特許第5964492号(P5964492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5964492
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/42 20140101AFI20160721BHJP
   A63F 13/56 20140101ALI20160721BHJP
   A63F 13/537 20140101ALI20160721BHJP
   A63F 13/245 20140101ALI20160721BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20160721BHJP
【FI】
   A63F13/42
   A63F13/56
   A63F13/537
   A63F13/245
   A63F13/58
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-243660(P2015-243660)
(22)【出願日】2015年12月14日
【審査請求日】2016年1月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月27日より株式会社カプコンのインターネット販売サイト「イーカプコン」(http://www.e−capcom.com/ec/cmShopTopPage.html)から販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年8月31日より株式会社カプコンのインターネットサイト(http://www.dd−on.jp/pc/)ならびに株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントのインターネットサイト「PlayStation Network」から販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】三小田 憲正
(72)【発明者】
【氏名】馬耒 浩一
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−268854(JP,A)
【文献】 特開2008−264244(JP,A)
【文献】 特開2002−052248(JP,A)
【文献】 特開2002−200341(JP,A)
【文献】 特開2007−075612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作するコントローラと、ゲーム画面を表示する表示部と、が接続されるゲーム装置を、
前記ユーザによる前記コントローラに対する操作を受け付ける操作入力手段、
プレイヤオブジェクトに所定の行動を実行させるための行動入力信号に応じて、当該プレイヤオブジェクトに第1期間の行動準備を実行させ、前記第1期間経過後に前記行動を実行させる行動実行手段、
前記第1期間中に、前記行動の態様を変化させるための複数のコマンドを前記表示部に表示するとともに、前記コマンドに対応する追加入力信号に応じて段階的に前記態様を変化させる行動態様変化手段、
前記第1期間内に無効入力信号を受信した場合、前記追加入力を無効にするペナルティ状態とするとともに、前記ペナルティ状態とした後に、前記ペナルティ状態を解除させる解除条件を満たす解除入力信号を受信した場合、前記ペナルティ状態を解除するペナルティ手段、
として機能させ
前記行動実行手段は、前記第1期間内に前記段階的な態様の変化が上限に達した際、前記第1期間経過前に前記行動を実行させるゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの操作に基づいてプレイヤオブジェクトに所定の行動を行わせるゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレイヤオブジェクトに通常の攻撃力で即座に攻撃をさせるか、または、プレイヤオブジェクトの攻撃をしばらくの時間遅らせて通常の攻撃力より強い攻撃力で攻撃をさせるか(所謂チャージ攻撃)を、ユーザが択一的に選択できることが知られている(特許文献1)。
【0003】
この従来の技術によれば、ユーザは、プレイヤオブジェクトによる所定の攻撃をしばらくの時間遅らせることにより、その攻撃力を任意にコントロールする(変化させる)ことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−075612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献は所定の攻撃をチャージするか否かを選択できるだけであって、攻撃力を高めるため、チャージ中に追加操作入力を必要とするものではない。そのため、ユーザがチャージ中に手持無沙汰となり、ゲームの興趣性を失うという課題があった。
【0006】
ここで発明者らはチャージ中にユーザに所定の追加操作入力を行わせることを考えた。しかし、ユーザが言わば適当に操作部を操作して、安易に追加操作入力を成功させてしまうことがあった。この場合、ゲーム製作者が想定していたゲームバランスが崩れ、ゲームの興趣性を失うという課題がさらにあった。
【0007】
本発明は、プレイヤオブジェクトに所定の行動を行わせるためのユーザによる行動操作入力に応じて第1期間の行動準備を実行するとともに、この第1期間中に行われる行動の態様を変化させるための追加操作入力が所定の条件を満たす場合、所定のペナルティを与える処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明によって提供されるゲームプログラムは、ユーザが操作するコントローラと、ゲーム画面を表示する表示部と、が接続されるゲーム装置を、前記ユーザによる前記コントローラに対する操作を受け付ける操作入力手段、プレイヤオブジェクトに所定の行動を実行させるための行動入力信号に応じて、当該プレイヤオブジェクトに第1期間の行動準備を実行させ、前記第1期間経過後に前記行動を実行させる行動実行手段、前記第1期間中に、前記行動の態様を変化させるための複数のコマンドを前記表示部に表示するとともに、前記コマンドに対応する追加入力信号に応じて前記態様を段階的に変化させる行動態様変化手段、前記第1期間内に無効入力信号を受信した場合、前記追加入力を無効にするペナルティ状態とするとともに、前記ペナルティ状態とした後に、前記ペナルティ状態を解除させる解除条件を満たす解除入力信号を受信した場合、前記ペナルティ状態を解除するペナルティ手段、として機能させ、前記行動実行手段は、前記コマンドすべてに対する追加入力信号を受信した際、前記第1期間経過前に前記行動を実行させることを特徴とする。
