特許第5964346号(P5964346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964346
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】間接活線工具用検電器
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20160721BHJP
   G01R 19/155 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H02G1/02
   G01R19/155
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-88156(P2014-88156)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-208155(P2015-208155A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】阿部 政則
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−110134(JP,A)
【文献】 特開2010−243308(JP,A)
【文献】 特開2002−305817(JP,A)
【文献】 特開2007−195317(JP,A)
【文献】 特開2007−082330(JP,A)
【文献】 特開平10−115640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
G01R 19/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する工具部を先端部側に有し、この工具部に連結する長尺の絶縁棒を有する間接活線工具に着脱自在に取り付けできる間接活線工具用検電器であって、
検電回路を内部に配置した円筒状の絶縁ケースと、
基端部が前記絶縁ケースの一端面を通過して前記検電回路に接続し、前記絶縁ケースから延出して前記工具部の末端部に接触できる導電性を有する検知端子と、
前記検知端子と反対側に点灯するように、前記絶縁ケースの他端面に配置された一つ以上の表示灯と、を備え、
前記絶縁ケースは、互いに閉じて前記絶縁棒を外周方向から固定できると共に、互いに分離自在な少なくとも一対の分割ケースからなり、
これらの分割ケースは、前記絶縁棒の外周に密着自在な弾性板を内壁に有し、
前記検知端子は、前記工具部の末端部の外周を巻回自在なコイルスプリングからなる、間接活線工具用検電器。
【請求項2】
前記コイルスプリングは、線状の導電性ゴムを螺旋状に成形している、請求項1記載の間接活線工具用検電器。
【請求項3】
前記弾性板は、外径の異なる前記絶縁棒に対応して、板厚を変えている請求項1又は2記載の間接活線工具用検電器。
【請求項4】
前記絶縁ケースは、その内部に収納された電池及び前記検電回路の正常動作を点検するテストボタンを一方の前記分割ケースに有する請求項1から3のいずれかに記載の間接活線工具用検電器。
【請求項5】
前記絶縁ケースは、電池を収納する電池箱を他方の前記分割ケースに有する請求項1から4のいずれかに記載の間接活線工具用検電器。
【請求項6】
前記間接活線工具は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒、C型の固定ジョーに対してねじ送り自在な可動ジョーを先端部に有するストレーリンクトング、開閉する一対の湾曲した把持腕を先端部に有する絶縁ヤットコのいずれか一つを少なくとも含んでいる請求項1から5のいずれかに記載の間接活線工具用検電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工具用検電器に関する。特に、間接活線工事に好適な間接活線工具である絶縁操作棒の先端部側に着脱自在に取り付けできる検電器であって、間接活線工事中の絶縁操作棒の先端工具側が通電していることを報知する間接活線工具用検電器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線を無停電で配電工事を行う活線作業には、直接活線工法と間接活線工法の二通りがある。直接活線工法は、作業者が高圧ゴム手袋などの保護具を着用して、通電中の高圧配電線に直接触れて配電工事を行う。一方、間接活線工法は、作業者が間接活線工具である絶縁操作棒(ホットスティック)などを用いて、通電中の高圧配電線に直接触れることなく配電工事を行うことができる。
