(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964401
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/02 20060101AFI20160721BHJP
G11C 16/06 20060101ALI20160721BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G11C17/00 613
G11C17/00 634B
G11C17/00 635
G11C17/00 622E
G11C17/00 641
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-247934(P2014-247934)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-110672(P2016-110672A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】水藤 克年
【審査官】
堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−172630(JP,A)
【文献】
特開2009−64516(JP,A)
【文献】
特開2010−218604(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0133150(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0067236(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0232233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/02
G11C 16/04
G11C 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたビット線に電圧をプリチャージするとともに、選択ワード線にメモリセルのしきい値を判定するための第1の電圧を印加し、かつ非選択ワード線にメモリセルの状態にかかわらずメモリセルを導通させる第2の電圧を印加し、プリチャージされた選択ビット線をソース線に電気的に結合することで選択ビット線を放電させた後、選択ビット線の電圧を感知する、NAND型のフラッシュメモリの読出し方法であって、
プリチャージ期間中に、選択ワード線に前記第1の電圧を印加し、非選択ワード線に前記第2の電圧を印加し、NANDストリングのビット線側トランジスタをオンし、前記選択ビット線にプリチャージ電圧を印加するステップと、
前記選択ビット線のプリチャージ後、前記ソース線、選択されたメモリセルが形成されたPウエルおよび選択ビット線に隣接する非選択ビット線に正の電圧を印加し、前記選択ビット線の電圧を容量結合により昇圧させるステップと、
NANDストリングのソース線側トランジスタをオンし、選択されたメモリセルの状態に応じて前記選択ビット線の放電を開始させるステップと、
前記選択ビット線の放電の開始後に前記正の電圧の印加を停止するステップと、
前記正の電圧の印加の停止後に前記ソース線側トランジスタをオフさせることで前記選択ビット線の放電を終了させるステップとを含む、読出し方法。
【請求項2】
前記正の電圧は、読み出すべきメモリセルの負のしきい値に応じて設定される、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項3】
前記正の電圧を印加するステップは、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線を短絡し、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線に同時に正の電圧を印加する、請求項1に記載の読出し方法。
【請求項4】
前記正の電圧を印加するステップは、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線にそれぞれ並列に接続された複数のトランジスタを導通させ、当該複数のトランジスタの一方の電極に前記正の電圧を印加する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項5】
前記選択ビット線が奇数ビット線であるとき、非選択ビット線が偶数ビット線であり、前記選択ビット線が偶数ビット線であるとき、非選択ビット線が奇数ビット線である、請求項1ないし4いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項6】
前記読出し方法は、消去時の負のしきい値分布の下限値をベリファイするために実行される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の読出し方法。
