(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964309
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ジチオピルによるトリフルラリン抵抗性雑草の防除
(51)【国際特許分類】
A01N 25/00 20060101AFI20160721BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20160721BHJP
A01P 13/02 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
A01N25/00 102
A01N43/40 101D
A01P13/02
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-532891(P2013-532891)
(86)(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公表番号】特表2013-539754(P2013-539754A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011054834
(87)【国際公開番号】WO2012047944
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年9月29日
(31)【優先権主張番号】61/391,142
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ウェルス,グレゴリー エス.
【審査官】
井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−514907(JP,A)
【文献】
特開平08−217608(JP,A)
【文献】
再公表特許第2008/096675(JP,A1)
【文献】
特表2010−537996(JP,A)
【文献】
特表2002−529379(JP,A)
【文献】
特表2012−524095(JP,A)
【文献】
PARRISH, S. K.,"Dithiopyr; Potential Use in European Cereals",BRIGHTON CROP PROTECTION CONFERENCE. WEEDS,1993年,VOL.2,PP.573-578
【文献】
ECKIE,H. J.,ET AL.,"Effect of Ethalfluralin and Other Herbicides on Trifluralin-Resistant Green Foxtail (Setaria viridis)",WEED TECNOLOGY,1993年,Vol.7,NO.1,PP.6-14
【文献】
SMEDA,R. J.,ET AL.,"A Novel Pattern of Herbicide Cross-Resistance in aTriflurarin-Resistant Biotype of Green Foxtail" ,PESTICIDE BIOCHEMISTRY AND PHYSIOLOGY,1992年,VOL.42,NO.3,PP.227-241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する方法であって、穀物の部位を、植え付け時又は雑草出芽の前に、除草有効量のジチオピルを含有する組成物と接触させることを含む方法。
【請求項2】
穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する方法であって、除草有効量のジチオピルを含有する組成物を、穀物を含む区域に1ヘクタールあたり240グラム以下の活性成分の率で施用することを含む方法。
【請求項3】
除草有効量のジチオピルを含有する組成物が土壌に施用され、穀物を植え付けるときに土壌の中に組み込まれ又は雑草が出芽する前に植え付け後に土壌表面に施用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
穀物が、小麦、大麦又はライ小麦である、請求項1、2又は3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
除草有効量のジチオピルを含有する組成物が、0.0001重量パーセントから1重量パーセントのジチオピルを含有し、穀物の部位に施用される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
組成物が、0.001重量パーセントから0.1重量パーセントのジチオピルを含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
組成物が、1つ又は複数の追加の穀物用除草剤を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ジチオピルを含有する組成物が、0.001重量パーセントのジチオピル及び98重量パーセントのジチオピルを含有する濃縮組成物を希釈することにより作り出される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ジチオピルが、穀物を含む農地に1ヘクタールあたり250グラム以下の活性成分の率で施用される、請求項1又は3から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ジチオピルが、穀物を含む農地に1ヘクタールあたり240グラム以下の活性成分の率で施用される、請求項1又は3から8のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年10月8日出願の米国仮特許出願第61/391,142号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
