(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
図1は、高圧開閉器を腕金に固定した、本実施形態に係る腕金取付装置を示す側面図である。
図2は、
図1の正面図である。
図3は、
図1の上面図である。
図4は、
図1に示す腕金取付装置の分解斜視図である。
図1から
図4を適宜参照して以下、本実施形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内の一方向をX軸方向、所定面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。X軸は、YZ平面と直交する。Y軸は、XZ平面と直交する。Z軸は、XY平面と直交する。XY平面は、所定面と平行である。本実施形態において、XY平面は、水平面と平行であることとする。Z軸方向は、鉛直方向である。
【0019】
図1から
図3に示す高圧開閉器5は、制御装置と組み合わされて、開閉器を自動で入又は切可能であり、配電線路の故障区間などを区分して切り分けることができる自動開閉器(配電機器)である。高圧開閉器5の形状は、本実施形態に例示した形状に限定されるものではない。高圧開閉器5は、質量が20Kg以上と重く、腕金3に取り付けられた場合に安定して固定されることが望まれる。
【0020】
図1から
図3に示す本実施形態に係る腕金取付装置1は、高圧開閉器5の取付部51に固定されている。本実施形態に係る腕金取付装置1は、ハンガー下部部材10と、ハンガー上部部材20とを備えている。本実施形態に係る腕金取付装置1は、ハンガー下部部材10と、ハンガー上部部材20とは、腕金3を上下に(Z軸方向に)挟み込み、固定されている。このため、高圧開閉器5は、本実施形態に係る腕金取付装置1を介して、腕金3に固定され、腕金3に安定して吊り下げることができる。
【0021】
図4に示すように、本実施形態に係る腕金取付装置1は、ハンガー下部部材10と、ハンガー上部部材20とを備えている。ハンガー下部部材10は、昇降機構であり、本実施形態において、いわゆる、ねじ式ジャッキ構造である。ハンガー下部部材10は、昇降機構であればよく、油圧式ジャッキ、空気圧式ジャッキでもよい。ねじ式ジャッキ構造は、油圧式ジャッキ、空気圧式ジャッキと比較して、小型軽量であり、後述するホットスティック(絶縁操作棒)などの間接活線工具を用いて、容易に操作可能である。
【0022】
図4に示すように、ハンガー下部部材10は、第1連結部材10Aと、第2連結部材10Bと、リンク機構10Cとを備える。第1連結部材10Aと、第2連結部材10Bとは、リンク機構10Cで連結され、リンク機構10Cが第1連結部材10Aと第2連結部材10Bとの間の距離の変化を鉛直方向の変化に変換する。
【0023】
第1連結部材10Aは、筐体12と、筐体12からY軸方向両側に突出し、リンクアーム14を貫通して回転自在とする第1連結ピン12P、12Pを備えている。第1連結部材10Aは、筐体12のY軸方向に取り付けられ、Y軸を中心に回転可能なウオームホイール12Wと、ウオームホイール12Wの回転と連動する操作部12RCとを備え、操作部12RCが側面に露出して操作可能になっている。第1連結部材10Aは、シャフト11を介して、第2連結部材10Bと連結している。シャフト11は、一端にシャフト11と同軸の円筒ギヤ11Gと、少なくとも他端に外周を雄ねじとしたねじ部11Bとを備えている。
【0024】
図5は、本実施形態に係る腕金取付装置のウオームギヤ機構の説明図である。
図5に示すように、上述した円筒ギヤ11Gと、ウオームホイール12Wとは、軸角90°で噛み合い、ウオームギヤ機構WGとなっている。これにより、操作部12RCの回転がウオームホイール12Wの回転となり、円筒ギヤ11Gに回転が伝達される。円筒ギヤ11Gの回転は、シャフト11の回転となる。
【0025】
図4に示すように、第2連結部材10Bは、筐体13と、筐体13からY軸方向両側に突出し、リンクアーム14を貫通して回転自在とする第2連結ピン13P、13Pを備えている。筐体13には、X軸方向に貫通孔の雌ねじ孔13Hがあけられている。上述したシャフト11は、ねじ部11Bを雌ねじ孔13Hに螺合させ、第1連結部材10Aと第2連結部材10Bとを連結している。このため、シャフト11が回転すると、第1連結部材10Aと第2連結部材10Bとの間の距離が変化する。