【請求項7】
前記読出し方法は、消去時の負のしきい値分布の上限値をベリファイした後に実行される、請求項6に記載の読出し方法。
【請求項8】
複数のNANDストリングが形成されたメモリアレイを有するNAND型のフラッシュメモリであって、
選択されたビット線に読出し電圧をプリチャージするとともに、選択ワード線にメモリセルのしきい値を判定するための第1の電圧を印加し、かつ非選択ワード線にメモリセルの状態にかかわらずメモリセルを導通させる第2の電圧を印加し、プリチャージされた選択ビット線をソース線に電気的に結合することで選択ビット線を放電させた後、選択ビット線の電圧を感知する、読出し手段と、
前記読出し手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、プリチャージ期間中に、選択ワード線に前記第1の電圧を印加し、非選択ワード線に前記第2の電圧を印加し、NANDストリングのビット線側トランジスタをオンし、前記選択ビット線にプリチャージ電圧を印加し、
前記選択ビット線のプリチャージ後、前記ソース線、選択されたメモリセルが形成されたPウエルおよび選択ビット線に隣接する非選択ビット線に正の電圧を印加し、前記選択ビット線の電圧を容量結合により昇圧させ、
NANDストリングのソース線側トランジスタをオンし、選択されたメモリセルの状態に応じて前記選択ビット線の放電を開始させ、
前記選択ビット線の放電の開始後に前記正の電圧の印加を停止し、
前記正の電圧の印加の停止後に前記ソース線側トランジスタをオフさせることで前記選択ビット線の放電を終了させる、フラッシュメモリ。
【請求項9】
前記正の電圧は、読み出すべきメモリセルの負のしきい値に応じて設定される、請求項8に記載のフラッシュメモリ。
【請求項10】
前記制御手段は、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線を短絡し、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線に同時に正の電圧を印加する、請求項8または9に記載のフラッシュメモリ。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線にそれぞれ並列に接続された複数のトランジスタを含み、前記制御手段は、前記複数のトランジスタのゲートに共通に接続された選択信号を介して前記複数のトランジスタを同時に導通させ、かつ、前記複数のトランジスタの一方の電極に前記正の電圧を印加する、請求項8ないし10いずれか1つに記載のフラッシュメモリ。
【請求項12】
前記選択ビット線が奇数ビット線であるとき、非選択ビット線が偶数ビット線であり、前記選択ビット線が偶数ビット線であるとき、非選択ビット線が奇数ビット線である、請求項8ないし11いずれか1つに記載のフラッシュメモリ。
【請求項13】
前記読出し手段は、消去ベリファイ時に動作する、請求項8ないし12いずれか1つに記載のフラッシュメモリ。
【請求項14】
メモリセルは、多ビットデータを記憶可能であり、メモリセルに記憶される少なくとも第1のデータの第1のしきい値および第2のデータの第2のしきい値は、負の電圧に設定される、請求項8ないし13いずれか1つに記載のフラッシュメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NAND型のフラッシュメモリのような不揮発性半導体記憶装置に関し、特に、メモリセルの負のしきい値電圧の読出し方式に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリのページ読出しは、偶数ビット線からなるページ、または奇数ビット線からなるページの読出しが交互に行われる。偶数ページが選択されているとき、偶数ページがセンスアンプに接続されて偶数ページの読出しが行われ、その間、非選択の奇数ページはセンスアンプから切り離され、かつ奇数ビット線には、グランドレベル等のシールド電位が供給され、隣接するビット線間の容量結合によるノイズを低減している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−176177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NAND型のフラッシュメモリにおいて、メモリセルは、1ビットデータあるいは多ビットデータを記憶することが可能である。
図1は、1ビットデータを記憶するメモリセルの典型的なしきい値分布である。同図に示すように、電荷が消去されたデータ「1」のメモリセルのしきい値分布は、0Vよりも小さく、電荷がプログラムされたデータ「0」のメモリセルのしきい値分布は、0Vよりも大きい。それ故、読出し動作では、例えば、選択ワード線に0Vを印加したときメモリセルが導通すれば、データ「1」が感知され、メモリセルが非導通であれば、データ「0」が感知される。
【0005】
