(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964432
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20060101AFI20160721BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20160721BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20160721BHJP
G06N 3/12 20060101ALI20160721BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
C12Q1/68 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 B
G06N3/12 130
!C12N15/00 A
【請求項の数】26
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-531060(P2014-531060)
(86)(22)【出願日】2011年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-527822(P2014-527822A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】CN2011079972
(87)【国際公開番号】WO2013040773
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514106764
【氏名又は名称】ビージーアイ ダイアグノーシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BGI DIAGNOSIS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】殷 旭▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 春雷
(72)【発明者】
【氏名】邱 咏
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 盛培
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 慧
(72)【発明者】
【氏名】王 俊
(72)【発明者】
【氏名】汪 建
【審査官】
田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/091046(WO,A1)
【文献】
Fertility and Sterility,2010年,Vol.94,No.6,p.2017-2021
【文献】
nature,2011年 4月 7日,Vol.472,p.90-95
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C12N 15/00−15/90
CAplus/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法であって、
該単細胞の全ゲノム配列決定を行って第一の配列決定結果を得るステップと、
該第一の配列決定結果のうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして数値Lを得るステップと、
該第一の配列決定結果のうち参照ゲノム中の第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして数値Mを得るステップと、
該数値L及び数値Mに基づいて第一のパラメータを確定するステップと、
該第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、該第一の染色体に関して、該単細胞が非整倍数性を有するか否か確定するステップと、
を含み、
該第一のパラメータが、該数値Mと該数値Lとの比M/Lであり、
該予定の参照パラメータは、
染色体の非整倍数性無しのサンプルに由来する参照単細胞全ゲノムを配列決定して第二の配列決定結果を得て、
該第二の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして数値L’を得て、
該第二の配列決定の結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして数値M’を得て、
M’のL’に対する比M’/L’を確定して該予定の参照パラメータとする、
という工程によって得られるものである
ことを特徴とする単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項2】
生物サンプル(但し、受精卵、割球及び胚胎を除く)から単細胞を分離するステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項3】
前記生物サンプルが、血液、尿液、唾液及び組織から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項4】
生物サンプルから単細胞を分離することは、希釈法、口吸管分離法、顕微操作、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法から選ばれる少なくとも一種によって行われることを特徴とする請求項2に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項5】
前記顕微操作が顕微切断であることを特徴とする請求項4に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項6】
前記単細胞の全ゲノム配列決定を行うことは、
前記単細胞の全ゲノムを増幅させて増幅済の全ゲノムを得ること、
前記増幅済の全ゲノムを利用して全ゲノム配列決定ライブラリーを構築すること、
前記全ゲノム配列決定ライブラリーを配列決定することで、前記第一の配列決定結果を成す複数の配列決定データを得ること、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項7】
前記単細胞の全ゲノムを放出するように前記単細胞を破砕するステップを更に含むことを特徴とする請求項6に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項8】
前記単細胞の全ゲノムを放出するようにアルカリ性破砕液を用いて前記単細胞を破砕することを特徴とする請求項7に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項9】
PCRに基づく全ゲノム増幅方法によって、前記全ゲノムを増幅することを特徴とする請求項6に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項10】
前記PCRに基づく全ゲノム増幅方法がOmniPlex(登録商標) WGA方法であることを特徴とする請求項9に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項11】
Hiseq(登録商標)2000、SOLiD(登録商標)、454(商標)及び単分子配列決定装置から選ばれる少なくとも一種を利用して、前記全ゲノム配列決定ライブラリーについて配列決定することを特徴とする請求項6に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項12】
前記複数の配列決定データの平均長さが約50bpであることを特徴とする請求項6に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項13】
前記第一の染色体が、ヒトの21号染色体、18号染色体、13号染色体、X染色体及びY染色体のうちから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項14】
