特許第5964307号(P5964307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964307ビスフェノールを基本とした高分子量ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964307
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ビスフェノールを基本とした高分子量ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/08 20060101AFI20160721BHJP
   C08G 79/04 20060101ALI20160721BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160721BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C08G64/08
   C08G79/04
   C08L101/00
   C08L69/00
【請求項の数】23
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-529374(P2013-529374)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-540168(P2013-540168A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011052005
(87)【国際公開番号】WO2012037500
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/383,686
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/383,697
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508163991
【氏名又は名称】エフアールエックス ポリマーズ、インク.
(73)【特許権者】
【識別番号】313012752
【氏名又は名称】ベイヤー インテレクチュアル プロパティ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】フレイタグ、ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ゴー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】カグンバ、ラウィノ
(72)【発明者】
【氏名】コンラド、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー、ヘルムト−ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】クラウター、ベリット
(72)【発明者】
【氏名】オームス、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】プレイン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー、ヨハン
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−005823(JP,A)
【文献】 特開昭58−076426(JP,A)
【文献】 特開昭61−285225(JP,A)
【文献】 米国特許第04481350(US,A)
【文献】 特開2001−207072(JP,A)
【文献】 特開2003−268114(JP,A)
【文献】 特開2003−268142(JP,A)
【文献】 特開2004−250622(JP,A)
【文献】 特表2006−503157(JP,A)
【文献】 特開2008−056718(JP,A)
【文献】 特開2008−106214(JP,A)
【文献】 特表2009−518468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00 − 63/91
C08G 64/00 − 64/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)であって、カーボネートおよびホスホネートモノマー由来のランダムに分布したモノマー単位を有し、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定で約10,000g/モル〜約100,000g/モルの重量平均分子量を有し、約2〜約7の多分散性を有し、且つ、重量約0.15%未満のホスホネートモノマーに由来する総酸性成分を有するものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項2】
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)において、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定すると約5,000g/モル〜約50,000g/モルの数平均分子量を有するものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項3】
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)において、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、約2〜約4の多分散性を有するものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項4】
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)において、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、総ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)の重量で約2%〜約10%のリン含有量を有するものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項5】
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)において、ジフェニルメチルホスホネート、ジフェニルカーボネート、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン由来のモノマー単位を有するものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項6】
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)において、前記ランダムコポリホスホネートは、分岐剤に由来するモノマー単位を有していないものである、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)。
【請求項7】
組成物であって、
請求項1記載のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)と、
充填材、繊維、界面活性剤、有機結合剤、高分子接着剤、架橋形成剤、結合剤、抗滴下剤(anti−dripping agent)、潤滑剤、離型剤、核形成剤、帯電防止剤、触媒、着色料、インク、色素、酸化防止剤、安定剤またはその組合せとを
有するものである、組成物。
【請求項8】
ポリマー混合物であって、
カーボネートおよびホスホネートモノマー由来のランダムに分布したモノマー単位を有し、総ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)の重量で約2%〜約10%のリン含有量を有し、且つ重量約0.15%未満のホスホネートモノマーに由来する総酸性成分を有するランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)と、
混合物を形成するための少なくとも1つの他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せと
を有するものである、ポリマー混合物。
【請求項9】
請求項記載のポリマー混合物において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せがカーボネート、エポキシ、ベンゾオキサジン、アクリレート、アクリロニトリル、エステル、テレフタラート、またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項10】
請求項記載のポリマー混合物において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せがポリカーボネート、不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン(耐衝撃性強度ポリスチレンを含む)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリホスホネート、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶性ポリマー、セルロース高分子、またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項11】
請求項記載のポリマー混合物において、このポリマー混合物は、さらに、
