特許第5964298号(P5964298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964298ヒトパピローマウイルスE7抗原組成物およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964298
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ヒトパピローマウイルスE7抗原組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/025 20060101AFI20160721BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20160721BHJP
【FI】
   C07K14/025
   C12N15/00 AZNA
   A61K39/12
   A61K39/39
   A61K37/02
   A61P31/20
   A61P35/00
   A61K31/7088
   A61K35/76
【請求項の数】10
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2013-518914(P2013-518914)
(86)(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公表番号】特表2013-540421(P2013-540421A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】CA2011000823
(87)【国際公開番号】WO2012006727
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年7月10日
(31)【優先権主張番号】61/364,750
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511002951
【氏名又は名称】ブリティッシュ コロンビア キャンサー エージェンシー ブランチ
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・ウェブ
(72)【発明者】
【氏名】ダリン・アーネ・ウィック
【審査官】 原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/089164(WO,A1)
【文献】 特表2007−533307(JP,A)
【文献】 特表2008−502633(JP,A)
【文献】 特表2009−538836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
C12N 1/00−7/08
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上のヒトパピローマウイルス(HPV)E7抗原のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、該ポリペプチドが、配列番号16または17に記載のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
ポリペプチドが、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
ポリペプチドが、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
ポリペプチドが、配列番号33を含むヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
ポリペプチドが、配列番号34を含むヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項に記載の核酸分子を含み、キャリアをさらに含む、組成物。
【請求項8】
アジュバントをさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
アジュバントが、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、インターフェロンアルファ、4−1 BB受容体のアゴニスト、CD40受容体のアゴニスト、または抗CD40抗体からなる群から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
免疫応答刺激するための、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは請求項に記載の核酸分子または請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトパピローマウイルス感染症および関連する状態を処置するための化合物および組成物に関する。特に、本発明は、ヒトパピローマウイルス感染症および関連する状態を処置するためのヒトパピローマウイルスE7抗原化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、100を超える、関連するが遺伝的に別個の「型」のウイルスのグループであり、これらは、ローリスクおよびハイリスクとして広く分類することができる。ローリスクHPV型は、一般に良性で、生命を危うくするものではない尋常性疣贅(または乳頭腫)と関連する。対照的に、ハイリスク型のHPVによる持続感染は、前癌性の子宮頸部異形成および子宮頸癌と関連する(1、2)。ハイリスクHPV型はまた、肛門癌、外陰癌、膣癌、および陰茎癌(3)ならびにある一部の頭頸部癌(4〜6)および乳癌(57)とも関連する。
【0003】
子宮頸癌を引き起こすハイリスクHPV型は、性行為により伝染し、正常で健康な人々に非常に蔓延している。大多数の人々が、性行為が活発になった直後に感染するようになると推定される(7、59)。大多数のハイリスクHPV感染症は、自己限定性であると考えられており、最小限の関連する病態を伴うが、ハイリスクHPVによる感染症は、悪性疾患に発達し得る(8)。
【0004】
HPV16およびHPV18がハイリスクHPV型の中で最も蔓延しているものであるが、多くのさらなるハイリスク型のHPVがある。1,918人の子宮頸癌患者および1,928人の健康な対照の女性についての最近の比較分析により、癌患者における最も一般的なHPV型が(頻度の降順で)、HPV型16、18、45、31、33、52、58、および35であることが明らかにされた(11)。同様に、子宮頸癌におけるHPVの蔓延についての全体的な分析により、HPV16が症例の50%において存在し、HPV18が14%、HPV45が8%、HPV31が5%であり、13の「ハイリスク」型の他の型が、残りの症例を構成していることが明らかにされた(12)。
【0005】
それらの蔓延により、HPV16およびHPV18は、HPVによる初感染を予防することを目的とする、広範囲の予防免疫キャンペーンの焦点となってきた(9、10)。また、現在承認されている予防ワクチンは、予防ワクチン接種が、後年、HPV関連性の悪性疾患の発生を減少させるまたは予防するであろうということを期待して、ハイリスク株HPV16およびHPV18(ならびにローリスク株HPV6およびHPV11)を標的にする。HPV16およびHPV18の予防ワクチンが、他のハイリスク型のHPVに対する部分的な交差免疫を与え得ることもまた示唆されている(13〜15)。
【0006】
現在臨床で使用されている予防HPVワクチンは、合成のウイルス様粒子(VLP)を自発的に形成する組換えウイルスカプシド糖タンパク質(L1)から構成される(60、61)。VLPベースの予防ワクチンによる免疫化は、L1タンパク質に対する強力な中和抗体応答を誘発し、これは、ウイルス感染症が慢性になるのを予防する。
【0007】
しかしながら、予防ワクチンは、慢性の感染症に対して最小限の効果しか有していないように思われる(16)。たとえば、一度、ウイルスが細胞の中に入り込むと、ウイルスは、細胞外の抗体の中和作用から保護され、ウイルス複製(および潜伏感染)が進行するのを妨げられないようにするので、予防子宮頸癌ワクチンは、HPVに既に暴露されている個人に対しては効果がない。ハイリスクHPVによる感染症は、宿主DNAへのウイルスエピソームの組み込みをもたらし得、多くの場合、いくつかの初期(E2、E4、およびE5)ならびに後期(L1およびL2)遺伝子の欠失をもたらし、感染細胞において発現され続けるただ一つのウイルスタンパク質として、HPVタンパク質、E6およびE7を残す(23、24、59)。この状況において、L1カプシドタンパク質に対するワクチンによって誘導された免疫は、治療効果について効果がない。
【0008】
さらに、子宮頸部の発癌のゆっくりとした進行と組み合わせた、今日の成人人口におけるHPV感染症の高度な蔓延のために、予防ワクチンの大量実施が子宮頸癌の発生率に対して効果を有するまで、20年以上かかるであろうということが予想される。さらに、予防ワクチンは、いくつかの実例において抵抗に遭っており、ワクチン接種の率は、様々である(17)。いくつかの地域では、ワクチン費用が問題点となったままである(18)。
【0009】
ウイルスタンパク質を発現するHPV感染細胞に対する細胞性免疫を生成させることによって、先在する病変を根絶することを目指した治療HPVワクチンは、HPV関連性の癌の処置のための選択肢として調査されてきており(概説については、19、20、62〜65を参照されたい)、現在承認されている多くのワクチンがCD8免疫を誘発するのに一般に不十分であるので、これらのアプローチの多くは、強いCD8 T細胞応答を誘発するワクチンの開発を目的としてきた(66、67)。HPV E7治療ワクチン接種アプローチは、ペプチド免疫化(26、28〜30)、DNA免疫化(31〜33、68)、組換えE7発現ワクシニアウイルス(25、34)、アデノウイルス(35〜37)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)(38、39)、もしくはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)(40、41)による免疫化、E7パルス樹状細胞(42〜45)、またはE7含有ウイルス様粒子(VLP)(46〜49)を含み、これら多くの治療ワクチン戦略は、初期臨床試験に向かって前進している。
【0010】
これらの治療ワクチン戦略の多くは、多くの場合、ロジスティック的に(logistically)厄介であり、誘発される応答は、真の抗ウイルスの免疫応答の急性期の間に見られるCD8 T細胞増殖のレベルにめったに達しない(69)。初回刺激−追加免疫用のDNA−ペプチド、DNA−ウイルス、または2つの別個のウイルス媒体を含む、様々なタイプの異種初回刺激−追加免疫レジメンなどのような、追加免疫ワクチン接種を介してCD8免疫を増強するための戦略は、CD8免疫を誘発するために使用されてきた(70〜72)。しかしながら、これらの方法は、診療所に移すのが困難となり得、どの方法論が最適であるかに関しての合意が不十分である。
【0011】
HPVワクチンは、PCT公開WO2005/089164(2005年9月29日に公開)、WO2007/121894(2007年11月1日に公開)、WO2007/121895(2007年11月1日に公開)、WO2008/049329(2008年5月2日に公開)、およびWO2008/145745(2008年12月4日に公開)を含む多くの刊行物において記載されてきた。
【0012】
活性化されたヒトc−Ha−ras(25)と共に、感染細胞の形質転換および不死化ならびに形質転換された状態の細胞の維持(21、22)に必要とされるHPV16 E6ならびにE7癌遺伝子により形質転換されたマウス初代肺上皮細胞にもともと由来するTC−1モデル腫瘍系は、HPV治療ワクチン用の試験系として広く採用されるようになってきた。免疫応答性C57B1/6マウスへのTC−1腫瘍細胞の移植は、接種の部位で急速に進行する腫瘍の形成をもたらす。しかしながら、HPV16 E7タンパク質に対する特異的な細胞性免疫は、TC−1腫瘍増殖からの保護を与えることができる。たとえば、E7のH−2Db拘束性エピトープ(E749〜57;RAHYNIVTF)に対して特異的なCD8+T細胞は、E7発現腫瘍細胞を溶解し、定着した(established)TC−1腫瘍の退縮を引き起こすことができることが報告されている(26、27)。
【0013】
外因性タンパク質全体による免疫化は、MHCクラスI拘束性CD8+T細胞応答を誘発するのに非効率的な手段であることが示唆されてきた(50)。しかしながら、組換え(51)または合成(52)の完全長E7タンパク質による免疫化は、それぞれ、QuilAまたはCpG含有オリゴヌクレオチドと組み合わせて送達される場合に、CD8+T細胞免疫を誘発することが報告されている。同様に、免疫原性熱ショックタンパク質(HSP)と選択される標的抗原との間の融合物から構成される組換えタンパク質もまた、標的抗原に対するCD8+免疫を誘発することが報告されている。外因性タンパク質全体プラスTLR3またはTLR9アゴニストによる免疫化は、交差提示のプロセスを促進し、抗原特異的CD8+T細胞応答の発生を促すことが示唆されてきた(55、56)。
【0014】
現在、子宮頸部異形成および初期の子宮頸癌は、最も一般的に、電流をかけた細いワイヤーループを使用して異常組織が除去されるLEEP(ループ切除)として知られている外科手技を使用して処置される。より進行期の子宮頸癌は、化学療法および/または(and or)放射線療法と組み合わせた外科手術(部分的または広汎性子宮全摘出術)によって処置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、部分的に、ヒトパピローマウイルスE7抗原化合物および組成物を提供する。化合物および組成物は、ヒトパピローマウイルス感染症および関連する状態を処置するまたは診断するのに有用であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、本発明は、2以上のヒトパピローマウイルス(HPV)E7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、E7抗原が、少なくとも2つの異なるHPV株から選択される、ポリペプチドを提供する。
【0017】
代替の実施形態では、異なるHPV株は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのようなハイリスク株であってもよい。代替の実施形態では、E7抗原は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV45、およびHPV52などのような5つの異なるHPV株から選択されてもよい。
【0018】
代替の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号16または17に記載のアミノ酸配列などのような、配列番号1〜15に記載のアミノ酸配列または配列番号1〜5に記載の2以上のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0019】
代替の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18〜32に記載の2以上のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされてもよい。
【0020】
