特許第5964622号(P5964622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964622
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ストレス評価装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0488 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   A61B5/04 330
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-60038(P2012-60038)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-192597(P2013-192597A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】倉森 章
(72)【発明者】
【氏名】上條 正義
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−277256(JP,A)
【文献】 特開2002−225585(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/059830(WO,A1)
【文献】 特開2006−271648(JP,A)
【文献】 特開平08−234805(JP,A)
【文献】 特開2005−087485(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/032656(WO,A1)
【文献】 特開2010−029722(JP,A)
【文献】 特開平07−043261(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0065480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業を行う作業者の作業中のストレスを評価するストレス評価装置であって、
前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋の両方を複数含む、少なくとも4つの骨格筋の筋活動を同時、かつ時系列に測定し、各骨格筋の筋電位データを得る測定部と、
前記作業者の作業に関与する前記骨格筋の前記各筋電位データを用いて、前記作業者の作業に関与する前記骨格筋のグループに対して、前記作業者の作業に関与する前記骨格筋の筋活動のピークの重複を検出し、第1のピーク情報を得、前記第1のピーク情報を用いて前記ピークを特徴付ける第1のピーク特徴量を算出し、
前記作業者の作業に関与しない前記骨格筋の前記各筋電位データを用いて、前記作業者の作業に関与しない前記骨格筋のグループに対して、前記作業者の作業に関与しない前記骨格筋の筋活動のピークの重複を検出し、第2のピーク情報を得、前記第2のピーク情報を用いて前記ピークを特徴付ける第2のピーク特徴量を算出する信号処理部と、
前記第1のピーク特徴量と前記第2のピーク特徴量を用いて前記作業者の作業中のストレスを評価する評価部とを有することを特徴とする作業中のストレス評価装置。
【請求項2】
前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋は、それぞれ左右一対の筋以外の組み合わせを含む請求項に記載の作業中のストレス評価装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記第1のピーク情報と前記第2のピーク情報を用いて、測定した全ての骨格筋の重複する筋活動のピークを検出し、前記ピークから第3のピーク特徴量を算出し、
前記評価部は、前記第3のピーク特徴量を用いて、前記作業者の作業中のストレスを評価する請求項1または2に記載の作業中のストレス評価装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記少なくとも4つの骨格筋に取り付けられ、前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を時系列に検出するセンサと、
前記各センサで検出された前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を、それぞれ同じタイミングで取得し、前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を同時、かつ時系列に一致された各筋電位データを得る取得部とを有する請求項のいずれか1項に記載のストレス評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の作業中のストレスを評価するストレス評価方法およびストレス評価装置に関し、特に、作業者の作業に関与する骨格筋と作業に関与しない骨格筋の両方を含む、少なくとも4つの骨格筋を用いた作業中のストレスを評価するストレス評価方法およびストレス評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業中のストレスの評価法として、心拍数や発汗量などを用いる手法が知られている。しかし、応答が数〜数十秒と遅く高応答の指標探索が課題であった。このため、作業中のストレス評価方法において応答性に優れる指標として、作業に直接関与しない骨格筋の活動に誘発される作業者の力みの程度を評価する手法が提案されている。また、これ以外にも種々の作業中のストレス評価方法が提案されている(特許文献1〜3等)。