充填材、繊維、界面活性剤、有機結合剤、高分子接着剤、架橋形成剤、結合剤、抗滴下剤(anti−dripping agent)、潤滑剤、離型剤、核形成剤、帯電防止剤、触媒、着色料、インク、色素、酸化防止剤、安定剤またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項12】
ポリマー混合物であって、
カーボネートおよびホスホネートモノマー由来のランダムに分布したモノマー単位を有し、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定すると約10,000g/モル〜約100,000g/モルの重量平均分子量を有し、約2〜約7の多分散性を有し、且つ、重量約0.15%未満のホスホネートモノマーに由来する総酸性成分を有するランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)と、
混合物を形成するための少なくとも1つの他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せと
を有するものである、ポリマー混合物。
【請求項13】
請求項12記載のポリマー混合物において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せがカーボネート、エポキシ、ベンゾオキサジン、アクリレート、アクリロニトリル、エステル、テレフタラート、またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項14】
請求項12記載のポリマー混合物において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せがポリカーボネート、不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン(耐衝撃性強度ポリスチレンを含む)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリホスホネート、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶性ポリマー、セルロース高分子、またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項15】
請求項12記載のポリマー混合物において、このポリマー混合物は、さらに、
充填材、繊維、界面活性剤、有機結合剤、高分子接着剤、架橋形成剤、結合剤、抗滴下剤(anti−dripping agent)、潤滑剤、離型剤、核形成剤、帯電防止剤、触媒、着色料、インク、色素、酸化防止剤、安定剤またはその組合せを有するものである、ポリマー混合物。
【請求項16】
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を有する製造品であって、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、カーボネートおよびホスホネートモノマー由来のランダムに分布したモノマー単位を有し、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定すると、約10,000〜約100,000グラム/モルの重量平均分子量を有し、約2〜約7の多分散性を有し、且つ、重量約0.15%未満のホスホネートモノマーに由来する総酸性成分を有するものである、製造品。
【請求項17】
請求項16記載の製造品において、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、総ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)の重量で約2%〜約10%のリン含有量を有するものである、製造品。
【請求項18】
請求項16記載の製造品において、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、少なくとも1つの他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せを有する混合物中に存在するものである、製造品。
【請求項19】
請求項18記載の製造品において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せがカーボネート、エポキシ、ベンゾオキサジン、アクリレート、アクリロニトリル、エステル、テレフタラート、またはその組合せを有するものである、製造品。
【請求項20】
請求項18記載の製造品において、前記他のポリマー、オリゴマー、またはその組合せが不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン(耐衝撃性強度ポリスチレンを含む)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリホスホネート、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶性ポリマー、セルロース高分子、またはその組合せを有するものである、製造品。
【請求項21】
請求項16記載の製造品において、この製造品は、さらに、
充填材、繊維、界面活性剤、有機結合剤、高分子接着剤、架橋形成剤、結合剤、抗滴下剤、潤滑剤、離型剤、核形成剤、帯電防止剤、触媒、着色料、インク、色素、酸化防止剤、安定剤またはその組合せを有するものである、製造品。
【請求項22】
請求項16記載の製造品において、前記製造品がコーティング、接着剤、プリプレグ、泡、フィルム、繊維、成形品、繊維強化ラミネート、またはその組合せを有するものである、製造品。
【請求項23】
請求項16記載の製造品において、前記製造品が消費者製品またはその構成要素若しくはその一部を有するものである、製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願書類の相互参照
この出願書類では、2010年9月16日に提出された、表題「明確なホスホン酸塩含有量を有し、分子量の分布が狭く、ビスフェノールAを基本とした直線的高分子量ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)の合成および組成」の米国特許仮出願第61/383,697号および2010年9月16日に提出された、表題「ビスフェノールを基本とした高分子量ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)」の米国特許仮出願第61/383,686号の優先権を請求し、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第2,682,522号明細書
(特許文献2) 米国特許第2,891,915号明細書
(特許文献3) 米国特許第4,223,104号明細書
(特許文献4) 米国特許第4,322,520号明細書
(特許文献5) 米国特許第4,328,174号明細書
(特許文献6) 米国特許第4,331,614号明細書
(特許文献7) 米国特許第4,481,350号明細書
(特許文献8) 米国特許第4,508,890号明細書
(特許文献9) 米国特許第4,762,905号明細書
(特許文献10) 米国特許第4,782,123号明細書
(特許文献11) 米国特許第7,645,850号明細書
(特許文献12) 米国特許出願公開第2009/0043013号明細書
(特許文献13) 米国特許第8,389,664号明細書
(特許文献14) 国際公開第2007/065094号
(特許文献15) 米国特許第4,481,350号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の様々な実施形態は、エステル交換成分DPPとジフェニルカーボネート(DPC)、およびビスフェノールA(BPA)と高分子量、狭い分子量分布の特異的揮発性エステル交換触媒の総量に基づき、少なくとも20モルパーセントのジフェニルメチルホスホネート(DPP)に由来する難燃性ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)に関する。様々な他の実施形態は、高純度DPP、および少なくとも1つの特異的揮発性無金属触媒、例えば、テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP)を用い、これらを作成するプロセスおよび方法に関する。
【0003】
他の実施形態では、これらのランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)および別のオリゴマーまたはポリマーを含む難燃性エンジニアリングランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)およびポリマー組成を提供する。これらのコポリ(ホスホネートカーボネート)およびポリマー組成は、良好な溶融加工性、良好な機械的性質、良好な加水分解安定性、熱変形温度(HDT)で測定して良好な熱的安定性など、優れた特性の組合せを示すと考えられる。
【0004】
さらに他の実施形態は、本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)から調整した製造品、および本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)および別のオリゴマーまたはポリマーを含むポリマー組成に関する。本発明の前記難燃性エンジニアリングランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)およびポリマー組成はコーティングとして利用することができ、または粘着剤、繊維強化プリプレグ、自立フィルム(free−standing films)、繊維、泡、成形品、および繊維強化複合材を製造するために使用することができる。これらは単独または他のモノマー、ポリマー、コポリマー、オリゴマー、触媒、充填材と併用して使用することができる。前記難燃性エンジニアリングランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)およびポリマー組成は、同様に、消費家電(例えば、テレビ、コンピューター、プリンター、コピー機、ファックス機、ビデオプレーヤー、電子ゲーム機、モデム、携帯電話、および様々な他の電子装置および部品)など、より複雑な装置の部品、従属部品、またはパーツとして使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上述の本発明の概要は、図示された各実施形態または考えられる本発明のすべての実装を説明することを意図していない。以下に続く詳細な説明は、特にこれらの実施形態を例示している。
