(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結合剤が、2種以上のタイプのカルボキシメチルセルロースの混合物からなり、少なくとも1種が、0.4から2.0の範囲内のカルボキシル化度および3から300ml/gの範囲内の固有粘度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基が、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより、少なくとも部分的に中和され、多価カチオンがSr2+、Ca2+またはMg2+から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基が、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の1価のカチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、1価のカチオンがLi+、Na+またはK+から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基が、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンおよび1種以上の1価のカチオンの組合せを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、多価カチオンがSr2+、Ca2+またはMg2+から選択され、1価のカチオンがLi+、Na+またはK+から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
粉砕ステップd)が、1μm未満の粒子サイズを有する自己結合顔料粒子の画分が顔料粒子の全重量に基づいて5wt%を超えるまで、実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
無機顔料材料が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含有する無機物、混合炭酸塩を主成分とする充填剤またはそれらの混合物から選択され、炭酸カルシウムを含有する無機物はドロマイトを含み、混合炭酸塩を主成分とする充填剤が、マグネシウムを伴うカルシウム、粘土、タルク、タルク−炭酸カルシウム混合物、炭酸カルシウム−カオリン混合物または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、雲母または合成もしくは天然繊維との混合物または無機物の共構造物、タルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタン共構造物から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル化度が、0.4から2.0、0.5から1.8、0.6から1.6または0.7から1.5の範囲内である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースが、1以上のカルボキシル化度および5から250ml/gの範囲内の固有粘度を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースが、1未満のカルボキシル化度および5から70ml/gの範囲内の固有粘度を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において供給されるカルボキシメチルセルロースの固有粘度が、少なくとも過酸化水素の添加により、場合によって過酸化アルカリの存在下において、2から5ステップで調節される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
自己結合顔料粒子懸濁液が、製紙機械の湿式最終プロセスにおいて、シガレットの紙および/もしくはコーティング用途において、または輪転グラビアおよび/もしくはオフセットおよび/もしくはデジタル印刷のための支持体として使用される、請求項22に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一態様により、自己結合顔料粒子を調製する方法であって、
a)水性無機顔料材料懸濁液を供給するステップ:
b)少なくとも1種のポリマー性結合剤を供給するステップであり、結合剤が0.4から2.0の範囲内のカルボキシル化度および3から300ml/gの範囲内の固有粘度を有する少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースを含むステップ;
c)ステップb)の結合剤をステップa)の水性無機顔料材料懸濁液と混合し、得られた懸濁液の固体含有率を、懸濁液の全重量に基づいて45から80wt%になるように調節するステップ;
d)ステップc)の水性無機材料懸濁液を粉砕するステップ
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の発明者らは、自己結合顔料粒子を、固体含有率が高い無機顔料の懸濁液中で直接調製することが可能であることを見出した。これは第1のステップで水性無機顔料材料懸濁液を供給することにより達成される。さらに、特定の結合剤が供給される。該結合剤は水性無機顔料材料懸濁液と混合される。懸濁液を懸濁液の全重量に基づいて45から80wt%の高い固体含有率に調節した後、懸濁液は、所望の粒子サイズの自己結合顔料粒子を得るために粉砕される。
【0014】
第2の態様により、本発明は、本発明による方法により得ることができる自己結合顔料粒子懸濁液に関連する。
【0015】
本発明の他の態様は、紙、プラスチック、塗料、コンクリートおよび/または農業用途における、本発明の自己結合顔料粒子懸濁液の使用に関連する。
【0016】
本発明の方法の有利な実施形態は、対応する従属請求項において定義されている。
【0017】
一実施形態によれば、ステップc)において、結合剤は、水性無機顔料懸濁液に、懸濁液の全重量に基づいて0.1から10.0wt%、好ましくは0.2から5wt%、より好ましくは0.25から3.0wt%の量で添加される。他の実施形態によれば、結合剤は、溶液または乾燥材料の形態に、好ましくは、溶液の全重量に基づいて1から70wt%、好ましくは2から55wt%、より好ましくは5から50wt%、最も好ましくは30から50wt%の結合剤濃度を有する水溶液の形態にある。
【0018】
一実施形態によれば、結合剤は、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのみからなる。他の実施形態によれば、結合剤は、2種以上のタイプのカルボキシメチルセルロースの混合物からなり、少なくとも1種は、0.4から2.0の範囲のカルボキシル化度および3から300ml/gの範囲の固有粘度を有する。
【0019】
一実施形態によれば、固体含有率は、懸濁液の全重量に基づいて50から80wt%、より好ましくは60から79wt%、最も好ましくは65から78wt%になるように調節される。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、多価カチオンは、好ましくはSr
