特許第5964608号(P5964608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964608
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】紫外線硬化性透明樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20160721BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160721BHJP
   C08F 8/40 20060101ALI20160721BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20160721BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G03F7/038 501
   G03F7/004 501
   C08F8/40
   H05K3/28 D
   G03F7/027 513
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-34316(P2012-34316)
(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-171135(P2013-171135A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】梁 仁丁
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉生
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】喜多村 明
(72)【発明者】
【氏名】高井 桃子
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−264976(JP,A)
【文献】 特開2010−107624(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/066101(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/087812(WO,A1)
【文献】 特開2006−284911(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/106892(WO,A1)
【文献】 特開2011−138037(JP,A)
【文献】 特開2007−182531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の一部に、オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた後、さらに、前記エチレン性不飽和結合の一部に、芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物を付加させて得られるカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂と、
(B)光重合開始剤と、
(C)希釈剤と、
(D)エポキシ樹脂と、を含有することを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項2】
前記芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物が、一般式(i)または一般式(ii)
【化1】
(式中、Zは置換基を表し、lは0〜5の整数、mは0〜4の整数である。)であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂が、固形分中にリン元素を0.5〜10質量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分酸価が、30〜140mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の二重結合当量が、400〜2500g/molであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、(E)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の紫外線硬化性透明樹脂組成物を硬化して得られた絶縁膜を有する配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、被覆材料に適した難燃性の紫外線硬化性透明樹脂組成物、特に、フレキシブル配線板等の配線基板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆材料に適した難燃性の紫外線硬化性透明樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬化性樹脂組成物は、例えば、フレキシブル配線板のソルダーレジスト膜として使用される場合がある。フレキシブル配線板は発光ダイオード素子(LED)等の実装用基板として使用されることがあり、この場合、実装面に形成されるソルダーレジスト膜には、光源からの光の反射率を向上させる機能が求められている。そして、硬化性樹脂組成物の硬化膜の反射率を高めるために、酸化チタン等の無機白色顔料を配合することが知られている。
【0003】
一方で、実装面に形成されるソルダーレジスト膜には、フレキシブル配線板の用途によっては耐折曲性(柔軟性)等の機械的特性だけではなく、透明性を要求される場合がある。また、液晶ディスプレイ等の表示体の前面に組み込まれるタッチパネル用電極基板についても、その視認性を低下させないことが強く望まれることから、透明性の高い電極保護膜の材料が要求される。そこで、特許文献1には、高い透明性を有し、光に対して劣化が少なく、かつ強靭性、耐熱性、耐湿性のバランスに優れた硬化物を与える反応性エポキシカルボキシレート化合物及び反応性ポリカルボン酸化合物が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1の反応性エポキシカルボキシレート化合物及び反応性ポリカルボン酸化合物は、耐変色性と透明性が十分ではないという問題があった。
【0005】
一方で、配線基板は電子機器に搭載されるために、透明性に優れるだけでなく難燃性も要求される。しかしながら、硬化性樹脂組成物にリン化合物等の難燃剤を添加すると、該硬化性樹脂組成物の硬化塗膜は透明性と耐折曲性(柔軟性)が損なわれてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2006/109572