前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が第一の閾値を超える場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が3本であると確定し、
前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が第二の閾値よりも低い場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が1本であると確定し、
前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が第一の閾値と前記第二の閾値との間にある場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が2本であると確定する、
ことを特徴とする請求項14に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項15】
前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比についてt検定を行って前記第一の染色体のt検定数値を得るステップを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の単細胞染色の体非整倍数性を確定する方法。
【請求項16】
前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータについてそれぞれt検定を行って前記第一の染色体のt検定数値を得るステップを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法。
【請求項17】
単細胞の全ゲノム配列決定を行って第一の配列決定結果を得るための全ゲノム配列決定装置と、
前記第一の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして数値Lを得る操作と、前記第一の配列決定の結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして数値Mを得る操作と、前記数値L及び数値Mに基づいて第一のパラメータを確定する操作と、前記第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、前記第一の染色体に関して前記単細胞が非整倍数性を有するか否か確定する操作とが行われるように、前記全ゲノム配列決定装置と相互連接し且つ前記全ゲノム配列決定装置から第一の配列決定結果を受ける、配列決定結果分析装置と、
を含み、
該第一のパラメータが、該数値Mと該数値Lとの比M/Lであり、
該予定の参照パラメータは、
染色体の非整倍数性無しのサンプルに由来する参照単細胞全ゲノムを配列決定して第二の配列決定結果を得て、
該第二の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして数値L’を得て、
該第二の配列決定の結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして数値M’を得て、
M’のL’に対する比M’/L’を確定して該予定の参照パラメータとする、
という工程によって得られるものである
ことを特徴とする単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項18】
前記全ゲノム配列決定装置に配列決定用の全ゲノム配列決定ライブラリーを提供するように、
生物サンプル(但し、受精卵、割球及び胚胎を除く)から単細胞を分離するための単細胞分離手段と、前記単細胞の全ゲノムを放出させるよう、分離の単細胞を受け且つ前記単細胞を破砕させる単細胞破砕手段と、
前記単細胞破砕手段と相互連接し、前記単細胞の全ゲノムを受け且つ前記単細胞の全ゲノムを増幅するための全ゲノム増幅手段と、増幅済の前記全ゲノムを受け且つ前記増幅済の全ゲノムを利用して全ゲノム配列決定ライブラリーを構築するための配列決定ライブラリー構築手段と
からなる
全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置を
更に含む
ことを特徴とする請求項17に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステム。
【請求項19】
前記単細胞分離手段は、希釈法、口吸管分離法、顕微操作、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法のうちから選ばれる少なくとも一種の操作の執行に適する装置を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項20】
前記顕微操作が顕微切断であることを特徴とする請求項19に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項21】
前記単細胞破砕手段は、単細胞アルカリ破砕の行いに適する装置を含むことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項22】
前記全ゲノム増幅手段は、PCRに基づく全ゲノム増幅方法を利用して前記全ゲノムを増幅する装置を含むことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項23】
前記PCRに基づく全ゲノム増幅方法が、OmniPlex(登録商標)WGA方法であることを特徴とする請求項22に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項24】
前記全ゲノム配列決定装置は、Hiseq(登録商標)2000、SOLiD(登録商標)、454(商標)、及び単分子配列決定装置から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項25】
前記配列決定結果分析装置は、前記第一の配列決定結果と既知ゲノム配列情報とをマッチすることで、参照ゲノムとマッチできる全ての配列データを得て及び前記第一の染色体由来の配列データを得るための配列マッチ手段を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【請求項26】
前記配列決定結果分析装置は、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比をt検定して前記第一の染色体のt検定数値を得るためのt検定手段を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医学分野に関する。具体に言えば、単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
非整倍数性染色体がヒトの一部の遺伝疾病に密接に相関する。例えばよく見掛けるダウン症候群は、21号染色体が1本多いことによるもので、発病率が約1/1000となっている。また、13トリソミー症候群及び18トリソミー症候群は、それぞれ13号染色体及び18号染色体が1本多いため流産などを招く。常染色体の異倍数性も妊娠失敗を引き起こして流産することの一つの重要要因となっている。性染色体数の異常により性別の発育異常を招くことが可能となる。X染色体(47,XXY)の1本多い男性の個体が先天性睾丸発育不全症(Klinefelter症候群)となる。Turner症候群は先天性卵巣発育不全症候群とも称され、X染色体が1本欠如するため、核型が45,Xである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、現在、染色体非整倍数性の決定方法については依然として改進の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来技術に存在している技術課題のすくなくとも一つを解決することを目的とする。その目的を達成するために、本発明の一形態によれば、単細胞染色体の非整倍数性を効率的に確定できる方法を提出される。また、他の形態によれば、当該方法を効率的に実施するための、単細胞染色体の非整倍数性を確定するシステムを提供される。
