(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記矩形軸部の軸心方向先端側に、前記安定ねじれ域よりもねじれ角変化率が小さい小ねじれ部と、前記安定ねじれ域のねじれ方向に対して逆方向にねじれる逆転部との少なくとも一方を有する初期係合域を設ける
請求項2に記載のミル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のような連結構造を有する手動式可搬タイプのミル装置において、通常は粉砕ユニットの下端を机上で支持しながら操作ハンドルを回転させるのに対し、粉砕処理を短時間で簡単に済ませようとする場合は、一方の手で粉砕ユニットを空中に把持しながら、他方の手で操作ハンドルを握って回転操作させる。これにより、軸部と軸孔が同一軸心上からずれたり相対的に傾いたりして、軸部と軸孔間の損耗、特に硬質の軸部の擦過による軸孔の隅部の損耗が激しくなり、軸部と軸孔間の嵌合が緩くなって、回転操作中に操作ハンドルが空回りしたり、操作ハンドルが抜け落ちたりする。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、コンパクトで持ち運びが容易でありながら、ミル装置の駆動軸の一端に設けた軸部に操作ハンドルの軸孔を外嵌して回転駆動する際に、軸部と軸孔間の損耗による操作ハンドルの空回りと、軸部からの操作ハンドルの抜け落ちを確実に防止可能なミル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のミル装置は、回転体によって被粉砕物を粉砕する粉砕ユニットと、前記回転体に一端が連動連結されると共に、他端の軸心上には、軸心方向の少なくとも一部の軸心周りに所定のねじれを有する断面視矩形状の矩形軸部が形成された駆動軸と、平面視矩形状の矩形軸孔が開口されると共に、該矩形軸孔を前記矩形軸部に外嵌することにより、前記駆動軸に連結される操作ハンドルとを備えている。
【0010】
そして、駆動軸の他端の軸心上に、断面視矩形状の矩形軸部が形成され、操作ハンドルに、この矩形軸部に外嵌する平面視矩形状の矩形軸孔が開口されることによって、操作ハンドルの空回りを防止することができる。すなわち、矩形軸部の外周側面の角と矩形軸孔の内周側面の隅の角度はいずれも直角であり、軸孔の回転力による押動方向と軸部の外周側面とがなす角度(以下、「当接角」とする)が、軸部、軸孔の断面視形状が5角以上の正多角形状の場合に比べて大きいため、軸孔の内周側面が軸部の外周側面に沿って摺動しにくくなり、軸部の擦過による軸孔の隅部の変形拡大を抑制することができる。
【0011】
更に、前述の矩形軸部が、軸心方向の少なくとも一部の軸心周りに所定のねじれを有することによって、操作ハンドルの抜け落ちを防止することができる。すなわち、粉砕処理中に回転操作を休んだり、粉砕ユニットに溜まった粉末を粉砕処理後に取り出すために、握って回転させていた手を操作ハンドルから離したり、あるいは、回転操作中に、誤って操作ハンドルを軸心方向外側に引っ張った場合であっても、操作ハンドルの矩形軸孔が、摺動途中の矩形軸部でねじれが形成されている領域に係止され、それ以上の操作ハンドルの外方移動が停止する。
【0012】
また、前記矩形軸部の軸心方向途中に、ねじれ角変化率が略一定のねじれが形成された安定ねじれ域を設ける場合は、操作ハンドルを矩形軸部に連結する際、操作ハンドルをねじれ方向に僅かに回転させるだけで、矩形軸孔を矩形軸部周りに回転させながら軸心方向基端側まで滑らかに摺動させることができる。これにより、矩形軸孔を矩形軸部の先端側に係合させてから操作ハンドルを数回回転させる間に、矩形軸孔が軸心方向基端側まで自動的に摺動して操作ハンドルが矩形軸部に連結され、予め操作ハンドルを軸心方向基端側に押し付ける連結動作が不要となって、回転操作性が大きく向上する。
【0013】