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、耐折曲性、解像性等の諸特性を損なうことなく、透明性と難燃性に優れた硬化物を形成できる紫外線硬化性透明樹脂組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記紫外線硬化性透明樹脂組成物を用いることにより得られる、耐折曲性、解像性、透明性及び難燃性を有する絶縁膜を備えた配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、(A)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の一部に、オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた後、さらに、前記エチレン性不飽和結合の一部に、芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物を付加させて得られるカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含有することを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0009】
この態様では、(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂は、その側鎖の一部に、少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのリン元素とを含んだ構造単位が組み入れられている。この少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのリン元素とを含んだ構造単位が、紫外線硬化性透明樹脂組成物に難燃性を付与している。なお、本発明は、透明性を失わせる着色剤(例えば、白色顔料)を配合しないかぎり、透明な樹脂組成物であって、結果、その硬化物は透明性を有している。
【0010】
本発明の態様は、前記芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物が、一般式(i)または一般式(ii)
【0011】
【化1】
(式中、Zは置換基を表し、lは0〜5の整数、mは0〜4の整数である。)であることを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0012】
本発明の態様は、前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂が、固形分中にリン元素を0.5〜10質量%含むことを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。このリン元素は、上記芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物に由来するものである。
【0013】
本発明の態様は、前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分酸価が、30〜140mgKOH/gであることを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0014】
本発明の態様は、前記(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の二重結合当量が、400〜2500g/molであることを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0015】
本発明の態様は、さらに、(E)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を含有することを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0016】
本発明の態様は、さらに、(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を含有することを特徴とする紫外線硬化性透明樹脂組成物である。
【0017】
本発明の態様は、上記紫外線硬化性透明樹脂組成物を硬化して得られた絶縁膜を有する配線基板である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様では、(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂が、その一部の側鎖に、少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのリン元素とを含んだ構造単位を有するので、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂は難燃性に優れており、また、解像性は損なわれない。また、本発明の態様では、紫外線硬化性透明樹脂組成物に難燃性を付与するために、別途、難燃剤を添加する必要はないので、硬化物のヘイズの上昇と耐折曲性の低下とを防止し、結果、耐折曲性が損なわれることなく、優れた透明性が得られる。つまり、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂を含有した紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化物は、耐折曲性等の機械的特性や解像性が損なわれることなく、優れた難燃性と透明性を有している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物について説明する。本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の一部に、オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた後、さらに、前記エチレン性不飽和結合の一部に、芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物を付加させて得られるカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含有することを特徴とする。
【0020】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂は、(a−1)(メタ)アクリル酸と(a‐2)(メタ)アクリル酸エステルとを反応させて得られる共重合体のカルボキシル基の一部に、(a‐3)オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた後、さらに、前記エチレン性不飽和結合の一部に、(a‐4)芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物を付加させて得られる。
【0021】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂は、(a‐4)芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物に由来する、少なくとも1つの芳香環と少なくとも1つのリン元素とを含んだ構造単位が側鎖に含まれているので、別途、難燃剤を配合しなくても、上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂が難燃性を有している。その結果、本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物は、難燃性と透明性とを有している。