【0006】
本組成および方法について説明する前に、記載された特定の組成、方法、またはプロトコールは変化する可能性があるため、これらに限定されるものではないことは理解されるものとする。説明に使用される用語は特定の使用方法または実施形態のみを説明する目的で使用されており、添付の請求項によってのみ限定される、本発明の範囲を制限する意図はないことも理解されるものとする。
【0007】
本明細書および添付の請求項に用いる通り、内容ではっきりそうでないことを示していない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数の言及も含むことにも注意する必要がある。他に定義のない限り、本明細書で用いたすべての技術および科学用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明したものと同様またはそれに相当するすべての方法および材料は、開示された実施形態を実行または検討するために用いることができるが、好適な方法、装置、および材料が今回報告される。
【0008】
「選択的」または「選択的に」は、続いて説明されるイベントまたは状況が発生するか、発生せず、前記説明には前記イベントが発生する例、およびそれが発生しない例を含むことを意味する。
【0009】
「実質的にない」とは、後で説明されるイベントがその期間の最大限でも約10%未満で発生するか、後で説明される要素が、一部の実施形態では全組成の最大限でも約10%未満であり、他の実施形態では最大限でも約5%未満であり、さらに他の実施形態では、最大限でも約1%未満であることを意味する。
【0010】
本明細書で使用される「カーボネート」の用語は、慣例的な意味で与えられ、例えば、二価のマイナスラジカルCOまたはこの酸の未変化エステルを含む炭酸塩である。「ジアリールカーボネート」はCOラジカルが結合した少なくとも2つのアリール基を持つカーボネートであり、ジアリールカーボネートの最も一般的な例はジフェニルカーボネートであるが、ジアリールカーボネートの定義はこの具体例に限定されない。
「芳香族二水酸化物」の用語は、少なくとも2つの水酸基置換基が結合した、すべての芳香族化合物を含むことを意味する。「芳香族水酸化物」の例には、これに限定されるものではないが、ハイドロキノンなどのベンゼンジオール、およびビスフェノールまたはビスフェノール含有化合物を含む。
【0011】
「アルキル」または「アルキル基」の用語は、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなど、分岐または非分岐炭化水素または1〜20炭素原子のグループを指す。「シクロアルキル」または「シクロアルキル基」は、これに限定されるものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなど、炭素のすべてまたは一部が環に配置された分岐または非分岐炭化水素である。「低級アルキル」の用語は、1〜10炭素原子のアルキル基を含む。
【0012】
「アリール」または「アリール基」の用語は、少なくとも1つの環が芳香性である1若しくはそれ以上の縮合環から成る、一価芳香族炭化水素ラジカルまたは基を指す。アリールには、これに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル環系などを含む。前記アリール基は、非置換であるか、これに限定されるものではないが、アルキル、アルケニル、ハライド、ベンジル、アルキル、または芳香族エーテル、ニトロ、シアノなど、およびその組合せを含む様々な置換基で置換されている。
【0013】
「置換基」は、化合物中の水素を置換した分子群を指し、これに限定されるものではないが、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C〜C20アルキル、芳香族またはアリール、ハライド(F、Cl、Br、I)、C〜C20アルキルエーテル、ベンジルハライド、ベンジルエーテル、芳香族またはアリールエーテル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ(−NHR’)、ジアルキルアミノ(−NR’R’’)または前記ジアリールアルキルホスホネートの形成に干渉しない他の基を含む。
【0014】
本明細書で定義するとおり、「アリールオール」または「アリールオール基」は、前記アリール環が水酸基、つまりOH基で置換されたアリール基である。アリールオールの限定されない例は、フェノール、ナフタレンなどである。非常に様々なアリールオールが本発明の実施形態で使用され、市販されている。
【0015】
「アルカノール」または「アルカノール基」の用語は、少なくとも1つの水酸基が置換された、1〜20炭素原子またはそれ以上のアルキルを含む化合物を指す。アルカノールの例には、これに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−および2−プロパノール、1,1−ジメチルエタノール、ヘキサノール、オクタノールなどを含む。アルカノール基は、選択的に上述のとおり置換基で置換されていてもよい。
【0016】
「アルケノール」または「アルケノール基」の用語は、少なくとも1つの水酸基が置換された、2〜20炭素原子またはそれ以上のアルケンを含む化合物を指す。前記水酸基は、いずれの異性体配置(シスまたはトランス)であってもよい。アルケノールはさらに、1もしくはそれ以上の上述の置換基で置換されていてもよく、または本発明の一部の実施形態ではアルカノールの代わりに使用されてもよい。アルケノールは当業者に周知であり、多数の市販品が容易に入手できる。
【0017】
本明細書で使用される「難燃性の」、「耐炎性の」、「耐火性の」、または「耐火性」の用語は、前記組成が限界酸素指数(LOI)27以上を示すことを意味する。さらに、これらの用語は、電子規格UL−94のV0、V1、またはV2の燃焼性参照基準を指すこともある。
【0018】
本明細書で使用する「加水分解安定性」の用語は、沸騰水試験における前記ポリマーの加水分解抵抗性として定義される。加水分解抵抗性は、曝露後の相対粘度の変化によって測定することができ、これは分子量の変化の指標である。例えば、純樹脂サンプルは、通常圧力で還流条件下168時間まで純水(3回蒸留)に入れることができる。前記サンプルは定期的に除去可能であり、相対粘度(ηrel)は、25℃、濃度0.5gポリマー/リットルで前記サンプルをジクロロメタンに溶解し、ウベローデ粘度計で前記溶液を測定することにより決定できる。水沸騰後にηrel値が大きく変化すれば、加水分解により前記ポリマーの分子量が変化したことを示している。加水分解安定性が良好なポリマーは、この試験の結果としてηrelが大きな変化を示すことはない。
【0019】
本明細書で使用する「分子量」は、相対粘度(ηrel)および/またはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。ポリマーの「相対粘度」は、溶媒に既知の量のポリマーを溶解し、この溶液と純溶媒が一定温度で特別にデザインされた毛細管(粘度計)を移動するのにかかる時間を比較することで測定する。相対粘度はポリマーの分子量を示す測定値である。相対粘度の低下は分子量の減少を示し、分子量の減少は強度および靱性などの機械的性質を消失させることもよく知られている。GPCはポリマーの分子量と分子量分布に関する情報を提供する。例えば、低分子量のポリマーが燃焼すると滴下しやすくなるなど、ポリマーの分子量分布は(末端基の量の違いによる)熱酸化安定性、靱性、メルト・フロー、および耐火性などの特性に重要であることが知られている。
【0020】
本明細書で使用する靱性は、フィルムまたは成形した検体で定量的に決定される。
ポリカーボネート(PC)は、熱変形温度(HDT)が高い、色、透明度、溶融加工性が低い、靱性が卓越しているなど、優れた特性の組合せを有する、卓越したエンジニアリング熱可塑性物質である。これらの物質は様々な応用分野で利用され、膨大なスケールで商業的に生産されている。しかし、ポリカーボネートには必要な耐炎性がなく、他の有利な特性も維持した難燃性PCが要求され、まだ必要である。これらの物質に耐炎性を与えるため、様々なアプローチが取られてきたが、これらのアプローチは主としてPCが有している重要な固有の特性を損なうため、不成功に終わっていた。
【0021】
DPC、DPP、BPAの溶融重縮合反応によるランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)が関連した先行技術すべてにおいて、分子量分布の狭いBPAのみに基づくランダム高分子量コポリマーは生成できなかった。DPPとポリカーボネートを併用することにより頻発する別の問題は、合成生成物の加水分解安定性の低下である。したがって、大量のDPPを含むコポリ(ホスホネートカーボネート)を調整する新しいプロセスと方法は、最先端の既知物質において加水分解安定性を上昇させた。
【0022】
