【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図6は、本発明に係る共用操作棒の一例による構成を示す正面図である。
図7は、共用操作棒の先端部に設けた工具部を拡大した斜視図である。
図6を参照すると、共用操作棒6は、工具部61、柄部62、及び把持部63を備えている。工具部61は、用途の異なる先端工具(図示せず)を共用できるように、着脱自在となっている。把持部63は、作業員が把持し易いように滑り止めが施されている。柄部62は、工具部61と把持部63とを連結し、絶縁性を有する長尺の管体からなっている。
【0012】
図6を参照すると、柄部62の中間部には、円錐体状の水切り鍔6aを取り付けている。水切り鍔6aは、工具部61から進出する雨水を堰き止めることができる。又、柄部62と把持部63との接続部には、円錐体状の限界鍔6bを取り付けている。限界鍔6bの取付け位置は、絶縁性を考慮して安全に作業できる限界を示している。
【0013】
図7を参照すると、工具部61は、軸部61aと一対のピン61b・61bを備えている。又、工具部61は、プッシュロッド61cとプッシュリング61dを備えている。軸部61aは、柄部62の軸方向に突出している。一対のピン61b・61bは、相反する向きに軸部61aの外周から突出している。
【0014】
図7を参照すると、プッシュロッド61cは、軸部61aの先端面から突出するように、工具部61に内蔵された圧縮コイルばね(図示せず)によって、力を付勢されている。プッシュリング61dは、軸部61aの下方に配置されている。プッシュリング61dは、図示しない圧縮コイルばねによって、軸部61aに向かう力を付勢されている。
【0015】
図6又は
図7に示した長尺の絶縁操作棒は、用途の異なる先端工具を交換自在に工具部に取り付けることができることから、共用操作棒と呼ばれている。
【0016】
図8は、本発明に係るストレーリンクトングの一例による構成を示す正面図である。
図9は、本発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す斜視図である。
図10は、本発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す背面図である。
【0017】
図8から
図10を参照すると、ストレーリンクトング7は、先端工具8と長尺の絶縁操作棒70を備えている。先端工具8は、絶縁操作棒70の先端部に配置されている。先端工具8は、C型の固定ジョー81と可動ジョー82を備えている。固定ジョー81は、鉤状の爪部81nを先端部に形成している。可動ジョー82は、固定ジョー81の爪部81nに向かって進退自在に固定ジョー81に連結している。
【0018】
図9又
図10を参照すると、先端工具8は、円柱状のナット部材83と送りねじ84を更に備えている。ナット部材83は、固定ジョー81の基端部と回転自在に連結しているが、固定ジョー81に対して軸方向の移動が規制されている。又、ナット部材83は、内部に雌ねじを形成しており、外周に雄ねじを形成した送りねじ84とねじ結合している。ナット部材83を固定した状態で、送りねじ84を回転すると、送りねじ84は螺旋運動しながら直動できる。このように、ストレーリンクトング7は、単一ねじ機構を備えている。
【0019】
図9又
図10を参照すると、送りねじ84は、その先端部が可動ジョー82の底部と回転自在に連結している。一方、可動ジョー82は、その一部が固定ジョー81に設けたレール部81rを跨いでおり、水平方向の回転が規制されている。
【0020】
図9又
図10を参照すると、固定ジョー81は、その基端部にロックボタン85を設けている。一方、絶縁操作棒70は、円筒状の端面歯車71を先端部に固定している。端面歯車71は、複数のラチェット歯71aを端面に形成している。又、端面歯車71は、ナット部材83を同軸上に固定している。
【0021】
図8から
図10を参照して、図示しないフックバーを先端部に有する絶縁操作棒を用いて、ロックボタン85を引き下げると、係止爪(図示せず)を可動ジョー82の底面から突出でき、係止爪をラチェット歯71aに係合できる。そして、固定ジョー81に対して、絶縁操作棒70を一方の方向に回転することは許容されるが、絶縁操作棒9を他方の方向に回転することが阻止されるように、ロックできる。
【0022】
図8を参照すると、絶縁操作棒70は、絶縁性を有するプラスチック製のパイプ部材で本体7bを構成している。本体7bの先端部側には、送りねじ84を回転自在及び軸方向に移動自在に保持している(
