(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964296
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】エレベータアクセス管理システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
B66B5/00 F
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-517256(P2013-517256)
(86)(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公表番号】特表2013-529586(P2013-529586A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2011060857
(87)【国際公開番号】WO2012001014
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】10167984.3
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリードリ,パウル
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/002378(WO,A1)
【文献】
特表2009−523678(JP,A)
【文献】
特開2008−230805(JP,A)
【文献】
特表2005−504382(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/023723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータホール(6)を含む保安区域内における許可されていない個体の存在を検出するように動作可能であり、かつ保安区域(12)内に1つ以上の許可されていない個体を検出することによって、侵害信号を生成するように動作可能であるアクセス監視装置(14)と、
アクセス監視装置(14)と通信し、かつ侵害信号を受信することによって保安警戒フェーズを開始させるように構成されたアクセスシステムコントローラ(22)と、
エレベータシステムコントローラ(24)であって、保安警戒フェーズの間中、各エレベータかご(4)を監視して、ドアが開いた状態にある、ホール(6)の各ドア(26)を有する各エレベータかご(4)を識別するように構成され、かつ
保安警戒フェーズ中にドアが開いた状態にあるか、またはドアが開いた状態になる、ホール(6)の対応するドア(26)を有する各エレベータかご(4)に関して、各エレベータかご(4)を利用者が操作するのを防止し、保安警戒フェーズの残りの間中、ホール(6)の各ドア(26)を開いた状態に維持するように構成されたエレベータシステムコントローラ(24)と
を備え、
アクセス監視装置(14)が、保安区域(12)への直接アクセスを提供する少なくとも1つの保護された出入口(16)を含み、各保護された出入口(16)が、エレベータかご(4)から遠く離れており、各保護された出入口(16)が、アクセス検出器を含み、アクセス検出器が、保護された出入口(16)を介する保安区域(12)への許可されていない進入を検出するように構成され、かつ許可されていない進入が検出された場合に、侵害信号を生成するように構成されている、エレベータアクセス管理システム。
【請求項2】
ドアが開いた状態が、
保安警戒フェーズの開始時に開いているか、
保安警戒フェーズの開始時に開く途中であるか、
保安警戒フェーズの開始時に閉じる途中であるか、または
保安警戒フェーズ中に開く、
ホール(6)のドア(26)に対応する、請求項1に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項3】
保護された出入口(16)が、一度に一人を通過させるように構成される、請求項1または2に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項4】
各許可アクセス検出器が、個体が保護された出入口(16)を通過する方向を検出するように構成され、この場合、アクセス検出器は、個体が保安区域(12)から離れる場合に侵害信号を生成しない能力を有するようになっている、請求項1または2に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項5】
各許可アクセス検出器が、個体が保護された出入口(16)を通過する方向を検出するように構成された方向検出器(36)と、保安区域(12)に入りつつある個体のIDを検出するように構成されたIDセンサ(34)とを含む、請求項1または2に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項6】
