(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、特許文献1に開示された従来技術によるロック機構付きトグルスイッチの縦断面図であり、操作レバーを一方の方向に傾倒した状態図である。本願の
図8は、特許文献1の
図1に相当している。
図8を参照すると、従来技術によるロック機構付きトグルスイッチ(以下、トグルスイッチと略称する)9は、棒状の操作レバー91、円筒状のスリーブ92、箱状のケース93を備えている。スリーブ92とケース93は、トグルスイッチ9のスイッチ本体90を構成している。
【0006】
図8を参照すると、操作レバー91は、合成樹脂からなるグリップ91gを一端部に取り付けている。グリップ91gには、金属ブッシュ91bを底部から圧入している。金属ブッシュ91bは、雌ねじを中心部に形成している。一方、操作レバー91は、金属ブッシュ91bの雌ねじに螺合する雄ねじを一端部に形成している。これにより、操作レバー91には、グリップ91gを着脱自在に固定できる。
【0007】
図8を参照すると、操作レバー91は、その円柱状の軸部から膨出した球状部911を中間部に形成している。球状部911は、スリーブ92の内部に揺動自在及び微少移動自在に保持されている。
【0008】
又、
図8を参照すると、操作レバー91は、スライドシャフト91aを他端部に取り付けている。スライドシャフト91aは、操作レバー91の軸方向にスライド自在に保持されている。更に、操作レバー91は、圧縮コイルばね91sを他端部側の内部に保持している。圧縮コイルばね91sは、操作レバー91の末端からスライドシャフト91aが突出する方向に力を付勢している。なお、スライドシャフト91aは、その突出端を円錐状に形成している。
【0009】
図8を参照すると、スリーブ92は、六角ナット92n、ワッシャ92w、及びオーリング92rを備えている。スリーブ92は、ねじ部921と台座部922で構成している。スリーブ92は、ねじ部921に雄ねじを形成している。六角ナット92nは、ねじ部921に螺合している。ワッシャ92wは、ねじ部921に挿通している。オーリング92rは、ねじ部921に装着している。
【0010】
図8を参照して、ワッシャ92wとオーリング92rの間に、図示しないパネルを配置し、六角ナット92nを締結することで、トグルスイッチ9をパネルに固定できる。又、オーリング92rがパネルに密着することで、防塵又は防水できる。スリーブ92のねじ部921には、平坦に形成されたキー溝92kを形成している。キー溝92kに対応するキーを形成した異形穴を図示しないパネルに開口することで、トグルスイッチ9を回り止めできる。
【0011】
図8を参照すると、スリーブ92は、圧縮コイルばね92s、オーリング92a、及びストップリング92bを内部に備えている。圧縮コイルばね92sは、帯板状の線材を螺旋状に巻回している。圧縮コイルばね92sは、オーリング92aを介して、球状部911に当接し、スライドシャフト91aがケース93の内部に向かう力を付勢している。ストップリング92bは、球状部911を球面軸受けすると共に、球状部911の下限位置を規定している。
【0012】
図8を参照すると、ケース93は、ケースカバー93cとガイド板93pを備えている。ケースカバー93cは、ケース93の上面を覆っている。又、ケースカバー93cは、台座部922の底部をカシメ付けして、スリーブ92を固定している。ガイド板93pは、ケース93の上部に固定している。ガイド板93pは、操作レバー91の他端部側の外周を案内するガイド穴930を中央部に開口している。
【0013】
図8を参照すると、ケース93は、導電性を有する揺動端子94を内部に備えている。又、ケース93は、揺動端子94の中央部を揺動自在に支持する支持部材94hを内部に配置している。揺動端子94は、中央部から両翼に延びるアームの端部に第1可動接点941と第2可動接点942を設けている。一方、ケース93は、第1固定接点931と第2固定接点932を底部に設けている。第1固定接点931及び第2固定接点932には、外部接続するための接続端子93tを取り付けている。
