(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品を保持する電子部品保持部を基板に向けて昇降移動する電子部品昇降機構を有し、前記電子部品を、基板から離間した位置から前記電子部品の電極と前記基板の電極とが接触する位置まで移動させ、前記電子部品の電極と前記基板の電極とを熱溶融可能な金属を介して接合する電子部品接合装置において、
前記電子部品昇降機構は、
前記電子部品の電極と前記基板の電極との間の距離が、所定の距離になるまで前記電子部品保持部を高い速度で移動させる高速移動機構と、
前記電子部品の電極と前記基板の電極との間の距離が前記所定の距離になった後、前記高い速度よりも低い速度で移動させる低速移動機構とを有し、
前記高速移動機構は、第1移動部を移動させ、
前記低速移動機構は、前記第1移動部に対して上下方向に移動可能に取り付けられる第2移動部に取り付けられ、
前記第2移動部は、付勢手段により下方に付勢された状態でロードセルを介して第1移動部に支持されており、
前記低速移動機構の駆動源はピエゾ素子である、
ことを特徴とする電子部品接合装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本実施形態の電子部品接合装置1)
以下、本発明の実施の形態にかかる電子部品接合装置1ついて図面を参照しながら説明する。以下の説明において、矢示X1方向を電子部品接合装置1の上方、矢示X2方向を下方とし、また、矢示Y1方向を左方、矢示Y2方向を右方として説明する。そして、図面に向かって手前側が、電子部品接合装置1を操作するオペレータの立ち位置となる前方として説明する。
【0014】
(電子部品接合装置1の全体構成)
図1は、電子部品接合装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、電子部品接合装置1の電気的な構成を概略的に示すブロック図である。
図3は、
図1に示すA部分の拡大図である。
図1に示すように電子部品接合装置1は、電子部品昇降機構2と、基板載置部3とを有し、また、
図2に示すように、制御部4を有する。
図3に示すように、基板載置部3には基板Pが載置され、また、電子部品昇降機構2には基板Pに対して接合される電子部品Mが保持される。電子部品Mは、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード等を含むものである。
【0015】
(電子部品昇降機構2)
電子部品昇降機構2は、ベース板5と、高速移動機構6と、低速移動機構としてのピエゾ駆動部7と、電子部品保持部8とを有する。ベース板5は、床面等に設置される図示を省略するフレームあるいは筐体に対して取り付けられている。
【0016】
(高速移動機構6)
高速移動機構6は、モータ9と、ボールねじ10と、ボールねじナット11とを有している。ボールねじ10は、カップリング(連結部)12を介してモータ9の出力軸13に結合されている。ボールねじナット11は、第1移動部14に固定されている。また、ボールねじナット11は、ボールねじ10にねじ結合している。第1移動部14は、ベース板5に固定される第1ガイド部15を介してベース板5に取り付けられている。第1ガイド部15は、第1移動部14を上下方向に移動可能にガイドする。つまり、上述の構成を有する高速移動機構6は、モータ9の駆動により第1移動部14を上下方向に移動することができる。
【0017】
高速移動機構6は、変位センサ16を有し、第1移動部14の上下方向の移動量、すなわち、高速移動機構6による電子部品保持部8の上下方向の移動量を検出することができる。変位センサ16は、たとえば、リニアエンコーダーにより構成することができる。
【0018】
(第2移動部18)
第1移動部14には、ロードセル17を介して第2移動部18が支持されている。また、第1移動部14と第2移動部18との間には付勢手段としてのバネ30が備えられている。バネ30は、第1移動部14に反力をとり、第2移動部18を下方に付勢している。第2移動部18は、第1移動部14に固定される第2ガイド部19を介して第1移動部14に取り付けられている。第2ガイド部19は、第2移動部18を上下方向に移動可能にガイドする。つまり、第2移動部18は、第2ガイド部19を介して第1移動部14に対して上下方向に移動可能に支持されている。第2ガイド部19は、たとえば、クロスローラーガイドを用いる構成とすることができる。この構成とすることにより、第2移動部18を第1移動部14に対して高い剛性で保持させることができる。第2ガイド部19は、エアスライドガイドを用いることもできる。この構成とした場合には、クロスローラーガイドを用いた場合に比べて、高精度かつ低い摺動抵抗で第2移動部18を第1移動部14に対して上下方向に移動可能に支持することができる。