各方向検出器(36)が、各保護された出入口(16)の保安側(38)および保全されていない側にそれぞれ配置された第1および第2のセンサ(46)を含み、各センサ(46)が、保護された出入口(16)を通過する個体を検出するように動作可能であり、方向検出器(36)は、第1および第2のセンサ(46)の検出順序にもとづいて、個体が保護された出入口(16)を通過する方向を判断する、請求項5に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項7】
各センサ(46)が、ビーム発生器と、発生器からのビームを検出するために配置されたビーム検出器とを含み、センサ(46)が、ビーム検出器によるビーム検出の中断にもとづいて、保護された出入口(16)を通過する個体を検出するように構成される、請求項6に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項8】
許可アクセス検出器が、方向検出器(36)が、ID検出器によって先立ってIDが許可されていない状態で、保護された出入口(16)を介して保安区域(12)に入りつつある個体を検出した場合には、侵害信号をトリガするように構成され、また、方向検出器(36)が保護された出入口(16)を介して保安区域(12)から出つつある個体を検出する場合、または、方向検出器(36)が保護された出入口(16)を介して保護区域(12)に入りつつある個体を検出する前にID検出器が許可されたIDを検出する場合には、侵害信号をトリガしないように構成される、請求項5に記載のエレベータアクセス管理システム。
【請求項9】
少なくとも1基のエレベータかご(4)を含むエレベータシステムへのアクセスを提供するエレベータホール(6)を含む保安区域(12)の範囲を画定するステップと、
保安区域(12)内における許可されていない個体の存在、または保安区域(12)内への許可されていない個体の進入を監視するステップと、
保安区域(12)内における1つ以上の許可されていない個体の存在、または保安区域(12)内への1つ以上の許可されていない個体の進入を検出することによって、保安警戒フェーズを開始させるステップと、
保安警戒フェーズの間中、エレベータシステムの各エレベータかご(4)の状態を監視して、ドアが開いた状態にある、ホール(6)の各ドア(26)を有する各エレベータかご(4)を識別するステップと、
エレベータホール(6)においてドアが開いた状態にある、対応するドア(26)を有する各エレベータかご(4)のそれぞれを利用者が操作するのを防止し、保安警戒フェーズの残りの間中、ホール(6)の各ドア(26)を開いた状態に保持するステップと
を含み、
保安区域(12)内における許可されていない個体の存在、または保安区域(12)内への許可されていない個体の進入を監視するステップが、方向検出器(36)を使用して保護された出入口(16)を介する個体の入場を検出することを含み、保安警戒フェーズを開始させるステップは、方向検出器(36)が、ID検出器によって先立ってIDが許可されていない状態で、保護された出入口(16)を介して保安区域(12)に入りつつある個体を検出した場合に、侵害信号をトリガすることを含み、また、方向検出器(36)が、保護された出入口(16)を介して保安区域(12)から出つつある個体を検出する場合、または、方向検出器が保護された出入口(16)を介して保護区域(12)に入りつつある個体を検出する前に、ID検出器が許可されたIDを検出する場合に、侵害信号をトリガしないことを含む、エレベータアクセス区域を保全する方法。
【請求項10】
保安警戒フェーズの開始時に開きつつある、ホール(6)のドア(26)を有する各エレベータかご(4)に関して、対応するドア(26)が完全に開くことを可能にし、その後、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するドアを開いた状態に保持し、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するエレベータを利用者が制御するのを防止するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
保安警戒フェーズの開始時に閉じつつある、ホール(6)のドア(26)を有する各エレベータかご(4)に関して、対応するドア(26)を開き、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するドア(26)を開いた状態に保持し、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するエレベータを利用者が制御するのを防止するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
