(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964406
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】円錐ねじを持つ管又はホース
(51)【国際特許分類】
F16L 19/065 20060101AFI20160721BHJP
F16L 19/06 20060101ALI20160721BHJP
F16L 19/028 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
F16L19/065
F16L19/06
F16L19/028
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-505566(P2014-505566)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-514515(P2014-514515A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012055817
(87)【国際公開番号】WO2012131049
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】102011015895.2
(32)【優先日】2011年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513208847
【氏名又は名称】パルケル・ハンニフイン・マニユフアクチユリング・ジヤーマニー・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(72)【発明者】
【氏名】シペルス, カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ミユレル, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ナイスケ, オリフエル
(72)【発明者】
【氏名】ウドヘーフエル, アンドレアス
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0140920(US,A1)
【文献】
米国特許第04802695(US,A)
【文献】
米国特許第06598908(US,B1)
【文献】
特開2001−056075(JP,A)
【文献】
米国特許第04770448(US,A)
【文献】
特表2010−509548(JP,A)
【文献】
特開平02−080886(JP,A)
【文献】
特開2010−031941(JP,A)
【文献】
実公昭61−010072(JP,Y2)
【文献】
独国特許出願公開第102005054402(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L19/00−19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管又はホース用接続装置であって、導管又はホースを通って流れる媒体を導いて通す穴を持つねじ連結体(10)と、ねじ連結体(10)の前端に形成される受入れ部へ差込み可能でねじ連結体(10)の外周に設けられる雄ねじ(30)上へねじはめ可能な雌ねじ(31)を持ちかつ取外し位置と組立て位置との間でねじ回し可能に設けられる袋ナット(17)により受入れ部の中に固定可能な管状末端片(13)とを有し、ねじ連結体(10)の受入れ部が広がる円錐の形に形成され、受入れ部へはまる末端片(13)の周面が、ねじ連結体(10)に形成される受入れ円錐(11)に一致して末端片(13)の端部へ先細になる円錐形状を持っているものにおいて、末端片(13)が管(14)の一体の構成部分であり、ネジ連結体(10)の受入れ円錐(11)によって受入れられる末端片(13)の前部円錐面(19)が、末端片(13)又は管(14)における変形によって形成された隆起(15)に形成されていること、雄ねじ(30)を持つねじ連結体(10)の周面(12)が、その前端の方へ受入れ円錐(11)に対して逆向きに傾斜する推移を持ち、袋ナット(17)の雌ねじ(31)を持つ面(18)が、ねじ連結体(10)の周面(12)の推移に対して相