特許第5964402号(P5964402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964402
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】配電用工具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20160721BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20160721BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20160721BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H02G1/02
   F16B2/12 A
   F16B35/00 T
   F16B37/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-253461(P2014-253461)
(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-116341(P2016-116341A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】清時 浩二
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−56010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
F16B 2/12
F16B 35/00
F16B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接活線工具の取付具用先端に取付具を介して装着される配電用工具であって、
電線に対して係止可能な屈曲部を有する係止部材と、
この係止部材を一端面において支持するとともに、この一端面と他端面に開口する軸孔が穿設される筒状体と、
第1の端部が前記屈曲部の内周側へ対向し、第2の端部が前記取付具に連結されるとともに、前記軸孔の内部へ挿入され、この軸孔の長手方向に沿ってスライドする軸体と、を備え、
前記軸孔は、前記一端面及び前記他端面寄りに、それぞれ第1及び第2の雌ねじ部が形成され、
前記軸体は、前記第1の端部及び前記第2の端部寄りに、前記第1及び第2の雌ねじ部にそれぞれ螺合する第1及び第2の雄ねじ部が形成され、
前記第1の雄ねじ部のピッチは、前記第2の雄ねじ部のピッチよりも長く、
前記第1の雄ねじ部が前記第1の雌ねじ部に螺合する場合は、前記第2の雄ねじ部が前記第2の雌ねじ部に螺合しないように構成されることを特徴とする配電用工具。
【請求項2】
前記第2の雄ねじ部のリード角は、前記第1の雄ねじ部のリード角よりも小であることを特徴とする請求項1記載の配電用工具。
【請求項3】
前記軸孔の長さは、前記第1の雄ねじ部の末端から前記第2の雄ねじ部の先端までの長さ以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配電用工具。
【請求項4】
前記筒状体は、前記第1の雌ねじ部と前記第2の雌ねじ部との境界付近において、
前記軸孔の表面に開口部が開口するとともに、この開口部の反対側に奥部が設けられる複数の孔部と、
この複数の孔部にそれぞれ収容される可動部材と、を備え、
前記複数の孔部は、前記軸孔の長軸を中心として一定角度毎に配置され、
前記可動部材は、前記開口部を通過して前記軸体に接近又は前記軸体から離隔する可動端部と、一端がこの可動端部に連結されるとともに他端が前記奥部の付近に固着され、前記可動端部を前記軸体に接近させる方向に付勢する弾性体と、からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配電用工具。
【請求項5】
前記筒状体は、前記第1の雌ねじ部と前記第2の雌ねじ部との境界付近において、
前記軸孔の表面に開口部が開口するとともに、この開口部の反対側に奥部が設けられる複数の孔部と、
この複数の孔部にそれぞれ収容される可動部材と、を備え、
前記複数の孔部は、前記軸孔の長軸を中心として一定角度毎に配置され、
前記可動部材は、前記開口部を通過して前記軸体に接近又は前記軸体から離隔する可動端部と、一端がこの可動端部に連結されるとともに他端が前記奥部の付近に固着され、前記可動端部を前記軸体に接近させる方向に付勢する弾性体と、からなり、
前記軸体は、前記第1の雄ねじ部の前記末端と前記第2の雄ねじ部の前記先端の間に体部が形成され、