保安警戒フェーズ中にホール(6)に到着する各エレベータかご(4)に関して、対応するドア(26)が完全に開くことを可能にし、その後、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するドア(26)を開いた状態に保持し、保安警戒フェーズの残りの間中、対応するエレベータを利用者が制御するのを防止するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
保安警戒フェーズを終了させるステップをさらに含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス管理システムに関し、特に、保安区域への/からの通路を管理するアクセス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分のビルには、一般の人がビルの一部にアクセスするのを禁止するために、ある程度のアクセス管理が必要である。多くのビルでは、ビル自体の入口に、このアクセス管理が含まれている。しかしながら、多くのより大きなビルには、一般の人がアクセスすることのできるビルの部分もあれば、一般の人の立ち入りが禁止されており、かつある程度のセキュリティを必要とする他の部分もある。大きなビルの1階部分またはロビーが、一般の人に開放されている一方で、該ビルの上階へのアクセスが、一般の人には認められておらず、保全されていることは、極めて一般的である。アクセスを限定するために、またはビルの上階を安全に保つために、このタイプの多くのビルでは、許可されていない人がエレベータにアクセスするのを完全に制限している。許可されていない人が、エレベータにアクセスできないようにするために、ビルには、バリヤが備えられているか、もしくは警備員がいるか、またはそれぞれの組み合わせが配置されている場合がある。これらの解決策は、いずれも理想的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/002378号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しばしば、ビルのテナントの人は、制限するバリヤが使用されるのを見苦しいと感じる。さらに、使用されるタイプによっては、バリヤが、ビルへの/からの歩行者の往来を妨害してしまう場合がある。制限するバリヤに伴う問題を限定的にするために、制限するバリヤは、通常は、可能な限り小さいものとされている。しかしながら、小さなバリヤ、例えば短いターンスタイルは、区域へのアクセスを制限しておくのに特別効果的なわけではない。制限された区域に入ろうと決めた任意の人は、容易にターンスタイルを飛び越えることができるし、別の方法でバリヤを回避することもできる。したがって、このようなバリヤは、通常は、警備員と組み合わせなければならない。しかしながら、警備員のチームは、効果的であるものの、維持費用が高い。そのため、制限的なバリヤまたは多数の警備員を必要とすることなく、ビルの特定の階へのアクセスを限定するアクセス管理システムが必要とされている。
【0005】
国際公開第2010/002378号には、エレベータかごの1つに関してセキュリティ上の侵害が確認されたことに部分的にもとづいてエレベータかごを動作させる、セキュリティにもとづいたエレベータ制御方法が開示されている。開示された方法では、許可されていない利用者が、エレベータかごに入ったときに、ホールとかごとの境界を横切ることによって、許可されていない利用者の存在を検出するセンサが用いられている。センサは、各エレベータかごの戸口に配置されている。この方法は、許可されていない人が、センサによって識別され得る検出可能なIDタグ(幼児もしくは内科患者のIDタグ、または収監された人の追跡装置など)を身に着けることを要求する。あるいは、受付係などの許可された人が、エレベータかご内に許可されていない利用者がいることに気付き、セキュリティにもとづいたシステムに通報する場合がある。このタイプのシステムは、IDまたは追跡装置によって標識された、既知の許可されていない人を阻止するには効果的かもしれないが、未知の許可されていない人が、エレベータシステムを使用するのを防止することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、許可されていない個体によってアクセスされないようにビルの区域を制限するために、アクセス監視装置と協働する、すでに使用可能なエレベータなどの管理された通路を利用する。一実施形態において、本発明は、1つ以上の管理された通路へのアクセスを提供している保安区域を含むアクセス管理システムを提案する。アクセス監視装置は、保安区域内における許可されてない個体の存在検出し、保安区域内に許可されていない個体を検出することによって、侵害信号を生成するために使用される。アクセス監視装置と通信するアクセスシステムコントローラは、侵害信号を受信することによって、保安警戒フェーズを開始させる。次に、コントローラは、許可されていない個体が、1つ以上の管理された通路を使用して保安区域から離れるのを防止するために警戒態勢を整える。
