このような積層フィルムは、各々の透明導電体層を正確にパターニングできるので、透明電極パターンの相対的な位置精度が高いという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−066477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように透明基材の両側に透明電極パターンを形成した構成において、各透明電極パターン上に直接接着層を積層してタッチパネルセンサを作製すると、外光が入射した場合に、干渉縞(interference fringe)が生じるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、干渉縞の発生を抑制することができるタッチパネルセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のタッチパネルセンサは、透明基材と、該透明基材の一方の側に、第1の屈折率調整層と、第1の透明電極パターンと、第2の屈折率調整層と、第1の接着層とをこの順に有し、前記透明基材の他方の側に、第3の屈折率調整層と、第2の透明電極パターンと、第4の屈折率調整層と、第2の接着層とをこの順に有し、前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層は、それぞれ屈折率が1.6〜1.8であり、かつ厚みが50nm〜150nmであることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記第1および第3の屈折率調整層の屈折率は、前記透明基材の屈折率より大きく、前記第1および第2の透明電極パターンの屈折率より小さい。
【0008】
好ましくは、前記第2および第4の屈折率調整層の屈折率は、前記第1および第2の接着層の屈折率より大きく、前記第1および第2の透明電極パターンの屈折率より小さい。
【0009】
また好ましくは、前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の屈折率は、それぞれ1.6〜1.7である。
【0010】
また好ましくは、前記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の厚みは、それぞれ85nm〜120nmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透明基材と透明電極パターンとの間に第1および第3の屈折率調整層を配置し、さらに、透明電極パターンと接着層との間に第2および第4の屈折率調整層を配置する。また、各屈折率調整層の屈折率が1.6〜1.8であり、かつ厚みが50nm〜150nmである。これにより、干渉縞の発生を抑制するタッチパネルセンサを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルセンサの構成を概略的に示す図であり(a)は平面図、(b)は、(a)の線A−Aに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るタッチパネルセンサの構成を概略的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は、(a)の線A−Aに沿う断面図である。なお、図1における各構成の長さ、幅または厚みは、その一例を示すものであり、本発明のタッチパネルセンサにおける各構成の長さ、幅または厚みは、図1のものに限られないものとする。
【0015】
図1(a)および(b)に示すように、本発明のタッチパネルセンサ1は、透明基材2と、該透明基材の一方の側に、屈折率調整層3(第1の屈折率調整層)と、透明電極パターン4(第1の透明電極パターン)と、屈折率調整層5(第2の屈折率調整層)と、接着層6(第1の接着層)とをこの順に有している。また、タッチパネルセンサ1は、透明基材2の他方の側に、屈折率調整層7(第3の屈折率調整層)と、透明電極パターン8(第2の透明電極パターン)と、屈折率調整層9(第4の屈折率調整層)と、接着層10(第2の接着層)とをこの順に有している。
【0016】
屈折率調整層3、屈折率調整層5、屈折率調整層7および屈折率調整層9は、それぞれ屈折率(相対屈折率)が1.6〜1.8であり、かつ厚みが50nm〜150nmである。
【0017】
上記のように構成されるタッチパネルセンサ1では、透明基材2と透明電極パターン4との間に、特定の物性を有する屈折率調整層3を配置し、透明電極パターン4と接着層6との間に、特定の物性を有する屈折率調整層5を配置する。また、透明基材2と透明電極パターン8との間に、特定の物性を有する屈折率調整層7を配置し、透明電極パターン8と接着層10との間に、特定の物性を有する屈折率調整層9を配置する。上記配置によれば、積層界面の屈折率差を小さくすることができるので、外光の反射が弱くなり、干渉縞の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