本発明の実施形態は、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)および溶融重縮合によりこれを作成するプロセスと方法に関する。いくつかの実施形態では、これらのランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)が少なくとも20モルパーセントの高純度ジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネート、1若しくはそれ以上のジアリールカーボネート、および1若しくはそれ以上の芳香族二水酸化物を含み、前記高純度ジアリールアルキルホスホネートのモルパーセントは、エステル交換成分の総量、つまり、全ジアリールアルキルホスホネートと全ジアリールカーボネートに基づいている。「ランダム」の用語で示されるとおり、様々な実施形態のコポリ(ホスホネートカーボネート)のモノマーは、ランダムにポリマー鎖に組み入れられている。したがって、前記ポリマー鎖は芳香族二水酸化物および/または様々なセグメントで結合されたホスホネートとカーボネートモノマーを交互に含み、いくつかのホスホネートまたはいくつかのカーボネートモノマーがオリゴホスホネートまたはポリホスホネートまたはオリゴカーボネートまたはポリカーボネートセグメントを形成する。さらに、様々なオリゴまたはポリホスホネートオリゴまたはポリカーボネートセグメントの長さは個々のコポリ(ホスホネートカーボネート)の中でも変化する可能性がある。
【0023】
前記コポリ(ホスホネートカーボネート)のホスホネートおよびカーボネート含有量は実施形態によって異なり、実施形態は前記ホスホネートおよび/またはカーボネート含有量またはホスホネートおよび/またはカーボネート含有量の範囲によって制限されない。例えば、一部の実施形態では、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)のリン含有量が前記総コポリ(ホスホネートカーボネート)の重量で約1%〜約20%のホスホネート含有量を示すものであり、他の実施形態では、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)のリン含有量が前記総ポリマーの重量で約2%〜約10%である。
【0024】
様々な実施形態の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)が、高分子量および狭い分子量分布(つまり、低多分散性)を示す。例えば、一部の実施形態では、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)の重量平均分子量(Mw)がηrelまたはGPCで決定すると約10,000g/モル〜約100,000g/モルであり、他の実施形態では、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)のMwがηrelまたはGPCで決定すると約12,000〜約80,000g/モルである。そのような実施形態では、数平均分子量(Mn)が約5,000g/モル〜約50,000g/モル、または約8,000g/モル〜約15,000g/モルであり、特定の実施形態では、前記Mnが約9,000g/モル以上である。そのようなコポリ(ホスホネートカーボネート)の狭い分子量分布(つまりMw/Mn)は一部の実施形態では約2〜約7であり、他の実施形態では約2〜約5である。さらに他の実施形態では、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)の相対粘度が約1.10〜約1.40である。
【0025】
理論に縛られることは望まないが、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)の調整に高純度ジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネート、および特定の実施形態では高純度DPPを利用すると、先行技術のランダムコポリマーよりも特性が改善される可能性がある。前記「高純度」ジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネート、および様々な実施形態のDPPには、重量で約0.15%未満、重量で約0.10%未満、特定の実施形態では重量で約0.05%未満の総酸性成分が含まれる。そのような酸性成分は当該分野で既知であり、これに限定されるものではないが、リン酸、ホスホン酸、メチルホスホン酸、およびメチルホスホン酸モノフェニルエステルを含む。前記ジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネートまたは本発明のランダムコポリマーの調整に使用されるDPPは、低レベルのそのような酸性成分を含むため、これらの高純度ホスホネートモノマーを使用して生産される前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、有意に低レベルの前記酸性成分の汚染物質を含む。いくつかの実施形態では、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)が実質的に酸性成分の汚染物質を含まず、他の実施形態では、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)が例えば重量で約0.15%未満、重量で約0.10%未満、特定の実施形態では重量で約0.05%未満の総酸性成分を含む。
【0026】
本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、高分子量と狭い分子量分布を示し、これが優れた組合せの特性を与えている。例えば、いくつかの実施形態の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は靱性が高く、極めて難燃性であり、優れた加水分解安定性を示す。さらに、いくつかの実施形態の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は、例えば良好な熱的および機械的特性を含む、優れた組合せの加工特性を示す。
【0027】
一部の実施形態では、本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)はエンジニアリングポリマーとして単独で使用することができ、他の実施形態では、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を添加物として使用し、他のポリマーと混ぜて、他の重要な特性を損なわずに耐炎性を提供することができる。特定の実施形態には、本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)単独で、または別のポリマーと組み合わせて調整した製造品およびコーティングを含む。さらに他の実施形態では、本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)のエンジニアリングポリマーおよび本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を含むポリマー組成に、例えば、ガラス、炭素、炭化ケイ素、有機繊維などおよびその組合せなどの補強材を混合し、非修飾エンジニアリングポリマーに近い、高いHDTを維持しつつ、耐火性と寸法安定性の有利な組合せを有する混合物を生成することができる。
【0028】
他の実施形態は、ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を調整する方法およびプロセスに関する。例えば、一部の実施形態では、そのような方法が、1若しくはそれ以上のジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネート、1若しくはそれ以上のジアリールカーボネート、1若しくはそれ以上の芳香族二水酸化物、およびエステル交換触媒を混合し、溶解物中で1若しくはそれ以上のジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネート、1若しくはそれ以上のジアリールカーボネート、1若しくはそれ以上の芳香族二水酸化物、およびエステル交換触媒を反応させる工程を含む。そのような実施形態では、前記ジアリールアルキルホスホネートが高純度ジアリールアルキルホスホネートであってもよく、エステル交換成分のジアリールアルキルホスホネートおよびジアリールカーボネートと前記ビスフェノールBPAを合わせた総量に基づき、少なくとも20モルパーセントで提供される。特定の実施形態では、前記ジアリールアルキルホスホネートがDPPであってもよい。上述のとおり、様々な実施形態の前記高純度ジアリールアルキルホスホネートまたは選択的に置換されたジアリールアルキルホスホネートには、重量で約0.15%未満、重量で約0.10%未満、および特定の実施形態では重量で約0.05%未満の総酸性成分が含まれる。
【0029】
様々な実施形態の重縮合は、真空下で行われる溶融エステル交換プロセスによって達成される。理論に縛られることは望まないが、真空下でエステル交換を行うと、揮発性副生成物が除かれる可能性がある。前記溶融エステル交換は連続的または多段階(非連続的)方法で行うことができ、他の実施形態では、前記溶融エステル交換を連続的プロセスで行うことができる。芳香族ポリカーボネートおよびコポリ(ホスホネートカーボネート)の前記溶融エステル交換プロセスに使用される前記ジアリールカーボネートの、例えば界面プロセスによる調整については、原理上は、例えばChemistry and Physics of Polycarbonates, Polymer Reviews, H. Schnell, Vol. 9, John Wiley and Sons, Inc. (1964), pages 50/51などの文献に報告されており、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