【0007】
別の実施形態では、アクセス管理システムは、エレベータホールを含む保安区域を監視し、エレベータホールからアクセス可能な少なくとも1つのエレベータかごを有するエレベータシステムを管理する。エレベータシステムの各エレベータかごは、エレベータかごとホールとの間のアクセスを提供しているドアをホールに有している。アクセス管理システムは、保安区域内における許可されていない個体の存在を検出し、かつ許可されていない個体を検出することによって、侵害信号を生成するアクセス監視装置を含む。侵害信号を受信することによって、セキュリティ検出器と通信するセキュリティシステムコントローラは、保安警戒フェーズを開始させる。アクセス管理システムは、保安警戒フェーズの間中、各エレベータかごを監視して、ドアが開いた状態にある、ホールにドアを有するエレベータかごを識別するエレベータシステムコントローラを含む。保安警戒フェーズ中にドアが開いた状態にある各エレベータかごに関して、このシステムは、エレベータかごを利用者が操作するのを防止し、保安警戒フェーズの残りの間中、各ドアを開いた状態に保持する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、エレベータシステムを保全する方法であって、少なくとも1基のエレベータかごを含むエレベータシステムへのアクセスを提供しているエレベータホールを含む保安区域の範囲を画定するステップと、保安区域内における許可されていない個体の存在、または、保安区域内への許可されていない個体の進入を監視するステップと、保安区域内における許可されていない個体の存在、または、保安区域内への許可されていない個体の進入を検出することによって、保安警戒フェーズを開始させるステップと、保安警戒フェーズの間中、エレベータシステムの各エレベータかごの状態を監視して、ドアが開いた状態にある、ホールに各ドアを有する各エレベータかごを識別するステップと、エレベータホールにおいてドアが開いた状態にある、対応するドアを有する各エレベータかごのそれぞれを利用者が操作するのを防止するステップと、保安警戒フェーズの残りの間中、ホールの各ドアを開いた状態に保持するステップとを含む方法を提案する。
【0009】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照しながら以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクセス管理システムによって保全された区域の階平面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態に係るアクセス管理システムによって保全された区域の階平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアクセス管理システムに使用される通信ネットワークを示している。
【
図4】本発明の実施形態に応じて使用される保護された出入口の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、保全されたエレベータシステム2へのアクセスを提供している区域の階平面を示している。図示されたエレベータシステム2は、共通のエレベータホール6からアクセス可能であり、共通のエレベータホール6へのアクセスを提供している6基のエレベータ4を含んでいる。例として、
図1の階平面に示された区域は、商業ビルのロビーであってもよい。このビルは、公共スペースおよび/または小売スペースを含んでいる場合があり、したがって、ロビーの一部は、一般の人によってアクセス可能である。例えば、図示されたビルには、該ビルへのアクセスを提供している回転ドア10に隣接した公共スペース8がある。エレベータかご4によってアクセス可能なビルの上階は、通常、一般の人の立ち入りが禁止されているか、または制限されており、したがって、許可された個体にのみ開放されている。上階の安全を維持するために、エレベータホール6は、許可された個体のみがアクセス可能である保安区域12内において維持されている。本明細書で使用される個体という用語は、人々を含み、さらには動物、ロボット、および他の可動機械を含むことができる。したがって、エレベータシステム2は、エレベータシステム2を使用してビルの残りの部分にアクセスしようする許可されていない人々または脅威となる他の人々から、エレベータによってアクセス可能な他の階を保全することができる。