【0003】
特許文献1においては、複数の筋の、作業時の人体の筋活動によって生じる筋電位を検出センサで検出し、検出された前記筋電位を増幅し、この筋電位から得られる筋電位波形を用いて、複数の筋の同時収縮強度を生成する。一方、作業における作業負担強度のレベルを、同時収縮強度の生成に合わせて算出し、同時収縮強度を算出した作業負担強度レベルで規格化することによって、作業の快適度の高低を評価する作業快適度評価装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、被験者の顎の開閉を行う咬筋にストレスによって生じる「力み」を定量的に測定して、自動車の運転などの作業中のストレスを客観的に判定することができる作業中ストレス判定装置及び作業中ストレス判定方法が開示されている。
特許文献2においては、作業時の咬筋の活動によって生じる、左右それぞれの咬筋の筋電位を検出し、測定された左右それぞれの咬筋の筋電位の時系列データを処理して、咬筋の筋電位の同時収縮強度を算出し、左右の咬筋の同時収縮強度を用い、作業中のストレスの強度を評価している。
【0005】
特許文献3には、作業者の行う作業が作業者に与えるストレスの要因を判定することにより、作業の特性を評価する作業特性評価方法が開示されている。
特許文献3の作業特性評価方法においては、作業者が行う作業と独立して活動する作業者の筋肉における筋活動の情報を取得するとともに、作業者が行う作業の作業強度を計測し、筋活動の情報の時系列データと作業強度の時系列データとの間の相関を求める。作業の特性を評価するために、相関の度合いに基づいて作業者に与えるストレスが作業の肉体的作業負荷によるものか、作業の精神的負荷によるものかを判定する。
特許文献3では、具体的には、作業者が行う作業と独立して活動する作業者の筋肉における筋活動の情報として、ドライバの咬筋の筋活動による筋電位(筋電信号)を計測し、作業者が行う作業の作業強度として、ドライバが操舵するときの操舵トルクを計測する。そして、咬筋の筋電信号及び作業強度(操舵トルク)に基づいて、ドライバの行う自動車の運転作業における運転負担が、肉体的運転作業の負荷によるものか、精神的負荷によるものかを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−87485号公報
【特許文献2】特開2010−29722号公報
【特許文献3】特開2006−271648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の提案されている作業に直接関与しない骨格筋の活動に誘発される作業者の力みの程度を評価する手法では、作業に関与しない骨格筋の力みは低ストレス下では誘発されにくく、ストレスの検出感度が不足するという問題点がある。
特許文献1の作業快適度評価装置では、評価対象となる複数の筋が作業に関与する複数の筋に限定されており、高い感度および高いダイナミックレンジが得られにくいという問題点がある。
また、特許文献2では、左右の咬筋の同時収縮強度を用いており、測定対象が左右の咬筋に限定されている。このため、ストレスの判定における高い感度および高いダイナミックレンジが得られにくいという問題点がある。
さらには、特許文献3のように、作業者が行う作業と独立して活動する作業者の筋肉における筋活動の情報を用いるものについても、作業と独立して活動する作業者の筋肉の筋活動は、低ストレス下では誘発されにくく、ストレスの検出感度が不足するという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、高応答、高感度、かつ広ダイナミックレンジで力みの検出を可能とした、ストレス評価方法およびストレス評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、作業を行う作業者の作業中のストレスを評価するストレス評価方法であって、予め選択された、前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋の両方を複数含む、少なくとも4つの骨格筋の筋活動を同時、かつ時系列に測定する工程と、前記測定された骨格筋の筋活動のピークの重複を検出する工程と、前記重複した筋活動のピークを特徴付けるピーク特徴量を求める工程と、前記ピーク特徴量によって、作業者の作業中のストレスを評価する工程とを有することを特徴とする作業中のストレス評価方法を提供するものである。
【0010】