【0014】
図8に示すように、グリップ91gを把持して、操作レバー91を一方の方向に傾動すると、スライドシャフト91aに付勢されて、揺動端子94を他端部側に傾倒できる。そして、第1可動接点941を第1固定接点931に接触できる。一方、グリップ91gを把持して、操作レバー91を他方の方向に傾動すると、スライドシャフト91aに付勢されて、揺動端子94を一端部側に傾倒できる。そして、第2可動接点942を第2固定接点932に接触できる。
【0015】
図8に示したトグルスイッチ9は、操作レバー91を起立させた中立状態でロック可能なロック機構を更に備えている。
図8を参照して、操作レバー91は、傾動する方向と直交する方向に延びる一対のアーム(図示せず)を備えている。これらのアームは、操作レバー91の他端部から相反する向きに突出している。そして、一対のアームは、下向きに突出する台形台状のロック用突起(図示せず)を末端部に形成している。
【0016】
一方、
図8を参照して、ガイド板93pは、台形台状に突出した一組の山部(図示せず)を上面に形成している。一組の山部は、ガイド穴930の両翼に配置されている。ロック用突起は、一組の山部の間の谷部(図示せず)に陥没するように係合できる。
【0017】
図8に示した状態から、グリップ91gを把持して、圧縮コイルばね92sの付勢力に抗して、操作レバー91を引き上げると、一対のロック用突起は、一方の山部を乗り越えることができる。次に、操作レバー91を起立した状態から、グリップ91gを解放すると、圧縮コイルばね92sに付勢されて、ロック用突起は、一組の山部の間の谷部に陥没できる。そして、操作レバー91を中立状態でロックできる。
【0018】
特許文献1に開示された従来技術によるトグルスイッチ9は、ロック機構を外部から確認することが困難であり、部外者の操作を抑制できるという効果がある。
【0019】
しかし、従来技術によるトグルスイッチ9は、一方の方向に傾倒した操作レバーを中立状態に復帰操作するときに、復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバーを他方の方向に傾倒操作することがある。このような、意図しない操作(いわゆる、誤操作)を抑制できるトグルスイッチが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、操作レバーを復帰方向に沿って、意図することなく、他方の方向に傾倒操作することを抑制できるトグルスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、操作レバーを起立させた中立状態から、一方の方向に操作レバーが傾動するように、操作レバーを案内する第1ガイド穴を開口した第1ガイド板をスイッチ本体に設けると共に、操作レバーを起立させた中立状態から、一方の方向と少なくとも直交する方向に操作レバーが傾動するように、操作レバーを規制する第2ガイド穴を開口した第2ガイド板をスイッチ本体に設けることで、意図しない操作を抑制できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たなトグルスイッチを発明するに至った。
【0022】
(1)本発明によるトグルスイッチは、グリップを一端部に有し、球状部を中間部に有し、スライドシャフトを他端部側に有し、このスライドシャフトを軸方向に移動可能とした棒状の操作レバーと、前記操作レバーの球状部を揺動自在及び移動自在に内部に保持した円筒状のスリーブと、前記スリーブを支持すると共に、前記スライドシャフトにより作動される揺動端子を内部に保持する箱状のケースと、を備え、前記ケースは、前記操作レバーを起立させた中立状態から、一方の方向に当該操作レバーが傾動するように、前記操作レバーの他端部側の移動方向を規制する第1ガイド穴を開口した第1ガイド板と、前記操作レバーを起立させた中立状態から、前記一方の方向と少なくとも直交する方向に当該操作レバーが傾動するように、前記操作レバーの他端部側の移動方向を規制する第2ガイド穴を開口した第2ガイド板と、を有する。
【0023】