【0019】
第2移動部18に下方から押し上げ力が作用すると、第2移動部18は第1移動部14に対して相対的に上方に変位し、ロードセル17により、第2移動部18に作用する押し上げ力を測定することができる。
【0020】
第2移動部18には、上方(第1移動部14側)から順に、ノイズ検出センサ20と、荷重センサ22と、変位センサ21と、ピエゾ駆動部7と、セラミックヒータ23と、電子部品保持部8とが取り付けられている。また、ノイズ検出センサ20と、荷重センサ22と、ピエゾ駆動部7とは、電子部品保持部8の移動方向、すなわち上下方向に沿って配列されている。
【0021】
(ピエゾ駆動部7)
ピエゾ駆動部7は、図示を省略するピエゾ素子を有し、このピエゾ素子に印加されるピエゾ印加信号V1(
図5参照)に応じて電子部品保持部8を下方に向けて移動する。ピエゾ駆動部7は、ピエゾ素子の変形量をそのまま電子部品保持部8に伝える構成であってもよいし、ピエゾ素子の変形量を変位量拡大機構を介して拡大して電子部品保持部8に伝える構成であってもよい。
【0022】
(変位センサ21)
変位センサ21は、電子部品保持部8の変位量を検出するセンサである。検出精度は概ね0.01μmレベルであり、たとえば、静電容量式変位センサを用いることができる。静電容量式変位センサは、第2移動部18に対して変位しない図示外の固定電極と、ピエゾ駆動部7により変位する電子部品保持部8の変位量に対応して変位する図示外の変位電極とが対向して備えられ、この2つの電極の相対的な動きに起因する静電容量の変化を利用して電子部品保持部8の変位量を計測するセンサである。
【0023】
(荷重センサ22、ノイズ検出センサ20)
荷重センサ22は、電子部品保持部8に対して下方から掛る荷重を検出するセンサである。検出精度は概ね0.01〜5Nレベルであり、たとえば、ピエゾ素子を用いることができる。ノイズ検出センサ20は、荷重センサ22に作用するノイズを検出するセンサであり、検出精度は荷重センサ22と同等であり、荷重センサ22と同等のセンサを用いることが好ましい。
【0024】
(電子部品保持部8)
電子部品保持部8は、電子部品Mを吸着することができる。つまり、電子部品保持部8の下面には、不図示の吸引機構により負圧とされる不図示の孔部が設けられ、この孔部に発生する負圧により電子部品Mを吸着できる構成となっている。
【0025】
(セラミックヒータ23)
セラミックヒータ23は、電子部品保持部8に保持される電子部品Mの電極(以下、電子部品電極と記載する)M1(
図6参照)を熱し、この電子部品電極M1に形成されている半田層(以下、部品側半田層と記載する)M2(
図6参照)を溶融させることができる。
【0026】
第2移動部18には、モータ24が備えられている。ノイズ検出センサ20から下方の電子部品保持部8までの部材は一体的に移動される構成であり、モータ24の駆動により、電子部品保持部8を水平面内で回転させることができる。
【0027】
(基板載置部3)
基板載置部3は、基板Pが載置されるステージ25と、ステージ25を介して基板Pの電極部(以下、基板電極と記載する)P1を加熱するヒータ26とを有する。基板載置部3は、左右方向(Y1−Y2方向)および前後方向に移動させることができる図示を省略する可動ステージ機構を有し、ステージ25およびヒータ26は、この可動ステージ機構上に組み付けられている。つまり、ステージ25およびヒータ26は左右方向および前後方向に移動することができる。
【0028】
制御部4(
図2参照)は、信号処理を行うCPUおよびメモリ等を有するコンピュータである。メモリには、電子部品接合装置1の制御を行うための制御プログラムおよび制御データ等が記憶されている。
図2に示すように、制御部4は、変位センサ16、ロードセル17、変位センサ21、および荷重センサ22等からの信号に基づき、モータ9、ピエゾ駆動部7、セラミックヒータ23およびヒータ26等の動作を制御する。
【0029】
図6に示すように、電子部品保持部8の先端に保持される電子部品Mは、表面に部品側半田層M2が形成される複数の電子部品電極M1が設けられている。また、ステージ25に載置される基板Pには、表面に半田層(以下、基板側半田層と記載する)P2が形成される複数の基板電極P1が設けられている。電子部品電極M1と基板電極P1とは、一対一で接続可能に配置されている。電子部品電極M1の部品側半田層M2の層厚および基板電極P1の基板側半田層P2の層厚は共に数十μm程度である。そのため、部品側半田層M2と基板側半田層P2とを溶融させ、電子部品電極M1と基板電極P1とを電気的に接続する際に、電子部品電極M1と基板電極P1とが接触し電子部品電極M1あるいは基板電極P1を傷つけたり、溶融した半田が隣接する電子部品電極M1の間、あるいは基板電極P1の間を短絡させないように、電子部品電極M1と基板電極P1との間隔を高い精度で管理する必要がある。
