(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964277
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】試料中の抗体含量を判定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20160721BHJP
G01N 33/553 20060101ALI20160721BHJP
C12Q 1/68 20060101ALI20160721BHJP
C12Q 1/42 20060101ALI20160721BHJP
C12Q 1/28 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G01N33/543 545T
G01N33/553
G01N33/543 541B
G01N33/543 545F
C12Q1/68 A
C12Q1/42
C12Q1/28
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-143157(P2013-143157)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-202742(P2014-202742A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2013年7月9日
(31)【優先権主張番号】102111980
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595165656
【氏名又は名称】行政院原子能委員会核能研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】陳俊穎
(72)【発明者】
【氏名】陳冠因
(72)【発明者】
【氏名】傅孟鈞
(72)【発明者】
【氏名】蔡青彦
(72)【発明者】
【氏名】林峰輝
(72)【発明者】
【氏名】劉家菁
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−501921(JP,A)
【文献】
特開昭60−001564(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/076099(WO,A1)
【文献】
Janet Barletta,Immunomagnetic quantitative immuno-PCR for detection of less than one HIV-1 virion ,Journal of Virological Methods,2009年,Vol. 157,pp. 122-132
【文献】
Kuiyang Jiang,Protein immobilization on carbon nanotubes via a two-step process of diimide-activated amidation,J. Mater. Chem.,2004年,Vol. 14,pp. 37-39
【文献】
Carlos H. Villa et al.,Single-Walled Carbon Nanotubes Deliver Peptide Antigen into Dendritic Cells and Enhance IgG Responses to Tumor-Associated Antigens,ACSNANO,2011年,Vol. 5, No. 7,pp. 5300-5311
【文献】
Nabarun Roy et al.,Modifications of carbon for polymer composites and nanocomposites,Progress in Polymer Science,2012年 2月 3日,Vol. 37,pp. 781-819,Online
【文献】
Yi Lin,Carbon Nanotubes for Immunomagnetic Separation of Escherichia Coli O157:H7,J. Nanosci. Nanotec. ,2006年,Vol. 6,pp. 868-871
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 33/553
C12Q 1/28
C12Q 1/42
C12Q 1/68
ACS PUBLICATIONS
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床の場で大量のサンプルを生体外で定量測定することによる癌腫診断や治療の評価に適用される、試料中の抗体含量を判定する方法であって、
少なくとも、
(A)球体の炭素ナノ粒子(Nanoparticle)、前記炭素ナノ粒子の表面に分布する結合用官能性分子、および上記前記炭素ナノ粒子内に分布する磁性物質と、を有する樹枝状ナノ炭素キャリア構造である磁気ビーズを用意し、前記磁気ビーズ(Magnetic Beads)を含む溶液を入れた容器を用意し、それに抗原(Antigen)を添加し、前記抗原が前記磁気ビーズに吸着または結合する、ステップと、