2,6−ジニトロ−N,N−ジプロピル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンであるトリフルラリンは、ジニトロアニリン(DNA)系除草剤であり、その除草活性は、The Pesticide Manual, Fifteenth Edition, 2009に記載されている。微小管構築の阻害剤として作用するトリフルラリンは、多様な作物における多くの一年草及び広葉雑草の出芽前防除を提供する。トリフルラリンは、1960年代に導入されてから広く使用されており、特定の雑草に、これ及び作用様式が微小管構築の阻害剤として作用するものである他の除草剤の両方に対する耐性が生じている。作物におけるトリフルラリン抵抗性雑草の出芽前防除に有効なトリフルラリンの代替物が有用である。
【発明の概要】
【0003】
ピリジン系除草剤であるジチオピルは、驚くべきことに、トリフルラリン抵抗性雑草を有効に防除することが見出された。穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する方法が記載される。方法は、穀物の部位を、植え付け時又は雑草出芽の前に、除草有効量のジチオピルを含有する組成物と接触させることを含む。ジチオピルを土壌に施用し、穀物を植え付けるときに土壌の中に組み込み又は雑草が出芽する前に植え付け後に土壌表面に施用することができる。穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する追加的な方法は、除草有効量のジチオピルを含有する組成物を、穀物を含む農地に1ヘクタールあたり240グラム以下の活性成分の率で施用することを含む。
本発明は、以下を提供する。
[1]穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する方法であって、穀物の部位を、植え付け時又は雑草出芽の前に、除草有効量のジチオピルを含有する組成物と接触させることを含む方法。
[2]穀物におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギの成長を防除する方法であって、除草有効量のジチオピルを含有する組成物を、穀物を含む区域に1ヘクタールあたり240グラム以下の活性成分の率で施用することを含む方法。
[3]除草有効量のジチオピルを含有する組成物が土壌に施用され、穀物を植え付けるときに土壌の中に組み込まれ又は雑草が出芽する前に植え付け後に土壌表面に施用される、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]穀物が、小麦、大麦又はライ小麦である、上記[1]、[2]又は[3]のいずれかに記載の方法。
[5]除草有効量のジチオピルを含有する組成物が、0.0001重量パーセントから1重量パーセントのジチオピルを含有し、穀物の部位に施用される、上記[1]から[4]のいずれかに記載の方法。
[6]組成物が、0.001重量パーセントから0.1重量パーセントのジチオピルを含有する、上記[5]に記載の方法。
[7]組成物が、1つ又は複数の追加の穀物用除草剤を含有する、上記[1]から[6]のいずれかに記載の方法。
[8]ジチオピルを含有する組成物が、0.001重量パーセントのジチオピル及び98重量パーセントのジチオピルを含有する濃縮組成物を希釈することにより作り出される、上記[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[9]ジチオピルが、穀物を含む農地に1ヘクタールあたり250グラム以下の活性成分の率で施用される、上記[1]又は[3]から[8]のいずれかに記載の方法。
[10]ジチオピルが、穀物を含む農地に1ヘクタールあたり240グラム以下の活性成分の率で施用される、上記[1]又は[3]から[8]のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0004】
S,S’−ジメチル2−(ジフルオロメチル)−4−(2−メチルプロピル)−6−(トリフルオロメチル)−3,5−ピリジンジカルボチオエートであるジチオピルは、ピリジン系除草剤であり、その除草活性は、The Pesticide Manual, Fifteenth Edition, 2009に記載されている。ジチオピルは、紡錘体微小管形成を妨害することによって細胞分裂を阻害することにより、芝生における一年草及び広葉雑草を防除する出芽前除草剤として主に使用される。
【0005】
除草剤という用語は、植物を枯死させ、防除し、又はそうでなければ植物の成長に有害な変更を与える活性成分を意味するために本明細書において使用される。除草有効量又は植生防除量は、有害な変更効果を引き起こし、自然の発育からの逸脱、枯死、調節、乾燥、遅延などを含む活性成分の量である。植物及び植生という用語には、発芽種子、出芽実生及び確立された植生が含まれる。
【0006】