代替の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号33または34などのような、配列番号18〜22に記載の2以上のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされてもよい。
【0021】
代替の実施形態では、E7抗原は、2つの異なるHPV株に対する免疫応答を誘導することができてもよい。
【0022】
他の態様では、本発明は、2以上のヒトパピローマウイルス(HPV)E7抗原のヌクレオチド配列と実質的に同一の配列を含む核酸分子であって、E7抗原は、少なくとも2つの異なるHPV株から選択される、核酸分子を提供する。
【0023】
代替の実施形態では、異なるHPV株は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのようなハイリスク株であってもよい。
【0024】
代替の実施形態では、E7抗原は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV45、およびHPV52などのような5つの異なるHPV株から選択されてもよい。
【0025】
代替の実施形態では、核酸分子は、配列番号18〜32に記載の2以上の核酸配列を含んでいてもよい。
【0026】
代替の実施形態では、核酸分子は、配列番号33または34などのような、配列番号18〜22に記載の核酸配列を含んでいてもよい。
【0027】
代替の態様では、本発明は、HPV E7ポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。
【0028】
代替の態様では、本発明は、宿主細胞における核酸配列の発現を可能にする配列に作動可能に連結された、本明細書に記載の核酸配列を含む発現ベクターを提供する。
【0029】
代替の態様では、本発明は、本明細書に記載の核酸分子または発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0030】
代替の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞を含む組成物を提供する。組成物は、キャリアおよび/またはアジュバントを含んでいてもよい。アジュバントは、TLR3アゴニスト[たとえばポリ(I:C)]またはTLR9アゴニスト(たとえばCpG含有オリゴヌクレオチド)などのようなToll様受容体(TLR)アゴニストであってもよい。その代わりにまたはさらに、アジュバントは、インターフェロンアルファ、4−1 BB受容体のアゴニスト、CD40受容体のアゴニスト、または抗CD40抗体であってもよい。
【0031】
代替の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞を対象に投与することによって、免疫応答の刺激を、それを必要とする対象において行うための方法を提供する。代替の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞を対象に投与することによって、HPV感染症と関連する状態の処置または予防を、それを必要とする対象において行うための方法を提供する。代替の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞を対象に投与することによって、HPV感染症の処置を、それを必要とする対象において行うための方法を提供する。
【0032】
代替の態様では、本発明は、免疫応答の刺激を、それを必要とする対象において行うための、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。代替の態様では、本発明は、HPV感染症と関連する状態の処置または予防を、それを必要とする対象において行うための、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。代替の態様では、本発明は、HPV感染症の処置を、それを必要とする対象において行うための、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、発現ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。
【0033】
HPV感染症と関連する状態は、乳癌、子宮頸部癌、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、頭頸部癌、および肺癌もしくはその前悪性病変の1もしくは2つ以上であってもよい、または前癌性の子宮頸部上皮腫瘍(cervical epithelial neoplasia)(CIN I〜CIN III)もしくは子宮頸癌であってもよい。
【0034】
代替の実施形態では、HPV感染症は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのようなハイリスクHPV型によるものであってもよい。代替の実施形態では、方法または使用は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト[たとえばポリ(I:C)のようなTLR3アゴニストまたはCpG含有オリゴヌクレオチドのようなTLR9アゴニスト]などのようなアジュバントを投与することをさらに含んでいてもよい。その代わりにまたはさらに、アジュバントは、インターフェロンアルファ、4−1 BB受容体のアゴニスト、CD40受容体のアゴニスト、または抗CD40抗体を含んでいてもよい。投与は、14日未満の時間枠にわたる複数の用量の投与を含んでいてもよい、もしくは1〜4日にわたる複数の用量の投与を含んでいてもよい、および/または複数の1日量の投与を含んでいてもよい。
【0035】
代替の態様では、本発明は、1または2以上の配列TSNYNIVTF(配列番号35)、AEPDTSNYNIVTFCC(配列番号36)、またはTSNYNIVTFCCQCKS(配列番号37)から本質的になるペプチドを提供する。代替の態様では、本発明は、1または2以上の配列TSNYNIVTF(配列番号35)、AEPDTSNYNIVTFCC(配列番号36)、またはTSNYNIVTFCCQCKS(配列番号37)から本質的になるペプチドと試料を接触させることを含む、HPV31感染症を診断するための方法を提供する。代替の態様では、本発明は、1または2以上の配列TSNYNIVTF(配列番号35)、AEPDTSNYNIVTFCC(配列番号36)、またはTSNYNIVTFCCQCKS(配列番号37)から本質的になるペプチドと試料を接触させる、HPV31感染症に対する対象の応答を決定するための方法を提供する。
【0036】
本発明のこの概要は、必ずしも、本発明のすべての特徴を記載するとは限らない。
【0037】
本発明のこれらのおよび他の特徴は、添付の図面について言及される以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1A〜Bは(A)アフィニティータグを有していない、または(B)切断可能な6×アフィニティータグおよびトロンビン切断部位を有するPentarixタンパク質の構造的な構成を示す模式図である。 図1Cは、切断可能な6×アフィニティータグを有するPentarixタンパク質の調製および精製を示す。図は、イー・コリ(E.coli)における組換えPentarixタンパク質の発現およびニッケルアフィニティー精製を使用する典型的な精製の例を示す。HisTrapカラム(GE Healthcare)の通過前後の、IPTGによって誘導されたイー・コリの溶解物内に含有される総タンパク質および増加性の濃度のイミダゾールの存在下においてカラムから溶離させたタンパク質(Fr#1〜12)を、クーマシー(Coommassie)ブルー染色によって検出した(左のパネル)。精製Pentarixタンパク質の同一性は、抗6×Hisタグ抗体または抗HPV 16E7抗体を使用して、誘導されていない培養物および誘導された培養物からの溶解物ならびに精製PentarixおよびHPV16 E7タンパク質のウエスタンブロット解析によって確認した。
図2図2Aは、外因性OVAタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)またはポリIC/LCによる免疫化に応じて誘発される、OVA257〜264特異的CD8T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり2匹のマウス)は、OVAタンパク質全体(500μg)プラスまたはマイナスポリ(I:C)(10μg)もしくはポリIC/LC(10μg/ml)により免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、免疫化マウスのバルク脾細胞(bulk splenocyte)におけるOVA257〜264(SIINFEKL)特異的CD8+T細胞の数は、IFN−γ ELISPOTによって定量した。結果は、培地のみ、SIINFEKLペプチド(10μg/ml)(配列番号39)、または無関係のH2Db結合ペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。 図2Bは、OVA257〜264特異的CD8 T細胞応答が、外因性OVAタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)による免疫化後に用量依存性の様式において誘発されることを示すグラフである。
図3図3A〜Eは、長いまたは短い間隔(クラスター)の相応する初回刺激−追加免疫化に応じて誘発されるOVA257〜264特異的CD8+T細胞またはHPV16 E7応答を示す。A、ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり2匹のマウス)は、−7日目、−21日目、または−7日目および−21日目に、OVAタンパク質全体(100μug)プラスポリ(I:C)(10μg)により免疫化し、0日目に安楽死させた。免疫化マウスのバルク脾細胞におけるOVA257〜264特異的CD8+T細胞の数は、IFN−γ ELISPOTによって定量した。B、ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり3匹のマウス)は、示す数の連続的な1日量の、ポリ(I:C)(10μg)と混合した可溶性OVAタンパク質全体(100μg)により免疫化した。マウスのさらなる1つの群は、通常の1日量の4倍に等しい量で1回の免疫化を受けた[つまり、400μgのOVAタンパク質プラス40μgのポリ(I:C)]。第1の免疫化の7日後に、マウスは、安楽死させ、OVA257〜264特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。AおよびBにおける結果は、培地のみ、またはSIINFEKLペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。C、ナイーブC57B1/6マウスは、示されるように、1回の用量または連続4回の1日量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)により免疫化した。D、1日量のOVAタンパク質プラスポリ(I:C)を連続4回受けたパネルcのマウスは、第1のラウンドの免疫化の模倣(imitation)の47日後から、さらに連続4回の1日量の同じものにより再度免疫化した。末梢血は、免疫化後、示された日に連続的に採血した個々のマウスの伏在静脈から得た。末梢血中のRBCを溶解し、リンパ球は、FITCコンジュゲート抗CD8およびPEコンジュゲートH−2Kb/OVA257〜264四量体により染色し、フローサイトメトリーによって分析した。CおよびDに示す事象は、CD8+リンパ球に対してゲート制御したものであり、代表的な1匹の動物由来のものであり、ある期間にわたる所定の動物内の抗原特異的T細胞応答の進展についての正確なモニタリングを可能にする。E、ナイーブC57B1/6マウスは、1回の用量(左のパネル)、連続4回の1日量の可溶性HPV16 E7タンパク質全体(100ug)プラスポリ(I:C)(10ug)、または連続4回の1日量の可溶性HPV16 E7タンパク質全体(100ug)のみにより免疫化した。免疫化の7日後に、末梢血を免疫化マウスから得た。リンパ球は、FITCコンジュゲート抗CD8およびPEコンジュゲートD/E749〜57四量体により染色し、フローサイトメトリーによって分析した。示す事象は、CD8+リンパ球に対してゲート制御したものである。
図4図4は、可溶性タンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)による連続的な毎日の免疫化が、大きな定着した腫瘍の退縮を誘導することを示す一連のグラフである。C57B1/6マウス(コホート当たり3匹のマウス)に、0日目に、OVA発現EG7癌細胞(1×10)を移植し、未処置のままとした(左上)、または1用量のポリ(I:C)(10μg)(右上)、1用量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)(左下)、または4回の連続的な1日量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)(右下)により処置した。各群の処置の時期は、矢印(複数可)によって示す。各群の処置時の平均腫瘍容量は、224mm[ポリ(I:C)のみ]、194mm[1用量のOVA+ポリ(I:C)]、または344mm[4用量のOVA+ポリ(I:C)]であった。最後のコホートのマウスは、連続的な毎日の免疫化の有益な効果を例示するために、腫瘍サイズがより大きい時期に意図的に処置した。
図5図5Aおよび5Bは、Pentarixタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)による1回の免疫化に応じて誘発された、HPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウスは、未処置のままとした、または10μgのポリ(I:C)と混合した100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により免疫化した、または10μgのポリ(I:C)のみにより処置した(5B)。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、HPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。手短に言えば、個々の動物由来の脾細胞(ウェル当たり3×10および条件当たり三通りのウェル)を、培地のみ、またはHPV16 E749〜57ペプチド(10ug/ml)もしくは無関係の対照ペプチド(KAVYNFATM;配列番号40)により一晩、刺激した。比較のため、ナイーブ(非免疫化)マウス由来の結果が含まれる。結果は、培地のみ、またはHPV16 E749〜57もしくは無関係のペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する(5B)。
