特許第5964431号(P5964431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964431
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電子デバイス用のカバーガラス
(51)【国際特許分類】
   C03B 23/203 20060101AFI20160721BHJP
   C03B 33/023 20060101ALI20160721BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20160721BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20160721BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20160721BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C03B23/203
   C03B33/023
   B23K26/53
   B23K26/36
   B23K26/00 G
   G09F9/00 302
   G09F9/00 338
   G09F9/00 342
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-530778(P2014-530778)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-534146(P2014-534146A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012055093
(87)【国際公開番号】WO2013040166
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/535,724
(32)【優先日】2011年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/414,549
(32)【優先日】2012年3月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506223509
【氏名又は名称】アマゾン・テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(72)【発明者】
【氏名】ビブル、デイビット・エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バルドウィン、レオ・ビー.
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−112676(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/014109(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/101961(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/20−23/203
C03B 33/00−33/14
C03C 15/00
C03C 19/00
C03C 23/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーガラス要素の形成方法において、
第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを取得することであって、前記第2のガラスシートが、その内部に形成される複数の貫通孔を有することと、
前記複数の貫通孔を有する前記第2のガラスシートの表面が、前記第1のガラスシートの表面に実質的に接触するように、前記第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを接触させることと、
前記第1および第2のガラスシートを接合させて、組み合わされたカバーシートを形成するのに十分な温度に、前記第1のガラスシートおよび前記第2のガラスシートを加熱することと、
前記組み合わされたカバーシートを機械加工して、前記第1のガラスシートからの、特定の厚さおよび特定の平坦性のある第1の平坦な領域と、前記第2のガラスシートにより少なくとも一部分が形成される少なくとも1つの縁部領域とをそれぞれが有する複数のカバーガラス要素を形成することとを含むカバーガラス要素の形成方法。
【請求項2】
前記組み合わされたカバーシートを機械加工することは、
前記組み合わされたカバーシートをダイシングして、複数の個別の小片を形成することと、
前記複数のカバーガラス要素のうちの少なくとも1つのカバーガラス要素のために、前記個別の小片のうちの少なくとも1つを所望の形状に機械加工することとを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカバーガラス要素の外側縁部を研磨することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記複数のカバーガラス要素のうちの少なくとも1つのカバーガラス要素の外側縁部を成形し、丸みをつけ、およびスプライン加工するうちの少なくとも1つをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記組み合わされたカバーシートを機械加工することは、
前記組み合わされたカバーシートにレーザで微細破壊を作成することと、
前記組み合わされたカバーシートを微細破壊線に沿って割断することとを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記組み合わされたカバーシートを機械加工することは、
前記組み合わされたカバーシートをレーザでアブレーションすることを含み、
前記レーザの波長は、前記組み合わされたカバーシートによって光学的に吸収されるように選択される請求項1記載の方法。
【請求項7】
超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つを用いて、前記第1のガラスシートおよび前記第2のガラスシートを加熱前に洗浄することと、
前記組み合わされたカバーシートを、少なくとも一部の熱応力を防ぐのに十分な速度で、冷却することと、
前記複数のカバーガラス要素のうちの少なくとも1つのカバーガラス要素を化学的に強化することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記複数の貫通孔のうちの各貫通孔は、ディスプレイ要素を受けるように形成されている請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記組み合わされたカバーシートを機械加工することは、
前記組み合わされたカバーシートをフェムト秒レーザでスコアリングすることと、