また、前記矩形軸部の軸心方向先端側に、前記安定ねじれ域よりもねじれ角変化率が小さい小ねじれ部と、前記安定ねじれ域のねじれ方向に対して逆方向にねじれる逆転部との少なくとも一方を有する初期係合域を設ける場合は、操作ハンドルを矩形軸部に連結する際、操作ハンドルを回転させることなく、操作ハンドルの矩形軸孔を矩形軸部の軸心方向先端側に軽く押し付けるだけで、矩形軸孔を矩形軸部の軸心方向先端側に係合させることができる。これにより、操作ハンドルの初期係合が容易となって、回転操作性が更に向上する。
【0014】
また、前記矩形軸部の軸心方向基端側に、前記安定ねじれ域よりもねじれ角変化率が小さい小ねじれ部が形成された保持域を設ける場合は、操作ハンドルを矩形軸部に連結する際、矩形軸部周りを回転しながら軸心方向基端側まで摺動されてきた矩形軸孔は、この小ねじれ部に滑らかに係合して保持される。これにより、操作ハンドルの位置決めが容易となって、回転操作性が一層向上する。
【0015】
また、前記矩形軸部が、軸心を挟んで対向する二対の面のうちの少なくとも一対の面の面間隔が軸心方向基端側ほど増加するテーパ構造を有する場合は、操作ハンドルを矩形軸部に連結する際、たとえ矩形軸部、矩形軸孔のサイズや形状にばらつきがあっても、矩形軸部の軸心方向基端側では嵌合性が向上し、矩形軸孔は矩形軸部の基端側に確実に係合して保持される。これにより、操作ハンドルの位置決めが容易となって、回転操作性が一層向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わるミル装置は、コンパクトで持ち運びが容易でありながら、ミル装置の駆動軸の一端に設けた軸部に操作ハンドルの軸孔を外嵌して回転駆動する際に、軸部と軸孔間の損耗による操作ハンドルの空回りと、軸部からの操作ハンドルの抜け落ちを確実に防止可能なものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ミル装置に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、
図1の矢印Uで示す方向を上方とし、以下で述べる各部の位置や方向等はこの上方を基準とするものである。
【0019】
まず、本発明を適用したミル装置の一例であるコーヒーミル1の全体構成について、
図1乃至
図5により説明する。
【0020】
このコーヒーミル1は、コーヒー豆5を粉砕してコーヒー粉5aにする粉砕ユニット2と、この粉砕ユニット2内で回転する内刃8に下端が連動連結される駆動軸3と、この駆動軸3に一端が連結される操作ハンドル4とを備えている。
【0021】
このうちの粉砕ユニット2、及びその内部の駆動軸3について説明する。
粉砕ユニット2は、上下が開口された筒状の容器本体6と、この容器本体6内の下部に回動不能に固着され内周面に刃形7aが形成された筒状の外刃7と、この外刃7内に臨ませた状態で前述の駆動軸3の下部に回動不能に挿通され外周面に刃形8aが形成された略円錐形状の前述の内刃8と、駆動軸3の下端のネジ部3aに螺合された調整ナット9とを備えている。そして、このうちの内刃8は、回り止め部材10を介して駆動軸3に回動不能に外嵌されている。
【0022】
更に、前述の容器本体6の上端開口6aに着脱可能に嵌着される円盤状の蓋11と、同容器本体6の下端開口6bに着脱可能に嵌着される、上方に開いた有底筒状の貯溜容器12が備えられている。
【0023】
このような破砕ユニット2において、前述の蓋11、容器本体6、貯溜容器12は、例えば合成樹脂製、金属製、セラミック製であり、このうちの蓋11の平面視略中央には、軸孔11aが開口されている。
【0024】
そして、容器本体6内部の軸心上には、筒状の軸支部13aが配置され、この軸支部13aは、固定部13bを介して容器本体6の内壁6cに固定され、これら軸支部13aと固定部13bとから軸受け13が形成される。そして、このうちの軸支部13aの上下端には、位置決め用のワッシャー14、15が外嵌されている。