2+、Ca
2+またはMg
2+から、最も好ましくは懸濁液および/または溶液中のCa(OH)
2の形態で添加されるCa
2+から選択される。他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、酸、好ましくはH
3PO
4または酸性反応塩、好ましくはCaHPO
4を添加することによりその場で形成された1種以上の多価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより、少なくとも部分的に中和される。さらに他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の1価のカチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、1価のカチオンは、好ましくはLi
+、Na
+またはK
+から選択される。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンおよび1種以上の1価のカチオンの組合せを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、多価カチオンは、好ましくはSr
2+、Ca
2+またはMg
2+から、最も好ましくは懸濁液および/または溶液中のCa(OH)
2の形態で添加されるCa
2+から選択され、1価のカチオンは、好ましくはLi
+、Na
+またはK
+から選択される。
【0022】
一実施形態によれば、粉砕ステップd)は、1μm未満の粒子サイズを有する自己結合顔料粒子の画分が顔料粒子の全重量に基づいて5wt%を超え、好ましくは20wt%を超え、より好ましくは60wt%を超え、より好ましくは75wt%を超え、最も好ましくは85wt%を超えるまで実施される。他の実施形態によれば、ステップc)および/またはd)の前またはその最中またはその後に、分散剤が添加される。
【0023】
一実施形態によれば、前記無機顔料材料は、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含有する無機物、混合炭酸塩を主成分とする充填剤またはそれらの混合物から選択され、炭酸カルシウムを含有する無機物は、好ましくはドロマイトを含み、混合炭酸塩を主成分とする充填剤は、好ましくは、マグネシウムを伴うカルシウム、粘土、タルク、タルク−炭酸カルシウム混合物、炭酸カルシウム−カオリン混合物または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、雲母または合成もしくは天然繊維との混合物または無機物の共構造物、好ましくはタルク−炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタンもしくはタルク−二酸化チタン共構造物から選択される。一実施形態によれば、炭酸カルシウムは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、変性炭酸カルシウムまたはそれらの混合物である。
【0024】
一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル化度は、0.4から2.0、0.5から1.8、0.6から1.6または0.7から1.5の範囲内である。他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースは、1以上のカルボキシル化度および5から250ml/g、好ましくは5から150ml/g、より好ましくは10から100ml/gの範囲内の固有粘度を有する。さらに他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースは、1未満のカルボキシル化度および5から70ml/g、好ましくは5から50ml/g、より好ましくは10から30ml/gの範囲内の固有粘度を有する。
【0025】
一実施形態によれば、ステップb)において供給されるカルボキシメチルセルロースの固有粘度は、少なくとも過酸化水素の添加により、場合によって過酸化アルカリの存在下において、2から5ステップで調節される。
【0026】
一実施形態によれば、粉砕ステップd)は、30から110℃、好ましくは55から105℃の温度で実施される。他の実施形態によれば、粉砕ステップd)は、回分式でまたは連続的に、好ましくは連続的に実施される。
【0027】
一実施形態によれば、自己結合顔料粒子懸濁液は、製紙機械の湿式最終プロセスにおいて、シガレットの紙および/またはコーティング用途において、輪転グラビアおよび/またはオフセットおよび/またはデジタル印刷のための支持体として使用される。
【0028】
他の実施形態によれば、自己結合顔料粒子懸濁液は、植物の葉の太陽光およびUV曝露を減少させるために使用される。
【0029】
本発明の関係において使用される用語「固有粘度」は、溶液中のポリマーが溶液の粘度を増大させる能力の尺度であり、ml/gで特定される。
【0030】
本明細書全体にわたって、炭酸カルシウム生成物の「粒子サイズ」は、その粒子サイズの分布により記載されている。値d
xは、粒子のx重量%がd
x未満の直径を有する直径を表す。これは、d
20値は全粒子の20wt%がそれ未満である粒子サイズであること、d
75値は全粒子の75wt%がそれ未満である粒子サイズであることを意味する。したがってd
50値は、重量中央値の粒子サイズであり、すなわち全粒状物の50wt%がこの粒子サイズを超えまたはそれ未満である。本発明の目的にとって、粒子サイズは、特に別の記載がない限り重量中央値粒子サイズd
50として特定される。0.4から2μmの間のd
50値を有する粒子に対する重量中央値粒子サイズd
50値を決定するために、米国Micromeritics社のSedigraph 5100装置を使用することができる。
【0031】
本発明の意味における「懸濁液」または「スラリー」は、不溶性固体および水を含み、場合によって添加剤をさらに含み、通常大量の固体を含有し、したがって、それの形成に用いられた液体より粘稠で密度が高くなり得る。
【0032】
自己結合顔料粒子を調製する本発明の方法は、幾つかの重要な利点を提供する。第1に、本発明の方法は、粒子表面に対する結合剤の非常に良好な吸着を提供する。それに加えて、望ましくない凝集塊の形成は、後続の濃縮ステップが、高い固体含有率の懸濁液の加工のために回避され得るので、本発明の方法を適用することにより減少する。
【0033】
以下に、本発明の方法の詳細および好ましい実施形態がより詳細に説明される。これらの技術的詳細および実施形態は、本発明の自己結合顔料粒子懸濁液およびそれらの使用にも適用されることが理解されるべきである。
【0034】
ステップa)
本発明による方法のステップa)において、水性無機顔料材料懸濁液が供給される。水性無機顔料材料懸濁液は、無機顔料材料と水との混合により得られる。
【0035】