前記組み合わされたカバーシートを化学的にエッチングして、前記複数のカバーガラス要素を分離することとを含む請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年9月16日に出願された、「Cover Glass for Electronic Devices」と題する米国仮特許出願第61/535,724号(代理人整理番号20346.0171.PZUS00)と、2012年3月7日に出願された、「Cover Glass for Electronic Devices」と題する米国非仮特許出願第13/414,549号との利益を主張するものであり、これらの開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
人々は、スマートフォンおよびタブレットコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスを、様々な作業にますます利用している。多くの場合、これらのデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)要素などのディスプレイ要素を含む、少なくとも1つのディスプレイスクリーンと、少なくとも1つの接触感知式部品と、上を覆う透明な層とを含む。この上を覆う層は、一般的に、概して均一の暑さを有して、ディスプレイスクリーンの様々な部品との適切な接続を確保し、また、意図せぬ光学的アーティファクトを防止する1枚のカバーガラスを備える。ディスプレイスクリーンの寸法が大きくなると、また、デバイスの厚さが薄くなると、透明なカバー層は、デバイスを落とす、または突発的に点で圧力をかけるなどの作用に起因して、傷を受けやすくなる。カバー層の縁部は、特に損傷を受けやすく、スクリーンの縁部が様々なコンピューティングデバイスの縁部に接近していくにつれて、ますます問題になる。
【0003】
本開示による様々な実施形態は、図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】従来型のカバーガラスを含むコンピューティングデバイス例を示す図である。
図2】様々な実施形態による、縁部から縁部に至るカバーガラスを含むコンピューティングデバイス例を示す図である。
図3】様々な実施形態による、図2に示されたものなどのカバーガラス要素を形成するために用いられ得る一組のガラス層を示す図である。
図4】1つの実施形態による、融着のためにキャビティ層上に配置されるカバー層を示す図である。
図5】様々な実施形態による、用いられ得るスクライブ線またはダイシングパターンの例を示す図である。
図6】1つの実施形態による、ダイシング後のカバーガラス要素例を示す図である。
図7】1つの実施形態による、カバーガラス要素例の第1の断面を示す図である。
図8】1つの実施形態による、カバーガラス要素例の第2の断面を示す図である。
図9図9(a)、(b)、(c)、(d)は、様々な実施形態によるカバーガラス要素例を示す様々な図である。
図10】様々な実施形態による、カバーガラス要素を形成するための過程例を示す図である。
図11】様々な実施形態による、カバーガラス要素を形成するためのシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の様々な実施形態によるシステムおよび方法は、様々な電子デバイスで用いられる従来型のカバー層でみられる先述およびその他の欠陥のうちの1つまたは2つ以上を克服し得る。具体的には、様々な実施形態は、ガラス融着過程を用いて、少なくとも2層のガラス層を結合して、頑丈な縁部を有し、滑らかで一定のカバーガラス表面を提供するカバーガラス要素を形成する。カバーガラス要素は、カバーガラス要素を受けるため、およびデバイス部品を収容するための電子デバイスの中心区域に対応する、薄肉のガラス断面を有することができ、さらに、その他の区域において断面の大きさを可変とし得る能力を提供する。カバーガラス要素例は、従来型のカバーガラス層と比べて縁部における強度を高めるが、カバーガラス要素の主要光学表示部分に必要とされる均一性を維持している。このような手法は、複数のカバーガラス要素を、このような要素の形成に経済的手法を提供するため、同時に製造するのに用いられ得る。
【0006】
従来型のカバー層と比べて高められたカバーガラス要素の強度に少なくとも部分的に起因して、ガラス要素は、電子デバイスの1つまたは2つ以上の縁部まで延在する、またはこの上方に延在する、またはこれらの両方として設計され得る。カバーガラスで縁部の周りを覆うことができることによって、落下またはその他の衝撃作用にも強い、滑らかで研磨された縁部を提供し得る。さらに、このような設計は、美的に魅力的たり得、また、ディスプレイまたはタッチ入力などのその他の機能性がデバイスの側部または縁部にまでも拡張可能とし得る。このような設計のさらなる利点は、拡大されたデバイスの無線周波数(RF)透過領域であり、これは、性能を改善し、アンテナ設置における柔軟性を高める。
【0007】
様々な実施形態に関する様々なその他の適用、過程、実装、および用途を以下に提示する。
【0008】
図1は、デバイスの正面の大部分にわたって延在するもののデバイスの縁部104からある距離だけ隔てられている従来型のカバー層102を含む、ポータブルコンピューティングデバイス例100を示す。ポータブルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、電子書籍端末、またはタブレット型コンピュータ)が示されているが、様々なその他のタイプの電子デバイスが、本明細書で説明される様々な実施形態によるカバーガラス要素を活用可能であり得ることを理解されたい。これらのデバイスは、例えば、特に、ノート型パソコン、パーソナルデータアシスタント、携帯電話、ビデオゲーム機もしくはコントローラ、およびポータブルメディアプレーヤーを含み得る。既に述べたように、カバー層102の縁部は、比較的損傷を受けやすい。多くの場合、カバーガラスの厚さは、1.0mm未満である。多くの場合ガラスは化学的に強化されているが、縁部は依然として比較的壊れやすく、カバーガラスの中央区域と比べて、概して点荷重からより損傷を受けやすい。このように、カバー層は、縁部104からある距離だけ隔てられて、カバー層および下層のディスプレイへの損傷の可能性を最小化する。このような欠陥は、ディスプレイ要素に用いられ得るデバイスの正面の分量を制限し、これは、潜在的ユーザならびに開発者およびその他のそのような人々にとって望ましくない。
【0009】
図2は、別のコンピューティングデバイス例200を示し、デバイスがカバーガラス要素202を有し、それがデバイスの縁部204まで延在し、実際にデバイスの縁部および角部の周りを覆っている。縁部領域をカバーガラスに含むことができることによって、ガラス縁部の表面積を増加し得、これは、化学強化などの過程からの耐久性を高め得る。さらに、縁部部分は、主要ディスプレイ部分よりも厚くでき、さらなる剛性を提供し得る。またさらに、縁部から縁部に至るカバーガラスは、デバイス200の全面が、潜在的にディスプレイ可能および接触感知式の両方、またはいずれか一方であるのを可能にし得る。