【0025】
これにより、前述の駆動軸3は、その上端を軸孔11aに挿通して上方に突出させると共に、途中部をワッシャー14、15によって軸受け13に回動可能に支持することができる。
【0026】
そして、前述の外刃7は、例えばセラミック製、金属製であり、刃形7aとして、その上部内周面には、目の粗い送り刃7a1が形成される一方、下端開口縁は外側に向かって傾斜状に拡径して形成され、この傾斜面に目の細かな粉砕刃7a2が形成されている。
【0027】
内刃8も、例えばセラミック製、金属製であり、刃形8aとして、その上部外周面には、目の粗い螺旋状の送り刃8a1が形成される一方、下部外周面に目の細かな粉砕刃8a2が形成されている。更に、内刃8には、上下に貫通する貫通孔8bが形成されている。
【0028】
更に、前述の回り止め部材10は、例えば合成樹脂製であり、上下に貫通する軸孔10aが形成され、この軸孔10aに前述の駆動軸3が挿通され、この駆動軸3の下部側面に突設した突条3b、3bが、回り止め部材10で上方に突出した軸部10bのスリット部分10b1に係止されるようにして、回り止め部材10を駆動軸3に回動不能に挿通することができる。
【0029】
そして、軸部10bを内刃8の貫通孔8bに下方から挿通することにより、軸部10bの先端のフランジ部分10b2を、内刃8の貫通孔8bの開口縁に係止すると共に、軸部10bの外周に上向きに形成した複数の係止突部10b3を、内刃8の下面の複数の係止凹部8cに嵌合係止させることにより、回り止め部材10を内刃8に対して回動不能に取り付けることができる。
【0030】
加えて、前述の調整ナット9は、例えば合成樹脂製であり、上下に貫通するネジ孔9aが形成され、このネジ孔9aに前述の駆動軸3のネジ部3aが螺挿されると共に、この調整ナット9の上部には、回り止め部材10の下面に回転摺動可能な環状部9bが形成されている。
【0031】
これにより、内刃8の貫通孔8bに回り止め部材10の軸部10bを挿通して、内刃8と回り止め部材10を回動不能に取り付けて一体化した上で、駆動軸3の下端を回り止め部材10の軸孔10aに挿通し、駆動軸3の突条3b、3bを軸部10bのスリット部分10b1に係止することにより、回り止め部材10を介して内刃8を駆動軸3に回動不能に挿通することができる。
【0032】
更に、調整ナット9のネジ孔9aに駆動軸3の下端のネジ部3aを螺挿することにより、容器本体6に回動不能に固着した外刃7と、駆動軸3を回動不能に挿通した内刃8とにおける各粉砕刃7a2,8a2同士を、互いに対面させた状態で配置することができる。
【0033】
加えて、駆動軸3の位置決め用の前述のワッシャー15と、回り止め部材10のフランジ部分10b2との間の駆動軸3上には、付勢バネ33が巻回されており、ネジ部3aに螺嵌された調整ナット9を回転することにより、回り止め部材10と一体化した内刃8を付勢バネ33の弾性力に抗しながら外刃7に向かって押動することができる。これにより、粉砕刃7a2,8a2間の間隔を精密に変更し、コーヒー粉5aの粒度の細かな調整が可能となる。
【0034】
また、前述の操作ハンドル4は、その一端が、粉砕ユニット2の蓋11の軸孔11aから突出した駆動軸3の上端に、後で詳述する連結構造20を介して着脱可能に連結されると共に、操作ハンドル4の他端には、把持して操作するためのグリップ16が設けられている。
【0035】
以上のような構成において、このコーヒーミル1を使って粉砕処理を行う際は、まず、操作ハンドル4を駆動軸3の上端から取り外した後、粉砕ユニット2の蓋11を容器本体6から上方に脱着させて上端開口6aを開放し、この上端開口6aから容器本体6内へコーヒー豆5を投入する。すると、投入されたコーヒー豆5は容器本体6内を流下していき、筒状の外刃7と、この外刃7に下方から内挿された略円錐形状の内刃8との間の隙間19に入り込む。
