(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記CpG含有オリゴヌクレオチドが配列番号433、配列番号432、および配列番号431からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有する、請求項12に記載の組成物。
抗原性IgEペプチドが配列番号312のアミノ酸配列からなり、免疫原性担体がQbeta VLPであり、リンカーが抗原性IgEペプチドのC末端に結合しているGGCである、請求項17に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義および一般的な技法
本明細書で別段の定義のない限り、本発明に関連して使用される科学的用語および技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書で記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびにこれらの技法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。
【0015】
本発明の方法および技法は、別段の指定のない限り、当技術分野で周知の従来方法によって、かつ本明細書全体にわたって引用され、論じられる様々な一般的な参考文献およびより具体的な参考文献において記載されているように一般に実施される。例えば、Sambrook J.&Russell D.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley,John&Sons,Inc.(2002);Harlow and Lane Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1998);およびColiganら、Short Protocols in Protein Science、Wiley,John&Sons,Inc.(2003)を参照。酵素反応および精製技法は、当技術分野において一般に実現され、または本明細書に記載されるように、製造者の仕様書に従って実施される。
【0016】
本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに薬化学および医薬品化学に関連して使用される命名法、ならびにこれらの実験室手順および技法は、当技術分野において周知のものであり、一般に使用される。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、指定した整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しないことを示すと理解されるであろう。用語「含む(comprising)」、「からなる」、および「から本質的になる」は、互換性であることを意味する。本開示において、用語「one」、「a」、または「an」が使用される場合、これらは、別段の指定のない限り、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。さらに、文脈による別段の要求のない限り、単数形の用語は、複数存在することを含むものとし、複数用語は、内容による明らかな別段の指示のない限り、単数形を含むものとする。
【0018】
上記であっても下記であっても、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0019】
一般的な定義:
用語「ペプチド」または「ポリペプチド」は、ポリマーの長さに関係なく、アミノ酸のポリマーを指し、したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後の修飾を指定または除外せず、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合的な付着を含むポリペプチドは、用語ポリペプチドによって明白に包含される。アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生物系においてのみ天然に生ずるアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸などを含む)、置換された連結を有するポリペプチド、ならびに天然に存在するもの、および天然に存在しないものの両方の、当技術分野で知られている他の修飾を含有するポリペプチドもこの定義内に含まれる。
【0020】
用語「単離されたタンパク質」、「単離されたポリペプチド」、または「単離されたペプチド」は、その起源または誘導源によって、(1)その天然状態において付随する、天然に付随する成分を伴わない、(2)同じ種に由来する他のタンパク質を含まない、(3)異なる種に由来する細胞によって発現される、または(4)自然において生じないタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドである。したがって、化学的に合成され、またはペプチドが天然に発生する細胞と異なる細胞系において合成されるペプチドは、その天然に付随する成分から「単離される」ことになる。タンパク質は、当技術分野で周知のタンパク質精製技法を使用して単離することによって、天然に付随する成分を実質的に含まないようにすることもできる。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「精製された」が、分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質)に関して使用される場合、これは、精製される分子の濃度が、その天然の環境、または精製される分子が産生、発見、もしくは合成された環境においてこれに関連する分子と比べて増大されたことを意味する。天然に付随する分子は、タンパク質、核酸、脂質、および糖を含むが、しかし一般に、完全性を維持し、または精製される分子の精製を促進するのに添加される水、バッファー、および試薬を含まない。
【0022】
いくつかの実施形態では、化合物は、これが、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、これが天然に付随し、またはこれが製造の間に付随する有機分子を含まないとき、実質的に純粋であるか、精製されている。いくつかの実施形態では、配合物は、その混入物に対して、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%の対象とする化合物である。
【0023】
実質的に純粋な化合物または精製された化合物は、例えば、天然源(例えば、細菌)から抽出することによって、化合物を化学合成することによって、または精製および化学修飾の組合せによって得ることができる。実質的に純粋な化合物または精製された化合物は、例えば、対象とする抗体に結合する化合物を有する試料を濃縮することによっても得ることができる。純度は、任意の適切な方法、例えば、クロマトグラフィー、質量分析、高速液体クロマトグラフィー分析などによって測定することができる。
【0024】
用語「異種の」は、IgEペプチドまたはポリペプチドとの関連で本明細書で使用する場合、IgEポリペプチド融合タンパク質が、IgEペプチドまたはポリペプチド、および「異種の」ポリペプチドを含む場合、IgEペプチドまたはポリペプチド以外であるポリペプチド、例えば、IgEペプチドまたはポリペプチドに天然において通常伴われないポリペプチドを指す。例えば、異種ポリペプチドは、IgEペプチドまたはポリペプチドとの有意なアミノ酸配列同一性をまったく有さず、例えば、異種ポリペプチドは、IgEペプチドまたはポリペプチドとのアミノ酸配列同一性が約50%未満、約40%未満、約30%未満、または約20%未満である。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「IgE媒介性障害」または「IgE関連障害」は、免疫グロブリンIgEに対する過剰産生および/または過敏症を特徴とする状態または疾患を意味する。特に、これは、例えば、喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎および結膜炎(枯草熱)、湿疹、じん麻疹、アトピー性皮膚炎、ならびにピーナッツアレルギーを含む食物アレルギーを含めたアナフィラキシー性過敏症ならびにアトピー性アレルギーに関連する状態を含むと解釈される。例えば、ハチ刺され、蛇咬、食物または薬物療法によって引き起こされるアナフィラキシーショックの深刻な生理的状態も、この用語の範囲下に包含される。他のIgE媒介性障害として、アナフィラキシー、接触性皮膚炎、アレルギー性胃腸病、アレルギー性肺アスペルギルス症、アレルギー性紫斑、湿疹、過剰IgE(ヨブ)症候群、アナフィラキシー性過敏症、IgE骨髄腫、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎、および感染性大腸炎)、じん麻疹、および乾癬が挙げられる。
【0026】
本発明の抗原性IgEペプチド
本発明は、CH3−CH4領域とその高親和性受容体FceRIとの相互作用に関与するループを形成することができるIgE CH3ドメインの部分として同定された、IgEペプチドおよびこれに由来するペプチドに関する(
図1を参照)。そのようなIgEペプチドは、免疫原性であり、非アナフィラキシー誘発性であることが示された。
【0027】
そのような抗原性IgEペプチドは、IgE関連障害を治療、予防し、または回復させるために、単独または組合せで使用することによって、好ましくは免疫原性担体とコンジュゲートしたとき、対象において自己抗IgE抗体を誘発することができる。
【0028】
特に、本発明は、好ましくは免疫原性担体に連結した抗原性IgEペプチドからなる、このペプチドから本質的になる、またはこのペプチドを含む免疫原に関する。
【0029】
一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号1〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜153、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号1〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154〜219、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220〜310、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む。
【0030】
用語「抗原性IgEペプチド」は、本発明の意味の範囲内で、好ましくは哺乳動物種、より好ましくはヒトに由来するすべてのIgE CH3誘導ペプチド、ならびに「抗原性IgEペプチド生物活性」を示す、これらの変異体、類似体、オルソログ、相同体、および誘導体、ならびにこれらの断片を含む。好ましくは、用語「抗原性IgEペプチド」は、配列番号1〜430、ならびに本質的に同じ生物活性を示す、これらの変異体、相同体、および誘導体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらのアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になるペプチドを指す。より好ましくは、用語「抗原性IgEペプチド」は、配列番号1〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらのアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になるペプチド、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらのアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になるペプチド、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、これらのアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になるペプチドを指す。
【0031】
一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0032】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、および153からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0033】
好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、99、100、101、102、103、104、105、106、109、110、111、112、113、114、115、118、119、120、121、122、123、126、127、128、129、130、133、134、135、136、139、140、141、144、145および148からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、49、50、51、52、53、54、55、56、57、63、64、65、66、67、68、69、70、76、77、78、79、80、81、82、88、89、90、91、92、93、99、100、101、102、103、109、110、111、112、118、119、120、126、127、133、および139からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、18、19、20、21、22、23、24、25、34、35、36、37、38、39、40、49、50、51、52、53、54、63、64、65、66、67、76、77、78、79、88、89、90、99、100、101、および109からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、18、19、20、21、22、34、35、36、37、49、50、51、63、64、および76からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、18、19、および34からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1または18のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0034】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、および219からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、165、166、167、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、184、185、186、187、188、189、192、193、194、195、196、199、200、201、202、205、206、207、210、211、214および217からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、165、166、167、168、169、175、176、177、178、184、185、186、192、193、199、および200からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、165、166、および175からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154または165のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0035】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、および310からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、245、246、247、248、249、250、251、252、253、256、257、258、259、260、261、262、263、266、267、268、269、270、271、272、275、276、277、278、279、280、283、284、285、286、287、290、291、292、293、296、297、298、301、302および305からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、233、234、235、236、237、238、239、245、246、247、248、249、250、256、257、258、259、260、266、267、268、269、275、276、277、283、284、および290からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、233、234、235、236、245、246、247、256、257、および266からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、233、234、および245からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0036】
さらに別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、365、366、367、368、369、370、371、372、373、376、377、378、379、380、381、382、383、386、387、388、389、390、391、392、395、396、397、398、399、400、403、404、405、406、407、410、411、412、413、416、417、418、421、422および425からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、326、327、328、329、330、331、332、333、334、340、341、342、343、344、345、346、347、353、354、355、356、357、358、359、365、366、367、368、369、370、376、377、378、379、380、386、387、388、389、395、396、397、403、404および410からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、326、327、328、329、330、331、340、341、342、343、344、353、354、355、356、365、366、367、376、377、および386からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、326、327、328、340、341、および353からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、および326からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0037】
用語「抗原性IgEペプチド生物活性」は、本明細書で使用する場合、本発明の抗原性IgEペプチドの、アンタゴニスト特性を伴って、患者において自己抗IgE抗体を誘発することができる能力を指し、そのような自己抗体は、循環遊離IgEのレベルを減少させることができる一方で、炎症性メディエーターの著しいIgE媒介放出をまったく引き起こさず、高親和性受容体に結合したIgEに実質的に結合することができない。特定のコンストラクトが本発明の範囲内に入るかどうかを確認するのに、どの技法を使用することができるかは、当業者に明らかとなるであろう。そのような技法には、本願の実施例の節、およびまた以下に記載される技法が含まれるが、それだけに限定されない。推定ペプチドは、推定ペプチドによって生じた抗血清が、天然IgE分子と交差反応し、アレルギー性効果細胞からのアレルギー性メディエーター放出を遮断することにおいても機能的であるという点において、コンストラクトの免疫原性を確認するためにアッセイすることができる。
【0038】
これらの応答の特異性は、IgEのプルダウンを定量化することができる機能的なアッセイおよび/またはIgE受容体を発現する細胞の脱顆粒の阻害によって、あるいはペプチド自体もしくは天然IgE、および/またはIgE内のエピトープに結合することが知られている特定のモノクローナル抗体を用いて抗血清の活性を遮断することによる競合実験によって確認することができる。IgE−FcRIへの結合を確認するための技法も、当業者に周知である。
【0039】
一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、天然エピトープが見出されるIgEドメイン全体から選択される領域を模倣するようなサイズのものである。特定の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、長さが100アミノ酸未満であり、好ましくは75アミノ酸より短く、より好ましくは50アミノ酸未満であり、さらにより好ましくは40アミノ酸未満である。本発明の抗原性IgEペプチドは一般に、長さが4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸、好ましくは4〜20アミノ酸、例えば、6〜12、または6〜9アミノ酸である。
【0040】
本発明の抗原性IgEペプチドの具体例は、配列リストに提供されており、長さが4〜20アミノ酸の範囲のペプチドを含む。
【0041】
本発明の抗原ペプチドは、ヒトIgE CH3の部分に由来するアミノ酸配列を含み、そのようなヒトCH3由来部分は、天然に存在するIgEのアミノ酸配列に対応するか、または変異体IgE、すなわち、少数のアミノ酸が、置換、付加、または欠失しているが、本質的に同じ免疫学的特性を保持する、天然に存在するIgEのアミノ酸配列に対応する。さらに、そのようなIgE CH3由来部分は、特にN末端およびC末端で、アミノ酸によりさらに修飾することによって、適切な化学反応が実施された後、抗原性IgEペプチドを立体配置的に束縛し、かつ/または抗原性IgEペプチドの免疫原性担体へのカップリングを可能にすることができる。
【0042】
本発明の抗原性IgEペプチドは、その免疫学的特性を本質的に損ねることなく、アミノ酸が欠失、挿入、または置換されたIgE CH3のアミノ酸配列に由来する機能的に活性な変異体ペプチドを包含し、すなわち、そのような機能的に活性な変異体ペプチドは、実質的な抗原性IgEペプチド生物活性を保持する。一般に、そのような機能的変異体ペプチドは、配列番号1〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列と相同、好ましくは高度に相同なアミノ酸配列を有する。
【0043】
一実施形態では、そのような機能的に活性な変異体ペプチドは、配列番号1〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、より好ましくは配列番号1〜153および220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を示す。
【0044】
配列同一性とも呼ばれる、ポリペプチドについての配列類似性は、配列分析ソフトウェアを使用して一般に測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含めた、様々な置換、欠失、および他の修飾に割り当てられた類似性の尺度を使用して類似配列をマッチングする。例えば、GCGは、「Gap」「Bestfit」などのプログラムを含有し、これは、デフォルトパラメータを用いて使用することによって、生物の異なる種に由来する相同ポリペプチドなどの密接に関係したポリペプチド同士間、または野生型タンパク質とその突然変異タンパク質の間の配列相同性または配列同一性を決定することができる。例えば、GCGバージョン6.1を参照。ポリペプチド配列も、GCGバージョン6.1中のプログラムである、デフォルトまたは推奨パラメータを使用するFASTAを使用して比較することができる。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)は、クエリー配列と探索配列の間のベストオーバーラップの領域のアラインメントおよび配列同一性率を提供する(Pearson、Methods Enzymol.183:63〜98(1990);Pearson、Methods Mol.Biol.132:185〜219(2000))。本発明の配列を、様々な生物に由来する多数の配列を含有するデータベースと比較する際の代替アルゴリズムは、デフォルトパラメータを使用する、コンピュータープログラムのBLAST、特にblastpまたはtblastnである。例えば、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990);Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389〜402(1997)を参照。
【0045】
機能的に活性な変異体は、対立遺伝子変異体および種変異体などの天然に存在する機能的に活性な変異体、ならびに例えば、突然変異生成技法または直接合成によって生成することができる天然に存在しない機能的に活性な変異体を含む。
【0046】
機能的に活性な変異体は、配列番号1〜430、より好ましくは配列番号1〜153および220〜430、さらにより好ましくは、配列番号220〜430で示されるペプチドのいずれかと、約、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸残基が異なり、それでも抗原性IgE生物活性を保持する。この比較がアラインメントを必要とする場合、配列は、最大の相同性についてアラインメントされる。変異は、生物活性が、配列番号1〜430中に示されるペプチドと実質的に類似、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430中に示されるペプチドと実質的に類似、さらにより好ましくは、配列番号220〜430中に示されるペプチドと実質的に類似である限り、ペプチド中のどの部位でも起こり得る。
【0047】
表現型がサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関するガイダンスは、Bowieら、Science、247:1306〜1310(1990)に提供されており、これは、変化に対するアミノ酸配列の寛容性を研究するための、2つの主なストラテジーがあることを教示している。
【0048】
第1のストラテジーは、進化の過程の間の自然選択によるアミノ酸置換の寛容性を活用する。様々な種におけるアミノ酸配列を比較することによって、種の間で保存されてきたアミノ酸位置を同定することができる。これらの保存アミノ酸は、タンパク質機能にとって重要であると思われる。対照的に、置換が、自然選択によって寛容性を示してきたアミノ酸位置は、タンパク質機能にとって決定的でない位置を示す。したがって、アミノ酸置換に寛容性を示す位置は、修飾することができる一方で、依然として修飾ペプチドの特定の免疫原性活性を維持する。
【0049】
第2のストラテジーは、クローン化遺伝子の特定の位置でアミノ酸変化を導入するために遺伝子操作を使用することによって、タンパク質機能にとって決定的な領域を同定する。例えば、部位特異的突然変異生成またはアラニン走査突然変異生成を使用することができる(Cunninghamら、Science、244:1081〜1085(1989))。次いで得られた変異体ペプチドは、特定の抗原性IgE生物活性について試験することができる。
【0050】
Bowieらによれば、これらの2つのストラテジーにより、タンパク質は、意外にも、アミノ酸置換に寛容性があることが明らかになった。著者らは、タンパク質中のある特定のアミノ酸位置で、どのアミノ酸変化が許容的であると思われるかをさらに示している。例えば、ほとんどの埋没または内部(タンパク質の3次構造内)アミノ酸残基は、非極性側鎖を必要とする一方で、表面または外側側鎖のわずかな特徴が一般に保存される。
【0051】
タンパク質のアミノ酸中に突然変異を導入する方法は、当業者に周知である。例えば、Ausubel(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons,Inc.(1994);T.Maniatis、E.F.FritschおよびJ.Sambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)を参照。
【0052】
突然変異は、「QuikChange(商標)Site−Directed Mutagenesis Kit」(Stratagene)などの市販キットを使用して、またはペプチド合成によって直接導入することもできる。抗原性IgEペプチドの機能に著しく影響しないアミノ酸を置換することによる、前記抗原性IgEペプチドに対する機能的に活性な変異体の生成は、当業者によって実現することができる。
【0053】
本発明によるペプチドの1つにおいて行うことができるアミノ酸置換の型は、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を伴う側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的な特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合では、置換の保存的性質を修正するために、配列同一性率または類似性の程度を上方に調整する場合がある。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson、Methods Mol.Biol.243:307〜31(1994)を参照。
【0054】
類似の化学的性質を伴う側鎖を有するアミノ酸の基の例として、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンが挙げられる。好適な保存的アミノ酸置換基は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパルテート、およびアスパラギン−グルタミンである。
【0055】
あるいは、保存的置換は、Gonnetら、Science 256:1443〜45(1992)において開示されたPAM250対数尤度行列において正の値を有する任意の変化である。「適度に保存的な」置換は、PAM250対数尤度行列において負でない値を有する任意の変化である。
【0056】
機能的に活性な変異体ペプチドは、ハイブリダイゼーション技法を使用して単離することもできる。簡単に言えば、対象とするペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列、例えば、配列番号1〜430の全体または一部と高い相同性を有するDNAが、機能的に活性なペプチドを調製するのに使用される。したがって、本発明の抗原性IgEペプチドには、配列番号1〜430のペプチドの1つまたは複数と機能的に等価であり、配列番号1〜430のいずれか1つ、またはその補体をコードする核酸とハイブリダイズする核酸分子によってコードされるペプチドも含まれる。当業者は、容易に入手可能なコドン表を使用して、本発明のペプチドをコードする核酸配列を容易に求めることができる。したがって、これらの核酸配列は、本明細書に提示されていない。
【0057】
機能的に活性な変異体であるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸についてのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、10%のホルムアミド、5×SSPE、1×デンハート液、および1×サケ精子DNA(低いストリンジェンシー条件)である。より好ましい条件は、25%のホルムアミド、5×SSPE、1×デンハート液、および1×サケ精子DNA(中等度のストリンジェンシー条件)であり、さらにより好ましい条件は、50%のホルムアミド、5×SSPE、1×デンハート液、および1×サケ精子DNA(高いストリンジェンシー条件)である。しかし、いくつかの要因は、上述したホルムアミド濃度以外のハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響し、当業者は、類似のストリンジェンシーを実現するためにこれらの要因を適切に選択することができる。
【0058】
機能的に活性な変異体をコードする核酸分子はまた、対象とするペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、例えば、配列番号1〜430に示されたペプチドのいずれか1つをコードする核酸分子DNAの一部をプローブとして使用して、PCRなどの遺伝子増幅法によって単離することができる。
【0059】
本発明の目的のために、いくつかの本発明の抗原性IgEペプチドを組み合わせて使用することができることも考慮されるべきである。可能な組合せのすべての型を想定することができる。例えば、配列番号1〜430、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430、さらにより好ましくは、配列番号220〜430から好ましくは選択される、1つを超える抗原性IgEペプチドを含むポリペプチドを使用することができ、同じ抗原性IgEペプチドが、同じポリペプチド分子上でいくつかのコピーで使用され、または異なるアミノ酸配列の抗原性IgEペプチドが同じポリペプチド分子上で使用され、異なる抗原性IgEペプチドまたはコピーは、互いに直接融合され、または適切なリンカーによって間隔をあけられている。本明細書で使用する場合、用語「多量体を形成した抗原性IgE(ポリ)ペプチド」は、異なる、または同じアミノ酸配列の抗原性IgEペプチドが、1つのポリペプチド分子上に存在する両方の型の組合せを指す。したがって、2〜約20の同一および/または異なる抗原性IgEペプチド、好ましくは、2、3、4、5、6、または7つの抗原性IgEペプチドが、1つの多量体を形成した抗原性IgEポリペプチド分子上に存在し得る。
【0060】
本発明の一態様では、免疫原は、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群から選択され、好ましくは、配列番号1〜430からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列からなり、これらのアミノ酸配列から本質的になり、またはこれらのアミノ酸配列を含む、多量体を形成した抗原性IgEペプチドからなり、このペプチドから本質的になり、またはこのペプチドを含む。一実施形態では、前記多量体を形成したIgEペプチドは、配列番号1〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド、および配列番号154〜219、または配列番号220〜310、または配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチドを含む。別の実施形態では、前記多量体を形成したIgEペプチドは、配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド、および配列番号1〜153、または配列番号220〜310、または配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチドを含む。さらに別の実施形態では、前記多量体を形成したIgEペプチドは、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド、および配列番号1〜153、または配列番号154〜219、または配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチドを含む。さらに別の実施形態では、前記多量体を形成したIgEペプチドは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド、および配列番号1〜153、または配列番号154〜219、または配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチドを含む。さらに別の実施形態では、前記多量体を形成したIgEペプチドは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチド、および配列番号154〜219または配列番号1〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第3の抗原性IgEペプチドを含む。
【0061】
本発明の一実施形態では、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、天然源に由来し、哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、ネコ、イヌ、ウマ、マウス、またはラットなど、好ましくはヒト源から単離される。したがって、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、標準的なタンパク質精製技法を使用して、細胞源または組織源から単離することができる。
【0062】
あるいは、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、化学的に合成し、または組換えDNA技法を使用して生成することができる。
【0063】
例えば、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、当技術分野で周知の固相手順によって合成することができる。適当な合成は、「T−boc」または「F−moc」手順を利用することによって実施することができる。環状ペプチドは、完全に自動化された装置で、周知の「F−moc」手順およびポリアミド樹脂を使用して固相手順によって合成することができる。あるいは、当業者は、手作業でプロセスを実施するための必要な実験室手順が分かるであろう。固相合成についての技法および手順は、IRL at Oxford University Pressによって出版された、E.AthertonおよびR.C.Sheppardによる「Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach」(1989)、ならびにD.Andreauらによる「Methods in Molecular Biology、35巻:Peptide Synthesis Protocols」(M.W.PenningtonおよびB.M.Dunn編)、7章、pp91〜171に記載されている。
【0064】
あるいは、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、当技術分野で周知の技法を使用して、適当な発現系において発現することができる発現ベクター中に導入し、その後、発現された対象とするペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を単離または精製することができる。様々な細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫発現系が当技術分野で入手可能であり、任意のそのような発現系を使用することができる。任意選択により、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、無細胞翻訳系で翻訳することができる。
【0065】
本発明の抗原性IgEペプチドは、複数の遺伝子の存在、代替の転写事象、代替のRNAスプライシング事象、ならびに代替の翻訳および翻訳後事象の結果として生じるものも含むことができる。ペプチドは、系、例えば、培養細胞内で発現することができ、ペプチドが、天然細胞、または天然細胞において発現されるとき存在する翻訳後修飾の変化または除外、例えば、グリコシル化もしくは切断をもたらす系において発現されるとき存在するのと、実質的に同じ翻訳後修飾をもたらす。
【0066】
抗原性IgEペプチドなどの、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、他の非IgEまたは非IgE由来アミノ酸配列、例えば、本明細書に定義されるようなアミノ酸リンカー、またはシグナル配列、または免疫原性担体、ならびにタンパク質精製において有用なリガンド、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ヒスチジンタグ、およびブドウ球菌タンパク質Aなどを含有する融合タンパク質として生成することができる。1つを超える本発明の抗原性IgEペプチドが、融合タンパク質中に存在することができる。異種ポリペプチドを、例えば、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のN末端またはC末端に融合することができる。本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、相同アミノ酸配列、すなわち、他のIgEまたはIgE由来配列を含む融合タンパク質として生成することもできる。
【0067】
本発明の抗原性IgEペプチドは、鎖状であっても、立体配置的に束縛されていてもよい。本発明の好適な実施形態では、抗原性IgEペプチドは立体配置的に束縛されている。分子に関して本明細書で使用する場合、用語「立体配置的に束縛された」は、3次元構造が、経時的に1つの空間的な配置内に実質的に維持されている分子、例えば、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質などを意味する。立体配置的に束縛された分子は、親和性の増大、代謝安定性、膜浸透性、または溶解度などの改善された特性を有する場合がある。
【0068】
さらに、そのような立体配置的に束縛された分子は、その固有のループ立体配座と類似した立体配座内で、抗原性IgEエピトープを提示し、それによって無傷の、天然の自己IgE分子をより認識しやすいか、または自己IgE分子を認識する親和性が増大した抗IgE抗体を誘発することが予期される。立体配置的に束縛する方法は、当技術分野で周知であり、限定することなく、架橋および環化を含む。
【0069】
鎖状ペプチドまたはポリペプチド鎖中に立体配置的束縛を導入するための、従来技術において知られているいくつかの手法がある。例えば、ペプチド中の2つの隣接するアミノ酸間の架橋は、局所的な立体配置的修飾に導き、その融通性は、通常のペプチドの融通性と比較して制限されている。そのようなブリッジを形成するためのいくつかの可能性には、ラクタムおよびピペラジノンの取込みが含まれる(概説については、GiannisおよびKolter、Angew.Chem.Int.Ed.、1993、32:1244を参照)。
【0070】