図10参照)。又、本体7bは、水切り鍔70aを先端部側に備えている。水切り鍔70aは、連続した雨水の流れを切る役目を有している。更に、本体7bは、水切り鍔70aの下方に限界鍔70bを備えている。本体7bは、限界鍔90bを目安にして、操作対象物との限界距離を知ることができる。
【0023】
次に、ストレーリンクトング7の操作方法を説明する。
図9又
図10を参照して、爪部81nと可動ジョー82の間に電線W(
図5参照)を導入できるように、爪部81nに対して、予め可動ジョー82を下げておく。次に、絶縁操作棒70を操作して、爪部81nと可動ジョー82の間に電線Wを導入した後に、電線Wを爪部81nに掛止する。この状態で、絶縁操作棒70を一方の方向に回転すると、固定ジョー81が電線Wによって回り止めされていると共に、固定ジョー81に対して可動ジョー82が回り止めされているので、送りねじ84にねじ送りされて、可動ジョー82を爪部81nに向かって進出できる。そして、
図8に示すように、固定ジョー81と可動ジョー82で電線Wを把持できる。
【0024】
図8に示した状態で、ロックボタン85を引き下げておくと、固定ジョー81に対して、絶縁操作棒70がロックされ、電線Wを緊締できる。ロックボタン85を押し上げると、ロック状態が解除され、前述した手順と逆の手順で、ストレーリンクトング7から電線Wを取り外すことができる。
【0025】
図11は、本発明に係る間接活線工事用絶縁操作棒の一例の構成を示す正面図である。
図12は、
図11に示した間接活線工事用絶縁操作棒の先端部を拡大した正面図である。
【0026】
図11又は
図12を参照すると、間接活線工事用絶縁操作棒(以下、絶縁操作棒という)9は、長尺の操作棒91と把持工具92で構成している。又、絶縁操作棒9は、作動棒93を備えている。把持工具92は、操作棒91の先端部に取り付けられている。
【0027】
図11又は
図12を参照すると、把持工具92は、開閉する一対の湾曲した把持腕9a・9bで構成している。そして、一方の把持腕9aは、基端部が固定された固定腕であり、他方の把持腕9bは、一方の把持腕9aの基端部に設けた回動軸9cを中心に回動する可動腕となっている。
【0028】
図11を参照すると、操作棒91は、その手許部に操作レバー94を配置している。作動棒93は、操作棒91に沿って配置されている。作動棒93の先端部は、他方の把持腕9bに回動自在に連結している。一方、作動棒93の基端部は、操作レバー94を連結している。
【0029】
図11を参照して、操作レバー94を操作すると、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを開閉できる。絶縁操作棒9は、操作棒91及び作動棒93の中間部が絶縁性を有するプラスチックパイプなどで構成され、間接活線工法に好適なように、絶縁性を確保している。
【0030】
図11を参照して、操作レバー94を握って、操作レバー94を操作棒91に近づけると、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを閉じることができる。操作レバー94を解放すると、操作レバー94に連結したばね(図示せず)の力で、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを開くことができる。
図11又は
図12は、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bが最大に開いた状態を示している。
【0031】
図11又は
図12に示した絶縁操作棒9は、高所に配置された高圧配電線などを一対の把持爪91a・91bで把持できる、いわゆる「絶縁ヤットコ」になっている。そして、絶縁操作棒9を用いて、高圧配電線などを操作できる。以下、絶縁操作棒9を絶縁ヤットコ9という。
【0032】
図13は、複数の間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、電線を活線工事している状態を示す斜視図である。
図13を参照すると、電線被覆剥離工具6hを用いて、電柱に架設された電線Wの被覆を剥離できる。電線被覆剥離工具6hに隣接された絶縁ヤットコ9は、電線Wを把持している。電線被覆剥離工具6hを間に配置して、絶縁ヤットコ9と反対側にストレーリンクトング7を配置している。ストレーリンクトング7は、電線Wを挟持している。