【0026】
リンク機構10Cは、複数のリンクアーム14と、下部プレート15、15と、下部プレート昇降シャフト16、17と、を備える。下部プレート15、15は、X軸方向に延びる同じ板状部材であり、X方向の一端に下部プレート昇降シャフト16が溶接などで固定され、他端に下部プレート昇降シャフト17が溶接などで固定されている。下部プレート昇降シャフト16、17は、Y軸方向に延びる棒状部材であり、下部プレート15、15を平行に固定する。
【0027】
図6は、本実施形態に係る腕金取付装置のリンク機構のリンクアームを説明する説明図である。リンクアーム14は、異なる位置に2つの貫通孔14AH、14BHがあけられた板状部材である。
図6に示すように、リンクアーム14は、軽量化のため、荷重のかからない部分を薄肉としてもよい。
【0028】
2つのリンクアーム14は、Y軸方向に貫通孔14AHが重なりあい、貫通孔14BHが重ならないように重ね合わせ、第1連結ピン12Pが2つの貫通孔14AHを貫通するようになっている。一組のリンクアーム14の貫通孔14BHのうち、一方の貫通孔14BHには、下部プレート昇降シャフト16が貫通し、他方の貫通孔14BHには、後述する固定Y軸シャフト27が貫通する。2つのリンクアーム14は、リンク軸として、第1連結ピン12P、下部プレート昇降シャフト16、固定Y軸シャフト27が貫通している。
【0029】
同様に、2つのリンクアーム14は、Y軸方向に貫通孔14AHが重なりあい、貫通孔14BHが重ならないように重ね合わせ、第2連結ピン13Pが2つの貫通孔14AHを貫通するようになっている。一組のリンクアーム14の貫通孔14BHのうち、一方の貫通孔14BHには、下部プレート昇降シャフト17が貫通し、他方の貫通孔14BHには、後述する固定Y軸シャフト28が貫通する。2つのリンクアーム14は、リンク軸として、第2連結ピン13P、下部プレート昇降シャフト17、固定Y軸シャフト28が貫通している。
【0030】
次に、
図4に示すように、ハンガー上部部材20は、X軸方向に分割された第1上部プレート20Aと、第2上部プレート20Bとを備える。
【0031】
第1上部プレート20Aは、L字状金具22、23と、上部第1連結プレート21とを備える。上部第1連結プレート21は、板状部材であり、L字状金具22、23の鉛直方向上面に溶接などで固定されている。なお、上部第1連結プレート21には、後述する防巣具の取付孔21Hがあけられていてもよい。
【0032】
L字状金具22、23は、一端を曲げ加工して固定Y軸シャフト27を貫通させる貫通孔22H、23Hを備える湾曲部22M、23Mと、他端の一部を切り欠いて、切り欠き22S、23Sとして2股の先端部22T1、22T2、23T1、23T2を備える。
【0033】
第2上部プレート20Bは、取付棒25、26と、上部第2連結プレート24とを備える。なお、上部第2連結プレート24には、後述する防巣具の取付孔24Hがあけられていてもよい。
【0034】
図4に示す取付棒25、26の一端のねじ部25B、26Bと、上部第2連結プレート24とは、ナット25N、26Nとでそれぞれ固定されている。取付棒25、26は、他端を曲げ加工して固定Y軸シャフト28を貫通させる貫通孔25H、26Hを備える湾曲部25M、26Mを備える。
【0035】
なお、取付棒25、26は、この実施態様に限られない。
図7及び
図8は、
図1に示す腕金取付装置の吊り下げプレート固定部の変形例を説明する説明図である。
図7に示すように、取付棒26の一端と、上部第2連結プレート24とは、上部第2連結プレート24に取付棒26を貫通させて、取付棒26よりも直径の大きい端部である固定端26Tを上部第2連結プレート24の上面に溶接などで固定してもよい。または、
図8に示すように、取付棒26の一端と、上部第2連結プレート24とは、上部第2連結プレート24の下面に取付棒26の端部を溶接などで固定してもよい。
【0036】