【0036】
その後、再び蓋11で容器本体6の上端開口6aを閉止し、蓋11の軸孔11aから突出した駆動軸3の上端に操作ハンドル4の一端を連結させる。それから、容器本体6を一方の手で持ち、他方の手で操作ハンドル4のグリップ16を把持して回転させると、内刃8が回転して外刃7と内刃8との間でコーヒー豆5がすり潰され、できたコーヒー粉5aは、下方の貯溜容器12の内部空間内に流下して堆積される。そして、この貯溜容器12を容器本体6から下方に脱着させて、貯溜容器12内のコーヒー粉5aを取り出して使用することができる。
【0037】
この際、コーヒー豆5は、容器本体6内に固着された外刃7の上部内周面の送り刃7a1と、この外刃7に対して一方向に手動回転する内刃8の上部外周面の送り刃8a1との間の隙間19で、粉砕されつつ強制的に下方へ送り込まれ、外刃7と内刃8に形成された粉砕刃7a2、8a2間で更に細かく粉砕された状態で効率よく排出されるようにしている。
【0038】
更に、前述の如く、駆動軸3下端に螺合した調整ナット9を使って、内刃8を駆動軸3に沿って軸心方向前後に進退させ、粉砕刃7a2,8a2間の間隔を精密に変更し、コーヒー豆5の種類や好みに応じてコーヒー粉5aの粒度を調整するようにしている。
【0039】
次に、駆動軸3と操作ハンドル4との間の連結構造20について、
図6乃至
図10により説明する。
図6、
図10(a)に示すように、この連結構造20は、前述の駆動軸3の上端で軸心23上に設けた断面視矩形状の矩形軸部21と、前述の操作ハンドル4の一端に開口されて矩形軸部21に外嵌可能な平面視矩形状の矩形軸孔22とから構成される。
【0040】
このうちの矩形軸部21は、
図6乃至
図8に示すように、前記駆動軸3の軸心23の周りに、上方から見て矢印27で示す反時計回りの方向(以下、「ねじれ方向」とする)にねじれた、所定のねじれを有している。そして、このねじれは、本実施例の場合、矩形軸部21における基端21cからの距離(以下、「軸心方向長さ」とする)Lの全長で、約4度のねじれ角θが形成されている。
【0041】
詳しくは、本発明に係わる矩形軸部21においては、
図8の曲線29、30に示すように、軸心方向途中に、曲線の傾き(以下「ねじれ角変化率」とする)が略一定の領域(以下、「安定ねじれ域」とする)25を設けている。なお、この曲線29、30は、後述するようにして作製したタイプDの複数のサンプルのうちで、代表的なものを示している。
【0042】
そして、この安定ねじれ域25よりも駆動軸3の上端に近い、矩形軸部21の軸心方向基端側には、前述の安定ねじれ域25よりもねじれ角変化率が小さい小ねじれ部28が形成される領域(以下、「保持域」とする)24を設けている。
【0043】
更に、この安定ねじれ域25よりも駆動軸3の上端から遠い、矩形軸部21の軸心方向先端側には、前述の安定ねじれ域25よりもねじれ角変化率が小さい、曲線29上の小ねじれ部31や、ねじれ方向が前述の矢印27とは逆方向となる、曲線30上の逆転部32が形成される領域(以下、「初期係合部」とする)26を設けている。
【0044】
加えて、この矩形軸部21では、
図7、
図9に示すように、断面視で長辺側である一対の面43、44の面間隔Tを、軸心23の基端部側ほど増加させるようにして、テーパ構造46を形成している。
【0045】
このテーパ構造46によると、操作ハンドル4を矩形軸部21に連結する際、たとえ矩形軸部21、矩形軸孔22のサイズや形状にばらつきがあっても、
図10(a)に示す矩形軸部21と矩形軸孔22との間の隙間34を、矩形軸部21の軸心方向基端側では小さくすることができる。これにより、嵌合性が向上し、矩形軸孔22は矩形軸部21の基端側に確実に係合して保持され、操作ハンドル4の位置決めが容易となって、回転操作性が一層向上する。