ペプチドに関して本明細書で使用する場合、用語「環状の」は、2つの隣接しないアミノ酸またはアミノ酸類似体の間に分子内結合を含む構造を指す。環化は、共有結合または非共有結合によって行うことができる。分子内結合には、それだけに限らないが、主鎖と主鎖、側鎖と主鎖、側鎖と側鎖、側鎖と末端基、末端間の結合が含まれる。環化の方法として、限定することなく、隣接しないアミノ酸またはアミノ酸類似体の側鎖同士間のジスルフィド結合の形成;LysおよびAsp/Glu残基の側鎖同士間のアミド結合の形成;セリン残基とAsp/Glu残基の間のエステル結合の形成;例えば、1つのアミノ酸またはその類似体の側鎖基とアミノ−末端残基のN末端アミンの間のラクタム結合の形成;ならびにリシノノルロイシン結合およびジチロシン結合の形成が挙げられる。ジスルフィド連結の炭素版、例えば、エテニルまたはエチル連結(J.Peptide Sc.、2008、14、898〜902)、ならびに適切に多置換された求電子性試薬、例えば、ジハロアルカン、トリハロアルカン、またはテトラハロアルカンを用いたアルキル化反応(PNAS、2008、105(40)、15293〜15298;ChemBioChem、2005、6、821〜824)も使用することができる。様々な修飾されたプロリン類似体も、ペプチド中に立体配置的束縛を組み込むのに使用することができる(Zhangら、J.Med Chem.、1996、39:2738〜2744;PfeiferおよびRobinson、Chem.Comm.、1998、1977〜1978)。本発明のペプチドを環化するのに使用することができる化学反応は、以下のものを含めた結合であるが、それだけに限らない結合で環化したペプチドをもたらす:ラクタム、ヒドラゾン、オキシム、チアゾリジン、チオエーテル、またはスルホニウム結合。
【0071】
US10/114918に記載されている、立体配置的に束縛されたペプチドの設計におけるさらに別の手法は、環状の束縛されたペプチドを生成するために、対象とする短いアミノ酸配列を鋳型に付着させることである。そのような環状ペプチドは、その鋳型によって構造的に安定化され、それによって天然タンパク質、例えば、ウイルスおよび寄生虫、または自己タンパク質(IgEなどの自己哺乳動物タンパク質)上などの立体配置的エピトープを模倣することができる3次元立体配座を提供するだけでなく、これらはまた、血清中でのタンパク質分解に対して鎖状ペプチドより耐性である。US10/114918は、ペプチドの超二次構造を安定化させるために、適切に配置されたアミノ酸に主鎖をカップリングさせるための合成アミノ酸の調製による、立体配置的に束縛された架橋ペプチドの合成をさらに開示している。架橋は、直交保護された(2S,3R)−3−アミノプロリン残基の1級アミノ基の、グルタミン酸の適切に配置された側鎖カルボキシル基へのアミドカップリングによって実現することができる。この手法は、CSタンパク質の立体配置的に束縛されたテトラペプチドリピートの調製において採用され、少なくとも1つのプロリンが(2S,3R)−3−アミノプロリンによって置換され、側鎖カルボキシル基を導入するために、グルタミン酸がアラニンの置換として組み込まれた。
【0072】
架橋ストラテジーには、α−らせん状立体配座を模倣するために設計された「ステープルド」ペプチドを形成するためのGrubbs閉環メタセシス反応の適用(Angew.Int.Ed.Engl.、1998、37、3281;JACS、2000、122、5891);多官能化サッカリドの使用;トリプタチオニン連結の使用(Chemistry Eu.J.、2008、24、3404〜3409);側鎖アミノ酸残基として組み込むか、またはペプチド配列の主鎖内に位置することができるアジドおよびアルキンの「クリック」反応の使用(Drug Disc.Today、2003、8(24)、1128〜1137)も含まれる。金属イオンは、金属陽イオンに配位する特定の残基、例えばヒスチジンを隔離することにより、鎖状ペプチドの束縛された立体配座を安定化することができることも文献で知られている(Angew.Int.Ed.Engl.、2003、42、421)。同様に、非天然の酸およびアミン官能性、またはポリアミンおよびポリ酸官能性を用いた鎖状ペプチド配列の官能化を使用することによって、活性化およびアミド結合形成の後に、環化した構造へのアクセスを可能にすることができる。
【0073】
一実施形態によれば、抗原性IgEペプチドは、抗原性IgEペプチドの互いに隣接しない2つのアミノ酸、例えば、N末端アミノ酸およびC末端アミノ酸の分子内共有結合によって立体配置的に束縛される。別の実施形態によれば、本発明の抗原性IgEペプチドは、足場分子への共有結合によって立体配置的に束縛される。さらなる実施形態によれば、抗原性IgEペプチドは単に束縛され、すなわち、一方の末端、(C末端もしくはN末端)で、またはいずれの末端にも位置しない別のアミノ酸によって、足場分子にカップリングされる。別の実施形態によれば、抗原性IgEペプチドは二重に束縛され、すなわち、C末端およびN末端の両方で足場分子にカップリングされる。別の実施形態によれば、抗原ペプチドは、ヘテロキラルなジプロリン単位(D−Pro−L−Pro)の鋳型効果を介して環化することによって束縛される(Spathら、1998、Helvetica Chimica Acta 81、p1726〜1738)。本発明による立体的に束縛されたペプチドの例示であるが限定ではない例を、
図2に表す。
【0074】
足場(「プラットフォーム」とも呼ばれる)は、抗原性IgEペプチドがとることができる構造の数を、共有結合によって低減することができる任意の分子とすることができる。立体配座を束縛する足場の例として、タンパク質およびペプチド、例えば、リポカリン関連分子、例えば、β−バレル含有チオレドキシン、およびチオレドキシン様タンパク質など、ヌクレアーゼ(例えば、RNaseA)、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、エグリンC)、抗体またはその構造的に剛性の断片、GFPまたはYFPなどの蛍光タンパク質、コノトキシン、フィブロネクチンIII型ドメインのループ領域、CTL−A4、およびウイルス様粒子(VLP)が挙げられる。
【0075】
他の適当なプラットフォーム分子には、セファロースなどの炭水化物が含まれる。プラットフォームは、鎖状分子であっても、例えば、ループを形成するために閉じられた環状分子であってもよい。プラットフォームは一般に、抗原性IgEペプチドに対して非相同である。プラットフォームに連結したそのような立体配置的に束縛されたペプチドは、鎖状ペプチドよりタンパク質分解に対して耐性であると考えられている。
【0076】
好適な実施形態によれば、足場は、本願において定義される免疫原性担体、好ましくは、非相同の担体タンパク質またはVLPである。さらなる実施形態では、抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体上に単に束縛されている。別のさらなる実施形態では、抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体上に二重に束縛されている。このようにして、抗原性IgEペプチドは、立体配置的に束縛されたループ構造を形成し、これは、細胞内認識分子として特に適した構造であることが証明されている。
【0077】
本発明の抗原性IgEペプチドは、プラットフォームへのコンジュゲーションを容易にするために、例えば、一方または両方の末端で末端システインを付加する、かつ/またはリンカー配列、例えば、ダブルグリシン先端または末端(head or tail)、リシン残基で終止するリンカー、もしくはそのような機能を行うことが当業者に知られている任意の他のリンカーなどを付加することによって修飾することができる。全ペプチド配列を担体にカップリングさせ、こうして任意の位置化学問題および化学選択性問題を回避するために、バイオ直交性化学(上述したクリック反応など)も使用することができる。Jonesら Angew.Chem.Int.Ed.2002、41:4241〜4244に記載されたものなどの剛性リンカー(rigidified linker)は、免疫応答の改善を誘発することが知られており、これも使用することができる。
【0078】
さらなる実施形態では、抗原性IgEペプチドは、多価の鋳型に付着しており、鋳型自体は担体にカップリングされており、したがって抗原の密度を増大させている(以下を参照)。多価の鋳型は、(それだけに限らないが、)オリゴグルタミン酸(oligoglutamate)またはオリゴキトサンなどの適切に官能化されたポリマーまたはオリゴマーとすることができる。
【0080】
前記リンカーは、ペプチドのN末端またはペプチドのC末端に位置しても、ペプチドの両末端に位置してもよい。前記リンカーは、0〜10アミノ酸の長さ、好ましくは、0〜6アミノ酸の長さ、さらにより好ましくは、2〜3アミノ酸の長さとすることができる。あるいは、アミノ酸の1つまたは複数のD−立体異性体形態の付加または置換を実施することによって、例えば、ペプチドの安定性を増強するための有益な誘導体を作り出すことができる。
【0081】
すべて本発明の範囲内であり、様々な実施形態を構成し、様々なリンカーを使用するコンジュゲーションの例示的な組合せを以下に提供する。
ペプチド−GGGGGC−足場
ペプチド−GGGGC−足場
ペプチド−GGGC−足場
ペプチド−GGC−足場
ペプチド−GC−足場
ペプチド−C−足場
ペプチド−GGGGGK
ペプチド−GGGGK
ペプチド−GGGK
ペプチド−GGK
ペプチド−GK
ペプチド−K
ペプチド−GGGGSC
ペプチド−GGGSC
ペプチド−GGSC
ペプチド−GSC
ペプチド−SC
CSGGGG−ペプチド
CSGGG−ペプチド
CSGG−ペプチド
CSG−ペプチド
CS−ペプチド
【0082】
一実施形態では、ペプチドは、本明細書に開示される任意の抗原性IgEペプチドからなり、足場は、本明細書に開示される任意の免疫原性担体、好ましくはVLPからなる。
【0083】
様々なリンカーおよび二重に束縛されたペプチドを使用するコンジュゲーションの例示的な組合せを以下に提供する。この場合、担体は、同一のモノマーの担体であっても、他と異なるモノマーの担体であってもよい。(以下の例では、GCリンカーは、上記に例示した任意のGKリンカーもしくはGSCリンカー、または当業者に知られている任意の他のものによって置換することができる):
担体−CGGGGG−ペプチド−GGGGGC−担体
担体−CGGGG−ペプチド−GGGGC−担体
担体−CGGGG−ペプチド−GGGGC−担体
担体−CGGG−ペプチド−GGGC−担体
担体−CG−ペプチド−GC−担体
担体−C−ペプチド−C−担体
【0084】
一実施形態では、ペプチドは、本明細書に開示される任意の抗原性IgEペプチドからなり、担体は、本明細書に開示される任意の免疫原性担体、好ましくはVLPからなる。
【0085】
一実施形態では、末端システイン残基が、抗原性IgEペプチドのアミノ酸配列中にまだ存在しない場合、配列番号1〜430の任意の抗原性IgEペプチドの一方または両方の末端に付加されることによって、立体配置的に束縛されたペプチドが生成される。好適な実施形態では、本発明の立体配置的に束縛された抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜430およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群、好ましくは、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される。一実施形態では、前記末端システイン残基は、前記抗原性IgEペプチドのC末端に付加される。別の実施形態では、前記末端システイン残基は、前記抗原性IgEペプチドのN末端に付加される。別の実施形態では、末端システイン残基は、前記抗原性IgEペプチドのC末端およびN末端の両方に付加される。
【0086】
別の実施形態では、多様な数のグリシン残基および1つの末端システイン残基を含むGCリンカーが、配列番号1〜430の任意の抗原性IgEペプチドの一方または両方の末端に付加されることによって、立体配置的に束縛されたペプチドが生成される。好ましくは、GCリンカーは、1〜10のグリシン残基、より好ましくは、1、2、3、4、または5つのグリシン残基を含む。さらに好適な実施形態では、本発明の立体配置的に束縛された抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群、好ましくは、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される。一実施形態では、前記GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのC末端に付加される。別の実施形態では、前記GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのN末端に付加される。別の実施形態では、前記GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのC末端およびN末端の両方に付加される。
【0087】
さらに別の実施形態では、多様な数のグリシン残基および1つの末端システイン残基を含むGCリンカーが、配列番号1〜430の抗原性IgEペプチドの一方の末端に付加され、末端システイン残基が、抗原性IgEペプチドの他方の末端にまだ存在していない場合、この抗原性ペプチドのその他方の末端に付加される。好ましくは、GCリンカーは、1〜10のグリシン残基、より好ましくは、1、2、3、4、または5つのグリシン残基を含む。さらに好適な実施形態では、本発明の立体配置的に束縛された抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群、好ましくは、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される。一実施形態では、前記GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのC末端に付加され、前記末端システイン残基は、前記抗原性IgEペプチドのN末端に付加される。別の実施形態では、前記GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのN末端に付加され、前記末端システイン残基は、前記抗原性IgEペプチドのC末端に付加される。
【0088】
さらに好適な実施形態では、GCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドにカップリングされた前記リンカーの足場分子へのコンジュゲーションを可能にするために、好ましくはリシン残基の付加によって修飾される。なおさらに好適な実施形態では、本発明の立体配置的に束縛された抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体からなる群、好ましくは、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される。一実施形態では、前記修飾されたGCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのC末端に付加される。別の実施形態では、前記修飾されたGCリンカーは、前記抗原性IgEペプチドのN末端に付加される。
【0089】
一実施形態では、本発明の立体配置的に束縛された抗原性IgEペプチドは、表9に開示される任意のペプチドである。
【0090】
本発明の免疫原性担体
本発明の一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドまたはポリペプチドは、免疫原性担体分子に連結されることによって、ワクチン接種プロトコールのための免疫原を形成し、好ましくは、担体分子は、天然IgE分子に関係していない。
【0091】
本明細書での用語「免疫原性担体」は、宿主動物において免疫原性応答を独立して誘発する特性を有し、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に、このペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質中の遊離カルボキシル基、アミノ基、もしくはヒドロキシル基と、免疫原性担体物質上の対応する基との間のペプチドもしくはエステル結合の形成を介して直接、または代わりに、従来の二官能性連結基を通じた結合によって、または融合タンパク質として共有結合的にカップリングすることができる物質を含む。
【0092】
本発明の免疫原において使用される担体の型は、当業者に容易に分かるであろう。そのような免疫原性担体の例は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの血清アルブミン;グロブリン;サイログロブリン;ヘモグロビン;ヘモシアニン(特にキーホールリンペットヘモシアニン[KLH]);回虫から抽出されたタンパク質、不活化された細菌毒素もしくはトキソイド、例えば破傷風毒素もしくはジフテリア毒素(TTおよびDT)など、またはCRM197、ツベルクリン(PPD)精製タンパク質誘導体;あるいはヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に由来するタンパク質D(WO91/18926)またはその組換え断片(例えば、TTの断片Cのドメイン1、またはDTの転位ドメイン、またはヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)タンパク質DのN末端100〜110アミノ酸を含むタンパク質D1/3)(GB9717953.5);ポリリジン;ポリグルタミン酸;リシン−グルタミン酸コポリマー;リシンまたはオルニチンを含有するコポリマー;リポソーム担体などである。
【0093】
一実施形態では、免疫原性担体(immunogic carrier)はKLHである。別の実施形態では、免疫原性担体は、ウイルス様粒子(VLP)、好ましくは組換えウイルス様粒子である。
【0094】
本明細書で使用する場合、用語「ウイルス様粒子」は、ウイルス粒子に類似しているが、非病原性であることが実証されている構造を指す。一般に、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムの少なくとも一部を欠いている。また、ウイルス様粒子は、多くの場合、非相同発現によって大量に製造することができ、容易に精製することができる。本発明によるウイルス様粒子は、そのゲノムと異なる核酸を含有することができる。一般的で好適な実施形態の本発明によるウイルス様粒子は、対応するウイルスのウイルスカプシドなどのウイルスカプシド、バクテリオファージ、またはRNAファージである。
【0095】
本明細書で使用する場合、用語「バクテリオファージのウイルス様粒子」は、バクテリオファージの構造に類似し、非複製的かつ非感染性であり、バクテリオファージの複製機構をコードする少なくとも1つまたは複数の遺伝子を欠いており、典型的に、ウイルスの宿主への付着または宿主中への流入に関与する1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子も欠いているウイルス様粒子を指す。しかしこの定義は、前述の1つまたは複数の遺伝子が依然として存在するが不活性であり、したがって、バクテリオファージの非複製的かつ非感染性のウイルス様粒子にも導くバクテリオファージのウイルス様粒子も包含するべきである。
【0096】
RNAファージコートタンパク質の180サブユニットの自己組織化から形成され、宿主RNAを任意選択により含有するカプシド構造は、「RNAファージコートタンパク質のVLP」と本明細書で呼ばれる。具体例は、Qbetaコートタンパク質のVLPである。この特定の場合では、Qbetaコートタンパク質のVLPは、Qbeta CPサブユニットからもっぱら構築され(例えば、抑制によって、より長いA1タンパク質の任意の発現を妨げるTAA終止コドンを含有するQbeta CP遺伝子の発現によって生成される、Kozlovska,T.M.ら、Intervirology 39:9〜15(1996)を参照)、またはカプシドアセンブリ中にA1タンパク質サブユニットをさらに含有することができる。一般に、カプシドアセンブリ中のQbeta CPと比べたQbeta A1タンパク質の割合は、カプシド形成を保証するために制限される。
【0097】
本発明との関連で免疫原性担体として適したVLPの例として、それだけに限らないが、B型肝炎ウイルスのカプシドタンパク質(Ulrichら、Virus Res.50:141〜182(1998))、麻疹ウイルス(Warnesら、Gene 160:173〜178(1995))、シンドビスウイルス、ロタウイルス(米国特許第5,071,651号および同第5,374,426号)、口蹄疫ウイルス(Twomeyら、Vaccine 13:1603〜1610、(1995))、ノーウォークウイルス(Jiang,X.ら、Science 250:1580〜1583(1990);Matsui,S.M.ら、J Clin.Invest.87:1456〜1461(1991))、レトロウイルスGAGタンパク質(PCT特許出願第WO96/30523号)、レトロトランスポゾンTyタンパク質pl、B型肝炎ウイルスの表面タンパク質(WO92/11291)、ヒトパピローマウイルス(WO98/15631)、ヒトポリオーマウイルス(Sasnauskas K.ら、Biol.Chem.380(3):381〜386(1999);Sasnauskas K.ら、Generation of recombinant virus−like particles of different polyomaviruses in yeast.3rd Interational Workshop「Virus−like particles as vaccines.」Berlin、September 26〜29(2001))、RNAファージ、Ty、frphage、GA−ファージ、AP205−ファージ、特に、Qbeta−ファージ、ササゲクロロティックモットルウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ウシパピローマウイルス、ブタパルボウイルス、パルボウイルス、カリチウイルス(例えば、ノーウォークウイルス)、ウサギ出血性疾患ウイルス、動物ヘパドナウイルスコア抗原VLPが挙げられる。
【0098】
当業者に容易に明らかとなるように、本発明の免疫原性担体として使用されるVLPは、いずれの特定の形態にも限定されない。粒子は、化学的に、または生物学的プロセスによって合成することができ、これは、天然であっても非天然であってもよい。例として、この型の実施形態は、ウイルス様粒子またはその組換え形態を含む。より具体的な実施形態では、VLPは、VLPを形成することが知られているウイルスのいずれかの組換えポリペプチドを含み、または代わりにこの組換えポリペプチドからなることができる。ウイルス様粒子は、そのようなポリペプチドの1つまたは複数の断片、ならびにそのようなポリペプチドの変異体をさらに含み、または代わりにこれらからなることができる。ポリペプチドの変異体は、その野生型の対応物とアミノ酸レベルで、例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を共有することができる。本発明において使用するのに適した変異体VLPは、これらが、「ウイルス様粒子」を形成することができる限り、いずれの生物に由来してもよく、本明細書で定義されるような「免疫原性担体」として使用することができる。
【0099】
本発明による好適なVLPは、HBVのカプシドタンパク質または表面抗原(それぞれHBcAgおよびHBsAg)、またはその組換えタンパク質もしくは断片、およびRNAファージのコートタンパク質、またはその組換えタンパク質もしくは断片、より好ましくは、Qbetaのコートタンパク質、またはその組換えタンパク質もしくは断片が含まれる。
【0100】
一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドまたはポリペプチドと組み合わせて使用される免疫原性担体は、HBcAgタンパク質である。本発明との関連で使用することができるHBcAgタンパク質の例は、当業者によって容易に決定することができる。例として、Yuanら、(J.Virol.73:10122〜10128(1999))、ならびにWO00/198333、WO00/177158、WO00/214478、WOWO00/32227、WO01/85208、WO02/056905、WO03/024480、およびWO03/024481に記載されているHBVコアタンパク質が挙げられ、これらに限定されない。本発明において使用するのに適したHBcAgは、これらが、「ウイルス様粒子」を形成することができる限り、いずれの生物に由来してもよく、本明細書で定義されるような「免疫原性担体」として使用することができる。
【0101】
本発明との関連で使用することができる、特に対象とするHBcAg変異体は、1つまたは複数の天然に常在するシステイン残基が欠失または置換された変異体である。遊離システイン残基は、ジスルフィド交換を含めたいくつかの化学副反応、他の物質を用いた併用療法において注射もしくは形成される化学物質もしくは代謝産物との反応、または直接の酸化、およびUV光に曝された際のヌクレオチドとの反応を含めた、いくつかの化学副反応に関与する場合があることは、当技術分野で周知である。したがって、特に、HBcAgが核酸に結合する強い傾向を有するという事実を考慮すると、毒性の付加体が生成し得る。したがって、毒性の付加体は、多数の種の間に分布し、低濃度でそれぞれ存在する場合があるが、一緒になったとき毒性レベルに到達する。上記を考慮すると、天然に常在するシステイン残基を除去するように修飾された、ワクチン組成物中のHBcAgの使用に対する1つの利点は、抗原または抗原決定基が付着されたとき有毒種が結合し得る部位の数が低減され、またはこの部位が全部排除されることである。
【0102】
さらに、B型肝炎コア抗原前駆体タンパク質のN末端リーダー配列を欠くHBcAgのプロセシングされた形態も、特にHBcAgが、プロセシングが起こらない条件下(例えば、細菌系における発現)で生成される場合、本発明との関連で使用することができる。
【0103】
本発明による他のHBcAg変異体として、i)既知のコンピュータープログラムを慣例的に使用して、野生型HBcAgアミノ酸配列の1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%の同一性を有するポリペプチド配列、またはそのサブポーション、ii)1、5、10、15、20、25、30、34、または35のアミノ酸がC末端から除去された突然変異体を含むC末端切断突然変異体、ii)1、2、5、7、9、10、12、14、15、または17のアミノ酸がN末端から除去された突然変異体を含むN末端切断突然変異体、iii)1、2、5、7、9、10、12、14、15、または17アミノ酸がN末端から除去され、1、5、10、15、20、25、30、34、または35のアミノ酸がC末端から除去されたHBcAgを含むN末端およびC末端の両方において切断された突然変異体、が挙げられる。
【0104】
本発明の範囲内のさらに他のHBcAg変異体タンパク質は、4つのアルギニンリピートのうちの1つまたは複数が欠失しているが、C末端のシステインは保持されている、異種エピトープの免疫原性提示を増強するために修飾された変異体(例えば、WO01/98333を参照)、ならびにWO02/14478、WO03/102165、およびWO04/053091において記載されているものなどのキメラC末端切断HBcAgである。
【0105】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドまたはポリペプチドと組み合わせて使用される免疫原性担体は、HBsAgタンパク質である。本発明との関連で使用することができるHBsAgタンパク質は、当業者によって容易に決定することができる。例には、US5792463、WO02/10416、およびWO08/020331に記載されたHBV表面タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。本発明において使用するのに適したHBsAgは、これらが、「ウイルス様粒子」を形成することができる限り、いずれの生物に由来してもよく、本明細書で定義されるような「免疫原性担体」として使用することができる。例えば、サブタイプadw(文献本書の実施例部分を参照)。
【0106】
さらに別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドまたはポリペプチドと組み合わせて使用される免疫原性担体は、Qbetaコートタンパク質である。
【0107】
Qbetaコートタンパク質は、大腸菌において発現される場合、自己組織化してカプシドになることが見出された(Kozlovska TM.ら、GENE 137:133〜137(1993))。得られたカプシドまたはウイルス様粒子は、25nmの直径およびT=3の準対称性を有する正二十面体ファージ様カプシド構造を示した。さらに、ファージQssの結晶構造が解明された。カプシドは、180コピーのコートタンパク質を含有し、これらは、ジスルフィドブリッジによって共有結合性の五量体および六量体に連結され(Golmohammadi,R.ら、Structure 4:5435554(1996))、Qbetaコートタンパク質のカプシドの注目すべき安定性に導いている。Qbetaカプシドタンパク質は、有機溶媒および変性剤に対して普通でない耐性も示す。Qbetaコートタンパク質のカプシドの高い安定性は、本発明による哺乳動物およびヒトの免疫化およびワクチン接種において使用するのに有利な特徴である。
【0108】
本発明との関連で使用することができるQbetaコートタンパク質の例は、当業者によって容易に決定することができる。WO02/056905、WO03/024480、WO03/024481(その全体が参照により組み込まれている)に、例が広範に記載されており、これらの例として、それだけに限らないが、PIRデータベースに開示されているアミノ酸配列、Qbeta CPに関するアクセション番号VCBPQbeta;Qbeta Alタンパク質に関するアクセション番号AAA16663;ならびにN末端メチオニンが切断されている変異体タンパク質を含めたこれらの変異体;100、150、または180ものアミノ酸が欠損したQbeta A1のC末端切断形態;欠失もしくは置換によるリシン残基の除去、または置換もしくは挿入によるリシン残基の付加によって修飾された変異体タンパク質(例えば、その全体が参照により組み込まれているWO03/024481に開示されているQbeta−240、Qbeta−243、Qbeta−250、Qbeta−251、およびQbeta−259を参照)、ならびに上述したQbetaコアタンパク質のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%の同一性を示す変異体が挙げられる。本発明において使用するのに適した変異体Qbetaコートタンパク質は、これらが、「ウイルス様粒子」を形成することができる限り、いずれの生物に由来してもよく、本明細書で定義されるような「免疫原性担体」として使用することができる。
【0109】
本発明の抗原性IgEペプチドは、化学的なコンジュゲーションを介して、または遺伝子操作された融合パートナーの発現によって免疫原性担体にカップリングすることができる。このカップリングは、必ずしも直接である必要はないが、リンカー配列によって行うことができる。より一般的に、抗原ペプチドが、免疫原性担体に融合、コンジュゲート、または別の方法で付着されている場合では、スペーサー配列またはリンカー配列が、抗原ペプチドの一方または両方の末端に典型的には付加される。そのようなリンカー配列は一般に、プロテアソーム、エンドソームのプロテアーゼ、または細胞の他の小胞コンパートメントによって認識される配列を含む。
【0110】
一実施形態では、本発明のペプチドは、免疫原性担体を有する融合タンパク質として発現される。ペプチドの融合は、免疫原性担体の一次配列中への挿入、または免疫原性担体のN末端もしくはC末端への融合によって行うことができる。以下、免疫原性担体へのペプチドの融合タンパク質に言及する場合、サブユニット配列のいずれかの末端への融合、または担体配列内のペプチドの内部挿入が包含される。融合は、以下に言及する場合、担体の配列中への抗原ペプチドの挿入、担体の配列の一部の抗原ペプチドとの置換、または欠失、置換、もしくは挿入の組合せによって行うことができる。
【0111】
免疫原性担体がVLPであるとき、キメラ抗原ペプチド−VLPサブユニットは一般に、自己組織化してVLPになることができる。エピトープのサブユニットに融合した、エピトープをディスプレイするVLPも、本明細書でキメラVLPと呼ばれる。例えば、EP0421635Bには、ウイルス様粒子中の異種ペプチド配列を提示するために、キメラヘパドナウイルスコア抗原粒子を使用することが記載されている。
【0112】
VLPのサブユニットの配列のいずれかの末端に融合される抗原ペプチドの配列のいずれかの末端に、またはVLPのサブユニットの配列中にそのようなペプチド性配列を内部挿入するために、隣接アミノ酸残基を付加することができる。グリシンおよびセリン残基は、融合されるペプチドに付加される隣接配列において使用される、特に好都合なアミノ酸である。グリシン残基は、追加の融通性を付与し、これは、VLPサブユニットの配列中に異種配列を融合することの潜在的不安定化効果を減らすことができる。
【0113】
本発明の特定の実施形態では、免疫原性担体はHBcAg VLPである。HBcAgのN末端への抗原ペプチドの融合タンパク質(Neyrinck,S.ら、Nature Med.5:11571163(1999))、またはいわゆる主要免疫優性領域(MIR)中での挿入が記載されており(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98114(2001)、WO01/98333)、本発明の具体的な実施形態である。MIR中に欠失を伴うHBcAgの天然に存在する変異体も記載されており(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001))、N末端またはC末端への融合、ならびにwt HBcAgと比較した場合の欠失の部位に対応する、MIRの位置での挿入は、本発明のさらなる実施形態である。C末端への融合も記載されている(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001))。当業者は、古典的な分子生物学技法を使用して融合タンパク質を構築する方法のガイダンスを容易に見出すであろう。HBcAgおよびHBcAg融合タンパク質をコードし、HBcAgおよびHBcAg融合タンパク質の発現に有用なベクターおよびプラスミドが記載されており(Pumpens,P.および#38;Grens,E.Intervirology 44:98〜114(2001)、Neyrinck,S.ら、Nature Med.5:1157〜1163(1999))、本発明を実行するのに使用することができる。自己組織化の効率、およびHBcAgのMIR中に挿入されるエピトープのディスプレイの最適化についての重要な要因は、挿入部位の選択、ならびに挿入の際に、MIR内のHBcAg配列から欠失されるアミノ酸の数(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001);EP0421635;米国特許第6,231,864号)、または言い換えれば、HBcAgからのどのアミノ酸が新しいエピトープと置換されるかである。例えば、HBcAgアミノ酸76〜80、79〜81、79〜80、75〜85、または80〜81の異種エピトープとの置換が記載されている(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001);EP0421635;US6,231,864、WO00/26385)。HBcAgは、長いアルギニン末端を含有し(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001))、これは、カプシドアセンブリにとって必須ではなく、核酸に結合することができる(Pumpens,P.およびGrens,E.、Intervirology 44:98〜114(2001))。このアルギニン末端を含むか、または欠いているHBcAgはともに、本発明の実施形態である。
【0114】
本発明の別の特定の実施形態では、免疫原性担体は、RNAファージ、好ましくはQbetaのVLPである。RNAファージの主要なコートタンパク質は、細菌、および特に、大腸菌(E.coli)内で発現されると、自発的に集合してVLPになる。抗原ペプチドが、QbetaのA1タンパク質の切断型のC末端に融合され、またはA1タンパク質内に挿入された融合タンパク質コンストラクトが記載されている(Kozlovska,T.M.ら、Intervirology、39:9〜15(1996))。A1タンパク質は、UGA終止コドンでの抑制によって生成され、N末端メチオニンの切断を考慮する場合、329aaまたは328aaの長さを有する。アラニン(Qbeta CP遺伝子によってコードされる第2のアミノ酸)の前のN末端メチオニンの切断は通常、大腸菌(E.coli)内で起こり、そのようなことは、Qbetaコートタンパク質のN末端についても当てはまる。A1遺伝子の一部である、UGAアンバーコドンの3’は、CP伸長をコードし、これは195アミノ酸の長さを有する。CP伸長部の位置72と73の間に抗原ペプチドを挿入すると、本発明のさらなる実施形態になる(Kozlovska,T.M.ら、Intervirology 39:9〜15(1996))。C末端で切断されたQbeta A1タンパク質のC末端で抗原ペプチドを融合すると、本発明のさらに好適な実施形態になる。例えば、Kozlovskaら(Intervirology、39:9〜15(1996))は、エピトープが、位置19で切断されたQbeta CP伸長部のC末端で融合されているQbeta A1タンパク質融合を記載している。
【0115】
Kozlovskaら(Intervirology、39:9〜15(1996))によって記載されているように、融合エピトープをディスプレイする粒子のアセンブリは、典型的には、モザイク粒子を形成するために、Alタンパク質−抗原融合物およびwt CPの両方の存在を必要とする。しかし、ウイルス様粒子を含む実施形態、および本明細書で特に、融合した抗原ペプチドを有するVLPサブユニットからもっぱらなる、RNAファージQbetaコートタンパク質のVLPも、本発明の範囲内である。
【0116】
モザイク粒子の生成は、いくつかの方法で行うことができる。Kozlovskaら、Intervirology、39:9〜15(1996)は3つの方法を記載しており、これらはすべて、本発明を実行するのに使用することができる。第1の手法では、VLP上の融合エピトープの効率的なディスプレイは、UGAコドンをTrp(pISM3001プラスミド(Smiley B.K.ら、Gene 134:33〜40(1993)))に翻訳するクローン化UGA抑制因子tRNAをコードするプラスミドを内部に持つ大腸菌(E.coli)系統内のCPとCP伸長部の間にUGA終止コドンを有するQbeta A1lタンパク質融合物をコードするプラスミドの発現によって媒介される。別の手法では、CP遺伝子終止コドンは、修飾されてUAAになり、A1タンパク質−抗原融合物を発現する第2のプラスミドが同時形質転換される。この第2のプラスミドは、異なる抗生物質耐性をコードし、複製起点は、第1のプラスミドと適合性である。第3の手法では、Kozlovskaら、Intervirology、39:9〜15(1996)の
図1に記載されているように、CPおよびA1タンパク質−抗原融合物がバイシストロニック様式でコードされ、Trpプロモーターなどのプロモーターに作動可能に連結される。
【0117】
抗原または抗原決定基の融合に適したさらなるVLPは、WO03/024481に記載されており、バクテリオファージfr、RNAフェーズMS−2、パピローマウイルスのカプシドタンパク質、レトロトランスポゾンTy、酵母、およびまた、レトロウイルス様粒子、HIV2 Gag、Cowpeaモザイクウイルス、パルボウイルスVP2 VLP、HBsAgを含む(US4,722,840、EP0020416B1)。本発明を実行するのに適したキメラVLPの例はまた、Intervirology 39:1(1996)に記載されているものである。本発明で使用するのに企図されているVLPのさらなる例は、HPV−1、HPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−45、CRPV、COPV、HIV GAG、タバコモザイクウイルス、SV−40のウイルス様粒子、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ロタウイルス、およびノーウォークウイルスである。
【0118】
免疫原性担体にカップリングした、またはカップリングしていない本発明による抗原性IgEペプチドを含めて、本発明の一部を形成する任意の組換え発現されたペプチドまたはタンパク質について、前記ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸もまた、核酸を含む発現ベクター、および発現ベクター(自発的にまたは染色体に挿入された)を含有する宿主細胞と同様に、本発明の態様を形成する。上記宿主細胞中でペプチドまたはタンパク質を発現させ、そこから免疫原を単離することによってこのペプチドまたはタンパク質を組換えで生成する方法は、本発明のさらなる態様である。全長の天然のIgE分子またはこれをコードする全長の天然DNA配列は、本発明によって網羅されない。
【0119】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、当技術分野で周知の技法を使用して免疫原性担体に化学的にカップリングされる。コンジュゲーションが起こることによって、単一点コンジュゲーション(例えば、N末端点もしくはC末端点)を介した、またはペプチドの両末端が、免疫原性担体タンパク質、もしくはVLPなどの足場構造にコンジュゲートしたロックダウン構造(locked down structure)として、ペプチドの自由な移動を可能にすることができる。この場合、コンジュゲーションは、当業者に知られるコンジュゲーション化学作用を介して、例えば、システイン残基、リシン残基、またはグルタミン酸もしくはアスパラギン酸などのコンジュゲーション点として一般に知られる他のカルボキシ部分などを介して起こる。したがって、例えば、直接の共有結合性のカップリングについて、CDAPおよびSPDPなどの一般的な市販のヘテロ二官能性リンカーを利用して(製造者の指示書を使用して)、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、または(N−[y−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステルを利用することが可能である。アシルヒドラジンペプチド誘導体を介した、ペプチド、特に環化ペプチドのタンパク質担体へのコンジュゲーションの例は、WO03/092714に記載されている。カップリング反応の後、免疫原は、透析法、ゲル濾過法、分画法などの手段によって、容易に単離および精製することができる。システイン残基(好ましくは環化領域の外側のリンカー)で終止するペプチドは、好都合には、マレイミド化学反応を介して担体タンパク質にコンジュゲートすることができる。
【0120】
免疫原性担体がVLPである場合、同一のアミノ酸配列または異なるアミノ酸配列を有するいくつかの抗原ペプチドは、1個のVLP分子にカップリングし、好ましくはWO00/32227、WO03/024481、WO02/056905、およびWO04/007538に記載されているように指向的に、いくつかの抗原決定基を提示する反復および秩序構造に導くことができる。
【0121】