【0012】
保安区域12へのアクセスについて、許可されていない個体は、アクセス監視装置14によって選別される。
図1に示されている実施形態では、アクセス監視装置14は、許可された個体および許可されていない個体が通過するのを検出するように構成された2つの保護された出入口16を含んでいる。エレベータシステム2のエレベータかご4を除いては、保護された出入口16が、保安区域12への他の唯一のアクセスを提供している。したがって、保護された出入口16によって、許可されていない個体が、公共スペース8から保安区域12に入るのを確実に監視することができる。以下、IDカードを使用する、保護された出入口16の具体的な実施形態について、より詳細に説明する。しかしながら、本発明に関連して他のタイプのアクセス監視装置14を使用することもできる。例えば、保護された出入口16は、指紋、網膜、または虹彩の走査などの生体認証を用いて保安区域に入る個体を識別することができる。別の選択肢として、アクセス監視装置14は、保安区域内の任意の位置における許可されていない個体の存在を監視することができる。このようなシステムは、保安区域12内に任意の個体を発見し、この個体を、RFIDタグなどの対応するIDタグの位置と照合するために、カメラまたはアンテナなどの装置を含むことができる。このようにして、カメラまたはアンテナによって、保安区域12内に、対応するRFIDタグを持たない人が発見された場合、アクセス監視装置は、その人を許可されていないものとして識別する。あるいは、アクセス監視装置は、遠距離から認識可能な生体データ(顔認識など)を用いて保安区域12の全体を監視することができる。
【0013】
エレベータアクセス管理システムは、保安区域12と他の階とをつなぐ管理された通路により他の階へのアクセスを限定することによって、許可されていない個体がビルの他の階にアクセスするのを防止する。
図1に示されている実施形態では、管理された通路は、すべてエレベータかご4である。以下でかなり詳細に検討するように、この実施形態では、アクセス監視装置14が、1つ以上の許可されていない個体によって保安区域が侵害されたことを検出した場合、保安警戒フェーズが確立し、ホール6にいるどのエレベータかご4も、侵害に対する対応が取られて、保安警戒フェーズが終わるまで、ホール6から離れるのを妨げられる。しかしながら、本発明のアクセス管理システムはさらに、保安区域12と他の階との間のアクセスを提供する他の通路と共に使用されてもよい。例えば、
図2に示されている本発明の実施形態では、戸口18によって、保安区域12から、他のフロアにつながっている階段吹き抜け20への通路が提供されている。保安警戒フェーズの間中、エレベータかご4を利用者が操作するのを防止することに加えて、アクセス管理システムはさらに、保安警戒フェーズの間中、戸口18をロックして、許可されていない個体が、階段吹き抜け20を使用して、ビルの一般の人の立ち入りが禁止されている階にアクセスするのを防止することができる。
【0014】
本発明は、1人以上の警備員によって保安区域12を常時監視することを必要とせずに、ビルの安全を維持することを可能にする。さらに、保安区域12への各進入路に警備員がいる必要がないため、保安区域12は、多数の警備員を必要とせずに、多数の進入路からアクセス可能とすることができる。この区域の安全を維持するために、アクセス管理システムは、上記したように、例えばカメラを使用してこの区域全体を監視することもできるし、各進入路に1つ以上の対応する保護された出入口16を備えることもできる。したがって、かなり小規模な警備員のチームによって、大きなビルを安全に保つことができる。さらに、アクセス管理システムを、複数の保安区域12に使用することができる。例えば、アクセス管理システムを、2つの異なるテナントおよび4つのエレベータ群によって占められる大きなビルに使用することができる。これらのエレベータ群のうちの3つが一方のテナントによって使用され、第4のエレベータ群が他方のテナントによって使用される場合、第1の保安区域は、3つの第1のエレベータ群に対応するエレベータホール6を含むと画定することができ、第2の保安区域は、第4のエレベータ群に対応するエレベータホール6を含むと画定することができる。この場合、セキュリティシステムによって2つの保安区域12を別々に扱うことができ、警備員は、セキュリティ上の侵害が生じる保安区域のセキュリティ上の侵害に対して個別に対処することができる。一方、アクセス管理システムはさらに、1つのエレベータのみを有する小さなビルに使用されてもよい。アクセス管理システムによって、小さなビルの安全を維持し、該ビルから遠く離れた場所にいる警備員によって任意のセキュリティ上の侵害に対処することが可能になる。