図1に示すような、データ「1」、データ「0」のしきい値分布幅は狭い方が好ましい。さらにデータ「1」の負のしきい値分布幅の下限値Minと、データ「0」の正のしきい値分布幅の上限値Maxとの最大電圧差Dも小さいことが望ましい。最大電圧差Dが大きくなり過ぎると、次のような弊害がある。下限値Minのしきい値をもつメモリセルと上限値Maxのしきい値をもつメモリセルとが隣接した場合、一方のメモリセルのフローティングゲートの電荷が他方のメモリセルのフローティングゲートに容量的に干渉し、正確な読出しを行えないおそれがある。従って、最大電圧差Dを小さくすることが望ましく、そのための1つの方法として、負のしきい値分布の下限値Minが一定以下にならないような制御が考えられる。このような制御を行う場合、例えば、消去ベリファイ等において、メモリセルの負のしきい値の読出しを行わなければならず、それには、所望の大きさの負の電圧が必要となる。
【0006】
選択ワード線に負の電圧を印加するためには、通常、負の電圧発生回路が必要になる。
図2(A)は、負の電圧発生回路に用いられるトランジスタの一例である。負の電圧発生部10は、負の電圧を生成し、NMOSトランジスタ12は、選択ワード線に負の電圧を印加する。負の電圧は、例えば、−1Vである。この場合、NMOSトランジスタがP型の半導体基板14(基板の電圧=0V)内に形成されるならば、P型の基板14とソース/ドレイン間に順方向バイアスが形成されてしまい、このような構成のNMOSトランジスタ12を使用することはできない。そこで、
図2(B)に示すように、P型の基板14内にNウエル16を形成し、Nウエル16内にPウエル18を形成し、Pウエル18内にNMOSトランジスタ12することで、Pウエル18とNウエル16間に逆バイアスを介在させなければならない。このようなトリプルウエル構造を基板内に形成することは、負の電圧発生回路のレイアウト面積を大きくさせ、結果的に、チップの小型化、高集積化の障害になり得る。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、負の電圧発生回路を用いることなく、メモリセルの負のしきい値を読み出すことができるフラッシュメモリを提供することを目的とする。
さらに本発明は、負のしきい値分布幅の下限値を制御可能なフラッシュメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るNAND型のフラッシュメモリの読出し方法は、選択されたビット線に電圧をプリチャージするとともに、選択ワード線にメモリセルのしきい値を判定するための電圧を印加し、かつ非選択ワード線にメモリセルの状態にかかわらずメモリセルを導通させる電圧を印加し、プリチャージされた選択ビット線をソース線に電気的に結合することで選択ビット線を放電させた後、選択ビット線の電圧を感知するものであって、前記選択ビット線のプリチャージ後、前記ソース線、選択されたメモリセルが形成されたPウエルおよび選択ビット線に隣接する非選択ビット線に正の電圧を一定期間印加するステップを含む。
【0009】
好ましくは前記選択ビット線の放電は、前記正の電圧が印加された後に開始され、前記正の電圧の印加は、選択ビット線の電圧を感知する前に停止される。好ましくは前記正の電圧は、読み出すべきメモリセルの負のしきい値に応じて設定される。好ましくは前記正の電圧を印加するステップは、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線を短絡し、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線に同時に正の電圧を印加する。好ましくは前記正の電圧を印加するステップは、前記ソース線、前記Pウエルおよび前記非選択ビット線にそれぞれ並列に接続された複数のトランジスタを導通させ、当該複数のトランジスタの一方の電極に前記正の電圧を印加する。好ましくは前記選択ビット線が奇数ビット線であるとき、非選択ビット線が偶数ビット線であり、前記選択ビット線が偶数ビット線であるとき、非選択ビット線が奇数ビット線である。好ましくは前記読出し方法は、消去時の負のしきい値分布の下限値をベリファイするために実行される。好ましくは前記読出し方法は、消去時の負のしきい値分布の上限値をベリファイした後に実行される。
【0010】
本発明に係るNAND型のフラッシュメモリは、複数のNANDストリングが形成されたメモリアレイを有するものであって、選択されたビット線に読出し電圧をプリチャージするとともに、選択ワード線にメモリセルのしきい値を判定するための電圧を印加し、かつ非選択ワード線にメモリセルの状態にかかわらずメモリセルを導通させる電圧を印加し、プリチャージされた選択ビット線をソース線に電気的に結合することで選択ビット線を放電させた後、選択ビット線の電圧を感知する、読出し手段と、前記読出し手段が実行されるとき、前記選択ビット線のプリチャージ後、前記ソース線、選択されたメモリセルが形成されたPウエルおよび選択ビット線に隣接する非選択ビット線に正の電圧を一定期間印加する印加手段とを有する。
