特許第5964318号(P5964318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964318
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】脱臭剤
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20160721BHJP
   E03D 9/02 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   E03D9/00 B
   E03D9/02
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-543821(P2013-543821)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-501342(P2014-501342A)
(43)【公表日】2014年1月20日
(86)【国際出願番号】EP2011073085
(87)【国際公開番号】WO2012080480
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】10290661.7
(32)【優先日】2010年12月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】ブロンドー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジュベール,カロライン
(72)【発明者】
【氏名】ブレッソン,ボイル,アリス
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0240251(US,A1)
【文献】 特表2008−545591(JP,A)
【文献】 特表2006−522241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗されるトイレの水に活性剤を、およびそれに近接した空気に香料を加えるように適合されたデバイスであって、単一のユニット内に、
(a)活性剤を含む水溶性リムブロック;
(b)香料ディスペンサー、および
(c)便器リムからの洗浄水の通路中に(a)および(b)を固定する手段;
を含み、
香料ディスペンサーが、0.05〜1.0mmの厚さを有し、少なくとも300,000の分子量(重量平均)、0.1より小さい標準ロードメルトインデックスおよび4.0以上の還元粘度を有する8〜98容量%のポリオレフィン、1〜92容量%の填料ならびに1〜40容量%の可塑剤の均一な混合物から本質的になる膜によって覆われた開口を有する容器を含み、香料ディスペンサーが香料が恒久的に膜と接触するように方向づけられていることを特徴とする前記デバイス。
【請求項2】
填料の平均粒子径(直径)が、0.01〜約20μmであり、填料の表面積が、30〜950m/g、より好ましくは少なくとも100m/gである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
填料が、微粉シリカ(ケイ酸)である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
膜が、厚さ0.25〜0.7mmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
香料が、アルコール成分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
便器中の水を脱臭することおよび器中に香料を提供することの両方のための方法であって、水溶性リムブロックおよび香料ディスペンサーの両方を含むデバイスの洗浄水の通路における設置を含み、香料ディスペンサーが、0.05〜1.0mmの厚さを有し、少なくとも300,000の分子量(重量平均)、0.1より小さい標準ロードメルトインデックスおよび4.0以上の還元粘度を有する8〜98容量%のポリオレフィン、1〜92容量%の填料および1〜40容量%の可塑剤の均一な混合物から本質的になる膜を有する容器を含み、香料ディスペンサーが香料が恒久的に膜と接触するように方向づけられている前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、トイレを消毒および脱臭するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
便器を脱臭および消毒する1つのよく知られた方法は、器リムからの洗浄水がそれを覆って洗浄し、いくらかの活性剤を放出するように、便器中に活性剤(典型的に1または2種以上の洗浄剤、消毒剤および香料)を含有する可溶性のブロックを含むデバイスを吊るすことによる。これらは、一般に「リムブロック」として知られ、この用語は以下においてこれらを記載するのに用いることとする。同一の発想の様々な反復が用いられてきた。例えば、ブロック(通常ケージ中に保持されており、およびこれを詰め替え可能である)は、所望の溶解性/活性剤浸出特性を有する天然または合成材料の活性剤含有ゲルにより置換されてきた。
【0003】