固定Y軸シャフト27、28は、Y軸方向に延びる棒状部材である。固定Y軸シャフト27は、高圧開閉器5の取付部51の貫通孔51H(
図1参照)、貫通孔23H、リンクアーム14の貫通孔14BH、14BH、貫通孔22H、高圧開閉器5の取付部51の貫通孔51Hを貫通する。固定Y軸シャフト28は、高圧開閉器5の取付部51の貫通孔51H(
図1参照)、貫通孔26H、リンクアーム14の貫通孔14BH、14BH、貫通孔25H、高圧開閉器5の取付部51の貫通孔51Hを貫通する。固定Y軸シャフト27、28には、抜け止めピン29Pが貫通孔27H、28Hに挿入されていることが好ましい。貫通孔27H、28Hは、Y軸方向と直交する平面の固定Y軸シャフト27、28の一部を径方向に貫通している。
【0037】
図9は、本実施形態に係る腕金取付装置を介して高圧開閉器を腕金へ取り付ける取付作業を説明するためのフローチャートである。
図10は、腕金取付前の本実施形態に係る腕金取付装置の状態を説明するための説明図である。以下、
図9に示すフローチャートに沿って、
図1から
図8の図面も参照しつつ、本実施形態に係る腕金取付装置を介して高圧開閉器を腕金へ取り付ける取付作業を説明する。
図10に示すように、腕金3に取り付ける前の本実施形態に係る腕金取付装置1は、ハンガー上部部材20は、第1上部プレート20Aと、第2上部プレート20Bとが連結されていない。
【0038】
作業手順として、吊り具の取付工程(ステップS11)では、
図10に示すように、高圧開閉器5の取付部51に固定された腕金取付装置1をlup方向に持ち上げて腕金3に近づけるため、専用の吊り具を取り付ける必要がある。
【0039】
図11は、吊り具を取り付けた本実施形態に係る腕金取付装置の側面図である。
図12は、
図11の正面図である。
図13は、
図11の上面図である。本実施形態の吊り具4は、L字状金具であって、ベース部42と、ベース部42に立設する把持部41とを備える。
図11から
図13に示すように、2つ吊り具4は、Y軸方向両側から腕金取付装置1を挟むように配置し、ベース部42のY軸方向にあいた貫通孔42AH、42BHに、固定Y軸シャフト27、28の端部をそれぞれ貫通させる。貫通孔42AH、42BHのうち一方をX軸方向に長い長孔とすることで、本実施形態の吊り具4は、大きさなどが異なる多様な高圧開閉器5に対応して吊り下げることができる。
【0040】
把持部41は、一端にスリングベルト6で引っ掛けられるようスリット41Sを備えている。作業手順として、吊り具の取付工程(ステップS11)の後、
図11から
図12に示すウインチ7がスリングベルト6を引き上げることで、腕金3へ近接させるリフトアップの工程を行う(ステップS12)。
【0041】
図14は、本実施形態に係る腕金取付装置のハンガー上部部材の組み立て動作を説明するための説明図である。作業手順として、作業者は、
図14に示すように腕金3に近接したハンガー上部部材20を組み立てるハンガー上部部材20の組み立て工程を行う(ステップS13)。
【0042】
上述したように、第1上部プレート20Aは、固定Y軸シャフト27により、高圧開閉器5の取付部51に回転自在に取り付けられ、鉛直方向の位置が規制されている。同様に、第2上部プレート20Bとは、固定Y軸シャフト28により、高圧開閉器5の取付部51に回転自在に取り付けられ、鉛直方向の位置が規制されている。作業者は、後述するホットスティック(絶縁操作棒)などの間接活線工具を用いて、第1上部プレート20Aを第2上部プレート20Bに近づける方向Q2に回転移動させ、第2上部プレート20Bを第1上部プレート20Aに近づける方向Q1に回転移動させる。そして、
図4に示すように、先端部22T1、22T2の間の切り欠き(割溝)22Sには、取付棒25が嵌め込まれ先端が鉛直方向上方に湾曲した先端部22T1、22T2が上部第2連結プレート24を押圧し固定される。また、先端部23T1、23T2の間の切り欠き(割溝)23Sには、取付棒26が嵌め込まれ先端が鉛直方向上方に湾曲した先端部23T1、23T2が上部第2連結プレート24を押圧し固定される。
【0043】
