(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の遊技状態における遊技情報取得条件の成立に応じて遊技情報を取得し、当該遊技情報に基づいて当り遊技を実行するか否かを決定する当否抽選を行い、当該当否抽選の結果に応じて図柄表示装置に識別情報を変動表示し、前記当否抽選の結果が当りである場合に当該当りに対応した態様の識別情報を停止表示し、当り遊技を開始する制御装置を備えたパチンコ機であって、
前記遊技状態が、
通常状態、又は、当該通常状態よりも前記当否抽選の結果が当りとなる確率が高い確変状態と、
非時短状態、又は、当該非時短状態よりも前記識別情報が変動表示される時間が相対的に短く設定される時短状態と、
の組み合わせにより規定され、
前記制御装置は、
前記取得された遊技情報と前記複数の遊技状態に関する遊技状態情報とを記憶する遊技状態記憶手段と、
前記記憶されている遊技情報及び遊技状態情報に基づいて、前記当否抽選よりも前に前記当否抽選及び前記複数の遊技状態に関する判定を実行する抽選結果判定手段と、
を備え、
前記抽選結果判定手段による判定結果が、遊技状態の変更をもたらす当りである場合に、当該変更をもたらす当りであると判定された遊技情報よりも後に取得した遊技情報に応じた前記抽選結果判定手段による判定を、変更後の遊技状態に応じて実行し、
前記変更後の遊技状態に応じて前記抽選結果判定手段により実行された判定結果が、遊技状態の更なる変更をもたらす当りである場合に、当該更なる変更をもたらす当りであると判定された遊技情報よりも後に取得した遊技情報に応じた前記抽選結果判定手段による判定を、更なる変更後の遊技状態に応じて実行することを特徴とするパチンコ機。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び
図2を参照し、パチンコ機の全体構成について説明する。
パチンコ機は、遊技全般を司る制御装置40を中心として遊技処理が実行される形態をとり、遊技盤10に配置された入力側としての多様な入賞部品により、遊技者によって打ち込まれる遊技球が検出されることを契機として、制御装置40が出力側の多様な遊技部品を制御する。
【0009】
パチンコ機の遊技機枠1は、島と呼ばれる図外の遊技機設置構造体に設置される。
遊技機枠1の前部には、ガラス又は合成樹脂からなる透過性パネル2で閉鎖された開口部3、開口部3よりも下方に設けられた皿4、皿4の例えば右下側に設けられた発射操作機構5、開口部3の周囲に設けられた表示灯6、開口部3の周囲に設けられた放音孔部7を備える。表示灯6は内部にLED等の発光体を備える。放音孔部7の裏側にはスピーカー9が設けられる。
遊技機枠1の裏部又は遊技機設置構造体には賞球払出装置60が取り付けられる。賞球払出装置60は、制御装置40からの払い出し信号により駆動され、遊技機設置構造体に設置された図外の補給装置から供給された球を皿4内に払い出す。遊技機枠1の内部には、遊技盤10及び発射機構11が設けられる。
【0010】
遊技盤10は、開口部3の裏側に位置するように遊技機枠1に格納される。遊技盤10の前面と透過性パネル2との間には、発射機構11から発射された球(パチンコ球)の飛び交う遊技領域13がガイドレール14で囲まれた内側の領域として形成される。遊技領域13には、発射操作機構5の操作により発射機構11から発射された球が球通路14aを経由して導かれる。遊技領域13内に導かれた球は遊技盤10を流下する過程において後述する多様な入賞部品等に入賞する。
【0011】
遊技領域13内には、概略、第一の始動入賞部品15Aと、第二の始動入賞部品15Bと、特別図柄表示装置16と、普通図柄始動部品17と、普通図柄表示装置17aと、大入賞部品18とを備える。
また、遊技盤10には遊技領域13内に打ち出された球を阻止又は誘導する釘群10aや風車10b、及び前記いずれの遊技部品にも取り込まれなかった球を遊技盤10の裏側へ回収するアウト口10c及び図外の電飾装置等が設けられる。以下、各構成を詳説する。
【0012】
始動入賞部品15Aは、遊技盤10の左右方向正面に取り付けられる入賞部品であって、遊技盤10の前側へ突出し、上方から流下する球を受け入れる前壁と、遊技盤10の裏側に設けられた図外の球排出機構に連通する入賞口15aを有する。
入賞口15aは、球が始動入賞部品15Aに取り込まれたことを検出する例えば近接スイッチ等により構成される第一始動検出器30を有し、第一始動検出器30は始動検出信号を制御装置40に出力する。
【0013】
始動入賞部品15Bは、始動入賞部品15Aの直下に設けられる。始動入賞部品15Bは、始動入賞部品15Aと同様に、上方から流下する球を取り込むのに必要な遊技盤10の前面と球一個分隔てて設けられる前壁と、遊技盤10の裏側に設けられた図外の球排出機構に連通する入賞口15bを備える。入賞口15bには球が始動入賞部品15Bに取り込まれたことを検出する第二始動検出器31が設けられ、第二始動検出器31は始動検出信号を制御装置40に出力する。
【0014】
入賞口15bの左右方向には球の取り込みをサポートする一対の羽根19が左右方向に開閉自在に取り付けられる。羽根19は閉鎖状態(直立状態)において球が入賞口15bへ取り込まれるのを阻み、一定条件が成立したときに閉鎖状態から開放状態に移行し、球が入賞口15bの両側から取り込まれるのをサポートする。
【0015】
羽根19は、後述する普通図柄始動部品17を球が通過したことを契機として、制御装置40が有する図外の抽選カウンタにより取得される乱数が「当り」と判定された場合に始動口作動ソレノイド61が駆動されることにより開放し、現在の遊技状態が「通常状態」である場合には、例えば開放状態を0.6秒間維持し、現在の遊技状態が後述の「時短あり状態」である場合には、例えば開放状態を2.7秒間維持し、かつ、同様の動作を所定間隔毎に例えば3回繰り返す。
即ち、「時短あり状態」である場合には、遊技者は容易に球を始動入賞部品15Bに取り込ませることが可能となり、単位時間当りの始動入賞部品15Bへの入賞回数が増大する。なお、遊技状態の種別については後述する。
【0016】