【0022】
(a−1)(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。
【0023】
(a‐2)(メタ)アクリル酸エステルは、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N‐アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどがあげられる。これらのうち、紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化物に良好な耐折曲性を付与する点から、アルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
(a−1)(メタ)アクリル酸と(a‐2)(メタ)アクリル酸エステルとを反応させて得られる共重合体のうち、(a−1)(メタ)アクリル酸の含有量(仕込量)は特に限定されないが、紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化物に良好な耐折曲性を付与する点から、20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0025】
(a‐3)オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物は、特に限定されないが、反応性の点から、下記一般式(iiia)、(iiib)及び(iiic)
【0026】
【化2】
【0027】
(式中、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表す。R、R及びRはメチレン基が好ましく、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、特にブチレン基が好ましい。)からなる化合物群から選択される少なくとも一種が好ましい。
【0028】
オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量(仕込量)は特に限定されないが、その下限値は、感光性を向上させる点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂中に、10質量%が好ましく、20質量%が特に好ましい。一方、その上限値は、感光時にフィルムへの貼り付きを防止する点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂中に、50質量%が好ましく、40質量%が特に好ましい。
【0029】
(a‐4)芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物は、芳香環を少なくとも1つ含み且つリン元素を少なくとも1つ含むものであれば特に限定されないが、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂に難燃性を付与しつつ、塗工した紫外線硬化性透明樹脂組成物が露光の際にフィルムへ貼り付くのを確実に防止する点で、芳香環を複数有する上記リン化合物が好ましく、芳香環を2つ有する上記リン化合物が特に好ましい。上記リン化合物としては、例えば、下記、一般式(i)、一般式(ii)
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、Zは置換基を表し、lは0〜5の整数、mは0〜4の整数である。)で表されるリン化合物が好ましい。
【0032】
置換基であるZは、特に限定されないが、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子から選択される基が好ましい。Zが複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。Zの数量及び種類にかかわらず、少なくとも1つの芳香環を有する上記リン化合物が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の側鎖に付加することで、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂に難燃性を付与しつつ、露光の際に塗工した紫外線硬化性透明樹脂組成物がフィルムへ貼り付くのを防止できる。
【0033】
芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物には、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド(一般式(i)のm=0に相当)、ジフェニルフォスフィンオキサイド(一般式(ii)のl=0に相当)等の活性水素を有するホスフィンオキサイド系化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物の含有量(仕込量)は特に限定されないが、その下限値は、紫外線硬化性透明樹脂組成物に難燃性を付与する点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂中に、10質量%が好ましく、難燃性をより向上させる点から、20質量%が特に好ましい。一方、その上限値は、紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化物について機械的強度の低下を抑える点から、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂中に、40質量%が好ましく、溶解性の点から、30質量%が特に好ましい。
【0035】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分中におけるリン元素含有率は、紫外線硬化性透明樹脂組成物の使用条件に応じて選択する。例えば、その下限値は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂に難燃性を確実に付与する点から0.5質量%であり、紫外線硬化性透明樹脂組成物に十分な難燃性を確保する点から1.0質量%が好ましく、紫外線硬化性透明樹脂組成物に難燃性のUL規格であるVTM‐0を確実に満足させる点から2.0質量%が特に好ましい。また、その上限値は、例えば、紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化物について機械的強度の低下を抑える点から10質量%であり、機械的強度の低下を確実に抑える点から5.0質量%が好ましく、紫外線硬化性透明樹脂組成物中での相溶性の点から4.0質量%が特に好ましい。
【0036】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分酸価は、エポキシ樹脂との反応を完結させる点から、30〜140mgKOH/gが好ましく、60〜130mgKOH/gが特に好ましい。カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の二重結合当量は、紫外線硬化性と柔軟性の点から、400〜2500g/molが好ましく、500〜1600g/molが特に好ましい。