【0005】
本発明の実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法は、前記単細胞の全ゲノム配列決定を行って第一の配列決定結果を得るステップと、前記第一の配列決定結果のうち参照ゲノム(本文では、「既知ゲノム」と称す場合もある)とマッチできる配列決定データの総数をカウントして、数値Lを得るステップと、前記第一の配列決定結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値Mを得るステップと、前記数値L及び数値Mに基づいて第一のパラメータを確定するステップと、前記第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、前記第一の染色体に関して前記単細胞が非整倍数性を有するか否か確定するステップと、を含む。
【0006】
単細胞の全ゲノム配列決定の配列決定結果において、ある特定染色体に対する配列決定データの数が、全ゲノム中の当該染色体の含有量と正相関となるため、配列決定結果中のある特定染色体由来の配列決定データの数及び全ゲノム配列決定の総数を分析することによって、当該染色体に関して単細胞が非整倍数性を有するか否か効率的に確定することができる。
【0007】
本発明の一部の実施例によれば、前記単細胞の非整倍数性を確定する方法は、下記の付加的技術特徴を更に具備することができる。
【0008】
本発明の一つの実施例によれば、生物サンプルから単細胞を分離するステップを更に含む。それにより、生物サンプルを直接に原材料として、当該生物サンプルの染色体異常有無の情報を得て、生体の健康状態を反映することができる。
【0009】
本発明の一つの実施例によれば、前記生物サンプルが、血液、尿液、唾液、組織、生殖細胞、割球及び胚胎のうちから選ばれる少なくとも一種である。そうすることによって、生体からこれらのサンプルを便利に獲得することができ、且つ具体的に、ある疾病に対して異なるサンプルを採ることで、ある特殊な疾病に対して特定な分析手段を採ることができる。
【0010】
本発明の一つの実施例によれば、生物サンプルから単細胞を分離することは、口吸管分離法、顕微操作、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法のうちから選ばれる少なくとも一種によって行われる。本発明の一つの具体的例示によると、好ましくは、前記顕微操作が顕微切断である。それにより、生物サンプルの単細胞を効率的に簡便で獲得することができるため、後続の操作が便利に実施され、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率が高まる。
【0011】
本発明の一つの実施例によれば、前記単細胞の全ゲノム配列決定を行うことは、前記単細胞の全ゲノムを増幅して増幅済の全ゲノムを得ること、前記増幅済の全ゲノムを用いて全ゲノム配列決定ライブラリーを構築すること、前記全ゲノム配列決定ライブラリーについて配列決定を行って、前記第一の配列決定結果を成す複数の配列決定データを得ること、を含む。本発明の一つの具体的例示によれば、前記単細胞を破砕させることで前記単細胞の全ゲノムを放出するステップを更に含む。それにより、単細胞の全ゲノム情報を効率的に得ることができるため、単細胞染色体の非整倍数性の効率が更に高まる。
【0012】
本発明の一つの実施例によると、アルカリ性破砕液を利用して前記単細胞を破砕することで、全ゲノムを放出する。それにより、単細胞を効率的に破砕することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0013】
本発明の一つの実施例によれば、PCRに基づく全ゲノム増幅方法で前記全ゲノムを増幅する。本発明の一つの具体的例示によれば、前記PCRに基づく全ゲノム増幅方法がOmniPlex WGA方法である。それにより、全ゲノムを効率的に増幅することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0014】
本発明の一つの実施例によれば、Hiseq2000、SOLiD、454及び単分子配列決定装置のうちから選ばれる少なくとも一種を利用して、前記全ゲノム配列決定ライブラリーを配列決定する。それにより、これらの配列決定装置のハイスループット、深度配列決定の特長を利用することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0015】
本発明の一つの実施例によれば、前記複数の配列決定データの平均長さが約50bpである。それ故、配列決定データを便利に分析することができるため、分析の効率が高まり、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0016】
本発明の一つの実施例によれば、前記第一の配列結果と既知ゲノム配列情報とをマッチすることで、既知ゲノムとマッチできる全ての配列決定データを得て及び前記第一の染色体由来の配列決定データを得るステップを更に含む。それにより、特定染色体由来の配列決定データを効率的に確定することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0017】
本発明の一つの実施例によれば、前記第一の染色体が、21号染色体、18号染色体、13号染色体、X染色体及びY染色体のうちから選ばれた少なくとも一種である。それ故に、よく見掛けるヒト染色体疾病を効率的に予測することができる。
【0018】
本発明の一つの実施例によると、前記第一のパラメータが、前記数値Mと前記数値Lとの比M/Lである。それ故に、配列決定結果を便利に分析し、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率を高めることができる。
【0019】
本発明の一つの実施例によれば、前記予定の参照パラメータは、染色体非整倍数性無しのサンプル由来の参照単細胞全ゲノムを配列決定することで、第二の配列決定結果を得て;前記第二の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして、数値L’を得て;前記第二の配列決定結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値M’を得て;前記M’/L’の比M’/L’を確定して、前記予定の参照パラメータを得る、というステップによって得られるものである。それにより、参照パラメータを便利に確定し、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率を高めることができる。
【0020】
本発明の一つの実施例によれば、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が第一の閾値を超える場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が3本であると確定し、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が第二の閾値よりも低い場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が1本であると確定し、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比が前記第一の閾値と前記第二の閾値との間にある場合、前記単細胞中の前記第一の染色体の数が2本であると確定する。それ故に、第一の閾値及び第二の閾値を設置することによって、特定な染色体の数には異常が存在するか否か、速やかに判断することができる。
【0021】
本発明の一つの実施例によれば、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比をT-チェックし、或いは前記第一のパラメータ及び前記予定の参照パラメータをそれぞれT-チェックして前記第一の染色体のT-チェック数値を得る、ステップを更に含む。それにより、配列決定結果を分析することの正確度及び精確度を高めることができる。
