(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964517
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】硫黄架橋したゴム加硫物を再生して再生物を生成する方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/28 20060101AFI20160721BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20160721BHJP
C08L 17/00 20060101ALI20160721BHJP
C08K 5/5398 20060101ALI20160721BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20160721BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20160721BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
C08J11/28
C08J3/24 ZCEQ
C08L17/00
C08K5/5398
C08K5/548
B60C19/00 L
B29B17/00
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-528910(P2015-528910)
(86)(22)【出願日】2013年1月2日
(65)【公表番号】特表2015-534587(P2015-534587A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013050006
(87)【国際公開番号】WO2014032818
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年4月16日
(31)【優先権主張番号】102012108096.8
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンティネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー・レーナ
(72)【発明者】
【氏名】レッカー・カルラ
(72)【発明者】
【氏名】フェルカー・トーマス
【審査官】
山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−315766(JP,A)
【文献】
特開平11−323004(JP,A)
【文献】
特開昭54−017985(JP,A)
【文献】
特開平08−337603(JP,A)
【文献】
特開平09−111040(JP,A)
【文献】
特開2000−239287(JP,A)
【文献】
特表2005−503337(JP,A)
【文献】
特開2009−209240(JP,A)
【文献】
特開2007−126518(JP,A)
【文献】
米国特許第04128438(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00
B60C 19/00
C08J 3/00
C08J 11/00
C08J 99/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄架橋したゴム加硫物を再生して再生物を生成する方法であって、少なくとも1つの再生剤が前記再生において使用され、前記再生剤は、ジチオホスホリルポリスルフィ
ドからなる群から選択され、
その際、前記ジチオホスホリルポリスルフィドが、一般式I
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC3〜C20−アルキル基から選択され、且つ、xは1〜6である)を有し、
その際、前記ジチオホスホリルポリスルフィドが、ビス(O,O−2−エチルヘキシル)チオホスホリルポリスルフィドであることを特徴とする方法。
【請求項2】
−68〜98重量%の量の再生される前記硫黄架橋したゴム加硫物を、メカニカルミキサーに入れる工程と、
−再生される前記硫黄架橋したゴム加硫物を、50〜70℃に加熱する工程と、
−2〜15重量%の量の、ビス(O,O−2−エチルヘキシル)チオホスホリルポリスルフィドを加える工程と、
−80〜150℃の温度で、5〜35分の時間の間、前述の成分を混合して混合物を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硫黄架橋したゴム加硫物が、中古タイヤ又はコンベヤーベルト又は産業用ゴム物品又は空気式車両タイヤの製造において得られる加硫した廃棄物に由来することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