第一始動検出器30又は第二始動検出器31による検出信号が後述の制御装置40に入力されたことを契機として、一回の遊技の結果が「当り」であるか「外れ」であるかの抽選が乱数取得手段52、先読み用抽選結果判定手段53及び変動用抽選結果判定手段55によって実行される。抽選結果が「当り」である場合には大当り遊技と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態に移行する。
大当り遊技とは、大入賞部品18に対して遊技盤10の前後方向に開閉自在に軸着された開閉体18aを制御装置40と接続された大入賞口作動ソレノイド63により開放する遊技であって、単位時間当りの球払い出し量を相対的に多くする遊技である。
制御装置40により一度大当り遊技が実行されると、例えば、開閉体18aの開放が開放開始から開閉体18a内部に設けられた入賞口に固着された大当り入賞球検出器34により球が9個検出されるまで又は開放開始から24秒経過するまでのうち、いずれか早い条件が成立するまで継続され、当該動作を1ラウンドとして、最大15ラウンドまで開閉動作を繰り返すことにより行われる。
制御装置40は、大当り入賞球検出器34により1個の球が検出されたことに対応して、賞球払出装置60を駆動し例えば14個の球を遊技者に払い出す。
即ち、遊技者は当該大当り遊技が実行されることにより、極めて短時間に多くの払い出し球(9×14×15=1890個)を得ることが可能となる。
【0017】
特別図柄表示装置16は、遊技盤10の裏部又は遊技機枠1の裏部に取り付けられ、表示画面が透過性パネル2を通して遊技機枠1の前側から視認可能となっている。特別図柄表示装置16としては、例えばCRT、液晶等のように表示画面内における表現形態を電気的に変えられる表示装置や、回動自在な複数のドラムに付された数字や図柄を任意の組み合わせとし得るドラム式の装置が採用される。
【0018】
特別図柄表示装置16は、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55によって実行される抽選の結果を遊技者に対して視認可能とする表示装置であって、遊技盤10の左右方向に複数に分割された表示領域16L、16C及び16R内に数字やキャラクター等から構成される識別情報を上下方向又は横方向にスクロールするように変動表示した後、制御装置40による抽選結果が「当り」である場合には予め定められた「当り」である識別情報の態様を表示画面内に停止表示する。
抽選結果が「当り」である場合の識別情報の態様とは、例えば3つの表示領域16L、16C及び16R内における停止ライン上に同一の数字又は同一キャラクターが一直線に並んだ状態(7・7・7、3・3・3)や、或いはV字や逆V字に形成された停止ライン上に同一の数字又は同一キャラクターが並んだ状態、特定の数字が並んだ状態(1・3・5)等の態様であり、予め定めておくことを条件として、どのような識別情報の態様を「大当り」とするかは任意である。
抽選結果が「外れ」である場合の識別情報の態様とは、3つの表示領域16L、16C及び16R内における停止ライン上に少なくとも2つの同一数字やキャラクターが表示され、残りの数字やキャラクターが前記2つの数字やキャラクターと異なる数字やキャラクターである場合(7・2・7)や、前記特定の数字以外の3つの数字やキャラクターが全て異なるような態様(1・5・3)である。
【0019】
特別図柄表示装置16は、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55による抽選の実行を契機として、主制御装置41及び副制御装置42によって生成されるコマンドによって変動を開始し、抽選結果に基づく多様な変動パターンを呈した後に、遊技者に対して最終的に抽選結果が「当り」であるのか「外れ」であるのかを識別情報の停止態様により認識させる。また、遊技盤10には、確定図柄表示装置16Aが設けられる。確定図柄表示装置16Aは特別図柄表示装置16に表示される識別情報の変動停止と連動して変動停止する確定図柄を表示する装置であって、7セグメント上に表示される識別情報が表示態様を変えることにより、遊技者に対して一回の遊技(抽選)が開始又は終了したことを報知する。
【0020】
「当り」には、大別すると大当り遊技の後の遊技状態を「通常状態」とする「通常大当り」と、大当り遊技後の遊技状態を「通常大当り」後の「通常状態」よりも、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55により実行される抽選の結果「当り」となる確率が高い「確変状態」とする「確率変動大当り(以下、確変大当りという)」が存在する。
詳細には、「通常状態」とは、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55により実行される抽選の結果が「当り」となる確率が例えば350分の1として設定される。一方で、「確変大当り」の後に移行する「確変状態」は、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55により実行される抽選の結果が「当り」となる確率が「通常状態」における確率よりも例えば10倍高い35分の1として設定される。よって、遊技者にとっては遊技状態が「確変状態」であるときのほうが「大当り」を得る確率が高い。
【0021】
また、上記2つの「大当り」はさらに時間短縮機能(以下、時短という)の有無によって細分化される。時短とは、大当り遊技の終了後に後述する普通図柄始動部品17を球が通過したことを契機として、制御装置40が抽選カウンタ52aから取得する乱数及び当該乱数と対応する抽選結果が記憶された当り外れテーブルにより実行される抽選結果が「当り」と判定される確率を変動させる機能であって、抽選の結果が「時短あり大当り」である場合には前述した羽根19が「時短なし大当り」の場合と比べて相対的に多く開放することから、単位時間当りの入賞個数を増加させることができる。
なお、大当りの種別を何通りとするかは遊技の仕様に合わせて適宜決定されるものである。本例においては一例として、遊技状態を「確変状態」へ移行させ、かつ、大当り遊技後に時短機能を有する「確変時短あり大当り」、遊技状態を「確変状態」へ移行させ、かつ、大当り遊技後に時短機能を有さない「確変時短なし大当り」、遊技状態を「通常状態」へ移行させ、かつ、大当り遊技後に時短機能を有する「通常時短あり大当り」、遊技状態を「通常状態」へ移行させ、かつ、大当り遊技後に時短機能を有さない「通常時短なし大当り」の4つの大当り種別を備えるものとする。