除草活性は、植え付け又は出芽の前に植物の部位に直接施用されたとき、ジチオピルにより示される。観察される効果は、使用時の環境条件(例えば、施用に対する雨の量及び時期)、用いられる特定の補助剤及び担体、土壌の種類、植え付け及び組み込みの方法(例えば、播種による組み込み(IBS)及び播種後出芽前(PSPE))、並びに施用される化学薬品の量に応じて左右される。一般に、ジチオピルは、小麦、大麦又はライ小麦におけるトリフルラリン抵抗性一年生ドクムギを防除するために、出芽前に施用され、又は植え付け前に組み込まれる。本明細書で使用されるとき、除草有効量のジチオピルを含有する組成物には、ジチオピルと他の構成成分との混合物、例えば水で希釈された混合物、及び、ジチオピルのみを含有する組成物、すなわち無希釈(neat)溶液が含まれる。
【0007】
ジチオピルを1つ又は複数の他の穀物用除草剤と共に施用して、多種多様な望ましくない植生を防除することができる。他の除草剤と共に使用する場合、本請求の組成物を、他の単数若しくは複数の除草剤と配合し、他の単数若しくは複数の除草剤とタンク混合し又は他の単数若しくは複数の除草剤と連続して施用することができる。ジチオピルと共に用いることができる幾つかの除草剤には、2,4−D、アセトクロール、アミドスルフロン、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンタゾン、ビフェノックス、ブロモキシニル、ブタフェナシル、カルフェントラゾン−エチル、クロルトルロン(chlortoluron)、クロルスルフロン、シニドン−エチル、クロジナホップ−プロパルギル、クロピラリド、シアナジン、シクロスルファムロン、ピロキシスラム、ジカンバ、ジクロホップ−メチル、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメタンアミド、ジウロン、エトキシスルフロン、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−エチル、フェノキサプロップ−エチル+イソキサジフェン−エチル、フェノキサプロップ−p−エチル、フロラスラム、フルカルバゾン、フルセトスルフロン、フルメツラム、フルピルスルフロン、フルルタモン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、ヨードスルフロン、ヨードスルフロン−エチル−ナトリウム、イオキシニル、イソプロツロン、イソキサベン、ラクトフェン、リニュロン、MCPA、メコプロップ−P、メソスルフロン、メソスルフロン−エチルナトリウム、メトスラム、メトラクロール、メトリブジン、メトスルフロン、メトスルフロン−メチル、オルソスルファムロン、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、ペノキススラム、ピコリナフェン、ピノキサデン、プリミスルフロン、プロフルアゾール、プロポキシカルバゾン、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラフルフェンエチル、ピロキサスルホン、キンメラック、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、チフェンスルフロン−メチル、トプラメゾン、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリベヌロン−メチル及びトリフルラリンが含まれる。
【0008】
ジチオピルを、一般に、クロキントセット(メキシル)、ベノキサコル、ベンチオカルブ、ブラッシノリド、シオメトリニル、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジメピペレート、ジスルホトン、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、MG 191、MON 4660、ナフタル酸無水物(NA)、オキサベトリニル、R29148及びN−フェニルスルホニル安息香酸アミドなどの既知の除草剤毒性緩和剤と組み合わせて用いて、選択性を増強することができる。
【0009】
ジチオピルを除草剤として直接使用することができるが、除草有効量の化合物を少なくとも1つの農学的に許容される補助剤又は担体と一緒に含有する混合物で使用することが好ましい。適切な補助剤又は担体は、多年生牧草に対して、特に牧草成長調節用の組成物の施用において用いられる濃度で植物毒性であるべきではなく、化合物又は他の組成物成分と化学的に反応するべきではない。そのような混合物は、牧草若しくはこれらの部位への直接的な施用のために設計することができ又は施用の前に追加的な担体及び補助剤で通常希釈される濃縮剤(concentrate)若しくは製剤でありうる。これらは、例えば粉剤、顆粒剤、水和粒剤(water dispersible granule)若しくは水和剤(wettable powder)などの固体又は例えば乳剤、液剤、エマルション剤若しくは懸濁剤などの液体でありうる。これらをプレミックスとして提供し又はタンク混合することもできる。
【0010】
除草混合物の調製において有用である適切な農業用補助剤及び担体は、当業者によく知られている。これらの補助剤の幾つかには、作物油濃縮剤(crop oil concentrate)(鉱油(85%)+乳化剤(15%));ノニルフェノールエトキシレート;ベンジルココアルキルジメチル第四級アンモニウム塩;石油炭化水素とアルキルエステルと有機酸とアニオン性界面活性剤とのブレンド;C