【0037】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の数平均分子量は、粘度と塗工性の点から、2000〜50000が好ましく、5000〜20000が特に好ましい。また、重量平均分子量は、5000〜100000が好ましく、14000〜50000が特に好ましい。
【0038】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
波長300〜400nmの紫外光が本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物に照射されると、上記光重合開始剤が紫外線硬化性透明樹脂組成物の光硬化を促進する。光重合開始剤の配合量は、適宜選択可能であり、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、5〜20質量部が好ましく、6〜15質量部が特に好ましい。
【0040】
(C)希釈剤
希釈剤は、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも2つ以上の重合性二重結合を有する化合物である。(A)成分のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化塗膜を得るために使用する。
【0041】
希釈剤は、上記化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
希釈剤の配合量は、使用条件に応じて適宜選択可能であり、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、2〜100質量部であり、10〜90質量部が好ましい。
【0043】
D)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、硬化物の架橋密度を上げるために使用する。(D)成分であるエポキシ樹脂は、後述する(E)成分の(メタ)アクリル化エポキシ樹脂とは異なり、(メタ)アクリル化されていないエポキシ樹脂を意味する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0044】
エポキシ樹脂の配合量は、使用条件に応じて適宜選択可能であり、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、10〜50質量部である。
【0045】
本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物では、上記(A)〜(D)の各成分に加えて、適宜、(E)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を配合してもよい。
【0046】
(E)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂に対して、(メタ)アクリル酸をエステル化反応させて得られる部分エステル化エポキシ(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、紫外線照射によりラジカル重合し得る(メタ)アクリル基を有している。よって、本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物に(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を配合すると、紫外線照射により(メタ)アクリル化エポキシ樹脂同士が架橋反応して、硬化物の架橋密度が上がり硬化性がより向上するとともに、硬化物の柔軟性が向上してより良好な耐折曲性を付与することができる。
【0047】
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、特に限定されないが、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂に対して、そのエポキシ樹脂のエポキシ基に対して50〜100%当量の(メタ)アクリル酸をエステル化反応させて得られる(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が好ましく、80〜100%当量の(メタ)アクリル酸をエステル化反応させて得られる(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0048】
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の合成原料であるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型変性柔軟性エポキシ樹脂、核水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのうち、耐折曲性の点からビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0049】
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂の配合量は、使用条件に応じて適宜選択可能であり、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、十分な硬化性と耐折曲性を付与する点から、例えば、1〜75質量部が好ましく、3〜50質量部が特に好ましい。
【0050】
(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂
(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであればよく、特定の化合物に限定されない。(メタ)アクリル化ウレタン樹脂が紫外線硬化性透明樹脂組成物に含まれると、伸び性と耐折曲性とに優れた硬化塗膜を形成できるので、例えば、配線基板、特にフレキシブル配線板への適用に有効である。
【0051】
ウレタン樹脂は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物と1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物を反応させて得られるものである。
【0052】
1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物は、特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネアート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、トリメチルヘキサメチルジイソシアネート、ヘキサメチルアミンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート、1,3−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネートなどのジイソシアネートが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0053】