そして、上記4つの大当りに基づく「大当り遊技」後の遊技状態をそれぞれ「確変時短あり状態」、「確変時短なし状態」、「通常時短あり状態」、「通常時短なし状態」と称する。
即ち、本例におけるパチンコ機は乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55により抽選を実行し、抽選の結果が「当り」である場合に「大当り遊技」を実行するとともに、「大当り遊技」実行の契機となる「当り」の種別によって、「大当り遊技」終了後の遊技状態を変動させる構成である。
なお、乱数取得手段52及び変動用抽選結果判定手段55による抽選については後述する。
【0022】
特別図柄表示装置16は、識別情報の変動中に球が始動入賞部品15A又は始動入賞部品15Bに入賞したことに基づいて点灯する保留ランプ16a乃至16hを備える。保留ランプ16a乃至16hは遊技盤10の左右方向に配列された複数のLED等の発光体であって、図外のLED制御回路を介して副制御装置42と接続され、始動入賞部品15A又は始動入賞部品15Bに球が入賞する都度点灯し、識別情報が変動を開始する度に消灯することにより遊技者に対して抽選結果が未確定の保留球がいくつ存在するのかを認識させる。
【0023】
保留ランプ16a乃至16hのうち、16a乃至16dは、始動入賞部品15Aについての保留球数を表し、16e乃至16hが始動入賞部品15Bについての保留球数を表す。即ち、本例におけるパチンコ機は、始動入賞部品15Aについて4つ、始動入賞部品15Bについて4つ、最大8つまでの保留球を記憶可能であって、入賞の順番と同一順序で乱数の取得及び抽選が実行され、当該抽選の結果が特別図柄表示装置16上に表示される構成である。
つまり、保留ランプ16aを点灯せしめる球の入賞があった後に、保留ランプ16eを点灯せしめる球の入賞があった場合には、抽選実行の順序も保留ランプ16aを点灯せしめた球の入賞を契機とする抽選が実行された後に、保留ランプ16eを点灯せしめた球の入賞を契機とする抽選が実行されることとなる。なお、保留ランプとしては上記形態に限られるものではなく、CRT、液晶等の表示画面内に保留数を電気的に表示する形態としてもよい。また、抽選の順序は入賞の順序と同一でなくてもよく、例えば常に第二始動検出器31からの始動検出信号に基づいて取得された乱数を優先的に抽選処理する構成としてもよい。
【0024】
普通図柄始動部品17は、遊技盤10における球通路14aと近い側方に取り付けられるゲート部品である。普通図柄始動部品17は普通図柄検出器32を有し、普通図柄検出器32は普通図柄始動検出信号を制御装置40に出力する。普通図柄表示装置17aは、遊技盤10の下方に設けられる表示器であって、例えば数字や数字以外の任意の組み合わせを変動表示可能な7セグメント表示器や、表示面にマルやバツ等の記号が付された表示ランプ等により構成される。
普通図柄表示装置17aは、制御装置40が普通図柄始動検出信号に基づいて出力する駆動信号により変動を開始し、図外の抽選カウンタにより取得される乱数の抽選結果が「当り」と判定された場合には、「当り」であることを特定する識別情報の態様として例えば「7」や「8・8」等、遊技者が数字として認識可能な形状又はこれらの組み合わせを停止表示する。一方、抽選結果が「外れ」である場合には「_」や「―」等数字として認識不能な形状又はこれらの組み合わせを停止表示する。
【0025】
以下、
図2を参照して制御装置40について詳説する。遊技機枠1の裏部又は遊技盤10の裏部に取り付けられる制御装置40は、主制御装置41と副制御装置42とに機能分割される。
主制御装置41は、入力ポート201を介して入力される複数の球検出信号に基づいて遊技全般に関わる特別遊技抽選処理、特別遊技抽選処理に基づいて生成される抽選結果に関するコマンドの送信処理、特別図柄表示装置16を駆動させるための識別情報変動開始コマンド送信処理、賞球処理及び複数のソレノイド等の駆動部品を駆動する駆動処理を実行する装置であって、出力ポート202を介して出力側にコマンドや電気的信号を出力する。副制御装置42は、主制御装置41によって生成される各種のコマンドに基づいて表示灯6、スピーカー9、特別図柄表示装置16及び保留ランプ16a乃至16hを制御する。
【0026】
主制御装置41及び副制御装置42はレジスタ等の記憶領域を有し、入力信号に基づいて各種の演算処理を実行するCPU、CPUによる基本処理動作及びCPUによる演算処理のために必要なプログラムやデータマップを格納するROM、CPUの処理に必要なデータを一時的に格納するRAM等の記憶装置等を備える所謂コンピュータである。主制御装置41及び副制御装置42は電源投入時に処理をリセットする図外のリセット回路や、所定期間(例えば2ms)毎にパルスを発生する定期リセット回路等を備える。
【0027】
主制御装置41は、入力検出手段51、乱数取得手段52、先読み用抽選結果判定手段53、先読み用遊技状態設定手段54、変動用抽選結果判定手段55、変動用遊技状態記憶手段56を備える。
なお、前記各手段は現実にはハードウェア及びソフトウェアの協働によって具現化されるものであるが、説明を簡易化するために「手段」との文言を用いて説明する。
【0028】
入力検出手段51は、入力ポート201のポートの違いにより入力側に複数接続される複数の検出器のうちいずれの検出器からの検出信号かを識別する。
【0029】
検出信号が第一始動検出器30又は第二始動検出器31からの始動検出信号である場合には乱数取得手段52による乱数取得処理が実行される。乱数取得手段52は、前記検出信号の入力を契機として抽選カウンタ52aから一の乱数を取得する。抽選カウンタ52aは例えば、2ms毎にカウントアップする0〜65535までの整数値を取り得るループ式カウンタであって、検出信号の入力により一つの乱数値が取得される。抽選カウンタ52aから取得した乱数は、乱数記憶部52b(RAM)内に最大8つまで、取得した順序で順次記憶される。乱数記憶部52bは第一始動検出器30からの出力信号に基づいて取得される乱数と、第二始動検出器31からの出力信号に基づいて取得される乱数とを区別して記憶する互いに異なる領域を有し、各記憶領域は最大4つの乱数を記憶可能である。よって、各領域が既に4つの乱数を記憶している場合には対応する検出器からの入力があっても乱数取得手段52による乱数取得処理は実行されず、以下に記載する抽選処理は実行されない。また、当該抽選処理は乱数記憶部52bに記憶された乱数毎に、かつ、記憶された順序で実行される。