前記骨格筋を選択する工程において、前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋は、それぞれ左右一対の筋以外の組み合わせを含むことが好ましい。
また、前記測定された骨格筋の筋活動のピークの重複を検出する工程は、前記作業者の作業に関与する骨格筋のグループと、前記作業者の作業に関与しない骨格筋のグループのそれぞれに対して、ピークを検出する工程を有することが好ましい。
さらに、前記測定された骨格筋の筋活動のピークの重複を検出する工程は、更に、前記作業者の作業に関与する骨格筋のグループと、前記作業者の作業に関与しない骨格筋のグループの両方のグループが同時に収縮するピークを検出する工程を有することが好ましい。
【0011】
本発明は、作業を行う作業者の作業中のストレスを評価するストレス評価装置であって、前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋の両方を複数含む、少なくとも4つの骨格筋の筋活動を同時、かつ時系列に測定し、各骨格筋の筋電位データを得る測定部と、前記各筋電位データを用いて、前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動のピークの重複を検出し、前記重複した筋活動のピークを特徴付けるピーク特徴量を算出する信号処理部と、前記ピークを特徴付けるピーク特徴量によって、作業者の作業中のストレスを評価する評価部とを有することを特徴とする作業中のストレス評価装置を提供するものである。
【0012】
また、前記作業者の作業に関与する骨格筋と前記作業者の作業に関与しない骨格筋は、それぞれ左右一対の筋以外の組み合わせを含むことが好ましい。
さらに、前記信号処理部は、前記各筋電位データを用いて前記作業者の作業に関与する骨格筋のグループと、前記作業者の作業に関与しない骨格筋のグループのそれぞれに対してピークを検出することが好ましい。
また、前記信号処理部は、前記各筋電位データを用いて更に、前記作業者の作業に関与する骨格筋のグループと、前記作業者の作業に関与しない骨格筋のグループの両方のグループが同時に収縮するピークを検出することが好ましい。
また、前記測定部は、前記少なくとも4つの骨格筋に取り付けられ、前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を時系列に検出するセンサと、前記各センサで検出された前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を、それぞれ同じタイミングで取得し、前記少なくとも4つの骨格筋の筋活動を同時、かつ時系列に一致された各筋電位データを得る取得部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者の作業に関与する骨格筋と作業に関与しない骨格筋との両方の筋活動を測定し、作業時にこれらの筋の一部または全部に誘発される力みを捉えることにより、高応答、高感度、かつ広ダイナミックレンジの力み検出が可能となる。これにより、作業者の作業中のストレスを高応答、高感度、かつ広ダイナミックレンジで評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るストレス評価装置を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るストレス評価方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係るストレス評価方法を詳細に示すフローチャートである。
図4】(a)〜(f)は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を説明するための模式図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るストレス評価方法を示すフローチャートである。
図6】(a)〜(g)は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を説明するための模式図である。
図7】(a)は、実施例の作業に関与する骨格筋の筋活動が同時に立ち上がるピークのレベルを示すグラフであり、(b)は、実施例の作業に関与しない骨格筋の筋活動が同時に立ち上がるピークのレベルを示すグラフであり、(c)は、実施例の作業に関与する骨格筋と、作業者の作業に関与しない骨格筋の両方が同時に収縮するピークのピークレベルを示すグラフである。
図8】(a)は、比較例の作業に関与する骨格筋の筋活動が同時に立ち上がるピークのレベルを示すグラフであり、(b)は、比較例の作業に関与しない骨格筋の筋活動が同時に立ち上がるピークのレベルを示すグラフである。
図9】3仕様のタイヤについてした、運転中に感じる主観的なストレスの官能評価の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のストレス評価方法およびストレス評価装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るストレス評価装置を示す模式図であり、図2は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を示すフローチャートである。