本発明の一態様では、抗原ペプチドは、化学的架橋によって、典型的に、かつ好ましくはヘテロ二官能性架橋剤を使用してVLPに結合される。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、第1の付着部位、すなわち、VLPまたはVLPサブユニットのリシン残基の側鎖アミノ基と反応することができる官能基、および好適な第2の付着部位、すなわち、抗原ペプチドに融合され、任意選択により、還元による反応に利用可能にもされたシステイン残基と反応することができるさらなる官能基を含有する。誘導体化と典型的に呼ばれる、手順の第1の工程は、VLPの架橋剤との反応である。この反応の生成物は、活性化VLPであり、活性化担体とも呼ばれる。第2の工程では、未反応の架橋剤が、ゲル濾過または透析などの通常の方法を使用して除去される。第3の工程では、抗原ペプチドが活性化VLPと反応され、この工程は典型的には、カップリング工程と呼ばれる。未反応の抗原ペプチドは、第4の工程において、例えば、透析によって任意選択により除去することができる。いくつかのヘテロ二官能性の架橋剤が当技術分野において知られている。これらとして、例えば、Pierce Chemical Company(Rockford、IL、USA)から入手可能であり、アミノ基に対して反応性である1つの官能基、およびシステイン残基に対して反応性である1つの官能基を有する、好適な架橋剤のSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)、スルホ−MBS、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、スルホ−SMCC、SVSB、SIA、および他の架橋剤が挙げられる。上述した架橋剤はすべて、チオエーテル連結を形成する。
【0122】
本発明を実行するのに適した別のクラスの架橋剤は、カップリングの際に、抗原ペプチドとVLPの間にジスルフィド連結を導入することを特徴とする。このクラスに属する好適な架橋剤には、例えば、SPDPおよびスルホ−LC−SPDP(Pierce)が含まれる。架橋剤を用いたVLPの誘導体化の程度は、様々な実験条件、例えば、反応パートナーのそれぞれの濃度、一方の反応物の他方に対する過剰、pH、温度、およびイオン強度などによって影響され得る。カップリングの程度、すなわちVLPのサブユニット当たりの抗原ペプチドの量は、上述した様々な実験条件により調整することによって、ワクチンの必要条件に合わせることができる。
【0123】
抗原ペプチドをVLPに結合させる別の方法は、VLPの表面上のリシン残基を、抗原ペプチド上のシステイン残基と連結することである。いくつかの実施形態では、VLPへのカップリングのために、第2の付着部位として、またはその一部としてのシステイン残基を含有するアミノ酸リンカーを抗原ペプチドに融合することが必要とされる場合がある。一般に、フレキシブルアミノ酸リンカーが好都合である。アミノ酸リンカーの例は、(a)CGG;(b)N末端γ1−リンカー;(c)N末端のγ3−リンカー;(d)Igヒンジ領域;(e)N末端グリシンリンカー;(f)n=0〜12およびk=0〜5を有する(G)kC(G)n;(g)N末端グリシン−セリンリンカー;(h)n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、i=0〜2を有する(G)kC(G)m(S)i(GGGGS)n;(i)GGC;(k)GGC−NH2;(1)C末端γ1−リンカー;(m)C末端γ3−リンカー;(n)C末端グリシンリンカー;(o)n=0〜12およびk=0〜5を有する(G)nC(G)k;(p)C末端グリシン−セリンリンカー;(q)n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、1=0〜2、およびo=0〜8を有する(G)m(S)t(GGGGS)n(G)oC(G)からなる群から選択される。アミノ酸リンカーのさらなる例は、免疫グロブリンのヒンジ領域、グリシンセリンリンカー(GGGGS)n、およびグリシンリンカー(G)nであり、すべて、第2の付着部位としてのシステイン残基、および任意選択により、さらなるグリシン残基をさらに含有する。前記アミノ酸リンカーの典型的に好適な例は、N末端γ1:CGDKTHTSPP;C末端γ1:DKTHTSPPCG;N末端γ3:CGGPKPSTPPGSSGGAP;C末端γ3:PKPSTPPGSSGGAPGGCG;N末端グリシンリンカー:GCGGGG、およびC末端グリシンリンカー:GGGGCGである。
【0124】
本発明を実行するのに特に適した他のアミノ酸リンカーは、疎水性抗原ペプチドがVLPに結合される場合、N末端リンカーについてCGKKGGもしくはCGDEGG、またはC末端リンカーについてGGKKGCおよびGGEDGCである。C末端リンカーについては、末端システインは、任意選択により、C末端にアミド化されている。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態では、ペプチドのC末端でのGGCG、GGC、もしくはGGC−NH2(「NH2」はアミド化を表す)リンカー、またはそのN末端でのCGGが、アミノ酸リンカーとして好適である。一般に、グリシン残基が、かさ高いアミノ酸と、第2の付着部位として使用されるシステインとの間に挿入されることによって、カップリング反応における、よりかさ高いアミノ酸の潜在的な立体障害が回避される。本発明のさらなる実施形態では、アミノ酸リンカーGGC−NH2は、抗原ペプチドのC末端に融合される。
【0126】
抗原ペプチド上に存在するシステイン残基は、活性化されたVLP上のヘテロ二官能性架橋剤と反応するために、その還元された状態でなければならず、すなわち遊離システインまたは遊離スルフヒドリル基を有するシステイン残基が、利用可能でなければならない。結合部位として機能するためのシステイン残基が酸化形態である場合、例えば、これがジスルフィドブリッジを形成している場合では、例えば、DTT、TCEP、またはp−メルカプトエタノールを用いてこのジスルフィドブリッジを還元することが必要とされる。WO02/05690に記載されているように、低濃度の還元剤がカップリングと適合性であり、より高い濃度はカップリング反応を阻害し、当業者は分かるように、この場合、例えば、透析、ゲル濾過、または逆相HPLCによって、カップリングの前に、還元剤は除去されるか、またはその濃度が下げられなければならない。
【0127】
上述した方法に従って、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することによってVLPに抗原ペプチドを結合させることにより、抗原ペプチドのVLPへの指向的なカップリングが可能になる。抗原ペプチドをVLPに結合させる他の方法には、カルボジイミドEDC、およびNHSを使用して、抗原ペプチドがVLPに架橋される方法が含まれる。
【0128】
他の方法では、抗原ペプチドは、ホモ二官能性架橋剤、例えば、グルタルアルデヒド、DSGBM[PEO]4、BS3など、(Pierce Chemical Company、Rockford、IL、USA)、またはVLPのアミン基またはカルボキシル基に対して反応性である官能基を有する他の既知のホモ二官能性架橋剤を使用して、VLPに付着される。
【0129】
VLPを抗原ペプチドに結合させる他の方法には、例えば、WO00/23955に記載されているように、VLPがビオチン化されており、抗原ペプチドがストレプトアビジン融合タンパク質として発現される方法、または抗原ペプチドおよびVLPの両方がビオチン化されている方法が含まれる。この場合、抗原ペプチドは、遊離結合部位がVLPの結合に依然として利用可能であるように、抗原ペプチドとストレプトアビジンの比を調整することによって、ストレプトアビジンまたはアビジンに最初に結合することができ、これは、次工程において添加される。あるいは、すべての成分を「ワンポット」反応において混合することができる。他のリガンド−受容体対は、受容体およびリガンドの可溶性形態が利用可能であり、VLPまたは抗原ペプチドに架橋され得る場合、抗原ペプチドをVLPに結合させるための結合剤として使用することができる。あるいは、リガンドまたは受容体は、抗原ペプチドに融合し、こうして、それぞれ、受容体に化学的に結合もしくは融合されたVLP、またはリガンドへの結合を媒介することができる。融合は、挿入または置換によっても行うことができる。
【0130】
1つまたはいくつかの抗原分子は、好ましくは、立体的に許容できる場合、VLPまたはRNAファージの露出したリシン残基によって、RNAファージコートタンパク質のカプシドまたはVLPの1つのサブユニットに付着することができる。したがって、RNAファージのコートタンパク質のVLP、特に、QPコートタンパク質VLPの具体的な機能は、サブユニット当たりいくつかの抗原をカップリングする可能性である。これにより、高密度な抗原アレイの生成が可能になる。
【0131】
本発明の一実施形態では、それぞれ、少なくとも1つの抗原または抗原決定基のウイルス様粒子への結合および付着は、それぞれウイルス様粒子の少なくとも1つの第1の付着部位と、抗原ペプチドの少なくとも1つの第2の付着との間の相互作用および会合によるものである。
【0132】
Qコートタンパク質のVLPまたはカプシドは、その表面上に規定された数のリシン残基をディスプレイし、カプシドの内部に向き、RNAと相互作用する3つのリシン残基、およびカプシドの外側に露出した4つの他のリシン残基を有する規定されたトポロジーを伴う。これらの規定された特性は、リシン残基がRNAと相互作用する粒子の内側より、粒子の外側に抗原が付着することの方が好都合である。他のRNAファージコートタンパク質のVLPも、その表面上に規定された数のリシン残基、およびこれらのリシン残基の規定されたトポロジーを有する。
【0133】
本発明のさらなる実施形態では、第1の付着部位はリシン残基であり、かつ/または第2の付着は、スルフヒドリル基またはシステイン残基を含む。本発明のなおさらなる実施形態では、第1の付着部位はリシン残基であり、第2の付着はシステイン残基である。本発明のさらなる実施形態では、抗原または抗原決定基は、RNAファージコートタンパク質のVLPのリシン残基、特に、Qbetaコートタンパク質のVLPに、システイン残基を介して結合される。
【0134】
RNAファージに由来するVLPの別の利点は、細菌中でのその高い発現収率であり、これは、手頃な費用で大量の物質の製造を可能にする。さらに、担体としてVLPを使用することにより、それぞれ、多様な抗原密度を伴った、頑強な抗原アレイおよびコンジュゲートの形成が可能になる。特に、RNAファージのVLPを使用することにより、本明細書では特に、RNAファージQbetaコートタンパク質のVLPを使用することにより、非常に高いエピトープ密度を実現することが可能になる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫原性コンジュゲートの混合物、すなわち、1つまたは複数の本発明の抗原性IgEペプチドにカップリングした免疫原性担体を含み得る。したがって、これらの免疫原性組成物は、アミノ酸配列が異なる免疫原性担体からなる場合がある。例えば、「野生型の」VLP、および1つまたは複数のアミノ酸残基が変更された(例えば、欠失、挿入、または置換された)修飾VLPタンパク質を含むワクチン組成物を調製することができる。あるいは、同じ免疫原性担体を使用するが、異なるアミノ酸配列の抗原性IgEペプチドにカップリングすることができる。
【0136】
したがって本発明は、本発明による免疫原を生成するための方法であって、i)本発明による抗原性IgEペプチドを提供するステップと、ii)本発明による免疫原性担体、好ましくはVLPを提供するステップと、iii)前記抗原性IgEペプチドおよび前記免疫原性担体を組み合わせるステップとを含む方法にも関する。一実施形態では、前記組み合わせるステップは、化学的な架橋、好ましくはヘテロ二官能性架橋剤によって行われる。
【0137】
一実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0138】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、および153からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、99、100、101、102、103、104、105、106、109、110、111、112、113、114、115、118、119、120、121、122、123、126、127、128、129、130、133、134、135、136、139、140、141、144、145および148からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、49、50、51、52、53、54、55、56、57、63、64、65、66、67、68、69、70、76、77、78、79、80、81、82、88、89、90、91、92、93、99、100、101、102、103、109、110、111、112、118、119、120、126、127、133、および139からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、18、19、20、21、22、23、24、25、34、35、36、37、38、39、40、49、50、51、52、53、54、63、64、65、66、67、76、77、78、79、88、89、90、99、100、101、および109からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、18、19、20、21、22、34、35、36、37、49、50、51、63、64、および76からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、18、19、および34からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1または18のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0139】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、および219からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、165、166、167、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、184、185、186、187、188、189、192、193、194、195、196、199、200、201、202、205、206、207、210、211、214および217からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、165、166、167、168、169、175、176、177、178、184、185、186、192、193、199、および200からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、165、166、および175からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154または165のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0140】
別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、および310からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、245、246、247、248、249、250、251、252、253、256、257、258、259、260、261、262、263、266、267、268、269、270、271、272、275、276、277、278、279、280、283、284、285、286、287、290、291、292、293、296、297、298、301、302および305からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、233、234、235、236、237、238、239、245、246、247、248、249、250、256、257、258、259、260、266、267、268、269、275、276、277、283、284、および290からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、233、234、235、236、245、246、247、256、257、および266からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、233、234、および245からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらから本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0141】
さらに別の実施形態では、本発明の抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、365、366、367、368、369、370、371、372、373、376、377、378、379、380、381、382、383、386、387、388、389、390、391、392、395、396、397、398、399、400、403、404、405、406、407、410、411、412、413、416、417、418、421、422および425からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。より好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、326、327、328、329、330、331、332、333、334、340、341、342、343、344、345、346、347、353、354、355、356、357、358、359、365、366、367、368、369、370、376、377、378、379、380、386、387、388、389、395、396、397、403、404および410からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、326、327、328、329、330、331、340、341、342、343、344、353、354、355、356、365、366、367、376、377、および386からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、326、327、328、340、341、および353からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。さらにより好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、および326からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる。
【0142】
本発明の一実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体分子に連結される。一実施形態では、前記免疫原性担体は、本明細書に記載される免疫原性担体のいずれかからなる群から選択される。別の実施形態では、前記免疫原性担体は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの血清アルブミン;グロブリン;サイログロブリン;ヘモグロビン;ヘモシアニン(特にキーホールリンペットヘモシニアン[KLH])、およびウイルス様粒子(VLP)からなる群から選択される。好適な実施形態では、前記免疫原性担体は、キーホールリンペットヘモシニアンまたはウイルス様粒子(VLP)である。さらに好適な実施形態では、前記免疫原性担体は、HBcAg VLP、HBsAg VLP、Qbeta VLP、または本明細書に開示される任意の変異体からなる群から選択されるVLPである。さらに好適な実施形態では、前記免疫原性担体は、Qbeta CP;Qbeta A1、Qbeta−240、Qbeta−243、Qbeta−250、Qbeta−251、およびQbeta−259(WO03/024481に開示される)からなる群から選択されるQbeta VLPである。
【0143】
一実施形態では、前記免疫原性担体は、直接に、またはリンカーを介して、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドに共有結合的に連結される。一実施形態では、前記免疫原性担体は、本明細書に記載されるような融合タンパク質の発現によって、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドに連結される。別の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、本明細書に記載されるような化学的架橋、好ましくはヘテロ二官能性架橋剤を使用することによって、免疫原性担体、好ましくはVLPに連結される。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当技術分野において知られている。いくつかの実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、第1の付着部位、すなわち、VLPまたはVLPサブユニットのリシン残基の側鎖アミノ基と反応することができる官能基、および好適な第2の付着部位、すなわち、還元による反応に利用可能にされた抗原ペプチドに融合されたシステイン残基と反応することができるさらなる官能基を含有する。
【0144】
したがって、本発明の一実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端、またはそのC末端、またはN末端およびC末端の両方で、化学的架橋反応において免疫原性担体の付着部位と反応することができるリンカーをさらに含む。一実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのC末端で、式(G)
nCを有するリンカーをさらに含み、式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群、好ましくは、0、1、2、3、4、および5からなる群、より好ましくは、0、1、2、および3からなる群中で選ばれる整数であり、最も好ましくは、nは0または1である(nが0に等しい場合、前記式はシステインを表す)。好ましくは、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのC末端で、式GGGC、GGC、GC、またはCを有するリンカーをさらに含む。
【0145】
本発明の別の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端で、式C(G)
nを有するリンカーをさらに含み、式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群、好ましくは、0、1、2、3、4、および5からなる群、より好ましくは、0、1、2、および3からなる群中で選ばれる整数であり、最も好ましくは、nは0または1である(nが0に等しい場合、この式はシステインを表す)。好ましくは、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端で、式CGGG、CGG、CG、またはCを有するリンカーをさらに含む。
【0146】
別の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端で、式GGGC、GGC、GC、またはCを有するリンカーをさらに含む。
【0147】
別の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのC末端で、式(G)
nCを有するリンカーであって、式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群、好ましくは、0、1、2、3、4、および5からなる群、より好ましくは、0、1、2、および3からなる群中で選ばれる整数であり、最も好ましくは、nは0または1である(nが0に等しい場合、前記式はシステインを表す)リンカー、およびそのN末端で、式C(G)
nを有するリンカーであって、式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群、好ましくは、0、1、2、3、4、および5からなる群、より好ましくは、0、1、2、および3からなる群中で選ばれる整数であり、最も好ましくは、nは0または1である(nが0に等しい場合、この式はシステインを表す)リンカーをさらに含む。好ましくは、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端で、式GGGC、GGC、GC、またはCを有するリンカー、およびそのC末端で、式GGGC、GGC、GC、またはCを有するリンカーをさらに含む。より好ましくは、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、そのN末端でシステイン、およびそのC末端でシステインをさらに含む。
【0148】
そのようなリンカーをさらに含む前記抗原性IgEペプチドの代表は、配列番号434、436、437、438、および439に開示されている。本発明の一実施形態では、リンカーを含む抗原性IgEペプチドは、表9で開示されるペプチドのいずれかである。
【0149】
IgE抗原性ペプチドのN末端および/またはC末端に付加されたシステイン残基は、典型的には還元(化学的架橋)、好ましくはヘテロ二官能性架橋剤を使用することによる反応に利用可能である。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるリンカーをさらに含むIgE抗原性ペプチドは、VLPのリシン残基の側鎖アミノ基で架橋されている。
【0150】
したがって、一実施形態では、上述したリンカーをさらに含むIgE抗原性ペプチドは、免疫原性担体、特に、VLP、好ましくはHBcAg VLP、HBsAg VLP、またはQbeta VLPに架橋されている。誘導体化と典型的に呼ばれる、手順の第1の工程は、VLPの架橋剤との反応である。この反応の生成物は、活性化VLPであり、活性化担体とも呼ばれる。第2の工程では、未反応の架橋剤が、ゲル濾過または透析などの通常の方法を使用して除去される。第3の工程では、抗原ペプチドが活性化VLPと反応され、この工程は典型的には、カップリング工程と呼ばれる。未反応の抗原ペプチドは、第4の工程において、例えば、透析によって任意選択により除去することができる。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当技術分野において知られている。これらとして、例えば、Pierce Chemical Company(Rockford、IL、USA)から入手可能であり、アミノ基に対して反応性である1つの官能基、およびシステイン残基に対して反応性である1つの官能基を有する、好適な架橋剤のSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)、スルホ−MBS、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMPB、スルホ−SMCC、SVSB、SIA、および他の架橋剤が挙げられる。上述した架橋剤はすべて、チオエーテル連結を形成する。
【0151】
一実施形態では、本発明は、配列番号1、2、3、18、19、または34、最も好ましくは、配列番号1もしくは18のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのC末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0152】
一実施形態では、本発明は、配列番号1、2、3、18、19、または34、最も好ましくは、配列番号1もしくは18のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのN末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0153】
一実施形態では、本発明は、配列番号154、155、156、165、166、および175、最も好ましくは、配列番号154もしくは165のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのC末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0154】
一実施形態では、本発明は、配列番号154、155、156、165、166、および175、最も好ましくは、配列番号154もしくは165のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのN末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0155】
一実施形態では、本発明は、配列番号220、221、222、233、234、および245、最も好ましくは、配列番号220もしくは233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのC末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0156】
一実施形態では、本発明は、配列番号220、221、222、233、234、および245、最も好ましくは、配列番号220もしくは233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのN末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0157】
一実施形態では、本発明は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311もしくは312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのC末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0158】
一実施形態では、本発明は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311もしくは312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、前記抗原性IgEは、そのN末端で、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されたシステインをさらに含む免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0159】
一実施形態では、本発明は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原に関する。好ましくは、前記抗原性IgEは、そのC末端でGCリンカー、好ましくは式GGCを有するリンカーをさらに含み(好ましくは、そのC末端でGCリンカーを含む前記抗原性IgEペプチドは、配列番号457のアミノ酸配列からなる、またはこれから本質的になる)、これは、架橋剤としてSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)を使用して、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されており、前記連結は、VLPのリシン残基と前記C末端リンカーのシステイン残基との間にある。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0160】
一実施形態では、本発明は、配列番号220、221、233、234、244、および246、最も好ましくは、配列番号220もしくは233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されており、前記連結が、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にある免疫原に関する。前記実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、本明細書に記載されるような化学的架橋によって、好ましくは、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することによって、免疫原性担体、好ましくはVLPに連結される。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当技術分野において知られている。いくつかの実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、第1の付着部位、すなわち、VLPまたはVLPサブユニットのリシン残基の側鎖アミノ基と反応することができる官能基、および好適な第2の付着部位、すなわち、還元による反応に利用可能にされた抗原ペプチドのシステイン残基と反応することができるさらなる官能基を含有する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0161】
一実施形態では、本発明は、配列番号220のアミノ酸配列からなる、またはこのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原であって、架橋剤としてSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)を使用して、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されており、前記連結が、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にある免疫原に関する。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPはQbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0162】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドの配列がシステインを含む場合、前記抗原性IgEペプチドは、前記システインを介して直接、免疫原性担体に共有結合的に連結される。前記実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドは、本明細書に記載されるような化学的架橋によって、好ましくは、ヘテロ二官能性架橋剤を使用することによって、免疫原性担体、好ましくはVLPに連結される。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が当技術分野において知られている。いくつかの実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、第1の付着部位、すなわち、VLPまたはVLPサブユニットのリシン残基の側鎖アミノ基と反応することができる官能基、および好適な第2の付着部位、すなわち、還元による反応に利用可能にされた抗原ペプチドに融合したシステイン残基と反応することができる、さらなる官能基を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドの配列がシステインを含む場合、前記抗原性IgEペプチドは、チオエーテル連結を介して免疫原性担体に化学的に架橋され、前記連結は、免疫原性担体のリシン残基と、前記抗原性IgEのシステイン残基との間にある。好適な実施形態では、前記免疫原性担体はVLP、好ましくは、Qbetaウイルス様粒子(さらにより好ましくは、配列番号435のQbeta)である。
【0163】
さらなる態様では、本発明は、少なくとも2つの本明細書に記載される免疫原を含む組成物に関する。一実施形態では、本発明は、少なくとも2つの免疫原を含む組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。一実施形態では、前記組成物は、2、3、4、または5つの本発明の免疫原を含み、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む。
【0164】
好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体の異なる分子に個々に連結される(免疫原性担体の各分子は、これにコンジュゲートされた1つの型の抗原性IgEペプチドのみを有する)。前記実施形態では、抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされると言える。
【0165】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0166】
一実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、および153からなる群、好ましくは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、99、100、101、102、103、104、105、106、109、110、111、112、113、114、115、118、119、120、121、122、123、126、127、128、129、130、133、134、135、136、139、140、141、144、145および148からなる群、より好ましくは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、49、50、51、52、53、54、55、56、57、63、64、65、66、67、68、69、70、76、77、78、79、80、81、82、88、89、90、91、92、93、99、100、101、102、103、109、110、111、112、118、119、120、126、127、133、および139からなる群、さらにより好ましくは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、18、19、20、21、22、23、24、25、34、35、36、37、38、39、40、49、50、51、52、53、54、63、64、65、66、67、76、77、78、79、88、89、90、99、100、101、および109からなる群、さらにより好ましくは、配列番号1、2、3、4、5、6、18、19、20、21、22、34、35、36、37、49、50、51、63、64、および76からなる群、さらにより好ましくは、配列番号1、2、3、18、19、および34からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1または18のアミノ酸配列からなる。
【0167】
一実施形態では、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、および219からなる群、好ましくは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、165、166、167、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、184、185、186、187、188、189、192、193、194、195、196、199、200、201、202、205、206、207、210、211、214、および217からなる群、より好ましくは、配列番号154、155、156、157、158、159、165、166、167、168、169、175、176、177、178、184、185、186、192、193、199、および200からなる群、さらにより好ましくは、配列番号154、155、156、165、166、および175からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154または165のアミノ酸配列からなる。
【0168】
別の実施形態では、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、および310からなる群、好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、245、246、247、248、249、250、251、252、253、256、257、258、259、260、261、262、263、266、267、268、269、270、271、272、275、276、277、278、279、280、283、284、285、286、287、290、291、292、293、296、297、298、301、302および305からなる群、より好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、233、234、235、236、237、238、239、245、246、247、248、249、250、256、257、258、259、260、266、267、268、269、275、276、277、283、284、および290からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、233、234、235、236、245、246、247、256、257、および266からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、233、234、および245からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる。
【0169】
さらに別のものでは、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群、好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、365、366、367、368、369、370、371、372、373、376、377、378、379、380、381、382、383、386、387、388、389、390、391、392、395、396、397、398、399、400、403、404、405、406、407、410、411、412、413、416、417、418、421、422および425からなる群、より好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、326、327、328、329、330、331、332、333、334、340、341、342、343、344、345、346、347、353、354、355、356、357、358、359、365、366、367、368、369、370、376、377、378、379、380、386、387、388、389、395、396、397、403、404および410からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、326、327、328、329、330、331、340、341、342、343、344、353、354、355、356、365、366、367、376、377、および386からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、326、327、328、340、341、および353からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、および326からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる。