【0015】
本発明の実施形態のアクセス管理システムは、
図3に示されているように、エレベータシステム2の管理と、アクセスコントローラとを組み合わせることによって、許可された個体のみが、エレベータまたは他の通路を介してビルの一般の人の立ち入りが禁止されている階に行くことを可能にしている。このシステムは、エレベータの機能を管理するためにエレベータかご4およびエレベータドア26と通信するエレベータシステムコントローラ24を含んでいる。例えば、エレベータシステムコントローラ24は、ビル全体のすべてのエレベータの機能を動作させる単一のディスパッチングコンピュータ(dispatching computer)であってもよいし、各エレベータに対応し、かつ互いに通信する1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせであってもよい。標準動作中に、不適切なアクセスもセキュリティ上の脅威もない場合、エレベータシステムコントローラ24は、通常通りエレベータかご4およびエレベータドア26を動作させており、これによって、エレベータの動作が、許可された個体の行動によって、例えば、ボタンを使用して特定の階にエレベータを呼び出すことによって、制御されることを可能にしている。これと同時に、エレベータシステム2の安全性が、1つ以上の保護された出入口16と通信するアクセスシステムコントローラ22によって監視される。例えば、アクセスシステムコントローラ22は、保護された出入口16のそれぞれと通信し、かつエレベータシステムコントローラ24とも通信するセキュリティコンピュータであってもよい。あるいは、アクセスシステムコントローラ22は、それぞれがエレベータシステムコントローラ24と通信する保護された出入口16のそれぞれに対応する複数のマイクロプロセッサによって形成されてもよい。別の選択肢として、アクセスシステムコントローラ22およびエレベータシステムコントローラ24は、保護された出入口16のそれぞれおよびエレベータかご4のそれぞれと通信する単一のプロセシングユニットにおいて実現されてもよい。
【0016】
アクセスまたはセキュリティ上の侵害がない場合、アクセスシステムコントローラ22は、エレベータシステムコントローラ24が通常通り動作することを可能にする。しかしながら、1つ以上の保護された出入口16が、保安区域12に許可されていない個体が入ったことを示した場合、保護された出入口16は、アクセスシステムコントローラ22に侵害信号を送る。侵害信号の受信に応答して、アクセスシステムコントローラ22は、保安警戒フェーズを開始させ、保安警戒フェーズの開始をエレベータシステムコントローラ24に伝達する。エレベータシステムコントローラ24は、保安警戒フェーズが始まったことを示す伝達内容を受信するとすぐに、保護モードでエレベータかご4およびエレベータドア26を動作させて、許可されていない個体がビルの他の階に入るのを防止する。
【0017】
エレベータシステムコントローラ24によって実行される、保護モードの動作は、エレベータシステムの全エレベータ機能の厳重な遮断から、エレベータの利用者による操作は限定されるが、エレベータは機能したままの状態にあるより複雑な保護モードまで多岐にわたる。全エレベータ機能が遮断される、保護モードの動作の一実施形態では、エレベータシステムコントローラ24は、エレベータの移動をすべて停止させることによって、許可されていない個体が、保安区域12を介してビルの他の階にアクセスするのを防止する。別の実施形態では、エレベータシステムコントローラ24は、許可されていない個体を阻止するのと同時に、エレベータシステムの何らかの動作を維持するより複雑な動作モードを使用することができる。例えば、エレベータシステムコントローラ24は、保安区域12においてセキュリティ上の侵害が生じた階に関しては制限されるが、他のすべての階に関しては通常通り動作するように、保安警戒フェーズの間中、エレベータを管理することができる。具体例としては、セキュリティ上の侵害時に安全でない階に位置するどのエレベータの機能も遮断される一方で、セキュリティ上の侵害時に他の階に位置するエレベータは、該エレベータの機能する他のすべての階の間に関しては自由に動作することができる。あるいは、安全でない階に位置するエレベータは機能したままの状態でもよいが、エレベータを利用者が操作するのを防止することができる。例えば、エレベータシステムコントローラ24は、エレベータを動作させ続けるが、エレベータ内のボタンを利用者が押すなどの、エレベータへの利用者による入力を無視することができる。エレベータのさらに多くの機能を維持するために、セキュリティ上の侵害時に安全でない階から離れた位置にいる任意のエレベータが、安全でない階に移動するのを許可し、その後、保安警戒フェーズが終わるまで、該エレベータが安全でない階から離れるのを防止することができる。これにより、乗員が、通常通り、安全でない階に移動することが可能になり、許可されていない個体が、侵害された保安区域12から他の階にアクセスすることのみが防止される。