この体部は、前記可動端部が係合可能な複数の係合溝が、その長手方向に沿って並列して形成されることを特徴とする請求項記載の配電用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ部を備えた軸体を回動させてその先端を電線に当接させ、電線の把持等を行う配電用工具に係り、特に、複数の異なる形状のねじ部を形成することで軸体の粗動及び微動を可能とする配電用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、間接活線工具を使用して電線を把持したり、電線に対して機材を取り付けたりする場合には、特開平5−252627号公報に開示されるような、電線挟持部と、受片と、受片の下方に取り付けられたねじ軸等からなる端末固定具が使用されてきた。このような構成の端末固定具によれば、ねじ軸の下端を間接活線工具の先端に接続した後、間接活線工具を操作してねじ軸を回動させ、受片を電線挟持部に近付けることによって上記の把持等を行うことが可能である。
しかし、ねじ軸に設けられた雄ねじ部は、先端から末端まで比較的短い一定のピッチを有しており、ねじ軸の先端を電線等に当接させてこれを完全に締め付けるまでには、多数回に亘ってねじ軸を回動させることが必要であった。その結果、握力の低下や作業の長時間化を招き、作業者の疲労が増大したり、作業効率が低下したりするという課題があった。さらに、この疲労増大によって、締め付け作業の途中に、電線挟持部が電線から外れて落下し、作業の確実性や安全性を損なう場合があるという課題もあった。
したがって、このような課題を解決するためには、例えば、電線等に対する締め付けを開始する際、ねじ軸を粗動させることにより迅速な締め付けを可能とするとともに、電線等にねじ軸の先端が当接する直前には、ねじ軸を微動させることにより正確な締め付けを可能とする手段が必要となる。
そこで、このような解決手段として、近年、先端工具に関する技術ではないものの、ねじ軸を迅速かつ正確に回動させるための技術が開発されており、それに関して既に考案が開示されている。
【0003】
特許文献1には「測量機回転軸の微動固定装置」という名称で、回転軸の粗微動と細微動を可能とする測量機回転軸の微動固定装置に関する考案が開示されている。
以下、特許文献1に開示された考案について説明する。特許文献1に開示された測量機回転軸の微動固定装置に関する考案は、測量機本体に螺合した微動ネジ筒と、微動ネジ筒に同軸に螺合した微動ツマミと、微動ツマミの微動ネジ筒に対する一方向への回転によって係合し、以後同方向の回転においては微動ツマミと微動ネジ筒とを一体に回転させる第1のストッパ手段と、微動ツマミの微動ネジ筒に対する他方向への回転によって係合し、以後同方向の回転によって微動ツマミと微動ネジ筒とを一体に回転させる第2のストッパ手段と、微動ツマミの微動ネジ筒に対する螺進螺退運動を縮小して測量機の固定軸の軸方向進退運動に変換するとともに微動ツマミと微動ネジ筒の一体の螺進螺退運動をそのまま固定軸の軸方向進退運動に伝達する変換伝達手段と、からなることを特徴とする。
このような特徴を備えた測量機回転軸の微動固定装置においては、微動ツマミを一方向へ回転させると、第1のストッパ手段を介して微動ネジ筒が微動ツマミと一緒に粗動ネジによって螺進し、変換伝達手段によって固定軸が押圧される。また、微動ツマミを他方向へ回転させると、第2のストッパ手段を介して微動ツマミは微動ネジによって螺進し、変換伝達手段によってこの螺進量が縮小され固定軸に伝達される。したがって、視準作業が正確かつ迅速となり、作業性の良い精密測量が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭61−58851号(実開昭62−170514号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された考案においては、第1及び第2のストッパ手段や変換伝達手段を必要とすることから、構成がやや複雑である。さらに、微動固定装置は、元々測量という精密作業において使用することを目的としていることから、微動ツマミを回動させる操作は手動による微調整を伴って行われる。
これに対し、間接活線工具を介して配電用工具を操作する場合、このような微調整を伴う回動操作を行うことは、通常困難である。したがって、微動固定装置を配電用工具に対し容易に適用することはできない。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、構成が簡易であって、かつ間接活線工具を介して容易に操作可能であり、しかも軸体の粗動及び微動を可能とすることで作業者の疲労防止及び作業効率を向上させる配電用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る配電用工具は、間接活線工具の取付具用先端に取付具を介して装着される配電用工具であって、電線に対して係止可能な屈曲部を有する係止部材と、この係止部材を一端面において支持するとともに、この一端面と他端面に開口する軸孔が穿設される筒状体と、第1の端部が屈曲部の内周側へ対向し、第2の端部が取付具に連結されるとともに、軸孔の内部へ挿入され、この軸孔の長手方向に沿ってスライドする軸体と、を備え、軸孔は、一端面及び他端面寄りに、それぞれ第1及び第2の雌ねじ部が形成され、軸体は、第1の端部及び第2の端部寄りに、第1及び第2の雌ねじ部にそれぞれ螺合する第1及び第2の雄ねじ部が形成され、第1の雄ねじ部のピッチは、第2の雄ねじ部のピッチよりも長く、第1の雄ねじ部が第1の雌ねじ部に螺合する場合は、第2の雄ねじ部が第2の雌ねじ部に螺合しないように構成されることを特徴とする。