【0022】
本発明の他の形態によれば、本発明は、単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステムを提出した。本発明の実施例によると、単細胞染色体非整倍数性を確定するための当該システムは、前記単細胞の全ゲノムを配列決定することで第一の配列決定結果を得るための全ゲノム配列決定装置と、配列決定結果分析装置とを含み、前記配列決定結果分析装置は、前記全ゲノム配列決定装置から前記第一の配列決定結果を受けて、下記の操作を執行する:前記第一の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして、数値Lを得て;前記第一の配列決定結果タのうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値Mを得て;前記数値L及び数値Mに基づいて第一のパラメータを確定し;前記第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、前記第一の染色体に関して前記単細胞が非整倍数性を有するか否か確定する、という操作を執行する。単細胞染色体の非整倍数性を確定するための当該システムを利用して、本発明実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法を効率的に実施することができるため、該単細胞染色体の非整倍数性を効率的に確定することができる。
【0023】
本発明の一部の実施例によると、単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステムは更に下記の付加的技術特徴を具備することが可能である。
【0024】
本発明の一つの実施例によると、全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置を更に含む。前記全ゲノム配列決定ライブラリー装置は前記全ゲノム配列決定装置と相互連接しており、配列決定用の全ゲノム配列決定ライブラリーを前記全ゲノム配列決定装置に提供し、また、前記全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置は、生物サンプルから単細胞を分離するための単細胞分離手段と、分離された単細胞を受け且つ前記単細胞を破砕して全ゲノムを放出させるための単細胞破砕手段と、前記単細胞の全ゲノムを受け且つ前記単細胞の全ゲノムを増幅する全ゲノム増幅手段と、前記増幅済の全ゲノムを受け且つ増幅済の全ゲノムを利用して全ゲノム配列決定ライブラリーを構築するための配列決定ライブラリー構築手段と、を更に含む。それにより、単細胞の全ゲノム情報を効率的に獲得することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0025】
本発明の一つの実施例によると、前記単細胞分離手段は、希釈法、口吸管分離法、顕微操作、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法のうちから選ばれる少なくとも一種を執行する装置を含む。本発明の一つの具体的例示によると、好ましくは、前記顕微操作が顕微切断である。それにより、生物サンプルの単細胞を効率的に簡便で得ることができるため、後続の操作が便利に実施され、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率が高まる。
【0026】
本発明の一つの実施例によると、前記単細胞破砕手段は、単細胞をアルカリ破砕して全ゲノムを放出することに適する装置を含む。単細胞の全ゲノムを効率的に放出し破砕することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0027】
本発明の一つの実施例によると、前記全ゲノム増幅手段は、PCRに基づく全ゲノム増幅方法を利用して前記全ゲノムを増幅することに適する装置を含む。本発明の一つの具体的例示によると、前記PCRに基づく全ゲノム増幅方法がOmniPlex WGA方法である。それにより、全ゲノムを効率的に増幅することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0028】
本発明の一つの実施例によると、前記全ゲノム配列決定装置は、Hiseq2000、SOLiD、454及び単分子配列決定装置のうちから選ばれる少なくとも一種を含む。それにより、これらの配列決定装置のハイスループット、深度配列決定の特長を利用することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0029】
本発明の一つの実施例によると、前記配列決定結果分析装置は配列マッチ手段を更に含む。前記配列マッチ手段が、前記第一の配列結果と既知ゲノム配列情報とをマッチすることで、参照ゲノムとマッチできる全ての配列決定データを得て及び第一の染色体由来の配列決定データを得ることに用いられる。それにより、特定染色体由来の配列決定データを効率的に確定することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0030】
本発明の一つの実施例によると、前記配列決定結果分析装置は、前記第一のパラメータと前記予定の参照パラメータとの比をT-チェックし或いは前記第一のパラメータ及び前記予定の参照パラメータをそれぞれT-チェックして前記第一の染色体のT-チェック数値を得る、ためのT-チェック手段を更に含む。それにより、配列決定結果を分析することの正確度及び精確度を更に高めることができる。
【0031】
本発明の付加的方面及び利点について次の記述にて一部例示し、一部が次の記述にて明らかになり、或いは本発明のプラクティスによって了解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の上記及び/又は付加的方面及び利点が、下記図面と実施例を結びつけた記述から明らかで理解しやすくなる。
【
図1】
図1は本発明の一つの実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定するプロセスを示す概略図である。
【
図2】
図2は本発明の一つの実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステムを示す概略図である。
【
図3】
図3は本発明の一つの実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステムを示す概略図である。
【
図4】
図4は本発明の一つの実施例による全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施例を下記のように詳しく記述し、前記実施例の例示が図面において示されており、始終同一又は類似の符号が、同一又は類似の素子を表示し或いは同一又は類似機能を有する素子を表示する。次、図面を参照して記述した実施例は例示的ものであり、本発明を解釈することのみに用いられ、本発明への制限として理解してはならない。
【0034】
なお、用語の「第一」、「第二」が、記述の目的のみに用いられ、比較的重要性を示し又は暗示し或いは示された技術特徴の数量を潜在的に明示することとして理解してはならない。よって、「第一」、「第二」と限定された特徴は、一つ又は複数の当該特徴を含むと明示し或いは暗示することが可能である。更に、本発明の記述において、他の説明がある場合を除いて、「複数」の含意が二つ以上のことを指す。ここで使用された用語の「非整倍数性」とは、染色体の整倍数性に相対して言ったものであり、そのゲノムに1本又は若干本の染色体が欠如又は増加されることを指す。通常、正常の細胞には染色体が種ごとに2本あるが、減数分裂の時に一対の同源染色体が分離せず或いは予定より早く分離するため染色体数異常の配偶子が形成され、このような配偶子同士が互いに結合し或いは正常の配偶子と結合すると、各種の非整倍数性細胞が生じる。また、体細胞が分裂する際にも、非整倍数性細胞、例えば非常に高変異率の腫瘍細胞などが生じる。