【0030】
電子部品接合装置1は、上述の構成を備えると共に、
図4,5を参照して説明する接合動作を行うことで、電子部品電極M1と基板電極P1との間隔を高い精度で管理することができる。
図4は、電子部品接合装置1の動作のフローを示す図である。
図5は、ピエゾ印加信号V1、荷重センサ信号V2、ノイズ信号V3、変位センサ信号V4および荷重補正信号V5の変化の状態を模式的に示す図である。
【0031】
ピエゾ印加信号V1は、ピエゾ駆動部7に印加される電圧信号である。荷重センサ信号V2は、荷重センサ22に作用する荷重に応じて出力される電圧信号である。ノイズ信号V3は、ノイズ検出センサ20に作用するノイズに応じて出力される電圧信号である。変位センサ信号V4は、変位センサ21から、ピエゾ素子の変位量、すなわち、電子部品保持部8の変位量に応じて出力される電圧信号である。荷重補正信号V5は、荷重センサ信号V2をノイズ信号V3により補正した電圧信号である。すなわち、荷重補正信号V5は、荷重センサ信号V2からノイズ成分を除去した電圧信号である。
【0032】
制御部4は、荷重センサ22により検出された荷重センサ信号V2からノイズ検出センサ20により検出されたノイズ信号V3に基づきノイズを除去した荷重補正信号V5を生成し、この荷重補正信号V5に基づき、電子部品保持部8に対して下方から作用する荷重を測定する。
【0033】
(電子部品接合装置1の動作)
以下に電子部品接合装置1の動作について説明する。
図1は、電子部品保持部8が、電子部品昇降機構2により下降を開始される前の待機位置に配置されている状態を示している。この状態において、電子部品Mの各電子部品電極M1と各基板Pの基板側半田層P2とは、それぞれ互いに前後および左右方向における位置合わせが行われた状態となっている。この位置合わせは、図示を省略する可動ステージによるステージ25の前後左右への移動と、モータ24による電子部品保持部8の水平面内の回転により行うことができる。
【0034】
(ステップS10)
制御部4は、モータ9を駆動し、電子部品保持部8を
図1に示す待機位置から下方に向けて高速で移動させる高速下降動作を実行する(ステップS10)。モータ9の回転によりボールねじ10が回転させられる。ボールねじ10にねじ結合するボールねじナット11が第1移動部14に固定されている。そのため、ボールねじ10の回転にボールねじナット11がリードされ、第1移動部14が下方向に移動し、電子部品保持部8も第1移動部14の下降に併せて下降する。下降速度は、後述するピエゾ駆動部7による電子部品Mの下降速度に比べて高速であり、たとえば、500mm/秒である。
【0035】
(ステップS20,S30)
制御部4は、変位センサ16によって降下位置を検出し、電子部品保持部8を所定位置S(
図6参照)まで下降させる(ステップS20,S30)。この所定位置Sは、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板側半田層P2とが接触しない位置であって、できるだけ近い位置である。モータ9は、作業の効率を上げるため、電子部品Mをできるだけ高速で下降できるように高トルクで駆動される。そのため、高トルクで駆動されるモータ9により下降される電子部品Mの電子部品電極M1が、基板Pの基板電極P1に衝突すると、電子部品Mあるいは基板Pを損傷させてしまう虞がある。そこで、電子部品接合装置1は、電子部品保持部8を所定位置Sまでは高速で下降させ、所定位置Sからさらに電子部品保持部8を下降する動作は、後述するように、ピエゾ駆動部7の駆動力により低負荷で行うこととしている(ステップS40,S50)。
【0036】
図6に示すように、所定位置Sは、電子部品Mの電子部品電極M1が基板Pの基板電極P1よりも、距離D1(たとえば、100μm)だけ上方に配置される位置である。この所定位置Sは、次のようにして接合動作の開始に先立って設定される。
【0037】