1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物は、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどのC2−C22アルカンジオールや、2−ブテン−1,4−ジオール、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどのアルケンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ペンタン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール等の脂肪族トリオール;テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール等の水酸基を4つ以上有するポリオールなどが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0054】
(メタ)アクリル化ウレタン樹脂として市販されているものには、例えば、日本合成化学(株)の「紫光UV−1400B」、「紫光UV−1700B」、「紫光UV−6300B」、「紫光UV−7510B」、「紫光UV−7600B」、「紫光UV−7605B」、「紫光UV−7610B」、「紫光UV−7620EA」、「紫光UV−7630B」及び「紫光UV−7640B」、根上工業(株)の「アートレジンUN−9000H」、「アートレジンUN−3320HA」、「アートレジンUN−3320HC」、「アートレジンUN−3320HS」及び「アートレジンUN−901T」、新中村化学工業(株)の「NKオリゴU−4HA」、「NKオリゴU−6HA」、「NKオリゴU−6LPA」、「NKオリゴU−15HA」、「NKオリゴUA−32P」、「NKオリゴU−324A」及び「NKオリゴU−6H」、ダイセル・サイテック(株)の「EBECRYL1204」、「EBECRYL1205」、「EBECRYL215」、「EBECRYL230」、「EBECRYL244」、「EBECRYL245」、「EBECRYL264」、「EBECRYL265」、「EBECRYL1280」、「EBECRYL285」、「EBECRYL8200」、「EBECRYL8405」、「EBECRYL8411」、「EBECRYL8804」、「EBECRYL9270」、「KRM7735」、「KRM8296」、「EBECRYL1290」、「EBECRYL1290K」、「EBECRYL5129」、「EBECRYL210」、「EBECRYL220」、「EBECRYL284」、「EBECRYL8210」、「EBECRYL8402」及び「EBECRYL9260」、日本化薬(株)の「UX−2201」、「UX−2301」、「UX−3204」、「UX−3301」、「UX−4101」、「UX−0937」、「UX−5000」、「UX−5001」、「UX−5002」、荒川化学工業(株)の「ビームセット575」、東亞合成(株)の「M−313」、「M−315」及び「M−1200」、共栄社化学(株)の「AH‐600」などが挙げられる。
【0055】
(メタ)アクリル化ウレタン樹脂の骨格は特に限定されないが、(メタ)アクリル官能基数が多いものは硬化収縮し、伸び性が低下する可能性があるので、1分子中の(メタ)アクリル官能基数は2〜4が好ましい。また、重量平均分子量は、その値が小さいと、露光の際にアートワークフィルムの基板への付着が生じ易く、目的とする硬化塗膜が得られ難くなるので、その下限値は1500が好ましく、重量平均分子量が大きいと耐折曲性が低下する傾向にあるので、その上限値は3000が好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル化ウレタン樹脂の配合量は、使用条件に応じて適宜選択可能であり、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して1〜40質量部であり、高伸び性と耐折曲性とのバランスに優れる点から2〜25質量部が好ましい。なお、耐折曲性に優れた硬化塗膜を得るために、上記(メタ)アクリル化エポキシ樹脂とともに(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を配合してもよい。
【0057】
本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物には、上記した(A)〜(F)の各成分の他に、さらに、必要に応じて、リン化合物や、種々の添加成分、例えば、各種添加剤、溶剤などを含有させることができる。また、本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物には、透明性が損なわれるのを防止するために、着色剤は配合されていないが、所望の色に着色する場合には、適宜、着色顔料等の着色剤を配合してもよい。
【0058】
本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物には、上記の通り、難燃性が付与されているが、難燃性を補充して、より難燃性を向上させるために、透明性と耐折曲性が損なわれない配合量の範囲でリン化合物を添加してもよい。
【0059】
リン化合物には、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリアリルホスフィンなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、3−グリシジルオキシプロピレンジフェニルホスフィンオキシド、3−グリシジルオキシジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルビニルホスフィンオキシド、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合物などのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩等が挙げられる。
【0060】
リン化合物としてリン酸エステルを用いる場合、リン化合物の配合量の上限値は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、透明性が損なわれるのを防止する点から12質量部であり、透明性と耐折曲性の低下を確実に抑える点から10質量部が好ましい。一方、リン化合物としてホスフィン酸の金属塩を用いる場合、その配合量の上限値は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、透明性が損なわれるのを防止する点から10質量部であり、透明性と耐折曲性の低下を確実に抑える点から8質量部が好ましい。
【0061】
各種添加剤には、ビニル系重合物が主成分の消泡剤、アクリルポリマーが主成分の消泡剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルとの混合物が主成分のレベリング剤などが挙げられる。