(2)前記操作レバーは、当該操作レバーが傾動する一方の方向と少なくとも直交する方向と反対側に他端部から突出した第1アームと、当該操作レバーが傾動する一方の方向と反対側に他端部から突出した第2アームと、を有し、前記第1アームは、前記第1ガイド板に向かって突出した第1突起を末端部に有し、前記第2アームは、前記第2ガイド板に向かって突出した第2突起を末端部に有し、前記第1ガイド板は、前記第1突起に向かって突出した一組の第1山部を上面に有し、前記第2ガイド板は、前記第2突起に向かって突出した一組の第2山部を上面に有し、前記スリーブは、前記球状部に当接し、前記スライドシャフトが前記ケースの内部に向かう力を付勢する圧縮コイルばねを内部に有し、前記圧縮コイルばねに抗して、前記操作レバーを引き上げた後に解放すると、前記第1突起が一組の前記第1山部の間の第1谷部に係合すると共に、前記第2突起が一組の前記第2山部の間の第2谷部に係合して、前記操作レバーを中立状態にロックすることが好ましい。
【0024】
(3)前記揺動端子は、前記操作レバーを一方の方向に傾動する方向と反対側に中心部から延びる第1腕部の末端部に形成した第1可動接点と、前記操作レバーを前記一方の方向と少なくとも直交する方向と反対側に中心部から延びる第2腕部の末端部に形成した第2可動接点と、を有し、前記ケースは、前記第1可動接点と接触自在な第1固定接点と、前記第2可動接点と接触自在な第2固定接点と、前記揺動端子の中心部と接触した共通固定接点と、を底部に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるトグルスイッチは、操作レバーを起立させた中立状態から、一方の方向に操作レバーが傾動するように、操作レバーの他端部側を規制する第1ガイド穴を開口した第1ガイド板と、操作レバーを起立させた中立状態から、一方の方向と少なくとも直交する方向に操作レバーが傾動するように、操作レバーの他端部側を規制する第2ガイド穴を開口した第2ガイド板を備えているので、一方の方向に傾倒した操作レバーを中立状態に復帰操作するときに、復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバーを他方の方向に傾倒操作することを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[トグルスイッチの構成]
最初に、本発明の一実施形態によるトグルスイッチの構成を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によるトグルスイッチの構成を示す縦断面図であり、操作レバーを起立させた中立の状態図である。
図2は、
図1のA−A矢視断面図であり、操作レバーを起立させた中立の状態図である。
図3は、前記実施形態によるトグルスイッチの要部の構成を示す斜視分解組立図である。
図4は、前記実施形態によるトグルスイッチの構成を示す平面図である。
【0029】
(全体構成)
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるトグルスイッチ10は、棒状の操作レバー1、円筒状のスリーブ2、箱状のケース3を備えている。スリーブ2とケース3は、トグルスイッチ10のスイッチ本体100を構成している。
【0030】
図1から
図4を参照すると、操作レバー1は、グリップ1gを一端部に有し、球状部11を中間部に有し、スライドシャフト1aを他端部側に有している。スライドシャフト1aは、操作レバー1の軸方向に移動可能に保持されている。スリーブ2は、操作レバー1の球状部11を揺動自在及び移動自在に内部に保持している。
【0031】
図1又は
図2を参照すると、ケース3は、スリーブ2を支持している。又、ケース3は、揺動端子4を内部に保持している。揺動端子4は、スライドシャフト1aにより作動される。そして、ケース3は、第1ガイド板5と第2ガイド板6を備えている。
図3を参照すると、第1ガイド板5には、第1ガイド穴51を開口している。第2ガイド板6には、第2ガイド穴61を開口している。
【0032】
図1から