図1に示すストレス評価装置10(以下、評価装置10ともいう)は、作業者として、乗員100が車両を運転する作業時のストレスを評価するものであるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0016】
図1に示すストレス評価装置10(以下、評価装置10ともいう)は、例えば、乗員100の予め選択された運転(作業)に関与する骨格筋と、乗員100の運転に関与しない骨格筋の両方を複数含む、少なくとも4つの骨格筋(ステップS10)について、筋活動を時間的に関連付けて同時に測定し(ステップS12)、測定された少なくとも4つの骨格筋の筋活動のピークの重複を検出し(ステップS14)、この重複した筋活動のピークを特徴付けるピーク特徴量によって、作業者の作業中のストレスを評価する(ステップS16)ものである。
なお、乗員100には、車両を操縦する運転手である。また、車両には、乗用車、バス、鉄道の車両、新交通システムの車両も含まれる。
【0017】
評価装置10は、測定ユニット12と、評価ユニット14とを有し、評価ユニット14には入力部16および表示部18が接続されている。
ここで、入力部16は、キーボード、マウスなど、コンピュータなどの入力に用いられるものである。
表示部18は、入力部16からの入力情報および評価ユニット14で得られた情報を表示するものである。この表示部18としては、LCD、PDP、有機ELなどの各種のモニタを用いることができる。
【0018】
測定ユニット12は、測定する骨格筋の数の筋電位センサ20を有するものであり、少なくとも4つの筋電位センサ20を有する。筋電位センサ20は、ワイヤレスタイプのものであり、電極、A/Dコンバータ、アンプ、メモリ、バッテリおよび発信手段を有する。電極は、例えば、銀−塩化銀(Ag/AgCl)の皿型電極が対になって構成される。また、筋電位は、予めMVC(Maximum Voluntary Contraction)を用いて正規化されることが好ましく、この場合、筋電位は%MVCで表される。また、筋電位の正規化は、筋電位を測定する筋電位センサ20を取り付ける度に行うことが好ましい。なお、筋電位センサ20には、有線タイプのものを用いることもできる。
【0019】
本実施形態においては、乗員100の予め選択された運転(作業)に関与する骨格筋と、乗員100の運転に関与しない骨格筋の両方を複数含む、少なくとも4つの骨格筋が予め選択される。すなわち、運転に関与する骨格筋のグループで2つ以上、運転に関与しない骨格筋のグループで2つ以上、合計、4つ以上の骨格筋が予め選択されて利用される。
例えば、作業が車両の運転であれば、運転に関与する骨格筋としては、ステアリング操作では、上肢の筋および肩の筋、ペダル操作であれば、下肢の筋、知覚動作であれば頚部、頭部であり、姿勢保持であれば、体幹の筋、下肢の筋、頚部の筋、上肢の筋である。
また、ドライビングシミュレータの場合、姿勢保持のための骨格筋は、運転に関与する骨格筋ではない。
【0020】
また、作業者において、作業に関与する骨格筋と、作業に関与しない骨格筋とは、予め対象となる作業を行い、各種の骨格筋に筋電位センサを用いて測定しておいてもよい。この場合、対象となる作業を複数回行い、その平均値を求めて、作業に関与する骨格筋と、作業に関与しない骨格筋とを特定することが好ましい。
作業に関与する骨格筋と、作業に関与しない骨格筋とは、左右一対の骨格筋以外の組合せを含むことが好ましい。すなわち、左右一対の骨格筋を測定対象にしないことが好ましく、例えば、左右一対の三角筋を測定対象にしないことである。
【0021】
本発明の作業とは、車両の運転に限定されるものではなく、人が行う動作全般に適用することができる。例えば、車両の運転しない乗員のストレスも評価することができる。この場合、作業に関与する骨格筋は、姿勢保持のための骨格筋であり、作業に関与しない骨格筋は、上肢の骨格筋である。
【0022】
本実施形態では、例えば、運転に関与する骨格筋として、三角筋と上腕三頭筋を選択し、運転に関与してない骨格筋として、咬筋と胸鎖乳突筋を予め選択している。このため、筋電位センサ20が、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108が位置する皮膚の表面に貼り付けられている。
選択された運転に関与する三角筋と上腕三頭筋とをまとめて、運転に関与する骨格筋のグループともいう。また、選択された運転に関与しない咬筋と胸鎖乳突筋とをまとめて、運転に関与しない骨格筋のグループともいう。
【0023】
評価ユニット14は、図1に示すように、筋電情報取得部(取得部)30と、データ解析処理部(信号処理部)32と、評価部34と、記憶部36と、CPU38とを有する。
CPU38は、筋電情報取得部30と、データ解析処理部32と、評価部34と、記憶部36とを制御するものである。