補的な推移を持ち、雄ねじ(30)及び雌ねじ(31)が円錐ねじとして形成されて、接続装置を組立てる際円錐状末端片(13)からねじ連結体(10)に形成されている受入れ円錐(11)へ及ぼされる半径方向力に対して、袋ナット(17)をねじはめる際円錐ねじから及ぼされる半径方向力が逆向きであること、及び、最初の組立ての際、ねじ連結体(10)上で所定の締付けトルクにより規定される袋ナット(17)の組立て位置に達する際、袋ナットのねじはめ方向で前側に位置する雄ねじ(30)及び雌ねじ(31)の歯面(25b,26b)の間及びそれぞれのねじ谷底(27)に、円錐ねじの再締め予備としての間隙(28)がそれぞれ残るように、円錐ねじの歯面(25,26)の形状が設計されていることを特徴とする、接続装置。
【請求項2】
円錐ねじが三角ねじ山円錐ねじとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
円錐ねじが、そのねじ山が台形断面を持つねじとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置。
【請求項4】
ねじ連結体(10)に形成される雄ねじ(30)と袋ナット(17)に形成される雌ねじ(31)が、それぞれ互いに異なるピッチを持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の接続装置。
【請求項5】
ねじ連結体(10)に形成される雄ねじ(30)のピッチが、袋ナット(17)に形成される雌ねじ(31)のピッチより大きく形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
ねじ連結体(10)に設けられる雄ねじ(30)のねじ山と、袋ナット(17)に形成される雌ねじ(31)のねじ山が、その歯面(25,26)の異なる開き角を持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の接続装置。
【請求項7】
袋ナット(17)に形成される雌ねじ(21)のねじ山の歯面(26)が、ねじ連結体(10)に形成される雄ねじ(30)のねじ山の歯面(25)より大きい開き角を持っていることを特徴とする、請求項6に記載の接続装置。
【請求項8】
内側の受入れ円錐(11)と雄ねじ(30)を持つ外側の面(12)との間にあるねじ連結体(10)の末端部分が、受入れ円錐(11)へ押込まれる末端片(13)の方へ内方へ弾性的に予荷重をかけられているように、接続装置の最終組立て状態に規定される締付けトルクが設定されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の接続装置。
【請求項9】
ねじ連結体(10)に設けられる雄ねじ(30)が、袋ナット(17)に形成される雌ねじ(31)より大きい軸線方向長さを持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の接続装置。
【請求項10】
末端片(13)の円錐範囲を受入れるねじ連結体(10)の受入れ円錐(11)の内面に、密封片(21)を収容する溝(20)が形成されていることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管又はホース用接続装置であって、導管又はホースを通って流れる媒体を導いて通す穴を持つねじ連結体と、ねじ連結体の前端に形成される受入れ部へ差込み可能でねじ連結体の外周に設けられる雄ねじ上へねじはめ可能な雌ねじを持ちかつ取外し位置と組立て位置との間でねじ回し可能に設けられる袋ナットにより受入れ部の中に固定可能な管状末端片とを有し、ねじ連結体の受入れ部が広がる円錐の形に形成され、受入れ部へはまる末端片の周面が、ねじ連結体に形成される受入れ円錐に一致して末端片の端部へ先細になる円錐形状を持っているものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような接続装置はドイツ民主共和国特許出願公開第204059号明細書から公知である。そこではねじ連結体として形成される雄ねじと、対応して袋ナットに形成される雌ねじは、それぞれ円筒状ねじとして形成されているので、ねじ連結体の雄ねじを持つ周面は、接続装置の縦軸線に対して平行な推移を持っている。末端片を持つねじ連結体の受入れ部は、差込むべき末端片の方へ外方へ広がっていわゆる規格化24°円錐の形の円錐を持っている。ねじ連結体と末端片との間の適当な当接面を形成するために、末端片は、ねじ連結体の受入れ円錐へ押込まれるその前方範囲に、ねじ連結体の受入れ円錐に一致する円錐形状を持っている。