図4を参照して、第1ガイド穴51は、操作レバー1の他端部側を規制している。第1ガイド穴51は、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図1参照)、一方の方向に操作レバー1が傾動するように(
図1の想像線参照)、操作レバー1他端部側の移動方向を規制している。一方、第2ガイド穴61は、操作レバー1の他端部側を規制している。第2ガイド穴61は、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図2参照)、前記一方の方向と直交する方向に操作レバー1が傾動するように(
図7参照)、操作レバー1他端部側の移動方向を規制している。
【0033】
引き続き、実施形態によるトグルスイッチ10の構成を説明する。
図5は、前記実施形態によるトグルスイッチの要部の構成を示す正面図であり、操作レバーを起立させた中立の状態図である。
【0034】
図6は、前記実施形態によるトグルスイッチの要部の構成を示す正面図であり、
図5の状態から操作レバーを一方の方向に傾倒した状態図である。
図7は、
図1のA−A矢視断面図であり、
図2の状態から操作レバーを一方の方向と直交する方向に傾倒した状態図である。
【0035】
(操作レバーの構成)
図1から
図3を参照すると、操作レバー1は、合成樹脂からなるグリップ1gを一端部に取り付けている。グリップ1gには、金属ブッシュ1bを底部から圧入している。金属ブッシュ1bは、雌ねじを中心部に形成している。一方、操作レバー1は、金属ブッシュ1bの雌ねじに螺合する雄ねじを一端部に形成している。これにより、操作レバー1には、グリップ1gを着脱自在に固定できる。
【0036】
図1から
図3を参照すると、操作レバー1は、その円柱状の軸部から膨出した球状部11を中間部に形成している。球状部11は、スリーブ2の内部に揺動自在及び微少移動自在に保持されている。
【0037】
図1から
図3を参照すると、操作レバー1は、スライドシャフト1aを他端部に取り付けている。スライドシャフト1aは、操作レバー1の軸方向にスライド自在に保持されている。更に、操作レバー1は、圧縮コイルばね1sを他端部側の内部に保持している(
図1参照)。圧縮コイルばね1sは、操作レバー1の末端からスライドシャフト1aが突出する方向に力を付勢している。なお、スライドシャフト1aは、その突出端を円錐状に形成している。
【0038】
図3を参照すると、操作レバー1は、第1アーム11aと第2アーム12aを備えている。第1アーム11aは、操作レバー1の他端部から遠心方向に突出している。第1アーム11aは、操作レバー1が傾動する一方の方向と直交する方向(
図4のY方向)と反対側に突出している。第2アーム12aは、操作レバー1の他端部から遠心方向に突出している。第2アーム12aは、操作レバー1が傾動する一方の方向(
図4のX方向)と反対側に突出している。なお、第1アーム11aは、操作レバー1の他端部の上段に配置され、第2アーム12aは、操作レバー1の他端部の下段に配置されている。
【0039】
図3を参照すると、第1アーム11aは、台形台状の第1突起11tを末端部に形成している。第1突起11tは、第1ガイド板5に向かって突出している。同様に、第2アーム12aは、台形台状の第2突起12tを末端部に形成している。第2突起12tは、第2ガイド板6に向かって突出している。
【0040】
図3を参照すると、第1突起11tは、第1ガイド板5に形成された、後述する一組の第1山部5m・5mの間の第1谷部5cに係合できる。第2突起12tは、第2ガイド板6に形成された、後述する一組の第2山部6m・6mの間の第2谷部6cに係合できる。
【0041】
図3を参照すると、操作レバー1は、円弧面の一部が平坦に形成された一対の第1平坦面11f・11fを他端部に形成している。一対の第1平坦面11f・11fは、相反する向きに向かっている。同様に、操作レバー1は、円弧面の一部が平坦に形成された一対の第2平坦面12f・12fを他端部に形成している。一対の第2平坦面12f・12fは、相反する向きに向かっている。つまり、操作レバー1の他端部は、その横断面が略四角形に形成されている。操作レバー1と第1ガイド板5との関係、及び操作レバー1と第2ガイド板6との関係については。後述する。