評価ユニット14は、記憶部36に記憶されたストレス評価方法のプログラムをCPU38が実行することで、各部が機能するコンピュータである。なお、評価ユニット14は、各部が専用回路によって構成された専用装置であってもよい。また、筋電位センサ20と筋電情報取得部30とで本発明の測定部が構成される。
【0024】
筋電情報取得部30は、アンテナ30aを有し、データ解析処理部32および記憶部36に接続されている。筋電情報取得部30には、アンテナ30aを介して筋電位センサ20によって時系列に取得された筋電位が、デジタル信号として、同じタイミング(時間間隔)で入力される。これにより、筋電情報取得部30では、同時かつ時系列に一致した測定対象の骨格筋の筋電位の筋電位データを得ることができる。
具体的には、筋電位センサ20によって時系列に取得された右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108の筋電位がデジタル信号として、筋電情報取得部30に同じタイミングで入力される。
筋電情報取得部30は、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108の筋電位(デジタル信号)に対して、整流平滑化を行い、平滑化された各種の筋の筋電位の平滑化筋電波形のデータを生成し、平滑化筋電波形のデータ(筋電位データ)をデータ解析処理部32および記憶部36に出力するものである。
【0025】
本実施形態においては、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108の筋電位(デジタル信号)に対して、例えば、全波整流を行い、例えば、2次のバターワースフィルタ(カットオフ周波数の範囲で1〜10Hz)によりローパスフィルタリングを行い、整流平滑化する。これにより、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108の筋電位(デジタル信号)のそれぞれの筋電位について、平滑化された信号波形(以下、平滑化筋電波形ともいう)を得ることができる。各平滑化筋電波形のデータ(筋電位データ)は、時系列に一致した、すなわち、筋電位センサ20から始期がそれぞれ同じ時刻で、かつ同じタイミング(時間間隔)で取得されたデータで構成される。
【0026】
なお、筋電情報取得部30において、ローパスフィルタリングに用いるフィルタは、2次のバターワースフィルタに限定されるものではなく、3次以上のバターワースフィルタを用いてもよい。更には、整流平滑化する場合、ローパスフィルタリングにかえて移動平均を用いてもよい。
【0027】
データ解析処理部32は、評価部34、表示部18および記憶部36およびCPU38に接続されている。データ解析処理部32は、測定された骨格筋の筋活動のピークの重複を検出するものであり、更に、この重複した筋活動のピークを特徴付けるピーク特徴量を求めるものである。
【0028】
データ解析処理部32においては、例えば、上述の4つの骨格筋のうち、運転に関与する骨格筋のグループにおいて筋活動のピークの重複を検出するとともに、運転に関与しない骨格筋のグループにおいて筋活動のピークの重複を検出するものである。データ解析処理部32により、検出された各グループの重複した筋活動のピークをピーク情報ともいう。
例えば、筋活動のピークの重複を検出するための、筋活動のピークの検出方法としては、波形間の相乗平均、相加平均、相乗平均と相加平均の組合せ、PCA(主成分分析)、ICA(独立成分分析)等を用いることができる。
また、ピークは、例えば、筋電位の平滑化筋電波形に対して、閾値を設定しておき、この閾値以上のものをピークとする。閾値としては、例えば、各グループの筋電位、または全てのグループの筋電位の最大値の50%とする。
【0029】
さらに、データ解析処理部32は、運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のグループのそれぞれにおいて検出された重複した筋活動のピークに基づいて、ピークを特徴付けるピーク特徴量を算出するものである。運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のグループのそれぞれのピーク特徴量が、評価部34に出力される。
ピーク特徴量は、例えば、ピークの高さ、ピークの出現頻度、ピークの形状、筋活動のピークが重複する骨格筋の数である。ピークの高さは、力みの度合いを示し、ピークが高い程、力んでいることを示す。また、骨格筋の数は、全身の力みの度合いを示し、骨格筋の数が多い程、全身に力みがあることを示す。
【0030】
なお、データ解析処理部32は、運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のグループの両方において、全ての骨格筋における筋活動のピークの重複を検出してもよい。この場合、運転に関与する骨格筋のグループの筋活動のピークの重複と、運転に関与しない骨格筋のグループの筋活動のピークの重複とに対して、波形間の相乗平均、相加平均、相乗平均と相加平均の組合せ、PCA(主成分分析)、ICA(独立成分分析)等によりを用いることにより、運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のグループにおいて、全ての骨格筋における筋活動のピークの重複を検出することができる。この場合、全ての骨格筋において、重複する筋活動のピークのピーク特徴量は、上述のピーク特徴量と同様にして求めることができ、得られたピーク特徴量は評価部34に出力される。