【0011】
好ましくは前記読出し段は、消去ベリファイ時に実行される。好ましくはメモリセルは、多ビットデータを記憶可能であり、メモリセルに記憶される少なくとも第1のデータの第1のしきい値および第2のデータの第2のしきい値は、負の電圧に設定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読出し動作時の選択ビット線へのプリチャージ後に、ソース線、メモリセルが形成されるPウエルおよび隣接する非選択ビット線に正の電圧を印加するようにしたので、負の電圧発生回路やトリプルウエル構造を用いることなく、選択メモリセルの負のしきい値電圧の読み出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】NAND型フラッシュメモリのしきい値分布を示す図である。
【
図2】負の電圧発生回路の問題点を説明する図であり、
図2(A)は、ツインウエル構造のNMOSトランジスタの断面図、
図2(B)は、トリプルウエル構造のNMOSトランジスタの断面図である。
【
図3】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの一構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係るNANDストリングの構成を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施例に係るビット線選択回路の構成を示す回路図である。
【
図6】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの動作時に各部に印加される電圧の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの読出し動作時の各部の波形を示す図である。
【
図8】本実施例によるΔVの電圧を印加したときのメモリセルのゲート電圧と分布数との関係を示すグラフである。
【
図9】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの消去動作のフローを示す図である。
【
図10】本発明の実施例に係る多値フラッシュメモリのしきい値の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は、分かり易くするために各部を強調して示してあり、実際のデバイスのスケールとは同一ではないことに留意すべきである。
【0015】
本発明の実施例に係るNAND型のフラッシュメモリ100の構成を
図4に示す。同図に示すように、本実施例のフラッシュメモリ100は、行列状に配列された複数のメモリセルが形成されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され入出力データを保持する入出力バッファ120と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力されるデータを保持するデータレジスタ140と、入出力バッファ120からのコマンドデータおよび外部制御信号(図示されないチップイネーブルやアドレスラッチイネーブル等)に基づき各部を制御する制御信号C1、C2、C3、C4等を生成するコントローラ150と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axをデコードしデコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路160と、ビット線を介して読み出されたデータを保持したり、ビット線を介してプログラムデータ等を保持するページバッファ/センス回路170と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayをデコードし当該デコード結果に基づきビット線の選択等を行う列選択回路180と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な電圧(プログラム電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出し電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。なお、
図3に示すフラッシュメモリの構成は、例示であって、本発明は、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。
【0016】
メモリアレイ110は、列方向に配置された複数のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m)を有する。ブロックの一方の端部には、ページバッファ/センス回路170が配置される。但し、ページバッファ/センス回路170は、ブロックの他方の端部、あるいはの両側の端部に配置されるものであってもよい。
【0017】