これらは安価であり使用するのに便利であるため、リムブロックは、広範な成功を享受してきた。しかしながら、これらの香料性能は、特にブロックの寿命の終了近くにおいて、性能が急に低下する際に、所望されるほどには良好ではないこともまた知られている。理想的には、リムブロックが消滅するまたは交換が必要となるまで、香料は十分に強いままであるべきである。現在市販されるいかなるブロックもこれを行わない。リムブロックをポリオレフィン膜ベース芳香剤と組み合わせるなどの、当該問題を克服するための試みがあった。しかしながら、このタイプの膜は、この種のシステムを芳香づける際に、香料の制限に至る主要な選択性の問題を有することが知られている。他の試みられた解決策は、リムブロックを香料を付与したゲルと組み合わせることであったが、しかしここでもまたこれらのゲルが水溶性でなく(寿命の終了のシグナルなし)、これらの嗅覚性能が中期前に顕著に低下するという技術的な欠点がある。
【発明の概要】
【0004】
今、この望ましい方法で機能することのできるブロックを作ることが可能であることが見出された。したがって、水洗されるトイレの水に活性剤を、およびそれに近接した空気に香料を加えるように適合されたデバイスであって、単一のユニット内に、
(a)活性剤を含む水溶性リムブロック;
(b)香料ディスペンサー、および
(c)便器リムからの洗浄水の通路中に(a)および(b)を固定する手段;を含み、
香料ディスペンサーが、0.05〜1.0mmの厚さを有し、少なくとも300,000の分子量(重量平均)、0.1より小さい標準ロードメルトインデックスおよび4.0以上の還元粘度を有する8〜98容量%のポリオレフィン、1〜92容量%の填料ならびに1〜40容量%の可塑剤の均一な混合物から本質的になる膜によって覆われた開口を有する容器を含み、香料ディスペンサーが香料が恒久的に膜と接触するように方向づけられていることを特徴とする前記デバイスが提供される。
【0005】
さらに、便器中の水を脱臭することおよび器中に香料を提供することの両方のための方法であって、水溶性リムブロックおよび香料ディスペンサーの両方を含むデバイスの洗浄水の通路における設置を含み、香料ディスペンサーが、0.05〜1.0mmの厚さを有し、少なくとも300,000の分子量(重量平均)、0.1より小さい標準ロードメルトインデックスおよび4.0以上の還元粘度を有する8〜98容量%のポリオレフィン、1〜92容量%の填料および1〜40容量%の可塑剤の均一な混合物から本質的になる膜を含み、香料ディスペンサーが香料が恒久的に膜と接触するように方向づけられている前記方法が提供される。
【0006】
リムブロックは、典型的に任意の適切な材料のケージからなり、および固形材料またはゲルのいずれかのブロックを、固形状で、または水と接触できる膜囲い中に含有し、既知のリムブロックと類似している。典型的なゲルは、キサンタンガム、カーボポールまたはセルロース誘導体で作られている。ブロックは、任意の望ましい活性剤を典型的に技術分野に認識される濃度で含有し得る。典型的な活性剤(1より多くが存在し得る)は、洗浄剤、洗剤ならびに界面活性剤、香料、消毒剤、殺菌剤および悪臭中和剤を含む。
【0007】
香料ディスペンサーは、香料に影響しないまたは香料により影響されない任意の適切な材料の任意の適切な容器であり得る。それは、例えば、プラスチック、金属、セラミック、または複合材料であり得る。その寸法は、狭く臨界的ではなく、ただし、それらは香料の十分な充填および便器中に適合する能力の両方を可能にする。それは、ブロック自体またはブロックを固定するケージに適合していてもよい。実際の配置を決定する要素は、デバイスが一度限りの使い捨て可能なデバイスであるか再充填可能なデバイスであるかを含み、しかし、当業者は容易に任意の特定の構成のための適切な配置を供給することができる。
【0008】
香料容器は、香料が恒久的に接触する膜により覆われている開口を有する。これは、任意の都合の良い方法で配置されることができる。例えば、ディスペンサーは、液体および膜の両方に接触し、これを通じて香料が膜へおよびしたがって雰囲気へ搬送される多孔性の芯を含有し得る。しがしながら、特定の態様において、液体は膜に直接接触する。この場合もやはり、これは任意の適切な配置によるものとでき、典型的な1つは、浅い円柱の形状、一端に開口を有する容器であり、開口端は膜で閉止され、および容器は膜が垂直となるように配置される。ここで関与する特定の膜で、膜が容器の床を形成するように容器を逆さまにすることが可能である。膜は、任意の都合の良い方法において、例えば、それに貼り付けられることによるか、ねじ式のふたの一部であることにより、容器に取り付けられ得る。
【0009】
膜は、少なくとも300,000の分子量(重量平均)、0.1より小さい標準ロードメルトインデックスおよび4.0以上の還元粘度を有する8〜98容量%のポリオレフィン、1〜92(特に10〜30)容量%の填料および1〜40容量%の可塑剤の均一な混合物から本質的になる。適切な填料と可塑剤は、当該技術分野に知られている。この文脈において、米国特許3,351,495Aを参照できる。特定の填料は微粉シリカ(ケイ酸)である。填料の平均粒子径(直径)は、0.01〜約20mu.m(ミリ原子質量単位倍メーター(milliatomic mass unit times metre))であり、填料の表面積は、30〜950m/gであり、および特に、少なくとも100m/gである。使用され得る他の填料は、種々の鉱物填料、例えばクレイ、ゼオライトおよび炭酸塩など、ならびに炭を含む。
【0010】
膜は、具体的に、厚さ0.25〜0.7mm、より具体的に、約0.6mmである。
このような膜は、当該技術分野に知られており、例えば、電池セパレーターとして、使用されている。
市販の例は、例えば、Daramic. Incにより販売されている。
【0011】