【0062】
溶剤は、紫外線硬化性透明樹脂組成物の粘度や乾燥性を調節するために使用するものである。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、などのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。溶剤を用いる場合の配合量は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、1〜500重量部が好ましい。
【0063】
着色剤は、透明性を失うものでなければ、特に限定されず使用可能であり、白色、黒色、青色、黄色等に着色する場合には、それに応じて、白色着色剤、黒色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤等を配合してよい。
【0064】
上記した本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記成分(A)〜(D)および必要に応じてその他の成分を所定割合で配合後、室温にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合してもよい。
【0065】
次に、上記した本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物の塗工方法について説明する。ここでは、フレキシブル基板上に本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物を塗工して皮膜を形成する方法、より具体的には、銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブル配線板上に、本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物を塗工して、絶縁膜を形成する方法を例にとって説明する。銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブル配線板上に、上記のように製造した紫外線硬化性透明樹脂組成物をスクリーン印刷法、スプレーコート法等の方法を用いて所望の厚さに塗布する。次に、紫外線硬化性透明樹脂組成物に溶剤を配合している場合には、溶剤を揮散させるために60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行い、紫外線硬化性透明樹脂組成物から溶剤を揮発させて塗膜の表面をタックフリーの状態にする。
【0066】
その後、塗布した紫外線硬化性透明樹脂組成物上に、前記回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜を現像する。現像方法には、例えば、スプレー法、シャワー法等、公知の方法が適宜使用可能である。使用される希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。現像後、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間キュアを行うことにより、フレキシブル配線板上に目的とする絶縁膜を形成させることができる。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0068】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂について
物性測定条件
1.固形分中におけるリン元素含有率は、原料である各成分の配合量の理論値から算出した。固形分酸価は、まず、(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分酸価を、アルカリ中和滴定に基づくフェノールフタレイン変色法により測定し、その後、(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂を150℃で2時間乾燥させ、乾燥前後の質量比から求めた固形分比率を乗じることによって算出した。二重結合当量は、(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の固形分質量(g)/オキシラン環とエチレン性不飽和結合を有する化合物のモル数(g/mol)により算出した。
2.重量平均分子量は、以下のように測定した。
東ソー社製GPC装置を用いて測定した。測定条件は下記の通り。
カラム:TSK gel(東ソー社製、「SuperH4000」、「SuperHZ2500」)
検出器:示差屈折
展開溶媒:テトラヒドロフラン
溶質濃度:10mg/ml
標準物質:標準ポリスチレン(VARIAN社製、「EASICAL PS-2」(単分散試料))
流速:0.3ml/min
温度:40℃
【0069】
(A)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の合成例(A‐1)〜(A‐3)及び比較樹脂の比較合成例(A‐4)の合成を、表1を用いながら説明する。
【0070】
合成例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素または空気導入管を備えた1リットルセパラブルフラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(三洋化成品社製DPM)550gを仕込み、窒素雰囲気下100℃に昇温後、メタクリル酸(「a‐1」成分に相当)120g、フェノキシエチルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)20g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート「a‐2」成分に相当)30g、イソボルニルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)30g、及びジメチル2,2’‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製V-601)20gを混合した溶液を3時間かけて滴下し、滴下後3時間窒素雰囲気下で反応を続けて熟成させた。次に、空気雰囲気下で4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(「a‐3」成分に相当)(日本化成(株)製(4HBAGE))150g、トリフェニルホスフィン1.0g、メトキシフェノール0.3gを加えて110℃で8時間反応させた。さらに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド(「a‐4」成分に相当)(三光社製(HCA))100gを加え、110℃で3時間反応させた。これにより、固形分酸価80.5mgKOH/g、二重結合当量1567.7g/mol、リン元素含有率3.2質量%、重量平均分子量18000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の溶液(A‐1)を得た。
【0071】
合成例2