【0008】
このような構成の配電用工具において、第1及び第2の雄ねじ部の「ピッチ」とは、隣り合うねじ山の間隔をいう。また、第1及び第2の雌ねじ部の「ピッチ」も同様に隣り合うねじ山の間隔をいい、これらはそれぞれ第1及び第2の雄ねじ部の「ピッチ」と等しい。
上記構成の配電用工具においては、例えば、係止部材と軸体による電線の挟持を開始する際には、まず屈曲部を電線の上から係止し、次いで筒状体の軸孔の他端面から軸孔に挿入された軸体を、間接活線工具を回動操作することで一方向に回動させると、軸孔に形成された第1の雌ねじ部に対して軸体に形成された第1の雄ねじ部が螺合する。そのため、軸体は、屈曲部の内周側へ向かって軸孔の長手方向に沿ってスライドする。
そして、そのまま軸体のスライドを継続させると、第1の雌ねじ部に対する第1の雄ねじ部の螺合に代わって、軸孔に形成された第2の雌ねじ部に対して軸体に形成された第2の雄ねじ部が螺合し、軸体はさらに屈曲部の内周側へ向かってスライドする。その結果、屈曲部と軸体との間に電線が挟持される。
一方、係止部材と軸体による電線の挟持を解除する際には、前述した方向と逆の方向に間接活線工具を操作して軸体を回動させると、第2の雌ねじ部に対する第2の雄ねじ部の螺合が継続されつつ、軸体は屈曲部の内周側から離隔する方向へスライドする。その結果、屈曲部と軸体との間から電線が自在に取り外される。
【0009】
また、第1の雄ねじ部のピッチは、この第2の雄ねじ部のピッチよりも長いことから、1回の回動当たりに軸体がスライドする距離は、第1の雌ねじ部に対し第1の雄ねじ部が螺合する場合の方が、第2の雌ねじ部に対し第2の雄ねじ部が螺合する場合よりも長い。したがって、軸体のスライドを開始した際、軸体は粗動し、屈曲部と軸体との間に電線が挟持される直前及びこの挟持が解除された直後には、軸体は微動する。
さらに、第1の雄ねじ部のピッチが第2の雄ねじ部のピッチよりも長い場合では、第1の雄ねじ部が第1の雌ねじ部に螺合すると同時に、第2の雄ねじ部が第2の雌ねじ部に螺合すると、軸体の回動が不可能となることから、第1の雄ねじ部が第1の雌ねじ部に螺合する場合は、第2の雄ねじ部が第2の雌ねじ部に螺合しないように構成されることが必要となる。
【0010】
次に、請求項2記載の発明は、請求項1記載の配電用工具において、第2の雄ねじ部のリード角は、第1の雄ねじ部のリード角よりも小であることを特徴とする。
このような構成の配電用工具において、「リード角」とはねじ面の傾斜を表す角度である。
上記構成の配電用工具においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、第1及び第2の雄ねじ部の各ねじ面の摩擦係数が同等であり、第1の雄ねじ部にかかる荷重と第2の雄ねじ部にかかる荷重がほぼ同等の場合に、第2の雄ねじ部を締め付けるに必要な力の方が、第1の雄ねじ部を締め付けるに必要な力よりも、小さい。すなわち、第2の雄ねじ部の方が第1の雄ねじ部よりも締め付け易い傾向となる。
また、上記の条件下では、第2の雄ねじ部を緩めるに必要な力の方が、第1の雄ねじ部を緩めるに必要な力よりも、大きい。すなわち、第2の雄ねじ部の方が第1の雄ねじ部よりも緩み難い傾向となる。
【0011】
続いて、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の配電用工具において、軸孔の長さは、第1の雄ねじ部の末端から第2の雄ねじ部の先端までの長さ以下であることを特徴とする。
このような構成の配電用工具においては、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加えて、軸孔に形成された第1の雌ねじ部に第1の雄ねじ部が螺合すると同時に、第2の雌ねじ部に第2の雄ねじ部が螺合するという状態が回避されるため、第1の雌ねじ部に対する第1の雄ねじ部の螺合と、第2の雌ねじ部に対する第2の雄ねじ部の螺合と、が互いに独立して行われる。したがって、軸体の粗動と微動とが交互に可能となる。
【0012】