9〜C
11アルキルポリグリコシド;リン酸化アルコールエトキシレート;天然第一級アルコール(C
12〜C
16)エトキシレート;ジ−sec−ブチルフェノールEO−POブロックコポリマー;ポリシロキサン−メチルキャップ;ノニルフェノールエトキシレート+尿素硝酸アンモニウム(urea ammonium nitrate);乳化メチル化種子油;トリデシルアルコール(合成)エトキシレート(8EO);タローアミンエトキシレート(15 EO);PEG(400)ジオレエート−99が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
用いることができる液体担体には、水及び有機溶媒が含まれる。典型的に使用される有機溶媒には、例えば鉱油、芳香族溶媒、パラフィン系油などの石油留分又は炭化水素;例えばダイズ油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、パーム油、ピーナッツ油、ベニバナ油、ゴマ油、キリ油などの植物油;上記の植物油のエステル;例えばステアリン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジオレイン酸プロピレングリコール、コハク酸ジ−オクチル、アジピン酸ジ−ブチル、フタル酸ジ−オクチルなどのモノアルコール又は二価、三価若しくは他の低級多価アルコール(4〜6つのヒドロキシルを含有)のエステル;モノ、ジ及びポリカルボン酸などのエステルが含まれるが、これらに限定されない。特定の有機溶媒には、トルエン、キシレン、石油ナフサ、作物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアルキルアミド、ジメチルスルホキシド、液体肥料などが含まれる。水が、一般に、濃縮剤の希釈のための選択担体である。
【0012】
適切な固体担体には、タルク、葉ろう石粘土、シリカ、アタパルジャイト質粘土(attapulgus clay)、カオリン粘土、多孔質珪藻土、白亜、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイト粘土、フラー土、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、クルミ殻粉、リグニンなどが含まれる。
【0013】
1つ又は複数の表面活性剤を、ジチオピルを含有する除草混合物に組み込むことができる。そのような表面活性剤は、固体及び液体の両方の組成物において、特に、施用の前に担体で希釈されるように設計されたものにおいて有利に用いられる。表面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性であることができ、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤として又は他の目的で用いることができる。配合技術において従来使用され、本発明の製剤において使用することもできる界面活性剤は、とりわけ、“McCutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual,” MC Publishing Corp., Ridgewood, New Jersey, 1998及び“Encyclopedia of Surfactants,” Vol. I-III, Chemical Publishing Co., New York, 1980-81に記載されている。典型的な表面活性剤には、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどのアルキル硫酸の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩;ノニルフェノール−C
18エトキシレートなどのアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加物;トリデシルアルコール−C
16エトキシレートなどのアルコール−アルキレンオキシド付加物;ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレン−スルホン酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アミン;ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー;モノ及びジアルキルリン酸エステルの塩;例えばダイズ油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、パーム油、ピーナッツ油、ベニバナ油、ゴマ油、キリ油などの植物油;及び上記の植物油のエステルが含まれる。
【0014】
農業用組成物において一般的に使用される他の添加剤には、相溶化剤、消泡剤、金属イオン封鎖剤、中和剤及び緩衝剤、腐食抑制剤、染料、着臭剤、展着剤、浸透助剤、固着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗微生物剤などが含まれる。
【0015】