電子部品保持部8に電子部品Mを保持し、ステージ25に載置された基板Pに向けて下降させ、電子部品電極M1を基板電極P1に接触させる。制御部4は、電子部品電極M1が基板電極P1に接触したか否かを、ロードセル17の出力信号に基づき検出し、接触したときの位置を変位センサ16により測定する。変位センサ16により測定される接触位置は、電子部品Mを下降させる前の初期位置からの電子部品保持部8の移動距離、あるいは基板Pの基板電極P1のステージ25からの高さとして検出することができる。そして、接触位置に基づき、それより距離D1だけ上方の位置を所定位置Sとして設定し、制御部4のメモリに記憶する。複数枚、たとえば、3,4枚の基板Pについて電子部品電極M1が基板電極P1に接触する位置を測定し、その平均値に基づいて所定位置Sを設定することが好ましい。
【0038】
なお、バネ30は、たとえば、50kgで第2移動部18を下方に付勢している。したがって、電子部品電極M1を基板電極P1に確実に押圧させた状態で、電子部品電極M1の基板電極P1への接触をロードセル17により検出することができる。バネ30の付勢力は、ピエゾ駆動部7の駆動力に比べて極めて大きい。そのため、ピエゾ駆動部7の駆動力により低負荷で電子部品保持部8を下降させる際には、第2移動部18は第1移動部14に対して移動しない。したがって、変位センサ21および荷重センサ22による変位や荷重の検出精度の低下を防ぐことができる。
【0039】
ピエゾ駆動部7が電子部品電極M1を基板電極P1に押圧する押圧力に対してバネ30が第2移動部18を下方に付勢する押圧力は、たとえば、500から1500倍程度とすることで、電子部品電極M1を基板電極P1に確実に押圧させた状態で、ロードセル17による電子部品電極M1の基板電極P1への接触を検出することができると共に、変位センサ21および荷重センサ22による変位や荷重の検出精度の低下を防ぐことができる。ピエゾ駆動部7が電子部品電極M1を基板電極P1に押圧する押圧力に対してバネ30が第2移動部18を下方に付勢する押圧力を、700から1200倍とすることで、より好適にロードセル17による電子部品電極M1の基板電極P1への接触を検出することができると共に、変位センサ21および荷重センサ22による変位や荷重の検出精度の低下を防ぐことができる。
【0040】
制御部4は、電子部品保持部8を所定位置Sまで下降させ(ステップS20においてYes)、モータ9の駆動を停止する(ステップS30)。なお、制御部4は、PID制御にて電子部品保持部8を所定位置Sまで下降させる。PID制御を行うことで、所定位置Sに電子部品保持部8を精度よく移動させることができる。電子部品保持部8が所定位置Sに下降された状態(ステップS30)では、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とは、接触はしていないが、きわめて接近した距離として、上述のように、距離D1の間隔を開けて配置されている。
【0041】
電子部品保持部8が所定位置Sに配置されている状態から電子部品電極M1を基板電極P1に接触させる動作は、後述するようにピエゾ駆動部7による電子部品保持部8の微少な移動を低負荷で行う。したがって、距離D1は、電子部品電極M1が基板電極P1に接触しない範囲でできるだけ狭い方が、電子部品保持部8を所定位置Sから電子部品電極M1と基板電極P1とが接触する位置まで移動させるための工程時間を短縮できる。しかしながら、モータ9による電子部品保持部8の移動制御の精度、電子部品接合装置1の温度等の環境による公差の変化、および電子部品Mおよび基板Pの個体差等を考慮すると、距離D1が小さすぎると、モータ9による電子部品保持部8を下降させる際に、電子部品電極M1が基板電極P1に接触してしまう虞がある。したがって、距離D1は、小さい方が好ましいものの、上述の電子部品保持部8の移動制御の精度、電子部品接合装置1の公差の変化、および電子部品Mおよび基板Pの個体差等を踏まえて、電子部品電極M1と基板電極P1とが接触しない距離とすることが好ましい。
【0042】
(ステップS40,S50)
続いて、制御部4は、
図5の時間T=0以降に示すように、ピエゾ駆動部7にピエゾ印加信号V1を印加し、電子部品電極M1が基板電極P1に接触する位置を検出するサーチ動作を実行する(ステップS40,S50)。ピエゾ印加信号V1の大きさに応じて電子部品保持部8が変位し、この変位量は変位センサ21により変位センサ信号V4として検出される。
【0043】
制御部4は、電子部品電極M1が基板電極P1に接触したか否かを、荷重補正信号V5に基づき判断する。荷重補正信号V5は、上述したように、荷重センサ22の荷重センサ信号V2からノイズ検出センサ20により検出されるノイズ信号V3を除去(キャンセル)した電圧信号である。つまり、荷重補正信号V5は、電子部品保持部8に下方から作用する荷重を示す信号である。
【0044】