図15は、本実施形態に係る腕金取付装置のハンガー上部部材の吊り下げ前の腕金の位置を説明するための説明図である。本実施形態に係る腕金取付装置1のハンガー上部部材20は、組み立てられて、
図15に示す側面視でU字状の部材となり、下部プレート15、15と共に、側面視で、腕金3の周囲を囲むことができる。
【0044】
図16は、本実施形態に係る腕金取付装置のハンガー上部部材の吊り下げ後の腕金の位置を説明するための説明図である。作業者は、上述したウインチ7を操作して、ハンガー上部部材20(第1上部プレート20A)の鉛直方向の平坦な下面に腕金3が当接するように、スリングベルト6を下方へ下げる操作を行う。
図16に示すように、ハンガー上部部材20が腕金3に吊された後、作業者は、上述したウインチ7を操作して、ハンガー上部部材20(第1上部プレート20A)の鉛直方向の平坦な下面に腕金3が当接するように、スリングベルト6を下方へ下げ、
図11に示すスリット41Sからスリングベルト6を取り外す。これにより、作業者は、ハンガー上部部材20を、腕金3に吊るす工程を行う(ステップS14)。高圧開閉器5は、スリングベルト6のような可撓性のある吊り具で吊り下げられるのではなく、ハンガー上部部材20で腕金3に吊り下げられているので、姿勢が安定する。
【0045】
次に、作業者は、間接活線工具により、ハンガー下部部材10のジャッキアップ(上昇)工程を行う(ステップS15)。
図17は、間接活線工具の一例を示す説明図である。
図17に示す間接活線工具90は、ホットスティック9と、把持工具96とを備えている。把持工具96は、開閉可能な一対の把持片96a及び把持片96bを備えている。
図17に示すホットスティック9は、着脱部91、操作部92、柄部93、作動棒96c及び操作レバー96dを備え、把持工具96が着脱部91に取り付けられている。ホットスティック9は、柄部93と沿って作動棒96cを保持している。そして、作動棒96cの一端部が把持片96aに回動可能に連結し、かつ作動棒96cの他端が操作レバー96dに連結している。このような
図17に示す間接活線工具90は、ヤットコとも呼ばれる。把持工具96は、把持片96bの位置が固定され、把持片96aの着脱部91側基部を軸として、把持片96aの先端部が回動可能に連結されている。このため、作業者は、操作レバー96dを操作部92に近づけると、操作レバー96dに連動する作動棒96cが押し上げられ、作動棒96cと連結する把持片96aが作動棒96cの動きに連動し、一対の把持片96a及び把持片96bの先端部96pを閉じることができる。操作レバー96dを操作部92から距離を離すと、操作レバー96dに連動する作動棒96cが押し下げられ、作動棒96cと連結する把持片96aが作動棒96cの動きに連動し、一対の把持片96a及び把持片96bの先端部96pを開くことができる。このように、間接活線工具90は、作業者が操作レバー96dを操作して、高所に位置する被挟持物を把持できる。本実施形態において、被挟持物は、上述した操作部12RCとなる。なお、間接活線工具90は、例示であり、ラチェットなどの把持工具を備えていてもよい。
【0046】
図18は、本実施形態に係る腕金取付装置のハンガー下部部材の側面の状態を説明するための説明図である。
図19は、
図18に示すハンガー下部部材を上面視でみた上面図である。
図20は、操作部の回転に応じたハンガー下部部材の動作を説明する説明図である。作業者は、上述した間接活線工具90を用いて、
図18及び
図19に示すハンガー下部部材10の操作部12RCを一方向(例えばQR方向)に回転させる。
図18及び
図19に示すように、下部プレート昇降シャフト16、17は、高圧開閉器5の取付部51の貫通孔51H(
図1参照)により、X軸方向の位置が規制されている。また、固定Y軸シャフト27、28は、下部プレート15により、X軸方向の位置が規制されている。このため、間接活線工具90を用いて、
図18及び
図19に示すハンガー下部部材10の操作部12RCを一方向に回転させた場合、第1連結部材10Aと第2連結部材10Bとの間の距離が変化しても、下部プレート昇降シャフト16、17間の距離及び固定Y軸シャフト27、28間の距離が変化しない。その結果、リンク機構10Cは、
