特許第5964410号(P5964410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964410
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】引出し用のレールシステム
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   A47B88/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-506686(P2014-506686)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公表番号】特表2014-512236(P2014-512236A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】AT2012000045
(87)【国際公開番号】WO2012145768
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】A587/2011
(32)【優先日】2011年4月27日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガッセル,インゴ
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3031495(JP,U)
【文献】 米国特許第06412893(US,B1)
【文献】 特開平07−213359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁(2)と、該内壁(2)に接続可能な外壁(3)とを有する引出しの側壁(1)であって、
前記引出しの側壁(1)が接続可能な収容体レール(4)が取り付けられており、前記収容体レール(4)を引出し延出ガイド(11)の延出レール(12)に固定することができ、前記収容体レール(4)には、引出し前方パネル(7)を固定するための装置(6)を備えた、前記収容体レール(4)とは分離した上方に突出する前方装着具(5)が配置されており、
下方領域では前記内壁(2)は、前記収容体レール(4)に直接的且つ固定的に接続されており、前記内壁(2)の上方領域では前記前方装着具(5)は、前記内壁(2)に直接的且つ固定的に接続されていることを特徴とする引出しの側壁。
【請求項2】
前記収容体レール(4)には、引出し後壁(10)を固定する装置(9)を備えた上方に突出する後方装着具(8)が配置されており、前記内壁(2)の上方領域では前記後方装着具(8)が、前記内壁(2)に直接的且つ固定的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の引出しの側壁。
【請求項3】
前記前方装着具(5)が、前記収容体レール(4)に対し、直接的且つ固定的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の引出しの側壁。
【請求項4】
前記後方装着具(8)が、前記収容体レール(4)に対し、直接的且つ固定的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の引出しの側壁。
【請求項5】
前記内壁(2)は、少なくとも部分的に鋼材を含んでいることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の引出しの側壁。
【請求項6】
前記収容体レール(4)および/または前記前方装着具(5)が、少なくとも部分的に鋼材を含んでいることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の引出しの側壁。
【請求項7】
前記後方装着具(8)が、少なくとも部分的に鋼材を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の引出しの側壁。
【請求項8】
前記外壁(3)は、前記内壁(2)と分離して形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の引出しの側壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内壁と、内壁に接続可能な外壁とを有する引出しの側壁に関する。
【背景技術】
【0002】
引出しの側壁が接続可能な収容体レールが提供されており、収容体レールには、引出し前方パネルを固定するための装置を備えた、上方に突出する前方装着具が配置されている。
【0003】
引出し側壁は、収容体レールに配置または固定されていることが多い。典型的にはその後、2本の収容体レールが引出し底部の下側にある適切な開口部へと挿入され、家具枠体に配置された2つの引出し延出ガイドの可動延出レールに引出しを接続する役割を果たす。
【0004】