1つのメモリブロックには、
図4に示すように、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングユニットNUが複数形成され、1つのメモリブロック内にn+1個のストリングユニットNUが行方向に配列されている。セルユニットNUは、直列に接続された複数のメモリセルMCi(i=0、1、・・・、31)と、一方の端部であるメモリセルMC31のドレイン側に接続されたビット線側選択トランジスタTDと、他方の端部であるメモリセルMC0のソース側に接続されたソース線側選択トランジスタTSとを含む。ビット線側選択トランジスタTDのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続される。また、偶数番目のソース線側選択トランジスタTSのソースは、共通の偶数ソース線SL_eに接続され、奇数番目のソース線側選択トランジスタTSのソースは、共通の奇数ソース線SL_oに接続される。
【0018】
メモリセルMCiのコントロールゲートは、ワード線WLiに接続され、ビット線側選択トランジスタTDおよびソース線側選択トランジスタTSのゲートは、ワード線WLと並行する選択ゲート線SGD、SGSに接続される。ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づきメモリブロックを選択するとき、当該メモリブロックの選択ゲート信号SGS、SGDを介して選択トランジスタTD、TSを選択的に駆動する。
【0019】
メモリセルは、Pウエル内に形成されたN型の拡散領域であるソース/ドレインと、ソース/ドレイン間のチャンネル上に形成されたトンネル酸化膜と、トンネル酸化膜上に形成されたフローティングゲート(電荷蓄積層)と、フローティングゲート上に誘電体膜を介して形成されたコントロールゲートとを含むMOS構造を有する。フローティングゲートに電荷が蓄積されていないとき、つまりデータ「1」が書込まれているとき、しきい値は負状態にあり、メモリセルは、ノーマリオンである。フローティングゲートに電子が蓄積されたとき、つまりデータ「0」が書込まれているとき、しきい値は正にシフトし、メモリセルは、ノーマリオフである。
【0020】
セルユニットNUに接続されたビット線GBL0、GBL1、・・・、GBLnは、後述するビット線選択回路を介してページバッファ/センス回路170に接続される。ビット線選択回路は、読出し時やプログラム時に、偶数ビット線または奇数ビット線を選択し、選択された偶数ビット線または奇数ビット線をページバッファ/センス回路170に接続する。
【0021】
図5は、本実施例のビットライン選択回路の具体的な構成例である。ここでは、一対のビット線として、偶数ビット線GBL_eと奇数ビット線GBL_oを例示している。ページバッファ/センス回路170のセンスアンプ172は、一対の偶数ビット線GBL_eおよび奇数ビット線GBL_oで共有され、1つのワード線に接続された偶数ビット線および奇数ビット線がそれぞれ1ページを構成するならば、ページバッファ/センス回路170は、1ページ分のセンス回路172とページバッファとを含む。
【0022】
センスアンプ172は、読出し時に、偶数ビット線GBL_eまたは奇数ビット線GBL_oの電位と基準電位とを比較する電圧感知型のセンス回路から構成され得る。センスアンプ172には、図示しないラッチ回路が接続され、ラッチ回路は、センスアンプ172で読み出されたデータ、あるいはプログラムするデータを保持する。ラッチ回路は、転送トランジスタ等を介して入出力線に接続される。
【0023】
ビット線選択回路200は、偶数ビット線GBL_eに直列に接続された偶数選択トランジスタSEL_eと、奇数ビット線GBL_oに直列に接続された奇数選択トランジスタSEL_oと、偶数ビット線GBL_eおよび奇数ビット線GBL_oの共通ノードN1とセンスアンプ172との間に接続されたビット線選択トランジスタBLSと、偶数ビット線GBL_eと仮想電位VIRPWRとの間に接続された偶数バイアス選択トランジスタYSEL_eと、奇数ビット線GBL_oと仮想電位VPREとの間に接続された奇数バイアス選択トランジスタYSEL_oとを有する。
【0024】
偶数選択トランジスタSEL_e、奇数選択トランジスタSEL_o、偶数バイアス選択トランジスタYSEL_e、奇数バイアス選択トランジスタYSEL_o、ならびにビット線選択トランジスタBLSは、N型のMOSトランジスタであり、これら選択トランジスタのゲートの各々には、コントローラ150からの制御信号が印加され、トランジスタは、印加された制御信号に応じて、読出し、プログラム、消去時に選択的に駆動される。また、仮想電位VIRPWRには、コントローラ150の制御下において、内部電圧発生回路190から動作状態に応じた種々のバイアス電圧が供給される。
【0025】