図6図6Aおよび6Bは、Pentarixタンパク質全体プラスTLR9アゴニストCpGオリゴヌクレオチドによる1回の免疫化に応じて誘発されたHPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウスは、未処置のままとした。または10μgのCpGオリゴ#2395(Invivogen)と混合した100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により、もしくはCpGオリゴのみにより免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、HPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。手短に言えば、個々の動物由来の脾細胞(ウェル当たり3×10および条件当たり三通りのウェル)を、培地のみ、またはHPV16 E749〜57ペプチド(10ug/ml)もしくは無関係の対照ペプチド(KAVYNFATM;配列番号40)により一晩、刺激した。比較のため、ナイーブ(非免疫化)マウス由来の結果が含まれる。結果は、培地のみ、HPV16 E749〜57、または無関係のペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。6Bに示すデータは、3回の実験を代表するものであり、結果は、それぞれの三通りについて、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数+/−SDとして報告する。
図7図7A〜Bは、Pentarixタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)によるまたは連続4回の1日量のPentarixタンパク質プラスポリ(I:C)による1回の免疫化に応じて誘発されたHPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウス(図7Bについてはコホート当たり3匹)は、未処置(ナイーブ)のままとした。または10μgのポリ(I:C)と混合した100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により、1回もしくは4回(1〜4日目に毎日)、免疫化した。免疫化の7日(7A)または8日(7B)後に、マウスを安楽死させ、HPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。結果は、培地のみ、またはHPV16 E749〜57もしくは無関係のペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する(7B)。個々の動物由来の脾細胞(ウェル当たり3×10)は、培地のみ、またはHPV16 E749〜57ペプチド(10ug/ml)もしくは無関係の対照ペプチド(KAVYNFATM;配列番号40)により一晩、刺激した。7Bに示すデータは、3回の実験を代表するものであり、結果は、それぞれの三通りについて、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数+/−SDとして報告する。 図7Cは、100ug Pentarixタンパク質プラス10ugポリ(I:C)(左の2つのパネル)または100ug Pentarixタンパク質のみ(右のパネル)により連続4日間、免疫化したマウスの脾臓および末梢血中のリンパ球を、FITCコンジュゲート抗CD8およびPEコンジュゲートD/16 E749〜57四量体により染色し、フローサイトメトリーによって分析した研究からの結果を示す。示す事象は、CD8リンパ球に対してゲート制御したものであり、4匹のそのような動物を代表するものである。
図8図8Aおよび8Bは、可溶性Pentarixタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)による免疫化が、大きな定着したTC1腫瘍の退縮を誘導することを示す一連のグラフである。A、C57B1/6マウス(コホート当たり3匹のマウス)に、−14日目に、E7発現TC1腫瘍細胞(1×10)を移植し、0日目に(腫瘍のサイズがおよそ200mmに達した時)未処置のままとした(左)。または1用量のポリ(I:C)(10μg)(中央)もしくは1用量の可溶性Pentarixタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)(右)により処置した。腫瘍は、2〜3日ごとに、電子デジタルキャリパーを使用して測定し、サイズは、式 幅×長さ×0.5を使用して計算した。B、ナイーブC57B1/6マウス(コホート当たり8匹)の皮下に、1×10のE7発現TC−1腫瘍細胞を移植した。腫瘍が350mmの平均容量に達した時点で、マウスは、1回の用量のPentarix(100ug)プラスポリ(I:C)(10ug)、連続4回の1日量のPentarix(100ug)プラスポリ(I:C)(10ug)、連続4回の1日量のポリ(I:C)のみ(用量当たり10ug)により処置した。または、未処置のままとした。腫瘍は、2〜4日ごとに、電子キャリパーにより測定し、腫瘍ができているマウスは、腫瘍容量がおよそ2,000mmを超過した場合、またはマウスが瀕死になった場合、もしくは20%を超える体重減少があった場合に安楽死させた。データは、コホート内のすべてのマウス(左のパネル)、または生存したマウス(右のパネル)の平均腫瘍容量を示す。 図8Cは、Pentarixタンパク質プラスポリ(I:C)によるTC1腫瘍ができているマウスの免疫化が、腫瘍の完全退縮および腫瘍進行後に持続するE7特異的CD8+記憶細胞の確立を誘発することを示す一連のグラフである。ナイーブC57B1/6マウスの皮下に、1×10のE7発現TC−1腫瘍細胞を移植した。腫瘍が200mmの平均容量に達した時点で、マウスは、1回の用量のPentarix(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)により処置し、腫瘍は、免疫化の15日以内に完全に退縮した。末梢血の試料は、免疫化の21日後に伏在静脈から採取し、FITCコンジュゲート抗CD8およびPEコンジュゲートD/16 E749〜57四量体ならびに記憶表現型マーカーCD62L、CD127、およびKLRG1により染色し、フローサイトメトリーによって分析した。示す事象は、CD8+リンパ球に対してゲート制御したものである。
図9図9AおよびBは、ポリ(I:C)またはCpGオリゴヌクレオチドと組み合わせた可溶性Pentarixタンパク質全体による免疫化が、定着したTC1腫瘍の退縮を誘導することを示す一連のグラフである。A、C57B1/6マウス(コホート当たり4匹のマウス)に、−21日目にE7発現TC1腫瘍細胞(1×10)を移植し、0日目に、1用量の可溶性Pentarixタンパク質全体(100g)プラスCpGオリゴ#2395(10μg)(左上)もしくは1用量のCpGオリゴ#2395のみ(10μg)(右上)により処置、または未処置のままとした(左下)。腫瘍は、2〜3日ごとに、電子デジタルキャリパーを使用して測定し、サイズは、式 幅×長さ×0.5を使用して計算した。左上、右上、および左下の3つのプロットは、個々のマウスにおける腫瘍の退縮を示し、一方右下のプロットは、各コホートについての平均腫瘍容量測定値の合計を示す。B、ナイーブC57B1/6マウス(コホート当たりに示すマウスの数)の皮下に、1×10のE7発現TC−1腫瘍細胞を移植した。腫瘍が200mmの平均容量に達した時点で、マウスは、1回の用量のPentarix(100ug)プラスポリ(I:C)(10ug)、1回の用量のPentarix(100ug)プラスCpGオリゴヌクレオチド(10ug)、またはポリ(I:C)(10ug)、CpGオリゴヌクレオチド(10ug)、もしくはPentarixタンパク質(100ug)のみにより処置した(示されるように)、または未処置のままとした。腫瘍は、2〜4日ごとに、電子キャリパーにより測定し、データは、それぞれのコホート内の個々の動物についてのある期間にわたる腫瘍容量として(上6つのパネル)またはコホート内のすべてのマウスについての生存として(下の2パネル)示す。腫瘍ができているマウスは、腫瘍容量がおよそ2,000mmを超過した場合、またはマウスが瀕死になった場合、もしくは20%を超える体重減少があった場合に安楽死させ、p値は、ログランク(Mantel−Cox)検定を使用して計算した。
図10図10Aは、Pentarixタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)による1回の免疫化に応じて誘発されたエピトープ特異的CD8+T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウスは、10μgのポリ(I:C)(Amersham)と混合した100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、示された各ペプチドに対して特異的なCD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。結果は、培地のみ、または示されたペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。 図10B〜Dは、可溶性Pentarixタンパク質全体プラスポリ(I:C)による免疫化が、HPVの複数の遺伝子型に対して免疫応答を誘発することを示すグラフである。C57B1/6(B)、またはHLA−A2/Dトランスジェニックマウス(C)は、10ugポリ(I:C)と組み合わせた100ug Pentarixタンパク質により連続4日間、毎日、免疫化した(s.c)。免疫化の8日後に、マウスを安楽死させ、バルク(BおよびC)またはCD4除去脾細胞調製物(Bのみ)は、IFN−γ ELISPOTによって分析した(CD4除去は、除去後にFACS分析によって測定されるように99%を超えた)。バルクおよびCD4除去脾細胞調製物は、Pentarixタンパク質全体にわたる重複する15アミノ酸のペプチド(11アミノ酸が重複する)のパネルにより一晩刺激した。D、10ug ポリ(I:C)と組み合わせたPentarixタンパク質により免疫化した(s.c)C57B1/6マウス由来の脾細胞は、培地のみ、または最小限のペプチドエピトープHPV16 E749〜57、HPV31 E749〜57、もしくは無関係の対照ペプチド(KAVYNFATM)により一晩刺激し、IFN−γ ELISPOTによって分析した。結果は、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告し、3回のそのような実験を代表するものである。
図11図11は、Pentarixタンパク質全体のみ(アジュバントなし)による、または連続4回の1日量のPentarixタンパク質のみ(アジュバントなし)による1回の免疫化に応じて誘発されたHPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞応答を示すグラフである。ナイーブC57B1/6マウスは、PBS中、100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により1回または4回(1〜4日目に毎日)免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、HPV16 E749〜57特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。結果は、培地のみ、HPV16 E749〜57、または無関係のネガティブ対照ペプチド(それぞれ10μg/mlで)による刺激後、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。
図12図12A〜Oは、それぞれ、HPV16、HPV18、HPV31、HPV45、HPV52、HPV33、HPV35、HPV39、HPV51、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、およびHPV82由来のE7タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1〜15)およびヌクレオチド配列(配列番号18〜32)を示す。 図12P〜Qは、アミノ末端6×Hisアフィニティータグを有する(配列番号16)および有していない(配列番号17)、Pentarixタンパク質のアミノ酸配列を示す。 図12R〜Sは、アミノ末端6×Hisアフィニティータグを有する(配列番号34)および有していない(配列番号33)、Pentarixタンパク質のヌクレオチド配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、部分的に、ヒトパピローマウイルスE7抗原化合物および組成物を提供する。化合物および組成物は、ヒトパピローマウイルス感染症および関連する状態を処置するまたは診断するのに有用であってもよい。
【0040】
一部の実施形態では、本発明による化合物および組成物は、ハイリスクHPV型などのような、複数のHPV型、たとえば少なくとも2以上のHPV遺伝子型を標的にするのに有用である。したがって、本発明による化合物および組成物は、化合物または組成物を構成する(comprise)HPV E7抗原またはHPV E7抗原に実質的に同一の配列が由来する1または2以上のHPV型に対する免疫応答を誘導するのに有用であってもよい。広範囲の人々への適用範囲を有するそのような化合物および組成物は、それらが、より大規模な集団に適用可能であるので、商業上、有用であり得る。
【0041】
ヒトパピローマウイルス(HPV)
「ヒトパピローマウイルス」または「HPV」とは、関連するが遺伝的に別個の100を超える一群の「型」に属するウイルスを意味し、「ローリスク」型と「ハイリスク」型に大きく分類することができる。
【0042】
「ローリスク」HPV型は、限定を伴うことなく、HPV型HPV11、HPV40、HPV42、HPV43、HPV44、HPV54、HPV61、HPV70、HPV72、およびHPV81を含む。
【0043】
「ハイリスク」HPV型は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、およびHPV82を含む。
【0044】
HPVゲノムは、一般に、タンパク質カプシドに囲まれた約7000〜8000塩基対の環状二本鎖DNAである。ゲノムは、早期抗原E1〜E7をコードする初期(E)領域ならびに構造L1およびL2カプシドタンパク質をコードする後期(L)領域を有する。E6およびE7タンパク質は、感染細胞の形質転換および不死化に必要とされ、これらのタンパク質の継続的な発現は、形質転換状態に細胞を維持するために必要とされる。時々、HPV DNAは、宿主細胞のDNAに組み込まれるようになり、このプロセスは、いくつかのウイルス遺伝子の損失と関連する。たとえば、組み込みは、一般的に、いくつかの初期(E2、E4、およびE5)ならびに後期(L1およびL2)遺伝子の欠失に至り、感染細胞において発現され続けるただ一つのウイルスタンパク質として、E6およびE7を残す。HPVゲノム配列は、記載されており、様々な公的なデータベースで利用可能である。そのような配列は、たとえば、GenBank受託番号K02718(HPV16)、X05015(HPV18)、J04353(HPV31)、M12732(HPV33)、M62849(HPV39)、X74479(HPV45)、NC_001533(HPV51)、X74481(HPV52)、X74483(HPV56)、D90400(HPV58)、NC_001635/X77858(HPV59)、X67161(HPV68)などで見出すことができるだろう。
【0045】
様々なHPV型由来のE7抗原の配列は、記載されており、様々な公的なデータベースで利用可能である。そのような配列は、たとえば、GenBank受託番号NP_041326(HPV16 E7)、NP_040311(HPV18 E7)、AAA46951(HPV31 E7)、AAA46959(HPV33 E7)、AAA46967(HPV35 E7)、AAA47051(HPV39 E7)、P21736(HPV45 E7)、P26558(HPV51 E7)、P36831(HPV52 E7)、P36833(HPV56 E7)、P26557(HPV58 E7)、CAA54850(HPV59 E7)、P54668 (HPV68 E7)、CAA63883(HPV73 E7)、およびAAK28450(HPV82 E7)などで見出すことができるだろう。