【0010】
しかしながら、これらのタイプのデバイスのためにこのような成形したガラス要素を形成するのは簡単ではない。三次元ガラス要素を形成するためのある種の手法は、1枚のガラスが片側成形用型の上(または両側成形用型の中)に配置された状態で転移温度を超えて加熱される、ガラススランピングなどの過程を利用する。重力(またはその他の加えられた力)により、ガラスを型にゆっくりと流れ込ませる。しかしながら、これらの過程は、これらが一般的に均一性と光学的平坦性に関する問題を有することから、コンピューティングデバイスにおいては理想的ではない。さらに、タッチセンサ式のディスプレイを備えるデバイスでは、一般的に、適切な接触感度を確保するために、タッチセンサとカバー層との間は適切に接続されていなければならない。カバーガラスがディスプレイスクリーンの一部分であることから、確実に光学的欠陥またはアーティファクトを可能な限り少なくすることも望ましい。ある種の手法は、研削または研磨過程を用いてガラスの平坦化または平滑化を試みているが、そのような手法は、角部およびその他の研磨困難な特徴を有する三次元形状に対しては、あまり役に立たない。
【0011】
したがって、様々な実施形態によるシステムおよび方法は、熱接合などの過程を利用して、複数のガラスシートを単一のガラス要素に形成され得るようにする。複数の材料シートまたは層を利用できることによって、結果として得られる要素の部分が、様々な部分において制御された厚さおよび平坦性のものであることを、これらの特性を有する第1のシートを用いることにより可能とし、また、部分が、第1のシートの品質への影響や複雑な三次元形状の研磨を心配することなく、制御および研磨された形状のものであることを、所望の品質水準に機械加工され得る第2のシートを用いることにより可能とする。
【0012】
例えば、図3は、様々な実施形態によるカバーガラス要素を形成するために用いられ得る材料の層300を示す。あるフォームファクタの2枚のシートが示されているが、様々な実施形態によれば、追加的または代替的な層、シート、または部品が使用され得ることを理解されたい。この例では、第1のシートは、本明細書においてカバーシート302と呼ばれ、光学的に平坦で、ある許容範囲内にあり、許容し得る偏差の量で約0.5mmから約1.0mmの範囲の厚さによるなどカバーレンズとして一定の厚さであるシートを製造する適切な過程から形成される。カバーシートは、アルミノケイ酸ナトリウムまたはアルミノケイ酸リチウムなどの材料から形成された、Schott AGまたはCorningなどの提供元からの、ソーダ石灰ガラス、Gorillaガラス、またはフロートガラスなどの任意の適切なタイプおよび材料から作られ得る。
【0013】
第2のシート304は、本明細書において縁部シートと呼ばれ、カバーシートの材料と同様の材料から作られ得るが、少なくとも一部の実施形態では、カバーシートの要件ように厳密な平坦性または厚さの制御要件を有する必要はない。縁部シートは、所望の剛性の量、およびカバーガラス要素がコンピューティングデバイスの縁部の周りを覆う距離の両方、またはいずれか一方などの理由で決定された適切な厚さ(例えば、1.6mm厚)で形成され得る。図3に示されるように、縁部シート304は、その内部に、対応する電子デバイスの縁部または外縁の形状に対応するように成形された1つまたは2つ以上の開口部またはキャビティ306を形成され得る。これらのキャビティは、結果として得られるカバーガラス要素を弱める可能性がある微細亀裂またはその他の欠陥を防止するための研磨またはその他の同様の過程だけでなく、ガラスシートに成形された機構またはその他の同様の部品を機械加工するのに知られる、または用いられる任意の適切な過程(例えば、スクライビング、レーザ切断、アブレーション、またはスコアリング、水ジェット切断など)によっても形成され得る。従来型のガラス機械加工装置を用いてキャビティを形成し得ることに加えて、シートにおける貫通孔の存在は、組み立てを助けるガラス内部の逃げ溝または切り欠きなどのその他の形状の形成もまた可能にする。
【0014】
カバーおよび縁部シートが適切な寸法および形状に形成および機械加工されたならば、シートは、熱接合過程に適切な清浄度まで洗浄され得る。1つの実施形態では、シートは、汚染されていない環境に運ばれて、粒子状物質がガラスに付着するのを防ぎ、シートが、超音波洗浄およびナトリウム浴の通過の両方、またはいずれか一方などの適切な洗浄過程を経ることができる。一部の実施形態では、接合されるシートの表面は、微細マイクロエッチングまたは同様の過程もまた経ることができ、これは、シートの厚さおよび平坦性を実質的に維持し得るが、熱接合過程を助け、シート間の接着を改善し得る、ある水準の表面粗さを提供する。その他の実施形態では、シートは、光学的接触によって相対的な互いへの引力を高めるために、接合前に研磨過程を経ることができる。
【0015】
シートが適切に準備されたならば、カバーシート302および縁部シート304は、互いに対して所望の向きに配置させることができ、少なくとも一部の実施形態では、これは図4に示されるように、縁部シート304がカバーシート302上にある組み合わせ400を含む。一部の実施形態では、組み合わされたシート400は、真空室内に配置されて、シート間からすべての空気溜まりを除去するように試みる。一部の実施形態では、少なくともいくらかの追加的な圧力が加えられて、空気溜まりを押し出す助けをし、また、シート間の一定の接合を助けるためのわずかな力を生じさせる。圧力下において、同じ室または別個の機械もしくは炉では、ある時間、適切な熱量を加えて、シートを合わせて熱的に接合または積層させ得る。シートは、光学的平坦性を確保するために研削されることもある非常に平坦なプラテンによって支持され得る。プラテンの平坦性は、一部の実施形態において重要であり得る。それは、シートがシート材料のガラス転移温度付近の温度まで加熱されるためであり、また、いかなるガラスの流動もカバーシートの平坦性を損なうことのないよう確保することが望ましいためである。プラテンの材料もまた、少なくとも部分的には高温に起因して、重要である。それは、熱膨張係数の著しく異なる材料が、亀裂またはシートの破損さえも引き起こすこともある応力をガラスに導入することもあるためである。例えば、精密に研磨された炭化ケイ素のプラテンは、一部の実施形態において用いられ得る。その他の材料の例には、窒化物コーティングを有する、または窒化物コーティングなしの再シリコン処理された炭化ケイ素(SiC)スラブを含む。炉の代わりに加熱プレスが用いられる実施形態では、プラテンは、シートを合わせて加圧し、炉要素を要さずに加熱するのに用いられ得るセラミック板またはその他の同様の部品であり得る。別の実施形態では、基板およびプラテンは、ドープされたSiCプラテンまたはグラファイトまたはインバーのサセプタに積層されたプラテンを用いて、所望の接合温度にさせることができ、その結果、次には誘導コイルおよび誘導発電機などの加熱部品となり得る導電性プラテンに至る。