硫黄架橋したゴム加硫物を再生する再生剤としてのジチオホスホリルポリスルフィドの使用であって、その際、前記ジチオホスホリルポリスルフィドが、ビス(O,O−2−エチルヘキシル)チオホスホリルポリスルフィドである、上記の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄架橋したゴム加硫物を再生して再生物を生成する方法に関する。本発明は更に、空気式車両タイヤの製造方法によって生成される再生物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム廃棄物の量が、世界的に継続して増加していることから、様々な産業分野からのゴム廃棄物の廃棄及び利用が、環境汚染及び再利用ともに関して、継続して拡大している問題である。
【0003】
現時点で、例えば、何百万ものメータートンの中古タイヤが毎年度世界的に生じており、その約25%が商業用車両タイヤである。ヨーロッパ単独では、現時点で、3.2百万メータートンの中古タイヤが、毎年生じており、商業用車両中古タイヤの割合は、約0.8百万である。原材料の不足が拡大しているにもかかわらず、中古タイヤの大部分は、セメント産業におけるエネルギーに関する利用に送配されており、従って、材料としての更なる使用にもはや利用できていない。
【0004】
現在まで、新しいタイヤなどの新しい製品のために、混合物における粒状材料又は粉末の形態で、ゴム廃棄物の材料、特に中古タイヤ材料としての利用に対して非常に限定された可能性が存在するに過ぎない。材料としての最も重要である使用法は、動的荷重を受けないゴムマット又はその他のゴム製品におけるゴム廃棄物から生成される、様々な粒径の、粉砕ゴムとしても称される、粒状ゴム又はゴム粉末を使用することである。
【0005】
中古タイヤから得られる粒状ゴム又はゴム粉末は、タイヤ製造における新たに生成されたタイヤ混合物に、凝集体として少量加えられることができる。しかしながら、粒状粒子が、新たなタイヤ混合物において小さな異物として作用することから、使用可能な量は、非常に大きく制限される。この挙動理由は、とりわけ、中古タイヤの顆粒の強度及び伸びが、タイヤ混合物において加硫後の新たな混合物のものと著しく異なることである。次いで、粒状タイヤ粒子は、新しい製品の加硫において2回目の加硫を受ける。粒状タイヤ材料の1回目の加硫は、粒状タイヤ材料の出発原料である、中古タイヤにおいて前もって実行された。ここにおいて、2回目の加硫を受けた中古タイヤ粒子は、新たなタイヤ混合物に対する界面において、強度/伸びの挙動における違いを示し、これは、動的性能に対して悪影響を与える場合がある。例えば、ゴムマット、建設現場又は斜位の縁石の私道における移動型交通信号用のスタンドなどの、動的荷重を受けない多くのゴム製品において、この場合、例えば、タイヤの場合のように動的応力が存在しないことから、粒状タイヤ材料又はその他のゴム製品より得られる粒状材料を新たな混合物に加えることができる。
【0006】
然も、粒状中古タイヤ材料などのゴム廃棄物を利用して、ゴム製品において高い価値を得ることができるように、これらを周知の方法で再生することができる。再生プロセスにおいては、加硫した粒状タイヤ材料は、可塑化される、即ち、加硫によって形成された硫黄の橋架けを切断することによって、弾性状態から塑性状態に変換される。形成された再生物は、こうして、新たなゴム混合物に、再度、原材料として加えられ、加硫によって混合物にまとめられることができる。硫黄の橋架けを切断することとは別に、ゴムの鎖、即ち炭素−炭素結合も、従来技術で周知の再生プロセスにおいて、わずかな程度ということではなく切断される。こうした分解の挙動は、通常、望ましくない。再生物の短くなった(分解した)ポリマー鎖は、これから生成される加硫物において、例えば、反発弾性などの物理的特性に関して、不利な点をもたらし、例えば、これは、空気式車両タイヤの転がり抵抗が増加することに反映される。
【0007】
加硫した粒状ゴム又は粉砕ゴムを再生又は脱加硫する多くの周知のプロセスが存在する。すべてのプロセスは、架橋構造を再生する、即ち、壊すという目的を有する。硫黄の橋架けは、ロールミル上で、又は、ミキサーの中で、熱的及び機械的エネルギーの作用によって、又、様々な硫黄の橋架けを切断する化学物質を援用して、切断される。この手順は、一般的に、再生と称される。前述のように、加硫した粒状ゴム又は粉砕ゴムの分子は、更に脱重合されるという不利な点を、多くの場合、受容する必要がある。前述のプロセスにおいて形成される規定の粘度を有する可塑性製品は、タイヤ及び産業用ゴム混合物への様々な付加のための再生物として市販されており、且つ、動的に荷重された製品における非再生の粒状ゴム又は粉砕ゴムの負の特性を、大幅に削減して示す。
【0008】
様々な物質を援用して、且つ、様々な装置において、硫黄架橋したゴム加硫物を再生するプロセスは、長い間、周知であり、蒸気再生、機械的再生、熱的再生、音波による再生、放射線による再生、及び化学的再生が周知である。
【0009】