図5に示すように、時間T=0からピエゾ印加信号V1の電圧を徐々に高くしていく。ピエゾ駆動部7は、ピエゾ印加信号V1の大きさに応じた変位量で電子部品保持部8を下方に移動させる。そして、電子部品電極M1が基板側半田層P2に接触すると、電子部品保持部8に下方から荷重が作用するため、時間T=t1に示すように荷重補正信号V5に立ち上がり部が発生する。制御部4は、荷重補正信号V5が所定の電圧VAとなったときに、電子部品電極M1が基板電極P1に接触したと判断する(ステップS50においてYes)。なお、制御部4は、荷重補正信号V5が所定の電圧VAとなるように、PID制御にて電子部品保持部8を移動させる。
【0045】
(ステップS60)
ここで、
図5の時間T=t1に示すように、荷重補正信号V5が所定電圧VAになったときの変位センサ信号V4の電圧VBは、電子部品保持部8がモータ9の駆動により所定位置Sに下降された後、ピエゾ駆動部7によりさらに下方に移動された距離に対応する電圧である。この距離は、電子部品保持部8が所定位置Sに移動されたときの電子部品電極M1と基板電極P1との実際の間隔(距離)であり、サーチ動作(ステップS40,S50)において、電子部品保持部8が下降されるサーチ距離である。このサーチ距離に対応する変位センサ信号V4の電圧をサーチ距離対応電圧VBとして制御部4に備えられるメモリに記憶する(ステップS60)。
【0046】
そして、次回の電子部品Mと基板Pとを接合する際のサーチ動作(ステップS40)においては、該サーチ距離の範囲で所定の距離まで電子部品保持部8の下降速度を速くする。すなわち、変位センサ信号V4が、サーチ距離対応電圧VBに対して所定の電圧になるまでは、ピエゾ印加信号V1の増加速度を速くし、電子部品保持部8の下降速度を速くする。これにより、サーチ動作(ステップS40,S50)を行う時間の短縮を図ることができる。
【0047】
たとえば、変位センサ信号V4が、サーチ距離対応電圧VBの40%に到達するまでは、ピエゾ印加信号V1の増加速度を速くする。電子部品接合装置1の温度等による較差の変化や基板Pの湾曲等により、電子部品保持部8が所定位置Sに移動したときの電子部品電極M1と基板電極P1との実際の間隔は変化する。そのため、ピエゾ印加信号V1の増加速度を速くする該所定の距離をあまり長くすると、電子部品電極M1と基板電極P1とが衝突してしまう虞がある。該所定の電圧は、サーチ距離対応電圧VBの30%以上70%以下とすることで、電子部品電極M1と基板電極P1とが衝突する可能性を十分低くすることができ、加えて、サーチ動作(ステップS40)を行う時間の短縮を効果的に図ることができる。
【0048】
なお、該サーチ距離は、所定位置Sに反映させてもよい。つまり、接合動作の開始に先立って所定位置Sは設定されるが、電子部品接合装置1の公差の変化、および電子部品Mおよび基板Pの個体差等により、電子部品保持部8を所定位置Sに移動させたときの距離が距離D1にならない場合がある。
【0049】
電子部品保持部8を所定位置Sに移動させたときの距離が距離D1よりも長くなっている場合は工程時間が長くなる点で好ましくなく、逆に短くなっている場合は、電子部品電極M1が基板電極P1に過剰な押圧力で接触し、電子部品Mあるいは基板Pを損傷させてしまう虞がある。これに対し、電子部品保持部8がモータ9の駆動により所定位置Sに下降させてからピエゾ駆動部7により移動された距離(該サーチ距離)に基づき、所定位置Sを更新することで、工程時間の短縮化あるいは電子部品電極M1の基板電極P1への過剰な押圧力での接触を防止できる。
【0050】
荷重補正信号V5が所定の電圧VAとなったとき、すなわち、電子部品電極M1が基板電極P1に接触したと判断されたとき、
図5の時間T=t1〜t2間に示すように、ピエゾ印加信号V1を一旦低下させる。これにより、電子部品電極M1が基板電極P1に接触した時に、電子部品保持部8のオーバーシュートが防止でき、電子部品電極M1および基板電極P1が損傷してしまうことを防止できる。
【0051】
(ステップS70,S80,S90,S100)
制御部4は、電子部品電極M1と基板電極P1との接触(ステップS50においてYes)に併せて、セラミックヒータ23およびヒータ26の加熱を開始する。そして、制御部4は、電子部品電極M1を基板電極P1に接触させた状態で、
図5の時間T=t2〜t3に示すようにピエゾ印加信号V1を徐々に大きくし、電子部品電極M1から基板電極P1に対して所定の荷重(たとえば、0.5N)を付加する(ステップ70)。電子部品電極M1から基板電極P1に対して所定の荷重が付加されたか否かは、荷重補正信号V5に基づいて判断する。たとえば、荷重補正信号V5が電圧VCになったときに、電子部品電極M1から基板電極P1に対して所定の荷重が付加されたと判断する。
【0052】