【0170】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された抗原性IgEペプチドを含み、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、165からなる組成物に関する。別の実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号220のアミノ酸配列からなる。別の実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号312のアミノ酸配列からなる。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0171】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。一実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、および219からなる群、好ましくは、配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、165、166、167、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、184、185、186、187、188、189、192、193、194、195、196、199、200、201、202、205、206、207、210、211、214および217からなる群、より好ましくは、配列番号154、155、156、157、158、159、165、166、167、168、169、175、176、177、178、184、185、186、192、193、199、および200からなる群、さらにより好ましくは、配列番号154、155、156、165、166、および175からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号154または165のアミノ酸配列からなる。
【0172】
一実施形態では、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、および310からなる群、好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、245、246、247、248、249、250、251、252、253、256、257、258、259、260、261、262、263、266、267、268、269、270、271、272、275、276、277、278、279、280、283、284、285、286、287、290、291、292、293、296、297、298、301、302および305からなる群、より好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、233、234、235、236、237、238、239、245、246、247、248、249、250、256、257、258、259、260、266、267、268、269、275、276、277、283、284、および290からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、233、234、235、236、245、246、247、256、257、および266からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、233、234、および245からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる。
【0173】
別の実施形態では、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群、好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、365、366、367、368、369、370、371、372、373、376、377、378、379、380、381、382、383、386、387、388、389、390、391、392、395、396、397、398、399、400、403、404、405、406、407、410、411、412、413、416、417、418、421、422および425からなる群、より好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、326、327、328、329、330、331、332、333、334、340、341、342、343、344、345、346、347、353、354、355、356、357、358、359、365、366、367、368、369、370、376、377、378、379、380、386、387、388、389、395、396、397、403、404および410からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、326、327、328、329、330、331、340、341、342、343、344、353、354、355、356、365、366、367、376、377、および386からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、326、327、328、340、341、および353からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、および326からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる。
【0174】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された抗原性IgEペプチドを含み、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号165のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、220からなる組成物に関する。別の実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号165のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号312のアミノ酸配列からなる。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0175】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。一実施形態では、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、および310からなる群、好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、245、246、247、248、249、250、251、252、253、256、257、258、259、260、261、262、263、266、267、268、269、270、271、272、275、276、277、278、279、280、283、284、285、286、287、290、291、292、293、296、297、298、301、302および305からなる群、より好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、225、226、227、233、234、235、236、237、238、239、245、246、247、248、249、250、256、257、258、259、260、266、267、268、269、275、276、277、283、284、および290からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、223、224、233、234、235、236、245、246、247、256、257、および266からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220、221、222、233、234、および245からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる。
【0176】
一実施形態では、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群、好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、365、366、367、368、369、370、371、372、373、376、377、378、379、380、381、382、383、386、387、388、389、390、391、392、395、396、397、398、399、400、403、404、405、406、407、410、411、412、413、416、417、418、421、422および425からなる群、より好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、326、327、328、329、330、331、332、333、334、340、341、342、343、344、345、346、347、353、354、355、356、357、358、359、365、366、367、368、369、370、376、377、378、379、380、386、387、388、389、395、396、397、403、404および410からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、315、316、317、326、327、328、329、330、331、340、341、342、343、344、353、354、355、356、365、366、367、376、377、および386からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、313、314、326、327、328、340、341、および353からなる群、さらにより好ましくは、配列番号311、312、および326からなる群から選択されるアミノ酸配列からなり、最も好ましくは、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる。
【0177】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された抗原性IgEペプチドを含み、第1の免疫原の抗原性IgEペプチドは、配列番号220のアミノ酸配列からなり、第2の免疫原の抗原性IgEペプチドは、312からなる組成物に関する。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0178】
本発明の実施形態によれば、ここで上記に開示される組成物の免疫原は、直接に、または本明細書で開示されるようなリンカーを介して免疫原性担体に、連結、好ましくは化学的に架橋される。一実施形態では、免疫原性担体は、キーホールリンペットヘモシアニン[KLH]またはウイルス様粒子(VLP)である。好適な実施形態では、前記免疫原性担体は、HBcAg VLP、HBsAg VLP、Qbeta VLP、または本明細書に開示される任意の変異体からなる群から選択されるVLPである。さらに好適な実施形態では、前記免疫原性担体は、Qbeta CP;Qbeta A1、Qbeta−240、Qbeta−243、Qbeta−250、Qbeta−251、およびQbeta−259からなる群から選択されるQbetaVLPである。
【0179】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。一実施形態では、第1の免疫原は、配列番号220、221、233、234、244、および246、最も好ましくは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、この抗原性IgEは、チオエーテル連結を介してQbetaウイルス様粒子(より好ましくは配列番号435のQbeta)に化学的に架橋されており、前記連結が、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にあり、第2の免疫原は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれから本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、前記抗原性IgEは、そのC末端で、Qbetaウイルス様粒子、より好ましくは、配列番号435のQbetaに化学的に架橋されたシステインをさらに含む。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0180】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。一実施形態では、第1の免疫原は、配列番号220、221、233、234、244、および246、最も好ましくは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、この抗原性IgEは、チオエーテル連結を介してQbetaウイルス様粒子(より好ましくは配列番号435のQbeta)に化学的に架橋されており、前記連結が、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にあり、第2の免疫原は、配列番号1、2、3、18、19、または34、最も好ましくは、配列番号1または18のアミノ酸配列からなる、またはこれから本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、前記抗原性IgEは、そのC末端で、Qbetaウイルス様粒子、より好ましくは、配列番号435のQbetaに化学的に架橋されたシステインをさらに含む。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0181】
一実施形態では、本発明は、3つの免疫原を含み、またはこれらからなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。一実施形態では、第1の免疫原は、配列番号220、221、233、234、244、および246、最も好ましくは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれから本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、この抗原性IgEは、チオエーテル連結を介してQbetaウイルス様粒子(より好ましくは配列番号435のQbeta)に化学的に架橋されており、前記連結が、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にあり、第2の免疫原は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、前記抗原性IgEは、そのC末端で、Qbetaウイルス様粒子、より好ましくは、配列番号435のQbetaに化学的に架橋されたシステインをさらに含み、第3の免疫原は、配列番号1、2、3、18、19、または34、最も好ましくは、配列番号1または18のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEを含む免疫原からなり、前記抗原性IgEは、そのC末端で、Qbetaウイルス様粒子、より好ましくは、配列番号435のQbetaに化学的に架橋されたシステインをさらに含む。好ましくは、各抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされる。
【0182】
一実施形態では、本発明は、2つの免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、免疫原性担体に個々にコンジュゲートされた、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む組成物に関する。一実施形態では、第1の免疫原は、配列番号220、221、233、234、244、および246、最も好ましくは、配列番号220または233のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEペプチドを含む免疫原からなる。好ましくは、前記第1の抗原性IgEペプチドは、架橋剤としてSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)を使用して、チオエーテル連結を介してQbetaウイルス様粒子(より好ましくは配列番号435のQbeta)に化学的に架橋されており、前記連結は、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEペプチドのシステイン残基との間にある。好ましくは、第2の免疫原は、配列番号311、312、および326、最も好ましくは、配列番号311または312のアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる抗原性IgEペプチドを含む免疫原からなる。好ましくは、前記第2の抗原性IgEペプチドは、そのC末端でGCリンカー、好ましくは式GGCを有するリンカーをさらに含み(好ましくは、そのC末端でGCリンカーを含む前記第2の抗原性IgEペプチドは、配列番号457のアミノ酸配列からなる、またはこのアミノ酸配列から本質的になる)、これは、架橋剤としてSMPH(スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート)を使用して、チオエーテル連結を介してウイルス様粒子に化学的に架橋されており、前記連結は、VLPのリシン残基と前記C末端リンカーのシステイン残基との間にある。好適な実施形態では、前記VLPは、HBcAg、HBsAg、およびQbetaからなる群から選択される。好ましくは、前記VLPは、Qbeta、さらにより好ましくは、配列番号435のQbetaである。
【0183】
一実施形態では、本発明は、2、3、4、またはそれ以上の免疫原を含み、またはこれらの免疫原からなる組成物であって、これらの免疫原のそれぞれは、免疫原性担体に連結された抗原性IgEペプチドを含み、前記抗原性IgEペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429および430からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、またはこれらのアミノ酸配列から本質的になる組成物に関する。一実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、同じ免疫原性担体に連結される。別の実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、異なる免疫原性担体に連結され、次いで混合される。
【0184】
本発明の免疫原の製造方法
本発明はさらに、本明細書に開示される免疫原を製造するプロセスに関する。一実施形態では、前記免疫原は、少なくとも1つの、本明細書に開示される免疫原性担体に連結された本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを含む。したがって、本発明はさらに、免疫原を製造するためのプロセスであって、少なくとも1つの本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを、本明細書に開示される免疫原性担体に連結するステップを含むプロセスに関する。一実施形態では、前記連結は、直接に、または本明細書に開示されるようなリンカー、特に、GCリンカー(例えば、システイン)を介して、化学的な架橋によって実施される。一実施形態では、本発明は、免疫原を製造するためのプロセスであって、本明細書に開示されるようなリンカーを任意選択によりさらに含む、少なくとも1つの本明細書に開示される抗原性IgEペプチドを、本明細書に開示されるVLPに連結するステップを含み、前記連結が、直接に、または本明細書に開示されるようなリンカー、特に、GCリンカー(例えば、システイン)を介して、化学的な架橋によって実施されるプロセスに関する。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗原性IgEペプチドの配列がシステインを含む場合、前記抗原性IgEペプチドは、前記システインを介して直接、VLPに共有結合的に連結される。前記実施形態では、このプロセスは、本明細書に記載されるように、かつ好ましくは、ヘテロ二官能性架橋剤(例えば、N−γ−マレイミド−ブチリルオキシ−スクシンイミドエステル(GMBS)またはスクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート(SMPH))を使用して、化学的に架橋するステップを含む。したがって、いくつかの実施形態では、化学的架橋工程は、チオエーテル連結を介して架橋されたVLPをもたらし、前記連結は、VLPのリシン残基と、前記抗原性IgEのシステイン残基との間にある。好適な実施形態では、前記VLPは、好ましくはQbetaウイルス様粒子(さらにより好ましくは、配列番号435のQbeta)である。本発明のさらなる実施形態は、本明細書に開示されるプロセスによって得られる免疫原に関する。
【0185】
本発明の抗原性IgEペプチドを含む組成物
本発明はさらに、組成物、特に、「対象免疫原性組成物(subject immunogenic composition)」とも呼ばれる免疫原性組成物であって、好ましくは、免疫原性担体、より好ましくは、VLP、さらにより好ましくは、HBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結された本発明の抗原性IgEペプチド、および任意選択により、少なくとも1つのアジュバントを含む組成物に関する。そのような免疫原性組成物は、特に医薬組成物として製剤化される場合、IgE関連障害を予防、治療、または軽減するのに有用であるとみなされている。
【0186】
いくつかの実施形態では、本発明による対象免疫原性組成物は、配列番号1〜430、およびこれらの機能的に活性な変異体から、好ましくは、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性IgEペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記抗原性IgEペプチドは、免疫原性担体、好ましくはVLP、より好ましくは、HBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結される。
【0187】
本発明による抗原性IgEペプチドを含む対象免疫原性組成物は、以下により詳細に記載されるように、いくつかの方法で製剤化することができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、対象免疫原性組成物は、1つの種の抗原性IgEペプチドを含み、例えば、免疫原性組成物は、実質的にそのすべてが同じアミノ酸配列を有する、抗原性IgEペプチドの集団を含む。他の実施形態では、対象免疫原性組成物は、2つ以上の異なる抗原性IgEペプチドを含み、例えば、免疫原性組成物は、抗原性IgEペプチドの集団を含み、この集団のメンバーのアミノ酸配列は異なる場合がある。対象免疫原性組成物は、2〜約20の異なる抗原性IgEペプチドを含む場合があり、例えば、対象免疫原性組成物は、それぞれが他の抗原性IgEペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸を有する、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11〜15、または15〜20の異なる抗原性IgEペプチドを含むことができる。
【0189】
例えば、いくつかの実施形態では、対象免疫原性組成物は、好ましくは免疫原性担体、より好ましくはVLP、さらにより好ましくは、HBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結され、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド;および好ましくは免疫原性担体、より好ましくはVLP、さらにより好ましくは、HBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結され、配列番号1〜430からなる群、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択される、第2のアミノ酸配列を含む、少なくとも第2の抗原性IgEペプチドを含み、第2のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列と、少なくとも1、2、3、4、5、6〜10、または15のアミノ酸が異なる。さらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜310からなる群、好ましくは配列番号220〜310、または配列番号1〜153、または配列番号154〜219からなる群、より好ましくは、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別のさらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜219および311〜430からなる群、好ましくは、配列番号311〜430、または配列番号1〜153、または配列番号154〜219からなる群、より好ましくは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別のさらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2の抗原性IgEペプチドは、配列番号154〜430からなる群、好ましくは、配列番号220〜310、配列番号311〜430、または配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別のさらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜153および220〜430からなる群、好ましくは、配列番号220〜310、または配列番号1〜153、または配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0190】
別の例として、対象免疫原性組成物は、好ましくは免疫原性担体、より好ましくはVLP、さらにより好ましくはHBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結され、配列番号1〜430からなる群から選択される第1のアミノ酸配列を含む第1の抗原性IgEペプチド;好ましくは免疫原性担体、より好ましくはVLP、さらにより好ましくはHBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結され、好ましくは配列番号1〜430からなる群から選択される第2のアミノ酸配列を含む第2の抗原性IgEペプチドであって、第2のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列と、少なくとも1、2、3、4、5、6〜10、または15のアミノ酸が異なる第2の抗原性IgEペプチド;および好ましくは免疫原性担体、より好ましくはVLP、さらにより好ましくはHBsAg、HbcAg、またはQbeta VLPに連結され、好ましくは配列番号1〜430からなる群から選択される第3のアミノ酸配列を含む少なくとも第3の抗原性IgEポリペプチドであって、第3のアミノ酸配列が、第1および第2のアミノ酸配列の両方と、少なくとも1、2、3、4、5、6〜10、または15のアミノ酸が異なる第3の抗原性IgEポリペプチドを含む。さらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号311〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2および第3の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜310からなる群、好ましくは、配列番号220〜310、または配列番号1〜153、または配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0191】
別のさらなる実施形態では、第1の抗原性IgEペプチドは、配列番号220〜310からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2および第3の抗原性IgEペプチドは、配列番号1〜219および311〜430からなる群、好ましくは、配列番号311〜430、または配列番号1〜153、または配列番号154〜219からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0192】
他の実施形態では、対象免疫原性組成物は、上述したような、多量体を形成した抗原性IgEポリペプチドを含む。本明細書で使用する場合、用語「抗原性IgEペプチドを含む免疫原性組成物」、または「本発明の免疫原性組成物」、または「対象免疫原性組成物」は、免疫原性担体にカップリングした、またはしていない1種(多量体を形成した、もしくは形成していない)または複数種の抗原性IgEペプチド(複数可)を含む免疫原性組成物を指す。2つ以上のペプチドが担体にカップリングされる場合、ペプチドは、同じ担体分子にカップリングし、または担体分子に個々にカップリングし、次いで組み合わせることによって免疫原性組成物を生成することができる。
【0193】
本発明の別の態様は、本発明による免疫原を製造するための方法であって、免疫原性担体に抗原性IgEペプチドをカップリングするステップを含む方法に関する。一実施形態では、前記カップリングは化学的である。
【0194】
いくつかの実施形態では、対象免疫原性組成物は、少なくとも1つのアジュバントを含む。適当なアジュバントには、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて使用するのに適したものが含まれる。ヒトにおいて使用することができる既知の適当なアジュバントの例として、必ずしもそれだけに限らないが、ミョウバン、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、MF59(4.3% w/vのスクアレン、0.5% w/vのポリソルベート80(Tween80)、0.5%のw/vソルビタントリオレエート(Span85))、CpG含有核酸(シトシンはメチル化されていない)、QS21(サポニンアジュバント)、MPL(モノホスホリル脂質A)、3DMPL(3−O−脱アシル化MPL)、Aquillaからの抽出物、ISCOMS(例えば、Sjolanderら(1998)J.Leukocyte Biol.64:713;WO90/03184、WO96/11711、WO00/48630、WO98/36772、WO00/41720、WO06/134423、およびWO07/026190を参照)、LT/CT突然変異体、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)微粒子、Quil A、インターロイキンなどが挙げられる。それだけに限らないが、動物実験を含めた獣医学用途については、Freund’s、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、ノル−MDPと呼ばれる)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEと呼ばれる)、および2%のスクアレン/Tween80エマルジョン中の細菌、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)から抽出される3つの成分を含有するRIBIを使用することができる。
【0195】
組成物の有効性を増強するためのさらなる例示的なアジュバントとして、それだけに限らないが、(1)水中油型エマルジョン製剤(ムラミルペプチド(以下を参照)または細菌性細胞壁成分などの他の特定の免疫賦活剤を伴って、または伴わずに)、例えば、(a)5%のスクアレン、0.5%のTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および0.5%のSpan85(ソルビタントリオレエート)を含有し(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(MTP−PE)に共有結合的に連結したムラミルトリ−ペプチドを任意選択により含有する)、微小流動化剤を使用して製剤化してサブミクロン粒子にしたMF59(商標)(WO90/14837;Vaccine design:the subunit and adjuvant approach、Powell&Newman編、Plenum Press 1995の10章)(b)10%のスクアラン、0.4%のTween80、5%のプルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有し、微小流動化されてサブミクロンのエマルジョンにされたか、ボルテックスされてより大きい粒径のエマルジョンにされたSAF、ならびに(c)2%のスクアレン、0.2%のTween80、ならびに1つまたは複数の細菌性細胞壁成分、例えば、モノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)など、好ましくはMPL+CWS(DETOX(商標))を含有するRIBI(商標)アジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)など;(2)サポニンアジュバント、例えば、QS21、STIMULON(商標)(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)、Abisco(登録商標)(Isconova、スウェーデン)、またはIscomatrix(登録商標)(Commonwealth Serum Laboratories、オーストラリア)などを使用することができ、またはISCOM(免疫賦活性複合体)などの粒子をこれらから生成することができ、このISCOMSは、追加の界面活性剤を欠いている場合がある、例えば、WO00/07621;(3)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全なフロイントアジュバント(IFA);(4)サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(WO99/44636)など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など;(5)肺炎球菌(pneumococcal)サッカリドとともに使用される場合、任意選択によりミョウバンの実質的な非存在下での(例えば、WO00/56358)、モノホスホリル脂質A(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)、例えば、GB−2220221、EP−A−0689454;(6)3dMPLの例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組合せ、例えば、EP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0761231;(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド[Krieg Vaccine 2000、19、618〜622;Krieg Curr opin Mol Ther2001 3:15〜24;Romanら、Nat.Med.、1997、3、849〜854;Weinerら、PNAS USA、1997、94、10833〜10837;Davisら、J.Immunol、1998、160、870〜876;Chuら、J.Exp.Med、1997、186、1623〜1631;Lipfordら、Ear.J.Immunol.、1997、27、2340〜2344;Moldoveamiら、Vaccine、1988、16、1216〜1224、Kriegら、Nature、1995、374、546〜549;Klinmanら、PNAS USA、1996、93、2879〜2883;Ballasら、J.Immunol、1996、157、1840〜1845;Cowderyら、J.Immunol、1996、156、4570〜4575;Halpernら、Cell Immunol、1996、167、72〜78;Yamamotoら、Jpn.J.Cancer Res.、1988、79、866〜873;Staceyら、J.Immunol.、1996、157、2116〜2122;Messinaら、J.Immunol、1991、147、1759〜1764;Yiら、J.Immunol、1996、157、4918〜4925;Yiら、J.Immunol、1996、157、5394〜5402;Yiら、J.Immunol、1998、160、4755〜4761;およびYiら、J.Immunol,1998、160、5898〜5906;国際特許出願第WO96/02555号、同第WO98/16247号、同第WO98/18810号、同第WO98/40100号、同第WO98/55495号、同第WO98/37919号、および同第WO98/52581号]、すなわち、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含有し、シトシンはメチル化されていない;(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル、例えば、WO99/52549;(9)オクトキシノール(WO01/21207)もしくはポリオキシエチレンアルキルエーテルと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤、またはオクトキシノールなどの少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤と組み合わせたエステル界面活性剤(WO01/21152);(10)サポニンおよび免疫賦活性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(WO00/62800);(11)免疫賦活剤および金属塩の粒子、例えば、WO00/23105;(12)サポニンおよび水中油型エマルジョン、例えば、WO99/11241;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(任意選択により+ステロール)、例えば、WO98/57659;(14)ムラミルペプチドなどの、組成物の効力を増強するための免疫賦活剤として作用する他の物質には、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−25アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタルニニル(isoglutarninyl)−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が含まれる、(15)ポリI:CなどのTLR3リガンド、ならびにHiltonolおよびAmpligenなどの同様の化合物を含めた、天然または合成の、トール様受容体についてのリガンド(例えば、Kanzlerら 2007、Nature Medicine 13、p1552〜9に記載されているような)が挙げられる。
【0196】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、少なくとも1つのアジュバントを含む。特定の実施形態では、前記アジュバントは、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、より好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、核酸配列5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT3’(ODN CpG 24555;配列番号431)を有する。配列番号431の免疫賦活性オリゴヌクレオチド核酸配列は、以前に報告された免疫賦活性オリゴヌクレオチド(ODN10103)5’TCGTCGTTTTTCGGTCGTTTT3’(配列番号:432)と、3’に最も近いCGジヌクレオチドが反転していることによって異なる。これらの2つの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの間の活性の類似性は意外であり、その理由は、CpGオリゴヌクレオチドの免疫賦活作用は、CpGモチーフの数、CGジヌクレオチドに隣接する配列、CpGモチーフ(複数可)の位置、CpGモチーフ同士間の間隔に依存すると以前に報告されているためである(Ballasら、1996、J.Immunol.;Hartmannら、2000,J.Immunol.;Klinmanら、2003、Clin.Exp.Immunol.)。免疫賦活性オリゴヌクレオチドCpG ODN24555(配列番号431)中の3’に最も近いCGジヌクレオチドを除去しても、以前の開示から予期されるように、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドの抗原特異的免疫応答を増強する能力に悪影響をもたらさなかった。CpG ODN24555は、CpG ODN10103と比較した場合、同様の免疫賦活作用、いくつかの場合では増強された免疫賦活作用を実証した。
【0197】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。一般に、二本鎖の分子は、インビボでより安定である一方で、一本鎖の分子は、免疫活性を増大させた。したがって、本発明のいくつかの態様では、核酸は一本鎖であることが好適であり、他の態様では、核酸は二本鎖であることが好適である。
【0198】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基、および置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)もしくはウラシル(U))、または置換プリン(例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G)))である、交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)を意味するのに、本明細書で互換的に使用される。本明細書で使用する場合、この用語は、オリゴリボヌクレオチド(すなわち、リン酸が抜けたポリヌクレオチド)、および任意の他の有機の塩基を含有するポリマーを指す。核酸分子は、既存の核酸源(例えば、ゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、合成である(例えば、核酸合成によって生成される)ことが好ましい。