フラッシュメモリでは、読出しやプログラムは、ページ単位で行われ、消去は、ブロック単位で行われる。例えば、ページ読出しにおいて、偶数ビット線GBL_eが選択されるとき、奇数ビット線GBL_oが非選択とされ、それ故、偶数選択トランジスタSEL_e、ビット線選択トランジスタBLSがオンし、奇数選択トランジスタSEL_oがオフし、偶数ビット線GBL_eがセンスアンプ172に電気的に結合される。また、偶数バイアス選択トランジスタYSEL_eがオフし、奇数バイアス選択トランジスタYSEL_oがオンし、奇数ビット線GBL_oは、仮想電位VIRPWRから供給される電圧に結合される。
【0026】
他方、奇数ビット線GBL_oが選択されるとき、偶数ビット線GBL_eが非選択とされ、それ故、奇数選択トランジスタSEL_o、ビット線選択トランジスタBLSがオンし、偶数選択トランジスタSEL_eがオフし、奇数ビット線GBL_oがセンスアンプ172に電気的に結合される。また、偶数バイアス選択トランジスタYSEL_eがオンし、奇数バイアス選択トランジスタYSEL_oがオフし、偶数ビット線GBL_eは、仮想電位VIRPWRから供給される電圧に結合される。
【0027】
上記したように、NANDストリングのセルユニットNUは、Pウエル210内に形成される。1つのPウエル210は、1つのブロックを構成する。偶数番目のセルユニットNUのソース線側選択トランジスタTSは、共通の偶数ソース線SL_eに接続され、奇数番目のセルユニットNUのソース線側選択トランジスタTSは、共通の奇数ソース線SL_oに接続される。
【0028】
本実施例はさらに、正のバイアス電圧として+ΔVを、Pウエル210、偶数ソース線SL_e/奇数ソース線SL_o、および非選択ビット線に供給するΔV供給部220を備えている。ΔV供給部220は、偶数ソース線SL_e/奇数ソース線SL_o、および非選択ビット線を短絡し、そこに正のバイアス電圧を供給するように構成される。例えば、ΔV供給部220は、Pウエル210に結合されたトランジスタM1と、偶数ソース線SL_eに結合されたトランジスタM2と、奇数ソース線SL_oに結合されたトランジスタM3と、仮想電位VIRPWRに結合されたトランジスタM4とを含む。トランジスタM1〜M4の各ゲートには、共通の選択ゲート線φが接続され、トランジスタM1〜M4のドレインには、+ΔVが供給される。ΔV供給部220は、後述するように、選択されたメモリセルの負のしきい値の読出しを行うとき、選択ゲート線φにより一定期間、トランジスタM1〜M4を導通させ、Pウエル210、偶数ソース線SL_e/奇数ソース線SL_o、および仮想電位VIRPWRにΔVを供給する。
【0029】
図6は、フラッシュメモリの各動作時に印加されるバイアス電圧の一例を示したテーブルである。読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択されたワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタTD、ソース線側選択トランジスタTSをオンする。プログラム(書込み)動作では、選択されたワード線に高電圧のプログラム電圧Vprog(15〜20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタTDをオンさせ、ソース線側選択トランジスタTSをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線GBLに供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0030】
次に、本実施例に係るフラッシュメモリの読出し動作の詳細について説明する。コントローラ150は、読出しコマンドを受け取ったとき、あるいは消去ベリファイを行うとき等において、読出し動作を実行する。本例では、メモリセルの負のしきい値を検証するための読出し、例えば、データ「1」の負のしきい値分布の下限値Minを超えているか否か等を検証するための読出しについて説明する。また、ページ読出し動作は、偶数ビット線または奇数ビット線を交互に読み出す方式を用いる。
【0031】
図7は、本実施例のフラッシュメモリの読出し動作時の各部の波形を示している。時刻T1−T2は、選択ビット線のプリチャージ期間である。ここでは、選択ビット線が偶数ビット線GBL_eであるとし、それ故、奇数ビット線GBL_oが非選択ビット線となる。プリチャージ期間中、ビット線選択回路200のビット線選択トランジスタBLSがオン、偶数選択トランジスタSEL_eがオン、奇数選択トランジスタSEL_oがオフ、偶数バイアス選択トランジスタYSEL_eがオフし、奇数バイアス選択トランジスタYSEL_oがオンする。また、選択ゲート線SGDには、例えば、4.5Vが印加され、ビット線側選択トランジスタTDがオンされ、選択ゲート線SGSは、0Vのままであり、ソース線側選択トランジスタTSがオフである。センスアンプ172は、一定のプリチャージ電圧を供給し、当該プリチャージ電圧は、ビット線選択トランジスタBLSを介して偶数ビット線GBL_eにプリチャージされる。具体的には、期間Tpにおいて、偶数ビット線GBL_eに電荷がプリチャージされる。他方、仮想電位VIRPWRには、0Vが供給され、奇数ビット線GBL_oがグランドレベルに結合される。