【0030】
先読み用抽選結果判定手段53は、乱数が乱数記憶部52bに記憶されたことに基づいて、即ち、球が第一始動検出器30又は第二始動検出器31により検出されたことに基づいて乱数記憶部52bに記憶された乱数が「当り」であるか否か、「当り」であれば如何なる種別の「大当り」であるのかを判定する。
【0031】
詳細には、先読み用抽選結果判定手段53は後述の確率状態記憶部54a及び時短状態記憶部54bに記憶された遊技状態情報を参照し、遊技状態に対応する抽選結果テーブル53aを選択し、取得した乱数と対応する抽選結果情報及び変動時間情報を抽出する。抽出された抽選結果情報及び変動時間情報は、主制御装置41により順次先読み変動パターンコマンドとして副制御装置42に送信される。さらに、当該情報のうち抽選結果情報は後述する先読み用遊技状態設定手段54により読み出される。
図3は、複数の抽選結果テーブル53aを示す概念図である。同図において
図3(a)は現在の遊技状態が「通常時短なし」である場合に参照されるデータテーブルであって、取得した乱数のうち、約187個の乱数のみが「当り」と判定されるテーブルである(大当り確率約350分の1、確変移行率2分の1)。また、「当り」となる乱数である場合には当該「当り」が前述した如何なる種別の「大当り」であるかを示す大当り種別情報も付加される。
また、当該データテーブルには取得した乱数及び抽選結果と対応する変動時間情報も規定される。
変動時間情報は、識別情報の変動開始から変動停止までの時間を規定する情報であって、例えば乱数「1」を取得した場合には抽選結果情報は「当り」であり、かつ、特別図柄表示装置16が識別情報の変動を開始させ、遊技者に対して当該抽選結果が「当り」であることを認識させるまでの時間が変動開始から24秒後である。また、遊技状態が「通常時短なし」である場合には最短変動時間が例えば12秒として設定される。
【0032】
図3(b)は、現在の遊技状態が「確変時短あり」である場合に参照されるデータテーブルであって、取得した乱数のうち、1872個の乱数の抽選結果が「当り」と判定されるテーブルである(大当り確率約35分の1)。当該データテーブルにおいても、前記データテーブルと同様に「当り」となる乱数である場合には当該「当り」が前述した如何なる種別の「大当り」であるかを示す大当り種別情報が付加される。
また、「通常時短なし」である場合に参照されるデータテーブルと同様に、当該テーブルには取得した乱数及び抽選結果と対応する変動時間情報が規定される。なお、当該遊技状態における最短変動時間は例えば6秒として設定され、かつ、取得した乱数の抽選結果が「外れ」である場合に最短変動時間が選択される確率が相対的に高い。
【0033】
また、遊技状態が「通常時短あり」である場合には
図3(c)に示すように抽選結果情報が
図3(a)に示す「通常時短なし」状態の抽選結果情報と同一であって、かつ、変動時間情報が
図3(b)に示す「確変時短あり」状態の変動時間情報と同一であるテーブルが参照される。
また、遊技状態が「確変時短なし」である場合には
図3(d)に示すように抽選結果情報が
図3(b)に示す「確変時短あり」状態の抽選結果情報と同一であって、かつ、変動時間情報が
図3(a)に示す「通常時短なし」状態の変動時間情報と同一であるテーブルが参照される。
【0034】
即ち、本発明に係るパチンコ機は現在の遊技状態に対応して参照される複数の抽選結果テーブル53aを備えることにより、同一の乱数であっても遊技状態が異なることによって、抽出される抽選結果情報や変動時間情報が異なる場合がある。例えば、「通常時短なし」において乱数Nを取得した場合の抽選結果情報は「外れ」であるが、「確変時短あり」や「確変時短なし」において同一の乱数Nを取得した場合の抽選結果情報は「当り」となる。また、「通常時短なし」において乱数Nを取得した場合における変動時間は16秒であるのに対し、「確変時短あり」において同一の乱数Nを取得した場合における変動時間は12秒である。さらに、取得した乱数の抽選結果が「外れ」である場合にも同様のことが言える。
先読み用抽選結果判定手段53によって、上記いずれのデータテーブルが参照されるかは先読み用遊技状態設定手段54によって設定される現在、又は大当り遊技が実行された場合に移行する当該大当り遊技後の遊技状態情報に基づいて決定される。以下、先読み用遊技状態設定手段54について詳説する。
【0035】
先読み用遊技状態設定手段54は、先読み用抽選結果判定手段53によって乱数取得の度に順次抽出される抽選結果情報が「当り」であって、かつ、当該「当り」が現在の遊技状態から他の遊技状態への移行の契機となる「当り」であるときに、現在の遊技状態を示す遊技状態情報を当該「当り」の種別(他の3つの大当り)に応じた遊技状態情報へと更新する。以下、具体的に説明する。
【0036】
図4は、確率状態記憶部54a及び時短状態記憶部54bとしてのRWMの記憶領域を示す概念図である。当該RWMは例えば1バイトであって、ビット7乃至0までの各領域がそれぞれ乱数記憶部52bに記憶された乱数(保留球)と対応する。
図4(a)は現在の遊技状態が「通常時短なし」である場合を示す。パチンコ機の電源投入時には当該RWMの記憶はクリア処理がなされることにより、原則として電源投入時の遊技状態は「通常時短なし」であり、全ての保留球についてのビットデータが「0」として規定される。
また、各記憶領域におけるビットデータは、先読み用遊技状態設定手段54によって抽出された1つの入賞に対する抽選結果情報と対応するように順次シフトされる。
具体的には特別図柄表示装置16により、1つの保留球に対応する識別情報が変動表示された後に停止し、後続に存在する別の保留球に対応する識別情報の変動表示が開始する度に1ビットシフト(左シフト)が実行される。
【0037】
例えば、
図4(a)に示すように現在の遊技状態が「通常時短なし」の状態である場合に識別情報が変動表示中であって、乱数記憶部52bの保留1に対して入賞があり、先読み用抽選結果判定手段53による抽選結果が「外れ」であった場合、抽出される抽選結果情報も「外れ」であるから確率状態記憶部54a及び時短状態記憶部54bにおける保留1と対応する領域のビットデータは「0」,「0」となる。