【0003】
公知の接続装置は次の欠点を持っている。即ち組立ての際、円筒ねじのため、袋ナットをまず複数回だけ回してねじ連結体上へねじはめ、それから適当な工具により最終組立て位置における所定のトルクに達するまでしっかり締めねばならない。このような組立ては複雑であり、特に近づき難い範囲に設けられる接続装置の場合、実施するのに困難である。別の欠点は次の通りである。即ち袋ナットを強く締めすぎると、それに応じた軸線方向力でねじ連結体の受入れ円錐へ押込まれる末端片が、ねじ連結体の受入れ円錐を、円筒状雌ねじをねじ連結体に形成される円筒状雄ねじ上へねじはめられる袋ナットの円筒状当接面へ向かって広げようとするので、ねじ連結体又は袋ナットの損傷及びそれに伴う管接続部の漏れを生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の基礎になっている課題は、最初にあげた種類の接続装置において、その組立てを簡単にし、前記の欠点も回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決策は、有利な構成及び展開を含めて、この明細書の後に置かれる特許請求の範囲から明らかになる。
【0006】
本発明は、その基本思想において、雄ねじを持つねじ連結体の周面が、その前端の方へ受入れ部の円錐に対して逆向きに傾斜する推移を持ち、袋ナットの雌ねじを持つ面が、ねじ連結体の周面の推移に対して相補的な推移を持ち、雄ねじ及び雌ねじが円錐ねじとして形成されて、接続装置を組立てる際円錐状末端片からねじ連結体に形成されている受入れ円錐へ及ぼされる半径方向力に対して、袋ナットをねじはめる際円錐ねじから及ぼされる半径方向力が逆向きである。
【0007】
本発明に、まず次の点で簡単な組立ての利点が伴う。即ち袋ナットは、本発明により使用される円錐ねじのため、まず回転運動なしに、ねじ連結体に形成される雄ねじの第1のねじ山上へ押しかぶせることができ、その際ねじの円錐形状は心出し補助として作用する。それに続いて、ねじ接続部をしっかり締める前に、例えば最大2回転しか必要としない。それ以外の利点として、押込むべき末端片の方へ収縮する円錐の形で、ねじ連結体及び袋ナットのねじ山を持つ面の、円錐ねじの使用と関連する推移のため、接続装置の最終組立ての際、ねじ連結体の受入れ円錐へ押込まれる末端片から半径方向外方へ及ぼされる力が、円錐ねじ連結に由来して半径方向内方へ向く反作用力に対立し、この反作用力は更にねじ連結体内における末端片の増大する結合力と共に増大する。それによりねじ連結体における受入れ円錐の拡張は起こらないので、本発明による接続装置の安全性及び密封性が改善されている。
【0008】
本発明を実施するため、末端片の前端部範囲を、ねじ連結体の受入れ円錐に一致する円錐形状を持つように設計すべき場合、これを管の末端片のつば出し又は丸めにより、又は適当な円錐状当接面を持つ末端片を管に溶接又はろう付けすることにより、又はそれをホースに取付けることにより、又は適当な円錐状当接面を持ちかつ原理において例えばドイツ連邦共和国特許第4038539号明細書から公知の切断環を接続ねじの内部に設けることによって行うことができる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、円錐ねじが三角ねじ山円錐ねじとして形成されている。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、円錐ねじが、ねじ側面を平らにされた台形断面を持つねじとして形成されている。このような台形ねじは比較的大きい
ピッチを持ち、従って組立ての際三角ねじ山円錐ねじと比較して一層少ない回転
しか必要でない。
【0011】