【0199】
一実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、天然のRNAおよびDNAと比較して、ホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、β−D−リボース単位および/または天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)を伴う、様々な化学修飾および置換を包含することができる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmann Eら(1990)、Chem.Rev.90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties&Synthesis and Analytical Techniques、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke,S.T.ら(1996)Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.36:107〜129;およびHunziker J.ら、(1995)、Mod.Synth.Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を有することができ、各修飾は、天然のDNAまたはRNAからなる同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、および/または特定のβ−D−リボース単位、および/または特定の天然のヌクレオシド塩基の位置に配置される。
【0200】
例えば、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を含むことができる。そのような修飾は、a)修飾されたヌクレオシド間ブリッジによる、ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジの置換、b)デホスホブリッジによる、ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したホスホジエステルブリッジの置換、c)別の単位による、糖リン酸主鎖に由来する糖リン酸単位の置換、d)修飾糖単位によるβ−D−リボース単位の置換、およびe)天然のヌクレオシド塩基の置換から選択することができる。
【0201】
核酸は、置換プリンおよび置換ピリミジン、例えば、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基なども含む(Wagnerら、1996、Nat.Biotechnol.14:840〜4)。プリンおよびピリミジンには、それだけに限らないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在する、および天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換の芳香族部分が含まれる。他のそのような修飾も当業者に周知である。
【0202】
修飾塩基は、DNAおよびRNA中に典型的に見出される、天然に存在する塩基、例えば、T、C、G、A、およびUなどと化学的に異なるが、これらの天然に存在する塩基と基本的な化学構造を共有する任意の塩基である。修飾ヌクレオシド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1〜C6)−アルキルウラシル、5−(C2〜C6)−アルケニルウラシル、5−(C2〜C6)−アルキルニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1〜C6)−アルキルシトシン、5−(C2〜C6)−アルケニルシトシン、5−(C2〜C6)−アルキルニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは、7−デアザ−7−置換および/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミシン、ならびにジアミノプリン、例えば、2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、または天然のヌクレオシド塩基の他の修飾から選択することができる。このリストは、例示的であることを意味し、限定的であると解釈されるべきでない。
【0203】
本発明のいくつかの態様では、本明細書に記載される免疫賦活性オリゴヌクレオチドのCpGジヌクレオチドは、メチル化されていないことが好ましい。非メチル化CpGモチーフは、非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが後に続き、リン酸結合によって連結された非メチル化5’シトシン)である。他の態様では、CpGモチーフはメチル化されている。メチル化CpGモチーフは、メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが後に続き、リン酸結合に連結されたメチル化5’シトシン)である。
【0204】
本発明のいくつかの態様では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、修飾シトシンを含有することができる。修飾シトシンは、オリゴヌクレオチドの免疫賦活作用を損なうことなくこの塩基を置換することができるシトシンの天然に存在し、または天然に存在しないピリミジン塩基類似体である。修飾シトシンとして、それだけに限らないが、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、シュード−イソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が挙げられる。いくつかの好適なシトシンには、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが含まれる。本発明の別の実施形態では、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香環系(例えば、フルオロベンゼンもしくはジフルオロベンゼン)、または水素原子(dSpacer)によって置換される。
【0205】
本発明のいくつかの態様では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、修飾グアニンを含有することができる。修飾グアニンは、オリゴヌクレオチドの免疫賦活作用を損なうことなくこの塩基を置換することができるグアニンの天然に存在し、または天然に存在しないプリン塩基類似体である。修飾グアニンとして、それだけに限らないが、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニン、および8−ブロモグアニン)、ならびに6−チオグアニンが挙げられる。本発明の別の実施形態では、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、およびK塩基)、芳香環系(例えば、ベンゾイミダゾール、もしくはジクロロ−ベンゾイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(dSpacer)によって置換される。
【0206】
ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド間連結を含むことができる。これらの修飾された連結は、分解に対してある程度耐性となり得る(例えば、安定化される)。「安定化された核酸分子」は、インビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して相対的に耐性である核酸分子を意味するものとする。安定化は、長さまたは二次構造の機能である場合がある。数十〜数百キロベースの長さである核酸は、インビボ分解に対して相対的に耐性である。より短い核酸については、二次構造がその効果を安定化および増大させることができる。ステムループ構造の形成は、核酸分子を安定化することができる。例えば、核酸の3’末端が、上流の領域に対して自己相補性を有し、その結果これが、折り畳むことができ、ステムループ構造を形成することができる場合、核酸は安定化され、より大きい活性を示すことができる。
【0207】
核酸安定化はまた、リン酸主鎖の修飾によって実現することができる。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、最大の活性をもたらし、細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護することができる。
【0208】
インビボを使用するために、核酸は、分解(例えば、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼによる)に対して相対的に耐性であることが好ましい。核酸主鎖の修飾により、インビボで投与される場合、核酸の活性が増強されることが実証された。ステムループなどの二次構造は、分解に対して核酸を安定化することができる。あるいは、核酸の安定化は、リン酸主鎖の修飾によって実現され得る。好適な安定化された核酸は、少なくとも1つの部分的なホスホロチオエート修飾主鎖を有する。ホスホロチオエートは、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学反応を使用して、自動化された技法を使用して合成することができる。アリールホスホネートおよびアルキルホスホネートは、米国特許第4,469,863号に記載されているように作成することができ、アルキルホスホトリエステル(帯電した酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を使用して、自動固相合成によって調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を行うための方法も記載されている(Uhlmann,E.およびPeyman,A.(1990)Chem.Rev.90:544;Goodchild,J.(1990)Bioconjugate Chem.1:165)。CpGモチーフを有する2’−O−メチル核酸も、エトキシで修飾されたCpG核酸が引き起こすように、免疫活性化を引き起こす。実際には、CpG効果を完全に無効にする主鎖の修飾はまったく見つかっていないが、CpG効果は、Cを5−メチルCで置換することによって大いに低減される。ホスホロチオエート連結を有するコンストラクトは、最大の活性をもたらし、細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解から核酸を保護する。他の修飾核酸として、ホスホジエステルで修飾された核酸、ホスホジエステルおよびホスホロチオエート核酸の組合せ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、p−エトキシ、ならびにこれらの組合せが挙げられる。これらの組合せ、ならびに免疫細胞に対するこれらの特定の効果のそれぞれは、PCT公開特許出願PCT/US95/01570(WO96/02555)およびPCT/US97/19791(WO98/18810)、ならびに2001年2月27日に発行された米国特許第6,194,388(B1)号、および2001年5月29日に発行された米国特許第6,239,116(B1)号において論じられており、その内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。これらの修飾核酸は、ヌクレアーゼ耐性の増強、細胞取込みの増大、タンパク質結合の増大、および/または細胞内局在化の変化のために、より刺激性の活性を示すことができると考えられている。
【0209】
インビボでの投与については、核酸は、(例えば、樹状細胞、B細胞、単球細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞)表面へのより高い親和結合ならびに/または「核酸送達複合体」を形成するための標的細胞による細胞取込みの増大をもたらす分子と付随することができる。核酸は、当技術分野で周知である技法を使用して、適切な分子とイオン的、または共有結合的に付随することができる。様々なカップリング剤または架橋剤、例えば、プロテインA、カルボジイミド、およびN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を使用することができる。核酸は、あるいは、周知の技法を使用してリポソームまたはビロソーム中にカプセル化することができる。
【0210】
他の安定化された核酸には、それだけに限らないが、非イオン性DNA類似体、例えば、アルキルリン酸およびアリールリン酸(帯電したホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基によって置換されている)など、帯電した酸素部分がアルキル化されているホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステルが含まれる。いずれか、または両方の末端に、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示されている。いくつかの実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親油性置換ヌクレオチド類似体および/またはピリミジン−プリンジヌクレオチドを含むことができる。
【0211】
オリゴヌクレオチドは、1つまたは2つのアクセス可能な5’末端を有することができる。例えば、3’−3’連結によって2つのオリゴヌクレオチドを付着させて、1つまたは2つのアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドを生成することによって、2つのそのような5’末端を有する修飾オリゴヌクレオチドを作り出すことが可能である。3’3’連結は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、または任意の他の修飾ヌクレオシド間ブリッジとすることができる。そのような連結を実現するための方法は、当技術分野で知られている。例えば、そのような連結は、Seliger,H.ら、Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’−and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression、Nucleosides&Nucleotides(1991)、10(1〜3)、469〜77、およびJiangら、Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties、Bioorganic&Medicinal Chemistry(1999)、7(12)、2727〜2735に記載されている。
【0212】
さらに、3’末端ヌクレオシド同士間の連結がホスホジエステル、ホスホロチオエート、または他の修飾されたブリッジでない3’3’で連結されたODNは、トリエチレングリコールホスフェートまたはテトラエチレングリコールホスフェート部分などの追加のスペーサーを使用して調製することができる(Durand,M.ら、Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains、Biochemistry(1992)、31(38)、9197〜204、米国特許第5,658,738号、および米国特許第5,668,265号)。あるいは、非ヌクレオチドリンカーは、標準的なホスホラミジット化学反応を使用して、エタンジオール、プロパンジオール、または脱塩基デオキシリボース(dSpacer)単位(Fontanel,Marie Laurenceら、Sterical Recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994)、22(11)、2022〜7)から導き出すことができる。非ヌクレオチドリンカーは、1回もしくは複数回組み込み、または互いに組み合わせることができ、連結される2つのODNの3’末端間の任意の望ましい距離を可能にする。
【0213】
ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジは、修飾ヌクレオシド間ブリッジによって置換することができ、修飾ヌクレオシド間ブリッジは、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホラミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C6〜C12)アリール−(C1〜C21)−O−アルキル]エステル、(C1〜C8)アルキルホスホネートおよび/または(C6〜C12)アリールホスホネートブリッジ、(C7〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363に開示された)から選択され、(C6〜C12)アリール、(C6〜C20)アリール、および(C6〜C14)アリールは、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノによって置換されていてもよく、R1およびR2は、互いに独立に、水素、(C1〜C18)−アルキル、(C6〜C20)−アリール、(C6〜C14)−アリール、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは水素、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは(C1〜C4)−アルキルおよび/またはメトキシエチルであり、またはR1およびR2は、これらを担持している窒素原子と一緒に、5〜6員複素環を形成し、これは、O、S、およびNの群からのさらなるヘテロ原子をさらに含有することができる。
【0214】
ホスホジエステルブリッジの置換は、デホスホブリッジ(デホスホブリッジは、例えば、Uhlmann E.およびPeyman A.「Methods in Molecular Biology」、20巻、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa 1993、16章、pp.355以下に記載されている)によって、ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置した。デホスホブリッジは、例えば、デホスホブリッジのホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホンおよび/またはシリル基から選択される。
【0215】
本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、キメラ主鎖を任意選択により有することができる。キメラ主鎖は、1つを超える型の連結を含むものである。一実施形態では、キメラ主鎖は、式:5’Y1N1ZN2Y2 3’によって表すことができる。Y1およびY2は、1から10の間のヌクレオチドを有する核酸分子である。Y1およびY2はそれぞれ、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結を含む。キメラオリゴヌクレオチドの少なくとも2つのヌクレオチドは、主鎖修飾を含むので、これらの核酸は、「安定化された免疫賦活性核酸」の1つの型の例である。
【0216】
キメラオリゴヌクレオチドに関して、Y1およびY2は、互いに独立していると考えられている。これは、Y1およびY2のそれぞれは、同じ分子内で互いに異なる配列および異なる主鎖連結を有していても、有していなくてもよいことを意味する。いくつかの実施形態では、Y1および/またはY2は、3から8の間のヌクレオチドを有する。N1およびN2は、N1ZN2が合計で少なくとも6ヌクレオチドを有する限り、0から5の間のヌクレオチドを有する核酸分子である。N1ZN2のヌクレオチドは、ホスホジエステル主鎖を有し、修飾主鎖を有する核酸を含まない。Zは免疫賦活性核酸モチーフであり、好ましくは本明細書で列挙されたものから選択される。
【0217】
式Y1N1ZN2Y2の中央のヌクレオチド(N1ZN2)は、ホスホジエステルヌクレオチド間連結を有し、Y1およびY2は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結を有するが、1つを超える、またはさらにはすべて修飾ヌクレオチド間連結を有することができる。好適な実施形態では、Y1および/またはY2は、少なくとも2つ、もしくは2つから5つの間の修飾ヌクレオチド間連結を有し、またはY1は、5つの修飾ヌクレオチド間連結を有し、Y2は、2つの修飾ヌクレオチド間連結を有する。修飾ヌクレオチド間連結は、いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートで修飾された連結、ホスホロジチオエート連結、またはp−エトキシで修飾された連結である。
【0218】
核酸には、2’位のヒドロキシル基以外、および5’位のリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合的に付着された主鎖糖を有する核酸も含まれる。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含むことができる。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりにアラビノースまたは2’−フルオロアラビノースなどの糖を含むことができる。したがって、核酸は、主鎖の組成が不均一であってもよく、それによってペプチド−核酸(核酸塩基を伴ったアミノ酸主鎖を有する)などの、一緒に連結されたポリマー単位の任意の可能な組合せを含有する。いくつかの実施形態では、核酸は、主鎖の組成が均一である。
【0219】
糖リン酸主鎖に由来する糖リン酸単位(すなわち、β−D−リボースおよびホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジが一緒に糖リン酸単位を形成している)(すなわち、糖リン酸主鎖は、糖リン酸単位からなる)は、別の単位によって置換することができ、他の単位は、例えば、「モルホリノ−誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak E.P.ら(1989)Nucleic Acid Res.17:6129〜41に記載されているような)、すなわち、例えば、モルホリノ−誘導体による置換を構築する;またはポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen P.E.ら(1994)Bioconjug.Chem.5:3〜7に記載されているような)、すなわち、例えば、PNA主鎖単位、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置換を構築するのに適している。オリゴヌクレオチドは、他の炭水化物主鎖の修飾および置換、例えば、リン酸基(PHONA)を有するペプチド核酸、ロックされた核酸(LNA)、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを伴った主鎖を有するオリゴヌクレオチドなどを有することができる。アルキルリンカーは、分岐されていても非分岐であっても、置換されていても非置換であっても、キラルに純粋であってもラセミ混合物であってもよい。
【0220】
β−リボース単位またはβ−D−2’デオキシリボース単位は、修飾糖単位によって置換することができ、修飾糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースから選択され、好ましくは、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C1〜C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]−リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−xylo−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−erythro−ヘキソ−ピラノース、ならびに炭素環式の(例えば、Froehler J.(1992)Am.Chem.Soc.114:8320に記載されている)および/または鎖状の糖類似体(例えば、Vandendriesscheら(1993)Tetrahedron 49:7223に記載されている)、および/またはビシクロ糖(bicyclosugar)類似体(例えば、Tarkov M.ら(1993)Helv.Chim.Acta.76:481に記載されている)から選択される。
【0221】
いくつかの実施形態では、特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様ヌクレオシド間連結によって連結された一方または両方のヌクレオチドについて、糖は2’−O−メチルリボースである。
【0222】
本発明のオリゴヌクレオチドは、当技術分野で周知のいくつかの手順のいずれかを使用して新規に合成することができる。例えば、b−シアノエチルホスホラミジット法(Beaucage,S.L.、およびCaruthers,M.H.、(1981)Tet.Let.22:1589);ヌクレオシドH−ホスホネート法(Gareggら、(1986)Tet.Let.27:4051〜4054;Froehlerら、(1986)Nucl.Acid Res.14:5399〜5407;Gareggら、(1986)27:4055〜4058;Gaffneyら、(1988)Tet.Let.29:2619〜2622)。これらの化学反応は、市販されている、様々な自動核酸シンセサイザーによって実施することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと呼ばれる。あるいは、Tに富む、および/またはTGジヌクレオチドは、プラスミド中で大規模に製造し(Sambrook T.ら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor laboratory Press、New York、1989を参照)、より小さい断片に分け、または全体を投与することができる。核酸は、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを使用するものなどの既知の技法を使用して、既存の核酸配列(例えば、ゲノムまたはcDNA)から調製することができる。
【0223】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学反応を使用して、自動化された技法を使用して合成することができる。アリールホスホネートおよびアルキルホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように作製することができ、アルキルホスホトリエステル(帯電した酸素部分は、米国特許第5,023,243号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を使用して、自動固相合成によって調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を行うための方法も記載されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.、Chem.Rev.90:544、1990;Goodchild,J.、Bioconjugate Chem.1:165、1990)。
【0224】
このようにして調製された核酸は、単離核酸と呼ばれる。「単離核酸」は一般に、細胞、核、ミトコンドリア、またはクロマチンから分離される成分、および混入物とみなすことができる任意の他の成分から分離される核酸を指す。
【0225】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、CpGオリゴヌクレオチドである少なくとも1つのアジュバントを含む。CpGオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,194,388号;同第6,207,646号;同第6,214,806号;同第6,218,371号;同第6,239,116号;および同第6,339,068号を含めた、いくつかの発行済み特許、公開特許出願、および他の刊行物に記載されている。
【0226】
様々なクラスのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドが同定されている。これらは、A、B、C、およびPクラスと呼ばれ、以下により詳細に記載される。本発明の方法および組成物は、これらの様々なクラスのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドの使用を包含する。
【0227】
これらのクラスのいずれも、その効力を増強するE修飾に従属させることができる。E修飾は、5’末端ヌクレオチドに対するハロゲン置換とすることができ、そのような置換の例には、それだけに限らないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が含まれる。E修飾は、5’末端ヌクレオチドに対するエチル−ウリジン置換も含むことができる。
【0228】
「Aクラス」のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、形質細胞様樹状細胞(pDC)から高レベルのインターフェロン−α(IFN−α)を誘発する能力、およびB細胞活性化に対して最小の効果を有する一方でNK細胞活性化を誘発することを機能的に特徴とする。構造的に、このクラスは一般に、5’および3’末端で安定化されたポリ−G配列を有する。これは、少なくとも6ヌクレオチドの、パリンドロームのホスホジエステルCpGジヌクレオチド含有配列も有し、例えば、必ずしもではないが、これは、Yamamotoらによって記載された以下の六量体パリンドローム、すなわちGACGTC、AGCGCT、またはAACGTTの1つを含有する。Yamamoto Sら J.Immunol 148:4072〜6(1992)。AクラスのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチド、およびこのクラスの例示的な配列は、ともに2000年9月27日に出願された、米国通常特許出願第09/672,126号および公開PCT出願PCT/USOO/26527(WO01/22990)に記載されている。
【0229】
一実施形態では、本発明の「Aクラス」のCpGオリゴヌクレオチドは、以下の核酸配列:5’GGGGACGACGTCGTGGGGGGG3’(配列番号:440)を有する。
【0230】
Aクラスのオリゴヌクレオチドのいくつかの非限定例には、
5’G
*G
*G_G_A_C_G_A_C_G_T_C_G_T_G_G
*G
*G
*G
*G
*G3’が含まれ、
*は、ホスホロチオエート結合を指し、_は、ホスホジエステル結合を指す。
【0231】
「Bクラス」のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、B細胞を活性化する能力を機能的に特徴とし、ただしpDCは、IFN−αおよびNK細胞活性化を誘発することにおいて相対的に弱い。構造的に、このクラスは一般に、ホスホロチオエート連結で完全に安定化され得るが、これは、好ましくは、CpGモチーフ(複数可)のシトシンとグアニンの間に1つまたは複数のホスホジエステル連結も有することもでき、この場合、この分子は、半軟質(semi−soft)であると呼ばれる。一実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも式:
5’X
1X
2CGX
3X
43’によって表されるBクラスのCpGオリゴヌクレオチドであり、式中、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。一実施形態では、X
2は、アデニン、グアニン、またはチミンである。別の実施形態では、X
3は、シトシン、アデニン、またはチミンである。
【0232】
別の実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも式:
5’N
1X
1X
2CGX
3X
4N
23’によって表されるBクラスのCpGオリゴヌクレオチドであり、式中、X
1、X
2、X
3、およびX
4は、ヌクレオチドであり、Nは任意のヌクレオチドであり、N
1およびN
2はそれぞれ、約0〜25のNからなる核酸配列である。一実施形態では、X
1X
2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群から選択されるジヌクレオチドであり、X
3X
4は、TpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群から選択されるジヌクレオチドである。好ましくは、X
1X
2はGpAまたはGpTであり、X3X4はTpTである。他の実施形態では、X
1もしくはX
2または両方はプリンであり、X
3もしくはX
4または両方はピリミジンであり、あるいはX
1X
2はGpAであり、X
3もしくはX
4または両方はピリミジンである。好適な一実施形態では、X
1X
2は、TpA、ApA、ApC、ApG、およびGpGからなる群から選択されるジヌクレオチドである。さらに別の実施形態では、X
3X
4は、TpT、TpA、TpG、ApA、ApG、GpA、およびCpAからなる群から選択されるジヌクレオチドである。X
1X
2は、別の実施形態では、TpT、TpG、ApT、GpC、CpC、CpT、TpC、GpT、およびCpGからなる群から選択されるジヌクレオチドであり、X
3は、AおよびTからなる群から選択されるヌクレオチドであり、X
4はヌクレオチドであるが、X
1X
2がTpC、GpT、またはCpGであるとき、X
3X
4はTpC、ApT、またはApCではない。
【0233】
別の好適な実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、配列5’TCN
1TX
1X
2CGX
3X
43’を有する。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、GpT、GpG、GpA、およびApAからなる群から選択されるX
1X
2、およびTpT、CpT、およびTpCからなる群から選択されるX3X4を含む。
【0234】
本発明のBクラスのCpGオリゴヌクレオチド配列は、上記に広く記載されたもの、ならびに公開PCT特許出願PCT/US95/01570およびPCT/US97/19791、ならびに米国特許第6,194,388号、同第6,207,646号、同第6,214,806号、同第6,218,371号、同第6,239,116号、および同第6,339,068号に開示されたものである。例示的な配列には、それだけに限らないが、これらの後者の出願および特許に開示されたものが含まれる。
【0235】
一実施形態では、本発明の「Bクラス」のCpGオリゴヌクレオチドは、以下の核酸配列を有する:
5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT 3’(配列番号431)、または
5’TCGTCGTTTTTCGGTCGTTTT 3’(配列番号432)、または
5’TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT 3’(配列番号433)、または
5’TCGTCGTTTCGTCGTTTTGTCGTT 3’(配列番号441)、または
5’TCGTCGTTTTGTCGTTTTTTTCGA 3’(配列番号442)。
【0236】
これらの配列のいずれにおいても、連結のすべては、すべてホスホロチオエート結合である場合がある。別の実施形態では、これらの配列のいずれにおいても、連結の1つまたは複数は、好ましくは、CpGモチーフの「C」と「G」の間のホスホジエステルである場合があり、半軟質のCpGオリゴヌクレオチドにしている。これらの配列のいずれにおいても、エチル−ウリジンまたはハロゲンは、5’Tと置換することができ、ハロゲン置換の例には、それだけに限らないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が含まれる。
【0237】
Bクラスのオリゴヌクレオチドのいくつかの非限定例には、
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*T*C*G*G*T*G*C*T*T*T*T 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*T*C*G*G*T*C*G*T*T*T*T 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*T*T*T*C*G*A 3’が含まれ、
*はホスホロチオエート結合を指す。
【0238】
「Cクラス」のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−αを誘発する能力を機能的に特徴とする。構造的に、このクラスは典型的に、1つまたは複数のBクラス型免疫賦活性CpGモチーフを有する領域、および分子が、二次の(例えば、ステムループ)または三次の(例えば、二量体)型の構造を形成することを可能にするQCに富むパリンドロームまたはパリンドロームに近い領域を含む。いくつかのこれらのオリゴヌクレオチドは、従来の「刺激性」CpG配列、および「GCに富む」または「B細胞中和」モチーフの両方を有する。これらの組合せモチーフオリゴヌクレオチドは、従来のBクラスのCpGオリゴヌクレオチドに関連する効果(すなわち、B細胞活性化および樹状細胞(DC)活性化の強い誘発)と、AクラスのCpG ODNに関連する効果(すなわち、IFN−αおよびNK細胞活性化の強い誘発であるが、B細胞およびDC活性化の相対的に劣った誘発)の間のどこかに入る免疫刺激作用を有する。Krieg AMら(1995)Nature 374:546〜9;Ballas ZKら(1996)J Immunol 157:1840〜5;Yamamoto Sら(1992)J Immunol 148:4072〜6。
【0239】
Cクラスの組合せモチーフ免疫刺激オリゴヌクレオチドは、安定化された(例えば、すべてホスホロチオエート)、キメラ(ホスホジエステル中心領域)、または半軟質(例えば、CpGモチーフ内のホスホジエステル)主鎖を有することができる。2002年8月19日に出願された米国特許出願第10/224,523号に記載されている。
【0240】
CクラスのCpGオリゴヌクレオチドの1つの刺激性ドメインまたはモチーフは、式:5’X
1DCGHX
23’によって定義される。Dは、C以外のヌクレオチドである。Cはシトシンである。Gはグアニンである。Hは、G以外のヌクレオチドである。X
1およびX
2は、0〜10ヌクレオチドの長さの任意の核酸配列である。X
1はCGを含むことができ、この場合、このCGの直前にTが存在することが好ましい。いくつかの実施形態では、DCGはTCGである。X
1は、長さが0〜6ヌクレオチドであることが好ましい。いくつかの実施形態では、X
2は、任意のポリGまたはポリAモチーフを含有しない。他の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、5’末端または3’末端でポリT配列を有する。本明細書で使用する場合、「ポリA」または「ポリT」は、それぞれ4つ以上の連続したA’またはT’のストレッチ、例えば、5’AAAA3’または5’TTTT3’を指すものとする。本明細書で使用する場合、「ポリG末端」は、核酸の5’末端または3’末端で起こる4つ以上の連続したGのストレッチ、例えば、5’GGGG3’を指すものとする。本明細書で使用する場合、「ポリGオリゴヌクレオチド」は、式5’X
1X
2GGGX
3X
43’を有するオリゴヌクレオチドを指すものとし、式中、X
1、X
2、X
3、およびX
4はヌクレオチドであり、好ましくは、X
3およびX
4の少なくとも1つはGである。この式の下でのB細胞刺激性ドメインについてのいくつかの好適な設計は、TTTTTCG、TCG、TTCG、TTTCG、TTTTCG、TCGT、TTCGT、TTTCGT、TCGTCGTを含む。
【0241】
CクラスのCpGオリゴヌクレオチドの第2のモチーフは、PまたはNと呼ばれ、X
1の5’側に直ちに、またはX
2の3’側に直ちに位置する。
【0242】
Nは、CGGトリヌクレオチドから始まるB細胞中和配列であり、少なくとも10ヌクレオチドの長さである。B細胞中和モチーフは、CGにCが先行し、またはGが後に続く少なくとも1つのCpG配列(Krieg AMら(1998)Proc Natl Acad Sd USA 95:12631〜12636)を含み、またはCGのCがメチル化されている、CGを含有するDNA配列である。中和モチーフまたは配列は、別の非刺激性モチーフ中に存在する場合、ある程度の免疫賦活性能力を有するが、他の免疫賦活性モチーフとの関連で存在する場合、他のモチーフの免疫賦活性の潜在性を低減するように機能を果たす。
【0243】
Pは、少なくとも10ヌクレオチドの長さの、GCに富むパリンドロームを含有する配列である。
【0244】
本明細書で使用する場合、「パリンドローム」および同等に「パリンドローム配列」は、逆方向反復、すなわち、AとA’、BとB’などが、通常のワトソン−クリック塩基対を形成することができる塩基であるABCDEE’D’C’B’A’などの配列を指すものとする。
【0245】
本明細書で使用する場合、「GCに富むパリンドローム」は、少なくとも3分の2のGおよびCの塩基組成を有するパリンドロームを指すものとする。いくつかの実施形態では、GCに富むドメインは、「B細胞刺激性ドメイン」の3’側にあることが好ましい。10塩基の長さのGCに富むパリンドロームの場合では、したがって、このパリンドロームは、少なくとも8個のGおよびCを含有する。12塩基の長さのGCに富むパリンドロームの場合では、このパリンドロームも、少なくとも8個のGおよびCを含有する。14merのGCに富むパリンドロームの場合では、このパリンドロームの少なくとも10個の塩基は、GおよびCである。いくつかの実施形態では、GCに富むパリンドロームは、GおよびCでもっぱら構成される。
【0246】
いくつかの実施形態では、GCに富むパリンドロームは、少なくとも81%のGおよびCの塩基組成を有する。そのような10塩基の長さのGCに富むパリンドロームの場合では、したがって、このパリンドロームは、GおよびCでもっぱら作られている。そのような12塩基の長さのGCに富むパリンドロームの場合では、このパリンドロームの少なくとも10塩基(83%)がGおよびCであることが好適である。いくつかの好適な実施形態では、12塩基の長さのGCに富むパリンドロームは、GおよびCでもっぱら作られている。14merのGCに富むパリンドロームの場合では、このパリンドロームの少なくとも12塩基(86%)がGおよびCである。いくつかの好適な実施形態では、14塩基の長さのGCに富むパリンドロームは、GおよびCでもっぱら作られている。GCに富むパリンドロームのCは、メチル化されていなくてもよく、これらは、メチル化されていてもよい。
【0247】