本発明の方法に従って加工されるべき無機顔料材料は、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含有する無機物、混合炭酸塩を主成分とする充填剤またはそれらの混合物から選択することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、無機顔料材料は炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムとも称される粉砕された天然炭酸カルシウム、軽い炭酸カルシウムとも称される沈降炭酸カルシウム、変性炭酸カルシウムまたはそれらの混合物であってもよい。
【0037】
本発明の意味における「粉砕された天然炭酸カルシウム」(GNCC)は、石灰石、大理石、方解石またはチョークなどの天然源から得られた炭酸カルシウムであり、粉砕、ふるい分けおよび/または分画などの湿式および/または乾式処理により、例えばサイクロンまたは分級器により加工される。
【0038】
本発明の意味における「変性炭酸カルシウム」(MCC)は、内部構造変性または表面反応生成物を有する天然の粉砕または沈降炭酸カルシウムを特徴とすることができる。本発明の好ましい実施形態によれば、変性炭酸カルシウムは、表面が反応した炭酸カルシウムである。
【0039】
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は合成材料であり、一般に、水性環境における二酸化炭素と石灰との反応の後の沈殿によりまたは水中におけるカルシウムおよび炭酸イオン供給源の沈殿により得られる。PCCは、バテライト、方解石またはアラゴナイトであってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウムを含有する無機物はドロマイトを含む。
【0041】
好ましい実施形態によれば、混合炭酸塩を主成分とする充填剤は、マグネシウムを伴うカルシウムおよび類似体または誘導体、粘土もしくはタルクまたは類似体もしくは誘導体などの種々の物質、およびこれらの充填剤の混合物、例えば、タルク−炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウム−カオリン混合物または天然炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム、雲母または合成もしくは天然繊維との混合物またはタルク−炭酸カルシウムもしくはタルク−二酸化チタンもしくは炭酸カルシウム−二酸化チタン共構造物などの無機物の共構造物から選択される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、水性無機顔料材料懸濁液は、懸濁液の全重量に基づいて50から80wt%、好ましくは60から79wt%、最も好ましくは65から78wt%の固体含有率を有する。
【0043】
ステップb)
本発明による方法のステップb)において、0.4から2.0の範囲内のカルボキシル化度および3から300ml/gの範囲内の固有粘度を有する少なくとも1種のカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む少なくとも1種のポリマー性結合剤が供給される。
【0044】
本発明の他の実施形態によれば、結合剤は、2種以上のタイプのカルボキシメチルセルロースの混合物からなり、少なくとも1種は、0.4から2.0の範囲内のカルボキシル化度および3から300ml/gの範囲内の固有粘度を有する。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、カルボキシメチルセルロースは、0.4から2.0、好ましくは0.5から1.8、より好ましくは0.6から1.6、最も好ましくは0.7から1.5の範囲内のカルボキシル化度を有する。
【0046】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースの固有粘度は、5から250ml/g、好ましくは5から220ml/g、より好ましくは10から200ml/gの範囲内である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースは、1以上のカルボキシル化度および5から250ml/g、好ましくは5から150ml/g、より好ましくは10から100ml/gの範囲内の固有粘度を有する。
【0048】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースは、1未満のカルボキシル化度および5から70ml/g、好ましくは5から50ml/g、より好ましくは10から30ml/gの範囲内の固有粘度を有する。
【0049】
カルボキシメチルセルロース(CMC)は、セルロースの誘導体であって、カルボキシメチル基(−CH
2−COOH)が、1,4−グリコシド連結によって、セルロース骨格を構成するD−グルコースの繰り返し単位のヒドロキシル基の一部と結合している。CMCは、セルロースから、苛性ソーダの存在下でモノクロロ酢酸とカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を形成する反応により調製され得る。繰り返す各D−グルコース単位はエーテル化され得る3個のヒドロキシル基を含有し、モノマー1単位当たり3個のカルボキシル基の最大電荷密度を与える(すなわち、置換度3)。カルボキシメチルセルロースを主成分とする結合剤材料の分子量および固有粘度は、過酸化水素(H
2O
2)処理により調節することができる。H
2O
2を用いる酸化分解による低粘稠、水可溶のCMCの調製方法を記載したDE1543116A1および多糖エーテル分解の酸化剤量、温度および処理時間に対する依存性を記載したDE4411681A1が参照される。
【0050】
固有粘度は、当業者に知られた任意の方法、例えば、過酸化物の添加により調節することができ、カルボキシメチルセルロースのカルボキシル化度、粘度は、当業者に知られた任意の方法、例えば、クロロ酢酸またはその塩の添加により調節することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、固有粘度は、過酸化物の複数のステップでの添加により、より好ましくは2から5ステップで調節される。
【0052】
さらに好ましい実施形態において、異なった過酸化物、例えば過酸化アルカリ、例えば、過酸化水素との組合せで過酸化ナトリウムなどが、異なったステップで使用される。本発明の典型的実施形態によれば、複数のステップでの添加のための過酸化物は、過酸化水素と過酸化アルカリとの組合せであり、この場合、過酸化アルカリの量によりプロセス中のpHが制御される。
【0053】
本発明の他の典型的実施形態によれば、ステップb)において供給される少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースの固有粘度は、少なくとも過酸化水素の添加により、場合によって過酸化アルカリの存在下において、好ましくは2から5ステップで調節される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、本発明による方法で使用されるカルボキシメチルセルロースは、4.5から12、好ましくは7から11、より好ましくは8.0から10.5のpHを有する。
【0055】