【0035】
本発明の一形態では、単細胞染色体の非整倍数性を効率的に確定できる方法を提出した。本発明の実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法は、下記のステップを含む:
S100:単細胞の全ゲノムの配列決定を行って、第一の配列決定結果を得る。
【0036】
本発明の実施例によると、単細胞の出所が特に制限されない。本発明の一部の実施例によると、直接に生物サンプルから単細胞を分離することができる。更に、本発明の一つの実施例によると、生物サンプルから単細胞を分離するステップを含むことが可能である。それにより、直接に生物サンプルを原材料として、当該生物サンプルには染色体の異常変形があるかいなかとの情報を得て、生体健康状態を反映することができる。本発明の実施例によると、採用される生物サンプルが特に制限されない。本発明の一部の具体的例示によると、採用できる生物サンプルが、血液、尿液、唾液、組織、生殖細胞、受精卵、割球及び胚胎のうちから選ばれる何れか一種である。当業者が理解すべきであることとしては、異なる疾病に対して、異なる生物サンプルを採用して分析することができる。それ故に、生体からこれらのサンプルを便利に得ることができ、そして、具体にある疾病に対して異なるサンプルを採用することができるため、ある特殊な疾病に対して特定の分析手段を採用することができる。例えば、特定癌腫の罹患が可能となるテスト対象に対して、該組織又はその近傍からサンプルを採って、更に単細胞を分離して分析することができるため、当該組織が癌化されているか否か、精確で且つできるだけ早めに知ることができる。本発明の実施例によると、生物サンプルから単細胞を分離する方法及び設備が特に制限されない。本発明の一部の具体的例示によると、希釈法、口吸管分離法、顕微操作(顕微切断が好ましい)、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法のうちから選ばれる少なくとも一種を採用して、生物サンプルから単細胞を分離することができる。それにより、生物サンプルの単細胞を有効的且つ簡便に得ることができるため、引き続きの操作の実施が便利となり、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率が高まる。
【0037】
また、本発明の実施例によると、単細胞の全ゲノムを配列決定する方法が特に制限されない。本発明の一つの実施例によると、単細胞の全ゲノムを配列決定する方法は、先ず、単細胞の全ゲノムを増幅して増幅済の全ゲノムを得ることと、次に、増幅済の全ゲノムを利用して全ゲノム配列決定ライブラリーを組み立てることと、最後、全ゲノム配列決定ライブラリーを配列決定して第一の配列決定結果を得ることと、を含む。得られた第一の配列決定結果が複数の配列決定データからなる。それ故に、単細胞の全ゲノム情報を効率的に得ることができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。当業者は、採用されるゲノム配列決定技術の具体的案によって全ゲノム配列決定ライブラリーを構築する異なる方法を選択することができる。全ゲノム配列決定ライブラリーを構築することの詳細について、配列決定器具のメーカ、例えばIllumina社により提供された規程を参照し、例えば、Illumina社Multiplexing Sample Preparation Guide (Part#1005361; Feb 2010)或いはPaired-End SamplePrep Guide(Part#1005063;Feb 2010)を参照し、参照しながらそれを本文に導入することができる。
【0038】
本発明の実施例によると、前記単細胞を破砕することで前記単細胞の全ゲノムを放出するステップを更に含んでもよい。本発明の一部の例示によると、単細胞を破砕し且つ全ゲノムを放出するための方法は特に制限されなく、単細胞を充分に破砕できる方法であればよい。本発明の具体的例示によると、アルカリ性破砕液を利用して前記単細胞を破砕し且つ前記単細胞の全ゲノムを放出させることができる。発明者の発現によると、このようして、単細胞を効率的に破砕し且つ全ゲノムを放出させることができ、そして放出された全ゲノムを配列決定する際に、正確率を高めることができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。本発明の実施例によると、単細胞全ゲノム増幅の方法が特に制限されなく、PCRに基づく方法、例えばPEP-PCR、DOC- PCR、及びOmniPlex WGAを採用してよいし、また、PCRに基づかない方法、例えばMDA(多重鎖置換増幅)を採用してもよい。本発明の具体的例示によると、好ましくは、PCRに基づく方法、例えばOmniPlex WGA方法を採用する。選択使用できる商業化の試薬キットが、Sigma AldrichのGenomePlex、Rubicon GenomicsのPicoPlex、QiagenのREPLI-g、GE Healthcareのillustra GenomiPhなどを含むがそれに限られない。それ故、本発明の具体的例示によると、配列決定ライブラリーを構築する前に、OmniPlex WGAを利用して単細胞全ゲノムを増幅することができる。それにより、全ゲノムを効率的に増幅することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。本発明の実施例によると、Hiseq2000、SOLiD、454及び単分子配列決定装置から選ばれる少なくとも一種を採用して、前記全ゲノム配列決定ライブラリーを配列決定することができる。それにより、これらの配列決定装置の高フラックス、深度配列決定の特長を利用することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。言うまでもなく、当業者が理解すべきこととしては、その他の配列決定方法及び装置を採用して全ゲノム配列決定を行ってもよく、例えば、第三世代の配列決定技術、及びこれから開発可能となるもっと先進な配列決定技術を採用して全ゲノム配列決定を行ってもよい。本発明の実施例によると、全ゲノム配列決定によって得られる配列決定データの長さが特に制限されない。本発明の一つの具体的実施例によると、前記複数の配列決定データの平均長さが約50bpである。出願人が驚くと思うのは、配列決定データの平均長さが約50bpである場合、配列決定データの分析を極便利に行い、分析の効率を高めることができると共に、分析のコストを著しく低減させることができる。単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率が更に高まり、且つ単細胞染色体の非整倍数性を確定するコストが低減された。ここで使用される用語の「平均長さ」とは、各配列決定データの長さ数値の平均値を指す。
【0039】
S200:前記第一の配列決定結果のうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして、数値Lを得る。
【0040】
単細胞の全ゲノム配列決定を完成した後、得られた配列決定結果には複数の配列決定データが含まれている。本文で使用される用語の「参照ゲノムとマッチできる配列決定データ」とは、配列決定結果の全ての配列決定データと既知参照ゲノム配列(例えばヒトゲノムHg19)とをマッチすることによって参照ゲノムとマッチできる配列決定データのことを指す。当業者が理解すべきこととしては、何れの既知の方法を採用してこれらの配列決定データの総数をカウントすることができる。例えば、配列決定器具の製造メーカに提供されるソフトウエアを利用して分析を行うことができる。
【0041】
S300:第一の配列決定結果のうち参照ゲノム第一の染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値Mを得る。
【0042】