ここで、従来のタッチパネルセンサでは、透明基材に透明電極パターンが直接積層され、透明電極パターンに直接接着層が積層されている。このとき、干渉縞は、透明基材の表側(視認側)に積層された透明電極パターンの上面(接着層と透明電極パターンとの界面)で反射する反射光と、透明基材の裏側(視認側とは反対側)に積層された透明電極パターンの上面(透明基材と透明電極パターンとの界面)で反射する反射光との干渉作用によって生じる。そこで本発明では、透明基材の表側で発生する反射光に着目し、透明基材2の表側において、透明電極パターン4と接着層6との間に屈折率調整層5を配置している。これにより、透明電極パターン4の上面で反射する反射光を弱めることができる。また、本発明では、透明基材の裏側で発生する反射光に着目し、透明基材2の裏側において、透明基材2と透明電極パターン8との間に屈折率調整層7を配置している。これにより、透明電極パターン8の上面で反射する反射光を弱めることができる。また、タッチパネルセンサは、表裏を逆にして使用する場合もあることから、断面構造が表裏対称となるように作製するのが好ましい。よって、透明基材2と透明電極パターン4との間に屈折率調整層3を配置し、透明電極パターン8と接着層10との間に屈折率調整層9を配置している。本構成によれば、透明電極パターン4の上面で反射する反射光と透明電極パターン8の上面で反射する反射光とを弱めることで、両者の干渉を抑えることができる。
【0019】
なお、本明細書における屈折率は、特に断りのない限り、25℃において、ナトリウムD線(波長589.3nm)を用いて測定された、空気に対する値を示す。
【0020】
本発明のタッチパネルセンサ1では、透明基材2上に屈折率調整層3及び屈折率調整層7を形成しているが、これに限るものではない。透明基材2と屈折率調整層3との間や、透明基材2と屈折率調整層7との間に、接着強度を高めるための易接着層(anchor coat layer)や、透明基材2表面の硬度を高めるためのハードコート層を有していてもよい。
【0021】
次に、タッチパネルセンサ1の各構成要素の詳細を以下に説明する。
【0022】
(1)透明基材
本発明に用いられる透明基材は、第1および第2の透明電極パターンをそれぞれ支持するものである。上記透明基材の厚みは、例えば、20μm〜200μmである。
【0023】
上記透明基材は、特に制限されないが、好ましくは、屈折率が1.45を超え1.60未満の高分子フィルムである。さらに好ましくは、ポリカーボネートフィルム(屈折率1.59)またはポリシクロオレフィンフィルム(屈折率1.53)である。特に、ポリシクロオレフィンフィルムは、他の材料と比較して誘電率が低いため、本発明のタッチパネルセンサを静電容量方式タッチパネルに用いる場合、タッチ感度を高くすることができる。
【0024】
(2)透明電極パターン
本発明に用いられる第1および第2の透明電極パターンは、タッチ位置を検出するためのセンサである。上記第1および第2の透明電極パターンは、一般的には、透明基材の端部に形成された引き回し配線(不図示)に電気的に接続され、上記引き回し配線は、コントローラIC(不図示)と接続される。
【0025】
上記第1および第2の透明電極パターンは、いずれか一方をX座標用の電極とし、もう一方をY座標用の電極として、平面視にて格子状に形成される(図1(a))。各透明電極パターンの形状は、特に制限されないが、例えば、ストライプ状又はひし形状である。
【0026】
上記第1および第2の透明電極パターンは、代表的には、透明導電体により形成される。上記透明導電体は、可視光領域で透過率が高く(好ましくは、80%以上)かつ単位面積当たりの表面抵抗値(Ω/□:ohms per square)が500Ω/□以下である材料をい
う。
【0027】
上記第1および第2の透明電極パターンの屈折率は、通常、1.9〜2.5であり、タッチパネルセンサを構成する部材の中で最も高い。透明導電体を形成する材料は、例えば、インジウムスズ酸化物(屈折率2.0)またはインジウム亜鉛酸化物(屈折率2.3)である。
上記第1および第2の透明電極パターンの高さは、好ましくは10nm〜100nmであり、幅は好ましくは0.1mm〜5mmであり、ピッチは好ましくは0.5mm〜10mmである。
【0028】
上記第1および第2の透明電極パターンを形成する方法としては、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて、透明基材の表面全体に透明導電体層を形成した後、エッチング処理により透明導電体層をパターニングする方法が挙げられる。
【0029】
(3)屈折率調整層(index-matching layer)