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素または空気導入管を備えた1リットルセパラブルフラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(三洋化成品社製DPM)550gを仕込み、窒素雰囲気下100℃に昇温後、アクリル酸(「a‐1」成分に相当)130g、フェノキシエチルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)20g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(「a‐2」成分に相当)20g、イソボルニルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)20g、及びジメチル2,2’‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製V-601)20gを混合した溶液を3時間かけて滴下し、滴下後3時間窒素雰囲気下で反応を続けて熟成させた。次に、空気雰囲気下で4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(「a‐3」成分に相当)(日本化成(株)製(4HBAGE))150g、トリフェニルホスフィン1.0g、メトキシフェノール0.3gを加えて110℃で8時間反応させた。さらに、ジフェニルフォスフィンオキシド(「a‐4」成分に相当)(片山化学工業(株)製(OX−2))110gを加え、110℃で3時間反応させた。これにより、固形分酸価131.6mgKOH/g、二重結合当量2190.4g/mol、リン元素含有率3.7質量%、重量平均分子量14000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の溶液(A‐2)を得た。
【0072】
合成例3
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素または空気導入管を備えた1リットルセパラブルフラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(三洋化成品社製DPM)550gを仕込み、窒素雰囲気下100℃に昇温後、メタクリル酸(「a‐1」成分に相当)130g、フェノキシエチルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)10g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「a‐2」成分に相当)20g、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(「a‐2」成分に相当)(東亜合成(株)社製M-140)25g、及びジメチル2,2’‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製V-601)20gを混合した溶液を3時間かけて滴下し、滴下後3時間窒素雰囲気下で反応を続けて熟成させた。次に、空気雰囲気下でグリシジルメタクリレート(「a‐3」成分に相当)(日油(株)社製ブレンマーGH)80g、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(「a‐3」成分に相当)(日本化成社製4HBAGE)90g、トリフェニルホスフィン1.0g、メトキシフェノール0.3gを加えて110℃で8時間反応させた。さらに、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド(「a‐4」成分に相当)(三光社製HCA)95gを加え、110℃で3時間反応させた。これにより、固形分酸価62.1mgKOH/g、二重結合当量784.6g/mol、リン元素含有率3.0質量%、重量平均分子量24000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の溶液(A‐3)を得た。
【0073】
比較合成例
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、窒素または空気導入管を備えた1リットルセパラブルフラスコに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(三洋化成品社製DPM)550gを仕込み、窒素雰囲気下100℃に昇温後、メタクリル酸110g、ブチルメタクリレート250g、及びジメチル2,2’‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製V-601)20gを混合した溶液を3時間かけて滴下し、滴下後3時間窒素雰囲気下で反応を続けて熟成させた。次に、空気雰囲気下でグリシジルメタクリレート90g、トリフェニルホスフィン1.0g、メトキシフェノール0.3gを加えて110℃で8時間反応させた。これにより、固形分酸価80.4mgKOH/g、二重結合当量710.0g/mol、重量平均分子量21000のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂の溶液(A‐4)を得た。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1〜23、比較例1〜4
下記表2に示す各成分を下記表2に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜23、比較例1〜4にて使用する紫外線硬化性透明樹脂組成物を調製した。なお、下記表2に示す配合量は質量部を表す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2中、比較例で使用したリン元素を有さないカルボキシル基含有紫外線硬化性樹脂は、下記の通りである。
・サイクロマーP−ACA−Z251:ダイセル・サイテック(株)製、不飽和基含有アクリル樹脂。
・ZFR−1122:日本化薬(株)製、アクリル酸エステルオリゴマー(エポキシアクリレートの酸無水物変性物)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルハイドロキノンの混合物。
【0078】
上記以外の表2中の各成分は、以下の通りである。
(B)光重合開始剤
・イルガキュア184:チバ スペシャルティ ケミカルズ(株)製、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン。
・イルガキュア1173:チバ スペシャルティ ケミカルズ(株)製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン。
・イルガキュア2529:チバ スペシャルティ ケミカルズ(株)製、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン。
(C)希釈剤
・ライトエステル2EG:共栄社化学(株)製、ジエチレングルコールジメタクリレート。
・M−306:東亞合成(株)製、ペンタエリスリトールトリアクリレート。