除草混合物におけるジチオピルの濃度は、一般に0.001〜98重量パーセントである。5〜90重量パーセントの濃度が多くの場合に用いられる。濃縮剤として用いられるように設計された組成物において、活性成分は、一般に、5〜98重量パーセント、10〜98重量パーセント、20〜98重量パーセント、30〜98重量パーセント、40〜98重量パーセント、50〜98重量パーセント、60〜98重量パーセント、70〜98重量パーセント、80〜98重量パーセント又は90〜98重量パーセント、好ましくは5〜90重量パーセントの濃度で存在する。そのような組成物は、典型的には、施用の前に水などの不活性担体で希釈される。牧草又は牧草の部位に通常施用される希釈組成物は、一般に、0.0001〜1重量パーセントの活性成分、0.001〜0.5重量パーセントの活性成分又は0.001〜0.3重量パーセントの活性成分を含有し、好ましくは0.001〜0.1重量パーセントを含有する。
【0016】
記載されている除草混合物を、1ヘクタールあたり25グラム以下の活性成分(g ai/ha)、50g ai/ha以下、75g ai/ha以下、100g ai/ha以下、110g ai/ha以下、120g ai/ha以下、130g ai/ha以下、140g ai/ha以下、150g ai/ha以下、160g ai/ha以下、170g ai/ha以下、180g ai/ha以下、190g ai/ha以下、200g ai/ha以下、210g ai/ha以下、220g ai/ha以下、230g ai/ha以下、240g ai/ha以下、250g ai/ha以下、300g ai/ha以下、350g ai/ha以下、400g ai/ha以下、450g ai/ha以下、500g ai/ha以下、600g ai/ha以下、700g ai/ha以下、800g ai/ha以下、900g ai/ha以下又は1000g ai/ha以下の率で施用することができる。好ましくは、記載されている除草混合物を250g ai/ha以下の率で施用することができる。最も好ましくは、記載されている除草混合物を240g ai/ha以下の率で施用することができる。
【実施例】
【0017】
トリフルラリンに対して異なる程度で抵抗性を有する5つのドクムギ生物型(1251、1216.1、1252.6、1252.2及び1145.4)及び2つの非抵抗性生物型(SLR4及び1261.1)を試験した。ジチオピルを、ドクムギ及び小麦の模擬の播種による組み込み(IBS)系を使用して施用した。
【0018】
ドクムギ:一定量の種子(およそ50個の種子)を、0.55Lのポリエチレンポットの砂質鉢植え用土壌の表面に置いた。ジチオピルを、1ヘクタールあたり250、500及び1000グラムの活性成分(g ai/ha)の率でドクムギ種子のある土壌表面に直接散布した。次に、種子及び土壌を、土壌混合物で5mmの深さに覆った(土壌混合物は、385Lのピートモス、615Lの粗砂、1024gのAg石灰、564gの消石灰及び3.7KgのOsmocote(登録商標)Exact(商標)(Everris International B.V.;Geldermalsen,The Netherlands)を含み、pH6.3であった)。
【0019】
小麦:10個の小麦の種子(Correll品種)を1cmの深さに埋めた。除草剤を土壌表面に散布し、次に除草剤を別の5mmの土壌で覆った。この種子分離の系は、作物の選択性を確実にした。
【0020】
除草剤の施用は、1ms
−1の速度のTジェットファンノズルを備えた実験用ブーム散布機(laboratory boom sprayer)を使用して実施した。散布機の出力を、250kPaの圧力で110L ha
−1に較正した。この試験手順を使用して、それぞれの除草剤の即時で均一の組み込みにより、揮発損失を最小限にした。実験を、3回の反復による任意配列ブロック法として確立し、真冬(7月〜8月)の間に野外で実施した。
【0021】
小麦及びドクムギ実生に対する除草剤効果を散布の5週間後に測定した。実生は、この時点で2葉期に達した場合に出芽したと考慮された。生存%は、散布処理における2〜3葉実生の生存数を散布前に存在した数と比較することによって記録した(表1及び2)。
【0022】
加えて、小麦の現存量(biomass)は、植物を採取すること、及び乾燥重量を測定して作物の安全性を示すことによって記録した。処理植物の乾燥重量を未処理小麦の重量と比較し、現存量の百分率を計算した(表2)。
【0023】
本発明は、本明細書に開示されている実施形態による範囲に限定されず、これらは本発明の幾つかの態様の例示であることが意図され、機能的に同等である任意の実施形態は、本発明の範囲内である。本明細書に示され、記載されているものに加えて、組成物及び方法の多様な変更が当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。更に、本明細書に開示されている組成物の構成成分及び方法の工程の特定の代表的な組み合わせだけが、上記に実施形態において具体的に考察されているが、組成物の構成成分及び方法の工程の他の組み合わせは、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲内であることも意図される。したがって、構成成分又は方法の工程の組み合わせが本明細書に明確に記述されていることがあるが、構成成分又は方法の工程の他の組み合わせは、明確に記述されていなくても含まれる。用語「含む(comprising)」及びその変形は、本明細書で使用されるとき、用語「含む(including)」及びその変形と同義的に使用され、開放的で非限定的な用語である。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】