一般にこのドメインは、少なくとも3個のCおよびG、より好ましくは4個のそれぞれ、最も好ましくは5個以上のそれぞれを有する。このドメイン中のCおよびGの数は、同一である必要はない。CおよびGは、これらが、自己相補性の二本鎖、またはCCGCGCGGなどのパリンドロームを形成することができるように配列されることが好適である。これは、AまたはTによって中断される場合があるが、自己相補性は、例えば、モチーフCGACGTTCGTCGまたはCGGCGCCGTGCCGにおいて見られるように、少なくともある程度保存されていることが好適である。相補性が保存されない場合、非相補性塩基対はTGであることが好適である。好適な実施形態では、パリンドロームの一部でない連続した塩基は3個以下、好ましくは2個以下、最も好ましくは1個のみである。いくつかの実施形態では、GCに富むパリンドロームは、少なくとも1つのCGG三量体、少なくとも1つのCCG三量体、または少なくとも1つのCGCG四量体を含む。他の実施形態では、GCに富むパリンドロームは、CCCCCCGGGGGGまたはGGGGGGCCCCCC、CCCCCGGGGGまたはGGGGGCCCCCでない。
【0248】
GCに富む領域のGのうちの少なくとも1つは、イノシン(I)で置換することができる。いくつかの実施形態では、Pは、1個を超えるIを含む。
【0249】
ある特定の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、以下の式、すなわち、5’NX
1DCGHX
23’、5’X
1DCGHX
2N3’、5’PX
1DCGHX
23’、5’X
1DCGHX
2P3’、5’X
1DCGHX
2PX
33’、5’X
1DCGHPX
33’、5’DCGHX
2PX
33’、5’TCGHX
2PX3 3’、5’DCGHPX
33’、または5’DCGHP3’のうちの1つを有する。
【0250】
本発明は、式5’N
1PyGN
2P3’によって定義される他の免疫刺激オリゴヌクレオチドを提供する。N
1は、1〜6ヌクレオチドの長さの任意の配列である。Pyはピリミジンである。Gはグアニンである。N
2は、0〜30ヌクレオチドの長さの任意の配列である。Pは、少なくとも10ヌクレオチドの長さの、GCに富むパリンドロームを含有する配列である。
【0251】
N
1およびN
2は、50%を超えるピリミジン、より好ましくは50%を超えるTを含有することができる。N
1は、CGを含むことができ、この場合、このCGの直前にTが存在することが好ましい。いくつかの実施形態では、N1PyGはTCG、最も好ましくはTCGN
2であり、N
2はGでない。
【0252】
N
1PyGN
2Pは、1つまたは複数のイノシン(I)ヌクレオチドを含むことができる。N
1中のCまたはGは、イノシンによって置換することができるが、CpIがIpGより好適である。IpGなどのイノシン置換について、最適な活性は、IGまたはCIの間の連結がホスホジエステルである、「半軟質」またはキメラ主鎖を使用することによって実現することができる。N1は、少なくとも1つのCI、TCI、IG、またはTIGモチーフを含むことができる。
【0253】
ある特定の実施形態では、N
1PyGN
2は、TTTTTCG、TCG、TTCG、TTTCG、TTTTCG、TCGT、TTCGT、TTTCGT、およびTCGTCGTからなる群から選択される配列である。
【0254】
一実施形態では、本発明の「Cクラス」のCpGオリゴヌクレオチドは、以下の核酸配列を有する:
5’TCGCGTCGTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号443)、または
5’TCGTCGACGTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号444)、または
5’TCGGACGTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号445)、または
5’TCGGACGTTCGGCGCGCCG 3’(配列番号446)、または
5’TCGCGTCGTTCGGCGCGCCG 3’(配列番号447)、または
5’TCGACGTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号448)、または
5’TCGACGTTCGGCGCGCCG 3’(配列番号449)、または
5’TCGCGTCGTTCGGCGCCG 3’(配列番号450)、または
5’TCGCGACGTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号451)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG 3’(配列番号452)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGGCCGCCG 3’(配列番号453)、または
5’TCGTCGTTTTACGGCGCCGTGCCG 3’(配列番号454)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT 3’(配列番号455)。
【0255】
これらの配列のいずれにおいても、連結のすべては、すべてホスホロチオエート結合である場合がある。別の実施形態では、これらの配列のいずれにおいても、連結の1つまたは複数は、好ましくは、CpGモチーフの「C」と「G」の間のホスホジエステルである場合があり、半軟質のCpGオリゴヌクレオチドにしている。
【0256】
Cクラスのオリゴヌクレオチドのいくつかの非限定例には、
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*G*C*C*G*C*C*G 3’、または
5’T*C*G*T*C_G*T*T*T*T*A*C_G*G*C*G*C*C_G*T*G*C*C*G 3’、または
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T 3’
が含まれ、
*はホスホロチオエート結合を指し、_はホスホジエステル結合を指す。
【0257】
これらの配列のいずれにおいても、エチル−ウリジンまたはハロゲンは、5’Tと置換することができ、ハロゲン置換の例には、それだけに限らないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が含まれる。
【0258】
「Pクラス」のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、WO2007/095316に記載されており、これらが、5’および3’末端の両方で、またはこれらの付近で、二本鎖形成領域、例えば、完全または不完全なパリンドロームを含有し、これらに、コンカタマーなどのより高い秩序構造を形成する潜在性を与えているという事実を特徴とする。Pクラスのオリゴヌクレオチドと呼ばれるこれらのオリゴヌクレオチドは、Cクラスより、はるかに高いレベルのIFN−α分泌を誘発する能力を場合によって有する。Pクラスのオリゴヌクレオチドは、インビトロおよび/またはインビボで、自発的に自己組織化してコンカタマーになる能力を有する。これらの分子の作用機序(method of action)についてのいずれの特定の理論にも束縛されることなく、1つの可能な仮説は、この特性は、Pクラスのオリゴヌクレオチドに、以前に述べたクラスのCpGオリゴヌクレオチドと比較して、異なるパターンの免疫活性化を含めて、ある特定の免疫細胞内部のTLR9により高度に架橋する能力を授けるということである。
【0259】
一実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、5’TLR活性化ドメイン、および少なくとも2つのパリンドローム領域を含有するPクラスのCpGオリゴヌクレオチドであり、1つのパリンドローム領域は、長さが少なくとも6ヌクレオチドの5’パリンドローム領域であり、長さが少なくとも8ヌクレオチドの3’パリンドローム領域に、直接、またはスペーサーによって接続されており、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのYpRジヌクレオチドを含む。一実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、T
*C_G
*T
*C_G
*A
*C_G
*T
*T
*C_G
*G
*C
*G
*C_G
*C
*G
*C
*C
*Gでない。一実施形態では、PクラスのCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、TCG、TTCG、TTTCG、TYpR、TTYpR、TTTYpR、UCG、UUCG、UUUCG、TTT、またはTTTTである。さらに別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’パリンドローム領域内にある。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’パリンドローム領域の5’側の直後である。さらに別の実施形態では、5’パリンドローム領域は、長さが少なくとも8ヌクレオチドである。別の実施形態では、3’パリンドローム領域は、長さが少なくとも10ヌクレオチドである。別の実施形態では、5’パリンドローム領域は、長さが少なくとも10ヌクレオチドである。さらに別の実施形態では、3’パリンドローム領域は、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、3’パリンドローム領域は、2つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、5’パリンドローム領域は、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態では、5’パリンドローム領域は、2つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも25の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも30の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも35の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも40の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも45の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも50の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも55の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも60の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’パリンドローム領域は、少なくとも65の二本鎖安定性値を有する。
【0260】
一実施形態では、2つのパリンドローム領域は、直接接続されている。別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は、3’−3’連結を介して接続されている。別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は、1つのヌクレオチドが重なっている。さらに別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は、2つのヌクレオチドが重なっている。別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は重なっていない。別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は、スペーサーによって接続されている。一実施形態では、スペーサーは、1〜50ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、スペーサーは、1ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、スペーサーは、非ヌクレオチドスペーサーである。一実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはDスペーサーである。別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはリンカーである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式5’XP
1SP
2T3’を有し、式中、Xは、TLR活性化ドメインであり、P
1パリンドロームであり、Sはスペーサーであり、P
2はパリンドロームであり、Tは、長さが0〜100ヌクレオチドの3’末端である。一実施形態では、Xは、TCG、TTCG、またはTTTCGである。別の実施形態では、Tは、長さが5〜50ヌクレオチドである。さらに別の実施形態では、Tは、長さが5〜10ヌクレオチドである。一実施形態では、Sは、1〜50ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、Sは、1ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、Sは非ヌクレオチドスペーサーである。一実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはDスペーサーである。別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはリンカーである。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドでもリボザイムでもない。一実施形態では、P
1は、AおよびTに富む。別の実施形態では、P
1は、少なくとも4個のTを含む。別の実施形態では、P
2は、完全なパリンドロームである。別の実施形態では、P2は、G−Cに富む。さらに別の実施形態では、P
2は、CGGCGCX
1GCGCCGであり、X
1はTであるか、存在しない。
【0261】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル様連結を含む。別の実施形態では、ホスホジエステル様連結は、ホスホジエステル連結である。別の実施形態では、親油性基が、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。一実施形態では、親油性基はコレステロールである。
【0262】
一実施形態では、本発明において使用するためのCpGオリゴヌクレオチドは、5’TLR活性化ドメイン、および少なくとも2つの相補性含有領域、すなわち、5’および3’相補性含有領域を有するPクラスのCpGオリゴヌクレオチドであり、各相補性含有領域は、長さが少なくとも8ヌクレオチドであり、直接に、またはスペーサーによって互いに接続され、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのピリミジン−プリン(YpR)ジヌクレオチドを含み、相補性含有領域のうちの少なくとも1つは、完全なパリンドロームでない。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、TCG、TTCG、TTTCG、TYpR、TTYpR、TTTYpR、UCG、UUCG、UUUCG、TTT、またはTTTTである。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’相補性含有領域内にある。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’相補性含有領域の5’側の直後にある。別の実施形態では、3’相補性含有領域は、長さが少なくとも10ヌクレオチドである。さらに別の実施形態では、5’相補性含有領域は、長さが少なくとも10ヌクレオチドである。一実施形態では、3’相補性含有領域は、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、3’相補性含有領域は、2つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態では、5’相補性含有領域は、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、5’相補性含有領域は、2つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む。別の実施形態では、相補性含有領域は、分子内二本鎖を形成する。一実施形態では、分子内二本鎖は、少なくとも1つの非ワトソンクリック塩基対を含む。別の実施形態では、非ワトソンクリック塩基対は、G−T、G−A、G−G、またはC−Aである。一実施形態では、相補性含有領域は、分子間二本鎖を形成する。別の実施形態では、分子間二本鎖のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの非ワトソンクリック塩基対を含む。別の実施形態では、非ワトソンクリック塩基対は、G−T、G−A、G−G、またはC−Aである。さらに別の実施形態では、相補性含有領域は、1つのミスマッチを含有する。さらに別の実施形態では、補性含有領域は、2つのミスマッチを含有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、介在性ヌクレオチドを含有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、2つの介在性ヌクレオチドを含有する。
【0263】
一実施形態では、5’および3’相補性含有領域は、少なくとも25の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’相補性含有領域は、少なくとも30の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、5’および3’相補性含有領域は、少なくとも35の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも40の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも45の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも50の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも55の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも60の二本鎖安定性値を有する。別の実施形態では、相補性含有領域は、少なくとも65の二本鎖安定性値を有する。
【0264】
別の実施形態では、2つの相補性含有領域は、直接接続される。別の実施形態では、2つのパリンドローム領域は、3’−3’連結を介して接続される。さらに別の実施形態では、2つの相補性含有領域は、1つのヌクレオチドが重なっている。別の実施形態では、2つの相補性含有領域は、2つのヌクレオチドが重なっている。別の実施形態では、2つの相補性含有領域は重なっていない。別の実施形態では、2つの相補性含有領域は、スペーサーによって接続される。別の実施形態では、スペーサーは、1〜50ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、スペーサーは、1ヌクレオチドの長さを有する核酸である。一実施形態では、スペーサーは非ヌクレオチドスペーサーである。別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはDスペーサーである。さらに別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはリンカーである。
【0265】
一実施形態では、Pクラスのオリゴヌクレオチドは、式5’XNSPT3’を有し、式中、XはTLR活性化ドメインであり、Nは完全でないパリンドロームであり、Pはパリンドロームであり、Sはスペーサーであり、Tは、長さが0〜100ヌクレオチドの3’末端である。別の実施形態では、Xは、TCG、TTCG、またはTTTCGである。別の実施形態では、Tは、長さが5〜50ヌクレオチドである。別の実施形態では、Tは、長さが5〜10ヌクレオチドである。別の実施形態では、Sは、1〜50ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、Sは、1ヌクレオチドの長さを有する核酸である。別の実施形態では、Sは非ヌクレオチドスペーサーである。別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはDスペーサーである。別の実施形態では、非ヌクレオチドスペーサーはリンカーである。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドでもリボザイムでもない。別の実施形態では、Nは、AおよびTに富む。別の実施形態では、Nは、少なくとも4個のTを含む。別の実施形態では、Pは、完全なパリンドロームである。別の実施形態では、Pは、G−Cに富む。別の実施形態では、PはCGGCGCX
1GCGCCGであり、式中、X
1は、Tであるか、存在しない。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む。別の実施形態では、すべてのオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間連結は、ホスホロチオエート連結である。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル様連結を含む。別の実施形態では、ホスホジエステル様連結は、ホスホジエステル連結である。別の実施形態では、親油性基が、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。一実施形態では、親油性基はコレステロールである。
【0266】
一実施形態では、本発明の「Pクラス」のCpGオリゴヌクレオチドは、以下の核酸配列、すなわち、5’TCGTCGACGATCGGCGCGCGCCG3’(配列番号:456)を有する。
【0267】
前記配列において、連結のすべては、すべてホスホロチオエート結合である場合がある。別の実施形態では、連結の1つまたは複数は、好ましくは、CpGモチーフの「C」と「G」の間のホスホジエステルである場合があり、半軟質のCpGオリゴヌクレオチドにしている。これらの配列のいずれにおいても、エチル−ウリジンまたはハロゲンは、5’Tと置換することができ、ハロゲン置換の例には、それだけに限らないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が含まれる。
【0268】
Pクラスのオリゴヌクレオチドの非限定例には、5’T
*C_G
*T
*C_G
*A
*C_G
*A
*T
*C_G
*G
*C
*G
*C_G
*C
*G
*C
*C
*G3’が含まれ、式中、
*はホスホロチオエート結合を指し、_はホスホジエステル結合を指す。
【0269】
一実施形態では、本明細書に開示されるCpGオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結は、ホスホジエステル結合である(PCT出願WO2007/026190に記載されたような「軟質」オリゴヌクレオチド)。別の実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、分解に対して耐性にされる(例えば、安定化される)。「安定化されたオリゴヌクレオチド」は、インビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して相対的に耐性であるオリゴヌクレオチドを指す。核酸の安定化は、主鎖の修飾によって実現することができる。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、最大の活性をもたらし、細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護する。
【0270】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、キメラ主鎖を有することができ、これは、ホスホジエステル連結とホスホロチオエート連結の組合せを有する。本発明の目的に関して、キメラ主鎖は、部分的に安定化された主鎖を指し、少なくとも1つのヌクレオチド間連結は、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様であり、少なくとも1つの他のヌクレオチド間連結は、安定化されたヌクレオチド間連結であり、少なくとも1つのホスホジエステルまたはホスホジエステル様連結、および少なくとも1つの安定化された連結は異なる。ホスホジエステル連結が、CpGモチーフ内に選択的に配置される場合、そのような分子は、PCT出願WO2007/026190に記載されているように「半軟質」と呼ばれる。
【0271】
他の修飾オリゴヌクレオチドには、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、および/またはp−エトキシ連結の組合せが含まれる。
【0272】
ボラノホスホネート連結は、主鎖のキメラの性質の目的に関して、ホスホジエステル連結と比べて安定化されることが報告されているので、ボラノホスホネート連結は、脈絡に応じて、ホスホジエステル様または安定化されていると分類することができる。例えば、本発明によるキメラ主鎖は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのホスホジエステル(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)連結、および少なくとも1つのボラノホスホネート(安定化された)連結を含むことができる。他の実施形態では、本発明によるキメラ主鎖は、ボラノホスホネート(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)、およびホスホロチオエート(安定化された)連結を含むことができる。「安定化されたヌクレオチド間連結」は、ホスホジエステルヌクレオチド間連結と比較して、インビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して相対的に耐性であるヌクレオチド間連結を意味するものとする。好適な安定化されたヌクレオチド間連結には、限定することなく、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、およびメチルホスホロチオエートが含まれる。他の安定化されたヌクレオチド間連結には、限定することなく、ペプチド、アルキル、デホスホ、および上述したような他のものが含まれる。
【0273】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホラミデートまたはH−ホスホネート化学反応を使用して、自動化された技法を使用して合成することができる。アリールホスホネートおよびアルキルホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように作製することができ、アルキルホスホトリエステル(帯電した酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を使用して、自動固相合成によって調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を行うための方法も記載されている。Uhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165。キメラオリゴヌクレオチドを調製するための方法も知られている。例えば、Uhlmannらに発行された特許には、そのような技法が記載されている。
【0274】
混合された主鎖修飾ODNは、PCT出願WO2007/026190に記載されているように合成することができる。
【0275】
本発明のオリゴヌクレオチドは、他の修飾も含むことができる。これらには、非イオン性DNA類似体、例えば、アルキルリン酸およびアリールリン酸(帯電したホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基によって置換されている)など、帯電した酸素部分がアルキル化されているホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステルが含まれる。いずれか、または両方の末端に、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示されている。
【0276】
CpGオリゴヌクレオチドのサイズ(すなわち、オリゴヌクレオチドの長さに沿ったヌクレオチド残基の数)もオリゴヌクレオチドの刺激性活性に寄与し得る。細胞内への取込みを促進するために、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチド残基の最小長を有することが好ましい。6ヌクレオチドを超える任意のサイズ(何kbの長さでさえ)のオリゴヌクレオチドは、より大きいオリゴヌクレオチドは、細胞内部で分解されるので、十分な免疫賦活性モチーフが存在する場合、免疫応答を誘発することができる。ある特定の実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、6〜100ヌクレオチドの長さ、優先的に8〜30ヌクレオチドの長さである。重要な実施形態では、本発明の核酸およびオリゴヌクレオチドは、プラスミドでも発現ベクターでもない。
【0277】
一実施形態では、本明細書に開示されるCpGオリゴヌクレオチドは、WO2007/026190の段落134〜147に記載されているように、塩基および/または糖などにおいて置換または修飾を含む。
【0278】
一実施形態では、本発明CpGオリゴヌクレオチドは、化学修飾されている。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmann E.ら(1990)、Chem.Rev.90:543、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke,S.T.ら(1996)Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.36:107〜129;およびHunziker J.ら、(1995)、Mod.Synth.Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を有することができ、各修飾は、天然のDNAまたはRNAからなる同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、および/または特定のβ−D−リボース単位、および/または特定の天然のヌクレオシド塩基の位置に配置される。
【0279】
本発明のいくつかの実施形態では、CpG含有核酸は、当業者に知られている方法によって、免疫原性担体と単に混合することができる(例えば、WO03/024480を参照)。
【0280】
本発明の特定の実施形態では、本明細書に開示されるワクチンのいずれも、2μg〜100mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは、0.1mg〜50mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは、0.2mg〜10mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは、0.3mg〜5mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは、0.3mg〜5mgのCpGオリゴヌクレオチド、さらに好ましくは、0.5〜2mgのCpGオリゴヌクレオチド、さらに好ましくは、0.75〜1.5mgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。好適な実施形態では、本明細書に開示されるワクチンのいずれも、約1mgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。
【0281】
本発明のいくつかの実施形態では、CpG含有核酸は、当業者に知られている方法によって、免疫原性担体と単に混合することができる(例えば、WO03/024480を参照)。本発明の他の実施形態では、CpG含有核酸は、VLP内に封入することができる(例えば、WO03/024481を参照)。
【0282】
本発明との関連で好適なアジュバントには、ミョウバン;CpG含有オリゴヌクレオチド、好ましくはCpG7909(配列番号433)およびCpG24555(配列番号431);ならびにサポニン系アジュバント、好ましくはIscomatrixが含まれ、これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。好ましくは、前記CpG含有核酸は、1つまたは複数の修飾された連結、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含み、さらにより好ましくは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。
【0283】
本発明はしたがって、抗原性IgEペプチドを含み、好ましくは、配列番号1〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、より好ましくは、配列番号1〜153および220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、さらにより好ましくは、配列番号220〜430からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに少なくとも1つのアジュバントを含む免疫原性組成物を提供する。前記抗原性IgEペプチドは、好ましくは、本明細書に開示される免疫原性担体、好ましくは、VLP、より好ましくは、HBsAg、HBcAg、またはQbeta VLPに連結される。一実施形態では、前記アジュバントは、サポニン系アジュバント、好ましくはIscomatrixである。別の実施形態では、前記アジュバントはミョウバンである。さらに別の実施形態では、前記アジュバントはCpG含有核酸である。好ましくは、前記アジュバントはCpG7909である。より好ましくは、前記アジュバントはCpG24555である。好ましくは、前記CpG含有核酸は、1つまたは複数の修飾された連結、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含み、さらにより好ましくは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。
【0284】
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1つのアジュバントは、好ましくは、ミョウバン、サポニン系アジュバント、およびCpG含有核酸からなる群から選択される2つのアジュバントを含む。好適な実施形態では、前記アジュバントは、ミョウバン、およびCpG含有核酸、好ましくはCpG7909またはCpG24555、より好ましくはCpG24555である。好ましくは、前記CpG含有核酸は、1つまたは複数の修飾された連結、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含み、さらにより好ましくは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。別の好適な実施形態では、前記アジュバントは、サポニン系アジュバント、好ましくはIscomatrix、およびCpG含有核酸、好ましくはCpG7909、より好ましくはCpG24555である。好ましくは、前記CpG含有核酸は、1つまたは複数の修飾された連結、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含み、さらにより好ましくは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。別の好適な実施形態では、前記アジュバントは、ミョウバン、およびサポニン系アジュバント、好ましくはIscomatrixである。
【0285】
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1つのアジュバントは、好ましくは、ミョウバン、サポニン系アジュバント、好ましくはIscomatrix、およびCpG含有核酸、より好ましくはCpG7909、さらにより好ましくは、CpG24555からなる群から選択される3つのアジュバントを含む。好ましくは、前記CpG含有核酸は、1つまたは複数の修飾された連結、好ましくは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含み、さらにより好ましくは、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。
【0286】
本発明の医薬組成物
本発明は、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤(複数可)とともに、製剤中に、1つまたは複数のアジュバント(上述したアジュバントのような)と任意選択により組み合わせて、本発明の抗原性IgEペプチドまたはその免疫原性組成物を含む医薬組成物も提供する。用語「賦形剤」は、活性成分、すなわち、免疫原性担体に最終的にカップリングされ、1つまたは複数のアジュバントと任意選択により組み合わされた本発明の抗原性IgEペプチド以外の任意の成分を記述するのに本明細書で使用される。賦形剤(複数可)の選択は、要因、例えば、特定の投与モード、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などに大体において依存することになる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる賦形剤」には、生理学的に適合性である、任意かつすべての溶媒、分散媒質、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容できる賦形剤のいくつかの例は、水、食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにこれらの組合せである。多くの場合では、組成中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。薬学的に許容できる物質の追加の例は、湿潤剤、あるいは軽微な量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤またはバッファーなどであり、これらは、活性成分の有効期間または有効性を増強する。
【0287】
本発明の医薬組成物およびこれらを調製するための方法は、当業者に容易に明らかとなるであろう。これらを調製するためのそのような組成物および方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、19版(Mack Publishing Company、1995)において見出すことができる。医薬組成物は、GMP条件下で製造されることが好ましい。
【0288】
本発明の医薬組成物は、単一単位用量、または複数の単一単位用量として、バルクで調製、包装、または販売することができる。本明細書で使用する場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の別個の量である。活性成分の量は一般に、対象に投与される活性成分の投与量、または例えば、そのような投与量の2分の1もしくは3分の1などのそのような投与量の好都合な画分に等しい。
【0289】
当技術分野で認められたペプチドまたはタンパク質を投与するための任意の方法を、本発明のペプチドまたはタンパク質のために適切に使用することができる。
【0290】
本発明の医薬組成物は一般に、非経口投与に適している。本明細書で使用する場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織に物理的な裂け目を入れること、および組織中の裂け目を通じた医薬組成物の投与を特徴とする任意の投与経路を含み、したがって一般に、血流、筋肉、または内臓器官中への直接投与をもたらす。したがって、非経口投与には、それだけに限らないが、組成物の注射、外科的切開を通じた組成物の適用、組織を貫通する非外科的な創傷を通じた組成物の適用による医薬組成物の投与などが含まれる。特に、非経口投与は、それだけに限らないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内、静脈内、動脈内、クモ膜下、脳室内、尿管内、頭蓋内、滑液包内注射または注入;および腎透析注入技法を含むことが企図されている。好適な実施形態は、静脈内、皮下、皮内、および筋肉内経路を含み、さらにより好適な実施形態は、筋肉内または皮下経路である。
【0291】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、典型的に、一般に、薬学的に許容できる担体、例えば、滅菌した水または滅菌した等張性食塩水などと組み合わせた活性成分を含む。そのような製剤は、ボーラス投与または連続的な投与に適した形態で、調製、包装、または販売することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは保存剤を含有する複数回投与容器などで、調製、包装、または販売することができる。非経口投与用製剤には、それだけに限らないが、懸濁液、溶液、油性または水性ビヒクル中のエマルジョン、ペーストなどが含まれる。そのような製剤は、それだけに限らないが、懸濁剤、安定化剤、または分散剤を含めた、1つまたは複数の追加成分をさらに含むことができる。非経口投与用製剤の一実施形態では、活性成分は、再構成された組成物を非経口投与する前に、適当なビヒクル(例えば、滅菌した発熱物質なしの水)を用いて再構成するために、乾燥(すなわち、粉末または顆粒状)形態で提供される。非経口製剤は、賦形剤、例えば、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは、3〜9のpHまで)などを含有することができる水溶液も含むが、いくつかの用途については、これらは、滅菌した非水性溶液として、または滅菌した発熱物質なしの水などの適当なビヒクルとともに使用される乾燥形態として、より適切に製剤化することができる。例示的な非経口投与形態には、溶液、または滅菌した水溶液中の懸濁液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液が含まれる。そのような剤形は、必要に応じて適切に緩衝することができる。有用である他の非経口投与可能な製剤には、微結晶性形態で、またはリポソーム配合物中に活性成分を含むものが含まれる。非経口投与用製剤は、即時放出および/または調整放出であるように製剤化することができる。調整放出製剤として、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0292】