・DPHA:日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールとアクリル酸の反応物。
(D)エポキシ樹脂
・JER828:三菱化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
・JER837:三菱化学(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂。
・JER1003:三菱化学(株)製、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂。
【0079】
(E)(メタ)アクリル化エポキシ樹脂
・EBECRYL 3708:ダイセル・サイテック(株)製、エポキシアクリルレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの混合物。
・Miramer PE110:MIWON製、フェニルエポキシアクリレート。
・Miramer PE250:MIWON製、ビスフェノールA型エポキシジメタクリレート。
(F)(メタ)アクリル化ウレタン樹脂
・EBECRYL 8405:ダイセル・サイテック(株)製、ウレタンアクリレート。
・M‐1200:東亞合成(株)製、ウレタンアクリレート。
・AH‐600:共栄社化学(株)製、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー。
【0080】
リン化合物(難燃剤)
・ジフェニルビニルホスフィンオキシド:片山化学工業(株)製。
・ME−P8:三光(株)製、2−(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合物。
・エクソリット OP 935:クラリアントジャパン(株)製、有機リン酸塩。
添加剤
・UVX‐189:楠本化学(株)製、ビニル系重合物。
・ポリフロー No.90:共栄社化学(株)製、アクリルポリマー。
・BYK‐361N:ビックケミー・ジャパン(株)製、アクリルポリマー。
・BYK‐307:ビックケミー・ジャパン(株)製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物。
着色顔料
・リオノールブルーFG‐7351:東洋インキ(株)製、フタロシアニン化合物。
・クロモフタルイエローAGR:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、アントラキノン化合物。
溶剤
・ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:神港有機化学工業(株)製。
【0081】
試験片作成工程
透明ポリイミドフィルム(三菱瓦斯化学(株)製、厚さ30μm)の表面をイソプロピルアルコールで脱脂処理した後、脱脂処理した表面にスクリーン印刷法にて、上記のように調製した紫外線硬化性透明樹脂組成物を塗布した。塗布後、BOX炉にて80℃で20分(BOX炉内25分)の予備乾燥を行った。予備乾燥後、所定のランド以外を透光性にしたパターンを有するフォトマスクを塗膜上に密着させ、その上から紫外線(波長300〜450nm)を露光装置(オーク社製HMW−680GW)にて1000mJ/cmまで露光した。その後、30℃の1%炭酸ナトリウム現像液を用いて、0.1MPa、60秒の条件にて現像後、BOX炉にて150℃で60分(BOX炉内70分)のポストキュアを行ってPETフィルム上に紫外線硬化性透明樹脂組成物の硬化塗膜を形成した。硬化塗膜のDRY膜厚は、20〜23μmであった。
【0082】
評価
(1)ヘイズ(曇価)(%)
透明ポリイミドフィルムに代えて、石英ガラス基板(50mm×50mm、厚さ1mm)の表面に、上記試験片作成工程と同様の方法で塗工して硬化塗膜を形成し、試験片とした。この試験片に対してJIS−K−7105、JIS−K−7136に準じて、日立ハイテク社製U−3310分光光度計を用いてヘイズを測定した。
(2)解像性
ライン幅30〜150μmのパターンを有するフォトマスクを用いて上記のように作成した硬化塗膜について、ラインとして完全に基板上に残存している最小のライン幅を目視にて確認、評価した。
(3)耐折曲性
上記試験片作成工程にて作成した試験片について、ハゼ折りにより180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の透明な硬化塗膜におけるクラック発生状況を目視及び×200の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生しなかった回数を測定した。
(4)難燃性
透明ポリイミドフィルムに代えて、ポリイミド基板(15mm×25mm、厚さ25μm)の両表面のそれぞれに、上記試験片作成工程と同様の方法で、DRY膜厚20μmの硬化塗膜を形成し、試験片とした。この試験片に対して、UL94規格に準拠した垂直燃焼試験を行った。評価はUL94規格に基づいて、VTM−0〜燃焼で表した。
(5)絶縁抵抗(Ω)
PETフィルムに代えて、櫛形テストパターン(線幅100μm、線間100μm)に、上記試験片作成工程と同様の方法で塗工して硬化塗膜を形成し、試験片とした。この試験片を、温度85℃、湿度85%の雰囲気の槽中にて直流50V印加して1000時間放置後、該試験片を槽外に取り出して絶縁抵抗値を測定した。
【0083】
評価結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
上記表3の各実施例と各比較例の結果に示すように、芳香環を少なくとも1つ含有するリン化合物を付加させて得られるカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂を用いると、耐折曲性、解像性及び絶縁性を損なうことなく、難燃性を有しつつ、ヘイズの低減した良好な透明性を有する硬化塗膜が得られた。実施例13〜15より(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、実施例16〜18より(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を配合すると、それぞれ、透明性を損なうことなく耐折曲性がさらに向上した。また、実施例1〜9、13〜23より、難燃剤であるリン化合物を添加しないことで、耐折曲性の低下を確実に防止でき、耐折曲性と透明性がバランスよく向上した。
【0086】
一方、比較例2〜4より、リン元素を有さないカルボキシル基含有紫外線硬化性樹脂を使用し、難燃剤であるリン化合物を配合すると、難燃性を有するものの、ヘイズが上昇して良好な透明性を得ることができなかった。また、比較例1より、リン元素を有さないカルボキシル基含有紫外線硬化性樹脂を使用し、難燃剤であるリン化合物を配合しないと、透明性を有し耐折曲性の低下を防止できるものの、難燃性を得ることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の紫外線硬化性透明樹脂組成物は、耐折曲性、解像性等の諸特性を損なうことなく、透明性と難燃性に優れた硬化物を形成できるので、例えば、配線基板の絶縁膜やタッチパネル用保護膜の分野で利用価値が高い。