【0046】
治療指標
本発明による化合物および組成物は、HPV感染症またはそのような感染症と関連する状態を処置するために使用されてもよい。HPV感染症は、限定を伴うことなく、尋常性疣贅(または乳頭腫)、癌などを含む様々な状態と関連する。一般に、ローリスクHPV型は、尋常性疣贅(または乳頭腫)と関連するが、ハイリスクHPV型は、癌と関連する。
【0047】
「癌」または「新生物」とは、生理学的機能を果たさない細胞のいかなる望ましくない増殖も意味する。一般に、新生物の細胞は、その正常な細胞分裂制御から解放される、つまり、細胞の環境において通常の生化学的および物理的作用によって増殖が調節されない細胞である。ほとんどの場合、新生細胞は、増殖して、良性または悪性の細胞のクローンを形成する。癌または新生物の例は、限定を伴うことなく、形質転換および不死化細胞、腫瘍、ならびに乳房細胞の癌腫および子宮頸部の癌腫などのような癌腫を含む。癌という用語は、実際面で良性であるが、悪性になる危険性を持つ細胞増殖を含む。「悪性疾患」とは、任意の細胞型または組織の異常増殖を意味する。悪性疾患という用語は、実際面で良性であるが、悪性になる危険性を持つ細胞増殖を含む。この用語はまた、任意の癌、癌腫、新生物、新形成、または腫瘍を含む。
【0048】
したがって、「HPV感染症と関連する状態」とは、既存のHPV感染症の存在と関連しているいかなる状態、疾患、または障害も意味し、たとえば、既存のハイリスクHPV感染症の存在と関連している任意の状態、疾患、または障害を意味する。一部の実施形態では、HPV感染症と関連する状態は、子宮頸部、下部生殖管もしくは下部肛門生殖管、皮膚、または口腔の状態、疾患、または障害を含む。
【0049】
一部の実施形態では、HPV感染症と関連する状態は、子宮頸部、下部生殖管、または下部肛門生殖管の悪性および/または前悪性病変、たとえば、子宮頸部、肛門、外陰、膣、会陰、陰茎などの癌またはその前悪性病変を含む。代替の実施形態では、HPV感染症と関連する状態は、肺、気道、上皮、頭頸部の癌、乳癌、口腔癌などまたはその前悪性病変を含む。
【0050】
代替の実施形態では、HPV感染症と関連する状態は、前癌性の子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類1、2、または3、外陰上皮内腫瘍(VIN)、腟上皮内腫瘍(VAIN)、肛門上皮内腫瘍(AIN)などのような前悪性異形成状態を含む。
【0051】
一部の実施形態では、本発明による化合物および組成物は、HPV感染症を診断するために使用されてもよい。代替の実施形態では、1または2以上の配列TSNYNIVTF(配列番号35)、AEPDTSNYNIVTFCC(配列番号36)、またはTSNYNIVTFCCQCKS(配列番号37)を含むペプチドは、HPV31感染症を診断するまたはHPV31に対するHPV31 E7配列を含む化合物の免疫応答を決定するために使用されてもよい。その代わりに、1または2以上のTSNYNIVTF、AEPDTSNYNIVTFCC、またはTSNYNIVTFCCQCKS配列は、HPV31感染症の可能性を除外するために使用されてもよい。
【0052】
HPV E7化合物、試験化合物、およびそれを作製するための方法
本発明による化合物は、限定を伴うことなく、異なるHPV遺伝子型由来の2以上のHPV E7抗原のアミノ酸配列を含むポリペプチド、その類似体、変異体、相同体、およびその断片ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。一部の実施形態では、2以上のHPV E7抗原は、それらが由来する異なるHPV遺伝子型に対して、T細胞CD8+応答などのような免疫応答を誘発することができるであろう。
【0053】
「タンパク質」、「ペプチド」、または「ポリペプチド」は、翻訳後修飾(たとえばグリコシル化またはリン酸化)に関係なく、天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸またはアミノ酸類似体を含む、2以上のアミノ酸の任意の鎖である。本発明の「アミノ酸配列」、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」は、異常連結、架橋、およびエンドキャップ、非ペプチジル結合、または代替の修飾基を有するペプチドまたはタンパク質を含んでいてもよい。そのような修飾もまた、本発明の範囲内にある。用語「修飾基」は、ペプチド構造に直接付加される構造(たとえば共有結合によって)およびペプチド構造に間接的に付加される構造(たとえば、コアペプチド構造の側面に位置してもよいさらなるアミノ酸残基またはそのミメティック、類似体、もしくは誘導体への安定した非共有結合によってまたは共有結合によって)を含むように意図される。たとえば、修飾基は、ペプチド構造のアミノ末端もしくはカルボキシ末端にまたはコアドメインの側面に位置するペプチドもしくはペプチドミメティック領域に結合することができる。その代わりに、修飾基は、ペプチド構造の少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖またはコアドメインの側面に位置するペプチドもしくはペプチドミメティック領域に結合することができる[たとえば、リシル残基(複数可)のイプシロンアミノ基を通して、アスパラギン酸残基(複数可)またはグルタミン酸残基(複数可)のカルボキシル基を通して、チロシル残基(複数可)、セリン残基(複数可)、もしくはトレオニン残基(複数可)のヒドロキシ基またはアミノ酸側鎖上の他の適した反応性基を通して]。ペプチド構造に共有結合される修飾基は、たとえばアミド、アルキルアミノ、カルバメート、または尿素結合を含む、化学構造を連結するための、当技術分野においてよく知られている、手段によって、および方法を使用して付加することができる。
【0054】
「核酸」または「核酸分子」という用語は、RNA(プラスおよびマイナス鎖)ならびにcDNA、ゲノムDNA、および合成(たとえば化学的合成)DNAを含むDNAの両方を包含する。核酸は、二本鎖または一本鎖であってもよい。一本鎖である場合、核酸は、センス鎖またはアンチセンス鎖であってもよい。核酸分子は、天然に存在するまたは天然に存在しないヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログもしくは誘導体を含む、2以上の共有結合ヌクレオチドの任意の鎖であってもよい。「RNA」とは、2以上の共有結合した、天然に存在するリボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドの配列を意味する。この用語内に含まれる修飾RNAの1つの例は、ホスホロチオエートRNAである。「DNA」とは、2以上の共有結合した、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドまたは修飾デオキシリボヌクレオチドの配列を意味する。「cDNA」とは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の作用によってRNA鋳型から産生される、相補的またはコピーDNAを意味する。したがって、「cDNAクローン」は、クローニングベクター中に保持される、興味のあるRNA分子に対して相補的な二重鎖DNA配列を意味する。「相補的」とは、2つの核酸、たとえばDNAまたはRNAが、ワトソンクリック塩基対を形成して、2つの核酸の間で二重鎖の領域を産生することができる、十分な数のヌクレオチドを含有することを意味する。したがって、DNAまたはRNAの一方の鎖におけるアデニンは、反対の相補的DNA鎖におけるチミンまたは反対の相補的RNA鎖におけるウラシルと対になる。核酸分子におけるそれぞれのヌクレオチドが、二重鎖を形成するために、反対の相補鎖におけるヌクレオチドとマッチするワトソンクリック塩基対を形成する必要がないことが理解されるであろう。核酸分子は、それが第2の核酸分子と高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする場合、他の核酸分子に対して「相補的である」。本発明による核酸分子は、両方の相補的分子を含む。
【0055】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのような異なるHPV型由来の2以上のE7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0056】
代替の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのようなHPV型などのような異なるHPV型由来の3または4以上のE7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0057】
代替の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのようなHPV型などのような異なるHPV型由来の4または5以上のE7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0058】
代替の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82などのような異なるHPV型由来の5または6以上のE7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0059】
代替の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、HPV16、HPV18、HPV31、HPV45、およびHPV52などのような異なるHPV型由来の5つのE7抗原のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0060】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号1〜15の2以上のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0061】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号1〜15の3または4以上のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0062】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号1〜15の4または5以上のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0063】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号1〜15の5または6以上のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0064】
たとえば、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号16または17のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0065】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号18〜32の2以上のヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0066】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号18〜32の3または4以上のヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0067】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号18〜32の4または5以上のヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0068】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号18〜22の5つすべてのヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0069】
たとえば、本発明による化合物は、限定を伴うことなく、配列番号33または34のヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
【0070】
「実質的に同一の」配列は、本明細書で論じる1もしくは2以上の保存的置換によってのみ参照配列と異なるアミノ酸またはヌクレオチド配列、または当該アミノ酸配列によって発現されるかもしくは当該核酸分子によってコードされるポリペプチドのT細胞認識および/もしくはHLA結合を破壊しないか、もしくは実質的に低下させない配列の位置に所在する、1もしくは2以上の非保存的置換、欠失、もしくは挿入によってのみ参照配列と異なるアミノ酸またはヌクレオチド配列である。そのような配列は、たとえばAlign Program(Myers and Miller, CABIOS, 1989, 4:11-17)またはFASTAを使用して、比較のために使用される配列に対してアミノ酸またはヌクレオチドレベルで最適にアライメントされた場合に、50%〜99%またはより一般には少なくとも50%、55%、もしくは60%または少なくとも65%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%または96%、97%、98%、もしくは99%も同一の任意の値とすることができる。ポリペプチドについて、比較配列の長さは、少なくとも2、5、10、もしくは15アミノ酸または少なくとも20、25、もしくは30アミノ酸であってもよい。交替の実施形態では、比較配列の長さは、少なくとも35、40、もしくは50アミノ酸または60、80、もしくは100アミノ酸超であってもよい。核酸分子について、比較配列の長さは、少なくとも5、10、15、20、もしくは25ヌクレオチドまたは少なくとも30、40、もしくは50ヌクレオチドであってもよい。交替の実施形態では、比較配列の長さは、少なくとも60、70、80、もしくは90ヌクレオチドまたは100、200、もしくは500ヌクレオチド超であってもよい。配列同一性は、公的に利用可能な配列分析ソフトウェアを使用して容易に測定することができる(たとえばGenetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705のSequence Analysis Software PackageまたはNational Library of Medicineから利用可能なBLASTソフトウェアまたは本明細書に記載のもの)。有用なソフトウェアの例は、プログラムPile−upおよびPrettyBoxを含む。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、置換、および他の修飾に相同性の程度を割り当てることによって、類似する配列をマッチさせる。
【0071】