【0016】
先述のように、カバーシートは、少なくとも一部の実施形態では、まずプラテン上に配置されて、平坦性が高温に影響されないことを確保することができる。用いられる温度は、用いられる材料によって少なくとも部分的に決まり得るが、摂氏505度付近のガラス転移温度を有するLAS80などの材料では、温度は、摂氏500度付近であり得る、またはこれに接近し得る。材料の軟化点は摂氏720度付近であることから、シートは、実質的にそのそれぞれの形状を維持し、いかなる平坦性の損失も免れるはずである。シートが適切な温度下に適切な時間だけあるならば、これは一部の実施形態では分のオーダーであり得るのだが、ファンデルワールス力は、2つのシートを合わせて実際に保持または接合して、組み合わされたシートが事実上、単一のガラス要素を形成するようにする。このような手法は、少なくとも、カバーガラスの光学的特性および外観の両方、またはいずれか一方に影響を及ぼし得る、また、化学強化過程に悪影響を与え得る接着剤を一切必要とせずに層を接合するという理由で有利である。
【0017】
様々な実施形態の範囲内において、様々なその他の接合手法もまた用いられ得ることを理解されたい。例えば、フロート手法は、炉の代わりに、一部の実施形態において用いられ得る。さらに、一部の手法は、ガラスフリットなどの接合剤を用いて、これらの作用物質が、少なくとも一部の実施形態において用いられる化学強化過程と矛盾のない場合には、接合過程を助けることができる。エッチング過程が用いられて、シートの表面粗さを増大する実施形態では、エッチングによって得られる小さい先端は、加熱直後に流動し始めて、これらの先端が素早く自動的に融着するようにする。
【0018】
炉またはその他の同様の機械でシートを合わせて接合した後、比較的緩やかな温度下降過程を用いて、応力を緩和する、または、高速および不均一の両方、もしくはいずれか一方である温度減少に起因するガラスへの損傷を防止する、またはこれらの両方をなすことができる。時間は、材料、基板の質量、ガラスの寸法または厚さ、および使用温度などの要因に応じて変化し得るが、少なくとも数十分のオーダーであり得る。接合されたシートが十分に冷却された後、シートは、分離過程を通過し、それによって、個別のガラス要素が切り出され、またはその他の方法で特定の寸法および形状の小片に分離され、単一のシートから複数の要素を形成する。ガラスにおいて、形状、特に、丸みを帯びた縁部を備える形状を切り出す分離過程は、簡単ではない。図5は、接合されたシート例500を示し、シートが分離される場所502を示している。一部の実施形態では、これらの線は、物理的にスクライビングまたは印刷されて、機械加工または制御された断割過程を助け得る。例えば、線は、シート内の十分な深さにスクライビングされ得て、小片が、力をかけることによりスクライブ線において手動で分離し得るようにする。一部の実施形態では、切断機は、案内線を伴わないようなパターンに準じて、シートを機械加工またはダイシングするように構成され得るが、少なくともある種のガラスシートでは、そのような過程は、ガラス要素への損傷に繋がり得る望まない応力をガラスに導入する可能性がある。一部の実施形態では、分離過程は、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザなどの超高速レーザを使用して、所望の形状の輪郭をスコアリングし得る。裸眼には見えないが、超高速レーザの焦点およびパルス持続時間は、十分に強いまたは激しい電場に到達するように共同させて、ガラスの分子結合を切る、または弱める、またはこれらの両方となるようにする。したがって、次いで、超高速レーザによってスコアリングされた線は、化学エッチング過程において弱酸にさらされると、容易に溶解する。一般にガラスが弱酸に耐えることから、スコアリングされた線は、残りのガラスに影響を与えずにそのまま残して溶け去る。最終結果は、ガラスを損傷する可能性のある力を加えることなく、滑らかな縁部が得られる美しい切断となる。しかしながら、様々な実施形態の範囲内において、ガラスシートの部分を分離する任意の適切な過程もまた使用され得る。様々な実施形態にしたがって、その他のレーザを用いることができる。例えば、レーザは、COレーザ、高出力UVレーザなどであり得る。1つの例では、レーザは、ガラスの両表面の間のガラス内部を微細破壊するのに使用され得る。微細破壊は、制御された断割または割断のための内部脆弱ラインを作成する。別の例では、UVレーザの波長を選択して、ガラスを局所的に加熱および摩耗させ得る。したがって、様々な実施形態によるシステムおよび方法は、様々な高輝度および低輝度レーザを利用して、摩耗、切断、スコアリング、微細破壊、内部破壊、および、ガラスの分子結合を切る、または弱める、またはこれらの両方をおこなってもよい。
【0019】
個別のカバーシート要素が分離されたならば、要素は、1つまたは2つ以上の機械加工過程を経て、要素の最終的な外形を生成し得る。例えば、上述のダイシング過程では、比較的先鋭な縁部を有する実質的に矩形の外形の要素となることもある。少なくとも一部の実施形態では、少なくとも1つの機械加工過程が用いられて、カバーガラス要素の外側縁部の形状を丸角などに調節して、カバーガラスを受けるように意図される電子デバイスの外側縁部に実質的に一致するようにすることができる。縁部層からの内側縁部は、少なくとも一部の実施形態では、外側縁部の機械加工過程のための案内または基準として用いられ得る。少なくとも一部の実施形態では、カバーシートの露出した縁部または角部を成形する、丸みをつける、スプライン加工するために、同じまたは別個の機械加工過程がまた使用されて、カバーガラスの鋭い露出した縁部または応力集中部がないようにし、また、縁部が滑らかで丸みを帯びた感触を有するようにする。外側の縁部に丸みをつけることはまた、圧力および荷重を分散するのを助け、これは、カバーガラス要素の強度を高めるのを助ける。適切および所望の両方、またはいずれか一方である場合、別個の研磨過程を使用することもできる。少なくとも過程のこの局面で、個別のカバーガラス要素が所望の最終形状を得たならば、要素は、適切な化学強化過程を経て、ガラス要素の強度および耐久性を高めるようにし得る。例えば、ガラス要素は、カリウム塩または硝酸カリウムの溶液を含む溶液槽に沈めさせることもでき、それによって、カリウムイオンが、ガラス要素の表面のナトリウムまたはその他のイオンに置き換わる。カリウムイオンはより大きいため、表面のガラスは圧縮状態となり、その結果、要素が未処理ガラスの数倍に強化される。処理後、図6に示されるように、一式600のカバーガラス要素602が生じ得る。
【0020】
カバーガラス要素はまた、1つまたは2つ以上の検査過程を経て、形成された要素の品質を確保することもできる。例えば、要素は、要素中に視認可能なファンデルワールス力による環すなわちニュートン環により裏付けられ得るように、少なくとも1つの光学検査を経て、層間における接合の隙間または埃を探索することもできる。厚さ変動などを検出する精密な測定過程と同様に、四点曲げ試験などの様々な試験もまた、接合を確認するために用いられ得る。