この所定の荷重は、電子部品Mおよび基板Pに対して損傷を与えない大きさであると共に、後述するように、電子部品電極M1および基板電極P1が溶融したときに、この溶融を電子部品保持部8の下方への変位として変位センサ21により検出できる大きさである。そして、制御部4は、電子部品電極M1の基板電極P1に対する荷重が所定の荷重(荷重補正信号V5が電圧VC)に到達したと判断したら(ステップS70においてYes)、
図5の時間T=t3〜t4に示すようにその所定の荷重が保持されるようにピエゾ印加信号V1を制御する(ステップS80)。すなわち、荷重補正信号V5が電圧VCに保持されるように、ピエゾ印加信号V1を制御する(ステップS80)。これに合わせて、所定の荷重となったと判断されたときの電子部品保持部8の位置(以下、所定荷重時位置と記載する)における変位センサ信号V4の値を所定荷重時電圧VDとしてメモリに記憶する(ステップS80)。なお、制御部4は、荷重補正信号V5が電圧VCとなるように、PID制御にて電子部品保持部8を移動させる。
【0053】
セラミックヒータ23およびヒータ26の発熱により、部品側半田層M2および基板側半田層P2が加熱され溶融が開始する。部品側半田層M2および基板側半田層P2が溶融すると、電子部品電極M1が基板電極P1を押圧する際の反力が低減する。一方、電子部品保持部8の押圧力は一定に保持されている(ステップS80)。そのため、電子部品保持部8は下方に移動する(沈み込む)。部品側半田層M2および基板側半田層P2が溶融されたか否かは、押圧力が一定に保持(ステップS80)された電子部品保持部8の下方への移動量(沈み込み量)が所定値(たとえば、1μm)を超えたか否かにより判断(ステップS100)することができる。
【0054】
具体的には、制御部4は、荷重補正信号V5が電圧VCに保持されるようにピエゾ印加信号V1を制御しながら、電子部品保持部8の所定荷重時位置(所定荷重時電圧VDに対応する位置)から移動距離(電子部品保持部8の沈み込み量)を変位センサ信号V4の変化量に基づき測定する(ステップS90)。そして、この移動距離(電子部品保持部8の沈み込み量)が所定距離(たとえば、1μm)に到達したか否かを判断する(ステップS100)。この判断は、変位センサ信号V4が所定荷重時電圧VDから所定の電位差ΔV4だけ増加し沈込電圧VEになったときに、電子部品保持部8の沈み込み量が所定距離に到達したと判断する(ステップS100においてYes)。電位差ΔV4は、所定の沈み込み量に相当する電位差として予め設定され制御部4のメモリに記憶されている。
【0055】
(ステップS110)
部品側半田層M2および基板側半田層P2が溶融と判断された場合(ステップS100においてYes)には、制御部4は、
図5の時間T=t4〜t5に示すように電子部品保持部8の下降を停止しその位置(部品側半田層M2および基板側半田層P2が溶融したと判断されたときの電子部品保持部8の位置)を保持する(ステップS110)。つまり、部品側半田層M2および基板側半田層P2が溶融と判断されたた場合には(ステップS100)、ピエゾ印加信号V1の電圧をその時の電圧に保持する(ステップS110)。
【0056】
(ステップS120)
制御部4は、電子部品保持部8の下降を停止しその位置を保持(ステップS110)した状態で、溶融した部品側半田層M2および基板側半田層P2の冷却動作を開始する(ステップS120)。この冷却動作(ステップS120)は、セラミックヒータ23およびヒータ26への通電をオフとするとともに、ステージ25に備えられる冷却パイプ27に空気を流し電子部品Mおよび基板Pを冷却する。これにより、溶融した部品側半田層M2および基板側半田層P2が冷却され固化を開始する。
【0057】
(ステップS130,S140)
ところで、溶融した半田は冷却する際に熱収縮する。そのため、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とが、熱収縮する半田に引っ張られ破損してしまう虞がある。そこで、制御部4は、冷却する半田の熱収縮に併せて電子部品保持部8が下降するようにピエゾ駆動部7を駆動し、電子部品保持部8を半田の熱収縮に追従させる熱収縮追従動作を行う(ステップS140)。熱収縮追従動作(ステップS140)は、荷重センサ22により検出される荷重(荷重補正信号V5)が一定になるように、ピエゾ駆動部7を駆動し電子部品保持部8を移動させる。溶融した部品側半田層M2および基板側半田層P2は、冷却され熱収縮するので、ピエゾ駆動部7には、電子部品保持部8をやや下降させるようにピエゾ印加信号V1が印加される。
【0058】