従来技術の収容体レールの場合、前方装着具と後方装着具は、その上にそれぞれ配置されていることが多く、これら装着具は、引出し前方パネルと引出し後壁とをそれぞれ固定させる役割を果たす(例えば特許文献1、特許文献2)。通常は、引出し前方パネルによって、このような構造物に適用される作用力は、例えば引出しを閉じるために押す動作によるものであり、この場合には、作用力は、前方装着具の固定点または固定領域によって主に収容体レールへ運ばれる。特に、高い(縦長の)引出し前方パネルまたは縦長の前方装着具の場合には、安定性の欠如につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1084655A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1157636A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術に勝る改良された引出し側壁の提供である。特に本発明は、引出し前方パネルによる力が作用する場合に、高レベルの安定性の達成を追求する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これは、請求項1の特徴によって達成できる。本発明のさらなる有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明によれば、下方領域では、内壁は、収容体レールに直接固定式に接続されており、内壁の上方領域では、前方装着具は、内壁に直接固定式に、好適には溶接によって接続されている。
【0009】
このように、特に前方装着具に取り付けられた引出し前方パネルによる力が作用する場合に安定性が向上する。内壁の上方領域での引出し側壁の内壁への前方装着具の追加固定によって、作用力は、収容体レールへの前方装着具の固定点または固定領域のみによって主として支持される必要がなくなる。この作用力は、引出し側壁へ前方装着具の固定点または固定領域によっても運ばれる。この結果、作用力が引出しにさらに良好に作用するだけでなく、全体的にさらに安定した構造物も提供する。加えて、結果的に収容体レールへの前方装着具の固定がさらに簡素化されるので、さらに安価となる。引出し側壁の内壁への前方装着具の接続は、この場合には、例えば溶接、リベット留め、ネジ留め、クリンチ加工、またはウォブルクリンチ加工によって実行できる。
【0010】
特に好適な実施例では、収容体レールには、引出し後壁を固定する装置を備えた上方に突出する後方装着具を取り付けることができ、内壁の上方領域では、後方装着具を内壁に直接固定式に、好適には溶接、リベット留め、ネジ留め、クリンチ加工、またはウォブルクリンチ加工によって接続できる。
【0011】
この点で、前方装着具および/または後方装着具が収容体レールに直接固定式に、好適には溶接、リベット留め、ネジ留め、クリンチ加工、またはウォブルクリンチ加工によって接続されていることが特に有利であることが分かっている。これは収容体レールから形成される安定したフレームを提供し、装着具(前方装着具と後方装着具)は、前方装着具と後方装着具を直接固定式に接続できる収容体レールと内壁に配置される。下方領域では、内壁は、収容体レールに、例えばクリンチ加工、リベット留め、ネジ留め、または溶接によって直接固定式に接続される。安定したフレームによって、例えば引出し前方パネルまたは引出し後壁によってその構造物に適用される作用力は、非常に良好に吸収される。なぜなら、前方装着具と後方装着具を引出し側壁の内壁に固定することができ、特に、引出し側壁の外壁は、前述したような作用力には影響されない。このように外壁は、純粋な外装要素の形態でも構わず、そのような力作用に耐えられないであろう材料を含むことができる。
【0012】
本発明の特に有利な実施例では、内壁は、少なくとも部分的に鋼材を含んでいる。さらに収容体レールおよび/または前方装着具および/または後方装着具が少なくとも部分的に鋼材を含んでいる場合には、前方装着具および/または後方装着具の内壁および収容体レールへの接続は、溶接によって、特に簡易で安価な形態で実行できる。
【0013】
腐食から保護するため、前方装着具および/または後方装着具は、少なくとも部分的に亜鉛メッキ鋼材シートを含むことができる。引出し側壁の内壁および/または外壁は、例えば少なくとも部分的にアルミニウムおよび/または被覆(例えばプラスチックコーティング)された鋼材および/またはステンレス鋼を含むことができる。
【0014】
本発明のさらなる詳細と利点は、以降の詳細な説明によって解説されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、引出し延出ガイドによって家具枠体に対して移動可能に取り付けられた引出しを備えた家具の斜視図である。
図2図2は、引出し前方パネルがない状態の引出しの斜視図である。
図3図3は、収容体レールの斜視図である。
図4図4は、引出し側壁に配置された内壁を備えた図3の収容体レールを示している。
図5図5は、収容体レールと内壁に配置された前方装着具と後方装着具を示している。
図6図6は、収容体レールと内壁に配置された前方装着具と後方装着具の別実施例を示している。
図7a図7aは、図6の詳細図である。
図7b図7bは、図6の詳細図である。
図8図8は、収容体レールに配置された本発明の引出し側壁の斜視図である。
図9図9は、外壁のない状態の図8の引出し側壁の正面図である。
図10図10は、外壁が配置された状態の図9の構造物を示している。
図11図11は、高さがさらに低い図6に示す本発明の引出し側壁の斜視図である。
図12a図12aは、図11の詳細図である。
図12b図12bは、図11の詳細図である。
図13図13は、高さがさらに低い、収容体レールに配置された本発明の引出し側壁の斜視図である。
図14図14は、外壁がない状態の図13の引出し側壁の正面図である。