【0009】
また、上記第1の発明によって提供されるゲームプログラムは、前記無効入力信号は、前記コントローラが所定値以上の角速度によって第2期間以上操作されたことを示す信号であることを特徴とする。
【0010】
また、上記第1の発明によって提供されるゲームプログラムは、前記行動態様変化手段は、前記ペナルティ状態において、前記コマンドの表示を変化させるとともに、前記解除入力信号を受信した場合、変化させた前記コマンドの表示を変化前の表示に戻すことを特徴とする。
【0011】
また、上記第1の発明によって提供されるゲームプログラムは、前記コントローラはジョイスティックであって、前記コマンドは前記ジョイスティックを所定方向に所定角度以上傾倒することを指示するものであり、前記解除入力信号は前記ジョイスティックの傾倒を所定角度未満とすることを特徴とする。
【0012】
また、上記第1の発明によって提供されるゲームプログラムは、前記所定の行動とは、前記プレイヤオブジェクトが敵オブジェクトに対して攻撃を実行することであり、前記態様の変化とは、前記攻撃を強化することを特徴とする。
【0013】
第2の発明によって提供されるゲーム装置は、上記ゲームプログラムを記憶した記憶部と、上記ゲームプログラムを実行するコンピュータとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プレイヤオブジェクトに所定の行動を行わせるためのユーザによる行動操作入力に応じて第1期間の行動準備を実行するとともに、この第1期間中に行われる行動の態様を変化させるための追加操作入力が所定の条件を満たす場合、所定のペナルティを与える処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態におけるゲームシステムを説明する図である。
図2】上記ゲームシステムのゲーム装置の制御部(CPU)の構成を示す機能ブロック図である。
図3】上記ゲーム装置のゲーム画面を説明する図である。
図4】上記ゲーム装置のコントローラを介したコマンドに対する追加操作入力を説明する図である。
図5】上記ゲーム装置のスペリングアイコンを説明する図である。
図6】上記ゲーム装置のスペリングアイコンを説明する図である。
図7】上記ゲーム装置の攻撃実行処理および行動態様変化処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施形態であるゲームプログラムについて説明する。本発明において、下記の本実施形態に記載される事項は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態に記載されない事項は意識的に除外したものでもない。本実施形態において上位概念化して記載された事項は、本実施形態に記載されていない当業者において公知であるものも含み、出願時点において存在し得ないものも含む。また、各フローチャートの処理手順について、本実施形態に限定されるものではなく、各処理を実行する手段および手順などは適宜選択し得るものである。
【0017】
<ゲームシステムの説明>
図1はゲームシステム1の構成を説明する図である。本実施形態のゲームシステム1は、ネットワーク4を介して相互に通信可能なサーバ装置2、ゲーム装置3で構成される。
【0018】
ゲーム装置3は、インターネット通信などの通信回線32を備え、ネットワーク4に接続することができる。また、このゲーム装置3は、図1に示す各機能を備える。
【0019】
<ゲーム装置の説明>
ゲーム装置3は、たとえば据え置き型のゲーム装置または携帯型ゲーム装置である。また、ゲーム装置3はパーソナルコンピュータまたはスマートフォンなどの汎用機器を含む。
【0020】
<ゲーム装置のハードウェア構成>
ゲーム装置3は、上述のゲームを実行するため、図1に示すようにバス30上に制御部31、通信回線32、および記憶部33を備える。
【0021】
制御部31は、CPU310、ROM(フラッシュメモリ)311、RAM312、画像プロセッサ313、音声プロセッサ314および操作部315を備える。
【0022】
CPU310は、後述するように、ゲーム装置3で実行されるゲームを制御する。
【0023】
ROM311には、ゲームプログラムを実行するための基本プログラムなどが記憶されている。
【0024】
RAM312には、CPU310がゲームプログラムを実行する際に使用されるワークエリアが設定される。ワークエリアには、ゲーム進行に伴って発生する各種パラメータなどが含まれる。
【0025】
画像プロセッサ313は、ゲーム画面を生成可能なGPU(Graphics Processing Unit)を備える。画像プロセッサ313には、ビデオRAM(VRAM)34が接続される。VRAM34には表示部35が接続されている。画像プロセッサ313は、CPU310の指示に従ってゲーム空間を生成する。このゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像などがゲーム画面として表示部35上に描画される。
【0026】
音声プロセッサ314は、ゲーム音声を生成するDSP(Digital Signal Processor)を備える。音声プロセッサ314は、生成したゲーム音声をD/Aコンバータを含むアンプ36に送信する。アンプ36は、この音声信号を増幅してスピーカ37に送信する。
【0027】
操作部315には、コントローラ38が接続されている。コントローラ38は、十字ボタン、プッシュスイッチ、ジョイスティック、マウス、キーボードおよびタッチパネルなどを含む。また、操作部315は、ユーザによるコントローラ38を介した操作信号を検出し、その操作信号をCPU310に送信する。なお、操作部315は、コントローラ38が操作されていない状態(以下、ニュートラル状態という)であること(操作信号を受信しないこと)を判断することができる。
【0028】
通信回線32は、インターネット回線などを介してデータ通信を行う。制御部31は、データ通信によってゲーム装置3とサーバ装置2との間で通信を行うことにより、ゲーム進行を実行する(所謂オンラインゲーム)またはゲームプログラムのダウンロードなどを行う。制御部31は、インターネット回線でダウンロードすることのみならず、USBなどのインタフェース経由でゲームプログラムを受信(記憶)することもできる。
【0029】
また、通信回線32は、ゲームプレイに必要なユーザ情報(ユーザIDなど)、ユーザと他のユーザとの関係情報(フレンド情報など)およびゲームスコアなどをサーバ装置2、ゲーム装置3に送信(受信)する。
【0030】