【0032】
時刻T2において、ビット線選択トランジスタBLSがオフされ、偶数ビット線GBL_eへのプリチャージが終了する。また、時刻T2において、ΔV供給部220は、選択ゲート線φによりトランジスタM1〜M4を導通させ、Pウエル210、偶数ソース線SL_e/奇数ソース線SL_o、および非選択ビット線である奇数ビット線GBL_oに、+ΔVを供給する。このΔV電圧は、検証すべきメモリセルの負のしきい値に応じて設定される。Pウエル210および偶数ソース線SL_eにΔVが供給されたとき、ソース線側選択トランジスタTSのn型のソースとPウエル210とは同電位となり、そこに順方向バイアスは形成されない。また、Pウエル210へΔVが印加されると、偶数ビット線GBL_eの電位は、Pウエルとの容量結合により上昇され、さらに、ΔVが印加された隣接する奇数ビット線GBL_oとの容量結合によっても昇圧される。その結果、偶数ビット線GBL_eの電圧は、プリチャージ電圧+ΔV程度にまで昇圧される。偶数ビット線GBL_eが昇圧されたことに伴い、選択ゲート線SGDも4.5V+ΔVに昇圧される。
【0033】
次に、時刻T3において、ソース線側選択トランジスタTSの選択ゲート線SGSに、例えば4.5V+ΔVが印加され、ソース線側選択トランジスタTSがオンされる。このとき、選択メモリセルの各部のバイアス電圧は、次のようになる。ドレイン電圧=プリチャージ電圧+ΔV、ソース=ΔV、バックゲート(Pウエル)=ΔV、コントロールゲート=0V。このようなバイアス電圧は、ドレイン=プリチャージ電圧、ソース=0V、バックゲート(Pウエル)=0V、コントロールゲート=−ΔVを印加したのと、実質的に同じことになる。言い換えれば、選択メモリセルの負のしきい値が−ΔVよりも小さければ、選択メモリセルは導通し、負のしきい値が−ΔVよりも大きければ、選択メモリセルは非道通であり、あたかも、−ΔVで選択メモリセルの負のしきい値の状態を読出したことになる。
【0034】
選択メモリセルが導通するならば、偶数ビット線GBL_eの電位が偶数ソース線SL_eに放電され、選択メモリセルが導通しなければ、偶数ビット線GBL_eの電位が放電されず、その電位が維持される。時刻T4において、偶数ソース線SL_eに放電された偶数ビット線GBL_eと、放電されない偶数ビット線GBL_eとの間の電位差が十分に拡大される。この時刻T4において、ΔV供給部220によるΔVの供給が停止され、トランジスタM1〜M4がオフされる。その結果、Pウエル210、偶数ソース線SL_e/奇数ソース線SL_o、仮想電位VIRPWRは、図示しない回路によって0Vに結合される。時刻T4の直後の時刻T5において、ソース線側選択トランジスタTSがオフされ、偶数ビット線GBL_eの放電が終了される。時刻T5−T6は、センスアンプ172によるセンス可能期間Tsを規定し、時刻T3−T5は、選択ビット線の放電可能な期間Tdを規定する。ΔV供給部220によるΔVの供給は、少なくともセンスアンプによるセインシングが開始される前に0Vに戻される。こうして、偶数ビット線のメモリセルの負のしきい値電圧の読出しが行われる。偶数ビット線の読出しが終了すると、次に、上記と同様の方法により、奇数ビット線の読出しが行われる。
【0035】
このように、本実施例によれば、負の電圧発生回路を用いることなく、またトリプルウエル構造を形成することなく、メモリセルの負のしきい値電圧の読出しを行うことができる。これにより、負の電圧発生回路やトリプルウエル構造のための専有面積を削減することが可能となり、チップサイズの小型化、高集積化を図ることができる。また、後述するように、本実施例の読出し方式を、消去時の消去ベリファイに適用することで、データ「1」のしきい値分布の下限値Minが一定以上にならないように制御することができる。
【0036】
なお、ΔV供給部220によるΔVの大きさは、検証すべきメモリセルの負のしきい値に応じて、適宜、選択することができる。例えば、ΔV供給部220は、内部電圧発生回路190により生成されたΔVを用いることができる。
【0037】
また、上記実施例では、ソース線を偶数ソース線SL_eと奇数ソース線SL_oに分けた構成としたが、これに限らず、ソース線は、偶数ビット線GBL_eおよび奇数ビット線GBL_oに共通接続される構成であってもよい。
【0038】
図8は、本実施例のようなバイアス電圧を印加したときのメモリセルのしきい値分布のシフトを示すグラフである。グラフA(◆で示す)は、従来のページ読出し(1ページ=2KB)を行ったときのしきい値分布であり、この場合、ΔVの電圧は供給されない(つまり、ΔV=0V)。グラフB(■で示す)、C(▲で示す)、D(×で示す)は、本実施例のように、Pウエル、ソース線SLおよび非選択ビット線に、ΔV=0.5V、1.0V、1.5Vをそれぞれ印加したときのしきい値分布の測定結果を示している。例えば、ΔV=0.5Vを印加したとき、しきい値分布が0.5Vだけシフトされている。このことは、ΔVの電圧に応じて、メモリセルのゲート電圧がΔVだけ可変されたことを意味している。