その代わりにまたはさらに、2つの核酸配列は、それらが高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする場合、「実質的に同一」であってもよい。一部の実施形態では、高ストリンジェンシー条件は、たとえば、65℃の温度の、0.5M NaHPO、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、および1%BSA(フラクションV)を含有する緩衝剤、または42℃の温度の、48%ホルムアミド、4.8×SSC、0.2M Tris−Cl、pH7.6、1×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および0.1% SDSを含有する緩衝剤において少なくとも500ヌクレオチド長のDNAプローブを使用して行われるハイブリダイゼーションと同等のハイブリダイゼーションを可能にする条件である(これらは、高ストリンジェンシーノーザンまたはサザンハイブリダイゼーションについての典型的な条件である)。ハイブリダイゼーションは、約20〜30分間もしくは約2〜6時間もしくは約10〜15時間の期間にわたって、または24時間超にわたって実行されてもよい。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションはまた、高ストリンジェンシーPCR、DNA配列決定、一本鎖配座多形分析、およびin situハイブリダイゼーションなどのような、分子生物学者によってルーチン的に実行される多数の技術の成功にも依存する。ノーザンおよびサザンハイブリダイゼーションとは対照的に、これらの技術は、比較的短いプローブにより通常実行される(たとえば、通常、PCRもしくは配列決定については約16ヌクレオチドまたはそれより長く、また、in situハイブリダイゼーションについては約40ヌクレオチドまたはそれより長く)。これらの技術において使用される高ストリンジェンシー条件は、分子生物学の当業者らによく知られており、それらの例は、たとえば、参照によってこれに組み込まれるAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1998において見出すことができる。
【0072】
一部の実施形態では、本発明による化合物は、天然のHPV E7抗原配列と実質的に同一の化合物を含む。したがって、本発明による化合物における使用のための配列は、配列番号1〜34のいずれかまたは任意の他のHPV E7配列と実質的に同一の配列を含んでいてもよい。
【0073】
異なるHPV遺伝子型由来の少なくとも2以上のE7抗原配列が単一の分子において存在する限り、個々のE7抗原配列は、本発明による化合物のアミノ酸またはヌクレオチド配列において任意の順で存在してもよいことを理解されたい。一部の実施形態では、異なるHPV型由来の3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、またはそれより多くの異なるHPV E7抗原は、本発明による化合物において使用されてもよい。
【0074】
例示的なHPV E7抗原配列順序づけは、表1に記載のものを含む。
【0075】
表1:5つのHPV型由来のE7配列の例示的な順列
【表1-1】
【表1-2】
【0076】
一部の実施形態では、E7抗原配列は、「天然に存在する」または「天然の」ものである、つまり、人工的に修飾されるのではなく天然の供給源から単離される。そのような供給源は、限定を伴うことなく、感染対象または他の供給源から得られる生物学的試料(たとえば血液、血清、血漿、精液、粘液、尿、口腔液、膣液、および子宮頸部の体液、婦人科試料、生検材料など)を含んでいてもよい。
【0077】
代替の実施形態では、化合物は、たとえば、他の保存的アミノ酸残基、つまり、類似する物理的、生物学的、または化学的特性を有する残基を用いて、本明細書に記載の任意のHPV型またはポリペプチド由来のE7抗原配列の任意の位置で、アミノ酸残基を交換し、欠失させ、または挿入し、かつ、たとえば、本明細書に記載のまたは当技術分野において知られているように、CD8+T細胞応答を誘発する化合物の能力についてスクリーニングすることによって調製することができる。一部の実施形態では、天然のE7抗原の断片は、断片が、T細胞認識および/またはHLA結合を全く示さないわけではなく、またはそれが実質的に低下していない限り、本発明の範囲内で企図される。
【0078】
本明細書において使用されるように、用語「保存的アミノ酸置換」は、ペプチドにおける所定の位置でのあるアミノ酸の他のアミノ酸への置換を指し、置換は、適切な機能の実質的な損失を伴うことなく行うことができる。そのような変化を加える際に、類似のアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対的な類似性、たとえばそれらのサイズ、荷電、疎水性、親水性、およびその他同種のものに基づいて行うことができ、そのような置換は、ルーチン的な試験によってペプチドの機能に対するそれらの影響についてアッセイされてもよい。
【0079】
本明細書において使用されるように、用語「アミノ酸」は、一般的に、天然に存在するタンパク質中に見出されるL−アミノ酸、D−アミノ酸、およびそれらが修飾された場合のアミノ酸を意味する。したがって、本発明のアミノ酸は、たとえば、2−アミノアジピン酸;3−アミノアジピン酸;ベータ−アラニン;ベータ−アミノプロピオン酸;2−アミノ酪酸;4−アミノ酪酸;ピペリジン酸;6−アミノカプロン酸;2−アミノヘプタン酸;2−アミノイソ酪酸;3−アミノイソ酪酸;2−アミノピメリン酸;2,4ジアミノ酪酸;デスモシン;2,2’−ジアミノピメリン酸;2,3−ジアミノプロピオン酸;N−エチルグリシン;N−エチルアスパラギン;ヒドロキシリシン;アロヒドロキシリシン;3−ヒドロキシプロリン;4−ヒドロキシプロリン;イソデスモシン;アロイソロイシン;N−メチルグリシン;サルコシン;N−メチルイソロイシン;6−N−メチルリシン;N−メチルバリン;ノルバリン;ノルロイシン;およびオルニチンを含んでいてもよい。
【0080】
一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換が、行われてもよく、アミノ酸残基は、類似する親水性値(たとえば、プラスもしくはマイナス2.0、またはプラスもしくはマイナス1.5、またはプラスもしくはマイナス1.0、またはプラスもしくはマイナス0.5の値の範囲内)を有する他のアミノ酸に置換され、次のものは、アミノ酸残基に割り当てられる、Tyr(−1.3)またはPro(−1.6)などのような約−1.6のヒドロパシー指数を有するアミノ酸となってもよい(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号において詳述される):Arg(+3.0);Lys(+3.0);Asp(+3.0);Glu(+3.0);Ser(+0.3);Asn(+0.2);Gln(+0.2);Gly(0);Pro(−0.5);Thr(−0.4);Ala(−0.5);His(−0.5);Cys(−1.0);Met(−1.3);Val(−1.5);Leu(−1.8);Ile(−1.8);Tyr(−2.3);Phe(−2.5);およびTrp(−3.4)。
【0081】
代替の実施形態では、保存的アミノ酸置換が、行われてもよく、アミノ酸残基は、類似するヒドロパシー指数(たとえば、プラスもしくはマイナス2.0、またはプラスもしくはマイナス1.5、またはプラスもしくはマイナス1.0、またはプラスもしくはマイナス0.5の値の範囲内)を有する他のアミノ酸に置換される。そのような実施形態では、アミノ酸残基はそれぞれ、以下のように、その疎水性および荷電の特徴に基づいてヒドロパシー指数が割り当てられてもよい:Ile(+4.5);Val(+4.2);Leu(+3.8);Phe(+2.8);Cys(+2.5);Met(+1.9);Ala(+1.8);Gly(−0.4);Thr(−0.7);Ser(−0.8);Trp(−0.9);Tyr(−1.3);Pro(−1.6);His(−3.2);Glu(−3.5);Gln(−3.5);Asp(−3.5);Asn(−3.5);Lys(−3.9);およびArg(−4.5)。
【0082】
代替の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、類似度マトリックスの公的に利用可能なファミリーを使用して行われてもよい(73〜79)。PAMマトリックスは、進化モデルから導き出される計算に基づくが、Blosumマトリックスは、アライメント内の高度に保存されたブロックから導き出される計算を使用する。PAMまたはBlosumマトリックスにおける0を超える類似性スコアは、保存的アミノ酸置換を行うために使用されてもよい。
【0083】
代替の実施形態では、保存的アミノ酸置換が、行われてもよく、アミノ酸残基は、同じクラスの他のアミノ酸に置換され、アミノ酸は、以下のように、無極性、酸性、塩基性、および中性のクラスに分類される:無極性:Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Met;酸性:Asp、Glu;塩基性:Lys、Arg、His;中性:Gly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr。
【0084】
保存的アミノ酸変化は、対応するD−アミノ酸による、保存的D−アミノ酸による、またはアミノ酸の天然に存在する、遺伝的にコードされない形態によるL−アミノ酸の置換およびL−アミノ酸の保存的置換を含むことができる。天然に存在する、遺伝的にコードされないアミノ酸は、ベータ−アラニン、3−アミノプロピオン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、アルファ−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、N−メチルグリシン(サルコシン)、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t−ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、2−ナフチルアラニン(2−napthylalanine)、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸、ベータ−2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリシン、2−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2,4,−ジアミノ酪酸、p−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、システイン酸、イプシロン−アミノヘキサン酸、デルタ−アミノ吉草酸、または2,3−ジアミノ酪酸を含む。
【0085】
代替の実施形態では、保存的アミノ酸変化は、親水性もしくは疎水性、サイズもしくは容量、または荷電の考慮に基づく変化を含む。アミノ酸は、主としてアミノ酸側鎖の特性に依存して、疎水性または親水性として一般に特徴付けることができる。Eisenberg et al.(80)の標準化コンセンサス疎水性スケールに基づいて、疎水性アミノ酸は、ゼロを超える疎水性を示し、親水性アミノ酸は、0未満の親水性を示す。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸は、Gly、Ala、Phe、Val、Leu、Ile、Pro、Met、およびTrpを含み、遺伝的にコードされる親水性アミノ酸は、Thr、His、Glu、Gln、Asp、Arg、Ser、およびLysを含む。遺伝的にコードされない疎水性アミノ酸は、t−ブチルアラニンを含み、遺伝的にコードされない親水性アミノ酸は、シトルリンおよびホモシステインを含む。
【0086】
疎水性または親水性アミノ酸は、それらの側鎖の特徴に基づいてさらに細分することができる。たとえば、芳香族アミノ酸は、少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族環を含有する側鎖を有する疎水性アミノ酸であり、−OH、−SH、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NO、−NH、−NHR、−NRR、−C(O)R、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NRRなどのような1または2以上の置換基を含有してもよく、Rは、独立して、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、置換(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、置換(C〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール、置換(C〜C20)アリール、(C〜C26)アルカリール、置換(C〜C26)アルカリール、5〜20員ヘテロアリール、置換5〜20員ヘテロアリール、6〜26員アルクヘテロアリール(alkheteroaryl)、または置換6〜26員アルクヘテロアリールである。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸は、Phe、Tyr、およびTrpを含むが、遺伝的にコードされない芳香族アミノ酸は、フェニルグリシン、2−ナフチルアラニン、ベータ−2−チエニルアラニン、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、および4−フルオロフェニルアラニンを含む。
【0087】
非極性アミノ酸は、生理的pHで無電荷であり、2つの原子によって共同で共有される電子対が、一般に、2つの原子のそれぞれによって等しく保持される結合を有する側鎖を有する疎水性アミノ酸である(つまり、側鎖は極性ではない)。遺伝的にコードされる非極性アミノ酸は、Gly、Leu、Val、Ile、Ala、およびMetを含むが、遺伝的にコードされない非極性アミノ酸は、シクロヘキシルアラニンを含む。非極性アミノ酸は、脂肪族アミノ酸を含むようにさらに細分することができ、これは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸である。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸は、Ala、Leu、Val、およびIleを含むが、遺伝的にコードされない脂肪族アミノ酸は、ノルロイシンを含む。
【0088】
極性アミノ酸は、生理的pHで無電荷であり、2つの原子によって共同で共有される電子対が、一方の原子のそばに、より接近して保持される、1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸である。遺伝的にコードされる極性アミノ酸は、Ser、Thr、Asn、およびGlnを含むが、遺伝的にコードされない極性アミノ酸は、シトルリン、N−アセチルリシン、およびメチオニンスルホキシドを含む。
【0089】
酸性アミノ酸は、7未満の側鎖pKa値を有する親水性アミノ酸である。酸性アミノ酸は、典型的に、水素イオンの損失により生理的pHで負荷電側鎖を有する。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸は、AspおよびGluを含む。塩基性アミノ酸は、7を超える側鎖pKa値を有する親水性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、典型的に、ヒドロニウムイオンとの関連により生理的pHで正荷電側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ酸は、Arg、Lys、およびHisを含むが、遺伝的にコードされない塩基性アミノ酸は、非環式アミノ酸オルニチン、2,3,−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、およびホモアルギニンを含む。