【0046】
一方、矩形軸孔22は、
図10(a)に示すように、短辺22a、長辺22bのいずれも矩形軸部21の外寸よりも大きくして、矩形軸部21との間に前述した隙間34が設けられている。そして、この隙間34は、ねじれによって矩形軸部21が矩形軸孔22内に係止されない程度の大きさに設定されている。
【0047】
このような連結構造20において、操作ハンドル4の回転操作前に矩形軸孔22を矩形軸部21と連結する際、初めに、操作ハンドル4を回転させることなく、その矩形軸孔22を矩形軸部21の軸心方向先端側に軽く押し付ける。すると、操作ハンドル4が、初期係合域26において前述の小ねじれ部31に滑らかに係合されるか、あるいは、途中でねじれ方向が逆転して凹状を呈する前述の逆転部32につり下げるようにして係合される。これにより、矩形軸孔22を矩形軸部21の先端側に確実に係合させることができ、操作ハンドル4の初期係合が容易となって、回転操作性が向上する。
【0048】
続いて、操作ハンドル4をねじれ方向に僅かに回転させる。すると、矩形軸孔22が矩形軸部21周りを回転しながら軸心方向基端側まで滑らかに摺動する。これにより、矩形軸孔22を前述の初期係合域26に係合させてから操作ハンドル4を数回回転させる間に、矩形軸孔22が安定ねじれ域25内を軸心方向基端側まで自動的に摺動して操作ハンドル4が矩形軸部21に連結される。このため、以前のように、予め操作ハンドル4を軸心方向基端側に押し付ける連結動作が不要となって、回転操作性が一層向上する。
【0049】
更に、この安定ねじれ域25内を軸心方向基端側まで摺動してきた矩形軸孔22は、保持域24においてそのまま前述の小ねじれ部28に滑らかに係合して保持される。これにより、操作ハンドル4の位置決めが容易となって、回転操作性が更に一層向上する。
【0050】
また、ここで、このような矩形軸部21と矩形軸孔22との間の連結構造20が、5角軸部35と5角軸孔36との間の連結構造37と異なる点について説明する。
図10(b)に示すような、5角軸部35と5角軸孔36との連結構造37の場合、操作ハンドル4Aを矢印38で示す時計方向に回動すると、5角軸孔36の内周側面36aが、5角軸部35の外周側面35aを矢印39の方向に押動し、この矢印39と外周側面35aとがなす当接角は40である。
【0051】
これに対し、
図10(a)に示す本実施例の矩形軸部21と矩形軸孔22との連結構造20の場合、操作ハンドル4を矢印38で示す時計方向に回動すると、矩形軸孔22の内周側面である長辺22bが、矩形軸部21の外周側面である長辺21bを矢印41の方向に押動し、この矢印41と長辺21bとがなす当接角は42であり、そして、この当接角42は、前述の5角軸部35と5角軸孔36の場合の当接角40よりも大きい。これは、軸部、軸孔の断面視形状が5角以上の正多角形状において同様である。
【0052】
以上のような構成において、駆動軸3の他端の軸心23上に、断面視矩形状の矩形軸部21が形成され、操作ハンドル4に、この矩形軸部21に外嵌する平面視矩形状の矩形軸孔22が開口されることによって、5角以上の正多角形状の軸部、軸孔の連結構造の場合に比べ、軸孔の内周側面が軸部の外周側面に沿って摺動しにくくなり、軸部の擦過による軸孔の隅部の変形拡大を抑制して、操作ハンドル4の空回りを防止することができる。
【0053】
更に、矩形軸部21が、軸心方向の少なくとも一部の軸心23周りに所定のねじれを有することによって、粉砕処理中に回転操作を休んだり、粉砕ユニット2に溜まったコーヒー粉末5aを粉砕処理後に取り出すために、握って回転させていた手を操作ハンドル4から離したり、あるいは、回転操作中に、誤って操作ハンドル4を軸心方向外側に引っ張った場合であっても、操作ハンドル4の矩形軸孔22が、摺動途中の矩形軸部21でねじれが形成されている領域、例えば安定ねじれ域25に係止され、それ以上の操作ハンドル4の外方移動が停止し、操作ハンドル4の抜け落ちを防止することができる。