カルボキシメチルセルロースは、溶液または乾燥材料として供給することができる。好ましい実施形態によれば、カルボキシメチルセルロースは水溶液の形態にある。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、結合剤は、溶液の全重量に基づいて1から70wt%、好ましくは2から55wt%、より好ましくは5から50wt%、最も好ましくは30から50wt%の結合剤濃度を有する水溶液の形態にある。CMC溶液は、例えば、限外濾過または熱または乾燥により濃縮することができる。乾燥CMCは、好ましくは熱乾燥、より好ましくは噴霧乾燥により製造され、CMCの全重量に基づいて90wt%を超える、好ましくは95から99.9wt%の固体含有率を有する。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、結合剤は、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのみからなる。
【0058】
ステップc)
本発明による方法のステップc)において、ステップb)の結合剤は、ステップa)の水性無機顔料材料懸濁液と混合される。得られた懸濁液の固体含有率は、45wt%未満であれば、懸濁液の全重量に基づいて45から80wt%になるように調節される。
【0059】
懸濁液の固体含有率は、当業者に知られた方法により調節することができる。水性無機材料を含む懸濁液の固体含有率を調節するために、懸濁液は、濾過、遠心分離または蒸発プロセスにより部分的にまたは完全に脱水することができる。あるいは、固体無機材料(例えば濾過から生じる)に、水が所望の固体含有率が得られるまで添加されてもよい。
【0060】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップd)中に粉砕されるべき懸濁液の固体含有率は、懸濁液の全重量に基づいて50から80wt%、より好ましくは60から79wt%、最も好ましくは65から78wt%になるように調節される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ステップc)において、結合剤は、水性無機顔料懸濁液に、懸濁液の全重量に基づいて0.1から10.0wt%の量で、好ましくは0.2から5wt%の量で、より好ましくは0.25から3.0wt%の量で添加される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の1価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより、少なくとも部分的に中和される。1価のカチオンは、好ましくはLi
+、Na
+およびK
+から選択される。1価のカチオンは、水溶液、懸濁液または粉末の形態で、好ましくは溶液の形態で添加することができる。
【0063】
多価カチオンの懸濁液への添加は、さらに利点を提供し、特にカルボキシメチルセルロースを含む結合剤の無機物表面への改善された吸着性を提供することが本発明者らにより見出された。多価カチオンは、CMCの調製、分子量調節プロセス中におよび/またはステップd)による粉砕プロセス中に添加することができる。多価カチオンは、その場で、例えば、酸または酸性反応塩の添加により製造することもできる。多価カチオンは、1価のカチオンの代わりにまたは1価のカチオンとの組合せで添加することができる。
【0064】
一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより、少なくとも部分的に中和される。好ましくは、多価カチオンは、Sr
2+、Ca
2+またはMg
2+から、最も好ましくは、懸濁液および/または溶液中のCa(OH)
2の形態で添加されるCa
2+から選択される。
【0065】
多価カチオンは、乾燥した、部分中和的にまたは完全に中和されたCMC塩の全重量に基づいて0.1から5wt%、好ましくは2から3wt%に対応する量で添加することができる。Ca(OH)
2は、水性無機材料懸濁液中の乾燥顔料固体の全重量に基づいて50から500ppmの量で、好ましくは200から300ppmの量で添加することができる。
【0066】
多価カチオンは、水溶液、懸濁液または粉末の形態で、好ましくは懸濁液の形態で添加することができる。
【0067】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、酸または酸性反応塩を添加することによりその場で形成された1種以上の多価カチオンを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより、少なくとも部分的に中和される。好ましくは、酸は、H
3PO
4またはその酸性反応塩、例えばNa
2HPO
4、好ましくはCaHPO
4などである。
【0068】
H
3PO
4またはその酸性反応塩は、水性無機材料懸濁液中の乾燥顔料固体の全重量に基づいて50から500ppmの量で、好ましくは200から400ppmの量で、水溶液または懸濁液の形態で添加することができる。
【0069】
本発明の典型的な一実施形態によれば、少なくとも1種のカルボキシメチルセルロースのカルボキシル基は、粉砕ステップd)に先立ってまたはその最中に、1種以上の多価カチオンおよび1種以上の1価のカチオンの組合せを水性無機顔料材料懸濁液に添加することにより少なくとも部分的に中和され、多価カチオンは、好ましくはSr
2+、Ca
2+またはMg
2+から、最も好ましくは懸濁液および/または溶液中のCa(OH)
2の形態で添加されるCa
2+から選択され、1価のカチオンは、好ましくはLi
+、Na
+またはK
+から選択される。
【0070】
ステップd)
本発明による方法のステップd)において、ステップc)の水性無機材料懸濁液は粉砕される。
【0071】
一実施形態によれば、粉砕されるべき懸濁液の水性環境は、7から12、好ましくは8から11、より好ましくは8.5から10.5のpHを有する。
【0072】
粉砕プロセスは、当業者に周知の湿式粉砕用の全ての技法およびグラインダーにより着手され得る。粉砕ステップは、任意の従来の粉砕装置を用いて、例えば、精密化(refinement)が主に、二次的な物体のよる衝撃によるような条件下で、すなわちボールミル、ロッドミル、振動ミル、遠心衝撃ミル、垂直ビーズミル、アトリションミルまたは当業者に知られた他のそのような設備の1つ以上において、実施することができる。粉砕ステップd)は、回分式でまたは連続的に、好ましくは連続的に実施することができる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、粉砕ステップd)は、30から110℃、好ましくは55から105℃の温度で実施される。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、本発明の方法は、粉砕中に分散剤の使用または添加を伴わない。
【0075】
本発明の他の実施形態によれば、分散剤は、プロセスステップc)および/またはd)の前、その最中またはその後に添加される。
【0076】