記憶部33は、ハードディスクまたはメモリーカードなどである。制御部31は、例えば、予めゲームプログラムおよび楽曲データを記憶部33に記憶するほか、サーバ装置2からダウンロードしたゲームプログラムなどを記憶する。また、このゲームプログラムには、プログラム本体のほか、ゲーム進行に必要なキャラクタ画像、背景画像、音楽およびステージ画像などの様々なゲームデータが含まれる。
【0031】
<制御部の説明>
図2は、制御部31(CPU310)の機能ブロック図である。ゲーム装置3は、記憶部33に記憶されたゲームプログラムと制御部31との協働によって同図に示す機能を実現する。また、ゲーム装置3のCPU310は、操作入力部31A、行動実行部31B、行動態様変化部31Cおよびペナルティ部31Dを備える。
【0032】
なお、CPU310は、操作入力部31A、行動実行部31B、行動態様変化部31Cおよびペナルティ部31Dを備えることに限らず他の機能を適宜備える。またそれぞれの機能は、下記実施形態に記載される処理を実行することに限定されない。いかなる処理をどの機能により実現するかは適宜選択され得るものである。
【0033】
・操作入力部31A
操作入力部31Aは、ユーザが操作するコントローラ38(操作部315)から操作信号を受信する。操作入力部31Aは、受信した操作信号を行動実行部31B、行動態様変化部31Cおよびペナルティ部31Dへ送信する。本実施形態において操作信号とは、ユーザが操作部315を操作していない状態(ニュートラル状態)を示す「信号がないこと」を含む。
【0034】
・行動実行部31B
行動実行部31Bは、プレイヤオブジェクトに、所定の行動をさせるための操作信号(以下、行動入力信号という)を操作入力部31Aから受信してから行動を実行するまでの所定期間(以下、単に所定期間(第1期間)という)行動準備を実行させ、この所定期間経過後に行動を実行させる。また、行動実行部31Bは、後述する行動態様変化部31Cから変化された行動態様に関する情報を受信した場合、プレイヤオブジェクトに所定期間の行動準備を実行させたあと、この行動態様に応じた行動を実行させる。
【0035】
・行動態様変化部31C
行動態様変化部31Cは、操作入力部31Aから行動入力信号を受信した場合、所定期間中にユーザに所定の追加操作入力を促すためのコマンドを表示部35に表示させる。また、行動態様変化部31Cは、後述するペナルティ部31Dからペナルティ処理に関する情報を受信した場合は、コマンドを非表示にする。そして、行動態様変化部31Cは、ペナルティの解除に関する情報を受信した場合は、コマンドを再表示する。コマンドについては後述する。
【0036】
また、行動態様変化部31Cは、操作入力部31Aから、表示されたコマンドに対応する操作信号(以下、追加入力信号という)を受信した場合、行動態様を変化させる。また、行動態様変化部31Cは、変化させた行動態様に関する情報を行動実行部31Bに送信する。
【0037】
・ペナルティ部31D
ペナルティ部31Dは、操作入力部31Aから、所定の無効条件を満たす操作信号(以下、無効入力信号という)を受信した場合、追加操作入力を無効とするペナルティ処理(後述)を実行する。また、ペナルティ部31Dは、ペナルティ処理に関する情報を行動態様変化部31Cに送信する。
【0038】
また、ペナルティ部31Dは、操作入力部31Aから所定の解除条件を満たす操作信号(以下、解除入力信号という)を受信した場合、ペナルティ処理を解除する。また、ペナルティ部31Dは、ペナルティ処理の解除に関する情報を行動態様変化部31Cに送信する。
【0039】
<ゲームの説明>
以下、本実施形態におけるゲーム装置3において実行されるゲームプログラムによって提供されるゲームについて説明する。本実施形態では、所定の行動に所定期間の準備が必要なアクションゲームを例にとって説明する。アクションゲームは、三次元空間において実行されるゲーム、および二次元空間において実行されるゲームを含む。また、本実施形態では、魔法攻撃を所定の行動の例として説明する。
【0040】
本実施形態では、60fpsのフレームレート(1フレーム=1/60秒)で処理されるアクションゲームとして説明する。なお、フレームレートは本実施形態に限定されない。フレームレートはゲーム装置(ハードウェア)の処理能力などにより、60fps、30fpsなどが定められる。
【0041】
また、本件発明はこれに限らず、RPG、スポーツゲーム、音楽ゲーム、アドベンチャーゲームなどに適用可能である。また、所定の行動は魔法攻撃に限らず、たとえば、防御、移動、ジャンプなど、プレイヤオブジェクトが行う行動であればよく、その行動は任意である。さらに、所定の行動に限らず、ユーザがゲーム進行において行う全ての操作においても適用可能である。
【0042】
図3は、表示部35に表示されるゲーム画面を説明する図である。図3には、プレイヤオブジェクト50、敵オブジェクト51、52およびロックオンアイコン53のほか、スペリングアイコン500、攻撃力の補正値501、行動準備ゲージ502およびコマンド510が表示される。
【0043】
・魔法攻撃(所定の行動)
本実施形態における魔法攻撃は、プレイヤオブジェクト50が所定期間の行動準備(詠唱)を実行して、攻撃対象である敵オブジェクト51などに攻撃を実行する行動である。また、魔法攻撃は複数種類あり、それぞれの行動準備に必要な所定期間(たとえば、8秒(480フレーム))が異なるように設定される。
【0044】
行動実行部31Bは、所定期間経過後に、プレイヤオブジェクト50に敵オブジェクト51に対する攻撃行動を実行させる。また、行動実行部31Bは、ロックオンしている攻撃対象(敵オブジェクト51)に対してロックオンアイコン53を表示する。なお、このロックオンは、ユーザによる操作部315の操作によって任意にON/OFFすることができ、またロックオンする攻撃対象を適宜変更することができる。
【0045】
・スペリングアイコン500
スペリングアイコン500は、ユーザによる行動入力信号を受信したときに表示部35に表示されるアイコンであり、行動準備に関する進捗状況をユーザに示す。スペリングアイコン500は、攻撃力の補正値501、行動準備ゲージ502およびコマンド510などで構成される。また、スペリングアイコン500は円形で表示され、その円周に沿って行動準備ゲージ502およびコマンド510が表示される。
【0046】
行動実行部31Bは、操作入力部31Aが攻撃行動をキャンセルするための操作信号を受信した場合、またはプレイヤオブジェクト50が敵オブジェクトから攻撃を受けるなどした場合、行動実行部31Bは行動準備を中断し、スペリングアイコン500を非表示にする。
【0047】
・補正値501
補正値501は、予め設定された魔法攻撃の攻撃力の補正量を示す値である。補正値501が「×1」の場合は、攻撃力が増加していない状態を示し、補正値501が「×2」の場合は、攻撃力が2倍の攻撃力となっている状態を示す。