【0090】
したがって、保存的置換は、限定を伴うことなく、以下の置換を含む。
【0091】
【表2】
【0092】
上記の分類が絶対的なものではなく、1種のアミノ酸が1つを超えるカテゴリーに分類されてもよいことは当業者によって十分に理解されるであろう。さらに、アミノ酸は、指定されるアッセイに基づいて、または以前に同定されたアミノ酸と比較して、知られている挙動および/または特徴的な化学的、物理的、もしくは生物学的特性に基づいて分類することができる。アミノ酸はまた、アミノ酸様側鎖を有する二機能性の成分を含むことができる。
【0093】
保存的変化はまた、たとえばアミノ酸の機能的な側鎖基の反応による、非誘導体化残基からの、化学的に誘導体化された成分への置換を含むことができる。したがって、これらの置換は、遊離アミノ基がアミンハイドロクロライド、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、またはホルミル基に誘導体化された化合物を含むことができる。同様に、遊離カルボキシル基は、誘導体化されて、塩、メチル、およびエチルエステルまたは他のタイプのエステルもしくはヒドラジドを形成することができ、側鎖は、誘導体化されて、遊離ヒドロキシル基についてO−アシルもしくはO−アルキル誘導体を、またはヒスチジンのイミダゾール窒素についてN−im−ベンジルヒスチジンを形成することができる。ペプチド類似体はまた、たとえばメチル化によって、エチルアミン、エタノールアミン、もしくはエチレンジアミンなどのようなアルキルアミンによるC末端アミノ酸のアミド化、またはアミノ酸側鎖のアシル化もしくはメチル化(リシンのイプシロンアミノ基のアシル化など)によって化学的に修飾されたアミノ酸をも含む。ペプチド類似体はまた、置換アミド[たとえば式−C(O)−NRの基、ここで、Rは、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、置換(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルケニル、もしくは置換(C〜C)アルキニル]またはアミド連結の同配体[たとえば−CHNH−、−CHS、−CHCH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−C(O)CH−、−CH(OH)CH−、もしくは−CHSO−]とのペプチドにおけるアミド連結の交換を含むことができる。
【0094】
化合物は、たとえば重合またはコンジュゲーションによって共有結合して、ホモポリマーまたはヘテロポリマーを形成することができる。生理学的条件下で無電荷のアミノ酸などのような小さな中性分子から典型的に構成されるスペーサーおよびリンカーを使用することができる。連結は、多くの方法で達成することができる。たとえば、システイン残基はペプチド末端に追加されてもよく、複数のペプチドは制御された酸化によって共有結合することができる。その代わりに、ジスルフィド/アミド形成剤またはチオエーテル/アミド形成剤などのようなヘテロ二機能性の作用物質を使用することができる。化合物はまた、免疫応答を調整することができる他の化合物に連結することもできる。化合物はまた、たとえば環式部分を有することによって、制限されてもよい。
【0095】
ポリペプチド、ペプチド、またはペプチド類似体は、標準的な化学的技術によって、たとえば、溶相または固相合成方法を使用する自動合成によって合成することができる。自動ペプチド合成装置は、市販で入手可能であり、当技術分野においてよく知られている技術を使用する。ポリペプチド、ペプチド、およびペプチド類似体はまた、たとえばSambrook, et al.(81)またはAusubel et al.(82)に記載されているような標準的な方法を使用する組換えDNA技術を使用してそれらの対応する核酸分子から調製することもできる。
【0096】
一部の実施形態では、核酸分子は、作動可能に連結されてもよい。「作動可能に連結された」とは、適切な分子(たとえば転写活性化因子タンパク質)が調節配列(複数可)に結合している場合に遺伝子発現を可能にするような方法で、遺伝子および調節配列(複数可)がつながれていることを意味する。そのような作動可能に連結された配列は、発現のために宿主細胞の中に形質転換する、またはトランスフェクトすることができるベクターまたは発現コンストラクトの形態をしていてもよい。たとえばpET15b(アンピシリン抵抗性)またはpET24a(カナマイシン抵抗性)などのような任意の適したベクターを使用することができる。
【0097】
「組換え」という用語は、あるものが組換えられていることを意味し、核酸コンストラクトに関する場合、用語は、分子生物学的技術の手段によってともにつながれる、または産生される核酸配列から構成される分子について言及する。タンパク質またはポリペプチドに関する場合の「組換え」という用語は、分子生物学的技術の手段によって生成された組換え核酸コンストラクトを使用して発現されるタンパク質またはポリペプチド分子について言及する。組換え核酸コンストラクトは、それが自然界ではライゲーションされていない、またはそれが自然界では異なる位置でライゲーションされている核酸配列にライゲーションされる、またはライゲーションされるようになるように操作されるヌクレオチド配列を含んでいてもよい。そのため、「組換え」としての核酸コンストラクトについての言及は、核酸分子が、遺伝子工学を使用して、つまり、ヒトの介入によって操作されていることを示す。組換え核酸コンストラクトは、たとえば、形質転換によって宿主細胞の中に導入されてもよい。そのような組換え核酸コンストラクトは、単離され、宿主種の細胞の中に再導入された、同じ宿主細胞種または異なる宿主細胞種に由来する配列を含んでいてもよい。組換え核酸コンストラクト配列は、宿主細胞の本来の形質転換の結果として、または続く組換えおよび/もしくは修復事象の結果として、宿主細胞ゲノムの中に組み込まれるようになってもよい。
【0098】
有用であるとして同定された化合物は、TC1モデルまたはHPV感染症についての任意の他の動物モデルを使用して続いて分析されてもよい。
【0099】
医薬および動物用医薬組成物、投与量、および投与
本発明の化合物は、哺乳動物、たとえばヒト、ウシ、ヒツジなどへの投与に適した形態で、リポソーム、アジュバント、または薬学的に許容できるキャリアなどのような任意のキャリアの存在下において、単独でまたは他の化合物(たとえば核酸分子、小分子、ペプチド、もしくはペプチド類似体)と組み合わせて提供することができる。
【0100】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容できるキャリア」または「賦形剤」は、生理学的に適合性の、任意のおよびすべての溶剤、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、ならびにその他同種のものを含む。一実施形態では、キャリアは、非経口投与に適している。その代わりに、キャリアは、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下、または経口投与に適していてもよい。薬学的に許容できるキャリアは、滅菌注射用溶液または分散液の即席の調製用の滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質についてのそのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野においてよく知られている。いかなる従来の媒体または作用物質も活性化合物と不適合性である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補足の活性化合物もまた、組成物の中に組み込むことができる。
【0101】
従来の薬務は、HPV感染症に罹患している対象、またはHPV感染症と関連する状態を発症する前の対象に化合物を投与するための適した製剤、または組成物を提供するために用いられてもよい。投与の任意の適切なルートとして、たとえば非経口、静脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼、室内、被膜内、脊髄内、鞘内、槽内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、局所的、または経口投与が、用いられてもよい。治療製剤は、液体溶液または懸濁液の形態をしていてもよく、経口投与については、製剤は、錠剤またはカプセルの形態をしていてもよく、鼻腔内製剤については、粉末、点鼻剤、またはエアロゾルの形態をしていてもよい。
【0102】
製剤を作製するための当技術分野においてよく知られている方法は、たとえば“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(83)において見出すことができる。非経口投与についての製剤は、たとえば、賦形剤、滅菌水、または生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのようなポリアルキルエングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレン(napthalene)を含有していてもよい。生体適合性で生物分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、化合物の放出を制御するために使用されてもよい。他の可能性として有用な非経口デリバリー系は、エチレン酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透性ポンプ、移植可能な注入系、およびリポソームを含む。吸入についての製剤は、賦形剤、たとえばラクトースを含有していてもよい、またはたとえば、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート、およびデオキシコレートを含有する水溶液であってもよい、または点鼻剤の形態でのもしくはゲルとしての投与のための油性溶液であってもよい。一般に、化合物は、障害に応じて、HPV感染症と関連する状態を停止させるもしくは遅らせるのにまたはHPV感染症を処置するのに十分な量で個人に投与される。
【0103】
ワクチン製剤の場合には、本発明の化合物の有効量は、単独で提供するかまたは他の化合物と組み合わせて、免疫アジュバント、たとえばフロインド不完全アジュバント、ジメチルジオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、または水酸化アルミニウムと組み合わせて提供することができる。
【0104】
代替の実施形態では、本発明による化合物は、TLR3アゴニスト[たとえばポリ(I:C)およびその誘導体、ポリA:Uおよびその誘導体、合成RNA分子、天然に存在するRNA分子、二本鎖RNA、微生物の核酸など]もしくはTLR9アゴニスト(たとえばCpG含有オリゴヌクレオチド、微生物の核酸など)などのようなToll様受容体(TLR)アゴニスト、インターフェロンアルファ、4−1 BB受容体のアゴニスト、CD40受容体のアゴニスト、または抗CD40抗体から選択されるアジュバントと組み合わせて提供されてもよい。
【0105】
化合物はまた、免疫原性を増強するために、キャリア、またはウシ血清アルブミンもしくはキーホールリンペットヘモシニアンなどのような他の分子と連結されてもよい。一部の実施形態では、化合物は、カルレティキュリン、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)熱ショックタンパク質(HSP70)、ユビキチン、細菌毒素、サイトカイン(インターロイキンなど)、イミダゾキノリン(imidazoquimoline)などと共に提供されてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、本発明による化合物または組成物は、所望によりキャリアおよび/またはアジュバントと共に、使用のための説明書と一緒にキットにおいて提供されてもよい。
【0107】
本発明による化合物の「有効量」は、治療有効量、免疫学的有効量、または予防有効量を含む。「治療有効量」は、HPV感染症またはそのような感染症と関連する状態の処置などのような所望の治療結果を達成するために、必要な投与量および期間での有効な量について言及する。処置の結果は、たとえば、HPVウイルス血症の減少、ウイルス遺伝子発現の阻害、HPV感染症と関連する病態の発生の遅延、免疫系の刺激、または治療上の利点を決定するための任意の他の方法によって測定されてもよい。化合物の治療有効量は、個人の疾患状態、年齢、性別、および体重ならびに個人において所望の応答を誘発する化合物の能力などのような因子によって変動してもよい。投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整されてもよい。治療有効量はまた、治療的に有益な効果が化合物のいかなる毒性または有害作用にも勝る量である。「免疫原性(immunogenically)有効量」とは、T細胞CD8+応答などのような免疫応答の刺激または誘発などのような所望の免疫の結果を達成するのに必要な投与量および期間での有効な量を意味する。一部の実施形態では、「免疫応答の刺激」または「免疫応答を刺激すること」とは、対照または参照試料または化合物と比較した場合の、約5%〜約95%もしくは約10%〜約90%もしくは約30%〜約60%の任意の値のT細胞CD8+応答などのような免疫応答の測定における増加、または100%以上の増加を意味する。代替の実施形態では、「免疫応答の刺激」または「免疫応答を刺激すること」とは、対照または参照試料または化合物と比較した場合の、約2倍および約1000倍もしくは約10倍〜約500倍もしくは約30倍〜約100倍の任意の値のT細胞CD8+応答などのような免疫応答の測定における増加または1000倍を超える増加を意味する。「予防有効量」は、HPV感染症と関連する状態の発病の予防などのような所望の予防の結果を達成するのに必要な投与量および期間での有効な量について言及する。典型的に、予防用量は、疾患の初期段階に先立ってまたはその段階で対象において使用され、予防有効量は、治療有効量未満であってもよい。化合物の有効量に適した範囲は、たとえば、0.1nM〜0.1M、0.1nM〜0.05M、0.05nΜ〜15μΜ、または0.01nΜ〜10μΜの任意の整数である。
【0108】
投与量の値は、緩和されるべき状態の重症度により変動してもよいことに注意されたい。任意の特定の対象については、特定の投与計画は、個人の必要性および組成物の投与を施す、または管理する人の専門的な判断によって、ある期間にわたって調整されてもよい。本明細書に記載の投与量の範囲は、例示的なものに過ぎず、医師によって選択されてもよい投与量の範囲を限定するものではない。組成物における活性化合物(複数可)の量は、個人の疾患状態、年齢、性別、および体重などのような因子によって変動してもよい。投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整されてもよい。たとえば、1回のボーラスが、施されてもよい、いくつかの分けられた用量が、ある期間にわたって投与されてもよい。または用量は、治療上の状況の要件によって示されるように、比例して減量もしくは増量してもよい。投与のしやすさおよび投与量の均一性のために計量装置の形態で非経口組成物を製剤することは好都合であってもよい。