本発明のさらに他の場合による実施形態によれば、炭酸アンモニウムジルコニウムなどのカルボキシル基とヒドロキシル基との架橋剤は、プロセスステップc)および/またはd)の前、その最中またはその後に添加される。
【0077】
一実施形態によれば、本発明の方法は、高固形分の自己結合顔料粒子懸濁液を直接もたらすことができる。実際、本発明の方法は、必須の濃縮ステップを回避することを可能にする。
【0078】
第2の態様により、本発明は、本発明による方法により得ることができる自己結合顔料粒子懸濁液に関連する。このような懸濁液は、自己結合無機顔料粒子を高い固体含有率で含有し、好ましくは、安定剤および/または分散剤を含まない。
【0079】
本発明の自己結合顔料粒子懸濁液は、懸濁液の水相中の全有機含有率が低くおよび/または遊離結合剤の含有率が低いことが好ましい。水相中の全有機含有率および/または遊離結合剤の含有率は、120℃で乾燥した後、450℃における強熱減量(LOI)値を測定することにより決定することができる。
【0080】
本発明の方法により得られた自己結合顔料粒子は、0.05から15μm、0.1から10μm、0.5から5μmまたは0.4から2μmのd
50値を有し得る。d
50値は、2から0.4μmの間のd
50値についてSedigraph 5100を使用しておよび2から15μmの間のd
50値および0.05から0.4μmの間のd
50値についてMalvern Laser Mastersizerを使用して決定される。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、粉砕ステップd)は、Sedigraph 5100により測定された1μm未満の粒子サイズを有する自己結合顔料粒子の画分が顔料粒子の全重量に基づいて5wt%を超え、好ましくは20wt%を超え、より好ましくは60wt%を超え、より好ましくは75wt%を超え、最も好ましくは85wt%を超えるまで実施される。
【0082】
結合剤の無機粒子の表面への非常に良好な接着により反映される改善された機械的性質は、本発明の自己結合顔料粒子の数通りの用途、例えば、塗料用途における使用を可能にする。良好な凝集性(粒子間の結合効果)は、そのような用途に有益な性質も提供する。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、本発明の方法により得ることができる自己結合顔料粒子懸濁液は、紙、プラスチック、塗料、コンクリートおよび/または農業用途において使用される。本発明の典型的実施形態によれば、本発明の方法により得ることができる自己結合粒子懸濁液は、紙において、例えば、製紙機械の湿式最終プロセスにおいて、好ましくはシガレットの紙および/もしくはコーティング用途において、または好ましくは、輪転グラビアおよび/もしくはオフセットおよび/もしくはデジタル印刷のための支持体として使用される。他の用途は、葉の表面の太陽光およびUV曝露を減少させるための木の葉および/または植物の葉のコーティングである。
【0084】
自己結合顔料粒子を作製する本発明の方法に関して上で記載された有利な実施形態は、本発明の懸濁液の調製または定義におよびその使用にも用いることができることが理解されるべきである。換言すれば、上で記載された好ましい実施形態およびこれらの実施形態の任意の組合せは、本発明の懸濁液およびその使用に適用することもできる。
【0085】
本発明の範囲および関心は、以下の実施例に基づいてよりよく理解されるが、これらの実施例は、本発明のある実施形態を例示することを意図されるもので限定するものではない。
【実施例】
【0086】
方法および材料
以下に、実施例で実施される材料および測定方法が記載される。
【0087】
ブルックフィールド粘度
自己結合顔料粒子懸濁液のブルックフィールド粘度は、製造の1時間後および室温で攪拌1分後に、適当なスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計RVT型を使用して100rpmで測定された。
【0088】
粒子サイズ
自己結合顔料粒子の粒子分布は、米国のMicromeritics社のSedigraph 5100を使用して測定された。方法および機器は当業者に知られており、充填剤および顔料の粒状物サイズを決定するために通常使用される。測定は、0.1wt%のNa
4P
2O
7を含む水溶液で実施された。試料は、高速攪拌機および超音波を使用して分散された。
【0089】
水性懸濁液の固体含有率
懸濁液の固体含有率(「乾燥重量」としても知られている)は、スイスのMettler−Toledo社のMoisture Analyser HR73を以下の設定で使用して決定した:温度120℃、自動スイッチはオフ3、懸濁液5から20gを標準的に乾燥。
【0090】
接着試験
接着試験は、コーティング層を支持体から引き離すのに必要な力を決定することにより実施された。粉砕された懸濁液は、ドイツのErichsen社の実験室用コーター624型モデルを使用して、プラスチック支持体(PPフォイル)上に異なったコーティング重量の範囲でコーティングされた。接着試験で使用されたポリプロピレンフォイル(YUPO Synteapフォイル)は、スイスのFischer Papier AG社から得られた。白色半つや消しのフォイルの厚さは80μmであった。コーティングされたプラスチックフォイルは、15wt%未満の水分含有率に乾燥された。接着は、海抜500mの高度で25℃および相対湿度50%で以下のようにして測定された:
20mmの接着性テープ片(3M製の長さ:およそ30mm、幅:19mm、scotch magic 3M810)をコーティングされたフォイルに貼り付けた。突き出た端部をばねばかり(精密天秤、Pesolaによる20100型、測定範囲0から100g)に取り付けた。コーティングされたフォイルを床に接着した後、ばねばかりは床に垂直に(角度90°)およそ30cm/分の速度で引かれ、振れ、すなわちばねの伸びが測定された。PPフォイルに対するコーティングの接着は、PPフォイルからのコーティングの除去/剥離を誘起するのに必要とされる重量により決定された。100gを超える値は、コーティングが測定中に剥離しなかったことを示す。
【0091】
凝集の測定
凝集の測定は、顔料粒子を互いから引き離すのに必要な力を決定するために実施された。得られた顔料粒子の自己結合特性を検討するために、錠剤が膜濾過プロセスを使用して調製された。高圧フィルタプレスのタイプが使用され、中空鋼管から製作された。前記管は頂部で加圧管入り口を有する蓋により閉鎖することができ、底部に濾過膜を含んでいた。次に、50から80mlの体積のスラリーが導入され、ここでスラリーは、無機物質のみを含有する懸濁液(参照試料を製作するために使用される)または本発明による自己結合粒子を含有する懸濁液(試験するための試料を製作するために使用される)のいずれかであった。蓋を閉じたら、次に15barの一定の圧力が加圧管を通して適用され、厚さ20mmの錠剤が得られるまで水を排除した。得られた錠剤は、1週間風乾した。使用された装置および方法の詳細な説明は、「Modified calcium carbonate coatings with rapid absorption and extensive liquid update capacity」(Colloids and Surfaces A、236巻(1−3号)、2003年、91−102頁)に見出すことができる。