【0003】
一般に、絶縁操作棒は、長尺の操作棒とこの操作棒の先端部に取り付けた配電作業用工具(以下、先端工具という)で構成している。そして、絶縁操作棒は、高圧配電線を把持、又は切断するなど、作業目的に対応して、先端工具を交換できるように構成している。
【0004】
検電器は、一般に、絶縁ケースの内部に検電回路を収納した構造を有している。検電器は、検出端子を高圧配電線などの電路に接触して、電路と大地の間に流れる微弱な電流を検出し、光又は音で報知することで、電路が通電しているか否かを判別できる。
【0005】
配電線の張替え又は配電線の新設に先立ち、足場ボルト又は腕金などの装柱物の漏電の有無を確認するために、電柱に昇ることなく、地上から装柱物を検電できる検電装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1による検電装置は、絶縁性を有する伸縮ロッド、伸縮ロッドの先頭部に保持されたペン型の検電器、及び検電器から出力された警報信号を無線で地上側から受信する携帯型の受信器を備えているので、作業者は、昇柱することなく、地上から装柱物の漏電の有無を確認できる、としている。
【0007】
絶縁操作棒は、操作棒の途中に限界鍔を配置している。限界鍔より下部の把持部を作業員が把持すると共に、通電物が限界鍔を超えないように、活線作業することで作業者の安全を確保している。
【0008】
しかし、通電物が多い場合には、通電物が限界鍔を超えないように、活線作業することが容易でなかった。このような不具合を解消するため、装柱物の通電状態を非接触で検出し、警報を発生する検電器を限界鍔の近傍に取り付けた、間接活線工事用の絶縁操作棒が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
特許文献2による絶縁操作棒は、検電器と通電物が所定の距離内に近づくと、光又は音で警報を発するので、作業者の安全を確保できる、としている。又、特許文献1による絶縁操作棒は、検電器と通電物が所定の距離以上に離れると、警報を停止するので、作業を続行でき、作業能率を低下させない、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−115640号公報
【特許文献2】特開2012−110134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図6は、本発明に係る共用操作棒の一例による構成を示す正面図である。図7は、共用操作棒の先端部に設けた工具部を拡大した斜視図である。図6を参照すると、共用操作棒6は、工具部61、柄部62、及び把持部63を備えている。工具部61は、用途の異なる先端工具(図示せず)を共用できるように、着脱自在となっている。把持部63は、作業員が把持し易いように滑り止めが施されている。柄部62は、工具部61と把持部63とを連結し、絶縁性を有する長尺の管体からなっている。
【0012】
図6を参照すると、柄部62の中間部には、円錐体状の水切り鍔6aを取り付けている。水切り鍔6aは、工具部61から進出する雨水を堰き止めることができる。又、柄部62と把持部63との接続部には、円錐体状の限界鍔6bを取り付けている。限界鍔6bの取付け位置は、絶縁性を考慮して安全に作業できる限界を示している。
【0013】
図7を参照すると、工具部61は、軸部61aと一対のピン61b・61bを備えている。又、工具部61は、プッシュロッド61cとプッシュリング61dを備えている。軸部61aは、柄部62の軸方向に突出している。一対のピン61b・61bは、相反する向きに軸部61aの外周から突出している。
【0014】
図7を参照すると、プッシュロッド61cは、軸部61aの先端面から突出するように、工具部61に内蔵された圧縮コイルばね(図示せず)によって、力を付勢されている。プッシュリング61dは、軸部61aの下方に配置されている。プッシュリング61dは、図示しない圧縮コイルばねによって、軸部61aに向かう力を付勢されている。
【0015】
図6又は図7に示した長尺の絶縁操作棒は、用途の異なる先端工具を交換自在に工具部に取り付けることができることから、共用操作棒と呼ばれている。
【0016】