例えば、一態様では、滅菌した注射用溶液は、必要に応じて、上記に列挙した成分の1つまたは組合せを含む適切な溶媒中で、必要とされる量で、最終的に1つまたは複数のアジュバントと組み合わせて、好ましくは免疫原性担体とカップリングした抗IgEペプチドを組み込み、その後に濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散物は、基本の分散媒および上記に列挙したものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌した注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合では、調製の好適な方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これらは、その以前に滅菌濾過した溶液に由来する活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末を生じる。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散物の場合における必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0293】
例示的な、限定されない本発明の医薬組成物は、約5.0〜約6.5の範囲のpHを有し、約0.1mg/mL〜約20mg/mLの本発明のペプチド、約1ミリモル〜約100ミリモルのヒスチジン緩衝液、約0.01mg/mL〜約10mg/mLのポリソルベート80、約100ミリモル〜約400ミリモルのトレハロース、および約0.01ミリモル〜約1.0ミリモルの二ナトリウムEDTA二水和物を含む滅菌水溶液としての製剤である。
【0294】
本発明の抗原性IgEペプチドは、典型的には、適当な噴霧剤を用いて、もしくは用いずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、細かいミストを生成するために、電気流体力学を使用する噴霧器)、もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、または経鼻液滴として、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末(単独で、混合物として、または例えば、適当な薬学的に許容できる賦形剤を混合した混合成分粒子として)の形態で、鼻腔内に、または吸入によって投与することもできる。
【0295】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザーは、一般に、例えば、活性物を分散、可溶化させ、または活性物の放出を延ばすための適当な作用剤、溶媒としての噴霧剤(複数可)を含む本発明の抗体の溶液または懸濁液を含有する。
【0296】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、薬剤製品は一般に、吸入によって送達するのに適したサイズに微粒子化される(典型的には、5ミクロン未満)。これは、任意の適切な粉砕方法、例えば、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などによって実現することができる。
【0297】
吸入器または注入器で使用するためのカプセル、ブリスター、およびカートリッジを製剤化することによって、本発明の化合物の粉末混合物、適当な粉末基剤、および性能調節剤を入れることができる。
【0298】
細かいミストを生成するために電気流体力学を使用する噴霧器で使用するための適当な溶液製剤は、1回の作動当たり適当な用量の本発明の抗原性IgEペプチドを含有することができ、作動量は、例えば、1μLから100μLまで変化し得る。
【0299】
メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/鼻腔内投与のために意図された本発明の製剤に添加することができる。
【0300】
吸入/鼻腔内投与用製剤は、即時放出および/または調整放出であるように製剤化することができる。調整放出製剤として、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0301】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投与量単位は、計量された量を送達するバルブによって決定される。本発明による単位は、典型的には、定量または「ひと吹き」の本発明の抗体を投与するように整えられる。全1日量は、典型的には単一用量で、またはより通常には、1日を通して分割量として投与される。
【0302】
抗原性IgEペプチドを含む医薬組成物は、経口経路投与用にも製剤化することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るような嚥下、および/または化合物が口から血流に直接入る、頬側投与、舌投与、もしくは舌下投与を伴うことができる。
【0303】
経口投与に適した製剤として、固体、半固体、および液体系、例えば、錠剤;多微粒子もしくはナノ微粒子、液体、または粉末を含有する軟カプセルまたは硬カプセル;ロゼンジ(液体を満たしたものを含む);咀嚼剤;ゲル;高速分散剤形;フィルム;オビュール;スプレー;および頬側/粘膜付着性パッチが挙げられる。
【0304】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟カプセルまたは硬カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)中の充填剤として使用し、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1つもしくは複数の乳化剤および/もしくは懸濁剤を含むことができる。液体製剤は、例えば、サッシェから固体を再構成することによって調製することもできる。
【0305】
本発明の組成物は、IgE媒介性障害または症状のリスクがあり、またはこれらを罹患している対象におけるそのような障害または症状を、免疫療法によって前記対象における免疫応答を刺激することによって、治療、軽減、または予防するために使用することができる。免疫療法は、最初の免疫化、その後の追加の、例えば、1回、2回、3回、またはそれ以上の追加免疫を含むことができる。
【0306】
本発明の抗原性IgEペプチドまたはその組成物の「免疫学的有効量」は、単一用量で、またはシリーズの一部として哺乳動物対象に送達され、前記対象においてIgEに対して免疫応答を誘発するのに有効である量である。この量は、治療される個体の健康および身体状態、治療される個体の分類群、個体の免疫系が抗体を合成する能力、ワクチンの製剤、ならびに他の関連した要因に依存して変化する。この量は、比較的広い範囲内にあり、これは、日常的な試行によって求めることができることが予期される。
【0307】
「医薬として有効な用量」または「治療有効用量」は、対象における1つまたは複数のIgE関連障害または症状を治療、または予防、または軽減するのに必要とされる用量である。医薬として有効な用量はとりわけ、投与するための特定の化合物、症状の重症度、副作用に対する対象の感受性、疾患の型、使用される組成物、投与経路、治療されている哺乳動物の種類、健康および身体状態などの、考慮下の特定の哺乳動物の身体的特性、同時の薬物療法、個体の免疫系が抗体を合成する能力、望まれる保護の程度、ならびに医学分野における当業者が認識する他の要因に依存する。予防目的に関して、各用量中のペプチドの量は、典型的なワクチン中の、著しい有害な副作用を伴うことなく免疫保護応答を誘発する量として選択される。最初のワクチン接種の後に、対象は、適切に間隔をあけられた1回または数回のブースター免疫化を受けることができる。
【0308】
任意の特定の患者についての特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、飲食物、投与の時間、投与経路、および排泄率、薬物の組合せ、および療法を受けている特定の疾患の重症度を含めた様々な要因に依存することが理解される。
【0309】
例えば、本発明の抗原性IgEペプチドまたは医薬組成物は、約0.1μg〜約200mg、例えば、約0.1μg〜約5μg、約5μg〜約10μg、約10μg〜約25μg、約25μg〜約50μg、約50μg〜約100μg、約100μg〜約500μg、約500μg〜約1mg、約1mg〜約2mgの用量で対象に投与することができ、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、2カ月、3カ月、6カ月および/または1年後に追加免疫が任意選択で投与される。
【0310】
いくつかの実施形態では、単一用量の本発明による抗原性IgEペプチドまたは医薬組成物が投与される。他の実施形態では、複数回用量の本発明による抗原性IgEペプチドまたは医薬組成物が投与される。投与の頻度は、様々な要因、例えば、症状の重症度、望まれる免疫保護の程度、組成物が、予防的目的で使用されるのか、または治癒的目的で使用されるのかなどのいずれかに応じて変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明による抗原性IgEペプチドまたは医薬組成物は、1カ月に1回、1カ月に2回、1カ月に3回、1週間おき(qow)、1週間に1回(qw)、1週間に2回、(biw)、1週間に3回(tiw)、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または1日3回(tid)投与される。本発明の組成物が予防目的で使用される場合、これらは、プライミング投与およびブースティング投与の両方のために投与される。ブースティング投与は、適切に間隔をあけられ、または好ましくは毎年、もしくは循環抗体のレベルが所望のレベル未満に下がるときに投与されることが予期される。ブースティング投与は、元の免疫原性担体分子の非存在下での抗原性IgEペプチドからなることができる。そのような追加免疫コンストラクトは、代替の免疫原性担体を含んでいてもよく、いずれの担体も存在しない中にあってもよい。そのような追加免疫組成物は、アジュバントとともに、またはアジュバントなしで製剤化することができる。
【0311】
本発明による抗原性IgEペプチドの投与の継続時間、例えば、抗原性IgEペプチドが投与される時間は、様々な要因、例えば、患者の応答などに応じて変更することができる。例えば、抗原性IgEペプチドは、約1日〜約1週間、約2週間〜約4週間、約1カ月〜約2カ月、約2カ月〜約4カ月、約4カ月〜約6カ月、約6カ月〜約8カ月、約8カ月〜約1年、約1年〜約2年、または約2年〜約4年の範囲、またはそれ以上の時間にわたって投与することができる。
【0312】
様々な治療方法も、本開示によって企図されており、これらの方法は、本発明による抗原性IgEペプチドを投与するステップを含む。対象の治療方法は、自己IgEに対する個体における免疫応答を誘発する方法、および個体におけるIgE媒介性障害または症状を予防、軽減、または治療する方法を含む。
【0313】
一態様では、本発明は、対象におけるIgE関連障害または症状を治療、予防、または軽減するための方法であって、治療有効量の本発明の抗原性IgEペプチド、またはその免疫原もしくは医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0314】
別の態様では、本発明は、対象において自己IgEに対する免疫応答を誘発するための方法であって、治療的または免疫原性的に(immunogenically)有効な量の本発明の抗原性IgEペプチド、またはその免疫原もしくは医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0315】
「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、生物学的な障害および/またはその付帯的な症状のうちの少なくとも1つを軽減または抑制する方法を指す。本明細書で使用する場合、疾患、障害、または状態を「軽減する」ことは、疾患、障害、または状態の症状の重症度および/または発生頻度を低減することを意味する。さらに、本明細書での「治療」への言及は、治癒的、対症的、および予防的な治療への言及を含む。前記対象は、ヒトであることが好ましく、任意の年齢の男性であっても女性であってもよい。
【0316】
本発明の他の態様は、IgE関連障害の治療、軽減、または予防において薬物として使用するための、本発明による、もしくは免疫原性組成物の抗原性IgEペプチド、またはその医薬組成物に関する。
【0317】
さらに別の態様では、本発明は、好ましくはIgE媒介性障害を治療するための薬物の製造における、本発明の抗原性IgEペプチド、またはその免疫原性組成物もしくは医薬組成物の使用を提供する。
【0318】
本発明の使用または方法のいくつかの態様では、前記IgE媒介性障害は、結膜炎、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー、喘息、接触性皮膚炎、アレルギー性胃腸病、アレルギー性肺アスペルギルス症、アレルギー性紫斑、湿疹、過剰IgE(ヨブ)症候群、アナフィラキシー性過敏症、IgE骨髄腫、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、食物アレルギー、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎、および感染性大腸炎)、じん麻疹、および乾癬からなる群、好ましくは、喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群から選択される。
【0319】
喘息は、気道の慢性炎症性障害であり、感受性の個体において、喘鳴、息切れ、胸苦しさ、および/または咳嗽の再発性エピソードを引き起こす。当業者は、環境アレルゲンに対して過敏症を発症させた患者において生じると考えられているアレルギー性喘息;アスピリンまたは他のCOX阻害剤に対する感受性が典型的に引き金となる薬剤誘発性喘息;運動で誘発される喘息;ほぼ致命的で超急性の喘息;夜間性喘息;仕事場にある特定の化学物質に曝されることによって一般に引き起こされる職業性喘息を含めた、様々な型の喘息を区別する。したがって、喘息は、風媒性アレルゲン、例えば、イエダニ、花粉、動物の鱗屑、真菌胞子、羽毛など(外因性喘息);非特異的刺激物、例えば、タバコ煙、化学物質の蒸気、汚染、二酸化硫黄など(内因性喘息)を含めた様々な刺激が引き金となり得る。
【0320】
アレルギー性鼻炎は一般に、主に鼻部、洞、および眼における炎症症状を含めた一連の症状を伴い、これは、風媒性粒子に曝された後に起こる。症状として、くしゃみ;鼻閉塞;鼻水(および時折鼻血);咳嗽;頭痛;アレルゲンに曝された鼻部、口、眼、のど、皮膚、または他の範囲のかゆみ;嗅覚(およびしたがって香りへの感受性)の障害;鼻詰まり(鼻充血);結膜炎;流涙;咽頭炎;および喘鳴が挙げられる。
【0321】
アレルギー性鼻炎は、通年性および/または季節性である場合がある。通年性アレルギー性鼻炎は、年中続くアレルギー性鼻炎である。典型的には、アレルゲン、例えば、動物の鱗屑、屋内のカビ胞子、またはイエダニなどに連続的に曝されることによって引き起こされる。季節性アレルギー性鼻炎は、1年のある特定の時期の間のみに起こるアレルギー性鼻炎である。これは一般に、季節的に発生する樹木、草、および雑草の花粉に対するアレルギーによって引き起こされる。
【0322】
食物アレルギーは、卵、ピーナッツ、乳、またはいくつかの他の特定の食物が引き金となった、悪化した免疫応答である。いずれの食物もアレルギー反応を引き起こす場合があるが、少数の食物が主な原因である。小児において、最も一般的な食物アレルギーは、卵、ピーナッツ、乳、ダイズ、樹木の木の実、コムギ、甲殻類(エビ、カニ、イセエビ、カタツムリ、ハマグリ)である。年長児および成人において、最も一般的な食物アレルギーは、ピーナッツ、樹木の木の実、甲殻類、魚である。症状は、主に胃および腸に限定される場合があり、食物が消化または吸収された後、体の多くの部分を巻き込む場合がある。症状として、のどのいがらっぽさ、アナフィラキシー(死亡をもたらし得る重度の全身アレルギー反応);腹痛;下痢;吐き気;嘔吐;胃痙攣;口、のど、眼、皮膚、または任意の範囲のかゆみ;じん麻疹;血管性浮腫(特に眼瞼、顔、唇、および舌の腫張);フラフラ感または失神;鼻充血;鼻水;息切れ;喘鳴;嚥下困難;口腔アレルギー症候群を挙げることができる。口腔アレルギー症候群は、一般に、唇、舌、およびのどのかゆみ、ならびに時折腫大した唇を含む。
【0323】
本発明の使用または方法の他の態様では、前記対象は哺乳動物、好ましくはヒト対象である。
【0324】
本発明の使用または方法のさらに他の態様では、前記対象は、前記IgE媒介性障害を罹患している。あるいは、前記対象は、前記IgE媒介性障害を罹患するリスクにある。
【実施例】
【0325】
以下の実施例は、本発明を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するように提示され、本発明者らが、その発明としてみなす範囲を限定するように意図されておらず、これらの実施例は、以下の実験がすべてである、または実験のみが実施されることを表すとも意図されていない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力をしたが、いくらかの実験誤差および偏差も計上されるべきである。別段の指示のない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセ氏温度であり、圧力は、大気またはほぼ大気のものである。標準的な略語、例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);kb、キロベース(複数可);bp、塩基対(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可);i.m.、筋肉内の(筋肉内に);i.p.、腹腔内の(腹腔内に);s.c.、皮下の(皮下に);などを使用する場合がある。
【0326】
(実施例1)
抗原性IgEペプチドの選択
IgE高親和性受容体FceRI αサブユニットと相互作用するヒトIgE由来の定常ドメインCH3−CH4の構造は、解明および公開されている(Wurzburg BAら、(2000)Immunity、I3(3)、375〜85;Garman SCら、(2000)Nature 20、406(6793)、259〜66)。この構造上の情報を、結合が起こる2つの領域を示す文献と一緒に使用することによって、主要な相互作用点として4つの可能なループを同定し、IgE−FceRI相互作用に重要な範囲に対応する以下の4ペプチドを設計した(
図1参照)。
紫:ADSNPRGVSAYLSRPSP(配列番号312)
青:LVVDLAPSKGTVN(配列番号165)
橙:STRKEEKQRNGTLTVTSTLP(配列番号1)
黄:QCRVTHPHLPRALMRS(配列番号220)。
【0327】
(実施例2)
紫−VLPコンジュゲートの調製
末端システイン残基が結合を目的として付加された紫ペプチド(配列番号312)(配列ADSNPRGVSAYLSRPSPC(配列番号434))を、CLEARアミド樹脂上に標準的なFmocプロトコールを使用して合成した。アミノ酸カップリング反応は、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)およびNMM(N−メチルモルホリン)の存在下で、1当量のHBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)を用いて活性化した、5倍過剰のFmoc保護アミノ酸を使用して実施した。Fmoc基の脱保護は、20%のピペリジン/DMFを用いて実現した。次いで、試薬D(TFA/H2O/DODT:89/3/8)を用いて、樹脂に結合したペプチドを切断し、同時に側鎖保護基を除去した。このペプチドは、遊離N末端およびアミド化されたC末端を用いて作製した。粗ペプチドは、BEH 130 C18カラム、および0.1%のTFAの存在下での水/アセトニトリル勾配を使用して、HPLCによって精製して均質にした。精製ペプチドを、凍結乾燥器を使用して真空乾燥させた。質量分析(LC−MS)を使用してペプチドを分析したところ、十分なデータを得た(以下を参照)。
【0328】
【表1】
【0329】
紫+Cyst(配列番号434)ペプチドを、2つの別個のコンジュゲーション実験において、ウイルス様粒子(VLP)QβおよびB型肝炎表面抗原(HBsAg)にコンジュゲートさせた。本試験で使用したQβは、14kDのモノマータンパク質:MAKLETVTLGNIGKDGKQTLVLNPRGVNPTNGVASLSQAGAVPALEKRVTVSVSQPSRNRKNYKVQVKIQNPTACTANGSCDPSVTRQAYADVTFSFTQYSTDEERAFVRTELAALLASPLLIDAIDQLNPAY(配列番号435)をコードするpET28プラスミドを組み込んでいるBL21(DE3)系統中で、細菌の大腸菌(E.coli)発酵によって生成した。発酵は、IPTGを用いて、0.8のOD600で誘発し、カナマイシンを含むテリフィックブロス(TB)中で一晩進行させる。次いで、特許出願EP20050105513に記載された方法を、以下の差異とともに使用して、宿主細胞内で自己組織化するVLPを発酵細胞ペレットから精製した:細胞を破壊した後、澄んだホモジネートを50%飽和した硫酸アンモニウムで処理し、細胞ペレットを遠心分離によって回収した。次いで、ペレットをHEPESバッファー中に再溶解させ、HEPESバッファーに対して透析した後、公開された方法における第1のカラム工程に進めた。イオン交換カラム工程およびヒドロキシルアパタイトカラム工程の後、さらなる陰イオン交換カラム工程を使用してこの物質を精製し、滅菌濾過することによって、最終的なVLPバルク物質を作製し、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS−PAGE、および電子顕微鏡法によってこれを分析し、許容できる結果を得た。
【0330】
本試験で使用したHBsAg(サブタイプadw)は、Aldevron(ND、USA)から購入した。HBsAgは、直径が約22nmの球状粒子として存在し、これは、脂質二重層ベシクル中に埋め込まれた24kDのモノマータンパク質の多数のコピーからなる。この型のHBsAgを生成するためのS.セレビシエ(S.cerevisiae)系統も、ATCCカルチャーコレクションから入手可能である。
【0331】
VLP(QβおよびHBsAgの両方)は、N−γ−マレイミド−ブチリルオキシ−スクシンイミドエステル(GMBS)連結試薬を使用して活性化した。GMBS試薬は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、10倍以上のモル過剰でVLP溶液に添加した。活性化反応を30分以上進行させ、次いでこの溶液を、NAP−25脱塩カラムを使用して、5mMのEDTAを含むダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)中に脱塩した。必要であれば、10kDのスピンマイクロコンセントレーターを使用して、タンパク質溶液をわずかに濃縮した後、次のコンジュゲーション反応を行った。
【0332】
コンジュゲーション反応の前に、紫ペプチドを、添加剤として5mMのEDTAを含む、pH7.4のDPBSのアリコート中に溶解させた。溶液中のペプチドの濃度は、10mg/mlであった。可溶化したペプチドを、5mMのEDTAを含有するDPBS中で洗浄されていた、TCEP固定化還元剤(Pierce Chemical)のアリコートに添加した。ペプチドのアリコートを、TCEPゲルの存在下で約1時間、混合しながらインキュベートし、その時間の後、微量遠心管中でこのアリコートを遠心沈殿させ、固体ペレットを廃棄した。還元されたペプチドを含有する上清を、先に調製されていた活性化されたVLPに直接付加した。
【0333】
VLPと、還元されたペプチドの間の反応は、非常に穏やかに混合しながら、少なくとも30分間進行させた。反応時間の最後に、NAP−10またはNAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して、ダルベッコPBS(DPBS)中に各試料を脱塩した。脱塩し、コンジュゲートしたペプチドを、Bradford(Coomassie Brilliant Blue、Pierce Chemical)アッセイを使用して、ならびにSDS−PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって、タンパク質含量について分析した。コンジュゲート生成物を、0.22μmのフィルターを使用して滅菌濾過し、使用するまで2〜8℃で貯蔵した。凍結または極端な温度への曝露を防止するために、貯蔵している間、これらの試料に細心の注意を払った。
【0334】
2つのVLP−ペプチド試料についてのコンジュゲーションの程度は、SDS−PAGEを使用して測定し、分子量の増加が両試料について観察された。これは、VLPタンパク質モノマーへのペプチドの付加と一致する。さらに、Qβ−ペプチド試料は、HPLCサイズ排除クロマトグラフィーアッセイ(Tosoh PWXL5000 HPLCカラムを使用して)において試験したところ、VLPのコンジュゲートされていない試料と比較した場合、組織化されたVLPを含有することが見出された。さらに、このQβ−ペプチド試料は、80kVのビームを用いてJEOL 1230TEMを使用する電子顕微鏡法を使用して観察したところ、組織化された均一な粒子を含有することが見出された。HBsAg−ペプチドコンジュゲート粒子の完全性を、非還元性SDS−PAGEを使用して試験したところ、タンパク質はゲルに入らなかったので、この試料は、高分子質量種を含有し、インビボでの使用に適しているとみなした。
【0335】
(実施例3)
橙、紫、黄、および青−VLPコンジュゲート、ならびに紫−束縛された、および青−改善された−VLPコンジュゲートの調製
アミノ酸配列が表2に示されている、黄、青+Cyst、紫+Cyst、および橙+Cystペプチドは、以下のように、当技術分野で知られている方法に従って、かつ主に実施例2におけるプロトコールに従って合成した。ペプチドは、ペプチド黄を除いて、CLEARアミド樹脂上で、標準的なFmocプロトコールを用いて、Symphonyペプチドシンセサイザーで合成し、ペプチド黄は、プレロードされたFmoc−Ser(tBU)−Wang樹脂上で作製した。カップリング反応および脱保護についての詳細については実施例2を参照。すべてのペプチドは、ペプチド黄を除いて、遊離N末端およびアミド化されたC末端とともに作製し、ペプチド黄は、アセチル化されたN末端およびカルボキシル化されたC末端とともに作製した。粗ペプチドは、実施例2と同様に、BEH 130 C18カラムを有するHPLCシステムで精製した。精製ペプチドは、凍結乾燥器を使用して真空乾燥させた。最後に、LC−MSを用いてペプチドを分析したところ、すべてのペプチドは、十分なデータを得た(以下の表3を参照)。
【0336】
青−改善されたペプチドおよび紫−束縛されたペプチドは、CEM Corporation(Matthews、NC、USA)によって製造された。これらのペプチドは、標準的なペプチド化学反応技法を使用して製造され、クロマトグラフィーを使用して精製された。精製ペプチドは、LC−MSを使用して分析したところ、高純度(>95%)であることが見出された(以下の表3を参照)。
【0337】
【表2】
【0338】
【表3】
【0339】
各ペプチドは、別個のバッチでウイルス様粒子(VLP)Qβにコンジュゲートさせた。本試験において使用したQβは、実施例2と同様に、細菌の大腸菌(E.coli)発酵および広範な精製によって生成した。
【0340】
VLP(ブラッドフォードアッセイよって1mg/ml超のタンパク質濃度)は、上記の実施例2に記載したように、Pierce Chemicalからの N−γ−マレイミドブチリルオキシ−スクシンイミドエステル(GMBS)連結試薬を使用して活性化した。
【0341】
コンジュゲーション反応の前に、添加剤として5mMのEDTAを含む、pH7.4のダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)のアリコート中に各ペプチドを溶解させた。溶液中の各ペプチドの濃度は、8〜12mg/mlの範囲であった。正確なデータについては、以下の表4を参照。可溶化したペプチドを、上記の実施例2に記載したように、TCEP固定化還元剤のアリコートに添加した。還元されたペプチドを含有する上清を、先に調製されていた活性化されたVLPに直接添加した。
【0342】
VLPと、還元されたペプチドの間の反応は、非常に穏やかに混合しながら、少なくとも30分間進行させた。反応時間の最後に、NAP−10またはNAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して、ダルベッコPBS(DPBS)中に各試料を脱塩した。次いで、脱塩し、コンジュゲートしたペプチドを、10kDのMWCOスピンコンセントレーターを使用して濃縮し、Bradford(Coomassie Brilliant Blue、Pierce Chemical)アッセイを使用して、ならびにSDS−PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって、タンパク質含量について分析した。さらなる詳細については以下を参照。コンジュゲート生成物を、0.22μmのフィルターを使用して滅菌濾過し、使用するまで2〜8℃で貯蔵した。凍結または極端な温度への曝露を防止するために、貯蔵している間、これらの試料に細心の注意を払った。VLP−ペプチドコンジュゲートは、実施例2に上述したように、コンジュゲーションおよび粒子アセンブリの程度について分析した(濃度測定を含むSDS−PAGE、電子顕微鏡法、およびサイズ排除HPLC)。
【0343】
【表4】
【0344】
(実施例4)
橙、紫、黄、および青−KLHコンジュゲート、ならびに紫−束縛された、および青−改善された−KLHコンジュゲートの調製
表2のペプチドを、以下のように、Pierce Chemical(Rockford、Illinois、USA)から購入したKLHにコンジュゲートさせ、精製した。ペプチドは、上記の実施例2および3に詳述したように作製した。使用したKLHは、凍結乾燥した固体としてPierce Chemicalによって供給されたImject Malemide−活性化KLHであった。このKLHのバイアルを、組織培養グレード水で再構成した後、ペプチドに添加した。実施例2および3に上述したようにペプチドをTCEPゲルで処理し、還元されたペプチドを含有する上清を、活性化されたKLH溶液のアリコートに直接添加し、穏やかに混合しながらインキュベートした。カップリング反応を2時間進行させ、この時間で、溶液を遠心分離することによって固体を除去し、以前のように重力滴下脱塩カラムを使用して脱塩した。脱塩したコンジュゲートを、SDS−PAGE、ブラッドフォードタンパク質アッセイ、およびトリプシン消化した後のMS−MALDI分析によって分析した。コンジュゲートを、0.22μmのフィルターを使用して滅菌濾過し、KLH溶液を凍結させることは推奨されないので、試用するまで2〜8℃で保持した。
【0345】
(実施例5)
IgEペプチドの同定
本試験は、Qbeta VLPにコンジュゲートしたペプチド(上記の実施例2および3に詳述したような)が、ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発においてどの程度効果的であるかを評価することを目的とした。0、19、および34日目に、メスのBalb/c(6〜8週)に、筋肉内経路によって注射した(50マイクロリットルの量を各前脛骨筋中に注射した)。剖検を46日目に行った。剖検において、心穿刺によって、安楽死させたマウスから400〜600マイクロリットルの血液を試料採取した。血液を一晩放置することによって凝血させ、次の日に血清を収集した。
【0346】
免疫動物からの抗体応答を、以下のアッセイのいくつか、またはすべてについて調査した:a)IgG力価決定、b)無血清IgEへの結合、c)FceRIに結合したIgEへの結合、d)脱顆粒アッセイ、およびe)IgE定量化アッセイ。
【0347】
a)全IgG力価決定
概要:ワクチンに特異的である全IgG分子のレベルを表すための、逆数力価(reciprocal titer)(RT)を生じる比色分析ELISA。連続希釈液を血清試料から調製し、アッセイにおいて試験した。プールしたCe3ワクチン接種マウス血清試料から調製した血清試料を陽性対照として使用した。Harlan LabsからのBalb/c陰性血清を陰性対照として使用した(400匹の動物 Harlan laboratories コード番号R−0131Dからプールした)。アッセイプレートのコーティング:384ウェル高結合アッセイプレート(Corning International カタログ番号3700)に、pH7.4の0.01MのPBSで1μg/mLに希釈した25μL/ウェルのヒトCe3Ce4タンパク質ストックでコーティングし、振盪機上で、室温で3時間インキュベートした。pH7.4のPBSで2回洗浄した後、80μL/ウェルの0.01MのPBS/1%のBSAを使用してプレートをブロックし、室温で1時間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:翌日、1:100希釈(PBS/1%のBSA希釈剤)から開始して、各試料の8点1/2対数連続希釈液を調製し、25μL/ウェルの連続希釈液を、ヒトCe3Ce4をコーティングしたプレート中に2つ組で移し、次いで振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:6000の25μL/ウェルの全IgG検出抗体(ウサギ抗−mu IgG−Fc、カタログ番号A90−130A Bethyl Laboratories)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で5回洗浄した後、pH7.4の0.01MのPBS/pH7.4の0.05%のTween20で1:3000の、25μL/ウェルのBio−Radキットヤギ抗ウサギ西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート(Bio−Rad カタログ番号172−1019)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で4回洗浄し、次いでpH7.4の0.01MのPBSのみで1回洗浄した後、25μL/ウェルのマウスTyper HRP基質(Bio−Rad カタログ番号172−1064)を添加し、次いで室温で30分間インキュベートした。25μL/ウェルの2%のシュウ酸を添加し、405nmの吸光度を読み取った。データ分析:カットオフ値(405nmの吸光度)は、最低濃度の適切な試験陰性対照群によって生じた2つ組の読みの平均を取り、この値に2.5を乗じることによって計算した。滴定曲線を各試験試料についてプロットし(試料力価対405nmの吸光度)、試料力価(引き続いて逆数力価に変換した)を、計算したカットオフ値から予測した。
【0348】
b)遊離IgEの結合力価
概要:高濃度のヒトIgEとともに、試験血清の連続希釈液を一晩インキュベートした後に形成されるマウスIgG:ヒトIgE複合体のレベルを表すための、逆数力価(RT)および最大値を生じる電気化学発光(ECL)アッセイ。プールしたCe3ワクチン接種マウス血清試料から調製した血清試料は、Harlan LabsからのBalb/c陰性血清(400匹の動物 Harlan laboratories コード番号R−0131Dからプールした)中に50μg/mLおよび1mg/mLで添加したヒトIgE Ce3ドメインの一領域に対するマウス抗体(AbDserotec 0100−0413(E411(5H2))とともに、陽性対照として使用し、Balb/c陰性血清はまた、陰性対照として単独で使用した。ヒトIgEを用いた試料のインキュベーション:対照を含む、各試料の8点1/2対数連続希釈液を、1:3希釈(pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSA希釈剤)から開始して調製した。各試料濃度の10μLの量を、100μg/mLのヒトIgE 10μL(pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAを使用してストックから希釈した)と混合し、次いでプレートを密閉し、4℃で一晩インキュベートした。アッセイプレートのコーティング:翌日、384ウェルアッセイプレート(Meso−Scale Diagnostics(MSD)標準的な結合 カタログ番号L11XA−1、0370PA)に、pH7.4の0.01MのPBSで1μg/mLに希釈した、12μL/ウェルのヒトIgEに対するヒツジpAb(Gentaur、ICL(Immunology Consultants Lab)カタログ番号SE−80A)でコーティングし、次いで振盪機上で、室温で2時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した後、25μL/ウェルのPierceスターティングブロッキングバッファー(Pierce Biotech.カタログ番号37538)を使用してプレートをブロックし、振盪機上で、室温で40分間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:20μLの量のヒトIgEとの血清の一晩インキュベートした混合物を、80μL/ウェルの、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:5に希釈し、次いで12μL/ウェルを、コーティングしたMSDアッセイプレート中に2つ組で移した。振盪機上で、室温で2時間インキュベートした後、pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20でプレートを3回洗浄した。pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:5000の12μL/ウェル検出抗体(マウスIgG H+Lに対するロバpAb Abcam カタログ番号ab6707、MSDカタログ番号R91AN−1を使用した、MSD SULFOタグ付き)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、MQ水で1:2の、界面活性剤を含む50μL/ウェルのMSD ReadバッファーT(4×)(MSD カタログ番号R92TC)を添加した。MSD Sector Imager 6000を使用してプレートを読み取った。
【0349】
データ分析:カットオフ値(ピクセル)は、最低濃度の適切な試験陰性対照群によって生じた2つ組の読みの平均を取り、この値に5を乗じることによって計算した。滴定曲線を各試験試料についてプロットし(試料力価対ピクセル)、試料力価(引き続いて逆数力価に変換した)を、計算したカットオフ値から予測した。滴定曲線の最大ピーク値も記録した。
【0350】
c)受容体に結合したIgEへの結合
このアッセイは、ワクチン接種されたマウス由来の血清中の抗体が、RBL−THE細胞の表面上でFceRI受容体に結合したいくつかのヒトIgEに結合することができるかどうかを測定し、次いでこうした抗体を、フィコエリトリンにコンジュゲートした抗マウスFc特異抗体によって検出し、蛍光をフローサイトメトリーによって測定する。ワクチン接種されていないBALBc血清中で希釈されたBiodesignからの抗ヒトIgE抗体を、陽性対照として使用した。アッセイ:凍結したRBL−THE細胞(p12 10×10
6細胞/ml)を解凍し、アッセイバッファー(PBS−5%のヤギ血清)で1回洗浄した。ブロッキングバッファー(PBS−5%のヤギ血清−0.1mg/mlのマウスFab(ChromPureマウスIgG、Fab断片−Jackson Immunoresearch))中の2×10
5細胞/ウェルを、96ウェルプレート中に播種し、4℃の振盪機上で1時間30分間インキュベートした。1ウェル当たり4μg/mlのヒトIgE 50μlを添加し(アッセイバッファー中で希釈した)(対照ウェルを除く Biodesign IgEなし、細胞のみ、およびaMo−PE)、プレートを4℃の振盪機上で1時間インキュベートした。細胞をアッセイバッファーで1回洗浄し、5%のBALBc血清中で希釈し、またはアッセイバッファー中で1:20、1:40、および1:80に希釈した、ワクチンを接種したマウス由来の血清試料を用いて希釈した、抗ヒトIgE(Biodesign 10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml−陽性対照)30μl中で再懸濁した。血清試料を3つ組で蒔き、対照を2つ組で蒔いた。プレートを、4℃の振盪機上で1時間30分間インキュベートし、次いでアッセイバッファーで洗浄し、ヤギ抗マウスFc特異的−PE抗体(アッセイバッファー中で1:200、Goat Jackson Immunoresearch)100μl中で再懸濁し、4℃の振盪機上で45分間インキュベートした。細胞を、アッセイバッファーで3回洗浄し、PBS中2%のパラホルムアルデヒド80μl中で再懸濁し、4℃で一晩インキュベートした。蛍光強度をフローサイトメトリーによって測定した。データ分析:各試料の平均蛍光強度を分析に使用した。陰性対照(aMo−PE単独)を平均し、その値を各ウェルから減じた。陽性対照を平均し、各試料を、そのそれぞれの血清希釈での陽性対照(Biodesign)の百分率として表した。次いで、1:40の血清希釈液を抽出し、ANOVAを実施した。
【0351】
d)脱顆粒アッセイ
このアッセイにより、培地中でRBL−THE細胞によって放出されるb−ヘキソサミニダーゼ酵素の活性を測定することによって、ワクチン接種されたマウスに由来する血清が、RBL−THE細胞の脱顆粒を誘発するかどうかを測定する。ワクチン接種されていないBALBc血清中で希釈したE25(Xolair)を陰性対照(40μg/ml)として使用し、ワクチン接種されていないBALBc血清中で希釈した、Sigmaからのヤギポリクローナル抗体を陽性対照として使用した。細胞播種:凍結したRBL−THE p12(10×10
6細胞/バイアル;ヒトFceRIで安定にトランスフェクトしたラット好塩基球性白血病細胞)を解凍し、RBL−P培地(15%のFCSおよび2mMのL−グルタミンを含むMEM−Earlesサプリメント)中で洗浄し、8×10
5細胞/mlのRBL−P培地中で、0.25μg/mlのヒトIgEとともに再懸濁した。8×10
