【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本発明は、身体部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、第2のパネルの伸縮性材料は、第1のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有し、使用時、伸縮性材料の第1のパネルは、第2のパネルよりも大きい更に強力な筋肉群を支持するようになっている圧迫衣服を提供する。
身体部分は、腕、脚、胴体上部、胴体下部、または、これらの組合せであってもよい。例えば、本発明の圧迫衣服は、単一衣服としてのあるいはスーツとして着用されるようになっている衣服の組合せをなす、ショーツ、長いタイツまたはトップを構成してもよい。
本発明の圧迫衣服は、2つ以上の異なるエラストマー材料から形成されてもよい。
本発明の圧迫衣服を形成する材料は、多種多様な織物または異なる織物から選択されてもよい。しかしながら、本発明の圧迫衣服は、しばしば40〜60あるいは最大で500デニール材料のナイロンまたはポリエステルまたは同様の伸縮材料と組み合わされる、エラスタンまたは同様の伸縮材料の織物のパネルから形成されるのが好ましい。織物は特定の伸びおよび回復を有することが好ましい。織物の縦(warp)に沿う伸びが120%および225%の間であり、その回復のための数(number for recovery)が5%および40%の間であることが一般に好ましい。
本発明の第1の態様によれば、第2のパネルの伸縮性材料は、第1のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有する。第2のパネルの特性が任意の所望の方法で達成されてもよい。例えば、第2のパネルは、第1のパネルの材料と比べて低いデニールを有しあるいは大きい弾力性を有する材料から形成されてもよい。
本発明の圧迫衣服の第1のパネルは、5mmHgおよび25mmHgの間の圧縮値をもたらすことができるのが好ましい。本発明の圧迫衣服は治療のために使用され得ることも想定され、その場合は、圧縮レベルは更に大きくてもよく、例えば最大で40mmHgである。本発明の圧迫衣服の殆どの実施形態において、圧縮は、活動的なウエアにおいては最小で5mmHgの、25mmHg未満の低いグレードであり、活動的でないあるいはスポーツでない使用においては最小で8mmHgの、30mmHg未満の低いグレードである。
【0006】
第1および/または第2のパネルの材料は、使用時にそれが身体からの水分を引き込むように「ウィッキング(wicking)」作用を有することが好ましい。そのような材料は知られている。
本発明の第1の態様におけるパネルは任意の適した形状をなしてもよい。
本発明の第1の態様は、筋肉構造の配置のパターンを表わすように圧迫衣服にパネルを設けるという概念に基づいている。この概念は、大きい強力な筋肉群が最も筋繊維を有するがそれらの収縮度合が小さいことを考慮に入れる。これらの筋肉群の例は、臀部(大臀筋)、大腿四頭筋(大腿部の前部に位置する大腿四頭筋)、ハム(大腿部の背部に位置するハムストリング筋)、ふくらはぎ(下脚の背部に位置する)、トラップ(胴の上側背部に位置する僧帽筋)、ラット(広背筋、胴の中間側の背部)および、腹直筋(前腹部)である。好ましい実施形態では、第1のパネルがそのような筋肉群の筋腹部を完全に覆う。この方法では、筋腹部の血管の締めつけが減少され、そしてより多くの血液供給を伴う筋肉群上にわたって更に効果的な圧縮が行なわれると考えられる。
より大きな収縮度合を有しかつ通常は更に長い腱を有する筋肉群の例はアキレス腱である。このアキレス腱は、活動中に増大する偏心荷重に晒され得る(伸びる)。本発明の第1の態様の第2のパネルはこのタイプの筋肉群を支持でき、該パネルは良好な回復を伴って最小の力で伸びることができる
【0007】
縫い目は、エラストマー材料のパネルを接合する平縫いされた縫い目であることが好ましい。しかしながら、縫い目はこれに限定されない。例えば、縫い目は、圧迫衣服の周囲領域よりも厚さの大きいラインまたは隆線であってもよい。したがって、縫い目は、接着、縫い合わせ、または、任意の他の手段によって形成されてもよい。
縫い合わせは、4本針または6本針プロセスを使用する平縫いであることが好ましい。
特に、本発明の圧迫衣服の第1のパネルの場合、縫い目または縫い目線は、筋肉の原点または挿入点のいずれかに追従するとともに、血液供給が低い骨ばっている隆起または筋膜線に沿って進行することが好ましい。上半身衣服を提供する一実施形態では、縫い目が外腹斜筋(外側腹部)の線維方向に追従することが好ましい。これにより、圧迫衣服のパネルは、投げる動作および走る動作中に、横断面またはねじれ、体幹機能の動きを助けることができる。
本発明の上半身衣服の適した実施形態が本発明に係る下半身衣服の適した実施形態と共に着用される場合には、動的な動作中に勾配圧縮を伴う同時機能メカニズムがもたらされよう。
【0008】
第2の態様において、本発明は、着用者の下半身部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して第1の縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを含み、第2のパネルが第2の縫い目によって第3のパネルまたは第1のパネルに接合され、第2のパネルが使用時に着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置するようになっている、圧迫衣服を提供する。