本発明の有利な実施形態によれば、最初の組立ての際、ねじ連結体上で所定の締付けトルクにより規定される袋ナットの組立て位置に達する際、ねじはめ方向に位置する雄ねじ及び雌ねじの歯面の間及びそれぞれのねじ谷底に、円錐ねじの再締め予備としての間隙が残るように、円錐ねじの歯面の形状が設計されている。これによりまず過度組立てに対する過負荷保護が行われる。同時に、接続装置の反復組立て中にねじの製造の際の公差を補償するため、袋ナットがある程度ねじ連結体上へ更にねじはめられる場合、最初の組立ての際残る間隙が再締め予備を形成する。組立てられる接続装置において袋ナットが意図せずに外れないようにするため、緩めトルクが小さすぎてはならない。円錐ねじの自縛を行う途中に付加的な保護が行われていない場合、袋ナットを締付け方向とは逆に回すことにより接続装置を再び外すため、締付けトルクの少なくとも60%が必要であるように、円錐ねじの角度を選ぶべきである。
【0012】
接続装置の予期しないはずれに対して保護するため、本発明の実施形態によれば、ねじ連結体上で所定の締付けトルクにより規定される袋ナットの組立て位置に達する前に、雄ねじ及び雌ねじのそれぞれ共同作用する歯面が互いに当接し、それぞれのねじ谷底に間隙が残るように、円錐ねじの歯面が設計されている。円錐ねじをこのように形成すると、雄ねじと雌ねじの歯面は、既に組立て位置へ達する前に、ねじ谷底で接触が行われることなく、互いに乗り上げる。歯面が互いに乗り上げるため、トルクが増大する。なぜならば、雄ねじ及び雌ねじのねじ輪郭は、それぞれ楔にようにはまり合うからである。これによりねじ連結体及び袋ナットに形成される円錐ねじの自縛が行われるが、ねじ連結体上でナットがそれ以上ねじられない点状ブロック組立ては行われない。これに反し接続装置を外すために必要なトルクは強く増大され、それにより自縛が行われる。
【0013】
自縛を行う別の実施形態によれば、ねじ連結体に形成される雄ねじと袋ナットに形成される雌ねじが、それぞれ互いに異なる
ピッチを持っている。少し異なる
ピッチを持つ円錐ねじを設計すると、ナットに対するねじ連結体の所望の自縛の程度及び力−トルク推移が変化可能である。本発明の実施形態に従って、ねじ連結体に形成される雄ねじの
ピッチが、袋ナットに形成される雌ねじの
ピッチより大きく形成されていると、それぞれ最初及び最後のねじ山を介してのみ、ねじり阻止を行う楔作用が生じる。その場合
ピッチにおける偏差の大きさは、接触面の大きさ及びそれにより生じる自縛の作用を表す。更に使用の場合生じる管内圧により円錐ねじのねじ側面に作用する引張り荷重は、円錐ねじにおいて一層大きい後部ねじ直径の方へ移される。
【0014】
円錐ねじの自縛の別の実施形態は、ねじ連結体に設けられる雄ねじのねじ山と、袋ナットに形成される雌ねじのねじ山が、その歯面の異なる開き角を持っていることを特徴としている。例えば本発明の実施形態により、袋ナットのねじ山の歯面に対して、ねじ連結体の範囲におけるより大きい開き角を選ぶと、これが袋ナット内にあるねじ連結体の前端にあるねじの締付けを行う。なぜならば、ここで異なる開き角が互いに突き合わされるからである。ねじの後部推移における別のねじ山は接触しないままである。
【0015】
ブロック組立て状態に達する前における円錐ねじの自縛は、本発明の実施形態によれば、内側の受入れ円錐と雄ねじを持つ外側の周面との間にあるねじ連結体の末端部分が、受入れ円錐へ押込まれる末端片の方へ内方へ弾性的に予荷重をかけられているように、接続装置の最終組立て状態に規定される締付けトルクが設定されていることによって、強めることができる。この場合接続装置の最終組立て位置へ達するために推奨されるトルクは、ねじ山の異なる開き角のかみ合いの際、ねじ連結体の開いた末端部分がその直径を少し減少し、従って弾性的に内方へ押付けられるように、選ばれる。その際末端部分は、その内側で、受入れ円錐へ押込まれる同様に円錐状の末端片端部による支持を受ける。これにより自縛が、末端片と袋ナットとの間の囲繞楔の形で発生され、それにより接続装置の外しトルクが高められる。
【0016】
円錐ねじにおける自縛の別の構成は、本発明の実施形態によれば、ねじ連結体に設けられる雄ねじが、袋ナットに形成される雌ねじより大きい軸線方向長さを持っていることによって、得られる。それにより、最終組立て位置に達し、所定の締付けトルクを維持する際、部材の部分的かみ合いが起こる。これが、部材の変形及び締付け/自縛を生じる。このような締付けは塑性的にも弾性的にも行うことができ、即ち円錐ねじの自縛は、接続装置の最終組立ての際にのみ起こるか、又は反復組立ての際にも有効になり、こうして外しトルクを更に高めることができる。
【0017】