【0092】
顔料粒子の擬円柱の固体ブロックは、ディスクミル(Jean Wirtz、Phoenix 4000)を使用して、直径25mmおよび厚さ約15mmの円板形の試料に粉砕された。この手順の詳細な説明は、「Fluid transport into porous coating structures:some novel findings」(Tappi Journal、83巻(5号)、2000年、77−78頁)」に見出すことができる。
【0093】
得られた試料は、WN158988制御装置付きのZwick−Roel引張装置(tension machine)で、棒/平板システム(半球端部付き)を使用して破砕耐性試験にかけられた。セルの力は20kNであった。試料は、長さ10mmにわたって3mm/分の速度で破砕された。2mm変形するための力の値が決定された。
【0094】
固有粘度
固有粘度は、Schott AVS 370システムにより決定された。試料は、0.2M NaCl溶液に溶解され、続いて、pHがNaOHで10に調節された。測定は、25℃で毛細管タイプ0aを用いて実施され、Hagenbach補正を使用して補正された。
【0095】
カルボキシル化度
カルボキシル化度は、Katzら、「The determination of strong and weak acidic groups in sulfite pulps」(Svensk Paperstidn、1984年、6、48−53頁)による電導度滴定により決定された。
【0096】
碁盤目試験
碁盤目試験は、DIN EN ISO 2409:2007に従ってNTカートリッジ−Aカッター(刃の厚さ:0.38mm)を使用して実施され、その際切り込み間の距離は2mmであった。試料は、ストーンウェアプレートを、湿潤体積測定コーティング35ml/m
2でコーティングして、これを150℃の高温気流中で15分間乾燥することにより調製された。
【0097】
白度(R457)および黄度指数測定
白度および黄度指数は、TAPPI T452 ISO247標準に従って決定された。光沢度は、DIN 54502/TAPPI 75に従って決定された。
【0098】
無機スラリーの調製および粉砕
390μmのd
90、165μmのd
50、20μmのd
10(ふるい分けにより決定された)を有する粉砕された乾燥炭酸カルシウムブレンドが、約0.7μmのd
50に湿式粉砕された。湿式粉砕は、1.5リットルの体積を有する垂直なアトライタミル(スイスのDynomill(登録商標)、Bachofen)中の水道水(15°dH)中において再循環方式で、直径0.6から1.2mmのケイ酸ジルコニウムビーズを使用して行った。
【0099】
[例1] 比較例
イタリアのAvenzaからの天然CaCO
3が無機顔料材料として使用され、市販のカルボキシメチルセルロース(CMC)(ACROS Organicsから)がポリマー性結合剤として使用された。使用されたCMCは、M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gであった。
【0100】
無機顔料材料懸濁液に2wt%のCMCを、水中9.9wt%の溶液の形態で添加して、混合物を3μmのd
98が達成されるまで湿式粉砕することにより、固体含有率45wt%のスラリーが調製された。
【0101】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が92wt%および1μm未満が64wt%の画分を有していた。粉砕プロセス中に、ブルックフィールド粘度は、高固形分濃度でそれ以上粉砕できない程度まで増大した。スラリーは水で希釈されて粉砕操作が続けられた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率40.5wt%およびブルックフィールド粘度485mPasであった。
【0102】
[例2] 比較例
42から48μmのd
50値に対応する細かさを有するノルウェイからの天然CaCO
3が無機顔料材料として使用され、M
w6000g/molおよびM
n2300g/molの市販のナトリウム/マグネシウムで中和されたポリアクリレートがポリマー性結合剤として使用された。
【0103】
固体含有率77.5wt%のスラリーが、ナトリウム/マグネシウムで中和された0.65wt%のポリアクリレートを、無機顔料材料懸濁液に添加して、混合物を1.4リットルの垂直なアトライタミル中で、再循環により、d
50値0.8μmが達成されるまで湿式粉砕することにより調製された。
【0104】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が90wt%、1μm未満が65wt%および0.2μm未満が15wt%の画分を有していた。
【0105】
接着試験により、得られた生成物のコーティングは、フォイルから10g未満が遊離するまたは剥ぎとられることが明らかになった。
【0106】
凝集試験は256N±100の錠剤破壊強度を示した。
【0107】
[例3]
カルボキシメチルセルロース(CMC)結合剤の調製
M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)214gを、2460mlの水に溶解して、12時間室温で攪拌した。続いて、溶液を80℃に加熱して、800μlの30wt%H
2O
2溶液を滴加した。5時間後、60μlの前記H
2O
2溶液を滴加した。その後、さらに60μlの前記H
2O
2溶液を1.5時間間隔で2回滴加した。最後に、該溶液をさらに1.5時間80℃で攪拌した。得られたCMC結合剤は179ml/gの固有粘度および7のpHを有していた。
【0108】
自己結合顔料粒子の調製
イタリアのAvenzaからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0109】
無機顔料材料懸濁液に2wt%の調製されたCMC結合剤を、水中9.9wt%の溶液の形態で添加して、該混合物を55℃で湿式粉砕することにより、固体含有率60wt%のスラリーが調製された。さらに、300ppmのCa(OH)
2を粉砕中に添加した。粉砕は、3μmのd
98が達成されるまで25分間実施された。
【0110】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が91wt%および1μm未満が61wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率60.8wt%、pH9.4およびブルックフィールド粘度922mPasであった。
【0111】
接着、凝集および碁盤目試験
接着試験は、コーティング重量5g/m
2、21g/m
2および47g/m
2で実施された。コーティングは、はかりの力100gで引いたときでさえ、フォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0112】
凝集試験は1583Nの錠剤破壊強度を示した。この試験は、偏差±250Nで3回再現された。
【0113】