熱収縮追従動作(ステップS140)は、冷却動作(ステップS120)直後に実行せず、溶融した部品側半田層M2および基板側半田層P2が所定の温度に冷却されているか否かを判断し(ステップS130)、所定の温度に冷却された後(ステップS130においてYes)に、実行することが好ましい。これは次の理由による。
【0059】
半田は溶融状態の場合、温度変化による熱収縮の割合が小さく、また、極めて微小な力で変形してしまう恐れがある。そのため、半田が溶融状態のときは、ピエゾ印加信号V1を一定に保持し(ステップS110)、電子部品保持部8が移動しないようにする。したがって、熱収縮追従動作(ステップS140)は、半田が固まり始める寸前のタイミングを捉えて行う。ステップS130における所定温度は、半田が固まり始める直前の温度であり、たとえば、220℃である。
図5に示す時間T=t4〜t5の間は、冷却動作が開始されても、熱収縮追従動作(ステップS140)は実行されない。
【0060】
(ステップS150,S160)
そして、制御部4は、電子部品保持部8を熱収縮追従動作させながら部品側半田層M2および基板側半田層P2の半田の温度を検出する(ステップS150)。制御部4は、半田が十分に固まる温度になったことが検出されたら(ステップS150においてYes)、電子部品保持部8の電子部品Mの吸引を解除し、モータ9を駆動し電子部品保持部8を上方に移動させる(ステップS160)。以上で接合動作を完了し、ステージ25から電子部品Mが接合された基板Pを取り除く。
【0061】
なお、部品側半田層M2および基板側半田層P2の半田の温度は、図示外の温度検出センサにより、たとえば、電子部品保持部8の温度を検出し、この検出温度に基づき、半田の温度を推測することができる。また、半田の温度を検出(推測)する代わりに、冷却時間により熱収縮追従動作(ステップS140)の開始や、電子部品保持部8を上方に移動させる動作(ステップS160)の開始を行ってもよい。
【0062】
(本実施の形態の主な効果)
上述したように、電子部品接合装置1は、電子部品Mを保持する電子部品保持部8を基板Pに向けて昇降動する電子部品昇降機構2を有し、電子部品Mを、基板Pから離間した位置から電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とが接触する位置まで移動させ、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とを熱溶融可能な金属としての半田を介して接合することができる。電子部品昇降機構2は、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1との間の距離が、所定の距離D1になるまで電子部品昇降機構2を高い速度で移動させる高速移動機構6と、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1との間の距離が所定の距離D1になった後、高い速度よりも低い速度で移動させる低速移動機構としてのピエゾ素子を駆動源とするピエゾ駆動部7とを有する。
【0063】
このように電子部品接合装置1を構成し、ピエゾ駆動部7を用いることで、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とが所定距離D1になった後の電子部品保持部8の移動量や荷重量の制御の精度を高いものとすることができる。
【0064】
電子部品接合装置1は、電子部品保持部8に保持された電子部品Mに対して、基板Pが配置される側から作用する荷重を検出する荷重センサ22と、この荷重センサ22に作用するノイズを検出するノイズ検出センサ20と、このノイズ検出センサ20により検出されるノイズ信号V3に基づき荷重センサ22により検出される荷重センサ信号V2からノイズを除去するノイズ信号除去手段としての制御部4とを有する。
【0065】
ピエゾ駆動部7を用いることで、電子部品保持部8の移動量や荷重量の制御の精度が高いものとなる一方で、荷重センサ22がノイズの影響を受けることで、ピエゾ駆動部7の制御の精度が低下してしまう。そこで、ノイズ検出センサ20を備え、このノイズ検出センサ20により検出されるノイズ信号V3に基づき、荷重センサ22により検出される荷重センサ信号V2からノイズを除去することで、ピエゾ駆動部7の制御の精度を向上させることができる。
【0066】
ノイズ検出センサ20と、荷重センサ22と、ピエゾ駆動部7とは、電子部品保持部8の移動方向に沿って配列されている。
【0067】