(B)上記容器の下に磁石をセットし、前記抗原が吸着または結合した前記磁気ビーズを上記容器の底に集中させ、反応していない残りの抗原とその溶液をニードル(Needle)で吸い上げて、抗原を有する磁気ビーズだけのものが得られる、ステップと、
(C)上記抗原が吸着または結合した磁気ビーズの溶液に、試料を添加して、上記試料中の抗体(Antibody)と、前記磁気ビーズに吸着または結合している上記抗原とを特異性反応させて、前記磁気ビーズに抗体を吸着または結合させ、その後、磁石を上記容器の下にセットし、抗体を吸着または結合させた前記磁気ビーズを上記容器の底に集中させ、抗体を吸着または結合していない試料中の他の物質と、抗体を吸着または結合させた前記磁気ビーズとを分離させる、ステップと、
(D)上記抗体を吸着または結合した磁気ビーズの溶液に、更に、二次抗体を添加して、この二次抗体を前記抗体を吸着または結合させた前記磁気ビーズに吸着または結合させ、その後、前記二次抗体を吸着または結合させた前記磁気ビーズを、磁界で前記容器の底に集中させ、吸着または結合していない二次抗体を分離する、ステップと、を含み、さらに、
上記二次抗体が吸着又は結合した磁気ビーズを指標としてマークして、次のステップ(E)、ステップ(F)およびステップ(G)のうちのいずれか一つの測定を実行し、
ステップ(E)は、上記二次抗体にヨウ素−125放射性同位体を結合させ、放射免疫測定法(Radioimmunoassay, RIA)により、上記ヨウ素−125から放射したガンマ線(Gamma Ray, γ−ray)で上記ガンマ線の強度を検知して上記試料中の抗体含量を判定し、
ステップ(F)は、上記二次抗体に、化学発光/酵素結合酵素を結合させ、上記化学発光/酵素結合酵素を化学発光基質(ChemiluminescenceSubstrate)/酵素結合基質に作用させ、化学発光免疫測定法(Chemiluminescence Immunoassa, CLIA)や酵素結合免疫測定法(Enzyme−LinkedImmunosorbent Assay,ELISA)により、上記光子の発光強度/酵素結合吸光値を検知して、上記試料中の抗体含量を判定し、
ステップ(G)は、上記二次抗体にビオチン(Biotin)を結合させ、また、一つの核酸分子にもビオチンを結合させ、ストレプトアビジン(Streptavidin)で上記核酸分子と上記二次抗体とが結合され、イムノPCR法(Immuno PCR)により、Tag酵素でPCR反応させて信号を拡大し、分離プロセスにより核酸分子を分離して、上記試料中の抗体含量を判定する、
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記試料は、癌腫病者の血清である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記癌腫は、鼻咽頭癌である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記抗体は、Anti−EBV IgAである
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項5】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記二次抗体は、Anti−Human IgAである
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記ステップ(F)においては、化学発光/酵素結合酵素が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Horse RadishPeroxidase,HRP)やアルカリホスファターゼ(AlkalinePhosphatase, AP)である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記ステップ(F)においては、自動化血清免疫測定器で、化学発光/酵素結合免疫測定法を行う
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項8】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記ステップ(F)においては、光電子増倍管(Photomultiplier Tube, PMT)検知器で、光子の発光強度/酵素結合吸光値を検知する
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記ステップ(G)の分離プロセスは、ゲル電気泳動(Gel Electrophoresis)である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項10】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記結合用官能性分子は、酸及びアルカリによって処理されて、電離放射線によって照射されることにより形成された官能基を有する