典型的な再生剤は、例えば、トリルジスルフィド及びジキシリルジスルフィドなどのアミン置換基を有する又は有さないスルフィド、2−メルカプトベンゾ−チアゾールなどのメルカプタン誘導体、及び又、水酸化物イオンである。こうした薬剤は、再生において加硫したエラストマーの硫黄の橋架けの酸化開裂を促進する。更に、酸化的再生が促進されるように、再生される加硫物を膨潤させ、その結果、その表面積を増加させる、例えば、トール油又は樹脂油などの膨潤作用を有する再生油が周知である。
【0010】
これらの薬剤は、様々な様式の作用を有し、例えば、Roempp Online Version 3.26:「Prolonged heating of rubber vulcanizates(used tires)to 150−250℃ in the presence of regenerating agents such as ditolyl or dixylyl disulfide for chain cleavage and tall oil or resin oil for swelling gives regenerates which can be vulcanized again」に記載のように、組合せで使用される場合が多い。こうした薬剤によって再生を実行するために必要とされる比較的高い温度は、不利である。高温は、通常、プロセスの費用を増加させ、且つ、ポリマー鎖の長さに不利な影響を及ぼす。
【0011】
国際公開第2008/148706A1号パンフレットでは、硫黄架橋したゴム加硫物を再生するプロセスを開示しており、この場合、少なくとも1つのジアルキルポリスルフィドが、再生剤として使用される。ジアルキルポリスルフィドとして、例えば、分岐型の五硫化ジオクチル又は四硫化ジオクチルを使用することが可能である。又、それを用いて生成される再生物は、物理的特性、特に加硫物における熱の上昇に関して、不利な点を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、従来技術と比較して、より緩やかなプロセス条件、即ち、より短い時間、より低い温度で、分解挙動の改善を実現することを可能にする、硫黄架橋したゴム加硫物を再生して再生物を生成するプロセスを提供することが、本発明の目的である。本方法によって生成する再生物は、ゴム混合物における従来技術で周知の再生物と比較して、より良い又は少なくとも同一の転がり抵抗の指標、及び、改善した圧縮変形挙動を実現することを可能にするであろう。同時に、使用する薬剤は、有害性物質規則に従って、重篤な危険特性がない、又は極めて少ない、又は僅かであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、再生において少なくとも1つの再生剤を使用することによって、本発明により実現され、この場合、再生剤は、ジチオホスホリルポリスルフィド、及び/又はポリスルファン基を有するシランからなる群から選択される。
【0014】
こうした再生剤を使用することによって、比較的低い温度、及び短いプロセス時間で、改善した分解挙動に結びつく選択的なプロセスが生成し、とりわけ、これは、本発明の方法によって生成する再生物を含む加硫したゴム混合物の転がり抵抗の指標における改善において反映されることが、驚くべきことに判明した。同時に、従来技術で周知の再生剤によって生成した再生物を含む加硫物と比較して、本発明の方法によって生成した再生物を含む加硫物は、改善した圧縮変形挙動を示す。
【0015】
本発明の好ましい実施形態においては、ジチオホスホリルポリスルフィドは、一般式I
【0016】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
3〜C
20−アルキル基から選択され、且つ、xは1〜6である)
を有する。
【0017】
ジチオホスホリルポリスルフィドは、特に好ましくは、ビス(O,O−2−エチルヘキシル)チオホスホリルポリスルフィドである。
【0018】
本発明の好ましい実施形態においては、一般式II
(II) (R
2O)
3−yR
3y−Si−R
1−S
x−R
1−Si−(OR
2)
3−zR
3z
(式中、xは1〜8であり、且つ、分子中のR
1基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
1〜C
18−アルキル基から選択され、分子中のR
2及びR
3基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型又は環式の飽和C
1〜C
30−アルキル基から選択され、且つ、y及びzは、同一又は異なり、且つ、それぞれ0〜3である)の、ポリスルファン基を有する少なくとも1つのシラン、又は、一般式IIの、ポリスルファンを有する少なくとも1つのシランを含む混合物が、再生剤として使用される。アルキル基における水素原子の数は、炭素原子の数によって決定される。xは、好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4であり、特に好ましい実施形態においてはxは4である。
【0019】
特に好ましい更に改良された形態においては、ポリスルファン基を有するシランは、ビス(トリアルコキシシリル)プロピルポリスルファンである。ここで、zは0であり、R