【0054】
次に、操作ハンドル4の空回り、抜け落ち等に及ぼす軸部、軸孔の形状の影響について調査し、その調査結果を、表1、
図8、
図10、
図11、
図12により説明する。
【0055】
[サンプルの作製]
発明材としては、
図12に示すように、冷間加工用のSUS巻き線(直径6mm)から100mm長さの線材47を切り出し(ステップS1)、続いて、金型によるプレス加工によって47の外周面に鍔部47aを形成し(ステップS2)、その後、平板によるプレス加工によって鍔部47aの一側の短軸部47bを平板化した後(ステップS3)、再び金型によるプレス加工によって平板状の短軸部47bにねじれを付与するようにして(ステップS4)、前述の矩形軸部21を有する軸素材48を作製し、この軸素材48を前述の駆動軸3に加工した。なお、平板化した短軸部47bは、断面視で短辺約3.5mm、長辺約9.8mmに形成した。
【0056】
そして、
図8、
図11に示すように、ねじれの種類を、軸心方向全域に渡って略一定のねじれが形成されたタイプA、このタイプAで軸心方向基端側のみに小ねじれ部が形成されたタイプB、同タイプAで軸心方向先端側のみに小ねじれ部が形成されたタイプC、前述したように、軸心方向基端側から先端側に向かって順に、保持域24、安定ねじれ域25、初期係合域26が形成されたタイプDに分け、各ねじれタイプ毎にサンプルを作製(サンプル1〜5)した。なお、これら保持域24、安定ねじれ域25、初期係合域26の軸心方向長さLの領域幅は、それぞれ約3mm、4mm、2mmに設定した。
【0057】
ここで、各サンプルの矩形軸部21のねじれ角θについては、光学式の非接触3次元測定機によって矩形軸部21のプロフィールを求め、このプロフィールデータをもとにして、前述の鍔部47aを基点とした軸心方向長さ毎に、前述の面43、44間の中心面の軸心23周りの回転角度を算出した。
【0058】
そして、このねじれ角θ(度)から、軸心方向1mm当たりのねじれ角θの変化量を算出して前述のねじれ角変化率(度/mm)とし、このねじれ角変化率(度/mm)を長さ1mmピッチで算出し、保持域24、安定ねじれ域25、初期係合域26ごとに平均値を算出して、各領域における平均ねじれ変化率とした。
【0059】
比較材としては、ステップS4を省いてねじれのないもの(サンプル6)、従来の5角軸部、6角軸部(サンプル7、8)、従来の6角軸部にタイプDと略同じねじれを付与したもの(サンプル9)を、同じ素材によって作製した。
【0060】
また、厚さ約3mmの軟鋼板をハンドル形状に打ち抜き、続いて、表面の浸炭処理、Niめっき処理を順に行うようにして、前述の矩形軸孔22や5角軸孔、6角軸孔を有する操作ハンドルを作製した。なお、矩形軸孔22の内側は、平面視で短辺約4mm、長辺約10mmに形成した。
【0061】
[試験方法]
操作ハンドル4の耐空回り性、耐抜け落ち性、保持域24による位置決め性、安定ねじれ域25による自動連結性、及び初期係合域26による初期係合性については、それぞれ以下のような試験を行った。
【0062】
操作ハンドル4の空回りについては、駆動軸3を固定して操作ハンドル4を連結した状態で、この操作ハンドル4を10N・mのトルクで2万回の往復回動をした際の、軸孔の隅部の損耗状態を観察し、軸部との摺動によって隅部に形成された凹みが、深さ0.3mm以下の場合は耐空回り性良好(○印)、深さ0.3mm超えの場合は耐空回り性不良(×印)とした。
【0063】
操作ハンドル4の抜け落ちについては、駆動軸3の軸部の根元まで操作ハンドル4を押し込み連結した上で、この操作ハンドル4を、軸孔が軸心23上を駆動軸3から離間する方向に手で引っ張った際に、操作ハンドル4が軸部から外れない場合は耐抜け落ち性良好(○印)、操作ハンドル4が軸部から外れた場合は耐抜け落ち性不良(×印)とした。