図20に示すように、下部プレート昇降シャフト16と固定Y軸シャフト27との鉛直方向の距離及び下部プレート昇降シャフト17と固定Y軸シャフト28との鉛直方向の距離を変化させ、下部プレート15を鉛直方向上方(矢印P方向)に押し上げる。
【0047】
ハンガー下部部材10の操作部12RCは、筐体12の側面から水平に突出しているので、上述した間接活線工具90を用いて操作しやすい。また、ハンガー下部部材10の操作部12RCは、ナットのように落下の可能性なく、回転するだけで、下部プレート15を昇降することができる。
【0048】
図9に示すように、作業者は、ハンガー上部部材20とハンガー下部部材10とで腕金3が鉛直方向に挟まれて挟持されるまで(ステップS16、No)、ステップS15の作業を継続する。
図20に示すように、作業者は、腕金3がハンガー上部部材20とハンガー下部部材10とで鉛直方向に挟まれて挟持されると(ステップS16、Yes)、作業を終了する。
【0049】
以上、本実施形態に係る腕金取付装置1を介して高圧開閉器5を腕金3へ取り付ける取付作業を説明したが、逆の手順により、腕金3から高圧開閉器5を取り外す作業を行うことができる。
【0050】
図21は、本実施形態に係る腕金取付装置に固定される防巣具を説明するための説明図である。防巣具8は、
図21に示されるように、円柱状の棒体81のうち先端側と中腹側とに棒体81に対し上面視で放射状にかつ鉛直方向下側に向けて斜めに複数の槍部82を延設させる。棒体81の基端部は、雄ねじ加工され、上部第1連結プレート21の取付孔21H及び上部第2連結プレート24の取付孔24Hの少なくとも1つを貫通し、ナットなどで固定される。
【0051】
図22−1は、本実施形態に係る腕金取付装置を使用しない、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業を説明するための上面図である。
図22−2は、
図22−1の正面図である。
図23−1は、本実施形態に係る腕金取付装置を使用しない、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業を説明するための上面図である。
図23−2は、
図23−1の正面図である。
図24−1は、本実施形態に係る腕金取付装置を使用しない、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業を説明するための上面図である。
図24−2は、
図24−1の正面図である。
図25−1は、本実施形態に係る腕金取付装置を使用しない、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業を説明するための上面図である。
図25−2は、
図25−1の正面図である。
【0052】
図22−1から
図25−2には、比較例として、ハンガーボルト金物53、54、55、56及び吊り下げ用フック52を用いて、本実施形態に係る腕金取付装置を使用しない、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業を説明する。
図22−1及び
図22−2に示すように、比較例に係る高圧開閉器5は、取付部51の貫通孔51H(
図1参照)に吊り下げ用フック52を4つ備えている。長尺のスリングベルト6Aは、4つの吊り下げ用フック52のうち、バランスをとるため対角にある2つに掛け渡されている。そして、ウインチ7は、スリングベルト6Aを吊り上げる。
【0053】
図23−1及び
図23−2に示すように、作業者は、長尺のスリングベルト6Aが掛け渡されていない吊り下げ用フック52に対して、対角に、かつ腕金3を跨ぐように短尺のスリングベルト6Bを掛け渡し、腕金3に高圧開閉器5を吊り下げる。このとき、長尺のスリングベルト6Aは、一旦外される。
【0054】
次に、
図24−1及び
図24−2に示すように、短尺のスリングベルト6Bが掛け渡されていない吊り下げ用フック52に対して、対角に、かつ腕金3を跨ぐように長尺のスリングベルト6Aを掛け渡し、ウインチ7でスリングベルト6Aを吊り上げる。
【0055】
次に、
図25−1及び