前記溶融エステル交換は、一工程または複数の工程で実施される。例えば、一部の実施形態では、前記方法に少なくとも1つの揮発性触媒を使用し、前記ジヒドロキシアリール化合物(ビスフェノール)を前記ジアリールカーボネートおよびジアリールアルキルホスホネートと反応させ、縮合中に生成したフェノールを分離する前縮合段階が含まれ、一部の実施形態では、前記方法に1若しくはそれ以上の反応蒸発ステージを用い、前記凝縮物の分子量が前縮合後に増加する後反応段階を含む。反応段階の数に制限はなく、様々な実施形態において、反応段階の数は2〜10、3〜8、特定の実施形態では5〜7の範囲である。
【0031】
一部の実施形態では、前記方法の各工程の反応温度が約150℃〜約400℃の範囲であり、他の実施形態では、前記方法の各工程の反応温度が約180℃〜約330℃の範囲である。そのような実施形態では、各工程の滞留時間が約15分〜約6時間であり、各工程の圧力は約250mbar〜約0.01mbarである。一部の実施形態では、前記反応温度が1つの工程から他の工程で上昇し、前記圧力が1つの工程から次の工程で低下することもある。2工程のプロセスを含む実施形態では、前記溶融における前記芳香族二水酸化物、ジアリールカーボネート、ジアリールアルキルホスホネート、および少なくとも1つの触媒によるエステル交換反応が、好ましくは2段階で実施される。最初の段階では、前記芳香族二水酸化物、ジアリールカーボネート、およびジアリールアルキルホスホネートの溶融が約80℃〜約250℃、約100℃〜約230℃、特定の実施形態では、約120℃〜約190℃の温度で実施される。最初の段階は大気圧で行われ、約0時間〜約5時間、一部の実施形態では約0.25時間〜約3時間の範囲で実施される。溶融後、前記溶解物に触媒を加え、真空をかけ(最高約2mmHg)、温度を上昇させ(最高約260℃)、前記重縮合の副生成物として生成したモノフェノールを蒸留することで、芳香族二水酸化物、ジアリールカーボネート、およびジアリールアルキルホスホネートからコ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)を調整することができる。したがって、調整された前記コ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)の平均分子量Mw(ジクロロメタンまたはフェノール/o−ジクロロフェノールの重量と等量の前記混合物中の相対溶液粘度で測定し、光散乱により較正)は約2000〜約18,000の範囲であり、一部の実施形態では約4000〜約15,000の範囲である。そのような実施形態では、前記モノフェノールの約80%までを前記プロセスから回収することができる。
【0032】
第2段階では、コポリ(ホスホネートカーボネート)を、前記反応温度を約250℃から320℃または約270℃から約295℃に上昇させ、前記圧力を約2mmHg未満に低下させることで、前記第1段階で調整した前記コ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)から調整することができる。前記副生成物のモノフェノールは前記第2工程で回収することができる。前記モノフェノールは反応中のコ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)およびコポリ(ホスホネートカーボネート)の末端基が消失した結果であるため、前記第2工程で生成したモノフェノールの量は、前記第1工程で生成したモノフェノールの量よりも少ない。例えば、生成したモノフェノールの量は、前記第1工程で生成したモノフェノールの量の約5%未満、約2%未満、または約1%未満である。
【0033】
様々な実施形態の方法はロット式または連続的に、例えば、かくはん槽、薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、かくはん槽型カスケード反応、押出し機、混練機(kneaders)、単純円板反応器(simple disc reactors)、高粘度物質用円板反応器、およびその組合せにおいて行われる。個々の反応蒸発機ステージに適した装置、器具、および反応器は、プロセスの経過に依存し、これに限定されるものではないが、選択した温度および圧力で必要な滞留時間を提供する、熱交換器、フラッシュ装置、分離器、カラム、蒸発器、攪拌容器、反応器、その他市販の装置を含む。選択した装置は必要な熱注入が可能である必要があり、連続的に溶融粘度を上昇させるのに適するようにデザインされている必要がある。ポンプ、パイプライン、バルブなど、およびその組合せを介して様々な装置を互いに接続することができる。滞留時間の不必要な延長を回避するため、すべての施設間のパイプラインは好ましくはできる限り短く、前記パイプのカーブ数は可能な限り少なくする。
【0034】
本発明の実施形態は特定のエステル交換触媒に限定されるものではなく、当該分野で既知のすべてのエステル交換触媒を上述の方法に使用することができる。ただし、一定の実施形態では、前記触媒が揮発性触媒であり、他の実施形態では無金属揮発性触媒である。特定の実施形態では、前記触媒が一般式Iの揮発性化合物であり:
【0035】
【化1】
【0036】
式中
、R、R、およびRはそれぞれ独立してC〜C18アルキレン、C〜C10アリール、またはC〜Cシクロアルキルであり、
は、対応する酸−塩基ペアH+X→HXのpKbが<11であるアニオンである。
式Iに含まれる化合物に入る触媒の限定されない例には、これに限定されるものではないが、フッ化テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸、およびテトラフェニルホスホニウムフェノラートを含む。特定の実施形態では、前記触媒がテトラフェニルホスホニウムフェノラートである。前記反応に提供される式Iの触媒量は実施形態により変化し、例えば、芳香族二水酸化物1モルあたり10−2〜10−8モルまたは芳香族二水酸化物1モルあたり10−3〜10−6モルである。
【0037】
一部の実施形態では、前記反応にさらに、前記重合率を上昇させるために1若しくはそれ以上の触媒に加えて提供することができる、1若しくはそれ以上の共触媒が含まれる。そのような共触媒は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物、アルコキシド、およびアリールオキシドなど、例えば、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の塩とすることができる。特定の実施形態では、前記アルカリ金属塩がナトリウムの水酸化物、アルコキシド、またはアリールオキシド塩であり、一部の実施形態では、前記共触媒が水酸化ナトリウムおよびナトリウム・フェノラートである。提供された共触媒の量は変化する可能性があり、それぞれの場合でナトリウムとして計算された使用済み芳香族二水酸化物の量を基に、例えば、約1μg/kg〜約200μg/kg、5μg/kg〜150μg/kg、特定の実施形態では、約10μg/kg〜約125μg/kgとすることができる。特定の実施形態では、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)は共触媒なしで調整することができる。
【0038】
理論に縛られることは望まないが、コポリ(ホスホネートカーボネート)の調製に高純度ジアリールアルキルホスホネートを使用すると、熱変形温度(HDT)で測定した場合、これまでに報告された低純度ジアリールアルキルホスホネートを使用して調整したコポリ(ホスホネートカーボネート)よりも、溶融加工性の改善、機械的特性の改善、加水分解安定性の改善、および熱安定性の改善など、特に有利な特性を提供することができ、改善された前記特性は、コポリ(ホスホネートカーボネート)のこれまでの説明から予想されるものよりも良好である。上述の実施形態で使用される高純度ジアリールアルキルホスホネートは、総酸性成分が重量で約0.15%未満、重量で約0.10%未満、および特定の実施形態では重量で約0.05%未満であり、一方、これまでに使用されたジアリールアルキルホスホネートは総酸性成分が重量で約0.20%または重量で約0.19%以上であった。特定の実施形態では、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)を、エステル交換成分(ジアリールアルキルホスホネートおよびジアリールカーボネート)の総量に基づき、少なくとも20モル%の高純度ジアリールアルキルホスホネートにより調整することができる。特定の実施形態では、そのようなコポリ(ホスホネートカーボネート)を揮発性エステル交換触媒とともに調整することができ、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)の特性は、ビスフェノールがBPAのみの場合、さらに向上する可能性がある。
【0039】
一部の実施形態では、コポリ(ホスホネートカーボネート)の生産における前記芳香族二水酸化物、ジアリールカーボネート、ジアリールアルキルホスホネートのエステル交換で除去されたモノフェノールを、前記ジアリールカーボネート合成に使用する前に精製および単離することができる。エステル交換時に単離した粗モノフェノールには、エステル交換の条件と蒸留の条件によって、とりわけ、ジアリールカーボネート、ジアリールアルキルホスホネート、芳香族二水酸化物、サリチル酸、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノキシベンゾエート、キサントン、ヒドロキシモノアリールカーボネートなどが混入していることがある。前記精製は、例えば、蒸留または再結晶など、通常の精製プロセスにより達成することができる。精製後の前記モノフェノールの純度は、99%以上、99.8%以上、または99.95%以上とすることができる。
【0040】