碁盤目試験は、ストーンウェアプレート(無釉、サイズ:15×15cm
2、「Villeroy & Boch」(ドイツ))上で実施された。表1に、本発明の方法および先行技術の顔料粒子により得られた自己結合顔料粒子について得られた結果を示す。比較例2について得られた結果の写真を
図1に示し、例3の自己結合粒子について得られた結果の写真を
図2に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
EN ISO 2409:2007により、等級付けGT2は、コーティングが切り込みの縁に沿っておよび/または格子線の交差点で削がれて、削がれた表面が区画の約15%であることを意味する。GT5は、GT4に分類することさえできない剥がれ落ちの各程度を指し、ここでGT4は、コーティングが広い帯中のおよび/または個々の区画の切り込みの縁に沿って全体的にまたは部分的に削がれて、表面の削がれた領域が区画の約65%である場合に使用される。
【0116】
表1にまとめた結果は、例3の本発明の生成物がプラスチックまたはストーンウェアなどの全く異なった支持体上で比較例2の生成物と比較して改善された接着をもたらすことを示す。
【0117】
[例4]
自己結合顔料粒子の調製
イタリアのAvenzaからの天然CaCO
3が無機顔料材料として使用された。
【0118】
無機顔料材料懸濁液に例3に従って調製された2wt%のCMC結合剤を、水中9.9wt%の溶液の形態で添加することにより、固体含有率60wt%のスラリーが調製された。さらに、300ppmのCa(OH)
2および500ppmの炭酸アンモニウムジルコニウム(Bacote 20、MEL Chemicals)が粉砕中に添加された。粉砕は、3μmのd
98が達成されるまで25分間実施された。
【0119】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が91wt%および1μm未満が61wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率61wt%、pH9.5およびブルックフィールド粘度940mPasであった。
【0120】
木材上のコーティング
バルサ材板(コスタリカから)が、上で調製された自己結合顔料でコーティングされた。湿潤体積測定コーティングは35ml/m
2であり、木材試料は高温気流中150℃で乾燥された。
【0121】
接着試験
コーティングは、はかりの力100gで引いたときでさえ木材支持体から遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0122】
光学的性質
【0123】
【表2】
【0124】
表2にまとめた結果は、例4で調製された本発明の自己結合顔料が、木材表面の光学的表面性質を改変するために使用され得ることを示す。
【0125】
[例5]
自己結合顔料粒子の調製
イタリアのAvenzaからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0126】
無機顔料材料懸濁液に例3に従って調製された0.72wt%のCMC結合剤を、水中9.6wt%の溶液の形態で添加することにより、固体含有率50wt%のスラリーが調製された。それに加えて、1.28wt%のM
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)が、水中9.9wt%の溶液の形態で添加された。さらに、300ppmのCa(OH)
2が粉砕中に添加された。粉砕は、3μmのd
98が達成されるまで25分間50℃で実施された。
【0127】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が89wt%および1μm未満が60wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率51.5wt%、pH9.2およびブルックフィールド粘度954mPasであった。
【0128】
接着および凝集試験
接着試験は、コーティング重量7g/m
2、15g/m
2および40g/m
2で実施した。コーティングは、はかりの力100gで引いたときでさえフォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0129】
凝集試験は1659Nの錠剤破壊強度を示した。
【0130】
比較例1および2についてならびに例3および5について得られた結果を、下表3にまとめる。
【0131】
【表3】
【0132】
明確に有利な効果を、表3に示された結果から集めることができ、その理由は増大した固体含有率と一緒に減少した粘度が観察されるためである。比較例1と対照的に、例3および5においては、スラリーの粉砕がより高い固体含有率でさえまだ可能である。比較例2は、CMCでなくポリアクリレートの使用を示す。ポリアクリレートは、高い固体含有率における粉砕を可能にするポリマーとして当業者に知られている。しかしながら、それは所望の凝集性および接着性を提供しない。表3で見られるように、凝集測定は、比較例2についてだけ265Nの値を示すが、例3では1583Nおよび例5では1659Nを示す。それ故、本発明のCMCは、比較例2よりはるかに良好な結果を提供する。
【0133】
[例6]
カルボキシメチルセルロース(CMC)結合剤の調製
M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)90.8gを、1170mlの水に溶解し、12時間室温で攪拌した。続いて、溶液を80℃に加熱し、0.9mlの30wt%H
2O
2溶液を滴加した。5.5時間後に、0.5mlの前記H
2O
2溶液を滴加した。4時間後に、さらに0.2mlの前記H
2O
2溶液を滴加した。その後、溶液を2時間攪拌し、さらに0.4mlの前記H
2O
2溶液を滴加した。最後に、該溶液を、80℃でさらに4時間攪拌した。得られたCMC結合剤は、56ml/gの固有粘度を有し、10%NaOH水溶液で調節された10のpHを有していた。
【0134】
自己結合顔料粒子の調製
最初に10から300mmのCaCO
3岩を、42から48μmのd
50値に対応する細かさに自然に乾式粉砕することにより得られたノルウェイからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0135】
固体含有率72.1wt%のスラリーが、0.69wt%の調製されたCMCおよび300ppmのCa(OH)
2を、無機顔料材料懸濁液に添加して、該混合物を1.4リットルの垂直なアトライタミル中で、再循環により、0.8μmのd
50値が達成されるまで湿式粉砕することにより調製された。
【0136】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が90wt%、1μm未満が65wt%および0.2μm未満が15wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率72.1wt%、pH9.6およびブルックフィールド粘度273mPasであった。
【0137】
接着試験
接着試験は、コーティング重量10g/m
2および35g/m
2で実施された。10g/m