1は、プロピル基であり、R
2は、1〜30の炭素原子を有するアルキル基である。このシランは、一般構造式III
(III) (R
2O)
3−Si−(CH
2)
3−S
x−(CH
2)
3−Si−(OR
2)
3
を有する。R
2基は、特に好ましくは、エチル基であり、その結果、ポリスルファン基を有するシランは、ビス(トリエトキシシリル)プロピルポリスルファンである。
【0020】
本発明のこの実施形態の更に好ましい改良された形態においては、ポリスルファン基を有するシランのR
2基及び/又はR
3基は、炭素鎖中にヘテロ原子として、1〜10の窒素原子(N)及び/又は酸素原子(O)を更に含む。本発明のこの更に改良された形態においては、R
2基及び/又はR
3基は、例えば、構造式IV
(IV) −(CH
2−CH
2−O)
5−(CH
2)
12CH
3
を有する単位であることが考えられる。この場合、R
2基及び/又はR
3基は、ヘテロ原子として5つの酸素原子を含む。
【0021】
本発明の更なる実施形態においては、ポリスルファン基を有するシランは、一般式V
(V) (R
2O)
3−yR
3y−Si−R
1−S
x−R
1−Si−(O
2R
2)R
3
(式中、xは1〜8であり、且つ、分子中のR
1基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
1〜C
18−アルキル基から選択され、分子中のR
2基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型又は環式の飽和C
1〜C
30−アルキル基から選択され、且つ、y及びzは、同一又は異なり、且つ、それぞれ0〜3であり、且つ、分子中のR
3基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
1〜C
10−アルキル基又はアルコキシ基から選択される)
を有する。この実施形態においては、R
2基は、2つの酸素原子の橋架けをすることができる。
【0022】
本発明の更なる実施形態においては、ポリスルファン基を有するシランは、一般式VI
(VI) (R
2O
2)R
3−Si−R
1−S
x−R
1−Si−(O
2R
2)R
3
(式中、xは1〜8であり、且つ、分子中のR
1基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
1〜C
18−アルキル基から選択され、分子中のR
2基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型又は環式の飽和C
1〜C
30−アルキル基から選択され、且つ、分子中のR
3基は、同一又は異なり、且つ、直鎖型又は分岐型のC
1〜C
10−アルキル基又はアルコキシ基から選択される)
を有する。この実施形態においては、R
2基は、分子の両端で、2つの酸素原子の橋架けをすることができる。
【0023】
従来技術と比較して、より緩やかなプロセス条件で、分解挙動の改善を実現することを可能にする、硫黄架橋したゴム加硫物を再生して再生物を生成する更なるプロセスを提供することが、本発明の更なる目的である。本方法によって生成する再生物は、ゴム混合物における従来技術で周知の再生物と比較して、改善した又は少なくとも同一の転がり抵抗の指標、又、改善した圧縮変形挙動を実現することを可能にする。同時に、使用する薬剤は、汚染効果がない又は僅かであろう。
【0024】
この更なる目的は、
−68〜98重量%の量の再生される硫黄架橋したゴム加硫物を、メカニカルミキサーに入れる工程と、
−再生される硫黄架橋したゴム加硫物を、50〜70℃に加熱する工程と、
−2〜15重量%の量の、少なくとも1つのジチオホスホリルポリスルフィド、及び/又は、ポリスルファン基を有する少なくとも1つのシランを加える工程と、
−80〜150℃の温度で、5〜35分の時間の間、前述の成分を混合して混合物を形成する工程と、
を少なくとも含む本発明の方法によって、実現される。
【0025】
ここで、構造式、及び好ましい実施形態、及び更なる改良に関して前述で記載されたことは、ジチオホスホリルポリスルフィド、及び、ポリスルファン基を有するシランに適用される。
【0026】
従って、本発明の方法においては、100重量%の総量に基づいて、68〜98重量%の再生されるゴム加硫物、及び2〜15重量%の少なくとも1つのジチオホスホリルポリスルフィド、及び/又はポリスルファン基を有する少なくとも1つのシランを再生前に含む混合物が、メカニカルミキサーにおいて生成される。再生物は、本方法が実行される場合、この混合物から形成される。再生前の混合物は、好ましくは85〜97重量%、特に好ましくは85〜95重量%、特に好ましくは89〜93重量%の再生されるゴム加硫物を含む。少なくとも1つのジチオホスホリルポリスルフィド、及び/又は、ポリスルファン基を有する少なくとも1つのシランの量は、好ましくは2〜12重量%、特に好ましくは2〜12重量%、特に好ましくは4〜10重量%である。
【0027】