本発明の前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は単独で使用するか、または同じまたは他の物質のオリゴマー、コポリマー、およびポリマーを含む他のポリマー物質と併用することができる。例えば、一部の実施形態では、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)を1若しくはそれ以上の商用エンジニアリングプラスチックと混合し、加工特性または加水分解または熱安定性を大きく損なわずに、耐火性を与えることができる。本明細書で使用されるエンジニアリングプラスチックは、熱可塑性物質および熱硬化性樹脂をいずれも含み、これに限定されるものではないが、ポリカーボネート、エポキシド、誘導ポリマー、ポリエポキシド(例えば、1若しくはそれ以上のエポキシモノマーまたはオリゴマーとモノまたは多機能フェノール、アミン、ベンゾキサジン、無水物またはその組合せなど、1若しくはそれ以上の鎖延長剤または硬化剤との反応により得られたポリマー)、ベンゾキサジン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、およびポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル、非飽和ポリエステル、ポリアミド、耐衝撃性強度ポリスチレンを含むポリスチレン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリホスホネート、ポリリン酸塩、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリアリール酸塩、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、硫化ポリフェニレン、ポリ(ビニルエーテル)、塩化ポリビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶性ポリマー、セルロースポリマー、またはそのいずれかの組合せ(例えば、Sabic Plastics(米国マサチューセッツ州Pittsfield)、Rohm & Haas Co.(米国ペンシルバニア州Philadelphia)、Bayer Corp. −Polymers(米国オハイオ州Akron)、Reichold、DuPont、Huntsman LLC(米国ニュージャージー州West Deptford)、BASF Corp.(米国ニュージャージー州Mount Olive)、Dow Chemical Co.(米国ミシガン州Midland)、GE Plastics、DuPont、Bayer、Dupont、ExxonMobil Chemical Corp.(米国テキサス州Houston)、ExxonMobil.、Mobay Chemical Corp.(米国カンサス州Kansas City)、Goodyear Chemical(米国オハイオ州Akron)、BASF Corp.、3M Corp.(米国ミネソタ州St. Paul)、Solutia, Inc.(米国ミズーリー州St. Louis)、DuPont、およびEastman Chemical Co.(米国テネシー州Kingsport)からそれぞれ販売されている)を含む。特定の実施形態では、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)をポリエポキシドと混合することができる。
【0041】
他の実施形態では、本発明の前記エンジニアリングポリマー組成に、本発明のコポリ(ホスホネートカーボネート)のみまたは本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)と上述のポリマーなどの別のエンジニアリングポリマーを一緒に含み、例えば、充填材、繊維、界面活性剤、有機結合剤、高分子接着剤、架橋形成剤、結合剤、フッ素化ポリオレフィン、シリコン、およびアラミド繊維などの抗滴下剤(anti−dripping agent)、潤滑剤、テトラステアリン酸ペンタエリスリトールなどの離型剤、核形成剤、導電ブラック、炭素繊維、カーボン・ナノチューブ、およびポリアルキレンエーテル、アルキルスルホネート、およびポリアミド含有ポリマーなどの有機帯電防止剤などの帯電防止剤、触媒、着色料、インク、色素、酸化防止剤、安定剤などおよびそのいずれかの組合せなど、これらの物質と使用されることが多い1若しくはそれ以上の追加成分または添加物を含む。そのような実施形態では、前記1若しくはそれ以上の追加成分または添加物が、前記全組成に基づき、約0.001wt.%〜約1wt.%、約0.005wt.%〜約0.9wt.%、約0.005wt.%〜約0.8wt.%、約0.04wt.%〜約0.8wt.%、特定の実施形態では、約0.04wt.%〜約0.6wt.%を構成する。他の実施形態では、ガラス繊維または他の充填材などの追加成分が高濃度で提供される。例えば、一部の実施形態では、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)が約30wt.%までのガラス繊維を含み、他の実施形態では、本発明の前記コポリ(ホスホネートカーボネート)が約5wt.%〜約30wt.%、約10wt.%〜約25wt.%、または約15wt.%〜約20wt.%のガラス繊維を含む。
【0042】
コポリ(ホスホネートカーボネート)および他のエンジニアリングポリマーおよび/または追加成分または添加物を含む組成は、従来の方法により調整できる。例えば、一部の実施形態では、それぞれの成分を既知の方法で混合し、内部混練機、押出し機、または2軸装置などの通常の凝集装置において、約200℃〜約400℃などの温度で溶融混合および/または溶融押出を行う。個々の成分の混合は、およそ室温(約20℃)またはそれ以上の温度で、連続的または同時に行うことができる。例えば、一部の実施形態では、前記エンジニアリングプラスチックおよび/またはすべての追加成分または添加物を混合することで、前記コポリ(ホスホネートカーボネート)に導入することができる。他の実施形態では、前記個々の成分を前記調整プロセスの異なる段階で、前記溶融コポリ(ホスホネートカーボネート)に別々に導入することができる。したがって、例えば、芳香族二水酸化物と有機カーボネートおよびジフェニルメチルホスホネートとのエステル交換中またはその最後、コ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)の形成前または形成中、または前記コ−オリゴ(ホスホネートカーボネート)の前記溶融コポリ(ホスホネートカーボネート)への重縮合前後に、添加物を導入することができる。本発明に沿った前記化合物の追加形態に制限はない。例えば、前記エンジニアリングプラスチックおよび/または追加化合物または添加物は、粉末などの固体、つまり溶液中でポリカーボネート粉末内の濃縮物として追加することができる。産業の実施形態では、例えばコポリ(ホスホネートカーボネート)毎時200〜1000kgの処理量で側方押出し機を操作することができる。
【0043】
本発明の前記ポリマー組成は、コーティングまたは添加物として使用することができ、または自立フィルム、プリプレグ、繊維、泡、成形品、および繊維強化複合材などの製造品に使用することができる。繊維強化複合材の場合、前記強化は、これに限定されるものではないが、ガラス、炭素、炭化ケイ素、および有機繊維またはその組合せを含む、連続的織り繊維または短繊維の形態とすることができる。これらの製造品は、ULまたは他の標準化された耐火性基準を満たす必要がある、通常の製品において、支持部品、電気成分、電気的接続部、プリント配線耐熱合成樹脂合板、枠、従属部品および部品として、様々な用途に十分適している。
【0044】
上述のとおり調整したランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)、または本発明のランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)およびエンジニアリングポリマーを含むエンジニアリングポリマー組成は、自己消火性、つまり、炎から取り出すと燃焼を止め、消炎燃焼で溶融により生成した滴はほぼ即座に鎮火し、周辺物質に容易に火が伝わることはない。さらに、これらのポリマー組成は炎を当てた場合、目立った煙は発生させない。
【0045】
(実施例)
本発明は、一定の好ましい実施形態に関してかなり詳細に説明したが、他の形態も可能である。従って、添付の請求項の精神と範囲は、本明細書に含まれる記載および好ましい形態に限定されるものではない。本発明の様々な観点が、以下の制限のない例に準拠して説明される。以下の例は説明の目的のみで提供され、いかなる方法でも本発明を制限するものとして解釈されるものではない。
【0046】
分析上の特徴
ジフェニルメチルホスホネート(DPP)中の酸性成分の量は、それぞれのガスクロマトグラフィー(GC)ピーク下面積に基づき、MSTFA(N−メチル−N−(トリメチルシリル)トリフルオルアセトアミド)による誘導体化後のサンプルを分析することで、非極性カラム(Optima 5)でGCにより決定した。
【0047】
分子量分布は、UV検出器(254nm)付きゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ジクロロメタン中0.2%のポリマー溶液を測定することで決定した。前記装置の較正は、分子量が既知の直線ポリカーボネート基準品を用いて行った。前記分子量の平均(Mw)、平均数(Mn)、およびPDと呼ばれる多分散性(Mw/Mn)は、WinGPCソフトウェアを用い、クロマトグラムから評価した。
【0048】
加水分解安定性の決定は、沸騰水試験により行った。10gのペレットから成るランダムコポリ(ホスホネート−カーボネート)サンプルを純水(3回蒸留)100mlに入れ、大気圧下、168時間まで還流条件とした。サンプルは定期的に取り出し、相対粘度(ηrel)を25℃、ジクロロメタン中、濃度0.5g/lの濃度でウベローデ粘度計により測定した。沸騰水試験によるηrelの変化を測定し、加水分解安定性の評価に用いた。