図8は、本発明に係るストレーリンクトングの一例による構成を示す正面図である。図9は、本発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す斜視図である。図10は、本発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す背面図である。
【0017】
図8から図10を参照すると、ストレーリンクトング7は、先端工具8と長尺の絶縁操作棒70を備えている。先端工具8は、絶縁操作棒70の先端部に配置されている。先端工具8は、C型の固定ジョー81と可動ジョー82を備えている。固定ジョー81は、鉤状の爪部81nを先端部に形成している。可動ジョー82は、固定ジョー81の爪部81nに向かって進退自在に固定ジョー81に連結している。
【0018】
図9図10を参照すると、先端工具8は、円柱状のナット部材83と送りねじ84を更に備えている。ナット部材83は、固定ジョー81の基端部と回転自在に連結しているが、固定ジョー81に対して軸方向の移動が規制されている。又、ナット部材83は、内部に雌ねじを形成しており、外周に雄ねじを形成した送りねじ84とねじ結合している。ナット部材83を固定した状態で、送りねじ84を回転すると、送りねじ84は螺旋運動しながら直動できる。このように、ストレーリンクトング7は、単一ねじ機構を備えている。
【0019】
図9図10を参照すると、送りねじ84は、その先端部が可動ジョー82の底部と回転自在に連結している。一方、可動ジョー82は、その一部が固定ジョー81に設けたレール部81rを跨いでおり、水平方向の回転が規制されている。
【0020】
図9図10を参照すると、固定ジョー81は、その基端部にロックボタン85を設けている。一方、絶縁操作棒70は、円筒状の端面歯車71を先端部に固定している。端面歯車71は、複数のラチェット歯71aを端面に形成している。又、端面歯車71は、ナット部材83を同軸上に固定している。
【0021】
図8から図10を参照して、図示しないフックバーを先端部に有する絶縁操作棒を用いて、ロックボタン85を引き下げると、係止爪(図示せず)を可動ジョー82の底面から突出でき、係止爪をラチェット歯71aに係合できる。そして、固定ジョー81に対して、絶縁操作棒70を一方の方向に回転することは許容されるが、絶縁操作棒9を他方の方向に回転することが阻止されるように、ロックできる。
【0022】
図8を参照すると、絶縁操作棒70は、絶縁性を有するプラスチック製のパイプ部材で本体7bを構成している。本体7bの先端部側には、送りねじ84を回転自在及び軸方向に移動自在に保持している(図10参照)。又、本体7bは、水切り鍔70aを先端部側に備えている。水切り鍔70aは、連続した雨水の流れを切る役目を有している。更に、本体7bは、水切り鍔70aの下方に限界鍔70bを備えている。本体7bは、限界鍔90bを目安にして、操作対象物との限界距離を知ることができる。
【0023】
次に、ストレーリンクトング7の操作方法を説明する。図9図10を参照して、爪部81nと可動ジョー82の間に電線W(図5参照)を導入できるように、爪部81nに対して、予め可動ジョー82を下げておく。次に、絶縁操作棒70を操作して、爪部81nと可動ジョー82の間に電線Wを導入した後に、電線Wを爪部81nに掛止する。この状態で、絶縁操作棒70を一方の方向に回転すると、固定ジョー81が電線Wによって回り止めされていると共に、固定ジョー81に対して可動ジョー82が回り止めされているので、送りねじ84にねじ送りされて、可動ジョー82を爪部81nに向かって進出できる。そして、図8に示すように、固定ジョー81と可動ジョー82で電線Wを把持できる。
【0024】
図8に示した状態で、ロックボタン85を引き下げておくと、固定ジョー81に対して、絶縁操作棒70がロックされ、電線Wを緊締できる。ロックボタン85を押し上げると、ロック状態が解除され、前述した手順と逆の手順で、ストレーリンクトング7から電線Wを取り外すことができる。
【0025】
図11は、本発明に係る間接活線工事用絶縁操作棒の一例の構成を示す正面図である。図12は、図11に示した間接活線工事用絶縁操作棒の先端部を拡大した正面図である。
【0026】
図11又は図12を参照すると、間接活線工事用絶縁操作棒(以下、絶縁操作棒という)9は、長尺の操作棒91と把持工具92で構成している。又、絶縁操作棒9は、作動棒93を備えている。把持工具92は、操作棒91の先端部に取り付けられている。