【0042】
(スリーブの構成)
次に、スリーブ2の構成を説明する。
図1又は
図2及び
図4を参照すると、スリーブ2は、六角ナット2n、ワッシャ2w、及びオーリング2rを備えている。スリーブ2は、ねじ部21と台座部22で構成している。スリーブ2は、ねじ部21に雄ねじを形成している。六角ナット2nは、ねじ部21に螺合している。ワッシャ2wは、ねじ部21に挿通している。オーリング2rは、ねじ部21に装着している。
【0043】
図1を参照して、ワッシャ2wとオーリング2rの間に、図示しないパネルを配置し、六角ナット2nを締結することで、トグルスイッチ10をパネルに固定できる。又、オーリング2rがパネルに密着することで、防塵又は防水できる。スリーブ2のねじ部21には、平坦に形成されたキー溝2kを形成している。キー溝2kに対応するキーを形成した異形穴を図示しないパネルに開口することで、トグルスイッチ10を回り止めできる。
【0044】
図1又は
図2を参照すると、スリーブ2は、圧縮コイルばね2s、オーリング2a、及びストップリング2bを内部に備えている。圧縮コイルばね2sは、オーリング2aを介して、球状部11に当接し、スライドシャフト1aがケース3の内部に向かう力を付勢している。ストップリング2bは、球状部11を球面軸受けすると共に、球状部11の下限位置を規定している。
【0045】
(ケースの構成)
次に、ケース3の構成を説明する。
図1又は
図2及び
図4を参照すると、ケース3は、ケースカバー3cとケース本体3hを備えている。ケースカバー3cは、ケース本体3hの上面を覆っている。又、ケースカバー3cは、台座部22の底部をカシメ付けして、スリーブ2を固定している。第1ガイド板5は、ケース本体3hの上部に固定している。
【0046】
図1又は
図2を参照すると、ケース本体3hは、絶縁性を有するハウジング本体31hと絶縁性を有するカバーハウジング32hで構成している。ハウジング本体31hに対して、カバーハウジング32hは底部側から囲っている。
【0047】
図1又は
図2を参照すると、ハウジング本体31hは、互いに向かい合う一対の押え部31a・31aを内壁から突出している。第2ガイド板6をハウジング本体31hの内部に導入して、第2ガイド板6の両端部を一対の押え部31a・31aで押さえることができる。
【0048】
図1又は
図2を参照すると、カバーハウジング32hは、互いに向かい合う一対の受け部32a・32aを内壁の上端部から突出している。第2ガイド板6をハウジング本体31hの内部に導入して、第2ガイド板6の両端部を一対の受け部32a・32aで支持できる。
【0049】
又、
図2を参照すると、カバーハウジング32hは、相反する向きに向かう一対のランス32r・32rを外壁の上端部から突出している。ハウジング本体31hに対して、カバーハウジング32hを底部側から挿入し、一対のランス32r・32rがハウジング本体31hにも設けた係止開口に係止することで、ハウジング本体31hとカバーハウジング32hを分離困難に組み立てることができる。
【0050】
(揺動端子の構成)
次に、揺動端子4の構成を説明する。
図1又は
図2を参照すると、ケース3は、導電性を有する揺動端子4を内部に備えている。又、ケース3は、揺動端子4の中央部を揺動自在に支持する支持部材33を底部に配置している。揺動端子4は、中央部から平面視十字状に延びる第1腕部41aの末端部に第1可動接点41を設けている(
図1参照)。又、揺動端子4は、中央部から平面視十字状に延びる第2腕部42aの末端部に第2可動接点42を設けている(
図2参照)。
【0051】
図1を参照して、第1腕部41aは、操作レバー1を一方の方向に傾動する方向(
図4のX方向)と反対側に中心部から延びるように配置されている。
図2を参照して、第2腕部42aは、操作レバー1を一方の方向と直交する方向(
図4のY方向)と反対側に中心部から延びるように配置されている。
【0052】
一方、
図1を参照すると、ケース3は、第1可動接点41と接触自在な第1固定接点31を底部に設けている。又、