【0021】
図7および図8は、少なくとも1つの実施形態にしたがって形成されるカバーガラス要素の直交する軸に沿った横断面例を示す。図7の横断面700では、実質的にカバーシートに対応する中央セクション702が、電子デバイスの機能性に適切なように、その厚さおよび平坦性を維持していることがわかる。縁部セクション704は、実質的に縁部シートに対応するのだが、実質的により厚く、また、デバイスの少なくとも一部分の周りを覆うように設計され得る。説明したように、シートの丸みをつけた縁部は、要素の強化を助ける。
【0022】
図8は、別の軸に沿った別の横断面例800を示す。この例では、コンテンツ表示などの目的のための開口窓部804または透明セクションを残して、ガラス要素の内面上にマスク層802が形成されていることがわかる。マスクは、少なくとも一部の実施形態では、少なくとも美観のために利用される黒色またはその他の着色層に対応し得る。マスクは、このような目的のためには、当技術分野において既知であるが、ガラス要素の内部の三次元形状に起因して、従来型のスクリーン印刷過程は、少なくとも一部の実施形態ではうまく使用できない。一部の実施形態では、フォトレジストマスクは、窓部領域804または黒色のマスクで覆われないその他の区域の上に堆積またはその他の方法で形成され得、また、噴霧、パッド印刷、または物理蒸着(PVD)などの過程は、マスク区域を作成するために用いられ得る。一部の実施形態では、黒色のマスクで覆う区域上に適切な黒色PVD材料をスパッタリングし得る。少なくとも一部の実施形態では、1つまたは2つ以上のタッチセンサは、カバーガラス要素の内部に直接適合されてもよく、これは、フォトレジストによって影響を受け得る平坦な表面を要する。そのような場合には、レーザパターニングまたは別の同様の過程は、適合後に、マスクにパターンを作成するのに用いられ得る。例えば、要素の内部は、酸化物層(例えば、ITO)で覆われ、次いで、所望のパターンにしたがって摩耗され得る。少なくとも一部の実施形態では、塗装または別の精度の劣る過程を使用して、内部縁部表面上にマスク材料を堆積し得るように、内部縁部領域は、それほど光学的に厳密ではない。
【0023】
追加的な過程も様々な実施形態において用いられ得る。例えば、組み立てのためのねじの進入を可能にする、音声、照明、画像コンテンツのための通過などの目的のため、貫通孔または止まり穴は、要素の縁部にドリルで穴をあけるか、その他の方法で形成されてもよい。一部の実施形態では、追加的なシートが接合されて、重要な光学的平坦性を維持しつつ、より複雑な三次元形状を可能にしてもよい。一部の実施形態では、タッチまたはディスプレイの機能性は、電子デバイスの側面または背面上で利用されてもよく、一部の実施形態ではこれらの区域上において厚さおよび平坦性がより重要であり得る。一部の実施形態では、カバーガラス要素は、デバイスの正面および背面上で用いられ、金属の接合部分またはその他の同様の手法を用いて合せて結合され得る。図9(a)、図9(b)、図9(c)、および図9(d)は、本明細書において説明および提案されたもののような過程を用いて形成されるカバーガラス要素例900の様々な図を示す。
【0024】
図10は、様々な実施形態による、用いられ得るカバーガラス要素を形成するための過程例1000を示す。本明細書で説明されるいかなる過程においても、特段の指定の無い限り、様々な実施形態の範囲内において類似または別の順番で、または並行して行われる追加、省略、または代替のステップがあり得ることを理解されたい。この例では、適切な材料の、適切かつ一定の厚さを有する光学的に平坦なカバーシートが得られる1002。同様の材料の縁部シートもまた得られ1004、これは、キャビティおよびその他の適切な要素を適切に機械加工または形成され得る1006。シートが適切な形状に形成されたならば、本明細書で説明されたような1つまたは2つ以上の洗浄過程を用いて、カバーシートおよび縁部シートは、洗浄され得る1008。少なくとも一部の実施形態では、マイクロエッチング過程が用いられて1010、接合するシートの表面粗さを増大し、接合過程を助け得る。準備ができたとき、カバーおよび縁部シートは、必要に応じて真空またはその他の圧力がかけられた状態で、プラテンまたはその他の同様の要素の上に配置され1012、接触され得て、空気溜まりを除去し、シートを接触させる。次いで、シートは、炉または加熱プレスを用いて適切な温度に加熱されて1014、例えば、シートを合わせて熱接合させて、単一の三次元のガラスシートを形成し得る。加熱されたシートは、制御された冷却を経て、ガラスをアニールして1016、急速な温度変化に起因するシートの不均一な応力形成を防ぎ、次いで、個別のカバーガラス要素に分離またはダイシングされ得る1018。個別のカバーガラス要素の縁部は、少なくとも1つの機械加工工具を用いて、要素の最終的な寸法および形状に機械加工、または研磨、またはその他の方法で成形、またはこれらの組み合わせをなされ得る1020。そこで、ガラス要素は化学的に強化されて1022、ガラス要素の耐久性を高め得る。ガラス要素はまた、パターン形成またはマスキングなどの追加的な過程を適切に用いて処理され得、任意の適切な試験後、適切な時に、要素は、電子デバイスの製造中、デバイスのカバー要素となるよう利用され得る。
【0025】
したがって、様々な実施形態によるシステムおよび方法は、様々な自動および手動の両方、またはいずれか一方の過程を利用して、カバーガラス要素を形成してもよい。少なくとも一部の実施形態のカバーガラス要素は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを利用して設計し得る。様々な生産段階にしたがって、カバーガラス要素の切断/分離、加熱、研削、研磨、または洗浄、またはこれらの組み合わせに用いられる、当技術分野で知られるものなどの様々な機械は、コンピュータ支援製造(CAM)プログラムを利用して自動化され得る。これらのプログラムは、それらのそれぞれの機械を操作するのに必要なコマンドを抽出するために解釈されるコンピュータファイルを作ることができ、次いで、これは、製造のためのコンピュータ数値制御(CNC)機械に読み込まれる。様々なコンピュータおよびコンピュータシステムはまた、カバーガラス要素を形成するための様々な部品の態様を制御するために用いられ得る。これらのコンピュータおよびコンピュータシステムは、様々な命令を実行でき、これは、本明細書で説明される様々な過程の部分を実行するために(または、部分を実行させるように)、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれていてもよい。
【0026】