【0048】
行動態様変化部31Cは、所定期間内にユーザによって行われたコマンド510に対する追加操作入力に応じて、補正値501を変化させる。また、行動実行部31Bは、所定期間経過後、変化させられた補正値に基づいて攻撃力を計算し、プレイヤオブジェクト50にその攻撃力に応じた攻撃を実行させる。なお、攻撃力は、後述する行動態様の一部であって、補正値501はこの行動態様を変化させるための値である。
【0049】
・行動準備ゲージ502
行動準備ゲージ502は、行動準備の進捗を示すゲージである。この行動準備ゲージ502は、所定期間の開始時点からスペリングアイコン500の円周に沿って時計回りに増加し、所定期間の終了時点で最大となる(スペリングアイコン500の円周に沿って一周する)。たとえば、ある魔法攻撃の行動準備に必要な所定期間が8秒(480フレーム)である場合、行動準備ゲージ502は毎フレーム0.75°の量だけ増加する。すなわち、行動準備ゲージ502は、1秒(60フレーム)経過するごとに45°の量だけ増加する。
【0050】
行動準備ゲージ502は毎フレーム増加するものであり、本実施形態では所定のタイミングのスペリングアイコン500(行動準備ゲージ502)を説明する場合を除き、フレーム毎のスペリングアイコン500(行動準備ゲージ502)の説明を省略する。
【0051】
・コマンド510
コマンド510は、所定期間中に表示部35に表示されるアイコンであり、行動の態様を変化させるためユーザにコントローラ38を介した追加操作入力を促す。コマンド510はスペリングアイコン500の円周に沿って複数表示される。また、制御部31は、所定数のコマンド510を一群のコマンドとして管理している。
【0052】
一群のコマンドに含まれる所定数のコマンド510には操作する順番が予め設定されている。ユーザは、コントローラ38を操作することにより、順番にコマンド510に対して追加操作入力を行う。そして、行動態様変化部31Cは、一群のコマンドに含まれるすべてのコマンド510に対する追加入力信号を受信するごとに、行動態様(補正値501)を1段階変化させる。
【0053】
行動態様変化部31Cは、行動態様の変化を所定回数繰り返し、行動態様を段階的に変化させる。なお、行動態様の変化の上限(最高レベル)は、魔法攻撃の種類などによって予め設定されている。
【0054】
図4を用いて、コントローラ38を介したコマンド510に対する追加操作入力の一例について説明する。本実施形態では、コマンド511および512を一群のコマンド(以下、第1群コマンドという)、コマンド521〜524を他の一群のコマンド(以下、第2群コマンドという)として説明する。また、コントローラ38をジョイスティック380として説明する。
【0055】
行動態様変化部31Cは、第1群コマンドに含まれる複数のコマンドにおいて、コマンド511→コマンド512の順に追加操作入力を受け付け、また、第2群コマンドに含まれる複数のコマンドにおいて、コマンド521→コマンド524の順に追加操作入力を受け付ける。また、行動態様変化部31Cは、たとえば追加操作入力を受け付けるコマンドを黒色のコマンド[◆]で表示するとともに、追加操作入力を受け付けないコマンドを白色のコマンド[◇]で表示することで、入力すべきコマンドを他のコマンドと区別する。
【0056】
なお、図4において、図面の上方向を0°(360°)、右方向を90°、下方向を180°および左方向を270°と規定して説明する。ジョイスティック380はユーザによって操作されないとき直立するように支持され、図4は、ジョイスティック380を上方(軸が延びる方向)から見た状態を示す。
【0057】
図4(A)は、ジョイスティック380が操作されていないニュートラル状態を示す図である。すなわち、この状態において、ユーザはジョイスティック380を操作しておらず、スペリングアイコン500に対する操作がされていない。なお、本実施形態では、ユーザにジョイスティック380が操作されていない状態のほか、ジョイスティック380の傾きが60%未満である状態(図示せず)もニュートラル状態に含む。
【0058】
図4(B)は、ジョイスティック380がユーザに45°の方向に傾倒されている状態を示す図である。すなわち、図4(B)は、ユーザがジョイスティック380を操作し、スペリングアイコン500に表示されるコマンド511に対する操作を行っている状態を示す。なお、本実施形態において、傾倒されている状態とは、ジョイスティック380の傾きが60%以上である状態のとことをいう。
【0059】
図4(C)は、ジョイスティック380がユーザに180°の方向に傾倒されている状態を示す図である。すなわち、図4(C)は、ユーザがジョイスティック380を操作し、スペリングアイコン500に表示されるコマンド512に対する操作を行っている状態を示す。
【0060】
前述したように、コマンド511およびコマンド512は、一群のコマンドである。ユーザはコマンド511に対する追加操作入力を行ったあとに、コマンド512に対する追加操作入力を行うことで第1群コマンドに対する追加操作入力を成功させることができる。これにより、行動態様変化部31Cは、行動態様を1段階変化させる。
【0061】
図4(D)は、ジョイスティック380がユーザに225°の方向に傾倒されている状態を示す図である。すなわち、図4(D)は、ユーザがジョイスティック380を操作し、スペリングアイコン500に表示されるコマンド521に対する操作を行っている状態を示す。コマンド522以降の追加操作入力については、説明を省略する。
【0062】
なお、ユーザは、コマンド511を入力したあと、ニュートラル状態に戻す必要なく、ジョイスティック380を60%以上傾けた状態で傾倒角度を変更する(たとえば、45°→180°→225°)ことでコマンド511、512および521を連続して入力することができる。本実施形態では、これを旋回操作という。
【0063】
図4(E)は、ジョイスティック380がユーザに旋回操作されている状態を示す図である。この旋回操作により、ユーザは図4(B)〜(D)に示すコマンド511〜521の入力を成功させることができる。すなわち、ユーザは図4(B)〜(D)に示すジョイスティックの操作の代わりに旋回操作をすることで、安易にコマンド510に対する操作を次々に成功させることができてしまう。しかし、この旋回操作による入力は、ゲーム開発者が意図しない入力手法であって、ゲームバランスを崩してしまう要因の一つである。そのため、本件発明は、この旋回操作について後述のペナルティ処理を施す。
【0064】
なお、行動態様変化部31Cは、コマンド510に対する追加操作入力(追加入力信号)がなされたと判断する許容範囲(たとえば、コマンド510に応じた方向の±2度の範囲)を予め設定している。行動態様変化部31Cは、操作入力部31Aからこの許容範囲に応じた追加入力信号を受信した場合、コマンド510に対して追加操作入力がされたと判断する。