また、データ解析処理部32は、表示部18に接続されており、データ解析処理部32で算出された筋電位の波形、ピーク特徴量を表示させることもできる。
【0031】
評価部34は、運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のグループのそれぞれのピーク特徴量に基づいて、ストレスを評価するものである。
ピーク特徴量については、例えば、予め官能評価との関係を求めておき、これをテーブル化して記憶部36に記憶させておく。評価部34で評価する際に、記憶部36から読出し、ピーク特徴量と比較してストレスを評価する。なお、ストレスの評価結果は、例えば、表示部18に表示させる。
【0032】
記憶部36は、筋電情報取得部30で得られた平滑化筋電波形のデータ、検出されたピークの情報(ピーク情報)、ピーク特徴量、評価部34で得られた評価結果の情報が、それぞれ記憶される。また、記憶部36は、筋電位センサ20で時系列に得られた筋電位のデジタル信号を記憶することもできる。
【0033】
また、本実施形態では筋活動の情報として筋電位を用いたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、筋肉に加速度センサを配置して、筋音を計測してもよい。この筋音とは、筋線維が収縮する際にその径が側方に拡大変形する結果発生する一種の圧波であり、筋の機械的な活動を反映している信号である。本実施形態においては、この筋音を用いた場合でも、筋電位と同様にストレスを評価することができる。
【0034】
次に、本実施形態のストレス評価方法について、より具体的に図3図4(a)〜(f)に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を詳細に示すフローチャートである。図4(a)〜(f)は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を説明するための模式図である。なお、図3において、A1は右側の三角筋102を示し、A2は右側の上腕三頭筋104を示し、B1は右側の咬筋106を示し、B2は右側の胸鎖乳突筋108を示す。
【0035】
本実施形態においては、タイヤの違いによる運転時のストレスの評価を例にして説明する。なお、図4(a)〜(f)には、1種のタイヤの測定結果を示している。
まず、本実施形態では、上述のように、運転に関与する骨格筋として、三角筋と上腕三頭筋を選択し、運転に関与してない骨格筋として、咬筋と胸鎖乳突筋が予め選択されている。このため、ワイヤレスタイプの筋電位センサ20を、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108が位置する皮膚の表面に貼り付けられる。
【0036】
次に、乗員100に車両を運転してもらい、そのときの筋電位が各筋電位センサ20で時系列に測定される。各筋電位センサ20で得られた筋電位は、デジタル信号として、始期がそれぞれ同じ時刻で、かつ同じタイミング(時間間隔)でアンテナ30aを介して筋電情報取得部30に入力される。
次に、筋電情報取得部30において、右側の三角筋102、右側の上腕三頭筋104、右側の咬筋106、右側の胸鎖乳突筋108の筋電位(デジタル信号)に対して、整流平滑化を行い、図4(a)、(d)に示すように、平滑化された各種の骨格筋の筋電位の平滑化筋電波形のデータを生成し、筋電位データを得る(ステップS20、ステップS30)。次に、平滑化筋電波形のデータをデータ解析処理部32に出力する。
【0037】
次に、データ解析処理部32では、運転に関与する骨格筋(三角筋と上腕三頭筋)のグループにおいて筋活動のピークの重複を検出し(ステップS22)、運転に関与する骨格筋のグループの第1のピーク情報を得る(ステップS24)。
具体的には、運転に関与する骨格筋のグループにおいて、例えば、三角筋の筋電位データと上腕三頭筋の筋電位データの相乗平均を算出し、図4(b)に示す相乗平均データを得る。その後、相乗平均データから重複する筋活動のピークを検出する(図4(c)、ステップS22)。これにより、第1のピーク情報が得られる(ステップS24)。この場合、閾値を設定しておき、この閾値よりも大きいものを重複する筋活動のピークとして検出する。
次に、第1のピーク情報を用いて、検出された重複する筋活動のピークを特徴付ける第1のピーク特徴量を算出する(ステップS26)。第1のピーク特徴量は、例えば、ピークの高さ、ピークの出現頻度、ピークの形状、重複する筋活動のピークが検出された骨格筋の数を用いて算出する。
【0038】
一方、運転に関与しない骨格筋(咬筋と胸鎖乳突筋)のグループについても、筋活動のピークの重複を検出し(ステップS32)、運転に関与しない骨格筋のグループの第2のピーク情報を得る(ステップS34)。