【0027】
図11又は図12を参照すると、把持工具92は、開閉する一対の湾曲した把持腕9a・9bで構成している。そして、一方の把持腕9aは、基端部が固定された固定腕であり、他方の把持腕9bは、一方の把持腕9aの基端部に設けた回動軸9cを中心に回動する可動腕となっている。
【0028】
図11を参照すると、操作棒91は、その手許部に操作レバー94を配置している。作動棒93は、操作棒91に沿って配置されている。作動棒93の先端部は、他方の把持腕9bに回動自在に連結している。一方、作動棒93の基端部は、操作レバー94を連結している。
【0029】
図11を参照して、操作レバー94を操作すると、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを開閉できる。絶縁操作棒9は、操作棒91及び作動棒93の中間部が絶縁性を有するプラスチックパイプなどで構成され、間接活線工法に好適なように、絶縁性を確保している。
【0030】
図11を参照して、操作レバー94を握って、操作レバー94を操作棒91に近づけると、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを閉じることができる。操作レバー94を解放すると、操作レバー94に連結したばね(図示せず)の力で、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bを開くことができる。図11又は図12は、一方の把持腕9aに対して、他方の把持腕9bが最大に開いた状態を示している。
【0031】
図11又は図12に示した絶縁操作棒9は、高所に配置された高圧配電線などを一対の把持爪91a・91bで把持できる、いわゆる「絶縁ヤットコ」になっている。そして、絶縁操作棒9を用いて、高圧配電線などを操作できる。以下、絶縁操作棒9を絶縁ヤットコ9という。
【0032】
図13は、複数の間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、電線を活線工事している状態を示す斜視図である。図13を参照すると、電線被覆剥離工具6hを用いて、電柱に架設された電線Wの被覆を剥離できる。電線被覆剥離工具6hに隣接された絶縁ヤットコ9は、電線Wを把持している。電線被覆剥離工具6hを間に配置して、絶縁ヤットコ9と反対側にストレーリンクトング7を配置している。ストレーリンクトング7は、電線Wを挟持している。
【0033】
図13を参照すると、共用操作棒6は、フック形状の先端工具、いわゆるバインド打ち器6fを先端部に連結している。電線被覆剥離工具6hに設けたアイハンドル6i又はアイボルト6vにバインド打ち器6fの先端部を係合して、電線被覆剥離工具6hを360度回転することで、電線Wの被覆を剥離できる。
【0034】
図13を参照すると、電線被覆剥離工具6h及びバインド打ち器6fは、被覆が剥離された芯線Weに導通している。例えば、剥離された電線Wの被覆を除去するために、電線Wが通電中であることを作業員が忘れて、高圧ゴム手袋Giを介して掴んだ、別の絶縁ヤットコ9の把持工具92がバインド打ち器6fに接触すると共に、作業員の衣服がメッセンジャーワイヤWmに接触すると、作業員の片腕が電線Wと大地との通電経路になることがある。
【0035】
図13に示したような間接活線工事では、作業開始に先立ち、検電器を用いて電線Wの通電の有無を確認している。しかし、一般的に、間接活線作業が終了するまでは、検電器で通電の有無は確認していない。間接活線作業が中断することを回避するためと考えられる。特許文献1による検電装置は、間接活線作業の前後に用いるには好適であるが、長尺の伸縮ロッドの先頭部に検電器を取り付けているので、間接活線作業中に使用するのは不向きである。
【0036】
特許文献2による絶縁操作棒は、限界鍔が通電中の電線に近づいたときには、警報を発生して、作業者に注意を喚起させている。しかし、特許文献2による絶縁操作棒は、限界鍔が通電中の電線から離れたときは、警報を停止するので、電線が通電中であることを作業中に忘れることがある。
【0037】