【0065】
・行動態様
行動態様が変化した攻撃(以下、強化攻撃という)は、行動態様を変化しない状態の攻撃(以下、通常攻撃という)に比べ、ユーザ(プレイヤオブジェクト50)にとって有利な攻撃である。また、本実施形態における行動態様は、上述した攻撃力のほか、火・氷・雷などの攻撃属性の値、麻痺・ダウンなどの状態異常属性の値などである。これらの各属性の値が高いほど通常攻撃より有利な強化攻撃を行うことができる。
【0066】
また、ロックオン数および攻撃範囲なども行動態様に含む。ロックオン数は、上述した通り攻撃対象とする敵オブジェクトの数である。この場合、たとえば通常攻撃は、プレイヤオブジェクト50が、ロックオンされた1体の敵オブジェクトに攻撃すること、または一つの敵オブジェクトの一つの部位に対して攻撃することである。一方、強化攻撃は、プレイヤオブジェクト50が、ロックオンされた複数の敵オブジェクトに対して攻撃すること、または一つの敵オブジェクトの複数部位に対して攻撃することである。これにより、ロックオン数が多いほど通常攻撃より有利な強化攻撃を行うことができる。なお、ロックオン数の変化にともない表示部35に表示されるロックオンアイコン53の数が変化する。
【0067】
攻撃範囲は、攻撃が命中する範囲(以下、アタリ範囲という)を示すものであり、通常攻撃はたとえば半径3mの円状または球状のアタリ範囲を有する攻撃である。また、強化攻撃は通常攻撃より広いアタリ範囲(たとえば5m)を有する攻撃である。これにより、プレイヤオブジェクト50は、アタリ範囲が広いほど多くの敵オブジェクトに対して、または一つの敵オブジェクトの複数部位に対して攻撃ができる。
【0068】
以下、図5および図6の各図を用いて所定期間中のスペリングアイコン500の遷移を説明する。図5および図6には、縦軸に時間の経過(t0〜t80)が表示され、スペリングアイコン500(50a〜50L)、攻撃力の補正値501、行動準備ゲージ502およびコマンド510(511〜512、521〜524)が表示される。本実施形態では、説明の便宜上、t0、t10、t15、t20およびt80のタイミングのスペリングアイコン500を説明する。
【0069】
図5は、行動態様変化部31Cがコマンド510を表示しない場合の魔法攻撃を説明する図である。また、図6は、行動態様変化部31Cが、コマンド510を表示するとともに操作入力部31Aから追加入力信号を受信することで行動態様を変化させることを説明する図である。
【0070】
まず、図5を用いて本実施形態の魔法攻撃について説明する。図5には、各タイミングのスペリングアイコン50a〜50eが表示される。スペリングアイコン50aは、t=t0時点(所定期間開始時)において、表示部35に表示される画像である。また、スペリングアイコン50b、50cおよび50dは、それぞれt=t10時点(所定期間開始から1秒後)、t=t15時点(所定期間開始から1.5秒後)およびt=t20時点(所定期間開始から2秒後)において、表示部35に表示される画像である。そして、スペリングアイコン50eは、t=t80時点(所定期間終了時:所定期間開始から8秒後)において、表示部35に表示される画像である。
【0071】
・スペリングアイコン50a(t=t0)
図5の「t=t0」時点のスペリングアイコン50aは、操作入力部31Aから攻撃を指示する操作信号を受信した直後(所定期間開始時)のタイミングに、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。また、スペリングアイコン50aの近傍に補正値501が表示される。なお、補正値501は、通常攻撃である「×1」を示す。
【0072】
・スペリングアイコン50b(t=t10)
図5の「t=t10」時点のスペリングアイコン50bは、スペリングアイコン50aの表示が行われたあと(所定期間の開始から1秒経過したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。所定期間が8秒である場合、行動実行部31Bは、「t=t10」において全体の12.5%(45°/360°)が溜まっている行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。なお、補正値501は、通常攻撃である「×1」を示す。
【0073】
・スペリングアイコン50c(t=t15)
図5の「t=t15」時点のスペリングアイコン50cは、スペリングアイコン50bの表示が行われたあと(所定期間の開始から1.5秒経過したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。所定期間が8秒である場合、行動実行部31Bは、「t=t15」において全体の18.75%(67.5°/360°)が溜まっている行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。なお、補正値501は、通常攻撃である「×1」を示す。
【0074】
・スペリングアイコン50d(t=t20)
図5の「t=t20」時点のスペリングアイコン50dは、スペリングアイコン50cの表示が行われたあと(所定期間の開始から2秒経過したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。所定期間が8秒である場合、行動実行部31Bは、「t=t20」において全体の25%(90°/360°)が溜まっている行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。なお、補正値501は、通常攻撃である「×1」を示す。
【0075】
・スペリングアイコン50e(t=t80)
図5の「t=t80」時点のスペリングアイコン50eは、スペリングアイコン50dの表示が行われたあと(所定期間の開始から8秒経過したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。所定期間が8秒である場合、行動実行部31Bは、「t=t80」において全体の100%(360°/360°)が溜まっている行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。なお、補正値501は、通常攻撃である「×1」を示す。
【0076】
そして、行動実行部31Bは、「t=t80」時点、すなわち行動準備ゲージ502が最大値(100%)である状態において、攻撃行動を実行する。行動実行部31Bは「t=t80」時点における補正値501に基づいた攻撃行動を実行する。なお、図5の実施例は、行動態様を変化させない攻撃行動であるため、補正値501は「×1」のままである。
