(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964504
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】溶接接合部を製造し、冷却X線管を用いて溶接接合部の画像を形成する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20060101AFI20160721BHJP
G01N 23/18 20060101ALI20160721BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
B23K31/00 L
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-516581(P2015-516581)
(86)(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公表番号】特表2015-526701(P2015-526701A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013061961
(87)【国際公開番号】WO2013186189
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】12171901.7
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ボルグマン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・クロッセン−フォン・ランケン・シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ペーター・ローマン
(72)【発明者】
【氏名】カーステン・ニーポルド
(72)【発明者】
【氏名】アネット・ノッツェル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・シュテファン
【審査官】
藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−171681(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3172802(JP,U)
【文献】
実開昭63−044177(JP,U)
【文献】
特開平08−206833(JP,A)
【文献】
特表2002−523740(JP,A)
【文献】
特開2002−318207(JP,A)
【文献】
特開2004−319299(JP,A)
【文献】
S.I. Rokhlin and A.C. Guu,"Control of submerged arc weld penetration by radiographic means",NDT International,1989年 4月,Vol. 22, No. 2,pp. 74-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/04
G01N 23/18
B23K 31/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・X線放射を発生するために、管ハウジング(5)内部に配置された、X線管(3)、およびX線放射を受け取るために、検知器ハウジング(6)内部に配置された検知器(4)を提供する段階、
・冷媒を管ハウジング(5)および/または検知器ハウジング(6)を通して流す段階、
・溶接される部品(1、2)を、溶接接合部(8)を製造するために必要とされる予備加熱温度に加熱する段階、
・溶接接合部(8)を溶接する段階、
・実質的に予備加熱温度以上の部品(1、2)の温度でX線管(3)および検知器(4)を用いて溶接接合部(8)の画像を生成し、X線管(3)および検知器(4)が各々の作動温度で作動されるような方法で、管ハウジング(5)および/または検知器ハウジング(6)を通して冷媒が流される段階、
を含み、
管ハウジング(5)および/または検知器ハウジング(6)が、X線管(3)および/または検知器(4)が熱的に部品(1,2)から遮蔽されるように冷媒が流されるチャンネルを有する、
溶接接合部(8)の製造方法。
【請求項2】
管ハウジング(5)および/または検知器ハウジング(6)が、X線管(3)および/または検知器(4)が冷媒によって冷却されるような方法で、冷媒がそれを通って流される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
管ハウジング(5)が、X線放射のための開口を有し、それを通って冷媒が管ハウジング(5)を離れる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
検知器ハウジング(6)が、X線放射のための開口を有し、それを通って冷媒が検知器ハウジング(6)を離れる、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
冷媒用のサウンドダンパーが、ハウジング(5,6)におよび/またはハウジング(5,6)から離れて流れる冷媒のために提供される、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
冷媒が空気である、請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
冷媒が圧縮空気供給装置から取得される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接接合部を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械を組み立てるとき、大きな部品上に溶接接合部が作製されなくてはならない。特に、ターボ機械のシャフトは、頑丈でありかつ大きな部品なので、シャフト上の溶接接合部を作製するために様々な作業工程が必要である。例えば、互いに溶接される2つのシャフトは溶接作業の前に予備加熱されなくてはならない。これは、対象であるシャフトの寸法が、一般的にエネルギーを大量に消費し、かつ多くの時間を必要とするものであることを理由とする。溶接作業の後、溶接接合部は一般的に、特に非破壊検査方法を用いて、欠陥がないか検査される。このためにX線法を用いることが知られており、対応する装置が溶接接合部のX線画像を撮影するために使用される。装置を破壊し得る許容できないほどの高温に装置を曝すことがないように、シャフトを40℃未満の温度に冷却することが要求される。もしも溶接接合部においてX線画像を用いて欠陥が確認された場合、溶接接合部は欠陥の領域において再加工されなくてはならず、これはシャフトを新たに予備加熱する工程を含む。