図8Aは、ΔV=0.0V、0.5V、1.0V、1.5Vのときのゲート電圧Vgとしきい値Vthの分布を示しており、ゲート電圧Vg/しきい値分布がΔVの電圧に応じてシフトしていることがわかる。
図8Bは、従来の読出しと本実施例の読出しの一例を比較している。通常の読み出しで、−0.5Vまでの負のしきい値を含むしきい値分布の下限値を読み出したい場合、ΔV=0.5V以上(例えば、ΔV=+1.0V)とすると、Vg=0.5VからはじまるVg分布が取得することができ、下限値がVg=0.5Vであることから、しきい値Vthに換算すると−0.5Vであることが分かる。
【0039】
次に、本発明の実施例の他の好ましい例について説明する。本実施例の読出し方法は、フラッシュメモリの消去ベリファイにおいて実施される。
図9に、本実施例のフラッシュメモリでの消去動作のフローを示す。コントローラ150は、消去コマンド等を受け取ると、消去動作を開始させる(S100)。ワード線選択回路160は、消去すべきブロックを選択し(S102)、選択されたブロックのワード線に0Vを印加し(S104)、かつ、内部電圧発生回路190によって生成された消去パルスPsがPウエル210に印加される(S106)。消去パルスPsの印加は、例えば、コントローラ150により制御された消去パルス印加回路(図中、省略)によって実行される。消去パルスPsの印加後に、消去セルのしきい値が或る値以下か否か検証する消去ベリファイが行われる(S108)。この消去ベリファイは、通常の読出し動作時のバイアス条件で行われ、データ「1」のしきい値分布の上限値が0V以下であるか否かがベリファイされる。消去セルのしきい値が、或る値以下で有れば、合格と判定され(S110)、そこで消去パルスの印加は終了となる。他方、消去セルのしきい値が或る値以上で有れば、不合格と判定される(S110)。不合格と判定された場合には、前回の消去パルスPsの電圧にΔVを増加した消去パルスPsが生成され、この消去パルスPsが選択ブロックに印加される(S112)。
【0040】
ステップS110において、データ「0」の下限値が合格と判定されたならば、次に、データ「1」のしきい値分布の下限値のベリファイが行われる(S114)。下限値のベリファイでは、上記したように、Pウエル、ソース線SLおよび非選択ビット線に+ΔVを印加し、あたかもゲートに−ΔVの負の電圧が印加されたが如く、メモリセルの負のしきい値の読出しが行われる。消去セルのしきい値が、下限値を規定する値以上であれば、不合格と判定され(S116)、不合格と判定された消去セルに対してはソフトプログラムが行われる(S118)。消去セルのコントロールゲートに一定の正のパルスを印加することで、消去セルのしきい値が幾分だけ正の方向にシフトされる。このような消去セルの下限値のベリファイを実施することで、データ「1」の負のしきい値分布幅を狭くすることができる。
【0041】
次に、メモリセルが多値データを記憶するフラッシュメモリに本実施例を適用する場合について説明する。本実施例による読出し方法は、メモリセルの負のしきい値を読み出すことが可能であるため、多ビットデータのしきい値分布を、
図10(A)のように設定することができる。すなわち、データ「11」のしきい値、データ「10」のしきい値をそれぞれ負の値に設定し、データ「01」のしきい値、データ「00」のしきい値をそれぞれ正の値に設定することができる。メモリセルの負のしきい値の読出しを行うことができない場合には、
図10(B)のように、データ「10」、「01」、「00」のしきい値を正の値に設定しなければならず、それらのしきい値分布幅の間のマージンMが狭くなり、そのマージンを設定するためのプログラムシーケンスが煩雑となり、同時にデータの信頼性も低下する。他方、データ「00」の上限値を大きくすると、ベリファイ時にメモリセルのゲートに印加する電圧が大きくなり、メモリセルへのフローティングゲートにチャンネルホットエレクトロンが注入され、しきい値を変動させてしまうおそれがある。それ故、データ「00」のしきい値の上限は制限される。本実施例のように、データ「11」、「10」のしきい値を負の値とすることで、データ「01」、「00」のしきい値分布幅のマージンMを大きくすることができ、データの信頼性を向上させることができる。
【0042】
以上のように本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
100:フラッシュメモリ 110:メモリアレイ
120:入出力バッファ 130:アドレスレジスタ
140:データレジスタ 150:コントローラ
160:ワード線選択回路 170:ページバッファ/センス回路
180:列選択回路 190:内部電圧発生回路
200:ビット線選択回路 210:Pウエル
220:ΔV供給部