図2を参照すると、ケース3は、第2可動接点42と接触自在な第2固定接点32を底部に設けている。
図1又は
図2を参照して、支持部材33は、揺動端子4の中心部と接触した共通固定接点となっている。
【0053】
図1又は
図2を参照すると、第1固定接点31には、第1接続端子31tを取り付けている。第2固定接点32には、第2接続端子32tを取り付けている。支持部材33には、共通接続端子33tを取り付けている。第1接続端子31t、第2接続端子32t、及び共通接続端子33tは、外部接続できる。
【0054】
図1を参照して、中立状態からグリップ1gを把持して、操作レバー1を一方の方向に傾動すると(
図4のX方向)、スライドシャフト1aに付勢されて、第1腕部41aを他端部側に傾倒できる。そして、第1可動接点41を第1固定接点31に接触できる。一方、
図2を参照して、中立状態からグリップ1gを把持して、操作レバー1を一方の方向と直交する方向に傾動すると(
図4のY方向)、スライドシャフト1aに付勢されて、第2腕部42aを他端部側に傾倒できる。そして、第2可動接点42を第2固定接点32に接触できる(
図7参照)。このように、揺動端子4は、十字状に交差した腕部の端部が交互に昇降するシーソー式接点開閉機構を構成している。
【0055】
(第1ガイド板及び第2ガイド板の構成)
次に、第1ガイド板5及び第2ガイド板6の構成を説明する。
図3を参照すると、第1ガイド穴51は、第1規制路51cと第1誘導路51dをクランク状に連通している。第1規制路51cの幅w1は、操作レバー1の他端部に形成された幅Dより僅かに大きく形成されている。これにより、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図1参照)、一方の方向に操作レバー1を傾動したときに(
図1の想像線参照)、操作レバー1の他端部の直線運動を規制できる。
【0056】
図1又は
図3を参照して、操作レバー1を一方の方向に傾倒した状態から(
図1の想像線参照)、操作レバー1を中立状態に復帰操作するときに、操作レバー1の他端部が第1誘導路51dの端縁511に当接するので(
図3参照)、復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバー1を他方の方向に傾倒操作することを抑制できる。
【0057】
図3を参照すると、第1誘導路51dの幅w2は、操作レバー1の他端部に形成された幅Dより十分に大きく形成されている。これにより、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図2参照)、前記一方の方向と直交する方向に操作レバー1が傾動したときに(
図7参照)、操作レバー1の他端部を誘導できる。
【0058】
図3を参照すると、第2ガイド穴61は、第2規制路61cと第2誘導路61dをクランク状に連通している。第2規制路61cの幅w3は、操作レバー1の他端部に形成された幅Dより僅かに大きく形成されている。これにより、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図2参照)、前記一方の方向と直交する方向に操作レバー1を傾動したときに(
図7参照)、操作レバー1の他端部の直線運動を規制できる。
【0059】
図2又は
図3及び
図7を参照して、操作レバー1を一方の方向と直交する方向に傾倒した状態から(
図7参照)、操作レバー1を中立状態に復帰操作するときに、操作レバー1の他端部が第2誘導路61dの端縁611に当接するので(
図3参照)、復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバー1を他方の方向に傾倒操作することを抑制できる。つまり、操作レバー1は、L字状の第1ガイド穴51の外側に形成された端縁511で他端部側への傾動が抑制されると共に、L字状の第2ガイド穴61の外側に形成された端縁611で他端部側への傾動が抑制される。
【0060】