また、続いて保留2に対して入賞があり、先読み用抽選結果判定手段53による抽選結果が「外れ」であった場合、前記と同様にビットデータは「0」,「0」となる。
さらに、保留3に対して入賞があり、先読み用抽選結果判定手段53による抽選結果が「確変時短なし」であった場合には、
図4(b)に示すように当該保留3と対応する領域よりも後の領域(保留4以降の領域)のビットデータを更新する。具体的には、抽選結果が「当り」と判定される確率が「通常状態」よりも高い「確変状態」であるかを記憶する確率状態記憶部54aの保留4以降の領域のビットデータを「0」から「1」に更新する。一方で、時短機能の作動の有無を記憶する時短状態記憶部54bの保留4以降の領域のビットデータは「0」のまま維持される。
【0038】
図4(c)は、
図4(b)に示す状態において保留5に対して入賞があり、先読み用抽選結果判定手段53による抽選結果が「通常時短あり」であった場合の記憶領域の状態を示す。この状態においては、保留5よりも後の保留6乃至保留8と対応する領域のビットデータが更新される。
具体的には、確率状態記憶部54aの保留6以降の領域のビットデータを「1」から「0」に更新し、時短状態記憶部54bの保留6以降の領域のビットデータを「0」から「1」に更新する。
なお、ビットデータの更新は後の領域と対応する抽選結果情報が存在するかを問わずに一括して実行される。
例えば保留5と対応する球の入賞(保留球)が存在し、保留6以降に球の入賞がない場合であっても、当該保留6乃至保留8と対応する領域にはこれよりも前の領域(保留5)に記憶された情報と同一の情報が付与される。つまり、先読み用抽選結果判定手段53によって、保留6以降の入賞に基づく抽選結果情報が存在しない場合、換言すれば、乱数が取得されていない場合であっても当該領域には、これよりも前の領域に記憶された先読み用抽選結果判定手段53によって抽出された抽選結果情報に基づく遊技状態情報と同一の遊技状態情報が記憶される。
【0039】
即ち、先読み用遊技状態設定手段54は、先読み用抽選結果判定手段53により入賞がある度に抽出される抽選結果情報に基づいて遊技状態情報を更新する。そして、当該遊技状態情報のうち確率状態情報が確率状態記憶部54aに記憶され、時短状態情報が時短状態記憶部54bに記憶される。また、確率状態記憶部54a及び時短状態記憶部54bは、複数の記憶領域を有し、当該複数の記憶領域は1つの保留球に基づいて抽出される抽選結果情報と個別に対応し、抽選結果が現在の遊技状態から他の遊技状態への移行を生じさせる結果であるときに当該抽選結果を記憶した領域よりも後の領域に記憶される遊技状態情報を更新する。
【0040】
よって、先読み用抽選結果判定手段53が1つの入賞(乱数取得)に対する抽選結果情報を抽出する場合に、当該入賞と対応する複数の記憶領域を有する確率状態記憶部54a及び時短状態記憶部54bを参照して抽選結果テーブル53aを参照することにより、大当り遊技が発生し、かつ、大当り遊技後の遊技状態が大当り遊技前の遊技状態と異なる場合であっても、大当り遊技以前に大当り遊技後の遊技状態と対応する抽選結果テーブル53aから抽選結果情報及び変動時間情報を抽出し、当該抽選結果情報及び変動時間情報を含む先読み変動パターンコマンドを生成することが可能となる。
【0041】
変動用抽選結果判定手段55は、乱数が乱数記憶部52bに記憶されたこと、かつ、現在特別図柄表示装置16が変動中でないこと又は変動中である場合であって当該変動が停止したことを条件として、乱数記憶部52bに記憶された乱数が「当り」であるか否か、「当り」であれば如何なる種別の「大当り」であるのかを判定する。
【0042】
詳細には、変動用抽選結果判定手段55は、ROMに記憶された複数の抽選結果テーブル53aのうちから現在の遊技状態に対応した抽選結果テーブル53aを参照し、取得した乱数と対応する抽選結果を抽出する。
即ち、先読み用抽選結果判定手段53と変動用抽選結果判定手段55による抽選処理は原則的には同一の乱数及び同一の抽選結果テーブル53aを参照することとなるために、抽出される抽選結果情報及び変動時間情報は当然に同一となるが、抽選の実行時期が異なる場合がある。
つまり、先読み用抽選結果判定手段53による抽選処理は特別図柄表示装置16の変動の有無に関わらず実行されるのに対して、変動用抽選結果判定手段55による抽選処理は特別図柄表示装置16の変動中には実行されず、現在特別図柄表示装置16が変動中でないこと又は変動中である場合であって当該変動が停止したことを条件として実行される。
また、異なる場合があるとしたのは、現在特別図柄表示装置16が変動していない場合に球が第一始動検出器30又は第二始動検出器31によって検出された場合には先読み用抽選処理と変動用抽選処理が同時に実行されることが有り得るからである。
【0043】
変動用遊技状態記憶手段56は、現在の遊技状態が如何なる遊技状態であるのかを記憶するとともに、遊技状態が現在の遊技状態から他の遊技状態へ移行した際に出力される更新信号に基づいて遊技状態情報を更新する。
図5は、変動用遊技状態記憶手段56を示す概念図である。
図5(a)は現在の遊技状態が「通常時短なし」であることを表すフラグであり、確率状態を示す領域のビットデータが「0」、時短状態を示す領域のビットデータが「0」として規定される。
図5(b)は現在の遊技状態が「確変時短あり」であることを表すフラグであり、確率状態を示す領域のビットデータが「1」、時短状態を示す領域のビットデータが「1」として規定される。
図5(c)は現在の遊技状態が「通常時短あり」であることを表すフラグであり、確率状態を示す領域が0、時短状態を示す領域のビットデータが「1」として規定される。
図5(d)は現在の遊技状態が「確変時短なし」であることを表し、確率状態を示す領域のビットデータが「1」、時短状態を示す領域のビットデータが「0」として規定される。変動用遊技状態記憶手段56は、遊技状態を移行させる「大当り」が発生する度に送信される更新信号又は、一定条件が満たされる度に送信される更新信号に基づいて遊技状態情報を更新し、常に現在の遊技状態と一致したフラグを立てる。
【0044】