2のコーティング重量に対して、コーティングは、はかりの力100gで引いたときでさえ、フォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなくおよびコーティングは、35g/m
2のコーティング重量に対して、はかりの力35gで引いたとき、フォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0138】
[例7]
カルボキシメチルセルロース(CMC)結合剤の調製
M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)124gを、1299mlの水に溶解して、12時間室温で攪拌した。続いて、溶液を80℃に加熱し、2mlの30wt%H
2O
2溶液を20分かけて滴加した。4.5時間後に、1.2mlの前記H
2O
2溶液を20分かけて滴加した。2時間後に、追加の前記H
2O
2溶液0.8mlを20分かけて滴加した。その後、溶液を7時間80℃で攪拌した。室温に冷却後、得られたCMC結合剤は、23.7ml/gの固有粘度を有し、10%NaOH水溶液で調節された10のpHを有していた。
【0139】
自己結合顔料粒子の調製
最初に10から300mmのCaCO
3岩を、溶媒を添加せずに42から48μmのd
50値に対応する細かさに乾式粉砕することにより得られたノルウェイからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0140】
無機顔料材料懸濁液に0.58wt%の調製されたCMCを添加し、該混合物を1.4リットルの垂直なアトライタミル中で、再循環により、0.8μmのd
50値が達成されるまで湿式粉砕することにより、固体含有率73.8wt%のスラリーが調製された。
【0141】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が90wt%、1μm未満が65wt%および0.2μm未満が15wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率73.8wt%、pH8.4およびブルックフィールド粘度292mPasであった。
【0142】
接着試験
接着試験は、コーティング重量14g/m
2で実施された。コーティングは、はかりの力40gまでフォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0143】
[例8]
カルボキシメチルセルロース(CMC)結合剤の調製
M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)93gを、2255mlの水に溶解して、12時間室温で攪拌した。続いて、溶液を80℃に加熱し、0.34mlの30wt%H
2O
2溶液を20分かけて滴加した。3時間後に、27μlの前記H
2O
2溶液を添加した。最後に、該溶液を2.5時間80℃で攪拌した。得られたCMC結合剤は、178ml/gの固有粘度を有し、室温に冷却後10%NaOH水溶液で調節された10のpHを有していた。
【0144】
自己結合顔料粒子の調製
最初に10から300mmのCaCO
3岩を、溶媒を添加せずに42から48μmのd
50値に対応する細かさに乾式粉砕することにより得られたノルウェイからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0145】
無機顔料材料懸濁液に、0.93wt%の調製されたCMCおよび300ppmのCa(OH)
2を添加して、該混合物を1.4リットルの垂直なアトライタミル中で、再循環により、0.8μmのd
50値が達成されるまで湿式粉砕することにより、固体含有率68.2wt%のスラリーが調製された。
【0146】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が90wt%、1μm未満が65wt%および0.2μm未満が15wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率68.2wt%、pH9.5およびブルックフィールド粘度1016mPasであった。
【0147】
接着試験
接着試験は、コーティング重量7g/m
2、26g/m
2および48g/m
2で実施された。コーティングは、7g/m
2および26g/m
2のコーティング重量に対して、はかりの力100gで引いたときでさえ、フォイルから遊離するまたは剥ぎとられることはなかった。コーティングは、48g/m
2のコーティング重量に対して、はかりの力90gまでフォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0148】
例6から8について得られた結果を、下表4にまとめる。
【0149】
【表4】
【0150】
[例9]
カルボキシメチルセルロース(CMC)結合剤の調製
M
w250000g/mol、カルボキシル化度1.2および固有粘度774ml/gの市販のCMC(ACROS Organicsから)3.4kgを40Lの水に溶解して、24時間室温で攪拌した。続いて、溶液を80℃に加熱し、150mlの30wt%H
2O
2溶液を2時間かけて滴加した。22時間後に、追加のH
2O
2溶液20mlを2時間かけて添加した。最後に、該溶液を8時間80℃で攪拌した。得られたCMC結合剤は、28ml/gの固有粘度を有し、室温に冷却後10%NaOH水溶液で調節された10のpHを有していた。CMC溶液を噴霧乾燥した。
【0151】
自己結合顔料粒子の調製
最初に10から300mmのCaCO
3岩を、溶媒を添加せずに42から48μmのd
50値に対応する細かさに乾式粉砕することにより得られたノルウェイからの天然CaCO
3が、無機顔料材料として使用された。
【0152】
無機顔料材料懸濁液に0.73wt%の調製されたCMCおよび0.03wt%H
3PO
4を添加して、該混合物を1.4リットルの垂直なアトライタミル中で、60℃で再循環により、0.8μmのd
50値が達成されるまで湿式粉砕することにより、固体含有率76.1wt%のスラリーが調製された。
【0153】
Sedigraph 5100で測定された粒子サイズ分布は、2μm未満が90wt%、1μm未満が65wt%および0.2μm未満が15wt%の画分を有していた。得られた顔料粒子懸濁液は、固体含有率76.0wt%、pH8.7およびブルックフィールド粘度482mPasであった。
【0154】
接着試験
接着試験は、コーティング重量15g/m
2で実施された。コーティングは、はかりの力100gで引いたときでさえ、フォイルから遊離するまたは剥ぎとられる(剥離される)ことはなかった。
【0155】
光学的性質
【0156】
【表5】
【0157】
例2、3および5から8についての接着試験の得られた結果を下表6にまとめる。
【0158】
【表6】
【0159】
接着および機械的性質の測定は、コーティング層を乾燥後に行われた。表6から集約されるように、本発明の自己結合顔料粒子のコーティングは、より高重量であってもまたはより強く曲げられても、剥がされまたは剥離することがなかった。剥離は、比較例2のコーティングについてのみ観察された。