欧州特許出願公開第2330332号明細書は、溶接継ぎ目に沿ってパイプを検査するおよび/または溶接する装置を開示する。この装置は、カンチレバーアームを含み、このカンチレバーアームは自由に停止されるように設計され、かつ管状の本体を有する、検査されるパイプの内側内部に挿入することが意図される。さらに、検査および/または溶接装置のための支持手段がカンチレバーアームに配置される。カンチレバーアームの本体は、実質的に繊維強化プラスチックから製造される。
米国特許第3766386号明細書は、X線放射を用いてローリングミルから鋼の厚みが測定される装置を開示する。温かい鋼を良好に測定できるようにするために検知器の冷却も行われる。
米国特許出願公開第2012/083346号明細書は、シャフトを接続するための溶接の試験方法を開示する。このために、シャフトは軸に対して対称に配置されるサブセクションで構成される。予備作業の後、サブセクションは互いに溶接される。溶接継ぎ目の品質が確認される。溶接の間、溶接工程は測定温度に基づいて制御することができる。
欧州特許出願公開第2388573号明細書は、溶接の配置およびそれに関する方法を開示する。この場合、溶接の間または溶接後にレーザに基づく検査が実行される。溶接の前に、溶接される部品は好ましくは予備加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、大きな部品に対しても容易にかつ低コストで実施することができる、溶接接合部の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
溶接接合部を提供するための本発明による方法は、以下の段階:X線放射を発生するために、管ハウジング内部に配置された、X線管、およびX線放射を受け取るために、検知器ハウジング内部に配置された検知器を提供する段階;冷媒をハウジングを通して流す段階;溶接される部品を、溶接接合部を製造するために必要とされる予備加熱温度に加熱する段階;溶接接合部を溶接する段階;実質的に予備加熱温度以上の部品温度でX線管および検知器を用いて溶接接合部の画像を生成し、X線管および検知器が各々の作動温度で作動されるような方法で、ハウジングを通して冷媒が流される段階;を含む。本発明の方法により、有利には、熱い部品上の溶接接合部において潜在的に起こり得る欠陥を画像によって確認し得ることが可能となる。欠陥は、それが確認された直後に再加工されることができ、有利には部品の新たな再加熱の必要性がなくなるようにする。その結果、部品に対する繰り返しの予備加熱に関する時間およびエネルギーコストの両方を節約することができる。
【0005】
管ハウジングおよび/または検知器ハウジングは、好ましくはX線管および/または検知器が熱的に部品から遮蔽されるような方法で冷媒が流されるチャンネルを有する。その結果、ハウジングは、X線管または検知器に入る熱に対する障壁として働く。管ハウジングおよび/または検知器ハウジングは、好ましくは、X線管および/または検知器が冷媒によって冷却されるような方法で、冷媒がそれを通って流される。
【0006】
管ハウジングは、好ましくはX線放射のための開口を有し、それを通って冷媒が管ハウジングを離れる。検知器ハウジングは、好ましくはX線放射のための開口を有し、それを通って冷媒が検知器ハウジングを離れる。
【0007】
サウンドダンパーが、ハウジングにおよび/またはハウジングから離れて流れる冷媒のために、好ましくは提供される。冷媒が流れて通過するとき、それはX線管、検知器、および/またはハウジングの振動を引き起こす場合があり、これは画像を歪める可能性がある。サウンドダンパーの提供によって、振動の発生が低減され、有利には高精度の画像を得ることができる。
【0008】
冷媒は好ましくは空気である。冷媒は、好ましくは圧縮空気供給装置から取得される。圧縮空気供給装置は、技術プラントにおいて通常提供されることが多く、その結果この方法はより簡単に実施することができる。もしも冷媒が単にチャンネルを通じて流される場合、冷媒とX線管および/または検知器との接触がここでは起こらないので、冷媒として水を使用することもできる。
【0009】
本発明による方法は、添付される概略的な図面に基づいて以下に説明される。図面は、溶接される2つの部品を通る部分を、X線画像を取得するための装置と共に示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】溶接される2つの部品を通る部分を、X線画像を取得するための装置と共に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に示されているのは、第1の部品1および第2の部品2であり、これらは互いに溶接される。部品1および2は、例えばそれらの端面において互いに溶接される2つのシャフトである。第1の部品1および第2の部品2の間に形成されるのはギャップ16であり、その中に溶接接合部8が配置される。溶接接合部8は2つの部品1および2を接合する。部品1および2と半径方向に反対側に配置されるのは、X線放射を生成するX線管3およびX線放射を検知するための検知器4である。X線ビーム7は、X線管3から発生し、ギャップ16内に広がり、溶接接合部8を通過し、検知器4に作用する。
【0012】