【0049】
(実施例1)
米国特許第7,645,850号明細書によるブロックコポリ(ホスホネートカーボネート)、比較例
ブロックコポリ(ホスホネートカーボネート)は、2つの別の反応器で生成したオリゴ−ホスホネートとオリゴ−カーボネートとの反応により合成した。機械的スターラーと還流冷却器を備えた6Lのステンレス鋼反応器に、窒素雰囲気下、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)(1140g、5.000mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)(1110g、5.187mol)、および触媒のテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP、0.3g、フェノール中70%、0.49mmol)を加えた。前記モノマー/触媒混合物は、わずかに圧力を低下させ(933mbar)、250℃に加熱した。250℃で15分後、圧力を667mbarに低下させ、合計2時間45分かけて徐々に13mbarまで低下させた。副生成物のフェノールを蒸留により取り除き、目盛り付き受入フラスコで回収した。合計860mLのフェノールを回収した。
機械的スターラーを備え、2つの還流冷却器を連続接続した第2の12Lステンレス鋼反応器に、窒素雰囲気下、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA、554g、2.430mol)、ジフェニルメチルホスホネート(DPP)(603.0g、2.431mol)、および触媒のテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP、0.192g、フェノール中70%、0.310mmol)を加えた。この反応を行う前に前記DPPを分析すると、このロットに0.02%の酸性成分が含まれることが示された。前記モノマー/触媒混合物は、わずかに圧力を低下させ(933mbar)、265℃に加熱した。265℃で15分後、前記圧力を280mbarに低下させ、合計5時間かけて徐々に5.3mbarまで低下させた。副生成物のフェノールを蒸留により取り除き、目盛り付き受入フラスコで回収した。合計390mLのフェノールを回収した。前記オリゴ−ホスホネート生成物を、ステンレス鋼のブリッジから265℃に保持したオリゴ−カーボネート生成物を含む6Lのステンレス鋼反応器に移した。追加で触媒のテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP、0.450g、フェノール中70%、0.80mmol)を加えた。30分後、前記反応温度を305℃に上昇させ、前記圧力を0.4mbar未満に低下させた。回転力が11.30Nmになるまで(6時間15分)、前記オリゴマーを反応させた。最終生成物は、前記反応器の底で押し抜き機から水浴に押出し、造粒機を用いてペレット化した。
【0050】
(実施例2および3)
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)、比較例
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は多段階のプロセスにより合成した。まず、前記モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)(79.67g=0.349mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)(55.033g、0.257mol)、ジフェニルメチルホスホネート(DPP)(27.329g、0.110mol)、および触媒テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP、0.0943g、フェノール中68%、0.148mmol)を、蒸留ブリッジと機械的スターラーを備えた三つ口フラスコに入れた。この反応を行う前に前記DPPを分析すると、このロットに0.19%の酸性成分が含まれることが示された。前記モノマー/触媒混合物を190℃の温度に加熱し、大気圧および窒素雰囲気下、前記固体を溶融させた。溶融後、毎分400回転(rpm)の速度で45分間攪拌した。45分間190℃で攪拌後、前記温度を200℃に上昇させた。200℃に達した後、前記圧力は200mbarに低下させた。反応が開始し、副生成物のフェノールを蒸留により除去し、氷水で冷却した受入フラスコに回収した。滞留時間20分後、前記圧力は100mbarに低下させ、前記温度は215℃に上昇させた。さらに滞留時間20分の後、前記圧力は50mbarに低下させ、前記温度は250℃に上昇させた。さらに滞留時間20分の後、前記圧力は25mbarに低下させ、前記温度は260℃に上昇させた。滞留時間20分後、前記圧力は4mbarに低下させ、前記温度は290℃に上昇させた。滞留時間5分後、スターラーの速度を250rpmに低下させた。さらに20分の滞留時間後、前記スターラーの速度を100rpmに低下させた。さらに滞留時間20分の後、前記圧力は1mbarに低下させ、温度は310℃に上昇させた。さらに滞留時間45分後、前記スターラーの速度を50rpmに低下させた。さらに滞留時間15分後、前記最初のサンプルを分析用に取り出した(1時間のサンプルは、1mbarの高真空状態で1時間を意味する)。さらに310℃、1mbar、50rpmの速度で1時間後、第2のサンプルを分析用に取り出した(2時間のサンプルは、1mbarの高真空状態で2時間を意味する)。
【0051】
(実施例4)
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)、比較例
例4は、使用した前記DPPに0.337%の酸性成分が含まれていた点を除き、例2の繰り返しである。
【0052】
例2〜3は比較のためのものであり、本発明の合成条件を利用して生成したが、DPPの純度は低かった(酸性成分約0.19%)。
【0053】
(実施例5〜11)
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)、発明
例5〜11では、酸性成分量が0.12%以下の高純度DPPロットを使用した。さらに、使用した触媒の量が異なっていた。例5〜11の反応条件は同一であり、以下に説明する。
【0054】
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は多段階のプロセスにより合成した。まず、前記モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)(79.67g=0.349mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)(55.033g、0.257mol)、ジフェニルメチルホスホネート(DPP)(27.329g、0.110mol)、および触媒テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP、0.0943g、フェノール中68%、0.148mmol)を、蒸留ブリッジと機械的スターラーを備えた三つ口フラスコに入れた。この反応を行う前に前記DPPを分析すると、このロットに0.12%の酸性成分が含まれることが示された。前記モノマー/触媒混合物を190℃の温度に加熱し、大気圧および窒素雰囲気下、前記固体を溶融させた。溶融後、毎分400回転(rpm)の速度で45分間攪拌した。45分間190℃で攪拌後、前記温度を200℃に上昇させた。200℃に達した後、前記圧力は200mbarに低下した。反応が開始し、副生成物のフェノールを蒸留により除去し、氷水で冷却した受入フラスコに回収した。滞留時間20分後、前記圧力は100mbarに低下させ、前記温度は215℃に上昇させた。さらに滞留時間20分の後、前記圧力は50mbarに低下させ、前記温度は250℃に上昇させた。さらに滞留時間20分の後、前記圧力は25mbarに低下させ、前記温度は260℃に上昇させた。滞留時間20分後、圧力は4mbarに低下させ、温度は290℃に上昇させた。滞留時間5分後、スターラーの速度を250rpmに低下させた。さらに20分の滞留時間後、前記スターラーの速度を100rpmに低下させた。さらに滞留時間20分の後、圧力は1mbarに低下させ、温度は310℃に上昇させた。滞留時間さらに45分後、前記スターラーの速度を50rpmに低下させた。さらに滞留時間15分後、最初のサンプルを分析用に取り出した(1時間のサンプルは、1mbarの高真空状態で1時間を意味する)。さらに310℃、1mbar、50rpmの速度で1時間後、第2のサンプルを分析用に取り出した(2時間のサンプルは、1mbarの高真空状態で2時間を意味する)。
【0055】
すべての反応物質の初期重量とDPP中の酸性副生成物の量については、正確な説明を表1に示す。
【0056】
(実施例12〜17)
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート):発明
例12〜17で使用したDPPには、総酸性成分が最大で0.034%含まれていた。
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)は多段階のプロセスにより合成した。まず、前記モノマーとしてPA(9000±200g)、DPC(6500±200g)、DPP(2900±100g)、および触媒TPPP(10.8±0.2g、フェノール中68%)を混合容器に入れ、大気圧、窒素雰囲気下で190℃に加熱した。溶融した固体と前記反応混合物を400rpmで45分間攪拌した。(DPP+DPC)/BPAのモル比は、前記反応開始時の前記BPA濃度1.0と比較し、それぞれ1.06および1.07であった。DPPの量は、質量に基づくDPPとDPP+DPC合計との比が31%になるように固定した。すべての初期重量を示した各組成の正確な説明は、表2に示している。