そして、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配電用工具において、筒状体は、第1の雌ねじ部と第2の雌ねじ部との境界付近において、軸孔の表面に開口部が開口するとともに、この開口部の反対側に奥部が設けられる複数の孔部と、この複数の孔部にそれぞれ収容される可動部材と、を備え、複数の孔部は、軸孔の長軸を中心として一定角度毎に配置され、可動部材は、開口部を通過して軸体に接近又は軸体から離隔する可動端部と、一端がこの可動端部に連結されるとともに他端が奥部の付近に固着され、可動端部を軸体に接近させる方向に付勢する弾性体と、からなることを特徴とする。
このような構成の配電用工具においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、弾性体が可動端部を軸体に接近させる方向に付勢することから、常に、可動端部が軸体に側方から接触することとなる。すなわち、軸体の表面が複数の可動部材によって均等に押圧され、軸孔に対して軸体が傾斜することが防止される。
【0013】
そして、請求項5記載の発明は、請求項記載の配電用工具において、筒状体は、第1の雌ねじ部と第2の雌ねじ部との境界付近において、軸孔の表面に開口部が開口するとともに、この開口部の反対側に奥部が設けられる複数の孔部と、この複数の孔部にそれぞれ収容される可動部材と、を備え、複数の孔部は、軸孔の長軸を中心として一定角度毎に配置され、可動部材は、開口部を通過して軸体に接近又は軸体から離隔する可動端部と、一端がこの可動端部に連結されるとともに他端が奥部の付近に固着され、可動端部を軸体に接近させる方向に付勢する弾性体と、からなり、軸体は、第1の雄ねじ部の末端と第2の雄ねじ部の先端の間に体部が形成され、この体部は、可動端部が係合可能な複数の係合溝が、その長手方向に沿って並列して形成されることを特徴とする。
このような構成の配電用工具においては、請求項3,4記載の発明の作用に加えて、複数の係合溝に可動端部が係合されるため、第1の雄ねじ部の第1の雌ねじ部に対する螺合と、第2の雄ねじ部の第2の雌ねじ部に対する螺合と、がそれぞれ緩んで、軸体が係止部材から離れる方向に降下することが防止される。また、第1の雄ねじ部の方が第2の雄ねじ部よりもリード角が大であってより緩み易いため、この降下防止作用はより顕著である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の配電用工具によれば、間接活線工具を回動するという簡易な操作によって、軸体を屈曲部の内周側へ向かって接近させたり、内周側から離隔させたりすることができる。したがって、例えば、電線等を容易に把持又は把持を解除することができる。
さらに、軸体のスライドを開始した際、軸体は粗動することから、軸体が比較的短い一定のピッチを有している従来技術と比較して、軸体がそれぞれ同じ距離をスライドする場合に必要な回動数を減少させることが可能である。そのため、作業量が減少し、作業者の疲労を軽減することができる。また、屈曲部と軸体との間に電線が挟持される直前等には、軸体は微動することから、より正確に電線等に対し軸体を当接させることが可能であるとともに、この後の過度の締め付けによる電線等の損傷を防止することができる。
また、本請求項記載の配電用工具は、係止部材と、筒状体と、軸体と、からなる簡易な構成である。したがって、本請求項記載の配電用工具を、比較的容易に、かつ安価に製造することができる。
【0015】
次に、本発明の請求項2記載の配電用工具によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2の雄ねじ部の方が第1の雄ねじ部よりも締め付け易いと同時に緩み難い傾向となるため、軸体のスライドを開始した際、すなわち、作業者が疲労していない時点では、強い力で軸体を回動させ、屈曲部と軸体との間に電線が挟持される直前、すなわち、作業者が疲労してきた時点では弱い力で軸体を回動させるという作業方法が可能となる。また、作業者が疲労してきたために、軸体をゆっくりと回動させる場合であっても、第2の雄ねじ部が緩み難いので、軸体が下方に降下することを防止することができる。
【0016】
本発明の請求項3記載の配電用工具によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、第1及び第2の雌ねじ部にそれぞれ第1及び第2の雄ねじ部が同時に螺合する状態が回避されることから、軸体が軸孔に沿ってスライドすることが可能になる。したがって、軸体の粗動及び微動を可能とすることで作業者の疲労防止等を図るという本発明の課題を解決することができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の配電用工具によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、軸孔に対して軸体が傾斜することが防止されるため、第1の雌ねじ部から第1の雄ねじ部が屈曲部へ向かって抜け出した直後に、第2の雌ねじ部に対し第2の雄ねじ部を確実に螺合させることが可能である。
【0018】