更に、100重量%で更なる添加剤を含むような組成物を、混合物は有することができる。これは、少なくとも1つのジチオホスホリルポリスルフィド、及び/又は、ポリスルファン基を有する少なくとも1つのシランを加える前又は後で、更なるプロセス工程として、1つ以上の添加剤を加えることを実行することを意味する。更なる添加剤としては、硫黄、油などの可塑剤、及びカーボンブラック又はシリカなどの充填剤が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい実施形態においては、混合物は、0.1〜10重量%の硫黄、特に好ましくは1〜8重量%の硫黄を含む。
【0029】
本発明の更なる好ましい実施形態においては、混合物は、0.1〜15重量%、特に好ましくは1〜3重量%の少なくとも1つの油を更に含む。
【0030】
本発明の更なる好ましい実施形態においては、混合物は、0.1〜10重量%の少なくとも1つの充填剤を含む。充填剤は、例えば、カーボンブラック及び/又はシリカなどの、タイヤ産業において慣習的な充填剤であることができる。
【0031】
混合物は、特に好ましくは0.1〜8重量%、特に好ましくは1〜3重量%の少なくとも1つのカーボンブラック及び/又は少なくとも1つのシリカを含む。好ましくは、シリカは、ASTM D 3765による110〜350m
2/gのCTAB表面積を有する。前述の添加剤の1つのみ、又は、前述の添加剤の2つ以上が、再生前の少なくとも1つの更なるプロセス工程において導入されることが、本発明の範囲内で考えられる。
【0032】
本発明の再生プロセスは、噛合い式ローター又はタッチングローター(touching rotor)を有するメカニカルミキサーにおいて、実行される。メカニカルミキサーの充填容積は、50〜95%、好ましくは60〜90%、特に好ましくは62〜85%である。
【0033】
本発明の目的のために、再生される硫黄架橋したゴム加硫物を、再生前に粒状材料を形成するために更なるプロセス工程において粉砕することは有利である。
【0034】
粉砕後のDIN 53734による粒状材料の粒径は、0.001〜70mm、好ましくは0.001〜20mm、特に好ましくは0.001〜0.5mm、特に好ましくは0.001〜0.4mmである。粉砕後の粒状材料の粒子の形状は、球形、平面形、又は細長形であることができる。
【0035】
硫黄架橋したゴム加硫物の粉砕は、従来技術で周知の粉砕プロセス、特に、環境下での又は低温での粉砕プロセスによって、実行される。
【0036】
メカニカルミキサー代わるものとして、再生プロセスは、1つ以上のロールミル、遊星歯車押し出し機、2軸押し出し機又は1軸押し出し機において実行されることができる。ここで、温度は、5〜35分の時間で40〜150℃である。
【0037】
本発明の方法においては、中古タイヤ又はコンベヤーベルト又は
産業用ゴム物品又は空気式車両タイヤの製造において得られる加硫した廃棄物由来の硫黄架橋したゴム加硫物が好ましい。
【0038】
硫黄架橋したゴム加硫物は、単独で又はブレンド物で、以下のゴム、天然ポリイソプレン(NR)、及び/又は合成ポリイソプレン(IR)、及び/又はブタジエンゴム(BR)、及び/又はスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、及び/又はブチルゴム、及び/又はハロブチルゴム、及び/又はニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、及び/又は水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、及び/又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)に基づくことができる。
【0039】
好ましくは、硫黄架橋したゴム加硫物は、天然ポリイソプレン(NR)、及び/又は合成ポリイソプレン(IR)、及び/又はブタジエンゴム(NBR)、及び/又はスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、及び/又はブチルゴム、及び/又はハロブチルゴムを含む。
【0040】
従来技術と比較して、より良い又は少なくとも同等の転がり抵抗の指標、及び、より低い圧縮永久歪みを実現することを可能にする再生物を提供することが、本発明の更なる目的である。この目的は、本発明による前述の方法によって実現される。好ましくは、本発明の再生物は、空気式車両タイヤの製造に使用され、好ましくは、再生物は、空気式車両タイヤの少なくとも1つの構成成分からなる少なくとも1つのゴム混合物における混合物成分として存在する。又、再生物は、コンベヤーベルト、ベルト、ストラップ、ホース、プリントブランケット、空気ばね、又は振動減衰部材などの産業用ゴム物品の製造に適しており、ここでまた、少なくとも1つのゴム混合物は、これらの物品における混合物成分として存在する。
【実施例】
【0041】
ここにおいて、本発明を、比較例及び実施例を援用して例示する。
【0042】