本例において一定条件とは、例えば遊技状態が「通常時短あり」である場合に始動入賞部品15A又は始動入賞部品15Bへの入賞に基づく抽選回数が100回を超えたという条件であり、この場合には、遊技状態が「通常時短あり」から「通常時短なし」へと移行する。また、一定条件はこれに限られるものではなく、遊技状態が「確変時短あり」である場合に始動入賞部品15A又は始動入賞部品15Bへの入賞に基づく抽選回数が所定回数に達したことを条件として、遊技状態を「確変時短あり」から「通常時短なし」へと移行させる等、現在の遊技状態から如何なる遊技状態へ移行させても良いし、その条件を「当り」の発生とするか抽選回数とするかも任意である。
【0045】
変動用抽選結果判定手段55は、上記構成からなる変動用遊技状態記憶手段56を参照することにより現在の遊技状態に対応する抽選結果テーブル53aを参照し、当該抽選結果テーブル53aから抽出した抽選結果情報及び変動時間情報を含む識別情報変動開始コマンドを生成する。
【0046】
主制御装置41は、先読み用抽選結果判定手段53によって生成される先読み変動パターンコマンドを副制御装置42に対して送信する。先読み変動パターンコマンドには取得した乱数情報も含まれる。
【0047】
主制御装置41は、変動用抽選結果判定手段55によって生成される識別情報変動開始コマンドを副制御装置42に対して送信する。抽選結果情報には取得した乱数情報も含まれる。識別情報変動開始コマンドの送信と同時に乱数記憶部52bに記憶された乱数は消去(シフト)され、当該乱数よりも後に記憶された乱数が順次シフトする。また、乱数の消去と同時に当該乱数と対応する保留ランプ16a乃至16hのうちいずれかの保留ランプが消灯する。
また、識別情報変動開始コマンドの送信と同時に図外のカウンタにより変動時間の計時処理が実行され、主制御装置41はカウンタのカウントアップ信号に基づいて識別情報変動停止コマンドを送信する。そして、抽選結果が「当り」である場合には、識別情報変動停止コマンドの送信後に大当り遊技開始コマンドを副制御装置42に送信するとともに大入賞口作動ソレノイド63を駆動して大当り遊技を実行する。
【0048】
このように、主制御装置41が球の入賞の度に副制御装置42に対して先読み変動パターンコマンドを送信する構成としたことにより、副制御装置42側では識別情報変動開始コマンドが送信されるよりも前に、未だ変動用抽選結果判定手段55による抽選処理が実行されていない乱数記憶部52bに記憶された乱数に基づく抽選結果を認識することが可能となる。つまり、先読み変動パターンコマンドは、識別情報が変動中であって、かつ、乱数記憶部52bに乱数が記憶されている場合において識別情報変動開始コマンドよりも前に生成されるコマンドである。
【0049】
さらに、先読み変動パターンコマンドに含まれる抽選結果情報は、先読み用遊技状態設定手段54によって、現在の遊技状態から他の遊技状態へ移行する度に更新される遊技状態情報に基づく抽選結果テーブル53aから抽出されているため、先読み変動パターンコマンドに含まれる抽選結果情報と識別情報変動開始コマンドに含まれる抽選結果情報との間に不一致が生じることがない。よって、先読み変動パターンコマンドを受信した副制御装置42は現在の遊技状態から他の遊技状態への移行の契機となる「大当り」が生じた場合であっても当該大当り遊技前に受信した先読み変動パターンコマンドに含まれる情報を消去する必要がなく、大当り遊技以前に受信した先読み変動パターンコマンドに基づいて、「大当り」以後の演出表示等を行うことが可能となる。以下、副制御装置42による演出処理について説明する。
【0050】
副制御装置42は、先読み情報記憶部71、演出コマンド設定手段72、変動表示コマンド設定手段73を備える。先読み情報記憶部71は、副制御装置42が主制御装置41より順次送信される先読み変動パターンコマンドを受信する度に、当該先読み変動パターンコマンドに含まれる抽選結果情報及び変動時間情報を順次記憶するRAMにより構成される。即ち、抽選結果情報及び変動時間情報は乱数記憶部52bに記憶された乱数と同一の順序で記憶され、最大8つの入賞に基づく抽選結果情報及び変動時間情報を記憶することが可能である。
【0051】
演出コマンド設定手段72は、先読み情報記憶部71に抽選結果情報及び変動時間情報が記憶されたことに基づいて、表示灯6、スピーカー9、特別図柄表示装置16及び保留ランプ16a乃至16hに対して個別に送信される演出用コマンドを生成する。生成された演出用コマンドは、後述の変動表示コマンド設定手段73によって生成される変動表示コマンドの送信と同時に送信され、遊技への期待感を高めるような演出を醸成する。
【0052】
演出用コマンドの態様としては、例えば、先読み変動パターンコマンドを受信した結果、現在変動中の識別情報よりも3つ後の保留3に抽選結果が「当り」である抽選結果情報が含まれていることに基づいて、表示灯6を制御する図外のランプ制御回路に対して表示灯6を一瞬だけ点灯させるコマンドや、スピーカー9を制御する図外のスピーカー制御回路に対して通常と異なる入賞音を発生させるコマンドや、保留3に対応する保留ランプ16a乃至16hのうち、いずれかのランプの色を他のランプの色と異なるように点灯させるコマンド、或いは、保留3よりも前の保留1及び保留2に基づく識別情報変動開始コマンドを受信した際に、後述の変動表示コマンド設定手段73によって生成される変動表示コマンドの送信と同時に特別図柄表示装置16に対して保留3の抽選結果が「当り」であることを示唆するような演出を実行させるようなコマンド等である。
【0053】
また、例えば
図4(c)に示すように識別情報の変動中に保留1から保留5まで入賞があり、先読み変動パターンコマンドを受信した結果、保留3及び保留5に対応する抽選結果がそれぞれ「確変時短なし」、「通常時短あり」である場合、変動表示コマンド設定手段73は特別図柄表示装置16の表示領域16L,16C及び16R上に「まもなく大当りが2回発生します!!」等の表示を行うことにより遊技者に対して後に「大当り遊技」が実行されること、さらにはその回数を認識させることができる。また、上記表示に加えて大当りの種別を示す情報を付加すれば遊技者は一層興味を持って遊技を行うことができる。
さらに、大当りの接近、大当り回数、大当りの種別を表示灯6やスピーカー9又はこれ等を複合して報知するようなコマンドを送信すれば遊技者は大当りの存在を視覚、聴覚によって察知できるため遊技の趣向性を一層増大させることが可能となる。