末端片とねじ連結体との間の密封の改善に関して、本発明の実施形態によれば、末端片の円錐範囲を受入れるねじ連結体の受入れ円錐の内面に、密封片を収容する溝が形成されている。
【0018】
図面には本発明の実施例が示されており、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】接続体、その中へ差込まれる末端片、及び三角ねじ山円錐ねじとして形成される円錐ねじにより接続体に固定される袋ナットを持つ接続装置を、最終組立て状態において、部分的に切欠いた側面図で示す。
【
図3】ねじ連結体と袋ナットの接続のために利用されるいわゆる台形ねじとしての円錐ねじを、切断された側面図で示す。
【
図4】ねじ連結体に設けられる雄ねじ及び袋ナットにある雌ねじの三角ねじ山円錐ねじとして形成されるねじ輪郭を、
図1及び2による最終組立て位置におけるかみ合いで、拡大側面図で示す。
【
図6】ねじ連結体及び袋ナットの互いに当接する歯面による自縛のために設けられる台形ねじを、最終組立て位置へ達する前に示す。
【
図7】
図6による台形ねじをねじ連結体及び袋ナットの組立て位置で示す。
【
図8】ねじ連結体及び袋ナットの異なる
ピッチによる自縛のために設けられる台形ねじを組立て位置へ達する前に示す。
【
図10】ねじ連結体及び袋ナットの歯面の異なる開き角による自縛のために設けられる台形ねじを接続装置の組立て位置で示す。
【
図11】ねじ連結体及び袋ナットに形成される台形ねじの異なる長さによる自縛のために設けられる円錐ねじを組立て位置に達する前に示す。
【
図12】
図11による台形ねじを接続装置の組立て位置で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず
図1からわかる接続装置は、前(右)端にその中へ押込まれる末端片13を受入れる受入れ円錐11を持つねじ連結体10を含み、受入れ円錐11は広がる円錐の形をもっている。受入れ円錐11の範囲にあるねじ連結体の外周面12は、その前端の方向に、受入れ円錐11の円錐に対して逆向きに傾斜する推移を持ち、この周面12に雄ねじ30が形成されている。
【0021】
ねじ連結体10の受入れ円錐11へ押込まれる末端片13は管14の一体の構成部分であり、末端片13又は管14における適当な変形により、隆起15が形成されている。隆起15は、一方ではそのねじ連結体10から遠い方の端部に、管14上へ押しはめられる袋ナット17用の支持面16を形成し、同時に末端片13の前部周面は円錐面19として形成されて、ねじ連結体10にある受入れ円錐11の円錐形状と一致する円錐形状を持っている。管14上へ押しはめられて隆起15の支持面16に支持される袋ナット17は、その内部に円錐状に広がる内面18を持ち、この内面に雌ねじ31が形成されている。ねじ連結体10の雄ねじ30と袋ナット17の雌ねじ31は、周面12及び内面18の一致する円錐形状のため、一緒になって適当な
ピッチを持つ円錐ねじを形成している。
図1に示す実施例では、円錐ねじは三角ねじ山円錐ねじとして形成されている。
【0022】
ねじ連結体10に対して末端片13を密封するため、受入れ円錐11の内周面に、中に密封環21を挿入される溝20が形成されている。更にねじ連結体10の外周には指示環22が示され、この指示環により接続装置の組立て状態を知ることができる。しかし指示環の形成及び機能は、本発明に関して問題ではない。
【0023】
図2には本発明の少し変わった構成が示され、相違点は次の通りである。即ち末端片13はそれに続く管14と共に円筒状に形成され、受入れ円錐11へ押込まれる末端片13の外周に切断環23が設けられて、その外周に今やねじ連結体10の一致する受入れ円錐11にある円錐状当接面24を形成している。このような切断環を設けることは、ドイツ連邦共和国特許第4038539号明細書から原則的に公知である。
【0024】
両方の実施例からわかるように、本発明に実現のために重要なことは、ねじ連結体10の受入れ円錐11へ押込まれる末端片13の範囲に、受入れ円錐11に当接するための円錐面が形成されていることである。この円錐面が個々にどんな構造形状で形成されているかが、本発明による接続装置の実現にとって重要でない。前述した
図1及び2においてねじ連結のために使用される円錐ねじの構成が三角ねじ山円錐ねじとして示されているが、台形ねじとして形成される円錐ねじも適しており、それが