1つの実施形態において、第2のパネルは、使用時に着用者の大腿筋膜張筋から腸脛靭帯に沿って膝へ向けてほぼ延びるようになっている。
本発明の第1および第2の態様が組み合わされ、また、使用時に膝上にわたって位置するようになっている更に弾力性が高い第4のパネルに対して第2のパネルが接合されることが特に好ましい。特に、第2のパネルが第1および第3のパネルよりも大きい弾力性を有しかつ第4のパネルが更に大きい弾力性を有する場合、本発明の第2の態様の下半身衣服は、腸脛靭帯および大腿筋膜張筋上にわたる過剰な圧力を減らすと同時に、所望の度合の膝屈曲を許容するように形成できる。
【0009】
第3の態様において、本発明は、着用者の下肢である身体部分を纏うための圧迫衣服であって、使用時に少なくとも部分的に着用者の下腿三頭筋を分割するようになっている縫い目により伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有する圧迫衣服を提供する。
好ましくは、本発明の第3の態様において、縫い目は、アキレスパネルの上部を筋腱連結部に取り付けている側部及び内側腓腹筋を分割する。
本発明の第3の態様は、ランニング動作およびジャンピング動作では下肢のふくらはぎの筋肉が力強く収縮することが求められるという概念に基づいている。所定時間にわたる過度の収縮中にふくらはぎの筋肉が疲れてくるあるいは機能的に弱い場合には、ランニング中に1本の脚を地面に着地させるなどの伸張性収縮により、これらの筋肉が裂ける可能性がある。本発明の第3の態様は、実質的に、腓腹筋腹部の個々の特定の支持および圧縮を許容できるデュアルパネルシステムを与えることができる。これは、下腿三頭筋部位の局部的な疲れを減らすとともに、ふくらはぎの筋肉の負傷を制限する。
【0010】
本発明の第3の態様の1つの実施形態において、圧迫衣服は、長いソックスまたはストッキングの形状をなす。
特に好ましい実施形態では、本発明の第1、第2、および、第3の態様が組み合わされ、それにより、3つの全ての態様の特徴を有するロングタイツまたはショートタイツなどの下半身圧迫衣服がもたらされる。この特に好ましい実施形態において、圧迫衣服は、本発明の第1の態様に係る第2のパネルを表わすアキレスパネルを含む。
当業者であれば分かるように、本発明の圧迫衣服は、適した態様において、ウエストおよび大腿部の後側部パネルにおいて圧縮性織物と高伸縮性/回復織物との組合せを利用できる。これは、斜紋筋、大臀筋、腸脛靭帯、および、大腿筋膜張筋の相補的機能メカニズムをもたらすのに役立つ。
圧迫衣服が下半身衣服であることに関する好ましい実施形態において、ウエストバンドは、それが圧迫衣服の後部に弾性挿入体を含む必要がないようになっている選択された伸縮および回復特性を有する伸縮性材料のパネルから形成されるのが好ましい。この実施形態では、圧迫衣服の前部に弾性挿入体を有することが随意的である。言うまでもなく、これは、弾性挿入体がウエストを取り囲むか、または、弾性挿入体がウエストバンドの一部だけに含まれて、弾性挿入体が圧迫衣服の前部ではなく背部で使用される従来技術の構成と異なる。本発明の下半身衣服に関して説明したタイプの構成は、垂直安定性を与えることができる。
前述したウエストバンドの実施形態は、本発明の第4の態様を表わすが、本発明の第1、第2、および、第3の態様のいずれかあるいは全てと組み合わせて使用されるのが好ましい。
【0011】
第5の態様において、本発明は、着用者の上半身部分を纏うための圧迫衣服であって、縫い目によって伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、縫い目は、使用時に着用者の外腹斜筋の線維方向に沿って位置するようになっている、圧迫衣服を提供する。
1つの好ましい実施形態において、本発明の第5の態様の上半身圧迫衣服は、第1および第2のパネルを接合して、圧迫衣服の前部で着用者の横隔膜領域よりも上側に位置する縫い目を有する。圧迫衣服の後部で、縫い目は、着用者の胴の下部に対する更に大きい柔軟性を許容しつつ肩甲骨筋に対して圧縮を与えるように上方湾曲状態に形成されることが更に好ましい。
伸縮およびねじれを許容するために着用者の背骨の領域で上半身衣服の後部に弾力性が更に高い第3のパネルが挿入されることが特に好ましい。
随意的に、本発明の圧迫衣服は、その態様のいずれかにおいて、通気を助けあるいは体温を分散させる目的で1つ以上のメッシュ挿入体を含んでもよい。例えば下半身衣服の場合には、メッシュ挿入体が上背におけるウエストバンドの下側に位置するように設けられてもよい。第2のメッシュ挿入体が股領域に存在してもよいことが更なる選択肢である。
例えば上半身衣服の場合には、メッシュ挿入体が脇の下領域または襟足または任意の他の望ましい位置に設けられてもよい。
【0012】
また、本発明は、本発明の任意の態様の圧迫衣服を製造する方法も提供し、該方法は、伸縮性材料の第1のパネルと伸縮性材料の第2のパネルとを設けるステップと、第1のパネルを縫い目によって第2のパネルに接合するステップとを含む。
当業者であれば明らかなように、本発明の第1の態様に関する前述した好ましい実施形態の多くが本発明の他の態様にも適用できる。
本発明の理解に役立つように、ここで、添付図面における特定の非限定的な実施形態を参照する。