図3を参照すると、第2誘導路61dの幅w4は、操作レバー1の他端部に形成された幅Dより十分に大きく形成されている。これにより、操作レバー1を起立させた中立状態から(
図1参照)、一方の方向に操作レバー1を傾動したときに(
図1の想像線参照)、操作レバー1の他端部を誘導できる。
【0061】
図3又は
図5を参照すると、第1ガイド板5は、第1突起11tに向かって突出した一組の台形第状の第1山部5m・5mを上面に形成している。一方、第2ガイド板6は、第2突起12tに向かって突出した一組の第2山部6m・6mを上面に形成している。
【0062】
図1又は
図2及び
図5を参照すると、操作レバー1が中立状態のときは、圧縮コイルばね2sに付勢されて、第1突起11tが一組の第1山部5m・5mの間の第1谷部5cに係合し(
図3参照)、第2突起12tが一組の第2山部6m・6mの間の第2谷部6cに係合しているので(
図3参照)、操作レバー1の起立姿勢を維持できる。
【0063】
図1又は
図5を参照して、圧縮コイルばね2sに抗して、操作レバー1を引き上げ、操作レバー1を一方の方向に傾動した後に、操作レバー1を解放すると、第1突起11tが一方の第1山部5mに係合して、第1の傾倒姿勢を維持できる(
図6参照)。
【0064】
図2又は
図7を参照して、圧縮コイルばね2sに抗して、操作レバー1を引き上げ、操作レバー1を一方の方向と直交する方向に傾動した後に、操作レバー1を解放すると、第2突起12tが一方の第2山部6mに係合して、第2の傾倒姿勢を維持できる(
図7参照)。
【0065】
図1から
図7を参照すると、実施形態によるトグルスイッチ10は、圧縮コイルばね2sに抗して、操作レバー1を引き上げた後に解放すると、第1突起11tが一組の第1山部5m・5mの間の第1谷部5cに係合すると共に、第2突起12tが一組の第2山部6m・6mの間の第2谷部6cに係合して、操作レバー1を中立状態にロックするロック機構を備えている。
【0066】
[トグルスイッチの作用]
次に、実施形態によるトグルスイッチ10の作用及び効果を説明する。
【0067】
図1から
図7を参照すると、トグルスイッチ10は、操作レバー1を起立させた中立状態から、一方の方向に操作レバー1が傾動するように、操作レバー1の他端部側を規制する第1ガイド穴51を開口した第1ガイド板5と、操作レバー1を起立させた中立状態から、一方の方向と直交する方向に操作レバー1が傾動するように、操作レバー1の他端部側を規制する第2ガイド穴61を開口した第2ガイド板6を備えているので、一方の方向に傾倒した操作レバー1を中立状態に復帰操作するときに、復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバー1を他方の方向に傾倒操作することを抑制できる。
【0068】
図1から
図7を参照すると、トグルスイッチ10は、操作レバー1を起立させた中立状態と、操作レバー1を一方の方向に傾倒させた第1の傾倒姿勢と、操作レバー1を一方の方向と直交する方向に傾倒させた第2の傾倒姿勢を維持可能なロック機構を備えているので、操作レバー1の姿勢から回路の切り換えを容易に確認できる。
【0069】
実施形態によるトグルスイッチ10は、各操作ポジションにおいて保持型の中立オフスイッチを開示したが、実施形態に限定されることなく、単極双投型スイッチへの展開も考えられる。又、実施形態によるトグルスイッチ10は、操作レバーがL字状に移動する実施形態を開示したが、操作レバーがV字状に移動する事例も考えられる。
【0070】
本発明によるトグルスイッチは、次のような効果が期待される。
(ア)一方の方向に傾倒した操作レバーを復帰方向に沿って、意図することなく、操作レバーを他方の方向に傾倒操作することを抑制できる。
(イ)中立状態又は傾倒状態を確実に識別できる。
(ウ)操作レバーの傾倒方向を容易に確認できる。
(オ)通常のトグルスイッチの操作に起因する誤操作を抑制できる。
【0071】
本発明によるトグルスイッチは、誤操作を抑制する好適な実施形態を開示したが、中立オフ型のシーソースイッチへの適用が期待できる。本発明によるトグルスイッチは、誤操作に起因する作業時間の遅延を抑制でき、作業時間の短縮が期待できる。