ピエゾ駆動部7と荷重センサ22とが電子部品保持部8の移動方向に沿って配列されていることで、電子部品保持部8に作用する荷重を検出する荷重センサ22の検出精度を向上させることができる。たとえば、電子部品保持部8の移動方向に対して、ピエゾ駆動部7と荷重センサ22との配列方向が斜めである場合には、電子部品保持部8に作用する荷重が荷重センサ22に十分に伝わらない虞があり、荷重センサ22の検出精度が低下する虞がある。これに対し、ピエゾ駆動部7と荷重センサ22とを電子部品保持部8の移動方向に沿って配列されていることで、荷重センサ22の検出精度を向上させることができる。
【0068】
荷重センサ22は、電子部品保持部8の移動方向から作用する荷重を検出する。したがって、電子部品保持部8の移動方向から荷重センサ22に加わるノイズをできるだけ除去することが好ましい。したがって、ノイズ検出センサ20を荷重センサ22に対して電子部品保持部8の移動方向に沿って配列することで、荷重センサ22に作用するノイズに近いノイズをノイズ検出センサ20により検出し易くなる。これにより、電子部品保持部8に作用する荷重を検出する荷重センサ22の検出精度を向上させることができる。
【0069】
高速移動機構6は、第1移動部14を移動させる。ピエゾ駆動部7は、第1移動部14に対して上下方向に移動可能に取り付けられる第2移動部18に取り付けられる。第2移動部18は、付勢手段としてのバネ30により下方に付勢された状態でロードセル17を介して第1移動部14に支持されている。
【0070】
バネ30は、第2移動部18を下方に、たとえば、50kgで押圧している。一方、ピエゾ駆動部7が電子部品電極M1を基板電極P1に押圧する押圧力は、たとえば、0.5N前後である。つまり、バネ30が第2移動部18を下方に押圧する押圧力は、ピエゾ駆動部7が電子部品電極M1を基板電極P1に押圧する押圧力に比べて極めて大きい。
【0071】
そのため、電子部品電極M1を基板電極P1に確実に押圧させた状態で、ロードセル17による電子部品電極M1の基板電極P1への接触を検出することができると共に、変位センサ21および荷重センサ22による変位や荷重の検出精度の低下を防ぐことができる。バネ30が、第2移動部18を下方に付勢(押圧)する力の大きさは、ピエゾ駆動部7が電子部品電極M1を基板電極P1に押圧した場合でも、第2移動部18が第1移動部14に対して移動しない(不動とできる)大きさである。
【0072】
電子部品接合装置1は、電子部品Mの電子部品電極M1と基板Pの基板電極P1とを熱溶融可能な金属である半田(部品側半田層M2,基板側半田層P2)を介して接合する電子部品接合方法において、電子部品Mおよび基板Pを加熱すると共に、電子部品Mから基板Pに対して所定の荷重が一定に付加された状態(ステップ80)で、電子部品Mの下方への移動量を検出(ステップS90,S100)することにより、半田の溶融の有無を判断する。
【0073】
(他の実施の形態)
電子部品接合装置1は、
図7に示すように所定周波数信号除去手段としてのバンドストップフィルタ40を備え、荷重センサ22から出力される荷重センサ信号から所定周波数の信号として電子部品接合装置1の固有振動の周波数の信号を除去する構成としてもよい。
【0074】
本願発明の発明者は、解析により、荷重センサ信号のノイズ成分の多くが電子部品接合装置1の固有振動に起因するものであることをつきとめた。具体的には、
図8に示される荷重センサ信号V2の周波数成分を解析した結果、
図9に示される周波数成分が検出された。
図9に示すように、荷重センサ信号V2(
図8)には130Hzおよび330Hzの周波数成分が多い。一方、電子部品接合装置1の固有振動を解析したところ、130Hzおよび330Hz付近に固有振動があることが判った。
【0075】
そこで、
図7に示すようにバンドストップフィルタ40を用いることにより、
図8に示される荷重センサ信号V2から130Hzおよび330Hzの信号を除去したところ、
図10に示す荷重センサ信号V6のように、荷重センサ22の実際の荷重に好適に沿った荷重センサ信号を得ることができた。
図11は、
図8に示される荷重センサ信号V2から130Hzの信号を除去した荷重センサ信号V2−1を示す図である。
図12は、
図8に示される荷重センサ信号V2から330Hzの信号を除去した荷重センサ信号V2−2を示す図である。なお、荷重センサ信号から除去される信号の周波数は、電子部品接合装置の構造や使用されるモータ等により異なり、上記の130Hzおよび330Hzは一例である。
【0076】
なお、バンドストップフィルタ40にノッチフィルタを用いることで、電子部品接合装置1の固有振動の周波数である130Hzおよび330Hzだけを精度よく除去することができる。荷重センサ信号から除去する周波数の信号としては、上記のように、電子部品接合装置1の固有振動の周波数の信号の他、電子部品接合装置1が設置される環境で発生する固有振動の周波数の信号を対象とすることもできる。