間接活線作業中であっても、先端工具が通電物に接触していることを作業員が容易に認識できる間接活線工具用検電器が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0038】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業中の先端工具が通電物に接触していることを認識できる間接活線工具用検電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明者は、検電器の検出端子が先端工具の工具部に接触するように、検電器を絶縁操作棒の先端部側に着脱自在に取り付けると共に、検電器の背面側に一つ以上の表示灯を配置することにより、表示灯が点灯することで、作業中の先端工具が通電物に接触していることを容易に認識できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工具用検電器を発明するに至った。
【0040】
(1)本発明による間接活線工具用検電器は、導電性を有する工具部を先端部側に有し、この工具部に連結する長尺の絶縁棒を有する間接活線工具に着脱自在に取り付けできる間接活線工具用検電器であって、検電回路を内部に配置した円筒状の絶縁ケースと、基端部が前記絶縁ケースの一端面を通過して前記検電回路に接続し、前記絶縁ケースから延出して前記工具部の末端部に接触できる導電性を有する検知端子と、前記検知端子と反対側に点灯するように、前記絶縁ケースの他端面に配置された一つ以上の表示灯と、を備え、前記絶縁ケースは、互いに閉じて前記絶縁棒を外周方向から固定できると共に、互いに分離自在な少なくとも一対の分割ケースからなり、これらの分割ケースは、前記絶縁棒の外周に密着自在な弾性板を内壁に有し、前記検知端子は、前記工具部の末端部の外周を巻回自在なコイルスプリングからなる。
【0041】
(2)前記コイルスプリングは、線状の導電性ゴムを螺旋状に成形していることが好ましい。
【0042】
(3)前記弾性板は、外径の異なる前記絶縁棒に対応して、板厚を変えていることが好ましい。
【0043】
(4)前記絶縁ケースは、その内部に収納された電池及び前記検電回路の機能の有無を検査するテストボタンを一方の前記絶縁ケースに有することが好ましい。
【0044】
(5)前記絶縁ケースは、電池を収納する電池箱を他方の前記絶縁ケースに有することが好ましい。
【0045】
(6)前記間接活線工具は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒、C型の固定ジョーに対してねじ送り自在な可動ジョーを先端部に有するストレーリンクトング、開閉する一対の湾曲した把持腕を先端部に有する絶縁ヤットコのいずれか一つを少なくとも含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明による間接活線工具用検電器は、検電器の検出端子が先端工具の工具部に接触するように、検電器を絶縁操作棒の先端部側に着脱自在に取り付けると共に、検電器の背面側に一つ以上の表示灯を配置することにより、表示灯が点灯することで、作業中の先端工具が通電物に接触していることを容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の一実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す図であり、図2(A)は、間接活線工具用検電器の正面図、図2(B)は、図2(A)の右側面図、図2(C)は、図2(A)の左側面図、図2(D)は、図2(A)の平面図、図2(E)は、図2(A)の下面図、図2(F)は、図2(A)のA−A矢視部分断図、図2(G)は、図2(D)のB−B矢視部分断図、図2(H)は、図2(D)のC矢視図であり、電池箱を覆う蓋を取り外した状態図である。
図3】前記実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す図であり、図3(A)は、一対の分割ケースが分離した状態の間接活線工具用検電器を左側面から観た図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B矢視図、図3(C)は、図3(A)のB−B矢視図、図3(D)は、図3(A)のA−A矢視部分断面図である。
図4】前記実施形態による間接活線工具用検電器の電気回路図である。
図5】前記実施形態による間接活線工具用検電器を間接活線工具に適用した例を示す正面図であり、図5(A)は、間接活線工具用検電器をストレーリンクトングに適用した図であり、図5(B)は、間接活線工具用検電器を絶縁ヤットコに適用した図であり、図5(C)は、間接活線工具用検電器を共用操作棒に適用した図である。