具体的には、運転に関与しない骨格筋のグループにおいても、運転に関与する骨格筋のグループと同様に、咬筋の筋電位データと胸鎖乳突筋の筋電位データの相乗平均を算出し、図4(e)に示す相乗平均データを得る。その後、相乗平均データから重複する筋活動のピークを検出する(図4(f)、ステップS32)。これにより、第2のピーク情報が得られる(ステップS34)。この場合も、閾値を設定しておき、この閾値よりも大きいものを重複する筋活動のピークとして検出される。
次に、第2のピーク情報を用いて、検出された重複する筋活動のピークを特徴付ける第2のピーク特徴量を算出する(ステップS36)。第2のピーク特徴量は、第1のピーク特徴量と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、第1のピーク特徴量および第2のピーク特徴量を評価部34に出力する。評価部34において、例えば、予め求められた官能評価とピーク特徴量との関係がテーブル化されたデータを記憶部36から読出し。第1のピーク特徴量および第2のピーク特徴量の各ピーク特徴量と比較して、運転時の乗員100のストレスを評価する。
そして、タイヤを変えて、再度、上述のストレス評価を行う。このようにして、タイヤの違いによる運転時の乗員100のストレスを評価することができる。なお、ストレスの評価結果は、例えば、表示部18に表示させることができる。
【0040】
本実施形態においては、運転に関与する骨格筋のグループ、運転に関与しない骨格筋のグループ、それぞれについて同時活動ピークを個別に検出することにより、力みの情報を2種類得ることができ、ストレス評価のための情報量を増すことができる。一般的には、ストレスへの感度は「関与のある骨格筋」>「関与のない骨格筋」となる。一方、S/Nが良いのは「関与のある骨格筋」<「関与のない骨格筋」となる。
このように、低ストレス下では、運転に関与しない骨格筋の力みは誘発されにくく、測定感度が低いが、関与のある骨格筋の力み情報を得ることができるため、測定感度を高くすることができ、ストレス評価の応答性を高めることができる。さらには、ストレスの応答信号のS/Nも向上させることができるため、ストレス評価の感度も高めることができる。
【0041】
次に、ストレス評価方法の他の実施形態について、図5および図6(a)〜(g)に基づいて説明する。
図5は、本発明の他の実施形態に係るストレス評価方法を示すフローチャートであり、図6(a)〜(g)は、本発明の実施形態に係るストレス評価方法を説明するための模式図である。本実施形態の図6(a)〜(f)は、上述の実施形態の図4(a)〜(f)と対応している。なお、図5において、図3と同様に、A1は右側の三角筋102を示し、A2は右側の上腕三頭筋104を示し、B1は右側の咬筋106を示し、B2は右側の胸鎖乳突筋108を示す。
【0042】
本実施形態のストレス評価方法においては、上述の実施形態の図3に示すストレス評価方法に比して、運転に関与する骨格筋のグループ、および運転に関与しない骨格筋のグループの両方において、全ての筋活動のピークの重複を検出し、第3のピーク特徴量を求める点が異なり、それ以外は、上述の実施形態のストレス評価方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、図5に示すように、運転に関与する骨格筋および運転に関与しない骨格筋の筋電位データの取得(ステップS20、S30)、運転に関与する骨格筋および運転に関与しない骨格筋における重複する筋活動のピークを検出し(ステップS22、S32)、運転に関与する骨格筋のグループの第1のピーク情報を算出し(ステップS24)、第1のピーク特徴量を算出する(ステップS26)。また、運転に関与しない骨格筋のグループの第2のピーク情報を算出し(ステップS34)、第2のピーク特徴量を算出する(ステップS36)。
そして、第1のピーク特徴量および第2のピーク特徴量の各ピーク特徴量を用いて、運転時の乗員100のストレスを評価する(ステップS38)。
【0044】
これに加えて、運転に関与する骨格筋のグループおよび運転に関与しない骨格筋のピーク情報を用いて、測定した全ての骨格筋の重複する筋活動のピークを検出する(ステップS40)。この場合、図6(c)に示す運転に関与する骨格筋のピーク情報、および図6(f)に示す運転に関与しない骨格筋のピーク情報を用いて、例えば、相乗平均を計算し、図6(f)に示す重複する筋活動のピークを算出する。なお、重複する筋活動のピークの算出は、相乗平均に限定されるものではなく、上述の各種のピークの算出方法を用いることができる。
【0045】
さらに、図6(f)に示す得られた全ての骨格筋の重複する筋活動のピークから、第3のピーク特徴量を算出する(ステップS42)。この測定した全ての骨格筋の第3のピーク特徴量に基づいて運転時の乗員100のストレスを評価する(ステップS38)。なお、第3のピーク特徴量は、第1のピーク特徴量と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