【0109】
代替の実施形態では、TLRアゴニストまたは他のアジュバントと組み合わせて、本発明による化合物を含む組成物は、CD8+T細胞応答の増強を誘発するために「クラスター」投薬レジメンにおいて提供されてもよい。「クラスター」投薬レジメンとは、短期間、つまり約14日未満、たとえば約1日〜約4、5、6、7、または8日にわたる組成物の投与を意味する。一部の実施形態では、クラスター投薬レジメンは、短期間、つまり約14日未満、たとえば約1日〜約4、5、6、7、または8日にわたる組成物の複数の1日量の投与を含む。
【0110】
所望される場合、本発明による化合物による処置は、HPV感染症またはそのような感染症と関連する状態のための、より従来の既存の療法と組み合わせてもよい。たとえば、本発明による化合物は、必要に応じて、放射線療法、化学療法、または外科手術(たとえばLEEP)と組み合わせて提供されてもよい。
【0111】
本発明による化合物は、長期にわたってまたは断続的に提供されてもよい。「長期にわたる」投与は、長期間の間、初期の治療効果(活性)を維持するための、急性のモードに対立するものとしての継続的なモードにおける作用物質(複数可)の投与について言及する。「断続的な」投与は、中断なしでは連続的に行われないが、どちらかと言えば、事実上、周期的な処置である。
【0112】
一般に、本発明の化合物は、実質的な毒性を引き起こさないで使用されるべきである。本発明の化合物の毒性は、標準的な技術を使用して、たとえば、細胞培養物または実験動物において試験し、治療指数、つまり、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびLD100(集団の100%に対して致死的な用量)の間の比を決定することによって決定することができる。しかしながら、重症疾患状態などの一部の状況においては、実質的過剰量の組成物を投与することが必要であり得る。
【0113】
以下の説明の全体にわたって、具体的な詳細は、本発明のより完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、本発明は、これらの詳細なしで実施され得る。他の実例として、よく知られている要素は、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、詳細に示されていないか、または記載されていない。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく、説明的な意味で考慮されたい。
【0114】
本発明は、以下の実施例においてさらに例証される。
【実施例1】
【0115】
Pentarixタンパク質の調製および精製
HPV株16、18、31、45、および52のE7腫瘍性タンパク質は、イー・コリにおいて完全長組換えタンパク質(「Pentarix」と呼ばれる)として産生した(図1A)。ある研究において、それぞれのHPV16、18、31、45、および52由来の完全なE7タンパク質プラスアミノ末端6×HISアフィニティーTAGおよびトロンビン切断部位を含む単一の連続DNAを、合成DNAコンストラクトとして産生した(図1B)。多重遺伝子配列は、発現ベクターpET17およびpET24a(Invitrogen)の中に続いてクローニングし、切断可能な6×HISアフィニティーTAGを有する完全長タンパク質(Pentarix)を、イー・コリ遺伝子型BL21(DE3)pLysSにおいて発現させた。
【0116】
手短に言えば、pET17コンストラクトの場合にはアンピシリン(100μg/ml)プラスクロラムフェニコール(34μg/ml)を含有し、pET24aコンストラクトの場合にはカナマイシン(34ug/ml)プラスクロラムフェニコール(34ug/ml)を含有する5mlのLB培地に、組換えイー・コリの単一のコロニーを接種し、一晩、増殖させ、飽和させた。翌朝、5mlの培養物は、pET17コンストラクトの場合にはアンピシリン(100μg/ml)プラスクロラムフェニコール(34μg/ml)を含有し、pET24aコンストラクトの場合にはカナマイシン(34ug/ml)プラスクロラムフェニコール(34ug/ml)を含有する1000mlのLB培地に接種するために使用した。1000mlの培養物における増殖が、0.2〜0.4のOD600に達したら、IPTGを2mMの最終濃度まで培養物に追加し、組換えタンパク質の発現を可能にするために、さらに2〜3時間、増殖を続けた。細菌は、続いて、遠心分離によってペレットにし、30mlの溶解バッファー(20mMリン酸ナトリウム、pH7.4、500mM塩化ナトリウム、10mMイミダゾール、6M尿素、1mM DTT)中に再懸濁した。細菌は、凍結および解凍の2つの連続のサイクル、その後に続く超音波処理の4回の連続のサイクル(サイクル当たり30秒)によって溶解した。デブリおよび不溶性タンパク質は、可溶性溶解物溶液を精製するために、15,000rpmでの15分間の遠心分離によって除去した。切断可能な6×アフィニティータグを有するPentarixタンパク質は、AKTAカラムクロマトグラフイーシステムに取りつけられたアフィニティーカラム(HisTrap HP、GE Healthcare)に通過させることによって、可溶性溶解物から精製した。溶解バッファーによる大規模な洗浄後に、切断可能な6×アフィニティータグを有するPentarixタンパク質は、500mMイミダゾールを含有する溶解バッファーを使用してカラムから溶離した。次いで、切断可能な6×アフィニティータグを有するPentarixタンパク質を含有する溶離画分は、プールし、Pentarixタンパク質の最終溶液を精製するために、組織培養グレードのリン酸緩衝食塩水を4回交換して透析した。タンパク質発現および精製は、SDS−PAGE上に様々な中間および最終画分を流し、クーマシーブルー染色または抗6×HISタグ抗体(ABM)もしくは抗HPV 16E7抗体(Invitrogen)を使用するウエスタンブロットを介してタンパク質を可視化することによってモニターした。(図1C)。精製タンパク質は、PBS中で完全に可溶性であり、59,037Daのその予測される分子量に従ってSDS−PAGEゲル上で移動した(図1C)。
【実施例2】
【0117】
外因性タンパク質抗原に対するCD8応答
外因性OVAタンパク質全体プラスTLR3アゴニストポリ(I:C)またはポリIC/LCによる免疫化に応じて誘発される、OVA257〜264特異的CD8+T細胞応答を決定するための研究を行った。ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり2匹のマウス)は、OVAタンパク質全体(500μg)プラスまたはマイナスポリ(I:C)(10μg)またはポリIC/LC(10μg/ml)により免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、免疫化マウスのバルク脾細胞におけるOVA257〜264(SIINFEKL)特異的CD8+T細胞の数は、IFN−γ ELISPOTによって定量した。結果は、培地のみ、SIINFEKLペプチド(10μg/ml)、または無関係のH2Db結合ペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。結果は、ポリ(I:C)およびポリIC/LCがインビボ(in vivo)において同等のアジュバント活性を有することを示唆する(図2A)。
【0118】
他の研究において、ナイーブC57B1/6マウス(用量当たり2匹のマウス、合計18匹のマウス)は、示された量の可溶性OVAタンパク質全体プラスポリ(I:C)により免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、バルク脾細胞調製物は、IFN−γ ELISPOTによって評価した。個々の動物由来の脾細胞(ウェル当たり3×10、条件当たり三通りのウェル)は、培地のみ、またはSIINFEKLペプチド(10ug/ml)により一晩、刺激し、結果は、それぞれのコホートについて、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数+/−SDとして報告する(図2B)。
【実施例3】
【0119】
投薬レジメン
長いか、または短い間隔(クラスター)の相応する初回刺激−追加免疫化に応じて誘発されるOVA257〜264特異的CD8+T細胞応答を以下のように決定した。ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり2匹のマウス)は、−7日目、−21日目、または−7日目および−21日目に、OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)により免疫化し、0日目に安楽死させた。免疫化マウスのバルク脾細胞におけるOVA257〜264特異的CD8+T細胞の数は、IFN−γ ELISPOTによって定量した。ナイーブC57B1/6マウス(条件当たり3匹のマウス)もまた、示された数の連続的な1日量の、ポリ(I:C)(10μg)と混合した可溶性OVAタンパク質全体(100μg)により免疫化した。マウスのさらなる1つの群は、通常の1日量の4倍に等しい量で1回の免疫化を受けた[つまり、400μgのOVAタンパク質プラス40μgのポリ(I:C)]。第1の免疫化の7日後に、マウスは、安楽死させ、OVA257〜264特異的CD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。図3aおよびbにおける結果は、培地のみ、またはSIINFEKLペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。ナイーブC57B1/6マウスはまた、図3cにおいて示されるように、1回の用量または連続4回の1日量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)によっても免疫化した。連続4回の1日量のOVAタンパク質プラスポリ(I:C)を受けたマウスは、第1のラウンドの免疫化の模倣の47日後から、さらに連続4回の1日量の同じものにより再度免疫化した。末梢血は、免疫化後の示された日に連続的に採血した個々のマウスの伏在静脈から得た。末梢血中のRBCを溶解し、リンパ球は、FITCコンジュゲート抗CD8およびPEコンジュゲートH−2Kb/OVA257〜264四量体により染色し、フローサイトメトリーによって分析した。図3cおよびdに示す事象は、CD8+リンパ球に対してゲート制御したものであり、代表的な1匹の動物由来のものであり、ある期間にわたる所定の動物内の抗原特異的T細胞応答の進展についての正確なモニタリングを可能にする。ワクチン接種のこの第2のラウンド後に、OVA特異的CD8+T細胞は、一次免疫後に達成されたものよりもさらに高度なレベルまで増殖し、第2の免疫化の7日以内に末梢CD8+T細胞の52%に達した(図3d)。したがって、後の時点で誘発された二次応答は、クラスターワクチン接種によって誘発された一次応答よりもかなり強力であった。
【0120】
他の研究において、モデル抗原OVAにより観察されるように、4用量のHPV16 E7タンパク質プラスポリ(I:C)による免疫化は、HPV16 E7タンパク質のみによる免疫化と比較して、強いCD8免疫応答を誘発した(図3e)。
【0121】
他の研究において、C57B1/6マウス(コホート当たり3匹のマウス)に、0日目に、OVA発現EG7癌細胞(1×10)を移植し、図4に示すように、指定の期間、未処置のままとした、または1用量のポリ(I:C)(10μg)、1用量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)、または4回の連続的な1日量の可溶性OVAタンパク質全体(100μg)プラスポリ(I:C)(10μg)により処置した。各群の処置の時の平均腫瘍容量は、224mm[ポリ(I:C)のみ]、194mm[1用量のOVA+ポリ(I:C)]、または344mm[4用量のOVA+ポリ(I:C)]であった。最後のコホートのマウスは、連続的な毎日の免疫化の有益な効果を例示するために、腫瘍サイズがより大きい時期に意図的に処置した。
【実施例4】
【0122】
Pentarixタンパク質の1回の用量または複数の用量による免疫化
マウス(ナイーブC57B1/6)は、未処置のままとするか、または10μgのTLR3アゴニストpolyI−C(AmershamもしくはSigma)(図5A)もしくはTLR9アゴニストCpG−2395(オリゴ#2395、Invivogen)と混合した100μgの組換えPentarixタンパク質により、もしくはCpGオリゴのみ(図6A)により皮下に免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、脾臓を切除した。脾細胞の単細胞浮遊液は、5mlの注射器のプランジャーを使用して70uMフィルターを通して脾臓をつぶすことによって、10mlのcRPMI(RPMI 1640、10% FCS、2mM L−グルタミン、50uM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPESおよび10mMピルビン酸ナトリウム)中に調製した。ELISPOTプレート(MSIP、Millipore)を10μg/ml抗IFN−γ捕捉抗体(AN18−Mabtech)により一晩あらかじめ被覆し、次いで、cRPMIにより37℃で2時間ブロックした。脾細胞(ウェル当たり3×10細胞)は、いかなる刺激もない状態で(培地のみ)、HPV16由来の10μg/mlのH−2D拘束性E749〜57ペプチド、または無関係のH2D結合対照ペプチド(KAVYNFATC)の存在下において、三通り、平板培養した。37℃での一晩のインキュベーション後に、ELISPOTプレートを洗浄し、1μg/mlビオチン化抗マウスIFN−γ(mAb R4−6A2、Mabtech)と共に37℃で2時間インキュベートし、メーカーの指示(Vector Labs)に従って、Vectastain ABC EliteキットおよびVectastain AEC基質試薬による発色を続けた。スポットは、市販のELISPOT計算サービス(Zellnet)を使用して定量した。結果は、培地のみ、培地プラスHPV16 E749〜57ペプチド、または無関係のペプチド(10μg/ml)の存在下において培養した場合の1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として示す。
【0123】
他の研究(図7A)において、マウス(ナイーブC57B1/6)は、未処置のままとするか、または10μgのTLR3アゴニストポリI−C(AmershamもしくはSigma)と混合した100μgの組換えPentarixタンパク質により、1回もしくは4回(1〜4日目に毎日)、皮下に免疫化した。複数回の連続する毎日の免疫を受けるマウスは、およそ24時間の間隔で免疫化した。最初の免疫化の7日後に、マウスは、安楽死させ、脾臓を切除した。脾細胞の単細胞浮遊液は、5mlの注射器のプランジャーを使用して70uMフィルターを通して脾臓をつぶすことによって、10mlのcRPMI(RPMI 1640、10% FCS、2mM L−グルタミン、50uM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPES、および10mMピルビン酸ナトリウム)中に調製した。ELISPOTプレート(MSIP、Millipore)は、10μg/ml抗IFN−γ捕捉抗体(AN18−Mabtech)により一晩あらかじめ被覆し、次いで、cRPMIにより37℃で2時間ブロックした。脾細胞(ウェル当たり3×10細胞)は、いかなる刺激もない状態で(培地のみ)、または10μg/ml E749〜57ペプチドの存在下において三通り平板培養した。37℃での一晩のインキュベーション後に、ELISPOTプレートを洗浄し、1μg/mlビオチン化抗マウスIFN−γ(mAb R4−6A2、Mabtech)と共に37℃で2時間インキュベートし、メーカーの指示(Vector Labs)に従って、Vectastain ABC EliteキットおよびVectastain AEC基質試薬による発色を続けた。スポットは、市販のELISPOT計算サービス(Zellnet)を使用して定量した。結果は、培地のみ、または培地プラスHPV16 E749〜57ペプチドの存在下において培養した場合の1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として示す。