図6】本発明に係る共用操作棒の一例による構成を示す正面図である。
図7】共用操作棒の先端部に設けた工具部を拡大した斜視図である。
図8】本発明に係るストレーリンクトングの一例による構成を示す正面図である。
図9】発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す斜視図である。
図10】本発明に係るストレーリンクトングの先端部側を拡大して示す背面図である。
図11】本発明に係る絶縁ヤットコの一例の構成を示す正面図である。
図12図11に示した絶縁ヤットコの先端部を拡大した正面図である。
図13】複数の間接活線工事用の絶縁操作棒を用いて、電線を活線工事している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[間接活線工具用検電器の構成]
最初に、本発明の一実施形態による間接活線工具用検電器の構成を説明する。なお、実施形態では、間接活線工具用検電器が適用される間接活線工具を絶縁ヤットコ9(図11又は図12参照)として説明するが、これに限定されない。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す斜視図である。図2は、前記実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す図であり、図2(A)は、間接活線工具用検電器の正面図、図2(B)は、図2(A)の右側面図、図2(C)は、図2(A)の左側面図、図2(D)は、図2(A)の平面図、図2(E)は、図2(A)の下面図、図2(F)は、図2(A)のA−A矢視部分断図、図2(G)は、図2(D)のB−B矢視部分断図、図2(H)は、図2(D)のC矢視図であり、電池箱を覆う蓋を取り外した状態図である。
【0050】
図3は、前記実施形態による間接活線工具用検電器の構成を示す図であり、図3(A)は、一対の分割ケースが分離した状態の間接活線工具用検電器を左側面から観た図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B矢視図、図3(C)は、図3(A)のB−B矢視図、図3(D)は、図3(A)のA−A矢視部分断面図である。
【0051】
図4は、前記実施形態による間接活線工具用検電器の電気回路図である。図5は、前記実施形態による間接活線工具用検電器を間接活線工具に適用した例を示す正面図であり、図5(A)は、間接活線工具用検電器をストレーリンクトングに適用した図であり、図5(B)は、間接活線工具用検電器を絶縁ヤットコに適用した図であり、図5(C)は、間接活線工具用検電器を共用操作棒に適用した図である。
【0052】
(全体構成)
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態による間接活線工具用検電器(以下、検電器と略称する)10は、円筒状の絶縁ケース1、導電性を有する検知端子であるコイルスプリング2、及び複数の表示灯であるLED3を備えている。絶縁ケース1は、検電回路1kを内部に配置している(図4参照)。なお、実体として、検電回路1kは、絶縁ケース1の内部に組み込まれ、複数の電子部品を実装したプリント基板(図示せず)で構成している。
【0053】
図1から図3を参照すると、コイルスプリング2は、その基端部が絶縁ケース1の一端面111を通過して検電回路1kに接続している(図4参照)。又、コイルスプリング2は、絶縁ケース1から延出して、工具部である把持工具92の末端部に接触できる(図11又は図12参照)。複数のLED3は、コイルスプリング2と反対側に点灯するように、絶縁ケース1の他端面112・122に配置されている。
【0054】
図1から図3を参照すると、絶縁ケース1は、一対の分割ケース11.12で構成している。一対の分割ケース11.12を互いに閉じると、絶縁棒である操作棒91を外周方向から固定できる(図11又は図12参照)。一方、一対の分割ケース11.12は、互いに分離でき、操作棒91から解放できる(図11又は図12参照)。
【0055】
図1から図3を参照すると、一方の分割ケース11は、弾性板41を内壁に貼着している。他方の分割ケース12は、弾性板42を内壁に貼着している。一対の分割ケース11.12を互いに閉じると、これらの弾性板41・42を操作棒91の外周に密着できる(図11又は図12参照)。コイルスプリングは、把持工具92の末端部の外周を巻回できる(図11又は図12参照)。