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記官能基は、カルボキシル基(−COOH)やアミノ基(−NH2)、チオール基(−SH)、ヒドロキシ基(−OH)、アルデヒド基(−COH)或いはエステル基(−COO−)である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の試料中の抗体含量を判定する方法において、
上記磁性物質は、鉄やコバルト、ニッケル及び四三酸化鉄(Fe4O3)の磁石粉(Magnet)である
ことを特徴とする試料中の抗体含量を判定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
試料中の抗体含量を判定する方法に関し、特に、病気について、高い専用性の磁性炭素微粒子を利用して、特に、高精度の敏感度と正確度で検知でき、また、大幅にコストダウン且つ便利になる方法に関し、そして、サンプル純化や
、臨床
の場で大量
のサンプルを生体外
で定量測定
することによる癌腫診断や治療の評価に適用できる。
【背景技術】
【0002】
従来の酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay, ELISA)は、
図9のように、容器8の底部に、一層の抗原9を塗布するだけであるため、上記抗原9の表面積の使用が制限され、また、有効的に検知の敏感度を向上できない。
そのため、一般の従来のものは、ユーザーにとって実用的ではない。
【0003】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術の上記問題点を解消するため、病気に対して高い専用性の磁性炭素微粒子を利用して、その
結合した官能性分子により、
結合した抗原/抗体の表面積が増加され、そのナノ粒子表面に結合された抗原が、若干倍に増加され、検知の敏感度や正確度が向上され、また、有効に大幅にコストダウンと便利性とが向上され、臨床
の場で大量
のサンプルを生体外
で定量測定
することによる癌腫診断や治療の評価及びサンプル純化が行われる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明
では、
溶液により複数の炭素磁気ビーズ(Magnetic Beads)が供給され、
それに抗原(Antigen)/抗体(Antibody)が添加され、
上記抗原/抗体が上記磁気ビーズに吸着
または結合し、
磁界により上記磁気ビーズ
を容器の底に集中
させ、
また、残りの反応していない抗原/抗体とその溶液をニードル(Needle)で吸い上げ、
純粋な抗原/抗体を有する磁気ビーズだけのものが形成され、
そして、試料を上記抗原/抗体を有する磁気ビーズの溶液に添加して、
上記試料の抗体(Antibody)/抗原(Antigen)と上記抗原/抗体とを特異性反応させて、
上記磁気ビーズに吸着或いは結合させ、
その後、磁界でそれらを
容器の底に集中させ、
吸着
または結合
していない試料中の他の物質を分離させ、
上記抗体を
結合した磁気ビーズの溶液において、更に、二次抗体が添加されて、
上記二次抗体が吸着
または結合された磁気ビーズを指標としてマークして、
続きの放射免疫測定法(Radioimmunoassay, RIA)や化学発光免疫測定法(Chemiluminescence Immunoassa,CLIA)、酵素結合免疫測定法(Enzyme−Linked ImmunosorbentAssay,ELISA)或いはイムノPCR法(Immuno PCR)の測定を行い、また、上記二次抗体が吸着や結合された後、同じように、磁界でそれらを
容器の底に集中させ
、吸着
または結合
していない二次抗体が分離され、
放射免疫測定法を行うことにより、上記二次抗体にヨウ素−125放射性同位体が結合され、上記ヨウ素−125から放射したガンマ線(Gamma Ray, γ−ray)により、上記ガンマ線の強度を検知して、上記試料中の抗体含量を判定し、
化学発光/酵素結合免疫測定法を行う時、上記二次抗体に化学発光/酵素結合酵素を結合させ、上記化学発光/酵素結合酵素を化学発光基質(Chemiluminescence Substrate)/酵素結合基質に作用させ、上記光子の発光強度/酵素結合吸光値を検知して、上記試料中の抗体含量を判定し、
イムノPCR法を行う時、上記二次抗体にビオチン(Biotin)を
結合させ、また、一つの核酸分子にもビオチンを
結合させ、ストレプトアビジン(Streptavidin)で上記核酸分子と上記二次抗体とが結合され、Tag酵素でPCR反応させて信号を拡大し、分離プロセスにより核酸分子を分離して、上記試料中の抗体含量を判定する。
【0006】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について詳しく説明するが、それらの図面等は参考や説明のためであり、本発明はそれによって制限されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の
試料中の抗体含量を判定する方法の流れ図である。
【
図2】
磁気ビーズに抗原を結合するステップ11の流れ図である。
【
図4】
磁気ビーズに抗体を結合するステップ13の流れ図である。