そして、タイヤを変えて、再度、上述のストレス評価を行う。このようにして、タイヤの違いによる運転時の乗員100のストレスを評価することができる。なお、ストレスの評価結果は、例えば、表示部18に表示させることができる。
【0046】
本実施形態においては、上述の実施形態と同様の効果が得られるものであり、更に運転に関与する骨格筋および運転に関与しない骨格筋の測定した全ての骨格筋の同時活動ピークを検出し、ピーク特徴量を求めることにより、最大の力み、すなわち、測定した全ての骨格筋が同時活動することを評価することができる。これにより、ストレス評価のためのダイナミックレンジを拡大することができ、より高い精度でストレスを評価することができる。
【0047】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のストレス評価方法およびストレス評価装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の車両のストレス評価方法について具体的に説明する。
本実施例においては、走行試験を、T1〜T3の3仕様のタイヤを用いて行い、運転者のストレスを評価した。
走行試験は、速度45km/時(一定)でのコーナリングとした。路面条件としては、ウエット路面とした。車両にはミニバン(排気量2.4リットル、FF(前輪駆動)、7人乗り)を用いた。タイヤサイズは、215/60R16とした。
運転に関与する骨格筋を右側の三角筋と右側の上腕三頭筋とし、運転に関与しない骨格筋を右側の咬筋と右側の胸鎖乳突筋とした。
なお、運転者(被験者)は10人とし、下記に示す結果は、いずれも10人の運転者(被験者)の平均値である。
【0049】
本実施例においては、運転に関与する骨格筋(右側の三角筋と右側の上腕三頭筋)および運転に関与しない骨格筋(右側の咬筋と右側の胸鎖乳突筋)について、図5に示すフローチャートに基づいて、筋活動のピークの重複を検出して、図6(c)、(f)に相当する重複する筋活動のピークを検出し、それぞれ第1のピーク特徴量、第2のピーク特徴量を求めた。その結果を、図7(a)、(b)に示す。さらには、これら2つのピークから測定した骨格筋の全てにおける筋活動のピークの重複を検出し、第3のピーク特徴量を求めた。その結果を図7(c)に示す。
なお、第1のピーク特徴量乃至第3のピーク特徴量は、ピークの頻度とした。
【0050】
一方、比較例として、測定した骨格筋(三角筋、上腕三頭筋、咬筋および胸鎖乳突筋)毎にRMS値を求め、さらに、運転に関与する骨格筋(三角筋と上腕三頭筋)のグループと、運転に関与しない骨格筋(咬筋と胸鎖乳突筋)のグループ毎に算術平均を求めた。この結果を図8(a)および(b)に示す。
【0051】
実施例の図7(a)〜(c)と比較例の図8(a)、(b)の比較から、運転に関与する骨格筋においては、比較例ではT1〜T3の3仕様のタイヤで、図8(a)に示すようにストレスに大きな差異がみられない。一方、実施例では、図7(a)に示すように、T1〜T3の3仕様のタイヤで、ストレスに大きな差異がみられる。
また、運転に関与していない骨格筋では、比較例においては、図8(b)に示すように、比較例ではT1〜T3の3仕様のタイヤでストレスに大きな差異がみられない。一方、実施例においては、図7(b)に示すように、T1〜T3の3仕様のタイヤで、ストレスに大きな差異がみられる。
さらには、図7(c)に示すように、運転に関与する骨格筋と運転に関与していない骨格筋とで重複する筋活動のピークでは、T1〜T3の3仕様のタイヤでのストレスの違いが明確になっている。
【0052】
また、上述の3仕様のタイヤを用いた走行試験において、10人の運転者(被験者)に、運転中に感じる主観的なストレス、すなわち、運転中にストレスを感じるか否かを下記表1に示す評価基準に基づいて、0〜6の数値(評価点数)で評価させ、官能評価試験を行った。その結果を図9に示す。なお、図9に示す結果は、10人の運転者(被験者)の平均値である。図9に示すように、T1〜T3の3仕様のタイヤで官能評価は明確に分かれている。
【0053】
【表1】
【0054】
このように、本発明のストレス評価方法では、従来に比して、高い精度で、タイヤの違いによるストレスを評価することができる。更には、本発明のストレス評価方法は、官能評価の結果とも傾向が一致している。なお、図7(c)と図9の結果から、運転に関与する骨格筋と運転に関与しない骨格筋とで重複する筋活動のピーク特徴量が小さい仕様のタイヤほど、運転中に感じる主観的なストレスが小さいと評価される傾向がみられた。運転中の総合的なストレスの大きさは、これら骨格筋で重複する筋活動のピーク特徴量に反映されると考えられる。
【符号の説明】
【0055】
10 ストレス評価装置(評価装置)
12 測定ユニット
14 評価ユニット
16 入力部
18 表示部
20 筋電位センサ
30 筋電情報取得部
30a アンテナ
32 データ解析処理部
34 評価部
36 記憶部
38 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9