【0056】
(絶縁ケースの構成)
次に、絶縁ケースの構成を説明する。図3(A)を参照すると、一方の分割ケース11は、一対のランス11r・11rを底面から突出している。一対のランス11r・11rは、対向配置されている。
【0057】
一方、図3(C)を参照すると、他方の分割ケース12は、一対のランス11r・11rが嵌合する切り欠き溝11d・11dを周面に形成している。一対の分割ケース11・12の底面同士が密着するように、一対の分割ケース11・12を相対的に近づけると、ランス11rが切り欠き溝11dに嵌合して、一対の分割ケース11・12を一体化できる(図1参照)。
【0058】
図2又は図3を参照して、一対のランス11r・11rを互いに拡がる方向に弾性変形して、一方の分割ケース11に対して、他方の分割ケース12を引っ張ると、一対の分割ケース11・12を分離できる(図3(A)参照)。
【0059】
図3(A)又は図3(C)を参照すると、他方の分割ケース12は、一対の雄形端子12t・12tを底面から突出している。例えば、一方の雄形端子12tは、正極であり、他方の雄形端子12tは、負極である。
【0060】
図3(B)を参照すると、一方の分割ケース11は、雄形端子12tが挿抜自在な一対の雌形端子11t・11tを底面側に設けている。一対の分割ケース11・12を互いに閉じると、雌形端子11t及び雄形端子12tを介して、一対の分割ケース11・12の内部回路を電気的に接続できる。一対の分割ケース11・12は、互いに着脱可能な電気コネクタということもできる。
【0061】
(テストボタン及び電池箱の構成)
図1又は図2(A)及び図2(F)を参照すると、一方の分割ケース11は、テストボタン1sを周面の中央部に設けている。テストボタン1sは、他方の分割ケース12の内部に収納された電池1c(図2(H)参照)、及び検電回路1k(図4参照)の正常動作を点検できる。例えば、図1又は図4を参照して、把持工具92が通電中の電線Wに接触していない状態で、テストボタン1sを押下してときに、LED3が点灯することで、電池1c、及び検電回路1kの正常動作を確認できる。
【0062】
図2(E)又は図2(H)を参照すると、他方の分割ケース12は、電池箱13を内部に設けている。電池箱13には、ボタン形の電池1cを二つ収納できる。電池箱13は、蓋体13iで覆われている。他方の分割ケース12から蓋体13iを取り外すことで、電池1cを交換できる。
【0063】
(検知端子の構成)
次に、検知端子であるコイルスプリングの構成を説明する。図2又は図3を参照して、コイルスプリング2は、線状の導電性ゴムを螺旋状に成形することが好ましい。コイルスプリング2を螺旋状の導電性ゴムで構成することで、把持工具92と検電回路1kを電気的に接続できる。又、コイルスプリング2を螺旋状の導電性ゴムで構成することで、把持工具92の末端部の外周に密着できると共に、把持工具92の末端部に確実に保持できる。更に、コイルスプリング2を螺旋状の導電性ゴムで構成することで、導電性ゴムを引き伸ばして、把持工具92の末端部の外周に巻回することも容易である。
【0064】
(検電回路の構成)
次に、検電回路の構成を説明する。図4を参照すると、検電回路1kは、電圧レベル検出回路14と発光回路15を備えている。電圧レベル検出回路14及び発光回路15は、電子部品で構成した電子回路である。又、LED3、電池1c、及びテストボタン1sを検電回路1kの構成に含むこともできる。
【0065】
図4を参照して、電路である電線Wが通電中であれば、電圧レベル検出回路14は、コイルスプリング2を介して、電線Wと大地の間に流れる微弱な電流を検出できる。そして、電圧レベル検出回路14の出力により、発光回路15を駆動して、LED3を点灯できる。電線Wが通電していないときは、把持工具92を電線Wに接触しても、LED3は消灯している。なお、電線Wが絶縁被覆されていても、検電できる。
【0066】
このように、図4を参照すると、検電回路1kは、電路である電線Wが通電しているか否かを検出でき、電路が通電しているときは、LED3を点灯できる。なお、テストボタン1sの作用は、前述したとおりであるので省略する。
【0067】
[間接活線工具用検電器の作用]
次に、実施形態による検電器10の適用例を説明しながら、構成を補足すると共に、検電器10の作用及び効果を説明する。
【0068】