図11は、様々な実施形態による、用いられ得るカバーガラス要素を形成するためのシステム1100のブロック図例を示す。本明細書で説明されるいかなるシステムまたはシステム要素においても、特段の指定の無い限り、様々な実施形態の範囲内において類似または別の順番で、または並行して配置される追加、省略、または代替の構成要素があり得ることを理解されたい。この例では、切断要素1102から光学的に平坦なガラスシートが得られる。切断要素は、カバーガラス要素を形成するための単一の工場の組み立てラインの一部分であってもよいし、あるいは、切断要素は、第三者の請負業者により提供されるなどオフサイトにあってもよい。ガラスシートが適切な寸法および形状に切断されたならば、ガラスシートの一部分は、フェムト秒レーザなどのスコアリング機構1104に送られて、カバーガラス要素の縁部シートとなる。スコアリング機構1104は、電子デバイスの一部分に寸法および形状において対応するスコアリングパターンにしたがって、縁部シートをスコアリングする。縁部シートがスコアリングされたならば、化学エッチングのための化学浴などの分離機構1106に進んで、1つまたは2つ以上の孔またはキャビティを縁部シートに形成する。キャビティが適切な形状に形成されたならば、ガラスシートのその他の部分、すなわちカバーシートおよび縁部シートは、本明細書で説明されたような1つまたは2つ以上の洗浄過程を用いて、洗浄機構1108で洗浄され得る。一部の実施形態では、マイクロエッチング過程が用いられて、シートの表面粗さを増大して、加熱機構1110で起こる接合過程を助ける。準備ができたとき、カバーおよび縁部シートは、過程1000に関して先に説明したように、本明細書で説明したように真空またはその他の圧力がかけられた状態で、プラテンまたはその他の同様の要素の上に配置され、接触され、また、加熱機構1110により適切な温度まで加熱させて、シートを熱接合させて、単一のガラスカバーシートを形成する。先に説明したように、加熱されたシートは、制御された冷却を経て、ガラスをアニールする。十分な冷却後、単一のガラスカバーシートは、図11において別個の要素として示されている、別のスコアリング機構1112に送られるが、その他の実施形態では、スコアリング機構1104と同じであり得る。スコアリングされた後、カバーガラスシートは、別の分離機構1114に送られて、単一のカバーシートから個別のカバーガラス要素に分離されるようにする。同様に、分離機構1114は、上述の分離機構1106と同じ装置であり得るし、あるいは、例えば、組み立てライン下流のかなり離れている別個の機構であり得る。個別のカバーガラス要素は、化学的に強化され、最終的に研削、スプライン加工、または研磨機構1116に送られて、最終的な寸法および形状まで、さらに成形および研磨の両方、またはいずれか一方をなされ得る。
【0027】
明細書および図面は、限定的意味ではなく、説明的意味とみなされるべきものであることを理解されたい。しかしながら、特許請求の範囲に記載の様々な実施形態の広い精神および範囲から離れることなく、これに種々の修正および変更を行い得ることは明白であろう。
【0028】
付記項1.カバーガラス要素の形成方法であって、
それぞれが許容し得る平坦性閾値内の特定の厚さおよび平坦性を有する第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを取得するステップと、
第2のガラスシートをレーザでスコアリングパターンにしたがってスコアリングするステップと、
内側部分を分離し、開口部を画定するために、スコアリングされた第2のガラスシートをエッチングするステップであって、開口部が、寸法および形状においてカバーガラス要素を受けるための電子デバイスの一部分に対応する、エッチングするステップと、
所定の向きで第1および第2のガラスシートを接触させるステップであって、第2のガラスシートの表面が第1のガラスシートの表面に実質的に接触する、第1および第2のガラスシートを接触させるステップと、
第1および第2のガラスシートを合わせて熱接合させて、単一のカバーシートを形成するために、第1および第2のガラスシートをある温度まである圧力で加熱するステップと、
第1のガラスシートからの所定の厚さおよび平坦性の第1の平坦な領域と、第2のガラスシートの少なくとも一部分からの少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために単一のカバーシートを機械加工するステップとを備える、カバーガラス要素の形成方法。
付記項2.レーザが、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの1つであり、レーザの焦点およびパルス持続時間が、共同してガラスの分子結合を切る、付記項1に記載の方法。
付記項3.少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために単一のカバーシートを機械加工するステップが、
単一のカバーシートをレーザでスコアリングするステップと、
少なくとも1つのカバーガラス要素を分離するために、スコアリングされた単一のカバーシートを化学的にエッチングするステップとを含む、付記項1に記載の方法。
付記項4.レーザが、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの1つである、付記項3に記載の方法。
付記項5.単一のカバーシートが、接触感知式ディスプレイ要素を受けるように形成される、付記項1に記載の方法。
付記項6.カバーガラス要素の形成方法であって、
第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを取得するステップであって、第2のガラスシートが、その内部に形成される少なくとも1つの開口部を有する、第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを取得するステップと、
少なくとも1つの開口部を有する第2のガラスシートの表面が、第1のガラスシートの表面に実質的に接触するように、第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを接触させるステップと、
第1および第2のガラスシートを接合させて、組み合わされたカバーシートを形成するために、第1のガラスシートおよび第2のガラスシートをある十分な温度まで加熱するステップと、
第1のガラスシートからの、ある厚さおよび平坦性の第1の平坦な領域と、第2のガラスシートにより少なくとも一部分が形成される少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために、組み合わされたカバーシートを機械加工するステップとを備える、カバーガラス要素の形成方法。
付記項7.少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために組み合わされたカバーシートを機械加工するステップが、
複数の個別の小片を形成するために、組み合わされたカバーシートをダイシングするステップと、