本明細書中で上に定義した膜は、多くの非常に有用な特性を有する。1つは、これらがこれらを介する水の通過を許容しないことである。したがって、トイレが操作された際に、これらの上に流れる水によってこれらは影響を受けない。他は、アルコールタイプの香料材料の通過を許容することである。最も一般的な香料材料の多くはアルコール官能基、例えばリナロールおよびジヒドロミルセノールを有し、他の膜はこれらが通過することを容易に許容しない。結果は、丁寧に処方された香料の所望の嗅覚効果が達成されず、当該技術分野により従来使用された膜(典型的に厚さ約50〜100ミクロンのLLDPE/EVOH/LLDPE積層体)を用いるためのパフューム(perfume)を、これを許容するように具体的に処方されていなければならなかった。さらに、このタイプの膜に関連した技術的制約は、すべての嗅覚の方向においてパフュームを作り出すこと許容せず、例えば、真に機能するラベンダー香料を作り出すことができない。本明細書中において上述された膜は、アルコール香料材料の通過を許容し、したがって、この使用のための香料を具体的に処方する必要がない。したがって、香料の異常に広いスベクトルが使用され得る。
【0012】
加えて、膜は香料が使い果たされた際の色の変化の特徴を有し、したがって、便利な寿命の終了の表示を与える。
加えて、本明細書中において上述された膜は、水に影響されない。したがって、便器中の膜を横切る洗浄水の流れは、その性能に影響を与えない。これらは水を吸収せず、容器中の香料の汚染の危険性がない。洗浄水の流れについての膜の方向づけは、したがって、重要ではなく、および膜は他の実際的なまたは審美的な考慮に依存して任意の所望の方向において配置され得る。
【0013】
洗浄水の通路中にデバイスを固定する手段は、任意の都合の良いデバイスであり得る。それは典型的には便器のリムに引掛け、他端ではデバイスに取り付けられるフックであり、適当な位置調整を許容するような寸法である。フックは、デバイスと一体化であり得(例えば、プラスチックケージと一つの部品として成形される)、またはそれは別個の部品であり得、デバイスが使用される準備ができている際にデバイスへ取り付けられることができる。材料、寸法、および形状の適当な選択は、すべて当該技術分野の通常の技能の範囲である。
【0014】
本明細書中の上に定義されたデバイスは、既存の製品に対して実質的な利点を提供する。これらは、デバイスの耐用寿命を通じて続く延長された有効性、これに加え、香料ディスペンサーの寿命の終了の便宜を可能にする。
ここにさらに、デバイスが特定の態様を描く添付の図面について定義され、これはいかなるようにも制限するものと解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、特定の態様の横断面図である。
図2図2は、さらなる特定の態様の部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、一般に1として表示されるデバイスは、トレイの形状でありそこから上方に、便器のリム周辺に引掛けるように適合されたフック部材4でおわる支持部材3を延長するケージ2を含み、支持部材3は、リムから洗浄水の通路中にケージ2が位置するような長さである。支持部材の反対のケージのその側7は、洗浄水がそこを通じて漏れるように穿穴されている。要素2、3、4、および7は、プラスチック材料のものであり、単一の部品に成形されている。
【0017】
トレイ内に、トイレブロック5および香料ディスペンサー6が置かれている。トイレブロックは、当該技術分野によく知られたタイプのブロックであり、アニオン性およびノニオン性界面活性剤、主に、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびエトキシ化脂肪族アルコール、填料/ビルダー、例えば硫酸ナトリウムおよび水における硬度の効果を無効化するキレート剤などからなる。香料含量は、ブロックの5重量%である。
【0018】
香料ディスペンサー6は、プラスチック材料の浅い円筒状皿の形状を有し、10mlの香料を含有する。皿の開口面に結合された膜は、厚さ1mmのMembrane DS2 drying sweat system (ex Daramic,Inc)である。
【0019】
ディスペンサー6は、パフュームが充填され、膜が実質的に垂直となり、かつ中の香料がこれと恒久的に接触しているようにケージ2中ブロックの脇に配置される。ディスペンサーは、ケージ内に容易に適合する大きさであるが、洗浄水の流れによって除去されないよう十分にしっかりと設置されている。
【0020】
操作において、洗浄水は、トレイ中へ流れ、穿孔側7を通じて再び出、それとともにブロック5からクリーニング材料を取得する。図1において波線により描かれるように、水流が弱まった際に、香料ディスペンサーは、膜を通じておよびまた穿孔側7を通じて香料を分配する。
【0021】
記載される膜は、香料が使い果たされた際に色が変化する特性を有する。これは、寿命の終了の信号を提供し、香料ディスペンサーの交換を可能にさせる。
【0022】
図2において、部材3および4は、図1におけるものと同一であるが、トレイ2は、上部部位8および下部部位9に分割され、便器中にデバイスが配置された際に、下部部位が、上部部位の下で垂直に設置されている。トイレブロック5は、上部部位に、香料ディスペンサー6は、下部部位に存在する。支持部材と反対側の上部部位の側10は、穿孔され、穿孔は上部および下部部位の境界まで延びている。下部部位もまた穿孔面11を有し、それが便器へ下方に面するように、これは下部部位9の底部に設置される。この場合において、香料ディスペンサー6は、膜が穿孔面11に対し存在するような場所である。
【0023】
図2のデバイスの操作は、この場合において洗浄が進行中の際であっても香料排出が継続的であることを除き、図1のものと類似している。
図1
図2