【0018】
特定の実施形態では、保安警戒フェーズ中の、エレベータかご4およびエレベータドア26の動作は、許可されていない個体が、エレベータの機能する他の階にアクセスするのを防止し、かつ警備員が許可されていない個体を発見するのを助けるように管理されてもよい。この特定の実施形態では、保安区域12を有する階に対応するホール6に位置し、かつセキュリティ上の侵害時にドアが開いているか、または部分的に開いている任意のエレベータは、保安警戒フェーズの残りの間中、その階にドアが開いた状態で留め置かれる。さらに、保安警戒フェーズ中に、保安区域12が侵害された階に到着する任意のエレベータかご4は、その階にドアが開いた状態で留め置かれる。したがって、警備員がセキュリティ上の侵害に対処するために到着したとき、保安警戒フェーズ中の任意の時点に侵害された保安区域12のホール6にいる、ドアが開いた状態のすべてのエレベータかご4は、そのドア26を開いている。したがって、許可されていない個体は、エレベータかご4内に隠れることができない。警備員が、許可されていない個体を発見するか、または別の方法でアクセスまたはセキュリティ上の侵害に対処した時点で、アクセスシステムコントローラ22に保安警戒フェーズの終了を指示することができる。その後、アクセスシステムコントローラ22は、保安警戒フェーズが終了したことを示し、かつエレベータシステムコントローラ24を再び通常の動作モードで動作させる信号を、エレベータシステムコントローラ24に送ることができる。
【0019】
図1および
図2に示されている実施形態では、アクセス監視装置14は、公共スペース8から保安区域12へのアクセスを提供している複数の保護された出入口16を含んでいる。この実施形態では、保護された出入口16は、エレベータかご4および戸口18を含む管理された通路を除いて、保安区域12への唯一のアクセスポイントを示している。したがって、公共スペース8から保安区域12へアクセスしようと望む任意の個体は、保護された出入口16を介してのみそうすることができる。一実施形態では、保護された出入口16は、一度に一人のみを通過させるように構成される。例えば、保護された出入口16の形態は、一人分のみの広さの狭い通路であっても、回転ドアであってもよい。
【0020】
図4は、
図1および
図2において使用することのできる保護された出入口16の実施形態のさらなる詳細を示している。出入口16は、通路を形成するように距離を置いて隔てられた2つのコラム28を含んでいる。各コラム28は、通路に隣接する内面30と、通路から離れる方向を向く外面32とを有する。許可されていない個体が保護された出入口を回避するのを防止するために、各コラム28の外面32は、壁または他のバリヤに隣接するように配置することができる。あるいは、ある保護された出入口16の外面32は、隣の保護された出入口16の内面30として機能してもよく、このような一連の隣接し合う保護された出入口16は、コラム28を共有することができる。保護された出入口16は、IDセンサ34および方向検出器36を含む許可アクセス検出器(authorized access detector)を含んでいる。IDセンサ34は、出入口の公共側(領域40)から出入口の保安側(領域38)に向かって保護された出入口16の通路を通過しようとする人のIDタグを読み取るように構成されている。許可アクセス検出器の方向検出器36は、人が出入口を通過しているのか否か、および、その人が保安区域12に入りつつあるのか、または保安区域12から出つつあるのかを判断する。
【0021】
許可アクセス検出器は、保安区域12の許可アクセスを監視し、許可されていない進入が発生した場合に侵害信号を出す。人が、保安側38から現れて保護された出入口16を通過する場合、許可アクセス検出器は、侵害信号を出さない。これは、人が保安区域から離れつつあるからである。一方、人が、IDセンサ34に許可されたIDタグを最初に提示せずに、公共側40から現れて保護された出入口16を通過する場合、許可アクセス検出器は、保護された出入口16にアクセスシステムコントローラ22へ侵害信号を送らせる。許可された個体が、保護された出入口16の公共側40から保安区域12に入ろうと望む場合、それは、最初に、IDセンサ34に許可されたIDタグを提示する。IDセンサ34によって、人が、保安区域への進入を許可されていることが判断されるとすぐに、その進入が承認されたことを示す信号が、随意に、その人に対して提示される。その後、人は、侵害信号をトリガすることなく、保護された出入口を介して保安区域に入ることができる。例えば、保護された出入口は、進入が承認されたことを示す光または音を用いて信号を提示してもよい。保護された出入口の図示された実施形態は、進入が承認されたことを表示するライト42を含んでいる。