図3に示されている。
【0025】
形成される円錐ねじを持つ接続装置の前述した構造から、既に本発明の重要な利点がわかり、それによれば、袋ナット17をまず回転運動なしに、ねじ連結体10に形成された雄ねじ30の最初のねじ山上へ押しはめることができ、その際ねじの円錐形状が心出し補助手段として作用する。それに続いて、ねじ結合部をしっかり締める前に、少しだけ例えば最大2回転を必要とする。更に
図3において本発明の別の利点が明らかであり、それによれば、接続装置の最終組立ての際ねじ連結体10の受入れ円錐へ押込まれる末端片13から半径方向外方へ及ぼされる力(矢印40)に、円錐ねじ連結に由来して半径方向内方へ向く反作用力(矢印41)が対向し、この反作用力は、更にねじ連結体10内における末端片13の増大する結合力により同様に増大する。
【0026】
図4及び5には、三角ねじ山円錐ねじ及び台形ねじの構成が、過負荷保護又は再締め予備付きで示されている。このため袋ナット17の雌ねじ31及びねじ連結体10の雄ねじ30のそれぞれのねじ山は、組立て状態においてねじはめ方向にある雄ねじ30の歯面25aと雌ねじ31の歯面26aとが互いに当接するように、構造的に形成され、その際反対側の歯面25b及び26bにも、ねじ谷底27にも、それぞれ間隙28が残る。特にこの間隙28は、接続装置の反復組立て中に袋ナット17がある程度更にねじ連結体10上へねじはめられる場合に、必要になる再締め予備を形成している。
【0027】
続いて説明される
図6〜12に示されている本発明の実施例は、台形ねじとして形成される円錐ねじにおける自縛装置に関する。しかし台形ねじの構造的形成は、詳細に示すか又は説明することなしに、三角ねじ山円錐ねじにおいても同様に行われる。
【0028】
図6及び7に示す実施例では、ねじ連結体10及び袋ナット17にそれぞれ形成される台形ねじの自縛は、共同作用するねじ山のそれぞれの歯面25及び26が組立て位置で互いに当接し、それぞれのねじ谷底27に再び間隙28が残るように、これらの歯面25及び26の形状が設計されていることによって、実現される。
図6と7との比較からわかるように、
図7に示す組立て状態では、それ
ぞれ互いに当接する歯面25aと26a及び25bと26bが、ねじ谷底27に間隙28を残して互いに当接している。組立ての際雄ねじ30及び雌ねじ31のねじ輪郭が、それぞれ楔のように互いにはまり合っている場合、それに伴う歯面25及び26の相互乗り上げのためトルクが増大して、所望の自縛を行う。
【0029】
図8及び9に示す実施例では、ねじ連結体10及び袋ナット17にそれぞれ形成される台形ねじの自縛は、ねじ連結体10に形成される雄ねじ30と袋ナット17に形成される雌ねじ31が互いに異なるそれぞれ1つの
ピッチを持っていることによって実現される。このため
図9からわかるように、ねじ連結体10に形成される少し大きい
ピッチにおいて、それぞれ最初及び最後のねじ山を介してのみ、回転を阻止する楔作用が生じる。その間にある雄ねじ30及び雌ねじ31の歯面は接触しないままである。
【0030】
例示される台形ねじの自縛の別の構成が
図10からわかる。この場合雄ねじ30及び雌ねじ31は、その歯面25a,25b及び26a,26bの異なる大きさの開き角をそれぞれ持っている。袋ナット17に形成される雌ねじ31に対して例えば12°の開き角を選び、ねじ連結体10に形成される雄ねじ30に対して11°の開き角を選ぶと、これが、袋ナット17の内部へ達するねじ連結体10の前端においてのみそれぞれ終わるねじの締付けを行う。なぜならば、異なる開き角で形成されるねじ山が、ここで互いに突き当たるからである。後部のねじ連結中に、それ以外のねじ山は接触しないままである。
【0031】
最後に
図11及び12に示す実施例では、図示した台形ねじの自縛は、ねじ連結体10に設けられる雄ねじ30が袋ナット17に形成される雌ねじ31より大きい軸線方向長さを持っていることによって行われる。それにより最終組立て位置に達すると、両者のねじ山の部分的なかみ合いが起こり、このかみ合いが両方の部材の変形と締付け又は自縛を生じる。
【0032】
前記の説明、特許請求の範囲、要約及び図面に開示されたこの書類の対象の特徴は、個々にも任意の組合わせでも、本発明を種々の実施形態で実現するために重要である。