ここで使用される用語の「第一の染色体」については、広い意味で理解すべきであり、それは何れの研究希望の目的染色体を指して可能であり、その数が1本のみの染色体に限らず、ひいては、全ての染色体を同時に分析することもできる。本発明の実施例によると、第一染色体は、ヒト染色中の何れの染色体であることが可能であり、ヒト1〜23号染色体から選ばれる何れの染色体であることが可能となる。本発明の実施例によると、好ましくは、ヒト21号染色体、18号染色体、13号染色体、X染色体及びY染色体のうちから選ばれる少なくとも一種である。それにより、よく見掛けるヒト染色体疾病を効率的に確定することができ、例えば、胎児の遺伝性疾病を予測することあできる。故に、本発明の実施例による単細胞染色体の非整倍数性の確定方法は、体外生殖分野での着床前スクリーニング(PGS)及び着床前診断(PGD)、及び胎児核細胞の出産前チェックなどに非常に効率的に応用でき、また、妊婦羊水から胎児の単細胞を抽出することで出産前チェックすることにも適用できる。それ故に、単細胞を容易に抽出することで、胎児の染色体に異常があるか否か快速に予測して、胎児が重大な遺伝性疾病を患うことを回避することができる。本文で使用される用語の「参照ゲノム第一の染色体にマッチできる」こととは、配列決定データと参照ゲノム第一の染色体の既知配列とをマッチすることによって、第一の染色体の配列とマッチできるため、これらの配列決定データが第一の染色体の配列決定結果から由来すると確定できる、とのことを指す。
【0043】
本発明の実施例によると、第一の配列決定結果から特定染色体由来の配列決定データを取捨選択する方法は特に制限されない。本発明の一つの具体的例示によると、第一の配列決定結果と既知のゲノム配列情報とをマッチすることができるため、第一の染色体由来の配列決定データを取捨選択することができる。それ故に、本発明の一つの実施例によると、常規のソフトウエアを利用して、第一の配列決定結果と既知ゲノム配列情報とをマッチすることで、前記第一の染色体由来の配列決定データを取捨選択するステップを更に含むことができる。それにより、特定染色体由来の配列決定データを効率的に確定することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0044】
S400:数値Lと数値Lに基づいて第一のパラメータを確定する。
【0045】
本発明の実施例によると、数値Lと数値Mに対して何れの常規的数学計算及び分析を行い、且つ得られた結果を予定の参照パラメータと比較して、数値Mにより代表される染色体が非整倍数性を有するか否かとの情報を得ることができる。数値Lと数値Mによって、総配列決定データ量に対する特定染色体のデータ量の相対データ量、即ち特定染色体データが総データ量を占める割合を計算することができ、それは全本の染色体範囲内で統計しても、人為に窓口を分割して統計してもよく、窓口の大きさが一定であっても、不定であってもよい。データ量の類型は、配列決定のリード(reads)数、塩基数、深度、平均深度、カバー数などを含むがそれに限らない。本発明の一つの実施例によると、第一のパラメータが数値Mと数値Lとの比M/Lである。発明者の発現によると、簡単な数学演算によって得られた数値は、全ゲノムにおける特定染色体の含有量を反映する相関情報を得ることができる。それにより、配列決定結果を便利に分析して、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率を高めることができる。
【0046】
S500:第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、第一染色体に関して単細胞が非整倍数性を有するか否か確定する。
【0047】
本発明の実施例によると、先に確定された第一のパラメータと予定の参照パラメータとを比較することによって、第一のパラメータと予定の参照パラメータと間の差異に基づいて、特定の染色体に関して単細胞が非整倍数性を有するか否か確定することができる。単細胞の全ゲノム配列決定の配列決定結果のうち、ある特定染色体に対する配列決定データの数が、全ゲノム中の当該染色体の含有量と正相関となるため、配列決定結果のうちある特定染色体由来の配列決定データの数及び全ゲノム配列決定の総数を分析することによって、当該染色体に関して単細胞が非整倍数性を有するか否か効率的に確定することができる。本文で使用される用語の「参照パラメータ」とは、既知ゲノムの正常な単細胞を生物サンプル単細胞に対して繰り返して操作し及び分析することによって得られた特定染色体についての相関データのことを指す。当業者が理解すべきこととしては、同じ配列決定条件及び数学演算方法を利用して、それぞれ、特定の染色体の相関パラメータ、及び正常細胞の相関パラメータを得ることができる。ここでは、正常細胞の相関パラメータを参照パラメータとしてよい。また、本文で使用される用語の「予定の」については、広義的に理解すべきであり、予め実験によって確定されるものであってもよく、生物サンプルを分析する際に、平行実験によって得られるものであってもよい。ここで使用される用語の「平行実験」については、広義的に理解すべきであり、未知サンプルの配列決定と既知サンプルの配列決定及び分析を同時に行うことを指しても、同一条件での配列決定及び分析を相次いで行うことを指しても可能となる。本発明の実施例によると、数値Mと数値Lとの比M/Lを第一のパラメータとする場合、下記の方法によって参照パラメータを確定することができる。即ち、先ず、染色体非整倍数性無しのサンプルに由来する参照単細胞全ゲノムを配列決定することで、第二の配列決定結果を得て;次に、前記第二の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして、数値L’を得る。続いて、第二の配列決定結果のうち参照ゲノム第一染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値M’を得る。最後、前記M’/ L’の比M’/ L’を確定して、得られた比M’/ L’を予定の参照パラメータとすることができる。それにより、参照パラメータを便利に確定して、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率を高めることができる。
【0048】
第一のパラメータと予定の参照パラメータとの間の差異を確定するために、当業者は、何れの既知の数学演算を利用して操作することができる。本発明の実施例によると、発明者の発現では、先ず、第一のパラメータと予定の参照パラメータとの比を得て、その後、当該比を、予め確定された第一の閾値及び第二の閾値と比較して、特定染色体非整倍数性についての情報を得ることができる。本文で使用される用語の「第一の閾値」及び「第二の閾値」は、1本の染色体が余分に増やし及び1本の染色体が欠如することをそれぞれ反映する数値であり、当業者は、既知ゲノム状態のサンプルに基づいて相関系列の試験を行ってこれらの数値を確定し、例えば、ダウン症候群を患う胎児のサンプルを抽出することによって、上記実験を行って、ヒト第21本染色体において1本の染色体が余分に増やしている状態の場合の閾値、即ち第一の閾値を得ることができ、同じように、他の相関の病理サンプルを利用して、1本の染色体が欠如する場合の閾値、即ち第二の閾値を確定することができる。本発明の一つの実施例によると、第一の閾値が約1.25〜1.75であり、例えば約1.5であって可能で、第二の閾値が約0.25〜0.75であり、例えば約0.5であって可能である。それ故、本発明の一つの実施例によると、第一のパラメータと予定の参照パラメータとの比が第一の閾値を超える場合、単細胞中の研究された染色体の数が3本であり、即ち、1本の染色体が余分に増やされたと確定し;また、第一のパラメータと予定の参照パラメータとの比が第二の閾値よりも低い場合、単細胞中の研究された染色体の数が1本であると確定し;及び、第一のパラメータと予定の参照パラメータとの比が第一の閾値と第二の閾値との間にある場合、単細胞中の研究された染色体の数が2本であると確定する。それにより、第一の閾値及び第二の閾値を設置するによって、特定の染色体の数には異常があるか否か快速に判断できる。また、本発明の実施例によると、第一のパラメータと予定の参照パラメータとの比に対して、或いは第一のパラメータ及び予定の参照パラメータに対してそれぞれ数学統計検証し、例えばT-検証を行うことで、配列決定結果を分析することの正確度及び精確度を高めることもできる。当業者が理解すべきこととしては、相関の数学統計検証を行った後、別の第一の閾値及び第二の閾値を設置することで相似の上記分析を行ってもよい。