【0022】
図4に示されている実施形態の方向検出器36は、出入口16のコラム28間の通路にまたがる1対の光電部品によって形成されている。各光電部品は、センサ46に向かってビームを発射する1つ以上の信号発生器44を含んでいる。方向検出器36は、どちらか一方のビームが遮断された時点を監視することによって、人が出入口を通過したと判断する。いずれか一方のセンサ46がビームを感知し損なうと、方向検出器36は、人が通路を通過したと判断する。
【0023】
方向検出器36は、ビームが遮断されたことがセンサ46によって検出されるタイミングにもとづいて、人が、保安区域12から離れつつあるのか、または保安区域12に入りつつあるのかを判断することができる。光電部品は、出入口16の保安側38から該出入口の公共側40に向かって並んで配置されている。したがって、方向検出器36は、いずれのビームが最初に遮断されたのかにもとづいて、出入口を歩き抜ける人が移動している方向を検出することができる。出入口16の保安側38のビームが、最初に遮断される場合は、出入口16を通過している個体が、保安区域から離れつつあり、
図4に示されている方向50に向かって移動していると判断することができる。一方、公共側40のビームが、最初に遮断される場合は、個体が、方向48に向かって移動しており、保安区域12に入りつつあると判断することができる。この情報は、セキュリティシステムコントローラが侵害信号を発生させる時点を管理するために、セキュリティシステムによって使用され得る。
【0024】
図1に示されているアクセス管理システムとの関連で、
図4に示されているように、保護された出入口16を使用することによって、個体が保護された出入口を通過する方向にもとづいて保安侵害フェーズを開始するか否かを選択するために、個体が出入口16を通過する方向が、どのように使用され得るのかを実際に示すことができる。例えば、許可された個体が、保安区域の外側から、セキュリティシステムによって保護された、ビルの上階に移動するときに、以下の一連の事態が生じてもよい。個体は、公共スペース8に通じる回転ドア10を介してビルに入る。個体は、保護された出入口16に接近し、IDセンサ34にセキュリティ証明を提示する。その結果、個体が、進入方向48に沿って保護された出入口16を通過するとき、アクセスシステムコントローラ22は、保安侵害フェーズを開始させない。これは、個体の進入が、IDセンサ34の使用によって許可されたからである。保安区域12に通じる保護された出入口を通過した後、個体は、エレベータかご4を使用してビルの他の階にアクセスすることができる。このように、適切なセキュリティ証明を提示することによって、保安侵害フェーズは開始されない。その後、個体がビルから立ち去るとき、彼または彼女は、エレベータかご4の1つを使用して保安区域に到着し、退出方向50に沿って保護された出入口16を介して保安区域を出る。方向検出器36は、発生器44からのビームが遮断される順序にもとづいて、保護された出入口を通過しつつある個体が、保安区域から出つつあると判断することができる。したがって、アクセス管理システムは、個体が、保安区域から離れつつあるため、保安上の脅威を示さないと判断することができ、このためアクセス管理システムは、保安侵害フェーズを開始させない。これにより、個体が、セキュリティ証明を何ら提示することなく、ビルの保安区域から離れることが可能になる。さらに、これによって、セキュリティ証明を持っていないが、ビルの保全された階にいる許可された訪問者が、誰かに付き添われずに出て行くことが可能になる。しかしながら、許可されていない個体が、進入方向48に沿って保護された出入口16を通過するものの、適切なセキュリティ証明を提示しない場合には、アクセスシステムコントローラ22は、保安侵害フェーズを開始させ、許可されていない個体がビルの他の階にアクセスすることが可能とならないように、エレベータには防止措置が講じられる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態に適用される、本発明の特定の特徴について示し、説明してきたが、図示した装置の形態および詳細、ならびにその動作に関して、様々な省略、置換、および変更が、当業者によって行われ得ることが理解されよう。