4細胞/ウェルを、平底96ウェルプレート中に播種し、37℃/5%のCO2で48時間インキュベートした。試料およびバッファーの調製:3日目に、タイロードバッファー1×(NaCl 135mM、KCl 5mM、CaCl2 1.8mM、MgCl2 1mM、グルコース 5.6mM、BSA 1mg/ml、Hepes 20mM、pH7.4)を調製した。タイロードバッファー−5%のBALBc血清、タイロードバッファー−2.5%のBALBc血清、およびタイロード中Triton 1%−5%のBALBc血清も調製した。陽性対照(ヤギポリクローナル抗IgE抗体(PBS中82mg/ml)−Sigma、I0632)を、タイロードバッファー−5%のBALBc血清中(第1のウェルは、タイロードバッファー−5%のBALBc血清中、次いでタイロードバッファー中)で、10μg/mlから2.5μg/mlに連続的に希釈した。陰性対照(E25)は、希釈したBalbc血清(1:20、1:40、および1:80の血清希釈液)中で、40μg/mlで一定に保持した。ワクチン接種されたマウスに由来する試験血清試料は、1:20、1:40、および1:80の血清希釈液で試験した。対照および試験血清試料のすべては、各プレート上で3つ組で試験した。アゴニストアッセイ:3日目に、細胞プレートをインキュベーターから取り出した。培地95μlをウェルから取り出し、細胞をタイロードバッファー1×200μlで洗浄し、洗浄バッファーを除去し、希釈した抗体(陽性対照、陰性対照、または試験血清試料)70μlを添加した。細胞を37℃/5%のCO2で1時間インキュベートした。インキュベーションの最後に、プレートをインキュベーターから取り出し、1200rpmで5分間遠心分離することによって、剥離したいずれの細胞も沈降させた。上清65μlを取り出し、滅菌した96ウェルプレート中に入れた。上清25ulをβ−ヘキソサミニダーゼ活性について試験した。β−ヘキソサミニダーゼ活性:上清25μlを96ウェルプレートに添加した。クエン酸バッファー中4mMのNAGA(pH4.5の50mMのクエン酸バッファー中4mMのN−アセチル−β−D−グルコサミニド(NAGA)(Sigma、N9376))25μlを、すべてのウェルに添加し(新たに調製した)、プレートを37℃で1時間インキュベートし、pH10.7の0.2Mのグリシン150μlを添加することによって反応を停止した。Envisionを用いて405nmでプレートを読み取った。データ分析:脱顆粒は、全ウェルについての値からの全β−ヘキソサミニダーゼ活性の百分率として表した(1%のTriton X−100で処理した)。次いで、希釈1:40での脱顆粒の%を分析のために抽出し、血清試料に対してANOVAを実施した。
【0352】
e)遊離ヒトIgEアッセイの還元
概要:ヒトIgEの連続希釈液とともに、試験血清のアリコートを一晩インキュベートし、その時間の間にマウスIgG:ヒトIgE複合体が形成した後に残っている遊離ヒトIgEのレベルを定量化する電気化学発光(ECL)アッセイ。ヒトIgE定量化アッセイの精度を保証するために、プロテインGをコーティングした磁気Dynabeadを使用していずれのマウスIgG:ヒトIgE複合体も最初に除去することが必須であり、この磁気Dynabeadは、マウスIgG Fc領域を介して存在する複合体を結合して除外する。ヒトIgEレベルの、適切な陰性対照群のレベルからの減少率についての値は、各試料について計算することができる。陽性対照として、Harlan LabsからのBalb/c陰性血清(400匹の動物 Harlan laboratories コード番号R−0131Dからプールした)中に40μg/mL(標準的な療法の用量)でXolair/E25を添加し、Balb/c陰性血清も、陰性対照として単独で使用した。ヒトIgEを用いた試料のインキュベーション:ヒトIgEの8点1/2対数連続希釈液(pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSA希釈剤)の各濃度の2μLの量を、陽性対照Xolair/E25(40μg/mL)、30μg/mLの最終濃度から開始するIgEを含めて、8×10μLの量の試験血清試料のそれぞれに添加した。プレートを密閉し、4℃で一晩インキュベートした。アッセイプレートのコーティング:翌日、384ウェルアッセイプレート(Meso−Scale Diagnostics(MSD)標準的な結合 カタログ番号L11XA−1、0370PA)に、pH7.4の0.01MのPBSで5μg/mLに希釈した、12μL/ウェルのヒトIgEに対するヒツジpAb(Gentaur、ICL(Immunology Consultants Lab)カタログ番号SE−80A)でコーティングし、次いで振盪機上で、室温で2時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した後、25μL/ウェルのPierceスターティングブロッキングバッファー(Pierce Biotech.カタログ番号37538)を使用してプレートをブロックし、振盪機上で、室温で40分間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した。試料およびDynabeadの調製:5μLの量のヒトIgEとの血清の一晩インキュベートした混合物を、95μL/ウェルの、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:20に希釈した。[注:1:20の希釈液の10μLはまた、pH7.4の0.01のPBS/1%のBSAでさらに1:2に希釈することによって、遊離IgE結合アッセイにおいて試験してmu IgG:hu IgE複合体の測定値を得た後、プロテインGビーズのインキュベーションを行った]。必要とされる量の1倍濃度のプロテインG Dynabead(Invitrogen カタログ番号10004D)を、パックインサート(pack insert)と同様に洗浄し、調製し、次いで、最初のビーズ量の0.25倍で再懸濁することによって4倍に濃縮した。Dynabeadを用いた試料のインキュベーション:各1:20の試料30μLを15μL/ウェルの4×ビーズと混合し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。Dynal磁気棒プレート(magnetic bar plate)(Invitrogen カタログ番号12027)を使用して試料からビーズを除去し、残っている試料40μLを新鮮な4×ビーズ混合物20μLと混合し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。45μL/ウェルの残っている試料を新鮮なウェル中に移し、1000rpmで1分遠心分離し、磁気棒プレート上にプレートを戻し、40μL/ウェルを新鮮なウェル中に移した。[注:すべての複合体が除去されたことを保証するために、プロテインGビーズをインキュベートした後に、残っている試料30μLを使用することによって、遊離IgE結合アッセイにおいて試験してmu IgG:hu IgE複合体の測定値を得た]。定量化アッセイ:5μg/mLの濃度から開始して、80%のMSDマウス血清アッセイ希釈剤/20%の、pH7.4、0.01MのPBS/1%のBSA中でヒトIgEの12点1/2対数連続希釈検量線を準備した。MSDマウス血清アッセイ希釈剤(MSD カタログ番号R52BB−2)を使用して、ビーズインキュベーションからの残っている試料を1:5に希釈した。12μL/ウェルで、3つ組で、検量線および試料の連続希釈液を、コーティングしたMSDウェル中に移し、振盪しながら室温で2時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20でプレートを3回洗浄した後、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:300の12μL/ウェルの検出抗体(ウサギ抗ヒトIgE抗体ε鎖特異的Bethyl カタログ番号A80−109A、MSDカタログ番号R91AN−1を使用した、MSD SULFOタグ付き)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、MQ水で1:2の、界面活性剤を含む50μL/ウェルのMSD ReadバッファーT(4×)(MSD カタログ番号R92TC)を添加した。MSD Sector Imager 6000を使用してプレートを読み取った。[注:pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:2000のロバ検出抗体を使用し、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:4000の、E25/Xolair陽性対照のみについての抗ヒト検出抗体(SULFOタグ付き ヤギ抗ヒトIgG MSD カタログ番号R32AJ−5)を使用することを除いて、以前に述べたのと同じプロトコールを使用して、ビーズインキュベーションの前から、およびビーズインキュベーションの後に試料を試験するために、この定量化アッセイと並行して遊離IgE結合アッセイを行った]。データ分析:未処理データ(ピクセル)の対数をとり、検量線をプロットし(Log uman IgE濃度ng/mL対Logピクセル)、非対称5−パラメータ曲線フィッティングを適用した。試験試料のLog IgE濃度を検量線から予測し、引き続いて逆対数をとり、200を乗じることによって、実際の残っている遊離IgE濃度をng/mLで導出した。各試料および対照について、適切な対照群と比較した、ヒトIgEレベルの減少率を計算し、血清試料に最初に添加したヒトIgE(ng/mL)に対して、両軸を対数尺度でプロットすることによって、滴定曲線を作成した。
【0353】
結果
結果を以下の表5に要約する。より具体的には、また意外にも、この試験は、25マイクログラムのコンジュゲートの全用量(すなわち、12.5マイクログラムの個々のコンジュゲート)で筋肉内経路を介して投与される場合、黄および紫Qbetaコンジュゲーションの組合せが最も有効であり、2倍の用量で単一の抗原としてペプチドコンジュゲートを使用するより有効であったことを示した。本発明者らは本試験において、この組合せは、遊離IgEに結合する高い能力を伴って抗体応答を誘発すること、ならびにこれらの抗体は、IgEチャレンジの用量に応じて最大80%までIgEのレベルを低減することができることを示した。これらの抗体応答は、IgEに噛み合った受容体に結合することができず、受容体を発現する標的細胞の脱顆粒を引き起こさなかった。QbetaをアジュバントのミョウバンおよびCPG24555と組み合わせること(ここで、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結は、ホスホロチオエート連結である)は、これらの抗体応答を誘発することにおいて非常に効率的である。総合すると、遊離ヒトIgEに結合する強い能力を有するマウスIgG抗体を誘発する観点から、黄ペプチドは、個々に、あるいは高い用量および体積でワクチン接種された、紫もしくは橙ペプチドコンジュゲート、または紫および橙ペプチドコンジュゲートの両方と組み合わせて投与される場合、最も有望なペプチドであると結論づけることができる。
【0354】
【表5】
【0355】
(実施例6)
過免疫試験
本試験は、IgEに対する高親和性抗体の誘発についての急速な免疫化スケジュールの効果を評価することを目的とした。0、3、8、および11日目に、8匹のメスのBalb/cマウス(生後6〜8週間)の群に、ペプチドKLH−コンジュゲート(上記の実施例4に詳述したような)を腹腔内および皮下に注射した。CPG7909とAlhydrogel(20% v/vでのミョウバン1.3%)の組合せ、および不完全フロイントアジュバント(IFA)を、本試験におけるアジュバントとして使用した。すべてのペプチドをKLHにコンジュゲートさせた。実施例5と同様に、22日目に剖検を実施し、血液を収集した。
【0356】
以下のアッセイのうちのすべてまたはいくつかを使用して、免疫動物からの抗体応答を調査した:a)IgG力価決定、b)無血清IgEへの結合、c)FceRIに結合したIgEへの結合、d)脱顆粒アッセイ、およびe)IgE定量化アッセイ。すべてのアッセイは、実施例5の下に詳細に記載されている。
【0357】
結果
表6は、実施例6からのデータを要約する。本試験における全力価は、VRS−IgE−008−003の約10分の1であった。本試験からのデータは、紫、束縛された紫、黄、および橙ペプチドは、免疫原であることを示す。意外にも、青ペプチドは非常に弱い抗原であり、ペプチドを収斂させ、溶解度を増大させることにより、免疫原性の増大が示され、このペプチドは、許容できる免疫原性を示すために束縛される必要がある場合があることを示した。
【0358】
【表6】
【0359】
(実施例7)
ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発におけるKLH、HBsAg、およびQbetaにコンジュゲートしたペプチドの効力
本試験は、KLH、HBsAg、およびQbetaにコンジュゲートしたペプチド(上記の実施例2、3および4に詳述したような)が、ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発においてどの程度効果的であったかを評価することを目的とした。0、19、および34日に、メスのBalb/c(6〜8週)に筋肉内経路によって注射した(50マイクロリットルの量を各前脛骨筋中に注射した)。剖検を46日目に行った。剖検において、心穿刺によって、安楽死させたマウスから400〜600マイクロリットルの血液を試料採取した。血液を一晩放置することによって凝血させ、次の日に血清を収集した。
【0360】
免疫動物からの抗体応答を、以下のアッセイのすべて、またはいくつかを使用して調査した:a)IgG力価決定、b)無血清IgEへの結合、c)FceRIに結合したIgEへの結合、d)脱顆粒アッセイ、およびe)IgE定量化アッセイ。すべてのアッセイは、実施例5の下に詳細に記載されている。
【0361】
結果
本試験は、紫および黄ペプチドは、高度に免疫原性であることを示した。KLH、Qbeta、およびHBsAgに紫ペプチドをコンジュゲートさせることにより、非常に高い程度に遊離IgEに結合することができる高い抗体応答を誘発することが可能になった。これらの抗体応答は、IgEに噛み合った受容体に結合することができず、受容体を発現する標的細胞の脱顆粒を引き起こさなかった。両アジュバント(AbiSCOおよびCPG7909およびミョウバン組合せ)は、高レベルの抗体応答を誘発することに有効であった。
【0362】
【表7】
【0363】
(実施例8)
KLH上のペプチド免疫原の組合せ
本試験は、KLHにコンジュゲートしたペプチドの組合せ(上記実施例4に詳述したような)が、ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発においてどの程度効果的であったかを評価することを目的とした。0、19、および34日目に、メスのBalb/c(6〜8週)に、筋肉内経路によって注射した(50マイクロリットルの量を各前脛骨筋中に注射した)。剖検を46日目に行った。剖検において、心穿刺によって、安楽死させたマウスから400〜600マイクロリットルの血液を試料採取した。血液を一晩放置することによって凝血させ、次の日に血清を収集した。
【0364】
免疫動物からの抗体応答を、以下のアッセイのすべて、またはいくつかを使用して調査した:a)IgG力価決定、b)無血清IgEへの結合、c)FceRIに結合したIgEへの結合、d)脱顆粒アッセイ、およびe)IgE定量化アッセイ。すべてのアッセイは、実施例5の下に詳細に記載されている。
【0365】
結果
本試験は、黄と橙、青と紫、黄と紫の組合せは、利用可能なペプチドの量が制限されているために、本試験において使用した用量が少ないにも関わらず、高度に免疫原性であり、遊離IgEに効率的に結合することができる抗体応答を誘発することを示した。これらの抗体応答は、IgEに噛み合った受容体に結合することができず、受容体を発現する標的細胞の脱顆粒を引き起こさなかった。
【0366】
【表8】
【0367】
(実施例9)
インビボ(動物モデル)で寛容を破壊するための共役ワクチンの効力
IgEペプチドワクチンがインビボでIgEレベルを低減する能力を、上昇したレベルのIgEを天然に発現する(例えば、アレルギーによって)種を使用して、または動物を免疫化するためのモデルもしくは実際のアレルゲンを使用して実験的にIgEレベルの上昇を誘発して、動物モデルにおいて評価する。例えば、オボアルブミン(OVA)に対するIgE応答を誘発するためにミョウバンを用いて製剤化されたモデル抗原として、エンドトキシンを含まないOVAでマウスを免疫化する(参考文献例 Lloyd Cら、J.Immunol 2001、166、p2033〜2040)。IgE応答を誘発した後、担体にカップリングされ、アジュバントとともに製剤化された抗原ペプチドをマウスにワクチン接種する。(マウスにおいて)マウスIgEの相同領域、それぞれの動物種において他の種の相同領域由来のペプチド、ならびに非ヒト霊長類についてヒトIgEペプチドを使用することができる。次いで、IgEレベルを低下させることにおけるワクチン接種の効力は、ワクチン接種前後で血清中のIgEレベルを測定することによってモニターすることができる。さらに、ペプチドがアレルギー性炎症反応を減少させる能力は、鼻腔内のまたは気管内のOVAをマウスにチャレンジし(例えば、2〜5連続日にわたって)、肺洗浄試料中の白血球サブセットの浸潤をカウントすることにより肺内のアレルギー性炎症反応を評価することによって、かつ肺柔組織内への好酸球動員、ならびに杯細胞異形成および粘液生成を組織評価することによってモニターすることができる(例えば、Coyle A.ら、1996 J.Exp.Med.183、1303〜1310.)。
【0368】
(実施例10)
ヒトIgEに結合することができる抗体の誘発における、QbetaまたはHBsAgにコンジュゲートした鎖状ペプチドおよび化学的に束縛されたペプチドの効力および適性
抗IgE応答を誘発するために、免疫原として短い鎖状ペプチドを使用することの課題の1つは、IgEの二次構造を正確に表現し、こうして、ワクチン接種によって生成した抗体が、遊離循環IgEを効率的に認識するのを保証することである。鎖状親アミノ酸配列中に適当な二次構造を導入するための化学的束縛により、IgEに対する抗体応答を誘発するための代替の免疫原を提供することができる。
【0369】
PDB 1F6A中に存在するIgEのCε3Cε4の三次元構造の分析(Garmanら、2000 Nature 406:p259〜266)により、Cε3Cε4とFCεRI受容体の界面の標的配列のいくつかは、表9中に詳述した鎖状配列によって十分に表現することができない非鎖状配置をとることが明らかになった。したがって、束縛されたペプチドが、遊離IgE結合アッセイにおいて検出可能な抗IgE抗体を誘発する(インビボ投与後に)能力を評価する試みにおける化学的束縛の候補である配列を同定した。
【0370】
黄(配列番号220)配列および橙+Cyst(配列番号436)配列の両方の変異体を、2つの異なる方法によって別個に束縛し、一方の方法では、ペプチド配列の2つの隣接する原子にわたってトリアゾール部分を導入するためにクリック化学反応を使用した。この方法によってペプチド配列上に発揮される束縛の程度は、トリアゾール部分にメチレン基を付加することによって調整することができる(この方法によって、橙046、橙047、黄043、黄044を生成した)。第2の方法は、ヘテロキラルなジプロリン単位(D−Pro−L−Pro)の鋳型効果による環化を伴った。この単位は、文献においてβターンを誘発する潜在性を有することが言及されている(Spathら、1998、Helvetica Chimica Acta 81、p1726〜1738);(この方法によって、橙044、橙045、黄040、黄041、黄042を生成した)。これらの束縛されたペプチドの化学構造を、表9に示す。
【0371】
いくつかの試験を実施することによって、HBsAgおよびQbetaにコンジュゲートした(実施例2および3に詳述されたようなコンジュゲーション)、様々な長さの鎖状ペプチドまたは束縛されたペプチドによる抗ヒトIgE免疫応答誘発を評価した。
【0372】
束縛されたペプチドの橙+Cyst(配列番号436)、黄(配列番号220)、橙044、橙045、橙046、橙047、黄040、黄041、黄042、黄043、および黄044を、1.5倍のモル過剰でスクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート(SMPH)化学反応を使用してQbetaウイルス様粒子にコンジュゲートさせ、マウスにおける免疫原として使用した。表9で以下に記載したような日に、メスのBalb/c(6〜8週)に、抗原およびAlhydrogelとCpG−24555(すべてのヌクレオチド間連結がホスホロチオエート連結)アジュバントを、筋肉内経路によって注射した(50μlを各前脛骨筋中に注射した)。最後のブーストの1週間後に調製した血清を、実施例5に記載したように、IgE結合アッセイにおいて、抗IgE抗体活性について試験した。
【0373】
結果
表9に要約した試験は、QbetaおよびHBsAgにコンジュゲートされた紫、橙、および黄のペプチドに由来し、組み合わせたアジュバントのAlhydrogelおよびCpG24555とともに送達される鎖状ペプチドは、遊離IgEに結合することができる抗体応答を誘発することを示した。
【0374】
さらに、ほとんどの束縛されたペプチド免疫原は、遊離ヒトIgEに結合することができる抗血清を誘発した。青003、004、および005は、意外にも、弱い抗IgE応答しか誘発しなかった。橙047および橙048は、バックグラウンドレベルを超える抗IgE抗体を誘発しなかった。
【0375】
【表9-1】
【0376】
【表9-2】
【0377】
【表9-3】
【0378】
【表9-4】
【0379】
【表9-5】
【0380】
(実施例11)
ヒトIgEに結合することができる抗体応答を誘発する際の、Qbeta、HBsAg、およびDTにコンジュゲートされたペプチドの効力
本試験は、様々な担体、例えば、DT、CRM197、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A、HBsAg、およびQbetaなどにコンジュゲートしたペプチド(上記実施例に詳述したような)が、ヒトIgEに結合することができる抗体応答を誘発する際に、どの程度効果的であったかを評価することを目的とした。DTコンジュゲートを生成するために、ジフテリアトキソイド(濃度3mg/ml)を、10倍モル過剰で、スクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート(SMPH、Thermo Fisher Scientific Inc)を用いて誘導体化した。この活性化工程の後、過剰のSMPH試薬を、NAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して、5mMのEDTAを含むダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)中に除去した。次いで、凍結乾燥したペプチド固体を、マレイミド活性化ジフテリアトキソイドに直接添加し、穏やかに混合しながら90分間インキュベートした。その後、試料をNAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)にかけ、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)で溶出することによって遊離ペプチドを除去した。この後、タンパク質溶液を、10kDのスピンマイクロコンセントレーターを使用して濃縮し、0.22μmのフィルターを使用して滅菌し、使用するまで−80℃で保持した。Qb−ペプチドおよびHbsAg−ペプチドコンジュゲートを、以下のように生成した:ともにThermo Fisher Scientific Inc.から得た、N−γ−マレイミド−ブチリルオキシ−スクシンイミドエステル(GMBS)連結試薬またはスクシンイミジル−6−[β−マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート(SMPH)を使用して、VLP(QβおよびHBsAgの両方)を活性化した。GMBSまたはSMPH試薬は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、5倍以上のモル過剰でVLP溶液に添加した。活性化反応を30分以上進行させ、次いで溶液を、NAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して、5mMのEDTAを含むダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)中に脱塩した。この後、適切な量の固体凍結乾燥ペプチドを、マレイミド活性化VLPに直接添加し、VLPとペプチドの反応を、非常に穏やかに混合しながら少なくとも30分間進行させた。反応時間の最後に、各試料を、NAP−25脱塩カラム(GE Healthcare)を使用してダルベッコPBS(DPBS)中に脱塩した。脱塩し、コンジュゲートされたペプチドを、Bradford(Coomassie Brilliant Blue、Thermo Fisher Scientific Inc.)アッセイまたはBCAタンパク質アッセイ(ビシンコニン酸、Thermo Fisher Scientific Inc.)、ならびにSDS−PAGEおよびサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、タンパク質含量について分析した。
【0381】
表10で以下に記載したように、0、19&34日目に、メスのBalb/c(6〜8週)に、AlhydrogelとCpGアジュバントとともに、Qbeta、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはジフテリアトキソイド(DT)にコンジュゲートされたペプチドを筋肉内経路によって注射した(50μlを各前脛骨筋中に注射した)。最後のブーストの1週間後に調製した血清を、実施例5に記載したように、IgE結合アッセイにおいて、抗IgE抗体活性について試験した。応答を表10に示す。
【0382】
結果
本試験(表10)は、紫001および黄001ペプチド(表9で示した配列)は、DT、Qbeta、またはHBsAgにコンジュゲートされたとき、抗ヒトIgE抗体を誘発することができることを示した。抗ヒトIgE抗体は、GMBSリンカーまたはSMPHリンカーを使用して誘発された。
【0383】
【表10】
【0384】
【表11】
【0385】
(実施例12)
ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発において、ペプチドの組合せの効力は、Qbetaにコンジュゲートした単一のペプチドを使用するより大きい。
ヒトIgEに結合することができる抗体応答の誘発において、Qbetaにコンジュゲートしたペプチド(上記実施例に詳述したような)がどのようであったかを評価することを目的としたいくつかの試験を実施した。表に示したような特定のタイミングの詳細で、実施例5に記載したように、メスのBalb/c(6〜8週)を筋肉内経路によって免疫化した。抗IgE応答、脱顆粒誘導活性、およびIgE枯渇活性を、実施例5に詳述したように測定した。
【0386】
結果
表11に示したように、ペプチドの(表9での配列を参照)Qbetaへのコンジュゲーションは、対照値を超えて脱顆粒を引き起こすことなく、遊離IgEに結合することができる抗体応答を誘発した。単一アジュバントとしてAlhydrogelを使用することは有効であり、紫ペプチドと黄ペプチドの組合せは、より高いIgE結合抗体応答を誘発した。さらに、このペプチドの組合せは、IgEに結合すること、および枯渇させることにおいてより強力な抗体応答を誘発した。Alhydrogel製剤にCPG24555を付加することにより、脱顆粒活性を誘発することなく、抗IgE抗体応答がさらに増大した。
【0387】
(実施例13)
紫001および黄001のマウス相同体による抗自己IgE応答の誘発
IgEペプチドワクチンが、インビボでIgG抗自己IgE抗体を誘発し、IgEレベルを低減する能力を、IgEレベルが上昇したマウス(ミョウバンを用いて製剤化されたモデル抗原として、エンドトキシンを含まないオボアルブミン(OVA)で予備免疫することによって誘発した−参考文献例 Lloyd Cら、J.Immunol 2001、166、p2033〜2040)において評価した。IgE抗OVA応答の誘発後に、Qbeta担体にカップリングされ、アジュバントとともに製剤化された抗原ペプチドをマウスにワクチン接種した。マウスIgEの相同領域に由来するペプチドを使用した(マウス黄001=QCIVDHPDFPKPIVRS(配列番号458);マウス紫001=PDHEPRGVITYLIPPSPC(配列番号459))。IgEレベルを低下させることにおけるワクチン接種の効力は、ワクチン接種前後で血清中のIgE抗OVAのレベルを測定することによってモニターした。
【0388】
a)オボアルブミン特異的IgEの定量化アッセイ
要約:OVA特異的マウスIgEの濃度を求める電気化学発光(ECL)アッセイ。OVA特異的IgEモノクローナル抗体(AbD Serotec カタログ番号PMP68)を、各アッセイにおいて試験した、この標準物質(Harlan LabsからのBalb/c陰性血清(400匹の動物 Harlan laboratories コード番号R−0131Dからプールした)中に30μg/mLのトップ濃度で添加した)の定量的な12点1/2対数希釈液とともに、陽性対照として使用した。このプールした通常血清は、陰性対照として単独でも使用した。アッセイプレートのコーティング:384ウェルアッセイプレート(Meso−Scale Diagnostics(MSD)標準的な結合 カタログ番号L11XA−1、0370PA)を、0.01M PBS pH7.4の0.01MのPBSを用いて15μg/mLに希釈した、12μL/ウェルのマウスIgEに対するラットpAb−Invitrogen カタログ番号04700でコーティングし、次いで振盪機上で室温で2時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した後、25μL/ウェルのPierceスターティングブロッキングバッファー(Pierce Biotech.カタログ番号37538)を使用してプレートをブロックし、振盪機上で、室温で40分間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:各血清試料を200中1および500中1に希釈し(pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAの希釈剤)、各希釈液12μLをコーティングしたMSDプレートに3つ組で添加し、試験した標準物質を並行して希釈した。振盪機上で、室温で2時間インキュベートした後、プレートを、pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した。pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:300の、12μL/ウェルの検出用、SULFOタグ付きオボアルブミンを添加し、次いで、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、MQ水で1:2の、界面活性剤を含む50μL/ウェルのMSD ReadバッファーT(4×)(MSD カタログ番号R92TC)を添加した。MSD Sector Imager 6000を使用してプレートを読み取った。データ分析:未処理データ(ピクセル)の対数をとり、検量線をプロットし(LogマウスIgE抗OVA濃度ng/mL対Logピクセル)、非対称5−パラメータ曲線フィッティングを適用した。試験試料のLog IgE濃度を検量線から予測し、引き続いて逆対数をとり、200または500を乗じることによって、実際のIgE濃度をng/mLで導出した。
【0389】
b)抗マウスIgE全IgG力価の決定
要約:マウスIgEに特異的な全IgG分子のレベルを表すための逆数力価(RT)を生じる比色分析ELISA。連続希釈液を血清試料から調製し、アッセイにおいて試験した。10μg/mLでHarlan LabsからのBalb/c陰性血清中に添加し、8点1/2対数連続希釈液中で滴定したマウスIgEに対するラットpAb−Invitrogen カタログ番号04700を陽性対照として使用した。Harlan LabsからのBalb/c陰性血清を、試験陰性群(試料と同様に処理した)からのプールした試料とともに、陰性対照として使用した(400匹の動物 Harlan laboratories コード番号R−0131Dからプールした)。アッセイプレートのコーティング:384ウェル高結合アッセイプレート(Corning International、カタログ番号3700)に、pH7.4の0.01MのPBSで5μg/mLに希釈した25μL/ウェルの、OVAに対するマウスIgE(AbD Serotec カタログ番号PMP68)のストックでコーティングし、振盪機上で、室温で2時間インキュベートした。pH7.4のPBSで2回洗浄した後、80μL/ウェルの0.01MのPBS/1%のBSAを使用してプレートをブロックし、室温で1時間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:各試料の8点1/10連続希釈液を、1:10の希釈から開始して調製し(PBS/1%のBSA希釈剤)、25μL/ウェルの連続希釈液をマウスIgEでコーティングしたプレート中に2つ組で移し、次いで、振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1:6000の、25μL/ウェルの全IgG検出抗体を添加し(ウサギ抗−mu IgG−Fc、カタログ番号A90−130A Bethyl Laboratories)、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で5回洗浄した後、pH7.4の0.01MのPBS/pH7.4の0.05%のTween20で1:3000の、25μL/ウェルのBio−Radキットヤギ抗ウサギ西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート(Bio−Rad カタログ番号172−1019)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で4回洗浄し、次いでpH7.4の0.01MのPBSのみで1回洗浄した後、25μL/ウェルのマウスTyper HRP基質(Bio−Rad カタログ番号172−1064)を添加し、次いで室温で30分間インキュベートした後、25μL/ウェルの2%のシュウ酸を添加することによって反応を停止し、405nmでの吸光度を読み取った。データ分析:滴定曲線を各試験試料についてプロットし(試料力価対405nmの吸光度)、試料力価(引き続いて逆数力価に変換した)を、OD1のカットオフ値から予測した。
【0390】
結果
2つの試験(表12)は、黄001のマウス相同体(m黄−001=QCIVDHPDFPKPIVRS(配列番号458))と、紫001のマウス相同体(m紫−001=PDHEPRGVITYLIPPSPC(配列番号459))との組合せは、IgEの内因性レベルを効率的に低下させることができる(Qbeta VLP免疫化対照中のレベルと比較して)抗自己IgE抗体応答を誘発することができることを示した。したがって、機構の証明は、IgEペプチドコンジュゲートは、内因性IgE分子に対するB細胞寛容を破壊することができ、これは、内因性IgEレベルの低減と相関することを示すことによって実現された。
【0391】
【表12】
【0392】
(実施例14)
カニクイザル(Cynomolgus macaque)の紫014、および黄001または黄014でのワクチン接種
ヒトIgEペプチドワクチンが、インビボで自己IgEに対する寛容を破壊する能力を、担体(Q beta VLP)にカップリングさせ、アジュバントとともに製剤化した抗原ペプチドでワクチン接種したカニクイザル(Cynomolgus macaque)において評価した。ヒトIgE由来のペプチドを使用した。次いで、抗自己IgE免疫応答を誘発することにおけるワクチン接種の効力を、ワクチン接種前後で血清中のIgG抗IgEのレベルを測定することによってモニターした。
【0393】
カニクイザル(Cynomolgus macaque)アッセイ
a)以下の抗原/VLPに特異的なIgGについての全IgG力価決定:カニクイザル(Cynomolgus macaque)IgE Cε2−Cε4ドメイン、ヒトIgE Cε3Cε4ドメイン、KLHにコンジュゲートした、およびQbetaにコンジュゲートした個々のペプチド(黄および紫)。
要約:ワクチンまたはVLPに特異的な全IgG分子のレベルを表すための逆数力価(RT)を生じる電気化学発光(ECL)アッセイ。連続希釈液を血清試料から調製し、アッセイにおいて試験した。ヒト化抗IgEモノクローナル抗体(E25、Xolair)で添加したカニクイザル(Cynomolgus macaque)血清を、陽性対照として40μg/mLで使用した。添加していないカニクイザル(Cynomolgus macaque)血清を陰性対照として使用した。アッセイプレートのコーティング:384ウェルのアッセイプレート(Meso−Scale Diagnostics(MSD)ストレプトアビジンでコーティングされた カタログ番号L21SA−1)を、pH7.4の0.01MのPBS/1%のBSAで1μg/mLに希釈した12μL/ウェルのビオチン化カニクイザル(Cynomolgus macaque)IgE Cε2−Cε4またはヒトIgE Cε3Cε4でコーティングした。384ウェルアッセイプレート(Meso−Scale Diagnostics(MSD)標準的な結合 カタログ番号L11XA−1、0370PA)を、12μL/ウェルの、pH7.4の0.01MのPBS(BSAなし)で1μg/mLに希釈した個々のペプチド(KLHにコンジュゲートした)、または2〜5μg/mLに希釈したQbetaでコーティングした。次いでプレートを、振盪機上で、室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した後、25μL/ウェルのPierceスターティングブロッキングバッファー(Pierce Biotech.カタログ番号37538)を使用してプレートをブロックし、振盪機上で、室温で40分間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBSで3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:対照を含む各試料の8点1/2対数連続希釈液を、1:20の希釈から開始して調製し(PBS/1%のBSA希釈剤)、12μL/ウェルの連続希釈液を試験抗原/VLPでコーティングしたプレートのウェル中に移し、次いで、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した後、0.02μg/mLに希釈した(PBS/1%のBSA希釈剤)SULFOタグ付きプロテインGを、プレートに添加した(12μL/ウェル)。プレートを、振盪しながら室温で1時間インキュベートし、次いで、pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した。MQ水で1:2の、50μL/ウェルの、界面活性剤を含むMSD Read バッファーT(4×)(MSD カタログ番号R92TC)を添加した。MSD Sector Imager 6000を使用してプレートを読み取った。データ分析:滴定曲線を各試験試料についてプロットし(試料力価対ピクセル)、試料力価(引き続いて逆数力価に変換した)を、カットオフ値(ピクセル)から予測した。
【0394】
b)カニクイザル(Cynomolgus macaque)抗体の結合活性アッセイ
要約:ヒトCε3Cε4に特異的な全IgG分子の結合強度を表すための結合活性指数(AI)を生じる比色分析ELISA。ヒト化抗IgE抗体Xolair(E25)は、40および4μg/mLで、プールしたカニクイザル(Cynomolgus macaque)血清(本試験のQb−VLP対照群から調製した)中に添加し、陽性対照として12点1/2対数連続希釈液で滴定した。試験Qb−VLP群からのカニクイザル(Cynomolgus macaque)血清を、市販のカニクイザル(Cynomolgus macaque)血清とともに、陰性対照として使用した。アッセイプレートのコーティング:SuperBlockブロッキングバッファー(Fisher Scientific Co Ltd PI15504)を含む、Reacti−Bind(商標)ストレプトアビジンがコーティングされたHBC透明384ウェルプレートを、pH7.4の0.01MのPBS中、1μg/mLで、12μL/ウェルのビオチン化ヒトCε3Cε4でコーティングし、振盪機上で、室温で1時間インキュベートした。pH7.4のPBSで3回洗浄した後、25μL/ウェルの0.01MのPBS/1%のBSAを使用してプレートをブロックし、室温で40分間インキュベートした後、最後にpH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で3回洗浄した。試料調製およびアッセイ:試料を、0.01MのPBS/1%のBSAで希釈した。各試料により滴定曲線を作成し、この曲線から、180,000のピクセル値を使用することによって、各試料について使用するための個々の逆数力価(RT)希釈を計算した。各試料を希釈するためにこのRTを使用することによって、各試料からの同様のレベルの抗体が、結合活性アッセイにおいて使用されることを保証した。12μLの各希釈した試料を、コーティングされた384ウェルプレートの24ウェルに添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で5回洗浄した後、チオシアン酸アンモニウムを、異なる濃度で、12μL/ウェルでプレートに添加し、次いで、振盪しながら室温で15分間インキュベートした。(12の濃度のチオシアン酸アンモニウムを使用した:12、10、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、および0Mを、2つ組試料に添加した)。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で4回洗浄した後、0.01MのPBS/1%のBSAを含む、12μL/ウェルのHRPを標識したマウス抗−ヒトIgG(Southern Biotech 9042−05)を添加し、次いで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。pH7.4の0.01MのPBS/0.05%のTween20で5回洗浄した後、25μL/ウェルのTMB基質(Sigma P−8665)を添加し、次いで、暗所で、室温で30分間インキュベートした。反応を停止させるために、25μL/ウェルの2%のシュウ酸を添加し、吸光度450nmでプレートを読み取った。データ分析:各チオシアン酸アンモニウム濃度の各試料についての低減率を、0Mのチオシアン酸アンモニウム試料の405nmの平均吸光度を0%の低減として使用して計算した。次いで、滴定曲線を各試験試料についてプロットし(低減率対450nmの吸光度)、50%の低減のカットオフ値からAIを予測した。
【0395】
結果
本試験(表13)は、黄001または黄014と紫014の組合せ(表9の配列を参照)は、免疫原性であり、抗自己(カニクイザル(Cynomolgus macaque))IgEおよび抗ヒトIgE抗体応答を誘発し、これは、特定のペプチドに対する応答と相関することを示した。さらに本試験は、抗体応答の結合活性は、カニクイザル(Cynomolgus macaque)において投薬を繰り返すことによって増大させることができることを示す。
【0396】
【表13】
【0397】
【表14-1】
【0398】
【表14-2】
【0399】
【表14-3】
【0400】
【表14-4】
【0401】
【表14-5】
【0402】
【表14-6】
【0403】
【表14-7】
【0404】
【表14-8】
【0405】
【表14-9】