【0077】
次に、図6を用いて本実施形態の魔法攻撃の行動態様の変化(すなわち、スペリングアイコン500に表示されるコマンド510)を説明する。行動態様変化部31Cは、操作入力部31Aが所定の操作信号を受信した場合に、コマンド510を表示部35に表示する。ユーザは、このコマンド510に従った操作を行うことにより、プレイヤオブジェクト50が所定期間経過後に実行する攻撃の行動態様を変化させることができる。
【0078】
図6には、各タイミングのスペリングアイコン50a、50f〜50iが表示される。スペリングアイコン50aは、t=t0時点(所定期間開始時)において、表示部35に表示される画像である。また、スペリングアイコン50f、50gおよび50hは、それぞれt=t10時点(所定期間開始から1秒後)、t=t15時点(所定期間開始から1.5秒後)およびt=t20時点(所定期間開始から2秒後)において、表示部35に表示される画像である。そして、スペリングアイコン50iは、t=t80時点(所定期間終了時:所定期間開始から8秒後)において、表示部35に表示される画像である。
【0079】
なお、コマンド510の表示はユーザによる操作の有無およびタイミングにより、表示されるタイミングが異なるものである。図6に示す本実施形態は一例であり、行動準備ゲージ502およびコマンド510の表示の関係はこれに限定されない。図6では本件発明の説明の便宜上、t=t0、t10、t15、t20およびt80におけるスペリングアイコン500(コマンド510)について説明する。また、行動準備ゲージ502についての説明は図5と同様であるため省略する。
【0080】
・スペリングアイコン50a(t=t0)
図6の「t=t0」時点のスペリングアイコン50aは、図5のスペリングアイコン50aと同一であるため説明を省略する。なお、このときの補正値501は「×1」を示す。
【0081】
・スペリングアイコン50f(t=t10)
図6の「t=t10」時点のスペリングアイコン50fは、スペリングアイコン50aの表示が行われたあと(所定期間の開始から1秒経過したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。また、スペリングアイコン50fには、コマンド511〜512(第1群コマンド)が表示部35に表示される。
【0082】
操作入力部30Aは、各コマンドに対する追加入力信号を1つずつ順番に受け付ける。たとえば、図6の「t=t10」時点では、ユーザによるコマンド511に関する追加入力信号を受け付ける。また、操作入力部30Aがコマンド511に関する追加入力信号を受信した場合、行動態様変化部31Cはコマンド511の表示を変化させる(コマンド511を非表示にすることを含む)。
【0083】
・スペリングアイコン50g(t=t15)
図6の「t=t15」時点のスペリングアイコン50gは、スペリングアイコン50fの表示が行われたあと(操作入力部31Aがコマンド511に対応する追加操作入力信号を受信したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。
【0084】
行動実行部31Bは、図6に示す通り、スペリングアイコン50g、攻撃力の補正値501および行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。また、行動態様変化部31Cは、追加操作入力が行われたコマンド511の表示を変化させるとともに、コマンド512を表示する。そして、操作入力部31Aは、図6の「t=t15」時点において、ユーザによるコマンド512に関する追加入力信号を受け付ける。
【0085】
・スペリングアイコン50h(t=t20)
図6の「t=t20」時点のスペリングアイコン50hは、スペリングアイコン50gの表示が行われたあと(操作入力部31Aがコマンド512に対応する追加操作入力信号を受信したあと)に、行動実行部31Bによって表示部35に表示される画像である。
【0086】
行動実行部31Bは、図6に示す通り、スペリングアイコン50f、攻撃力の補正値501および行動準備ゲージ502を表示部35に表示する。行動態様変化部31Cは、追加操作入力が行われたコマンド512の表示を変化させるとともに、コマンド521〜524(第2群コマンド)を表示する。そして、操作入力部31Aは、図5の「t=t20」時点において、ユーザによるコマンド521に関する追加入力信号を受け付ける。
【0087】
なお、図6の「t=t20」時点の補正値501は「×2」に変化している。これは、コマンド511〜512に対するユーザの操作が成功し、攻撃力が通常攻撃の2倍になったことを示す。
【0088】
図6において「t=t20」以降のスペリングアイコン500については説明を省略するが、行動態様変化部31Cは所定期間内に、一群のコマンドの表示および操作入力の受付に関する処理を繰り返す。すなわち、ユーザがコマンド521の入力に成功したあと、コマンド522の追加入力信号、コマンド523の追加入力信号およびコマンド524の追加入力信号を順番に受け付ける。
【0089】
そして、コマンド521〜524(第2群コマンド)の入力がすべて成功した場合に、補正値501を「×3」にし、新たに他の一群のコマンド(第3群コマンド)を表示部35に表示する(図示せず)。このように、行動態様変化部31Cは、一つのコマンド群に対する追加操作入力が成功するたびに行動態様を変化させる。
【0090】
・スペリングアイコン50i(t=t80)
図6の「t=t0」時点のスペリングアイコン50aは、図5のスペリングアイコン50eと同一であるため説明を省略するが、補正値501が「×3」となっている。これは、所定期間内にコマンド511〜524(第1群コマンドおよび第2群コマンド)の追加操作入力に成功したことにより攻撃力が変化され、通常攻撃に比べて3倍の攻撃力(強化攻撃)になっていることを示す。これにより、行動実行部31Bは、「t=t80」時点、すなわち行動準備ゲージ502が最大値(100%)である状態になったときに、プレイヤオブジェクト50に通常攻撃の3倍の攻撃力である強化攻撃を実行させる。
【0091】
このように、ユーザは所定期間内に追加操作入力を行うことができるため、所定期間内の手持無沙汰を解消することができるとともに、敵オブジェクトに強力な攻撃を行うことができる。しかし、その一方で、ユーザがジョイスティック380を旋回操作させることで、安易に複数のコマンド510を連続して入力することができてしまい、ゲームバランスが崩れるという課題が生じる。本件発明では、これを解消するため、所定期間内に無効入力信号受信した場合に、ユーザに所定のペナルティを付与する無効条件を設定した。
【0092】
・無効条件