【0057】
大気圧下、190℃で45分間の反応時間後、前記反応混合物は流下膜式蒸発器の底に移した。流下膜式蒸発器の温度は190℃であり、大気圧、窒素雰囲気下とした。完全に移した後、流下膜式蒸発器の圧力は200mbarに低下した。前記反応混合物は、外側から加熱したダウンパイプによってサークルにポンプでくみ上げた。サークルにくみ上げる量は実験全体で一定に維持し、最初の1時間で前記流下膜式蒸発器に最初に移した液量の4倍まで追加した。前記反応中に生成したフェノールは蒸留により除去し、別の容器に回収することで、前記反応混合物から取り出した。滞留時間20分の後、前記圧力は100mbarに低下させ、前記温度は220℃に上昇させた。その間中、前記反応混合物はダウンパイプからサークルにくみ上げた。滞留時間20分後、前記反応混合物を前記ダウンパイプからサークルに連続してくみ上げながら、前記圧力は50mbarに低下させ、前記温度は250℃に上昇させた。滞留時間20分後、前記反応混合物を前記ダウンパイプからサークルに連続してくみ上げながら、前記圧力は35mbarに低下させ、前記温度は265℃に上昇させた。滞留時間20分後、前記反応混合物は円板反応器にくみ上げた。前記円板反応器では、円板回転速度2.5rpm、圧力4mbar、270℃で重合を続けた。その間中、前記反応中に生成したフェノールは蒸留により除去した。滞留時間45分間後前記圧力は1mbarに低下させ、前記温度は305℃に上昇させ、前記円板の回転速度は1rpmに低下させた。前記反応は最終粘度に達するまで続けた(詳細は表2を参照)。前記最終粘度に達した後、前記ポリマーを押し抜き機により前記反応器からくみ上げ、水浴に入れた。前記固体ポリマーを造粒機によりペレット化した。
【0058】
(実施例18〜20)
ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート):発明
温度、圧力、スターラーの速度、および滞留時間に従った反応条件は、正確に例5〜11のとおりであるが、DPP/(DPP+DPC)比が異なる(表3を参照)。
これらの例で使用されたすべてのモノマーの初期重量およびDPP中の酸性副生成物の量は、表3に示している。
【0059】
(実施例21〜23)
実施例21〜23は、社内で作成したか、Rhodiaから入手したDPPを用いて実施した。社内で作成したDPPには酸性成分が0.03%含まれた。Rhodiaから入手したDPPには酸性成分が0.92%含まれた。
【0060】
実施例21。蒸留塔および機械的スターラーを備えた6Lの反応器に前記2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、1.411kg、6.19mol)、高純度メチルホスホン酸ジフェニルエーテル(DPP)(0.50kg、2.013mol)、ジフェニルカーボネート(0.929kg、4.34mol)、および1.67gのテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP)触媒(フェノール中70%)を入れた。この反応を行う前に前記DPPを分析すると、このロットに0.03%の酸性成分が含まれることが示された。前記混合物を250℃に加熱し、その間、圧力を約5時間かけて700mmHgから4mmHgに低下させた。回収した蒸留物は1101gであった。この混合物の生成物は、オリゴ−カーボネート−ホスホネートであった。
【0061】
前記混合物を250〜300℃に加熱し、その間、圧力を約5時間かけて10mmHgから1.5mmHgに低下させた。この反応の経過中、蒸留物を約138g回収した。前記コポリカーボネート/ホスホネート生成物は反応器から水浴に押し出し、鎖を形成した後、ペレット化した。前記反応器からのコポリマー生成物の収量は1586gであった。前記コポリマーは透明、帯黄色で、堅かった。
【0062】
実施例22は、実施例21で説明したものと同じ手順で行った。TPPPの代わりにナトリウム・フェノラートを触媒として使用した。
【0063】
実施例23。蒸留塔および機械的スターラーを備えた6Lの反応器に前記2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、1.411kg、6.19mol)、高純度メチルホスホン酸ジフェニルエーテル(DPP)(0.50kg、2.013mol)、ジフェニルカーボネート(0.929kg、4.34mol)、および1.67gのテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPP)触媒(フェノール中70%)を入れた。前記DPPはRhodiaから入手し、この反応を行う前に前記DPPを分析すると、このロットに0.92%の酸性成分が含まれることが示された。前記混合物を250℃に加熱し、その間、圧力を約5時間かけて700mmHgから4mmHgに低下させた。回収した蒸留物は1130gであった。この混合物の生成物は、オリゴ−カーボネート−ホスホネートであった。
【0064】
次に前記混合物を250〜300℃に加熱し、その間、圧力を約1時間かけて10mmHgから1.5mmHgに低下させた。最後の30分で粘度が劇的に上昇することが観察された。この反応の経過中、蒸留物を約133g回収した。前記コポリカーボネート/ホスホネート生成物は、粘度が高く、ゴムのような挙動を示したため、鎖として反応器から押し出すことができなかった。前記反応器からの前記コポリマー生成物の収量は1492gであった。
【0065】
前記実施例の組成および解析評価の結果を表1〜4に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【0068】
【表2】
【0069】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【0073】
様々な実施例の結果を分析する上で、比較例1はブロックコポリマーであり、高純度DPP(酸性成分0.02%)を使用した。前記ブロックコポリ(ホスホネートカーボネート)は高Mwを示し、多分散性(PD)の値は2.23であった。実施例1では168時間の沸騰水試験後、加水分解安定性が比較的低いことが示され、相対粘度は0.196であった(表1)。
【0074】
実施例2〜4は、20%以上のDPP、DPC、BPA、およびTPPPから調整したランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)であったが、DPPの純度は低く、実施例2および3の酸性成分は0.19、実施例4の酸性成分は0.337であった(表1)。表1に示すとおり、溶液粘度およびGPC測定で測定すると、これら3つの比較例では高分子量を実現することはなかった。したがって、前記プロセスはこのような工業規模の条件で無理なく実施することができる。
【0075】
本発明の代表的な例である実施例5〜11では、高純度DPP(酸性成分0.15%以下)を用い、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を合成した。7実施例すべてにおいて、約22,000〜34,000g/モルの範囲の高いMwを達成した。前記多分散性(PD)は2.42〜2.93の範囲であった。前記加水分解安定性は優れており、相対粘度が低下し、168時間の沸騰水試験後には約0.06〜0.10の範囲となった(表1)。
【0076】
本発明の代表的な例である実施例12〜17では、高純度DPP(酸性成分0.034%)を用い、多段階プロセスで前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を合成した。最初に、前記反応物質と触媒を混合容器中で一緒に溶融させ、次にフェノールの除去を助ける流下膜式蒸発器に移した。この段階終了後、前記反応混合物を円板反応器に移し、重合を終わらせた。6実施例すべてにおいて、約32,400〜37,600g/モルの範囲の高いMwを達成した。前記多分散性は2.56〜2.90の範囲であった。前記加水分解安定性は優れており、相対粘度が低下し、168時間の沸騰水試験後には約0.06〜0.10の範囲となった(表2)。
【0077】
本発明の代表的な例である実施例18〜20では、高純度DPP(酸性成分0.15%以下)を用い、実施例5〜11で利用したものと同じプロセスの後、前記ランダムコポリ(ホスホネートカーボネート)を合成した。ただし、これらの3つの実施例では、前記モノマーを異なる比率で用いた(表3)。これらの3実施例すべてにおいて、約21,000〜42,000g/モルの範囲の高いMwを達成した。前記多分散性(PD)は2.21〜3.89の範囲であった。前記加水分解安定性は優れており、相対粘度が低下し、168時間の沸騰水試験後には約0.007〜0.15の範囲となった(表3)。
【0078】
実施例21および22を実施例23と比較し、酸性成分濃度が十分に低いDPPを利用することで、ポリマーが得られ、Mnは十分に高く(10,000g/モル超)、多分散性は狭く、3未満であることが示された。酸性成分が比較的高い濃度(ほぼ1%)のDPPを用いた場合、前記反応混合物を攪拌するために用いるスターラーの回転力(前記混合物の粘度、したがって、前記反応混合物のMwの指標である)は急速に上昇する。結果として、前記反応器から前記物質を除去できるように、前記反応はわずか約6時間後に終了する必要があった。しかし、高純度のDPPが使用された反応と同等のMwが得られたが、前記Mnはあまり高くはなかった(例えば、9,000g/モル超)。結果的に多分散性が約4と高く、分岐または架橋した物質であることを示している。酸性成分濃度が比較的高いことで副反応が誘発され、このようにPDが高くなった可能性がある。
【0079】
さらに、低純度DPPで得られた物質(実施例23)の加水分解安定性は、前記高純度DPPで作られた物質(実施例21および22)よりも低かった。