【0049】
本発明の他の形態によると、本発明は、単細胞染色体非整倍数性を確定するためのシステム1000を提出した。下記の図面2〜4に示された通り、本発明の実施例によると、単細胞染色体非整倍数性を確定するためのシステム1000は、全ゲノム配列決定装置100と配列決定結果分析装置200を備える。本発明の実施例によると、全ゲノム配列決定装置が、単細胞の全ゲノムを配列決定して第一の配列決定結果を得ることに用いられる。配列決定結果分析装置200が、全ゲノム配列決定装置100から第一の配列決定結果を受ける。配列決定結果分析装置は下記の操作を執行することができる。先ず、得られた第一の配列決定結果の配列決定データのうち参照ゲノムとマッチできる配列決定データの総数をカウントして数値Lを得て;続いて、第一の配列決定結果のうち参照ゲノム第一染色体にマッチできる配列決定データの数をカウントして、数値Mを得て、次に、数値Lと数値Mに基づいて、第一のパラメータを確定し;最後、前記第一のパラメータと予定の参照パラメータとの差異に基づいて、前記第一の染色体に関して単細胞が非整倍数性を有するか否か確定する。単細胞染色体の非整倍数性を確定するための当該システム1000を利用して、本発明実施例による単細胞染色体の非整倍数性を確定する方法が効率的に実施できるため、単細胞染色体非整倍数性を効率的に確定することができる。
【0050】
図面3に示された通り、本発明の実施例によると、単細胞染色体の非整倍数性を確定するためのシステム1000は全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置300を更に含むことが可能である。本発明の例示によると、全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置300が、全ゲノム配列決定装置100に配列決定用の全ゲノム配列決定ライブラリーを提供する。図面4に示された通り、全ゲノム配列決定ライブラリー作製装置300は、単細胞分離手段301と、単細胞破砕手段302と、全ゲノム増幅手段303と、配列決定ライブラリー構築手段304とを更に含むことが可能である。本発明の実施例によると、単細胞分離手段301が、生物サンプルから単細胞を分離することに用いられる。単細胞破砕手段302が、分離された単細胞を受け且つ単細胞を破砕して単細胞の全ゲノムを放出することに用いられる。全ゲノム増幅手段303が単細胞破砕手段302と相互連接しており、単細胞の全ゲノムを受け且つ単細胞の全ゲノムを増幅することに用いられる。配列決定ライブラリー構築手段304が、全ゲノム増幅手段303と相互連接しており、増幅済の全ゲノムを受け且つ増幅済の全ゲノムを利用して全ゲノム配列決定ライブラリーを組み立てることに用いられる。それにより、単細胞の全ゲノム情報を効率的に得ることができるため、単細胞染色体非整倍数性をより効率的に確定することができる。ここで使用される用語の「相互連接」は広義的に理解すべきであり、直接的な相互連接であっても、間接的な相互連接であってもよく、ひいては、同一の容器又は設備を使用することもでき、機能上の繋がりが実現さればよく、例えば、単細胞破砕手段302と全ゲノム増幅手段303が一体的に構成されることが可能であり、言いかえすれば、単細胞の破砕を実現した後、同一の設備又は容器の中で全ゲノム増幅処理を行い、放出された全ゲノムを他の設備又は容器に送ることが必要でなく、設備内の条件(反応条件と反応体系の組成を含み)を、全ゲノム増幅反応の行いに適するよう転換すればよい。このように、単細胞破砕手段302と全ゲノム増幅手段303との機能上の繋がりが実現される上に、用語「相互連接」にカバーされていると考えられる。
【0051】
本発明の一つの実施例によると、単細胞分離手段301は、希釈法、口吸管分離法、顕微操作、流式細胞分離術、マイクロフルイドコントロール法という操作のうちから選ばれる少なくとも一種を執行する装置を含む。本発明の一つの具体的例示によると、採用できる顕微操作が顕微切断である。それにより、生物サンプルの単細胞を効率で簡便に得ることができるため、後続操作の実施が便利となり、単細胞染色体非整倍数性を確定する効率が高まる。当業者は、採用されるゲノム配列決定技術の具体的案によって全ゲノム配列決定ライブラリーを組み立てる異なる方法及び設備を選択することができ、全ゲノム配列決定ライブラリーを組み立てる詳細については、配列決定器具のメーカ、例えばIllumina社により提供された規程を参照することができる。本発明の一部の例示によると、単細胞を破砕し且つ全ゲノムを放出するための方法は特に制限されなく、単細胞を破砕し好ましくは充分に破砕して全ゲノムDNAを放出させることができればよい。本発明の具体的例示によると、アルカリ性破砕液を利用して前記単細胞を破砕し且つ前記単細胞の全ゲノムを放出する。発明者の発現によると、このようにして、単細胞の全ゲノムを効率的に放出することができ、且つ得られた全ゲノムを配列決定する際に、正確率が高まるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。それ故に、本発明の一つの実施例によると、単細胞破砕手段302は、アルカリ破砕を行い全ゲノムを得ることに適する装置(図面に示せず)を含む。それにより、単細胞の全ゲノムを効率的に得ることができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。本発明の一つの実施例によると、全ゲノム増幅手段303は、OmniPlex WGA法によって前記全ゲノムを増幅することに適する装置を含む。それにより、全ゲノムを効率的に増幅することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。
【0052】
本発明の一つの実施例によると、全ゲノム配列決定装置100は、Hiseq2000、SOLiD、454及び単分子配列決定装置から選ばれる少なくとも一種を含む。それにより、これらの配列決定装置の高フラックス、深度配列決定の特長を利用して、単細胞染色体の非整倍数性を確定する効率を更に高めることができる。言うまでもなく、当業者が理解すべきこととしては、他の配列決定方法及び装置を採用して、例えば、第三世代の配列決定技術、及びこれから開発可能となる更に先進の配列決定技術を採用して、全ゲノム配列決定を行ってもよい。本発明の実施例によると、全ゲノム配列決定によって得られる配列決定データの長さが特に制限されない。
【0053】
本発明の一つの実施例によると、配列決定結果分析装置200は配列マッチ手段(図面に示せず)を更に含む。配列マッチ手段は、第一の配列決定結果と既知ゲノム配列情報とをマッチして、参照ゲノムとにマッチできる配列決定データ及び第一の染色体由来の配列決定データを得ることに用いられる。それにより、特定染色体由来の配列決定データを効率的に確定することができるため、単細胞染色体の非整倍数性をより効率的に確定することができる。ここで使用される用語の「第一の染色体」は広義的に理解すべきであり、それは、何れの研究希望の目的染色体を指すことが可能であり、その数が1本のみの染色体に限らず、ひいては、全ての染色体を同時に分析することもできる。本発明の実施例によると、第一の染色体は、ヒト染色体中の何れの染色体、例えば、ヒト21号染色体、18号染色体、13号染色体、X染色体及びY染色体のうちから選ばれる少なくとも一種であって可能である。それにより、よく見掛けるヒト染色体疾病を効率的に確定することができ、例えば胎児の遺伝性疾病を予測することができる。よって、本発明の実施例による細胞染色体の非整倍数性を確定する方法は、体外生殖分野での着床前スクリーニング(PGS)及び着床前診断(PGD)、及び胎児核細胞の出産前チェックなどに非常に効率的に応用することができ、また、妊婦羊水から胎児の単細胞を抽出することで出産前チェックを行うことにも適用できる。それにより、単細胞を容易に抽出するによって、胎児の染色体に異常があるか否か快速に予測して、胎児が重大遺伝性疾病を患うことを回避することができる。