本発明に用いられる屈折率調整層は、透明電極パターンの反射を抑制するように屈折率が特定の値に調整された透明な層である。上記第1の屈折率調整層は、透明基材と第1の透明電極パターンとの間に形成され、上記第2の屈折率調整層は、第1の透明電極パターンを覆うように、透明基材の一方の側に形成される。また、上記第3の屈折率調整層は、透明基材と第2の透明電極パターンとの間に形成され、上記第4の屈折率調整層は、第2の透明電極パターンを覆うように、透明基材の他方の側に形成される。
【0030】
上記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層を形成する材料は、屈折率および厚みが本発明で規定する所定の範囲内であれば特に制限されないが、好ましくは、感光性樹脂または感光性モノマーの有機成分に無機粒子を分散させた無機・有機複合材料を光硬化させたものである。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタンが挙げられる。また、上記無機・有機複合材料は、湿式成膜(Wet coating)が可能であり
、この湿式成膜は、スパッタリング等の乾式成膜(Dry coating)と比較して、真空装置
等の多大な設備投資が不要で大面積化に適しており、生産性に優れる。上記無機・有機複合材料としては、例えば、OPSTAR(登録商標)Zシリーズ(JSR社製)を用いることができる。
【0031】
上記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の屈折率は、それぞれ1.6〜1.8である。干渉縞の発生をより一層抑制する観点から、好ましくは1.6〜1.7である。上記屈折率調整層として無機・有機複合材料を用いる場合、屈折率調整層の屈折率は、無機粒子の種類やその含有量を変化させることによって、適宜増加あるいは減少させることが可能である。
【0032】
上記第1および第3の屈折率調整層の屈折率は、透明基材の屈折率より大きく、第1および第2の透明電極パターンの屈折率より小さいことが好ましい。また、第2および第4の屈折率調整層の屈折率は、第1および第2の接着層の屈折率より大きく、第1および第2の透明電極パターンの屈折率より小さいことが好ましい。
【0033】
上記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の厚みは、それぞれ50nm〜150nmである。干渉縞の発生をより一層抑制する観点から、好ましくは85nm〜120nmである。また、第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の各層は、単層で構成されていてもよく、また、複数の層で構成されていてもよいが、干渉縞の発生をより一層抑制する観点から、各層が単層であるのが好ましい。なお、上記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の材料、屈折率および厚みは、それぞれ同一であってもよいし、あるいは互いに異なっていてもよい。
【0034】
(4)接着層
本発明に用いられる第1および第2の接着層は、上記第2および第4の屈折率調整層の各表面に積層される。上記第1および第2の接着層の厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。上記第1および第2の接着層を形成する材料は、均一性や透明性の観点から、好ましくはアクリル系粘着剤である。第1および第2の接着層の屈折率は、好ましくは1.4〜1.6である。
【0035】
上述したように、本実施形態によれば、透明基材と透明電極パターンとの間に第1および第3の屈折率調整層が配置され、さらに、透明電極パターンと接着層との間に第2および第4の屈折率調整層が配置される。また、上記第1,第2,第3,第4の屈折率調整層は、それぞれ屈折率が1.6〜1.8であり、かつ厚みが50nm〜150nmである。これにより、外光の反射が弱くなり、干渉縞の発生を抑制することができる。
【0036】
以上、本実施形態に係るタッチパネルセンサについて述べたが、本発明は記述の実施形
態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0037】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
厚み100μmのポリシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン社製 商品名「ZEONOR(登録商標)」)からなる透明基材の両面に、直径3μmの球状粒子を含むハードコート層を形成した。その後、各ハードコート層上に、感光性モノマーの有機成分に無機粒子を分散させた無機・有機複合材料(JSR社製 商品名「OPSTAR(登録商標) KZ6661」)を塗布し光硬化させて、屈折率が1.65であり厚みが100nmである第1および第3の屈折率調整層を形成した。
【0039】