【
図5】
磁気ビーズに二次抗体を結合するステップ14の流れ図である。
【
図7】
化学発光/酵素結合免疫測定ステップ16の流れ図である。
【
図9】従来の酵素結合免疫吸着測定法
の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜
図8は、それぞれ、本発明の試料中の抗体含量を判定する方法の流れ図と磁気ビーズに抗原を結合するステップ11の流れ図、磁性吸着清浄ステップ12の流れ図、磁気ビーズに抗体を結合するステップ13の流れ図、磁気ビーズに二次抗体を結合するステップ14の流れ図、放射免疫測定ステップ15の流れ図、化学発光/酵素結合免疫測定ステップ16の流れ図及びイムノPCRステップ17の流れ図である。
図のように、本発明に係る試料中の抗体含量を判定する方法は、少なくとも次のステップを含む。
(A)磁気ビーズに抗原を結合するステップ11:
図2のように、溶液20が収納された容器2に対して、複数
の磁気ビーズ(Magnetic Beads)3を供給し、また、それに抗原(Antigen)/抗体(Antibody)40を添加し、上記抗原40が上記磁気ビーズ3に吸着または結合する。
上記磁気ビーズ3が樹枝状ナノ炭素キャリア構造で、
球体のナノ粒子(Nanoparticle)31、上記ナノ粒子31
の表面に分布した結合用官能性分子32及び上記ナノ粒子31
内に分布した磁性物質33を備える。
(B)磁性吸着清浄ステップ12:
図3のように、上記容器2の下方に磁石(Magnet)21がセットされ、磁界で磁気ビーズ3を集中させ、また、残りの反応していない抗原/抗体40とその溶液20をニードル(Needle)5で吸い上げ、純粋な抗原/抗体40を有する磁気ビーズ3を形成する。
(C)磁気ビーズに抗体を結合するステップ13:
図4のように、試料4を上記抗原/抗体40を有する磁気ビーズ3の溶液20に添加し、上記試料4中の抗体(Antibody)/抗原(Antigen)41と上記抗原40とが特異性反応して、上記磁気ビーズ3に吸着や結合され、その後、ステップ(B)のように、磁界でそれらを集中させて、吸着または結合していない試料4中の他の物質を分離させる。
(D)磁気ビーズに二次抗体を結合するステップ14:
図5のように、上記抗体41を結合した磁気ビーズ3の溶液20に、更に、二次抗体42を添加することにより、上記二次抗体42が吸着や結合された磁気ビーズ3を指標としてマークして、続きのステップ(E)やステップ(F)或いはステップ(G)の測定に利用する。
上記二次抗体42に、それぞれ、放射性同位体(Isotope)や酵素或いは核酸分子(DNA)の三種類の異なる信号分子6を結合することができる。
(E)放射免疫測定ステップ15:
図6のように、放射免疫測定法(Radioimmunoassay, RIA)を行い、上記二次抗体42にヨウ素−125放射性同位体6aを結合させ、上記ヨウ素−125から放射したガンマ線(Gamma Ray, γ−ray)で、上記ガンマ線の強度を検知して上記試料4中の抗体41含量を判定する。
(F)化学発光/酵素結合免疫測定ステップ16:
図7のように、化学発光免疫測定法(Chemiluminescence Immunoassa, CLIA)/酵素結合免疫測定法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay,ELISA)を行い、上記二次抗体42に化学発光/酵素結合酵素6bを結合させ、上記化学発光/酵素結合酵素6bを化学発光基質(Chemiluminescence Substrate)/酵素結合基質に作用させ、上記光子の発光強度/酵素結合吸光値を検知して、上記試料4中の抗体41含量を判定する。
(G)イムノPCRステップ17:
図8のように、イムノPCR法(Immuno PCR)を行い、上記二次抗体42にビオチン(Biotin)61cを結合させ、また、核酸分子6cにもビオチン61cを結合させ、ストレプトアビジン(Streptavidin)62cで上記核酸分子6cと上記二次抗体42とが結合され、それから、Tag酵素でPCR反応させて信号を拡大し、分離プロセスにより核酸分子6cを分離して、上記試料4中の抗体41含量を判定する。
【0009】
上記ナノ粒子31はナノ炭素玉
、すなわち、球体のナノ粒子であり、上記結合用官能性分子32は酸及びアルカリ処理や電離放射線照射によって形成された、カルボキシル基(−COOH)やアミノ基(−NH
2)、チオール基(−SH)、ヒドロキシ基(−OH)、アルデヒド基(−COH)或いはエステル基(−COO−)の官能基が備えられ、上記磁性物質33は、鉄やコバルト、ニッケル及び四三酸化鉄(Fe
4O
3)の磁石粉である。
【0010】
本発明のより良い実施例中によれば、上記磁気ビーズ3をキャリアとする構造で、
結合官能性分子32により、抗原40を上記ナノ粒子31の表面に結合させ、また、容器2の底部に磁石21を設置することにより、上記磁気ビーズ3中の磁性物質33が磁界により、上記磁石21の方向へ移動して集中され、また、上記ニードル5により残りの溶液が吸い上げられ、これにより、簡単に反応していない抗原40が清浄除去されて、純粋な抗原40を有する磁気ビーズ3が形成され、また、試料4をそれに添加し、本実施例において、鼻咽頭癌患者の血清を使用する。病気に対して、専用性的に吸着する磁気ビーズ3を利用して、上記血清中のAnti−EBV IgA抗体41だけを上記磁気ビーズ3に