少なくとも1つのカバーガラス要素のために、個別の小片のうちの少なくとも1つを所望の形状に機械加工するステップとを備える、付記項6に記載の方法。
付記項8.組み合わされたカバーシートを機械加工するステップが、少なくとも1つのカバーガラス要素の外側縁部を研磨するステップをさらに備える、付記項6に記載の方法。
付記項9.組み合わされたカバーシートを機械加工するステップが、各カバーガラス要素の外側縁部を成形するステップ、丸みをつけるステップ、およびスプライン加工するステップのうちの少なくとも1つのステップをさらに備える、付記項6に記載の方法。
付記項10.機械加工するステップが、組み合わされたカバーシートにレーザで微細破壊を作成するステップと、組み合わされたカバーシートを微細破壊線に沿って割断するステップとを含む、付記項6に記載の方法。
付記項11.機械加工するステップが、組み合わされたカバーシートをレーザでアブレーションするステップを含み、レーザの波長が、組み合わされたカバーシートによって光学的に吸収されるように選択される、付記項6に記載の方法。
付記項12.超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つを用いて第1および第2のシートを加熱前に洗浄するステップと、
加熱された組み合わされたカバーシートを、少なくとも一部の熱応力を防ぐのに十分な速度で、冷却するステップと、
少なくとも1つのカバーガラス要素を機械加工した後、少なくとも1つのカバーガラス要素を化学的に強化するステップとをさらに備える、付記項6に記載の方法。
付記項13.縁部領域の内側開口部が、第2のガラスシートの開口部に対応し、内側開口部が、ディスプレイ要素を受けるように形成される、付記項6に記載の方法。
付記項14.少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために組み合わされたカバーシートを機械加工するステップが、
組み合わされたカバーシートをフェムト秒レーザでスコアリングするステップと、
少なくとも1つのカバーガラス要素を分離するために、スコアリングされた組み合わされたカバーシートを化学的にエッチングするステップとを含む、付記項6に記載の方法。
付記項15.熱接合された第1および第2のガラスシートを備える電子デバイス用のカバーガラス要素であって、第1のガラスシートが、所定の厚さおよび平坦性を有し、第2のガラスシートが、その内部に形成される少なくとも1つの開口部を有し、開口部が、寸法および形状において電子デバイスの一部分に対応し、第1および第2のガラスシートが、所定の向きで接触させられ、ある温度に加熱されて、第1および第2のガラスシートを合わせて接合させて、組み合わされたカバーシートを形成し、組み合わされたカバーシートが機械加工されて、第1のガラスシートからの所定の厚さおよび平坦性の第1の平坦な領域と、第2のガラスシートの開口部からの少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成する、カバーガラス要素。
付記項16.少なくとも1つのカバーガラス要素の内部表面に適合される1つまたは2つ以上のタッチセンサをさらに備える、付記項15に記載のカバーガラス要素。
付記項17.組み合わされたカバーシートがレーザによりスコアリングされた後、少なくとも1つのカバーガラス要素が、組み合わされたカバーシートから化学エッチングによって切断される、付記項15に記載のカバーガラス要素。
付記項18.レーザが、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの1つであり、レーザの焦点およびパルス持続時間が、共同してガラスの分子結合を切る、付記項17に記載のカバーガラス要素。
付記項19.第1および第2のシートが、熱接合される前に、超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つを用いて洗浄され、加熱された組み合わされたカバーシートが、組み合わされたカバーシート上で熱応力が発生するのを防ぐのに十分な速度で冷却され、少なくとも1つのカバーガラス要素が、化学的に強化される、付記項15に記載のカバーガラス要素。
付記項20.カバーガラス要素を形成するためのシステムであって、
第1および第2のガラスシートを形成するための少なくとも1つの切断要素と、
少なくとも1つの開口部を第2のガラスシート上にスコアリングするための少なくとも1つのレーザであって、開口部が、寸法および形状においてカバーガラス要素を受けるための電子デバイスの一部分に対応する、レーザと、
少なくとも1つの開口部をスコアリングされた第2のガラスシートから分離する分離装置と、
第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを接触させる保定装置であって、少なくとも1つの開口部を有する第2のガラスシートの表面が、第1のガラスシートの表面に実質的に接触する、保定装置と、
第1および第2のガラスシートを接合させて、組み合わされたカバーシートを形成するために、第1および第2のガラスシートをある十分な温度まで加熱する加熱装置と、
第1のガラスシートからの、ある厚さおよび平坦性の第1の平坦な領域と、第2のガラスシートにより形成される少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するための組み合わされたカバーシートを機械加工するための少なくとも1つの機械加工工具とを備える、カバーガラス要素を形成するためのシステム。
付記項21.各カバーガラス要素の外側縁部を滑らかにするための研磨機械をさらに備える、付記項20に記載のシステム。
付記項22.レーザが、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの1つであり、レーザの焦点およびパルス持続時間が、共同してガラスの分子結合を切る、付記項20に記載のシステム。
付記項23.分離装置が、スコアリングされた第2のガラスシートを化学的にエッチングして、少なくとも1つの開口部を第2のガラスシートに形成するための化学浴を含む、付記項20に記載のシステム
付記項24.第1および第2のガラスシートを洗浄するための超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つをさらに備え、超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つが、第1および第2のガラスシートを形成するステップと、少なくとも1つの開口部をスコアリングされた第2のガラスシートから分離するステップと、第1および第2のガラスシートを接触させるステップと、組み合わされたカバーシート形成するために第1および第2のガラスシートを加熱するステップと、少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために組み合わされたカバーシートを機械加工するステップとのうちの少なくとも1つの後に、選択的に利用される、付記項20に記載のシステム。