操作入力部31Aが、前記コントローラが所定値以上の角速度によって所定期間(第2期間)以上操作されたことを示す信号を受信した場合、無効条件が成立したと判断する。たとえば、本実施形態では、ジョイスティックを可動範囲の60%以上傾倒させた状態において、所定の角速度(12degree/フレーム)以上で操作される操作信号を、継続して30フレーム(0.5秒)検出することを無効条件とする。これにより、ユーザが複数のコマンド510に対して旋回操作したことを検出でき、所定のペナルティを付与することができる。
【0093】
たとえば、ユーザが、ジョイスティック380を可動範囲の60%以上傾倒させた状態において12degree/フレームの角速度で旋回操作させた場合、この旋回操作が継続する期間が30フレーム未満(0.5秒)であれば、行動態様変化部31Cは、所定のコマンド510の操作入力がなされたと判断する(ユーザは追加操作入力に成功する)。しかし、この旋回操作が30フレーム(0.5秒)以上継続する場合、それ以降ペナルティ部31Dはペナルティ処理を実行する。
【0094】
・ペナルティ処理
本実施形態におけるペナルティ処理は、ユーザによる追加操作入力を無効にすることである。また、追加操作入力の無効とは、たとえば、操作入力部31Aから受信した追加入力信号を追加操作入力として処理しないようにすること、または、操作入力部31Aからの追加入力信号を受信しないように処理することである。
【0095】
また、ペナルティ処理は、これに加えてコマンド510の表示を変化(非表示を含む)させてもよいし、コマンド510を複雑(一群のコマンドに含まれるコマンド数を増やすなど)にしてもよい。これにより、ユーザはゲーム進行が不利になる。また、ユーザが言わば適当にジョイスティックを操作することにより、コマンド510の入力に成功してしまい、安易に追加操作入力がなされることを防ぐことができる。
【0096】
・解除条件
これらのペナルティ処理は、所定の解除条件を満たすことにより解除される。本実施形態では、ジョイスティックを少なくとも1フレーム(1/60秒)以上ニュートラル状態とすることを解除条件とする。すなわち、ジョイスティック380がニュートラル状態である旨を検知した場合、ペナルティ部31Dはペナルティ処理を解除する。
【0097】
<処理の流れ>
次に、ゲーム装置の処理の流れについて説明する。
図7は、ゲーム装置の攻撃実行処理の流れを示すフローチャートである。これらの処理は、所定の間隔(たとえば60fps間隔)で実行される。なお、ゲームの全体的なフローなどについては省略する。また、各処理は本実施形態に限らず、同時並行的に実行されるものであってもよく、順序は適宜変更されてもよい。
【0098】
まず、図7に示す通り、操作入力部31Aが、行動入力信号を受信すると(ステップS100)、行動実行部31Bは、所定期間の行動準備を開始する(ステップS101)。そして、操作入力部31Aが、所定期間内にユーザにより入力された操作信号を受信した場合、その信号が追加入力信号であるのか、無効条件を満たす無効入力信号であるのか、または解除条件を満たす解除入力信号であるのかを判断する(ステップS102)。
【0099】
・操作信号が「無効入力信号」である場合
まず、ステップS102の結果、受信した操作信号が「無効入力信号」である場合(ステップS102:無効入力信号)、ペナルティ部31Dは、所定のペナルティを付与する処理を実行する(ステップS103)。
【0100】
・操作信号が「解除入力信号」である場合
次に、ステップS102の結果、受信した操作信号が「解除入力信号」である場合(ステップS102:解除入力信号)、ペナルティ部31Dは、所定のペナルティを解除する処理を実行する(ステップS104)。
【0101】
・操作信号が「その他」である場合
そして、ステップS102の結果、受信した操作信号が「その他」である場合(ステップS102:その他)、すなわち受信した操作信号が「無効操作信号」および「解除操作信号」ではない場合、行動態様変化部31Cは、その追加入力信号がコマンド510に対応する操作であるか(追加操作入力が成功したか否か)を判断する(ステップS105)。ステップS105の結果、追加操作入力が成功したと判断される場合(ステップS105:YES)、行動態様変化部31Cは、一群のコマンドのすべてに対して追加操作入力がなされたか否か(一群のコマンドのうち最後に操作されるべきコマンドに対して追加操作入力がなされたか否か)を判断する(ステップS106)。
【0102】
ステップS104の結果、一群のコマンドすべての追加操作入力がなされたと判断した場合(ステップS106:YES)、行動態様変化部31Cは、行動態様を変化させる(ステップS107)。
【0103】
次に、ステップS103、ステップS104、またはステップS107の処理を実行したあと、行動実行部31Bは、行動準備の所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS108)。また、ステップS105の結果、追加操作入力が成功していないと判断される場合(ステップS105:NO)、またはステップS106の結果一群のコマンドすべての追加操作入力がなされていないと判断する場合(ステップS106:NO)も同様に、行動実行部31Bは、行動準備の所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS108)。
【0104】
そして、ステップS108の結果、行動実行部31Bによって所定期間が経過していないと判断される場合(ステップS108:NO)、行動態様変化部31Cは、行動態様変化が上限(最高レベル)に到達しているか否かを判断する(ステップS109)。ステップS109の結果、行動態様変化部31Cは、行動態様変化が上限に到達していないと判断する場合(ステップS109:NO)、再度ステップS102に戻り、ステップS102〜S108の処理を再度実行する。
【0105】
一方、ステップS108の結果、行動実行部31Bが、所定期間が経過していると判断する場合(ステップS108:YES)、またはステップS109の結果、行動態様変化部31Cにおいて、行動態様の変化が上限に到達していると判断した場合(ステップS109:YES)、行動実行部31Bはプレイヤオブジェクト50に行動態様に応じた攻撃を実行させる。すなわち、ステップS109の結果、行動態様変化部31Cが、行動態様の変化が上限に到達していると判断する場合(ステップS109:YES)、所定期間が経過していなくとも行動実行部31Bは攻撃を実行する。これにより、ユーザは適切にすべてのコマンド510に対する追加操作入力がすることで、プレイヤオブジェクト50は所定期間の経過を待たずに攻撃を実行することができる。
【0106】
<他の実施例>