本発明の請求項5記載の配電用工具によれば、請求項3,4記載の発明の効果に加えて、第1及び第2の雄ねじ部が緩むことが防止されるので、電線等を把持する場合の作業効率が良好となるとともに、電線等を締め付けた後に軸体が自然に降下し電線等が落下する事態を回避することができる。

【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明の第1の実施例に係る配電用工具の側面図であり、(b)は(a)におけるA方向矢視図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る配電用工具を構成する軸体の拡大図である。
図3】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る配電用工具を構成する軸体の作用を説明するための側断面図である。
図4】本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する可動部材の側断面図である。
図5】(a)は本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する可動部材の図4におけるB−B線断面図であり、(b)はその第1の変形例に係る配電用工具を構成する可動部材の同位置における断面図である。
図6】(a)は本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する筒状体及び軸体の側断面図であり、(b)はその第2の変形例に係る配電用工具を構成する筒状体及び軸体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る配電用工具について、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。図1(a)は本発明の第1の実施例に係る配電用工具の側面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA方向矢視図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明の第1の実施例に係る配電用工具1は、間接活線工具50の先端50aに取付具51を介して装着される配電用工具であって、電線52に対して係止可能な屈曲部3を有する係止部材2と、この係止部材2を端面4aにおいて支持するとともに、この端面4aと端面4bに開口する軸孔5が穿設される筒状体4と、端部6aが屈曲部3の内周側3aへ対向し、端部6bが取付具51に連結されるとともに、軸孔5の内部へ挿入され、この軸孔5の長手方向に沿ってスライドする軸体6と、を備える。
軸孔5は、筒状体4の端面4a及び端面4b寄りに、それぞれ雌ねじ部7,8が形成される。雌ねじ部7,8のピッチは、それぞれP,Pであり、ピッチPはピッチPよりも長い。さらに、ねじ山の高さについては雌ねじ部8の方が雌ねじ部7よりも高く、ねじ山の角度については雌ねじ部8の方が雌ねじ部7よりも小さい。
そして、軸体6は、端部6a及び端部6b寄りに、雌ねじ部7,8にそれぞれ螺合する雄ねじ部9,10が形成される。さらに、端部6aには、電線52を押圧する押圧部11が取り付けられる。この押圧部11は軸体6と共回りする構成である。
また、軸孔5の長さLは、雄ねじ部9の末端から雄ねじ部10の先端までの長さLと等しい。
なお、間接活線工具50と軸体6は、いずれも同一の長手方向に沿った中心軸Cを有する。
【0021】
次に、本実施例の配電用工具を構成する軸体について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施例に係る配電用工具を構成する軸体の拡大図である。なお、図1で示した構成要素については、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、軸体6に形成された雄ねじ部9のピッチPは、雄ねじ部10のピッチPよりも長い。そのため、雄ねじ部9が雌ねじ部7に螺合すると同時に、雄ねじ部10が雌ねじ部8に螺合すると、軸体6の中心軸Cを中心とする回動が不可能となることから、雄ねじ部9が雌ねじ部7に螺合する場合は、雄ねじ部10が雌ねじ部8に螺合しないように構成されることが必要となる。この構成については、図3において詳細に説明する。
また、ねじ山の高さについては雄ねじ部10の方が雄ねじ部9よりも高く、ねじ山の角度については雄ねじ部10の方が雄ねじ部9よりも小さく、また雄ねじ部9の長さと雄ねじ部10の長さはほぼ等しい。
さらに、雄ねじ部10のリード角θは、雄ねじ部9のリード角θよりも小である。具体的には、リード角θは5度であり、リード角θは25度である。