【0064】
保持域24による位置決めについては、駆動軸3の軸部の根元まで操作ハンドル4を押し込み連結した上で、この操作ハンドル4を、軸孔が軸心上を移動するように手で軽く押し引きした際に、操作ハンドル4がぶれない場合は位置決め性良好(○印)、
操作ハンドル4が少しぶれる場合は位置決め性が低い(△印)とした。
【0065】
安定ねじれ域25による自動連結については、操作ハンドル4の軸孔を軸部の先端側に係合させた上で、操作ハンドル4をねじれ方向に僅かに回転させた際に、操作ハンドル4が軸部周りを回転しながら根元まで滑らかに摺動する場合は、自動連結性有り(○印)、滑らかに摺動せずに途中で止まる場合は自動連結性不良(×印)とした。
【0066】
初期係合域26による初期係合については、操作ハンドル4の軸孔を軸部の先端側に係合させる際に、そのまま軸孔を軸部に押し付けるだけで係合できる場合は初期係合性良好(○印)、少しひねる必要がある場合は初期係合性が低い(△印)とした。
【0067】
[試験結果]
表1に、本発明であるタイプA、タイプB、タイプC、タイプDのサンプル1〜5と、比較材であるねじれのない矩形軸部、5角軸部、6角軸部、ねじれを有する6角軸部のサンプル6〜9について、前述の耐空回り性、耐抜け落ち性、位置決め性、自動連結性、初期係合性を測定した結果を示す。
【0069】
表1において、耐空回り性、耐抜け落ち性については、本発明例のサンプル1〜5では、両特性とも良好であるが、比較例のサンプル6〜9では、両特性とも満足しないか、一方しか満足しない。
【0070】
位置決め性については、軸部の軸心方向基端側に大きなねじれを有するサンプル1、3では低く、自動連結性については、軸心方向途中にねじれのないサンプル6〜8では認められず、初期係合性については、軸部の軸心方向先端側に大きなねじれを有するサンプル1、2では低い。
【0071】
すなわち、本発明に係わるサンプル1〜5では、耐空回り性、耐抜け落ち性のいずれも共に向上した。
【0072】
なお、
図10(a)矩形軸部21の断面の短辺21aの長さは1mm以上であり、矩形軸部21の断面の長辺21bに対する短辺の比率である辺比は0.2〜0.8であるのが好ましい。
【0073】
これにより、矩形軸部21を肉厚にして、充分な耐久強度が確保できると共に、矩形軸部21を断面視で細長形状にして矩形軸孔22の回転力を矩形軸部21の長辺21bに集中させることができ、側面間の摩擦が大きくなって矩形軸孔21が更に摺動しにくくなり、矩形軸孔22の隅部の変形拡大を更に抑制することができる。
【0074】
この場合、短辺の長さが1mm未満では、矩形軸部が薄すぎて変形しやすく、それを防ぐのに高強度の部材が必要となって部品コストが増加する。
【0075】
辺比が0.2未満では、長辺に集中する矩形軸孔22の回転力が過大となり、操作ハンドル4による回転操作によって矩形軸部21が変形する場合があり、一方、辺比が0.8越えでは、長辺に集中する矩形軸孔22の回転力が小さく、摩擦も小さくなって矩形軸孔22の摺動が促進されるからである。
【0076】
以上のように、本発明を適用したミル装置は、コンパクトで持ち運びが容易でありながら、ミル装置の駆動軸の一端に設けた軸部に操作ハンドルの軸孔を外嵌して回転駆動する際に、軸部と軸孔間の損耗による操作ハンドルの空回りと、軸部からの操作ハンドルの抜け落ちを確実に防止可能なものとなっている。
本発明を適用したコーヒーミル1は、内刃8によってコーヒー豆5を粉砕する粉砕ユニット2と、内刃8に一端が連動連結されると共に、他端の軸心23上には、軸心方向の少なくとも一部の軸心周りに所定のねじれを有する断面視矩形状の矩形軸部21が形成された駆動軸3と、平面視矩形状の矩形軸孔22が開口されると共に、この矩形軸孔22を矩形軸部21に外嵌することにより、駆動軸3に連結される操作ハンドル4とを備えている。