X線管3は管ハウジング5内に配置され、検知器4は検知器ハウジング6内に配置される。この場合、たとえ熱い部品1および2による場合であっても、X線管3および検知器4に対して過剰な温度に起因して何ら損傷を与えることなく溶接接合部8のX線画像を取得することが可能であるような方法で、ハウジング5および6には冷媒が流される。この目的で、ハウジング5および6の壁は、各々の壁と実質的に平行に延び、各々の壁が冷媒によって冷却されるような方法でそれを通って冷媒が流れるチャンネルを包含してよい。ハウジング5および6の全ての壁は冷却チャンネルを有してよく、または幾つかの選ばれた壁のみが、例えば部品1および2に向かう壁などが、チャンネルを有してよい。ハウジング5および6には、好ましくは冷媒が流される。この目的で、ハウジング5および6は各々反対側に、それを通って冷媒がハウジング5および6内部に流されるか、または冷媒がハウジング5および6から流れ出る孔を有する。ここでは、冷媒が、各々X線管3および検知器4の回りを流れることが好ましい。温度を確認するために、温度センサーがハウジング5および6内に、特にX線管3および/または検知器4に沿って直接提供されてよい。
【0013】
管ハウジング5上に提供されるのは、冷媒が流入するための供給ライン17、および冷媒が流出するための排出ライン18である。検知器ハウジング6上に提供されるのは、冷媒が流入するための供給ライン19、および冷媒が流出するための排出ライン20である。供給ライン17および19および排出ライン18および20は孔に直接沿って配置される。サウンドダンパーがライン17から20内に、かつハウジング5および6上に直接沿って提供されてよい。さらに、ラインは制御バルブ、例えばボールコックバルブを包含してよく、それにより冷媒の質量流量を設定することができる。また、ラインは温度センサーをさらに含んでよい。ラインは、例えば圧縮空気供給装置に接続されてよい。
【0014】
圧縮空気供給装置を接続するために、ハウジングは接続ピースを有してよく、接続ピースはハウジングに溶接されるか、またはねじ込み接続される。サウンドダンパーが接続ピースに取り付けられてよい。サウンドダンパーがハウジングに直接ねじ込み接続されてもよい。
【0015】
管ハウジング5は開口を有し、それを通ってX線放射は管ハウジング5を出ることができる。冷媒が管ハウジング内部を流れる場合には、冷媒が開口から周囲に流れ出るように提供され得る。この場合、流出する冷媒に関するラインが管ハウジング5上に提供される必要はない。X線放射に関するバンドパスフィルター9が管ハウジング5内部の、X線管3と開口との間に配置される。バンドパスフィルターの機能は、X線放射のスペクトルバンド幅を抑えることであり、それによって有利には高空間分解能での画像が可能となる。
【0016】
検知器ハウジング6は、X線放射に対して透過性である入射窓11が嵌め込まれた開口を有する。入射窓11が備えられず、冷媒が検知器ハウジング6内部に流れる場合には、冷媒が開口から周囲に流出することも想定される。この際、検知器ハウジング6上に流出冷媒のためのラインを備える必要はない。
【0017】
管ハウジング5と部品1および2との間に配置されるのは、X線レンズ10であり、それによってX線ビーム7の発散が調節される。X線レンズ10は、冷媒によって有利に冷却されるように、管ハウジング5内部に配置されてもよい。X線ビーム7の発散は、溶接接続部8の溶接の継ぎ目および溶接ルートの双方が放射されるような方法で調節される。検知器ハウジング6内部、入射窓11と検知器4との間に配置されるのは、迷放射線フィルター12であり、それを通ってX線ビーム7が通過する。X線管3の下流に直接配置されるのは、第1のバンドパスフィルター9であり、迷放射線フィルター12の直接上流には第2のバンドパスフィルター21が配置される。X線ビーム7を準備するために、第1のバンドパスフィルター9、第2のバンドパスフィルター21、X線レンズ10、および迷放射線フィルター12は、検知器12において最適な画質が実現されるような方法で、互いに関して調節される。
【0018】
X線放射は、溶接接合部8によって部分的に吸収され、その一方で透過したX線放射は検知器に作用する。検知器4は、ラインアレイカメラおよび2次元イメージセンサのどちらであってもよい。評価ユニット15を用いて、透過されたX線放射から画像が生成される。評価ユニット15は検知器ハウジング6の外側に配置される。
【0019】
第1の迷放射線キャッチャー13は、それが部品まで延びるような方法で、管ハウジング5の周囲に配置され、部品1および2に向かう管ハウジングの壁は第1の迷放射線キャッチャー13内部に配置される。第1の迷放射線キャッチャー13は、管ハウジング5を完全に囲んでもよい。検知器ハウジング6の回りに配置されるのは、第2の迷放射線キャッチャー14であり、これは検知器ハウジング6を完全に囲み、部品1および2まで延びる。迷放射線キャッチャー13および14によって、操作員を危険にさらすX線放射を外部に逃さないことを確実にする。
【0020】
溶接接合部の製造方法は、以下の段階:X線放射を発生するための、管ハウジング5内部に配置された、X線管3、およびX線放射を受け取るための、検知器ハウジング6内部に配置された、検知器4を提供する段階;冷却空気流をハウジング5および6の内部を通して流す段階であって、冷却空気が圧縮空気供給装置から取得され、サウンドダンパーがハウジング5および6に直接沿って、および供給ライン17および18内に、各々提供される段階;溶接される部品1および2を、溶接接合部8を製造するために必要とされる予備加熱温度に加熱する段階;溶接接合部8を溶接する段階;実質的に予備加熱温度以上の部品1および2の温度でX線管3および検知器4を用いて溶接接合部8の画像を生成し、X線管3および検知器4が各々の作動温度で作動されるような方法で、ハウジング5および6を通して冷媒が流される段階;によって実施されてよい。
【0021】
好ましい例示的な実施形態によって本発明が具体的に説明され、詳細に記述されたが、本発明は開示された実施例に制限されるのではなく、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変更が当業者によってそれらから導かれ得る。
【符号の説明】
【0022】
1、2 溶接される部品
3 X線管
4 検知器
5 管ハウジング
6 検知器ハウジング
7 X線ビーム
8 溶接接合部
9 第1のバンドパスフィルター
10 X線レンズ
11 入射窓
12 迷放射線フィルター
13、14 迷放射線キャッチャー
15 評価ユニット
16 ギャップ
17 供給ライン
18 排出ライン
19 供給ライン
20 排出ライン
21 第2のバンドパスフィルター