特許第5964451号(P5964451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーロン インダストリーズ インクの特許一覧

<>
  • 特許5964451-導光板 図000005
  • 特許5964451-導光板 図000006
  • 特許5964451-導光板 図000007
  • 特許5964451-導光板 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964451
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】導光板
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160721BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20160721BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20160721BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160721BHJP
【FI】
   F21S2/00 434
   F21S2/00 443
   F21V8/00 100
   G02B6/00 331
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-549967(P2014-549967)
(86)(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-504229(P2015-504229A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】KR2012010543
(87)【国際公開番号】WO2013100426
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0147906
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ジュン−キル
(72)【発明者】
【氏名】チェ クァン−ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン テ−ガプ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェ−フン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン−ジョン
【審査官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−110794(JP,A)
【文献】 特開2004−171871(JP,A)
【文献】 特開平7−94008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面方向に光源が挿入されるためのトンネルを有する導光板であって、
前記光源がそれぞれ挿入される互いに離間した前記トンネルを有するトンネル領域と、
トンネルを有しない非トンネル領域とを含んでなり、
前記導光板は、前記トンネルのための凹部を有する上部パネルと、前記上部パネルに組み合わされた板状の下部パネルとにより形成され、
前記板状の下部パネルには上面全体に微細パターンが形成されており、
前記微細パターンは20〜300μmの直径を有する半球状であり、
前記トンネル領域および前記非トンネル領域の各幅はそれぞれ前記導光板の全幅の40〜70%および30〜60%であることを特徴とす導光板。
【請求項2】
前記トンネルの高さは前記導光板の高さの50〜90%であることを特徴とする、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記トンネルはトンネル間の間隔が3〜20mmであることを特徴とする、請求項1に記載の導光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトユニットに使用される導光板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学用ディスプレイ素子として用いられる液晶ディスプレイは、外部光源の透過率を調節して画像を示す間接発光方式であって、光源装置としてのバックライトユニットが液晶ディスプレイの特性を決定する重要な部品として使われている。
【0003】
バックライトユニット(以下、「BLU」ということがある。)においては、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、Cold Cathode Fluorescent Lamp)、または発光ダイオード(LED、Light Emitted Diode)などの光源を用いて放出される光が順次に導光板または拡散板、拡散シート、およびプリズムシートを通過して液晶パネルに到達する。
【0004】
ここで、導光板は、液晶ディスプレイ(LCD)装置の発光装置として用いられるバックライトユニット(BLU)の光源位置別に区分される2つのタイプのうち、光源がサイドから放出されるエッジタイプ(Edge Type)において使用される。
【0005】
エッジタイプのバックライトユニットでは、図1に示すように、光源20と導光板10とは互いに所定の間隔をおいて離間して配置される。よって、光が光源から導光板に入るときに光の一部が導光板の外に漏れて光量が減少するという問題点があった。
【0006】
かかる問題点を解決するために、導光板の側面に溝を設け、溝に光源を嵌め込んで製造した光源−導光板構造が開発されたことがある。ところが、このような構造では、既存と比較して入光部の光損失を減らすことはできるが、導光板自体の光吸収によって相対的光損失が生じざるを得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、光源から導入される光の損失を減少させることが可能な導光板およびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好適な第1実施態様は、側面方向に光源が挿入されるためのトンネルを有する導光板であって、互いに離間した光源がそれぞれ挿入されるトンネルを有するトンネル領域と、トンネルを有しない非トンネル領域とを含んでなることを特徴とする導光板を提供する。
【0009】
前記第1実施態様において、前記導光板の下部には微細パターンが形成されていてもよい。
【0010】
前記第1実施態様において、前記トンネル領域および前記非トンネル領域の各幅はそれぞれ前記導光板の全幅の40〜70%および30〜60%であってもよい。
【0011】
前記第1実施態様において、前記トンネルの高さは前記導光板の高さの50〜90%であってもよい。
【0012】
前記第1実施態様において、前記トンネルはトンネル間の間隔が3〜20mmであってもよい。
【0013】
また、本発明の好適な第2実施態様は、板状の下部パネルと、トンネルを有する上部パネルをそれぞれ押し出した後、前記下部パネルの上面に前記上部パネルの下面を貼り合わせることを特徴とする、導光板の製造方法を提供する。
【0014】
前記第2実施態様において、前記下部パネルの上面には微細パターンが形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光源が挿入できるトンネルを有する導光板を提供することができるため、従来の導光板から発生する問題点としての光損失を減少させることができる。また、トンネルの下部に形成されたパターンにより輝度および輝度均一度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来のバックライトユニットアセンブリーにおける光源と導光板を示す図である。