このように本発明に係るパチンコ機によれば先読み変動パターンコマンドに含まれる抽選結果情報と識別情報変動開始コマンドに含まれる抽選結果情報との間に不一致が生じないために、遊技状態変更前の遊技中に、遊技状態変更後の大当りに関する情報(時期、回数、種別等)を遊技者に報知することが可能となる。
【0054】
変動表示コマンド設定手段73は、主制御装置41によって送信される識別情報変動開始コマンドに基づいて特別図柄表示装置16を制御する変動表示コマンドを生成する。
変動表示コマンドは、変動パターン情報及び停止パターン情報を含む。変動表示コマンド設定手段73は、主制御装置41から送信される識別情報変動開始コマンドに含まれる変動時間情報に基づいて表示パターンテーブル73aを参照し、抽選結果情報と対応する変動パターン情報及び停止パターン情報を抽出する。
【0055】
図6(a)乃至(d)は変動時間毎に参照される表示パターンテーブル73aを示す概念図である。
図6(a)は、識別情報変動開始コマンドに含まれる変動時間情報が6秒である場合に参照されるテーブルであって、
図6(b)は変動時間情報が12秒の場合、
図6(c)は変動時間情報が16秒の場合、
図6(d)は24秒の場合に参照されるパターンテーブルである。
同図におけるパターンテーブルには、抽選結果情報に対応する変動パターン情報及び停止パターン情報が規定されており、一の抽選結果情報に対する一の変動パターン情報及び停止パターン情報が抽出される。
【0056】
同図において変動パターンとは、変動時間情報に対応して規定される演出態様の種類であって、例えば変動パターンAは特別図柄表示装置16の表示領域16L、16C及び16R内における停止ライン上に同一の識別図柄を停止させることなく変動時間内に変動を終える(所謂非リーチ状態)変動パターンであり、変動パターンBは、停止ライン上に同一の識別図柄を停止させた後に(所謂リーチ状態)背景の変更や特定のキャラクターが登場することなく変動時間内に変動を終える(所謂ノーマルリーチ状態)変動パターンである。
変動パターンCは、例えば所謂スーパーリーチと呼ばれる変動パターンであり、停止ライン上に同一の識別図柄を停止させた後に背景の変更や特定のキャラクターが登場するような演出を行った後に変動時間内に変動を終える変動パターンである。変動パターンDは、スーパーリーチではあるが変動パターンCにおける背景やキャラクターと異なる演出を行った後に変動時間内に変動を終える変動パターンである。また、変動パターンE,F、G,Hについても変動時間が異なるほか、その演出表現の態様が異なる。
【0057】
即ち、複数の変動パターン情報が規定されることによって、変動時間情報に対応した態様の変動パターンが抽出され、抽選結果が同じ「当り」又は「外れ」であっても識別情報が停止するまでの過程は全く異なるものとなり、遊技者は常に期待を持って、識別情報の変動を見守ることが可能となる。
なお、本例においては変動パターンを2つ一組としたがこれに限定されるものではなく、変動パターンを多くすればする程多様な変動パターンを遊技者に看取させることができることは言うまでもない。
【0058】
停止パターンとは、抽選結果情報と対応する図柄の情報である。
停止パターンa,bは抽選結果が「外れ」である場合に選択される停止パターンであって、例えば、停止パターンaは所謂バラケ目「2・6・8」及び「1・5・8」と定められ、停止パターンbは1コマずれ目「1・2・1」及び「7・6・7」と定められる。遊技者は変動停止後の識別情報の態様が上記態様であることによって、抽選の結果が「外れ」であったことを認識することができる。また、例えば「確変時短あり大当り」と対応する停止パターンc,dは奇数数字の並びである「7・7・7」及び「3・3・3」と対応し、遊技者は変動停止後の識別情報の態様が「7・7・7」及び「3・3・3」であることによって、抽選の結果が「確変時短あり大当り」であったことを認識することができる。
【0059】
「通常時短あり大当り」と対応する停止パターンe,fは、例えば偶数の数字の並びである「6・6・6」及び「8・8・8」と定められ、遊技者は変動停止後の識別情報の態様が上記態様であることによって、抽選の結果が「通常時短あり大当り」であったことを認識することができる。また、「確変時短なし大当り」と対応する停止パターンg,hは、例えば特定キャラクターの並びである態様や、特定の数字のバラケ目「1・3・5」と対応し、遊技者は変動停止後の識別情報の態様が上記態様であることにより抽選の結果が「確変時短なし大当り」であったことを認識することができる。
また、「通常時短なし大当り」と対応する停止パターンi,jは、例えば偶数数字の並びである「2・2・2」及び「4・4・4」と定められ、遊技者は変動停止後の識別情報の態様が上記態様であることによって、抽選の結果が「通常時短なし大当り」であったことを認識することができる。
【0060】
変動表示コマンド設定手段73は、表示パターンテーブル73aから抽出した変動パターン情報及び停止パターン情報から変動表示コマンドを生成し、特別図柄表示装置16に対して変動表示コマンドを送信することにより、特別図柄表示装置16上に表示される識別情報が抽出された変動パターンにより変動し、抽出された停止パターンにより停止するように特別図柄表示装置16を制御する。
特別図柄表示装置16は、変動表示コマンドに基づいて図外の演出データ記憶部から背景データ、キャラクターデータ等の演出に必要なデータを読み出して識別情報の変動表示を実行するとともに、最終的に停止パターン情報に基づく識別情報を停止表示する。
そして、停止表示された識別情報が予め定められた「大当り」に相当する態様である場合に、主制御装置41による大当り遊技が実行される。
【0061】
以下、主制御装置41及び副制御装置42による遊技処理の概略を
図7乃至
図10に示すフローチャートを用いて詳説する。
1.先読み変動パターンコマンド送信処理について
図7は主制御装置41による抽選処理の流れを示すフローチャートである。以下、各処理について説明する。S1において、始動条件が成立したかを判定する。即ち、抽選の契機となる始動入賞部品15A又は始動入賞部品15Bに設けられた第一始動検出器30又は第二始動検出器31からの出力信号が入力されたかが判定される。判定がYESの場合、S2に移行し、判定がNOの場合、処理をリターンする。