付記項25.熱応力が組み合わされたカバーシート上で発生するのを防ぐのに十分な速度で、加熱された組み合わされたカバーシートを冷却するための冷却要素と、
少なくとも1つのカバーガラス要素を化学的に強化するための化学浴とをさらに備える、付記項20に記載のシステム。
付記項26.少なくとも1つのコンピュータに記憶されたスコアリング用ファイルにしたがって、少なくとも1つのレーザの駆動を制御するための、少なくとも1つのコンピュータに記憶された制御システムをさらに備える、付記項20に記載のシステム。
付記項27.少なくとも1つの機械加工工具が、組み合わされたカバーシートをダイシングして、複数の個別の小片を形成するための切断工具と、各個別の小片をカバーガラス要素のための所望の形状に研削するための少なくとも1つの研削装置とを含む、付記項20に記載のシステム。
付記項28.少なくとも1つの機械加工工具が、組み合わされたカバーシートをスコアリングするためのフェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの少なくとも1つと、スコアリングされた組み合わされたカバーシートを化学的にエッチングして、少なくとも1つのカバーガラス要素を分離するための化学浴とを含む、付記項20に記載のシステム。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] カバーガラス要素の形成方法であって、
第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを取得することであって、前記第2のガラスシートが、その内部に形成される少なくとも1つの開口部を有することと、
前記少なくとも1つの開口部を有する前記第2のガラスシートの表面が、前記第1のガラスシートの表面に実質的に接触するように、前記第1のガラスシートおよび第2のガラスシートを接触させることと、
前記第1および第2のガラスシートを接合させて、組み合わされたカバーシートを形成するために、前記第1のガラスシートおよび前記第2のガラスシートをある十分な温度まで加熱することと、
前記第1のガラスシートからの、ある厚さおよび平坦性のある第1の平坦な領域と、前記第2のガラスシートにより少なくとも一部分が形成される少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために、前記組み合わされたカバーシートを機械加工することと
を備える、カバーガラス要素の形成方法。
[2] 少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために前記組み合わされたカバーシートを機械加工することが、
複数の個別の小片を形成するために、前記組み合わされたカバーシートをダイシングすることと、
前記少なくとも1つのカバーガラス要素のために、前記個別の小片のうちの少なくとも1つを所望の形状に機械加工することと
を含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記組み合わされたカバーシートを機械加工することが、前記少なくとも1つのカバーガラス要素の外側縁部を研磨することをさらに備える、[1]に記載の方法。
[4] 前記組み合わされたカバーシートを機械加工することが、各カバーガラス要素の外側縁部を成形し、丸みをつけ、およびスプライン加工するうちの少なくとも1つをさらに備える、[1]に記載の方法。
[5] 前記機械加工することが、前記組み合わされたカバーシートにレーザで微細破壊を作成することと、前記組み合わされたカバーシートを微細破壊線に沿って割断することとを含む、[1]に記載の方法。
[6] 前記機械加工することが、前記組み合わされたカバーシートをレーザでアブレーションすることを含み、前記レーザの波長が、前記組み合わされたカバーシートによって光学的に吸収されるように選択される、[1]に記載の方法。
[7] 超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つを用いて前記第1および第2のシートを前記加熱前に洗浄することと、
前記加熱された組み合わされたカバーシートを、少なくとも一部の熱応力を防ぐのに十分な速度で、冷却することと、
前記少なくとも1つのカバーガラス要素を機械加工した後、前記少なくとも1つのカバーガラス要素を化学的に強化することと
をさらに備える、[1]に記載の方法。
[8] 前記縁部領域の内側開口部が、前記第2のガラスシートの前記開口部に対応し、前記内側開口部が、ディスプレイ要素を受けるように形成される、[1]に記載の方法。
[9] 少なくとも1つのカバーガラス要素を形成するために前記組み合わされたカバーシートを機械加工することが、
前記組み合わされたカバーシートをフェムト秒レーザでスコアリングすることと、
前記少なくとも1つのカバーガラス要素を分離するために、前記スコアリングされた組み合わされたカバーシートを化学的にエッチングすることと
を含む、[1]に記載の方法。
[10] 熱接合された第1および第2のガラスシートを備える、電子デバイス用のカバーガラス要素であって、前記第1のガラスシートが、所定の厚さおよび平坦性を有し、前記第2のガラスシートが、その内部に形成される少なくとも1つの開口部を有し、前記開口部が、寸法および形状において前記電子デバイスの一部分に対応し、前記第1および第2のガラスシートが、所定の向きで接触させられ、ある温度に加熱されて、前記第1および第2のガラスシートを接合させて、組み合わされたカバーシートを形成し、前記組み合わされたカバーシートが機械加工されて、前記第1のガラスシートからの前記所定の厚さおよび平坦性の第1の平坦な領域と、前記第2のガラスシートの前記開口部からの少なくとも1つの縁部領域とを有する少なくとも1つのカバーガラス要素を形成する、カバーガラス要素。
[11] 前記少なくとも1つのカバーガラス要素の内部表面に適合される1つまたは2つ以上のタッチセンサをさらに備える、[10]に記載のカバーガラス要素。
[12] 前記組み合わされたカバーシートがレーザによりスコアリングされた後、前記少なくとも1つのカバーガラス要素が、前記組み合わされたカバーシートから化学エッチングによって切断される、[10]に記載のカバーガラス要素。
[13] 前記レーザが、フェムト秒レーザ、ピコ秒レーザ、またはナノ秒レーザのうちの1つであり、前記レーザの焦点およびパルス持続時間が、共同してガラスの分子結合を切る、[12]に記載のカバーガラス要素。
[14] 前記第1および第2のガラスシートが、熱接合される前に、超音波洗浄器または化学浴のうちの少なくとも1つを用いて洗浄され、前記加熱された組み合わされたカバーシートが、前記組み合わされたカバーシート上で熱応力が発生するのを防ぐのに十分な速度で冷却され、前記少なくとも1つのカバーガラス要素が、化学的に強化される、[10]に記載のカバーガラス要素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11