なお、雄ねじ部9の有効径dの長さと雄ねじ部10の有効径dの長さの関係は、(d/d)=2/3である。なお、有効径とは、ねじ溝の幅がねじ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒の直径である。したがって、雄ねじ部10のピッチPに対する雄ねじ部9のピッチPの比率Kは、約3.6となる。ただし、比率K=(P/P)=(d/d)・[(tanθ)/(tanθ)]によって算出される。したがって、雄ねじ部9,10がそれぞれ螺合する雌ねじ部7,8におけるピッチの比率(P/P)も、約3.6である。
【0022】
次に、本実施例の配電用工具の作用について、図3を用いながら詳細に説明する。図3(a)乃至図3(c)は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る配電用工具を構成する軸体の作用を説明するための側断面図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)乃至図3(c)は、いずれも電線52に係止部材2の屈曲部3が係止され、筒状体4の軸孔5の内部に軸体6が挿入された状態を示している。
このうち、図3(a)に示すように、係止部材2と押圧部11による電線52の挟持を開始する際には、筒状体4の雌ねじ部7と軸体6の雄ねじ部9が螺合し、押圧部11と電線52との間隔Hが最大となっている。このとき、間接活線工具50の中心軸Cを中心としてこれをα方向へ回動させると、軸体6が屈曲部3の内周側3aの方向に向かって上昇する。
【0023】
さらに、間接活線工具50のα方向への回動を継続すると、図3(b)に示すように、雄ねじ部9が端面4aを通過して雌ねじ部7から完全に抜け出す。なお、軸孔5の長さLは、雄ねじ部9の末端から雄ねじ部10の先端までの長さLと等しい(図1参照)ため、これと同時に、雄ねじ部10が端面4bを通過して雌ねじ部8への螺合を開始し始める。すなわち、雄ねじ部9の雌ねじ部7に対する螺合と、雄ねじ部10の雌ねじ部8に対する螺合が同時に起こることが回避される。
【0024】
以降、間接活線工具50のα方向への回動によって、図3(c)に示すように、押圧部11が電線52に当接するとともに、雄ねじ部10のほぼ全長が雌ねじ部8へ螺合した状態となる。ここで、間接活線工具50のα方向への回動を停止すると、係止部材2と押圧部11による電線52の挟持が完了する。
また、間接活線工具50をβ方向へ回動させることで、軸体6が電線52から離隔する方向へ下降し、係止部材2と押圧部11による電線52の挟持が解除される。さらに、間接活線工具50のβ方向への回動を継続することによって、軸体6は図3(a)に示される配置に戻る。
【0025】
続いて、雌ねじ部7に対する雄ねじ部9の作用とを雌ねじ部8に対する雄ねじ部10の作用を比較しながら説明すると、前述したように、雄ねじ部10のピッチPに対する雄ねじ部9のピッチPの比率Kは、約3.6となることから、1回の間接活線工具50の回動当たりに、軸体6が中心軸Cに沿って移動する長さは、雄ねじ部9の方が雄ねじ部10の約3.6倍となる。したがって、雄ねじ部9と雌ねじ部7の組み合わせによって軸体6が粗動し、雄ねじ部10と雌ねじ部8の組み合わせによって軸体6が微動することとなる。
また、雄ねじ部10のリード角θは、雄ねじ部9のリード角θよりも小である(図2参照)ために、雄ねじ部9を締め付ける力の方が雄ねじ部10を締め付ける力よりも強い力が必要となるが、雄ねじ部10の方が雄ねじ部9よりもそれぞれ雌ねじ部8及び雌ねじ部7に対して緩み難い。よって、図3(c)に示すように、押圧部11が電線52に当接した場合に、軸体6が電線52から離隔する方向へ下降することが防止される。
一方で、図3(c)から図3(a)の配置に戻る際には、雄ねじ部9を緩める力の方が雄ねじ部10を緩める力よりも弱い力で足りる。すなわち、雄ねじ部9の方が雄ねじ部10よりもそれぞれ雌ねじ部7及び雌ねじ部8に対して緩み易い。
さらに、有効径d,dの長さについては雄ねじ部10の有効径dの方が雄ねじ部9の有効径dよりも長く、ねじ山の高さについても雄ねじ部10の方が雄ねじ部9よりも高い。加えて、雄ねじ部9の長さと雄ねじ部10の長さはほぼ等しいことから、雄ねじ部9のねじ山にかかるせん断応力は、雄ねじ部10のねじ山にかかるせん断応力よりも大きくなる傾向にあると考えられる。
なぜなら、[せん断応力]=[中心軸C方向に沿った荷重/(π・おねじの山の径・ねじの全長)],[おねじの山の径]≒[有効径+ねじ山の高さ]で表わされるからである。したがって、雄ねじ部10の方が、雄ねじ部9よりも、中心軸C方向に沿った荷重に対する強度が高いものと考えられる。なお、電線52を締め付ける最終段階では、雄ねじ部10が雌ねじ部8に対して螺合しているので、雄ねじ部10の方が、雄ねじ部9よりも、中心軸C方向に沿った荷重に対する強度が高いことは、配電用工具1の破損防止という点で、特に有効である。
【0026】