S2において、保留球数が4つ未満かを判定する。即ち、乱数記憶部52bの各領域に記憶された乱数の数が判定される。
判定がYESの場合、S3に移行し、判定がNOの場合、処理をリターンする。S3において乱数を取得する。即ち、乱数取得手段52による乱数取得処理が実行され、S4に移行する。
S4において、S3で取得した乱数が加算記憶される。即ち、乱数記憶部52bの記憶領域に乱数が加算され、S5に移行する。S5において、取得した乱数に基づいて先読み用抽選結果判定手段53により先読み変動パターンコマンド生成のための抽選処理が実行され、S6に移行し、S6においてS5により抽出された抽選結果情報及び変動時間情報を含む先読み変動パターンコマンドが副制御装置42に送信され、一回の処理が終了する。
【0062】
2.識別情報変動開始コマンドの送信処理について
図8は識別情報変動開始コマンドを送信する処理の流れを示すフローチャートである。以下、各処理の流れを説明する。
S21において、乱数記憶部52bに乱数が記憶されているかを判定し、判定がYESの場合S22に移行し、判定がNOの場合、処理をリターンする。
S22において、特別図柄表示装置16に表示される識別図柄が停止中かが判定される。
判定がYESの場合、S24に移行し、判定がNOの場合S23に移行する。S23において、前回送信された識別情報変動開始コマンドの送信と同時に作動するカウンタ値が0であるかが判定される。
判定がYESの場合、S24に移行し、判定がNOの場合、カウンタが0となるまで判定を繰り返し行う。S24において、乱数記憶部52bから乱数を読み出し、S25に移行する。S25において、読み出した乱数に基づいて、変動用抽選結果判定手段55により識別情報変動開始コマンド生成のための抽選処理が実行される。
S26において、S25により抽出された抽選結果情報及び変動時間情報を含む識別情報変動開始コマンドが副制御装置42に対して送信される。S27において、変動時間情報に基づいて図外のカウンタが作動され、計時処理を開始し、S28において乱数記憶部52bの記憶領域の乱数を1減算し、一回の処理が終了する。
【0063】
3.先読み用遊技状態設定処理について
図9は、先読み用遊技状態設定手段54による先読み用遊技状態設定処理の流れを示すフローチャートである。以下、各処理の流れを説明する。
S31において、抽選結果が「当り」であるかの判定が行われる。即ち、先読み用抽選結果判定手段53により抽出された抽選結果情報に基づいて抽選結果が判定される。抽選結果が「当り」である場合、判定はYESとなり、S32に移行し、抽選結果が「外れ」である場合、遊技状態は移行しないため判定はNOとなる。
S32において、S31により判定された「当り」の種別が、現在の遊技状態から他の遊技状態へ変更させるものであるかが判定される。遊技状態を変更させる「当り」である場合には判定はYESとなりS33へ移行し、遊技状態を変更させる「当り」ではない場合には判定はNOとなる。
S33において、「当り」の種別が確率状態を変更させる「当り」であるかが判定される。判定がYESであればS34へ移行し、判定がNOであればS35へ移行する。S34において、ビットデータの更新が行われる。即ち、確率状態記憶部54aの有する複数の領域のうち、前記「当り」と対応する遊技状態を記憶する領域よりも後の領域のビットデータを「0」から「1」又は「1」から「0」に更新する。
S35においては、「当り」の種別が時短状態を変更させる「当り」であるかが判定される。判定がYESであればS36へ移行し、判定がNOであればS37へ移行する。
S36において、ビットデータの更新が行われる。即ち、時短状態記憶部54bの有する複数の領域のうち、前記「当り」と対応する遊技状態を記憶する領域よりも後の領域のビットデータを「0」から「1」又は「1」から「0」に更新する。
S37においては、先読み変動パターンコマンドが送信されたかが判定される。判定がYESであればS38へ移行し、判定がNOであれば判定を繰り返し行い、先読み変動パターンコマンドが送信されたことに基づいてS38へ移行する。
S38においては、1ビットシフト(左シフト)を行い、一回の処理を終了する。
【0064】
4.変動表示コマンド送信処理について
図10は、副制御装置42による変動表示コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。以下、各処理の流れを説明する。
S41において主制御装置41から送信される識別情報変動開始コマンドを受信したかが判定される。判定がYESの場合にはS42へ移行し、判定がNOの場合には処理をリターンする。
S42において、識別情報変動開始コマンドに含まれる変動時間情報に基づいて、変動時間と対応する表示パターンテーブル73aを参照する。
S43において、識別情報変動開始コマンドに含まれる抽選結果情報に基づいて、抽選結果と対応する変動パターン情報及び停止パターン情報を抽出する。
S44において、S43において抽出した変動パターン情報及び停止パターン情報を含む変動表示コマンドを特別図柄表示装置16に送信し、一回の処理を終了する。
【0065】
以上説明したとおり、本発明に係るパチンコ機によれば、先読み用遊技状態設定手段54を備えたことにより、先読み変動パターンコマンドの生成の際に複数のテーブルのうちから参照される抽選結果テーブル53aと、識別情報変動開始コマンドの生成の際に複数のテーブルのうちから参照される抽選結果テーブル53aとを同一のテーブルとすることが可能となる。
よって、主制御装置41が先読み変動パターンコマンドを送信した後に、現在の遊技状態から他の遊技状態への変更を実行させる「大当り」が発生し、遊技状態が変更した場合であっても、既に送信された先読み変動パターンコマンドは、予め遊技状態変更後に参照されるべき抽選結果テーブル53aを参照して生成されているため、遊技状態変更後に生成される識別情報変動開始コマンドに含まれる抽選結果情報及び変動時間情報との間に不一致が生じないという極めて顕著な効果を奏する。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に多様な変更、改良を加え得ることは当業者にとって明らかであり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。