図5は、前記実施形態による間接活線工具用検電器を間接活線工具に適用した例を示す正面図であり、図5(A)は、間接活線工具用検電器をストレーリンクトングに適用した図であり、図5(B)は、間接活線工具用検電器を絶縁ヤットコに適用した図であり、図5(C)は、間接活線工具用検電器を共用操作棒に適用した図である。
【0069】
図5(A)を参照すると、図8から図10に示したストレーリンクトング7に検電器10を取り付けている。絶縁ケース1は、絶縁操作棒70の本体7bを固定している(図8参照)。コイルスプリング2は、端面歯車71の円筒部を巻回している(図8から図10参照)。
【0070】
図5(A)又は図8から図10を参照すると、絶縁操作棒70の本体7bは、本発明による「絶縁棒」に相当している。又、端面歯車71の円筒部は、本発明による「工具部の末端部」に相当している。ストレーリンクトング7に検電器10を取り付けることで、作業中の先端工具8が通電物に接触していることを容易に認識できる。
【0071】
図5(B)を参照すると、図11又は図12に示した絶縁ヤットコ9に検電器10を取り付けている。絶縁ケース1は、操作棒91を固定している(図11参照)。コイルスプリング2は、把持工具92の末端部を巻回している(図11又は図12参照)。
【0072】
図5(B)又は図11及び図12を参照すると、操作棒91は、本発明による「絶縁棒」に相当している。又、把持工具92の末端部は、本発明による「工具部の末端部」に相当している。絶縁ヤットコ9に検電器10を取り付けることで、作業中の把持工具92が通電物に接触していることを容易に認識できる。
【0073】
図5(C)を参照すると、図6又は図7に示した共用操作棒6に検電器10を取り付けている。絶縁ケース1は、柄部62を固定している(図6参照)。コイルスプリング2は、工具部61の末端部に接触している(図6又は図7参照)。
【0074】
図5(C)又は図6及び図7を参照すると、柄部62は、本発明による「絶縁棒」に相当している。又、工具部61は、本発明による「工具部」に相当している。共用操作棒6に検電器10を取り付けることで、作業中の図示しない先端工具が通電物に接触していることを容易に認識できる。
【0075】
図5(A)を参照すると、絶縁操作棒70の本体7bの外径D1は、約「32」mmである。一方、図5(B)を参照すると、操作棒91の外径D2は、約「26」mmである。同様に、図5(C)を参照すると、柄部62の外径D2は、約「26」mmである。
【0076】
図3を参照すると、このように、外径の異なる絶縁棒に共用可能に絶縁ケース1を取り付けできるように、一組の弾性板41・42は、板厚を変えることが好ましい。又、これらの弾性板41・42は、ゴム板からなることが好ましい。一組の弾性板41・42を介して、絶縁棒の外周を一対の分割ケース11・12で挟持することで、絶縁棒に対して検電器10の滑りを防止できる。又、検電器10への衝撃を緩和できる。
【0077】
実施形態による検電器10は、検出端子となるコイルスプリング2が先端工具の工具部に接触するように、絶縁ケース1を絶縁操作棒の先端部側に着脱自在に取り付けると共に、絶縁ケース1の背面側に一つ以上のLED3を配置することにより、LED3が点灯することで、作業中の先端工具が通電物に接触していることを容易に認識できる。
【0078】
又、実施形態による検電器10は、導電性ゴムを螺旋状に成形して検電端子を構成することで工具部への確実な接触と保持力をもたせた。更に、一組の弾性板41・42の板厚を変えることで、多くの間接活線工具を共用できるという効果がある。
【0079】
本発明による間接活線工具用検電器は、次のような効果が期待できる。
(1)安全意識を向上できる。測定時間を短縮できる。
(2)感電を防止できる。
(3)本発明による間接活線工具用検電器を通常の検電器として利用できる。
【0080】
本発明は、間接活線工事に好適な間接活線工具用の検電器を開示したが、本発明の間接活線工具用検電器は、間接活線工具用に限定されることなく、一般的な工具に応用されることが期待される。
【符号の説明】
【0081】
1 絶縁ケース
1k 検電回路
2 コイルスプリング(検知端子)
3 LED(表示灯)
9 絶縁ヤットコ(間接活線工具)
10 検電器(間接活線工具用検電器)
11・12 一対の分割ケース
41・42 一対の弾性板
91 操作棒(絶縁棒)
92 把持工具(工具部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13