【0033】
図13を参照すると、共用操作棒6は、フック形状の先端工具、いわゆるバインド打ち器6fを先端部に連結している。電線被覆剥離工具6hに設けたアイハンドル6i又はアイボルト6vにバインド打ち器6fの先端部を係合して、電線被覆剥離工具6hを360度回転することで、電線Wの被覆を剥離できる。
【0034】
図13を参照すると、電線被覆剥離工具6h及びバインド打ち器6fは、被覆が剥離された芯線Weに導通している。例えば、剥離された電線Wの被覆を除去するために、電線Wが通電中であることを作業員が忘れて、高圧ゴム手袋Giを介して掴んだ、別の絶縁ヤットコ9の把持工具92がバインド打ち器6fに接触すると共に、作業員の衣服がメッセンジャーワイヤWmに接触すると、作業員の片腕が電線Wと大地との通電経路になることがある。
【0035】
図13に示したような間接活線工事では、作業開始に先立ち、検電器を用いて電線Wの通電の有無を確認している。しかし、一般的に、間接活線作業が終了するまでは、検電器で通電の有無は確認していない。間接活線作業が中断することを回避するためと考えられる。特許文献1による検電装置は、間接活線作業の前後に用いるには好適であるが、長尺の伸縮ロッドの先頭部に検電器を取り付けているので、間接活線作業中に使用するのは不向きである。
【0036】
特許文献2による絶縁操作棒は、限界鍔が通電中の電線に近づいたときには、警報を発生して、作業者に注意を喚起させている。しかし、特許文献2による絶縁操作棒は、限界鍔が通電中の電線から離れたときは、警報を停止するので、電線が通電中であることを作業中に忘れることがある。
【0037】
間接活線作業中であっても、先端工具が通電物に接触していることを作業員が容易に認識できる間接活線工具用検電器が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0038】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業中の先端工具が通電物に接触していることを認識できる間接活線工具用検電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明者は、検電器の検出端子が先端工具の工具部に接触するように、検電器を絶縁操作棒の先端部側に着脱自在に取り付けると共に、検電器の背面側に一つ以上の表示灯を配置することにより、表示灯が点灯することで、作業中の先端工具が通電物に接触していることを容易に認識できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工具用検電器を発明するに至った。
【0040】
(1)本発明による間接活線工具用検電器は、導電性を有する工具部を先端部側に有し、この工具部に連結する長尺の絶縁棒を有する間接活線工具に着脱自在に取り付けできる間接活線工具用検電器であって、検電回路を内部に配置した円筒状の絶縁ケースと、基端部が前記絶縁ケースの一端面を通過して前記検電回路に接続し、前記絶縁ケースから延出して前記工具部の末端部に接触できる導電性を有する検知端子と、前記検知端子と反対側に点灯するように、前記絶縁ケースの他端面に配置された一つ以上の表示灯と、を備え、前記絶縁ケースは、互いに閉じて前記絶縁棒を外周方向から固定できると共に、互いに分離自在な少なくとも一対の分割ケースからなり、これらの分割ケースは、前記絶縁棒の外周に密着自在な弾性板を内壁に有し、前記検知端子は、前記工具部の末端部の外周を巻回自在なコイルスプリングからなる。
【0041】
(2)前記コイルスプリングは、線状の導電性ゴムを螺旋状に成形していることが好ましい。
【0042】
(3)前記弾性板は、外径の異なる前記絶縁棒に対応して、板厚を変えていることが好ましい。
【0043】
(4)前記絶縁ケースは、その内部に収納された電池及び前記検電回路の機能の有無を検査するテストボタンを一方の前記絶縁ケースに有することが好ましい。
【0044】
(5)前記絶縁ケースは、電池を収納する電池箱を他方の前記絶縁ケースに有することが好ましい。
【0045】
(6)前記間接活線工具は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒、C型の固定ジョーに対してねじ送り自在な可動ジョーを先端部に有するストレーリンクトング、開閉する一対の湾曲した把持腕を先端部に有する絶縁ヤットコのいずれか一つを少なくとも含んでいることが好ましい。