次に、本実施形態における他の実施例について説明する。これらの他の実施例においても、上記作用効果を奏することができる。なお、これらの他の実施例のうち2つ以上を本実施形態に代えてまたは加えて採用してもよく、これらを適宜組み合わせることにより、さらに興趣性の高いゲームを提供することができる。
【0107】
・無効条件の変形例
無効条件は本実施形態に限られない。たとえば、所定の角速度は24degree/フレーム以上にしてもよく、またその角速度で動作させる期間は30フレーム(0.5秒)であってもよい。
【0108】
また、角速度に関係なく、一つのコマンド510の追加操作入力に成功したあとは、ジョイスティック380がニュートラル状態になったことを検出しない限り、無効条件が成立したとしてもよい。すなわち、ユーザはコマンド510の追加操作入力に成功するごとにジョイスティック380をニュートラル状態にする必要が生じる。
【0109】
さらに、ペナルティ部31Dは所定期間を複数の区間に分割してペナルティ処理を実行してもよい。たとえば、ペナルティ部31Dは、所定期間(たとえば8秒間)を第1区間(たとえば所定期間の前半の4秒間)と第2区間(たとえば所定期間の後半の4秒間)に分割し、両区間において互いに無効条件、ペナルティ処理(ペナルティの内容、長さなど)、解除条件を異ならせてもよい。また、第1区間および第2区間のいずれか一つの期間のみを、ペナルティ処理を実行する期間としてもよい。
【0110】
・ペナルティ処理の変形例
ペナルティ処理は本実施形態に限られない。たとえば、ペナルティ処理は、攻撃力が低下すること、または命中率が低下することであってもよい。さらに、ペナルティ処理が実行される前にすでに入力されていた追加操作入力を無効とすることをペナルティ処理としてもよい。また、ペナルティ処理が実行された所定の攻撃は、追加操作入力の有無に関わらず通常攻撃しかできない(行動態様が変化しない)ようにしてもよい。
【0111】
さらに、行動準備中である所定の攻撃において所定期間を延長(たとえば、2秒延長)することを、ペナルティ処理としてもよい。これにより、ペナルティ処理を実行しない場合は所定期間が8秒であるのに対して、所定期間が10秒に延長され、行動実行部31Bが攻撃を実行するタイミングが遅くなる。そして、これらのペナルティ処理を実行することにより、ユーザはゲーム進行において不利となる。
【0112】
なお、無効条件が成立した所定の攻撃に対してペナルティ処理を実行することに限らず、この所定の攻撃の後に行われる攻撃に対してペナルティ処理を実行してもよい。また、ペナルティ処理は、コマンド510を非表示とすることに限らず、コマンド510の外観(形状)を変化させることであってもよい。たとえば、コマンド510に対して「×」印を付けること、コマンド510の表示の濃淡を薄くすることまたはサイズを小さくすることが考えられ、ユーザがペナルティ状態であることを理解できるような外観の変化であればよく、その変化は任意である。また、ペナルティが解除されたあとは、コマンド510も元の表示に戻すことに限らず、別の表示にしてもよい。
【0113】
・解除条件の変形例
解除条件は本実施形態に限られない。たとえば、ジョイスティック380が60フレーム(1秒)間継続してニュートラル状態となることを、解除条件としてもよい。また、ジョイスティックをニュートラル状態にすることのみに限らず、ユーザが操作部315を介して所定の操作を行う(たとえば所定のボタンを10回以上押下する)ことを、解除条件としてもよい。また、ジョイスティックの操作に関わらず、ペナルティ処理開始から計時して180フレーム(3秒間)経過することを、解除条件としてもよい。
【0114】
また、ペナルティ処理が、追加入力信号を無効にすることに加えてコマンド510を非表示にする処理である場合、各ペナルティ処理について解除条件を異なるようにしても良い。たとえば、追加入力信号の無効に関するペナルティの解除条件は、ニュートラル状態を60フレーム(1秒)継続させることであり、コマンドを非表示にするペナルティの解除条件は、ニュートラル状態を30フレーム(0.5秒)継続させることであってもよい。
【0115】
さらに、プレイヤオブジェクト50が攻撃を実行することを、解除条件としてもよい。すなわち、所定期間内に一度ペナルティ処理が実行されたあとは、その後所定期間が経過するまで追加操作入力を不可にし、その状態で攻撃を実行することによってペナルティ処理を解除してもよい。
【0116】
・コマンド510の変形例
また、本実施形態では、追加操作入力の許容範囲をコマンド510に応じた方向の±2度の範囲としたがこれに限られない。たとえば、許容範囲をコマンド510に応じた方向の±5度の範囲としてもよいし、所定条件を満たすこと(たとえば、プレイヤオブジェクト50のもつ所定のアイテムまたはスキルなどを使用すること)により、許容範囲を±2度〜10度の範囲などで段階的に拡大させてもよい。
【0117】
また、コマンド510の数は本実施形態に限られない。たとえば、行動態様変化部31Cは、所定条件を満たすこと(たとえば、プレイヤオブジェクト50のもつ所定のアイテムまたはスキルなどを使用すること)により、コマンド510の数を減少させるようにしてもよい。さらに、コマンド510は、[◇および◆]のアイコンに限らず、矢印やコントローラのボタンに対応した記号で表示してもよく、その変化は任意である。
【符号の説明】
【0118】
1 ゲームシステム
2 サーバ装置
3 ゲーム装置
31 制御部
310 CPU
31A 操作入力部
31B 行動実行部
31C 行動態様変化部
31D ペナルティ部
35 表示部
38 コントローラ
380 ジョイスティック
500 スペリングアイコン
501 補正値
502 行動準備ゲージ
510(511〜524) コマンド


【要約】
【課題】プレイヤオブジェクトに所定の行動を行わせるためのユーザによる行動操作入力に応じて第1期間の行動準備を実行するとともに、この第1期間中に行われる行動の態様を変化させるための追加操作入力が所定の条件を満たす場合、所定のペナルティを与える処理を実行するゲームプログラムおよびゲーム装置を提供する。
【解決手段】本発明のゲームプログラムは、ゲーム装置を、ユーザによるコントローラに対する操作を受け付ける操作入力手段、第1期間経過後にプレイヤオブジェクトに行動を実行させる攻撃実行手段、前記第1期間中に、前記行動の態様を変化させる行動態様変化手段、前記第1期間内に無効入力信号を受信した場合、所定のペナルティ状態とするとともに、前記ペナルティ状態とした後に、解除条件を満たす解除入力信号を受信した場合、前記ペナルティ状態を解除するペナルティ手段、として機能させるゲームプログラム。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7