以上説明したように、本実施例に係る配電用工具1によれば、雄ねじ部9と雌ねじ部7、及び雄ねじ部10と雌ねじ部8を備えることと、軸孔5の長さLが軸体6の長さLと等しいことにより、軸体6の粗動と微動とが交互に可能となる。より詳細には、電線52の挟持を開始する際には、粗動によって押圧部11を電線52に接近させ、押圧部11が電線52に当接する直前には、ゆっくりと精密な動きによって電線52に押圧部11を当接させることが可能となる。よって、配電用工具1を使用することで、電線52を損傷させることなく迅速かつ正確に把持することができる。
ただし、雄ねじ部9を締め付ける力の方が雄ねじ部10を締め付ける力よりも強い力が必要となる。しかし、このような場合は、間接活線工具50の回動を開始した直後であるため、作業者の疲労がなく、作業者の負担はそれほど重いものではないものと考えられる。また、図3(c)に示すように、電線52に押圧部11が当接する直前に、リード角θの小さい雄ねじ部10が雌ねじ部8に螺合しているので、小さい力で雄ねじ部10を締め付けることができる。このように、配電用工具1によれば、電線52の把持作業が完了する間際において、作業者の疲労を抑制することが可能である。
また、本実施例に係る配電用工具1は、係止部材2と、筒状体4と、軸体6と、からなる簡易な構成である。このうち、軸体6にはそれぞれピッチの異なる雄ねじ部9,10を形成し、筒状体4にはこれらがそれぞれ螺合する雌ねじ部7,8を形成することが必要であるが、このような雄ねじ部9,10や雌ねじ部7,8は、例えばダイスやタップといった金属加工用工具を使用した従来技術により形成される。したがって、配電用工具1を、比較的容易に、かつ安価に製造することができる。
【0027】
なお、本実施例に係る配電用工具1は本実施例に示すものに限定されない。例えば、雄ねじ部9,10や雌ねじ部7,8のピッチ、リード角及び有効径は、前述したものに限定されない。より詳細には、軸孔5の長さLは、雄ねじ部9の末端から雄ねじ部10の先端までの長さLより短くても良い。さらに、雄ねじ部9の有効径の長さは、押圧部11が雌ねじ部7を通過して落下しない程度に、雄ねじ部10の有効径の長さ以上であっても良い。このほか、押圧部11が軸体6と共回りしない構成であっても良い。
【実施例2】
【0028】
本発明の第2の実施の形態に係る配電用工具について、図4乃至図6を用いて詳細に説明する。図4は、本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する可動部材の側断面図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4に示すように、本発明の第2の実施例に係る配電用工具12は、筒状体13は、雌ねじ部7と雌ねじ部8との境界付近において、軸孔5の表面に開口部14aが開口するとともに、この開口部14aの反対側に奥部14bが設けられる複数の孔部14と、この複数の孔部14にそれぞれ収容される可動部材15と、を備える。
可動部材15は、開口部14aを通過して軸体6に接近又は軸体6から離隔する球形状の可動端部16と、一端17aがこの可動端部16に連結されるとともに他端17bが奥部14bの付近に固着され、この可動端部16を軸体に接近させる方向に付勢する弾性体17と、からなる。配電用工具12におけるこれ以外の構成については、実施例1に係る配電用工具1と同様である。
【0029】
続いて、孔部14及び可動部材15の配置について、より詳細に説明する。図5(a)は本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する可動部材の図4におけるB−B線断面図であり、図5(b)はその第1の変形例に係る配電用工具を構成する可動部材の同位置における断面図である。なお、図1乃至図4で示した構成要素については、図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)に示すように、実施例2に係る配電用工具12においては、複数の孔部14は、軸孔5の長軸Dを中心として180度毎に配置される。なお、軸孔5の長軸Dと、軸体6の中心軸C(図1参照)は、同一軸である。
図5(b)に示すように、実施例2の第1の変形例に係る配電用工具12aにおいては、複数の孔部14は、軸孔5の長軸Dを中心として120度毎に配置される。配電用工具12aにおけるこれ以外の構成については、実施例2に係る配電用工具12と同様である。
【0030】
また、軸体6、孔部14及び可動部材15について、図6を用いてより詳細に説明する。図6(a)は本発明の第2の実施例に係る配電用工具を構成する筒状体及び軸体の側断面図であり、図6(b)はその第2の変形例に係る配電用工具を構成する筒状体及び軸体の側断面図である。なお、図1乃至図5で示した構成要素については、図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、実施例2に係る配電用工具12においては、後述する体部6cは、表面に凹凸部分等が形成されない円柱形状をなしている。