次に、この透明基材を、酸化インジウムを97重量%、酸化スズを3重量%含む焼成体ターゲットを設置したスパッタ装置内に入れ、透明基材の一方の側に、スパッタ法により厚み27nmのインジウムスズ酸化物層を形成した。続いて、上記透明基材の他方の側にも同様の処理を行い、厚み27nmのインジウムスズ酸化物層を形成した。次いで、両側にインジウムスズ酸化物層を備える透明基材を、150℃で90分間加熱処理し、各インジウムスズ酸化物層を非晶質から結晶質に転化させた。
【0040】
次に、透明基材の一方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層に、ポリエステルフィルムの保護層(サンエー化研社製)を積層して保護した。また、透明基材の他方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層に、ストライプ状のフォトレジストを塗布した後、塩酸に浸漬して透明電極パターンを形成した。続いて、透明基材の他方の側に形成されたインジウムスズ酸化物層にも同様の処理を行い、透明基材の両側に透明電極パターンを形成した。
【0041】
次に、透明基材の一方の側に、透明電極パターンを覆うように、無機・有機複合材料(JSR社製 商品名「OPSTAR(登録商標) KZ6661」)を塗布し光硬化させて、屈折率が1.65であり厚みが100nmである第2の屈折率調整層を形成した。透明基材の他方の側にも同様の処理を行い、第4の屈折率調整層を形成した。
【0042】
次に、第2および第4の屈折率調整層の表面に、屈折率が1.5であるアクリル系接着層(日東電工社製 商品名「LUCIACS(登録商標)」)をそれぞれ積層して、タッチパネルセンサを作製した。
【0043】
(実施例2)
第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の厚みをそれぞれ85nmとした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。
【0044】
(実施例3)
第1,第2,第3,第4の屈折率調整層の厚みをそれぞれ120nmとした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。
【0045】
(比較例1)
メラミン樹脂、アルギド樹脂および有機シラン縮合物からなる熱硬化型樹脂を用いて、屈折率が1.54であり厚みが100nmである第1〜第4の屈折率調整層を形成した以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。
【0046】
(比較例2)
第1,第2,第3,第4の屈折率調整層をいずれも設けなかった以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネルセンサを作製した。
【0047】
次に、上記のように作製した実施例1〜3および比較例1〜2の各タッチパネルセンサを、平滑な評価台上に置き、視認側にガラス板(Corning社製 商品名「GORILLA(登録商標)」)を配置し、背面側に反射防止用の黒色テープを貼り合わせて、模擬的なタッチパネルとした。視認側から三波長型蛍光灯でタッチパネルを照らして、干渉縞の発生の程度を目視観察で評価した。結果を表1に示す。表1中、目視観察で干渉縞がほぼ視認されなかった場合を「○」、干渉縞が明瞭に視認された場合を「×」で示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の実施例1に示すように、第1〜第4の屈折率調整層の屈折率を1.65、厚みをいずれも100nmとすると、タッチパネルに干渉縞がほぼ視認されなかった。また、実施例2において、第1〜第4の屈折率調整層の屈折率を1.65、厚みをいずれも85nmとすると、干渉縞がほぼ視認されなかった。実施例3では、第1〜第4の屈折率調整層の屈折率を1.65、厚みをいずれも120nmとすると、干渉縞がほぼ視認されなかった。
【0050】
一方、比較例1に示すように、第1〜第4の屈折率調整層の屈折率を1.54、厚みをいずれも100nmとすると、干渉縞が明瞭に視認された。また、第1〜第4の屈折率調整層をいずれも設けなかった比較例2においても、干渉縞が明瞭に視認された。
【0051】
したがって、第1〜第4の屈折率調整層の屈折率を1.65、厚みを85nm〜120とすれば、干渉縞の発生を十分に抑制できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るタッチパネルセンサの用途は、特に制限はなく、好ましくはスマートフォンやタブレット端末(Slate PC)等の携帯端末に使用される静電容量方式タッチパネルである。
【符号の説明】
【0053】
1 タッチパネルセンサ
2 透明基材
3 屈折率調整層
4 透明電極パターン
5 屈折率調整層
6 接着層
7 屈折率調整層
8 透明電極パターン
9 屈折率調整層
10 接着層
図1