図2】本発明に係る導光板を示す模式図である。
図3】本発明に係る導光板のトンネルを示す模式図である。
図4】本発明に係る導光板に光源が挿入された様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、側面方向に光源(200)が挿入されるためのトンネルを有する導光板(100)は、光源がそれぞれ挿入される互いに離間したトンネルを有するトンネル領域(310)と、トンネルを有しない非トンネル領域(320)とを含んでなる。
【0019】
前記トンネルの開放された一側面から光源が挿入されて光源から導光板に光が入るので、従来の光源から導光板に光が入るときに光源と導光板間の間隔により発生する光損失を減らすことができる。
【0020】
また、従来の導光板、例えば、PMMA(polymethyl methacrylate)樹脂で製造された導光板は、光透過度が93%程度であり、透過していない残りの光は導光板自体に吸収されて光損失が起こるが、本発明の導光板は、トンネルが設けられており、トンネルの体積に相当する量だけ導光板による光の吸収が起こらないため、光損失を減らすことができる。
【0021】
一方、前記導光板の下部には微細パターンが形成されており、光源から導入された光を上面に均一に発散して輝度および輝度均一度を向上させることができる。ここで、導光板の下部とは、導光板を板状の下部パネルと、トンネルを有する上部パネルに区分したときに、下部パネルの上面を意味する。すなわち、その上面全体に微細パターンが形成された導光板の下部パネルと、トンネルを有する上部パネルとを貼り合わせて導光板を製造することができる。
【0022】
前記微細パターンは、光源との距離に応じて密度勾配を異ならしめることができる。
【0023】
また、前記微細パターンは、その形状が半球状、ピラミッド状、ドット状、その他不規則な形状など、散乱を生じさせることが可能な全てのパターンであり、その形状が半球状の場合、20〜300μmの直径を有しうる。
【0024】
このような微細パターンは、押出またはホットスタンピング(Hot Stamping)方式で形成できる。
【0025】
前記実施態様に係るトンネル領域および非トンネル領域の各幅は、それぞれ導光板の全幅の40〜70%および30〜60%でありうる。この際、トンネル領域の幅はトンネル(tunnels)の幅と同一である。
【0026】
したがって、前記トンネルの幅は導光板の幅の40〜70%でありうる。トンネルの幅が導光板の幅の40%未満である場合は、短いトンネル故に輝度上昇の有意差を見出し難いという問題点があり、トンネルの幅が導光板の幅の70%を超える場合は、空き空間の過多による非信頼性、すなわち高温高湿における撓み発生の問題点がある。
【0027】
また、前記トンネルの高さは導光板の高さの50〜90%でありうる。トンネルの高さが50%未満である場合、低い光量により光の直進性に欠けるという問題点があり、トンネルの高さが90%を超える場合、導光板自体の厚さが厚くなることによる他の光学部材との結合問題点が発生するおそれがある。この際、前記トンネルの高さはトンネルの下部から上部までを意味し、微細パターンが形成された場合、微細パターンの底面(すなわち、微細パターンが形成されていないときのトンネルの下部と同じ面である)からトンネルの上部までを意味する。
【0028】
前述したような導光板は押出によって製造できる。ワンショット(one shot)による押出ダイスで、ダブルホール(double hole)方式のトンネルが設けられた導光板を製造することにより、価格競争力を高め且つ高輝度を実現することができる。
【0029】
具体的には、板状の下部パネルと、トンネルを有する上部パネルをそれぞれ押し出した後、前記下部パネルの上面に上部パネルの下面を貼り合わせて導光板を製造することができ、微細パターンは前記下部パネルの上面全体に形成されていてもよい。
【0030】
しかも、このような導光板を含むバックライトユニットアセンブリーの場合、輝度および輝度均一度が向上した特性を示し、導光板に光源を挿入した構造の実現が可能であってバックライトユニットアセンブリー自体の体積も効果的に減らすことができる。
【0031】
以下、本発明を具体的な実施例によって説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されず、本発明の範囲内において、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々に変更されて実施できるのはもちろんである。
【0032】
実施例1〜15および比較例1〜15
押出機(イタリア、OMIPA社製)としてダブルホール方式のダイス(Die)を用いてPMMA樹脂(LG MMA社製)をワンショット(One Shot)工程で押し出すことにより、トンネルを有するPMMA導光板を製造するが、表1、表2および表3に示すように、パターンがトンネルの下部に形成されている導光板を製造した。この際、製造された導光板は、光源が入射する側面方向への長さが1200mmであり、高さは表1のとおりである。
【0033】
各実施例および比較例で製造された導光板に対して、下記の方法でトンネルの高さによる導光板の輝度および輝度均一度を測定し、その結果を表1に示した。
【0034】
また、各実施例および比較例で製造された導光板に対して、下記の方法でトンネル間の間隔による導光板の輝度および輝度均一度を測定し、その結果を表2に示した。
【0035】
また、各実施例および実施例で製造された導光板に対して、下記の方法で、トンネルの下部に形成されたパターンのサイズによる輝度および輝度均一度を測定し、その結果を表3に示した。
【0036】
(1)輝度の測定
輝度計(モデル名:BM−7、日本TOPCON社製)を用いてBLUの中心部における輝度を測定した。
【0037】
(2)輝度均一度の測定
輝度計(モデル名:BM−7、日本TOPCON社製)を用いて、BLUの中心部を基準として上下それぞれ5ヶ所を含む総25ヶ所で輝度を測定した。測定された25個の値に対して輝度の(Min/Max)値で均一度を示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
光測定の結果、表1に示すように、トンネルの高さが導光板の高さの50〜90%から外れる場合、輝度均一度は一定に維持されながら輝度が上昇するが、導光板の厚さが厚くなると他のバックライト部材との結合に問題が発生するので、好ましくない。
【0041】
また、表2に示すように、表1の輝度の上昇分だけトンネル間の間隔を比例的に増加させた場合、 広くなったランプ間の間隔に比例した光量不足により輝度および輝度均一度の低下問題が発生することが分かった。
【0042】
また、表3に示すように、下面パターンの形態、すなわち半球状の直径を異ならしめる場合、直径が小さくなると輝度および輝度均一度が向上することが分かった。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明の目的で開示したが、当業者であれば、添付した請求の範囲に開示された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変形、追加および置換を加え得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4