【0054】
数値L及び数値Mに基づいて染色体の非整倍数性を分析することについて、上記で詳しく記述しており、ここでは更に贅言しない。説明すべきこととしては、本発明の一つの実施例によると、配列決定分析装置200は、第一パラメータと予定の参照パラメータとの比に対して或いは第一パラメータ及び予定の参照パラメータのそれぞれに対してT-チェックを行い且つ前記第一の染色体のT-チェック数値を得るためのT-チェック手段を更に含む、ことである。それにより、配列決定結果を分析することの正確度及び精確度を高めることができる。
【実施例】
【0055】
以下、具体的実施例によって本発明を説明する。説明すべきこととしては、これらの実施例は目的を説明するためのものであり、何れの方式で本発明への制限として解釈してはならない。
【0056】
実験材料:
正常の男性血液(YH血液と略称し)の単細胞を正常参照血液単細胞とする。テスト予定サンプル血液単細胞が、ダウン症侯群(ヒト第21本染色体を3本有する)女性由来の血液(T21血液と略称し)の単細胞である。その他の試験材料については、特別に説明していなかった場合、何れも当分野での常規の方法で調製される試薬或いは市販で得られる試薬である。
【0057】
実験プロセス:
1、単細胞の分離
YH血液とT21血液サンプルを遠心分離して、白細胞層を分離させる。白細胞をPBSで洗浄した後、PBS小滴中に懸濁させ、口吸管で単個の白細胞を分離させて、1-2μ1アルカリ性細胞破砕液に置いて、-20℃で30min以上冷凍する。YH血液とT21血液はそれぞれ3つの単細胞が分離された(それぞれ、YHSigm-1、YHSigm-2、YHSigm-3、T21Sigm-1、T21Sigm-2、及びT21Sigm-3と記述する)。
【0058】
2、単細胞の破砕及び全ゲノムの増幅
破砕液に置かれた単細胞を、65℃、5-15min処理して、単細胞を破砕する。その後、Sigma AldrichのGenomePlex WGA試薬キットを用いて単細胞全ゲノム増幅を行い、具体的操作は、GenomePlex Single Cell Whole Genome Amplification Kit (WGA4)- Technical Bulletin(PHC 09/10-1)の通り、参照してここに導入する。手短に言えば、先ず、単細胞ゲノムDNAをランダムに断って、両端に通用プライマー結合区があるOmniPlexライブラリーの構築に用いて、その後、OmniPlexライブラリーを有限なPCR循環増幅して、単細胞全ゲノム増幅を完成する。
【0059】
3、全ゲノム配列決定ライブラリーの構築
aired-End SamplePrep Guide(Part#1005063;Feb 2010)(参照することによって、本明細書に組まれることとする)Illumina Paired-End DNA Sample Prep Kitを採用して、断片が約350bp挿入されている全ゲノム配列決定ライブラリーを構築する。
【0060】
4、高フラックスの配列決定
Illumina Hiseq2000配列決定システムを利用して高フラックスの配列決定を行う。作製された全ゲノム配列決定ライブラリーをcBotによりClusterを作製し、その後、Hiseq2000配列決定計で運行し、配列決定長さが50bpである。
【0061】
5、データを参照ゲノムにマッチする。
配列決定により得られたリード数データをSOAPソフトウエアによって参照ゲノムにマッチし、HG18を用いてヒト参照ゲノム配列とし、2つの塩基のミスマッチを許せ、マッチ結果を統計する。表1がデータマッチ結果の統計であり、各単細胞が約11.7〜14.6Mのリード数データを得て、マッチ率が68%〜76%の範囲にあり、唯一マッチ率が75%〜80%である。ゲノムDNA配列決定と比較して、単細胞WGAのデータマッチ率がやや低く、GenomePlex WGAのPCR増幅においてプライマーの縮退配列結合の偏差によるものである。偏差部分が参照配列とマッチできないため、それらのマッチできるデータが影響を受けることない。
【0062】
【表1】
【0063】
6、統計量の計算
全てのサンプルの相対データ量を統計し、或いはYH血液単細胞を正常参照として、T21血液単細胞とYHとの相対データ量の比を統計する。各本の染色体のリード数をデータ量として統計し、統計結果が表2の通りである。それから、全てのサンプルの各本の染色体データ量が総データ量を占める比を統計して、相対データ量とし、表3の通りである。更に、T21単細胞とYH単細胞との相対データ量の間の比(Ri)を計算し、そのうち、3つのYH単細胞データ量の平均値を取って計算し、計算の比結果が表4の通り、表4は、3つのT21単細胞サンプルの21号染色体の比が何れも理論値の1.5に近く、他の常染色体よりも著しく高く、21トリソミーの状況を正確に反映することができる、と表明した。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
7、統計量を統計チェックして、染色体が正常であるか否か判断する。
上記得られた相対データ量比(R
i)をT-チェックする。手短に言えば、T21Sigm-1、T21Sigm-2、及びT21Sigm-3の各本の染色体の相対データ量比に対して、平均値(mean)及び標準値(sd)を求め、式
により、各本の染色体のZ-scoreを統計し、計算された各本の染色体のZ-score値が表5の通りである。正規分布理論によると、-3<Z-score値<3の時、正常であり、この範囲を超えると、染色体が異常であると判断される。T21サンプル(女性)とYHサンプル(男性)の性別が異なるため、性染色体の比に対してZ-score計算を行わない。結果の通り、3つのT21単細胞サンプルの21号染色体Z-score値が何れも3より大きく、差異が著しく、21トリソミーである、と判定できる。
【0068】
【表5】
【0069】
8、3つの正常参照YH単細胞YHSigm-1、YHSigm-2、YHSigm-3とT21Sigm-1の相対データ量に対して平均値(mean)及び標準値(sd)を計算して、更にこのモデルでテスト予定サンプルT21単細胞相対データ量のZ-scoreを計算し、表6の通りである。正規分布理論によると、-3< Z-score値<3の時、正常であり、この範囲を超えると、染色体が異常である、と判断する。性染色体Xについて、本実施例では、T21テスト予定サンプルが参照サンプルより染色体が1本多いとZ-scoreによって判断し、参照サンプルYHが男性であるため、T21テスト予定サンプルが女性であると判断できる。3つのT21単細胞サンプルの21号染色体Z-score値が何れも明らかに3より大きく、差異が著しいため、21トリソミーであると判定できる。T21サンプル(女性)とYHサンプル(男性)の性別が異なるため、性染色体の比に対してZ-score計算を行わない。
【0070】
【表6】
【0071】
本明細書の記述において、参照用語の「一つの実施例」、「一部の実施例」、「概略的実施例」、「例示」、「具体的例示」、又は「一部の例示」などの記述とは、当該実施例又は例示を参照して記述された具体的特徴、構造、材料或いは特長が本発明の少なくとも一つの実施例又は例示に含まれている、ことを指す。本明細書において、上記用語の概略的記述は同一の実施例又は例示を指すとは限らない。そして、記述の具体的特徴、構造、材料或いは特長を、何れの一つ又は複数の実施例或いは例示にて適宜な方式で結合することができる。また、説明すべきこととしては、本発明で提出された案に含まれているステップの順番について、当業者が調整をしてよく、これも本発明の範囲内に含まれている、と当業者は理解すべきである。
【0072】
本発明の実施例を示し及び記述したにもかかわらず、本発明の原理及び主旨を離脱しない場合でこれらの実施例を多種の変化、修正、取替及び変形を行うことができ、本発明の範囲が請求の範囲及びその同等物によって限定される、と当業者は理解すべきである。