これに対し、図6(b)に示すように、実施例2の第2の変形例に係る配電用工具12bにおいては、軸体6は、雄ねじ部9の末端と雄ねじ部10の先端の間に体部6cが形成される。この体部6cは、可動端部16が係合可能な複数の係合溝18が、中心軸Cに沿って並列して形成される。配電用工具12bにおけるこれ以外の構成については、実施例2に係る配電用工具12と同様である。
【0031】
次に、本実施例の配電用工具12,12a,12bの作用について、詳細に説明する。
本実施例の配電用工具12,12a,12bにおいては、可動端部16を軸体に接近させる方向に付勢する弾性体17によって、可動端部16は、軸体6の表面に側方から接触する。なお、図4に示すように、可動端部16が雄ねじ部9のねじ山に接触する際、弾性体17が収縮するので、可動端部16は、軸体6のスライドに伴い移動するねじ山を乗り越えることが可能である。すなわち、軸体6の形状や軸体6が軸孔5に対しスライドしている最中か否かに関わらず、可動端部16の軸体6に対する接触が継続される。
また、図5に示すように、複数の可動部材15は、軸孔5の長軸Dを中心として一定角度毎に配置される複数の孔部14にそれぞれ収容されるため、それぞれの可動端部16が軸体6に側方から接触すると、軸体6の中心軸Cと軸孔5の長軸Dとが一致した状態が保持されつつ、軸体6の表面が複数の可動部材15によって均等に押圧される。したがって、軸孔5に対して軸体6が傾斜することが防止される。ただし、軸体6に対する可動端部16の押圧は、軸体6のスライドや回動を阻害する程度に強いものではない。配電用工具12,12a,12bにおけるこれ以外の作用については、実施例1に係る配電用工具1と同様である。
【0032】
さらに、本実施例の配電用工具12bにおいては、軸体6の屈曲部3方向へのスライドに伴い、可動端部16が順次係合溝18へ係合する。したがって、雄ねじ部10の雌ねじ部8に対する螺合が緩むことが防止され、軸体6が屈曲部3から離隔する方向へ下降することが防止される。なお、このような作用は、そもそも雄ねじ部9のリード角θが5度と小さいことによって発揮されるものであるが、係合溝18が設けられることによって、さらにこの作用が補強されるものである。また、前述したように、弾性体17が収縮するので、可動端部16は、軸体6のスライドに伴い移動する係合溝18を乗り越えることが可能である。
【0033】
以上説明したように、本実施例の配電用工具12,12a,12bによれば、軸孔5に対して軸体6が傾斜することが防止されることから、雌ねじ部7から雄ねじ部9が屈曲部3へ向かって抜け出した直後に、雌ねじ部8に対し雄ねじ部10を確実に螺合させることが可能である。したがって、雌ねじ部7に対する雄ねじ部9の螺合と、雌ねじ部8に対する雄ねじ部10の螺合の切り替えを滑らかに行うことができる。
【0034】
さらに、本実施例の配電用工具12bによれば、係合溝18が設けられることによって、雄ねじ部10の緩み防止効果が補強されるので、電線52を把持する場合の作業効率が良好となるとともに、電線52を締め付けた後に軸体6が自然に降下し電線52が落下する事態を回避することができる。なお、このような落下防止効果は、電線52の締め付け過程の最終時点で発揮されるため、作業者の疲労軽減という点で、極めて有効である。配電用工具12,12a,12bにおけるこれ以外の効果については、実施例1に係る配電用工具1と同様である。
【0035】
なお、本実施例に係る配電用工具12,12a,12bは本実施例に示すものに限定されない。例えば、孔部14及び可動部材15は、軸孔5の長軸Dを中心として180度や120度以外の角度ごとに配置されてもよい。また、係合溝18は、雄ねじ部9寄りの体部6cに設けられても良い。この場合、雄ねじ部9の雌ねじ部7に対する螺合が緩むことが防止される。さらに、体部6cの全長に亘って設けられても良い。この場合には、体部6cの長さが軸孔5の長さよりも長い場合において、軸孔5に対して軸体6が傾斜することが強く防止される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、間接活線工具の先端に取付具を介して装着される配電用工具として適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…配電用工具 2…係止部材 3…屈曲部 3a…内周側 4…筒状体 4a,4b…端面 5…軸孔 6…軸体 6a,6b…端部 6c…体部 7,8…雌ねじ部 9,10…雄ねじ部 11…押圧部 12,12a,12b…配電用工具 13…筒状体 14…孔部 14a…開口部 14b…奥部 15…可動部材 16…可動端部 17…弾性体 17a…一端 17b…他端 18…係合溝 50…間接活線工具 50a…先端 51…取付具 52…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6