【0124】
他の研究において、発明者らは、Pentarixタンパク質プラスポリ(I:C)の4回連続の用量を受けるマウスにおいて、末梢血における11%までのCD8 T細胞および脾臓における22%までのCD8 T細胞が、H−2D HPV16 E749〜57四量体によりポジティブに染色されたことを発見した(図7C)。この研究において、HPV特異的T細胞は、4用量のPentarixタンパク質のみにより免疫化したマウスの脾臓において検出可能ではなく、研究条件下でのCD8 T細胞増殖のためのアジュバントの重要性を示す。
【0125】
他の研究(図8A)において、ナイーブC57B1/6マウス(コホート当たり3匹のマウス)に、−14日目に、E7発現TC1腫瘍細胞(マウス当たり1×10)を左の側腹部の皮下に移植した。0日目に(腫瘍のサイズはおよそ200mmに達した)、マウスは、未処置のままとした、またはポリI−Cのみ(10μg)もしくはPentarixタンパク質(100g)プラスTLR3アゴニストポリI−C(10μg)の1回の接種により処置した(首筋皮下に)。Pentarixタンパク質(100μg)プラスTLR3アゴニストポリI−C(10μg)(図8A、右のパネル)により免疫化したマウスは、腫瘍を完全に退縮させ、研究の間(60日間)、腫瘍ができなかった。腫瘍は、2〜3日ごとに、電子デジタルキャリパーを使用して測定し、容量は、式 幅×長さ×0.5を使用して計算し、腫瘍容量がおよそ2000mmに達したら、CCAC(Canadian Council on Animal Care)ガイドラインに従って、腫瘍ができているマウスを安楽死させた。
【0126】
他の研究において、TC−1腫瘍細胞を、0.4mg/ml G418を含有するcRPMI中で60〜80%の培養密度まで増殖させ、0.25%トリプシンへの短時間の暴露によって収集し、cRPMIによる中和を続けた。TC−1腫瘍細胞(マウス当たり1×10)を、ナイーブC57B1/6マウスの左側腹部皮下に移植し、腫瘍増殖は、2〜3日ごとに電子キャリパーで腫瘍を測定することによってモニターした。腫瘍容量は、式 幅×長さ×0.5を使用して計算した。腫瘍容量が2000mmを超過したら、CCAC(Canadian Council on Animal Care)ガイドラインに従って、腫瘍ができているマウスを安楽死させた。
【0127】
この研究において、クラスターワクチン接種によって引き起こされたE7特異的CD8 T細胞のレベルの増加はまた、E7発現(expresing)TC1腫瘍を退縮させる能力をも改善し、これは、処置の開始に先立って、通常よりも大きなサイズまで腫瘍を増殖させた場合に実証された(図8B)。処置の時に350mmの平均容量を有する腫瘍を持っていたマウスは、1回の用量または連続4回の1日量のPentarixプラスポリ(I:C)により免疫化した。1回の用量のワクチンを受けた8匹のマウスのうちの5匹は、一時的な(不完全であるが)腫瘍退縮を示し、未処置マウスまたはポリ(I:C)のみにより処置したマウスと比較して、生存の時間を有意に改善した。しかしながら、1回の用量のワクチンを受けたマウスはすべて、最終的に、進行性の腫瘍増殖のために死んだ。対照的に、4回連続の用量のPentarixプラスポリ(I:C)を受けたマウスのうち、100%(8匹のうち8匹)が、これらの大きな腫瘍を、それらがもはや触知可能でないという段階まで完全に退縮させた。いくつかの腫瘍は、処置の4〜5週間後に再発し始めたが、4用量のコホートにおけるマウスの75%(8匹のうち6匹)は38日目になお生きており、50%は腫瘍ができなかった。他のすべてのコホートにおけるマウスはすべて、この時点までに進行性の腫瘍増殖により安楽死させた。
【0128】
ナイーブC57B1/6マウスにE7発現TC1腫瘍細胞を移植した他の研究において、Pentarixタンパク質プラスポリI:CによるTC1腫瘍ができているマウスの免疫化が、完全な腫瘍退縮および腫瘍退縮後に持続するE7特異的CD8記憶細胞の確立を誘発した(図8C)。
【0129】
他の研究(図9A)において、HPV E7発現TC−1腫瘍細胞(マウス当たり1×10細胞)は、−21日目に、ナイーブC57B1/6マウス(コホート当たり4匹のマウス)の左の側腹部皮下に移植した。0日目に(腫瘍のサイズはおよそ200mmに達した)、マウスは、Pentarixタンパク質(100μg)プラス10μgのTLR9アゴニストCpG 2395(Invivogen)もしくは10μgのTLR9アゴニストCpG 2395のみ(Pentarixなし)の1回の接種(首筋皮下に)により処置するか、または未処置のままとした。Pentarixタンパク質(100μg)プラス10μgのTLR9アゴニストCpG 2395により免疫化したマウスは、腫瘍を完全に退縮させ、研究の間、腫瘍ができなかった。腫瘍増殖は、2〜3日ごとに腫瘍をキャリパーで測定することによってモニターし、腫瘍容量は、式 幅×長さ×0.5を使用して計算し、腫瘍容量がおよそ2000mmに達したら、CCAC(Canadian Council on Animal Care)ガイドラインに従って、腫瘍ができているマウスを安楽死させた。
【0130】
定着したE7発現腫瘍を退縮させるそれらの能力の点から、Pentarixタンパク質プラスこれらのアジュバントによる1回の免疫化によって誘発されたCD8 T細胞のエフェクター機能を評価するための他の研究において、HPV16 E7発現TC−1腫瘍を、ナイーブレシピエントマウスの皮下に移植し、腫瘍がおよそ200mmの容量に達するまで増殖させた。ポリ(I:C)またはCpGオリゴヌクレオチドと混合したPentarixタンパク質により皮下に免疫化した動物は、概して免疫化の1週間以内にこれらの腫瘍を退縮させ始めた(図9B)。この研究において、Pentarixタンパク質プラスアジュバントにより免疫化した動物はすべて、免疫化の3週後までに完全に腫瘍を退縮させ、少なくとも3か月間、腫瘍ができなかった。対照的に、未処置のままとしたか、またはアジュバントのみもしくはPentarixタンパク質のみにより処置したマウスは、進行性の腫瘍増殖を示し、過度の腫瘍量により安楽死させた(概して、腫瘍移植の28日以内に)。
【0131】
要約すれば、OVAタンパク質により観察されたように、Pentarixは、TLR3(図5Aおよび5B)またはTLR9(図6Aおよび6B)のアゴニストと混合した場合に、強力なCD8+T細胞媒介性の免疫応答を誘発した。さらに、モデル抗原OVAにより観察されたように、連続的な毎日(クラスター)の免疫化戦略の適用は、Pentarixによって誘発されるCD8+免疫応答を実質的に増強した(図7A〜C)。Pentarixはまた、アジュバントなしでもCD8+T細胞媒介性の免疫応答を誘発した(図11)。
【0132】
Pentarixタンパク質によるワクチン接種によって誘発された免疫応答は、ワクチン接種の数日間以内に、定着したTC−1腫瘍を退縮させることができた(図8A、8B、9A、および9B)。これは、Pentarixをポリ(I:C)(図8A、8B、および9B)またはCpGオリゴヌクレオチド(図9Aおよび9B)と組み合わせた場合に該当した。2つの異なる実験において、定着したTC−1腫瘍の完全なまたはほぼ完全な退縮は、Pentarixを受けたすべてのマウスにおいて達成されたのに対して、対照マウス(処置なしまたはアジュバントのみ)の100%が、進行性に増殖する腫瘍のために死んだ。
【実施例5】
【0133】
Pentarixは、HPV31 E7エピトープに対する免疫を誘発する
ナイーブC57B1/6マウスを、10μgのポリ(I:C)(Amersham)と混合した100μgの可溶性Pentarixタンパク質全体により免疫化した。免疫化の7日後に、マウスを安楽死させ、2つの異なる予測MHC結合アルゴリズム(SYFPEITHIおよびIEDB)を使用して同定したペプチドに対して特異的なCD8+T細胞の数を定量するために、バルク脾細胞調製物をIFN−γ ELISPOTによって評価した。結果は、培地のみ、または示されたペプチド(10μg/ml)による刺激後の、1×10脾細胞当たりのIFN−γスポット形成細胞の数として報告する。HPV16 E749〜57ペプチドの長い(14アミノ酸および20アミノ酸)ならびに短い(9アミノ酸)バージョンの両方は、両方のアルゴリズムで最も高度なH2Dスコアを有するHPV31由来の候補ペプチド(HPV31 E7252〜260−TSNYNIVTF;配列番号35)と同様に、免疫化マウスから応答を誘発することが発見された(図10A)。この発見は、HPV31 E7についての新しいエピトープを示し、PentarixがHPV31 E7エピトープに対する免疫を誘発することを実証する。
【実施例6】
【0134】
Pentarixは、HPVの複数の遺伝子型に対する免疫応答を誘発する
Pentarixによって誘発される細胞性免疫応答の範囲を評価するために、Pentarixプラスポリ(I:C)により免疫化したマウス由来のバルク脾細胞およびCD4除去脾細胞は、Pentarixタンパク質配列全体にわたる重複15アミノ酸のペプチドのライブラリーと共に、ELISPOTによってex vivoにおいて直接分析した。望ましい場合には、CD4細胞は、磁気による除去を使用して、バルク脾細胞から除去した。手短に言えば、バルク脾細胞は、PEコンジュゲート抗CD4抗体(クローンL3T4;BD Bioscience)により染色し、標識された細胞は、メーカーの指示(Miltenyi)に従って、抗PEマイクロビーズを使用して除去した。図10Bに示されるように、PentarixによってC57B1/6マウスにおいて誘発された応答は、ワクチン内に含有されるHPV株の5つすべてを網羅した。十分に特徴付けられているH−2D拘束性エピトープHPV16 E749〜57(RAHYNIVTF;配列番号38)を含有するペプチドは、抗原特異的CD8 T細胞の絶対数の点から最も強力な応答を含んだ。次に最も強力な応答は、HPV16 E749〜57よりもH−2Dに対してさらに強力なバインダーであるとアルゴリズム分析によって予測される関連するペプチド(TSNYNIVTF;配列番号35)を包含するHPV31由来の15アミノ酸のペプチドによって誘発された。他のHPV E7タンパク質配列由来の様々な15アミノ酸のペプチドもまた、バルクおよびCD4除去脾細胞の両方から様々な強度の応答を誘発し、Pentarixが、限られたレパートリーのMHC分子を有する近交系マウスにおいてでさえ、広範囲の細胞性免疫応答を誘発することができることを確認した。さらに、HLA−A2トランスジェニックマウス(HLA−A2/D、Jackson Labs、株#004191)もまた、Pentarixプラスポリ(I:C)により免疫化し、重複15アミノ酸のペプチドの同じライブラリーを使用して、ELISPOTによって評価した。興味深いことには、応答の全体的な強さは、HLA−A2/DマウスよりもC57B1/6において大きかったが、応答の全体の複雑性は、非常に類似し(図10C)、H2拘束性の応答は誘発されたが、HLA−A2拘束性の応答は誘発されなかったことを示唆した。さらに、HPV16 E7抗原を使用する多くの他の研究において観察されたように、発明者らは、Pentarixプラスポリ(I:C)により免疫化したマウスにおいてHPV16 E7のHLA−A2拘束性11〜20または86〜93最小ペプチドエピトープに対する応答を検出することができなかった。
【0135】
TSNYNIVTF(配列番号35)が、強力に反応性のHPV31 15アミノ酸のペプチドAEPDTSNYNIVTFCC(配列番号36)およびTSNYNIVTFCCQCKS(配列番号37)内の正確な最小エピトープであることを確認するために、Pentarixプラスポリ(I:C)により免疫化したマウス由来の脾細胞は、ELISPOTによって評価し、この9アミノ酸の最小ペプチドに対して応答性であることを発見した(図10D)。
【0136】
他の実施形態
本発明の様々な実施形態が、本明細書において開示されるが、多くの修正および修飾は、当業者らの共通の一般知識に従って本発明の精神および範囲内で成されてもよい。そのような修飾は、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するための、本発明の任意の態様からの知られている等価物への置換を含む。本明細書において使用される受託番号は、ヌクレオチド配列についてのGenBank、European Molecular Biology Laboratory (EMBL)、DNA Database of Japan(DDBJ)、またはGenome Sequence Data Base(GSDB)を含み、Protein Information Resource(PIR)、SWISSPROT、Protein Research Foundation(PRF)、およびProtein Data Bank(PDB)(解明された構造からの配列)を含む複数のデータベース、ならびにポリペプチド配列についてのGenBank、EMBL、DDBJ、またはRefSeqにおけるヌクレオチド配列由来の注釈付きのコード領域由来の翻訳物からの受託番号を指すものであり得る。数値の範囲は、範囲を定める数およびその中に包含される部分範囲を含める。本明細書において使用されるように、「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、「有する(having)」、または、「有する(has)」という用語は、無制限の用語として使用され、「を含むが、これらに限定されない」という語句と実質的に等価である。「その(the)」、「1つの(a)」、および「1つの(an)」などのような用語は、単数形または複数形を示すものとして解釈されたい。本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術となることを自認するものとして解釈されるものではない。すべての刊行物は、個々の刊行物が、参照によって本明細書に組み込まれるように明確におよび個々に示されるように、また、あたかも、本明細書において完全に記載されるように、参照によって本明細書に組み込まれる。本発明は、上記に概ね記載された実施形態および変形形態、ならびに実施例および図面に関するすべてを含む。
【0137】
本発明は、1または2以上の実施形態に関して記載された。しかしながら、多くの変形形態および変更形態を、請求項において定められる本発明の範囲から逸脱することなく成すことができることは、当業者らに明らかであろう。
【0138】
文献
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図12-4】
図12-5】
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図12-7】
図12-8】
図12-9】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]