図25−2に示すように、長尺のスリングベルト6A(吊り具)により高圧開閉器5を腕金3近傍に吊り下げおきながら、ハンガーボルト金物53、54、55、56を組み立てる。このように、比較例に係る高圧開閉器の腕金への取付作業では、可撓性のある長尺のスリングベルト6A(吊り具)により高圧開閉器5を腕金3近傍に吊り下げておく作業と、間接活線工具を用いたナットなどの締め付け作業とが重なり、作業者に負担がかかる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る腕金取付装置1は、ハンガー上部部材20と、ハンガー下部部材10とを備える。ハンガー上部部材20は、固定Y軸シャフト27、28で回転自在に高圧開閉器5の取付部51と固定されているので、高圧開閉器5の取付部51とZ軸方向(鉛直方向)の位置が規制される。ハンガー上部部材20は、第1上部プレート20Aと、第2上部プレート20Bとが連結した状態で腕金3を跨いで吊り下げ可能な状態になる。
【0057】
そしてハンガー下部部材10は、ハンガー上部部材20と高圧開閉器5の取付部51との間に位置する板状の下部プレート15と、下部プレート15を昇降可能であって下部プレート15をZ軸方向(鉛直方向)に上昇させることで下部プレート15を腕金3のZ軸方向(鉛直方向)の下面に当接可能な昇降装置と、を備えている。
【0058】
この構造によれば、ハンガー上部部材20が高圧開閉器5を腕金3に吊り下げた状態で高圧開閉器5が腕金3に支持されているので、高圧開閉器5の姿勢が安定した状態で下部プレート15を上昇させ、下部プレート15を腕金3のZ軸方向(鉛直方向)下面に当接できる。これにより、本実施形態の腕金取付装置1は、より安定した状態で高圧開閉器5を腕金3に取付できる。
【0059】
ハンガー上部部材20の第1上部プレート20Aと下部プレート15とはZ軸方向(鉛直方向)に腕金3を挟み、腕金3と高圧開閉器5とを固定する。このため、腕金3から高圧開閉器5が脱落する可能性を低減できる。第1上部プレート20Aは、複数のL字状金具22、23で構成され、下部プレート15も複数で構成されているので、腕金3との当接面が増え、腕金3と高圧開閉器5との固定が安定する。
【0060】
昇降装置は、筐体12のXZ平面の側面に突出する操作部12RCに加えられる回転を下部プレート15の昇降動作に変換する。このため、間接活線工具90を用いても操作しやすく、ナットなど部品の脱落の可能性を低減することができる。
【0061】
昇降装置は、リンク機構10Cを備えるねじ式ジャッキ構造であって、リンク機構10Cのリンク軸の少なくとも1つが、高圧開閉器5の取付部51を貫通し、ハンガー上部部材20の鉛直方向の位置を規制する固定Y軸シャフト27、28である。この構造により、高圧開閉器5の取付部51には、一方向に貫通する貫通孔を設けるだけで、本実施形態の腕金取付装置1を取り付けることができる。高圧開閉器5の取付部51にあけられた貫通孔は、上述した吊り下げ用フック52の孔を利用することができ、取付部51に大きな改造を加える必要がない。
【0062】
固定Y軸シャフト27、28は、高圧開閉器5の取付部51のY方向両側の側面より突出しており、固定Y軸シャフト27、28の突出した部分には吊り具4が取り付けられる。このため、吊り具4の固定のための別部品が不要となる。また、本実施形態の腕金取付装置1は、吊り具4の脱着が容易であり、作業負荷を低減することができる。
【0063】
ハンガー上部部材20は、複数に分割可能であって、組み立てられた状態でU字形状である。これにより、本実施形態の腕金取付装置1は、腕金3を跨いで吊り下げることが容易となる。ハンガー上部部材20は、下部プレート15と共に腕金3を囲むので、腕金3から高圧開閉器5が脱落する可能性を低減できる。そして、本実施形態に係る腕金取付装置1は、比較例として説明した吊り下げ用フック52のように個別ばらばらに動かないので、スリングベルト6A、6Bのたすき掛け(対角)で固定するような使用をしなくてもよい。本実施形態に係る腕金取付装置1は、比較例として説明した吊り下げ用フック52のように、スリングベルト6A、6Bの付け替え作業も不要となる。