結合させることができ、また、同じように、磁界で上記磁気ビーズ3を集中して吸着し、吸着されていない血清中の他の物質が分離除去され、最後に、EBV IgAが
結合された磁気ビーズ3に、更に、Anti−Human IgA二次抗体42が
結合され、磁界で集中させて吸着させ、吸着されていない二次抗体42が分離除去され、その後、上記二次抗体42に、それぞれ、選択的に三種類の異なる信号分子6が
結合されて、放射免疫測定法や化学発光免疫測定法、酵素結合免疫測定法或いはイムノPCR法の測定が行われる。
【0011】
放射免疫測定法を行う時、上記二次抗体42にヨウ素−125放射性同位体6aが結合され、上記ヨウ素−125から放射したガンマ線により、ガンマ線検知器(Gamma−ray Detector)7aで上記ガンマ線の強度を検知すると、上記試料4中のAnti−EBV IgA抗体41含量を判定でき、高い正確性且つ低コストの検知方法になる。
【0012】
化学発光/酵素結合免疫測定法を行う時、上記二次抗体42に、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HorseRadish Peroxidase,HRP)やアルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase, AP)等の化学発光/酵素結合酵素6bが結合され、上記両種類の化学発光/酵素結合酵素を化学発光/酵素結合基質に作用させ、光電子増倍管(Photomultiplier Tube, PMT)検知器で、上記光子の発光強度/酵素結合吸光値を検知して、上記試料4中の抗体41含量を判定する。
上記方法による信号と比べると、上記放射免疫測定法の方が大幅に拡大され、より良い正確度が得られるだけでなく、既存の自動化血清免疫測定器に合わせて使用すると、より良い便利性が得られる。
【0013】
イムノPCR法を行う時、上記二次抗体42にビオチン61cを
結合させ、また、上記核酸分子6cにもう一つのビオチン61cを
結合させ、上記ストレプトアビジン62cがビオチンに対して強い吸着力があって、また、各ストレプトアビジンに四つのビオチン
を結合することができるため、上記核酸分子6cと上記二次抗体42とが結合され、その後、Tag酵素を利用してPCR反応させ、そして、ゲル電気泳動(Gel Electrophoresis)7cにより核酸分子6cを分離して、上記試料4中の抗体41含量を判定する。また、30循環(Cycle)に反応すれば得られる信号が10億倍に拡大され、そのため、上記方法は、最も敏感の検知方法になり、約580分子の濃度まで検知できる。
【0014】
以上のように、本発明に使用された磁気ビーズが、病気に対して、高い専用性を有し、その
結合用官能性分子により、抗原を
結合するための表面積が増加され、上記ナノ粒子表面に結合される抗原が、従来の酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay, ELISA)に比較すると、明白に若干倍に増加され、検知の敏感度や正確度が向上され、大幅にコストダウン且つ便利になり、従来方法の代わりに利用でき、また、病気の純化医療に適用でき、臨床
の場で大量
のサンプルを生体外
で定量測定
することによる癌腫診断と治療の評価に適合する。
【0015】
以上のように、本発明に係る
試料中の抗体含量を判定する方法は、有効に従来の諸欠点を解消でき、病気に対して高い専用性を有し、その
結合用官能性分子により抗原を
結合するための表面積が増加され、上記ナノ粒子表面に結合される抗原が明白に若干倍に増加され、検知の敏感度や正確度が向上され、また、有効に大幅にコストダウンと便利性が向上され、サンプル純化や臨床
の場で大量
のサンプルを生体外
で定量測定
することによる癌腫診断と治療の評価に適用でき、そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0016】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0017】
(本発明部分)
ステップ(A) 炭素磁気ビーズに抗原を
結合する11
ステップ(B) 磁性吸着清浄12
ステップ(C) 炭素磁気ビーズに抗体を
結合する13
ステップ(D) 炭素磁気ビーズに二次抗体を
結合する14
ステップ(E) 放射免疫測定15
ステップ(F) 化学発光/酵素結合免疫測定16
ステップ(G) イムノPCR17
2 容器
20 溶液
21 磁石
3 炭素磁気ビーズ
31 ナノ粒子
32
結合用官能性分子
33 磁性物質
4 試料
40 抗原/抗体
41 抗体/抗原
42 二次抗体
5 ニードル
6 信号分子
6a 放射性同位体
6b 化学発光/酵素結合酵素
6c 核酸分子
61c ビオチン
62c ストレプトアビジン
7a ガンマ線検知器
7b 光電子増倍管検知器
7c ゲル電気泳動
(従来部分)
8 容器
9 抗原