初めに、再生物、即ち、本発明による再生物(ER1及びER2)を、2つの異なる再生剤を使用する本発明の方法によって生成し、且つ、従来技術で周知の再生剤によって再生物RG3及びRG4を生成した。
【0043】
加硫したゴム加硫物から得られた再生物ER1の生成は、
−低温での粉砕プロセス(ピンミル)によって硫黄架橋したゴム加硫物を粉砕して、0.001〜0.5mmの粒径を有する粒状材料を生成する工程、
−90.7重量%の粉砕した再生される硫黄架橋したゴム加硫物を、メカニカルミキサーに入れる工程、
−粉砕した再生される硫黄架橋したゴム加硫物を、60℃に加熱する工程、
−2重量%のカーボンブラック(N121)を加える工程、
−5.5重量%の再生剤、(ビス(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン(TESPT)を加える工程、
−2重量%のTDAE油(TDAE=処理した芳香族抽出物)を加える工程、
−100℃の温度で20分の時間の間、前述の成分を混合して混合物を生成する工程、
−混合物を冷却する工程、
の順序でのプロセスを使用して実行した。
【0044】
再生物、ER2、及び又、RG3及びRG4の生成は、以下の再生剤、ER2:Rheinchemie GmbHのRhenocure SDT 50(登録商標)である、ビス(O,O−2−エチルヘキシルチオホスホリル)ポリスルフィド5.5重量%、RG3:CBS(=N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド)5.5重量%、RG4:Rheinchemie GmbHのAktiplast(登録商標)GE1979である、五硫化ジオクチル5.5重量%を加える場合において、同様に実行した。
【0045】
様々な再生剤を使用して生成される再生物を、ゴム混合物(ベース混合物)B1に対して60phrの量でそれぞれの場合において加え、ゴム混合物(ベース混合物)B2に対して82phrの量でそれぞれの場合において加え、且つ、ゴム混合物(ベース混合物)B3に対して43phrの量でそれぞれの場合において加えた。これらの組成物を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
混合物の生成は、タンジェンシャル型実験ミキサーにおいて複数の段階にて従来条件下で実行した。試験片を、160℃で圧力下にて20分加硫することによってすべての混合物から作製し、以下に示される試験方法を使用してこれらの試験片に対して、ゴム産業の典型的な材料特性を求めた。
・DIN 53 505に準拠する室温(RT)及び70℃におけるショアA硬度
・DIN 53 512に準拠する室温(RT)及び70℃における反発弾性
・DIN 53 504に準拠する室温における引張り強度
・DIN 53 504に準拠する室温における破断伸度
・DIN 53 504に準拠する室温における300%伸長時の応力(モジュラス300)
・DIN ISO 815−1に基づく方法を使用する圧縮永久歪み
・DIN/ISO 4649に準拠する室温における摩耗
・DIN 53 529に準拠する、ロータレス加硫試験機(MDR=ムービングディスクレオメーター(Moving Disc Rheometer))による5%又は10%(t5、t10の部分的な加硫時間)の相対架橋度
更に、ゴム混合物の加硫物を、14日間、70℃、空気中で保存し、物理的特性を同様に求めた。
【0048】
測定の結果、及び又、変形例に対して使用した再生物の割り当てを、表2及び3に要約する。ここで、ゴム混合物E1は60phrの再生物ER1を含み、E2は60phrの再生物ER2を含み、E3は82phrのTESPDを含み、且つ、E4は43phrのTESPDを含む。ゴム混合物V1及びV2は、60phrの再生物RG3及び60phrの再生物RG4を、それぞれ含む。ゴム混合物V4は82phrの再生物RG4を含み、且つ、ゴム混合物V5は43phrの再生物RG4を含む。
【0049】
更なる比較例として、ゴム混合物V3は、RubberResourcesの商標名ECORR RNR 30で市販される再生物である再生物RG5、60phrを含む。いかなる再生物をも含まず、従って表1に示す組成物を有するゴム混合物、Ref1、Ref2、及びRef3が、参照として援用される。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表2及び3から分かるように、本発明による再生物、TSPD、ER1、及びER2を含む、ゴム混合物E1、E2、E3、及びE4の加硫物は、従来技術で周知の再生物を含むゴム混合物より高い反発弾性を有する。70℃における反発弾性は、転がり抵抗の指標を表し、その結果、少なくとも1つのゴム混合物において本発明による再生物を含む空気式車両タイヤが、従来技術で周知の再生物を含むタイヤより低い燃料消費をもたらすことが予測される。更に、ゴム混合物E1及びE2は、混合物V1、V2、及びV3と比較して、比較的低い圧縮永久歪みを示す。同時に、本発明による混合物の場合において、本方法の信頼性が全般的に増加することが分かる。