図15図15は、外壁が配置された状態の図14の構造物を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、家具の斜視図であり、引出し16は、引出し延出ガイド11によって家具枠体に対して移動可能に取り付けられている。引出し16は、2枚の引出し側壁1、引出し後壁10、引出し前方パネル7、および底部13をそれぞれ含んでいる。引出し16の底部13は、典型的には下側に収容体レール4(ここでは図示せず)を受領するための2つの開口部を有しており、それによって引出し16は、左右にて家具枠体17に固定されている2つの引出し延出ガイド11の延出レール12に接続されている。
【0017】
図2は、引出し前方パネル7が取り外された状態の引出し16の斜視図である。引出し16の側壁1は、内壁2と、それぞれの内壁2に接続されている外壁3とをそれぞれ含んでいる。引出し16の底部13は、下側に、2本の収容体レール4により実質的にポジティブなロック式にクラッドされている2つの開口部を有する。収容体レール4は、引出し延出ガイド11の延出レール12に引出し16を固定する役割を果たす(図1参照)。
【0018】
図3は、収容体レール4を実施例によって示している。収容体レール4は、そこに取り付けられた収容体レール4を備えた引出し16が引出し延出ガイド11の延出レール12に良好にフィットし、そこで固定されるよう、略Z形状またはS形状の断面形状を有する。
【0019】
図4は、図3の収容体レール4を示しており、引出し側壁1の内壁2は、収容体レール4の上に配置されている。本例では、内壁2は、内壁2の下方領域で、収容体レール4の外側長手縁部に沿って湾曲した、収容体レール4のほぼ垂直下向きの肢部に直接固定式に接続されている。この接続は、例えばクリンチ加工、溶接、リベット留め、またはネジ留めによって可能である。この例では、その上方外側長手縁部の領域にて、内壁2は、ほぼS形状断面に湾曲した部分を有しており、これは、外壁3へのポジティブなロック式接続のための受領手段としての役割を果たしている(図9図10参照)。S形状部に隣接しているのは、ほぼ垂直下向きの固定肢部14であり、それに前方装着具5と後方装着具8を別な連続体として固定できる。本例では、固定肢部14は、内壁2の全長に渡って延出しているが、内壁2の長手方向に沿って部分的にのみ延出することもできることは理解されよう。
【0020】
図5は、図4の構造物を示しており、前方装着具5と後方装着具8は、収容体レール4の垂直下向き肢部および内壁2の固定肢部14に直接固定式にそれぞれ接続されている。この接続は、例えば溶接、リベット留め、クリンチ加工、またはウォブルクリンチ加工によって可能である。引出し前方パネル7(ここでは図示せず)を固定するための装置6は、前方装着具5に配置されており、引出し後壁10(これもここでは図示せず)を固定するための装置9は、後方装着具8に配置されている(図1参照)。
【0021】
図6は、収容体レール4、収容体レール4に接続された内壁2、および収容体レール4と内壁2にそれぞれ接続された前方装着具5および後方装着具8を図示している。収容体レール4、内壁2、前方装着具5、および後方装着具8は、本例では鋼材を少なくとも部分的に含んでいる。この結果、前方装着具5と後方装着具8を容易かつ安価に、収容体レール4と内壁の固定肢部14に固定点15にて溶接することができる。
【0022】
図7aは、図6にAで示す領域の拡大図であり、図7bは、図6にBで示す領域の拡大図である。この場合には、前方装着具5が内壁2の固定肢部14と収容体レール4に溶接されている固定点15が特に示されている。
【0023】
図8は、図6に類似した構造物の斜視図であり、引出し側壁1の外壁3は、この構造物に接続されている。本例では、外壁3は、内壁2の適切な形状部分と収容体レール4へとクリップ留めされている(図10参照)。
【0024】
図9は、外壁3が取り外された状態の図8の構造物の正面図である。内壁2は、ほぼ垂直に延出する平坦な壁部を有しており、収容体レール4に、例えばクリンチ加工または溶接によって、その下方領域にて接続されている。本例においては、その上方端領域では、内壁2は、その上方外側長手縁部の領域にて、ほぼS形状断面に湾曲しており、外壁3へのポジティブなロック式接続のための受領手段の役割を果たす部分を有している(図10参照)。S形状部分に隣接しているのは、そこに前方装着具5が固定点15にて溶接される、ほぼ垂直下向きの固定肢部14である。前方装着具5の下方端領域もまた固定点15にて収容体レール4に溶接されている(図6参照)。
【0025】
図10は、外壁3が配置された状態の図9の構造物を示している。外壁3の上方端領域は、フック形状断面の形態で、内壁2の上方端領域のS形状部分と対応しており、外壁3がS形状部分へと容易にクリップ留めされ、これが内壁2と外壁3との間にポジティブなロック式接続を提供する。外壁3の下方端領域は、本例では、外壁3を収容体レール4に固定するために折り曲げられており、収容体レール4の外側垂直肢部の、対応する傾斜式に下降した延出部へのポジティブなロック式接続が提供される。
【0026】
図11から図15は、図6から図10に対応する本発明の引出し側壁1の別例を示しており、図11から図15の引出し側壁1は、図6から図10に示す引出し側壁1よりも低い高さのものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15