(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記受け皿の温度が所定値以上である場合に、使用する電磁誘導加熱調理装置の電磁誘導を停止する停止手段が配設されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電磁誘導加熱補助具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電磁誘導加熱調理装置は加熱効率に優れるため、蓄熱部材やプレートの熱が木製の受け皿に伝熱され、配設した断熱性部材が劣化しやすく電磁誘導加熱用皿を長期に亘って使用することができない。また、断熱性部材の劣化により受け皿に蓄熱部材の熱が伝播され、受け皿が高温となりその把持が困難となる場合がある。このような受け皿への伝熱を回避するため断熱性部材の量を増やす方法もあるが、電磁誘導加熱調理装置から発生する磁界の中に蓄熱部材を載置する必要があるため、受け皿と蓄熱部材との間隙に配設しうる断熱性部材の量にも限界がある。
【0007】
また、蓄熱部材やプレートから受け皿への伝熱を抑制するために受け皿を厚くする方法もあるが、蓄熱部材やプレートなどの重量と相俟って更に重くなり、取り扱いが困難となる。
【0008】
更に、電磁誘導加熱は、鉄や鉄ホーロー、ステンレスなどの磁性材料からなる鍋類の加熱に適するが、アルミニウムやガラス、土鍋などの非磁性体からなる鍋類の加熱には適しない。従来からアルミ箔製の鍋に、うどん、野菜、肉類などを収納した鍋うどんが市販されているが、ガスや電熱器でなければ加熱調理することができない。また、IH調理器具にて加熱可能な鍋うどんも開発されているが、アルミに鉄材が配合された特殊なアルミ箔などを使用するものであり、高価である。従って、安価なアルミニウム容器に収納された鍋うどんであっても、電磁誘導加熱調理装置具によって簡便に加熱しうる、電磁誘導調理具の開発が望まれる。
【0009】
上記現状に鑑み、本発明は、耐熱性、耐久性に優れ、かつ非磁性体からなる容器も電磁誘導加熱により加熱しうる電磁誘導加熱補助具、および前記電磁誘導加熱補助具とプレートとからなる電磁誘導加熱皿セットとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、非磁性体のプレートを電磁誘導加熱しうる補助具について詳細に検討した結果、受け皿内に電磁誘導で加熱される蓄熱部材を配設し、この蓄熱部材の熱を伝熱させることでアルミニウム容器内に収納された食材を加熱しうること、受け皿内に第一の断熱性部材を介して蓄熱部材を配設すると補助具の劣化を抑制でき、耐久性を向上させうること、更に受け皿に足部を形成すると、足部から放熱されるため受け皿の温度上昇を抑制しうることを見出し、本発明を完成させた。更に、受け皿に温度に対応する警報手段を配設することで、実際に受け皿に接触することなく把持可能であるかを検知することもできる。
【0011】
すなわち本発明は、電磁誘導により加熱される蓄熱部材と、前記蓄熱部材が収納される収納部が形成された受け皿と
からなる電磁誘導加熱補助具であって、前記収納部には、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維を成形した線状物、柱状物、中空柱状物からなる第一の
断熱性部材を介して前記蓄熱部材が固設され、
前記蓄熱部材は、前記収納部より小径かつ中央に貫通孔が形成された板状物であり、前記貫通孔には、前記貫通孔より小径の伝熱性部材が前記蓄熱部材と連設して配設され、か
つ前記受け皿は足部を有することを特徴とする、電磁誘導加熱補助具、
および電磁誘導により加熱される蓄熱部材と、前記蓄熱部材が収納される収納部が形成された受け皿とからなる電磁誘導加熱補助具であって、前記収納部には、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維を成形した線状物、柱状物、中空柱状物からなる第一の断熱性部材を介して前記蓄熱部材が固設され、
前記収納部の開放径より小型の開放径が形成された枠が前記収納部に嵌合され、かつ
前記受け皿は足部を有することを特徴とする、電磁誘導加熱補助具を提供するものである。
【0012】
また本発明は、前記収納部の第一の
断熱性部材の下部に、炭素繊維からなる第二の
断熱性部材が配設されることを特徴とする、上記電磁誘導加熱補助具を提供するものである。
【0014】
また本発明において、前記受け皿には、前記受け皿の温度が所定値以上である場合に警報する警報手段が配置されることを特徴とする、上記電磁誘導加熱補助具を提供するものである。
【0015】
また本発明は、更に、前記受け皿の温度が所定値以上である場合に、使用する電磁誘導加熱調理装置の電磁誘導を停止する停止手段が配設されることを特徴とする、上記電磁誘導加熱補助具を提供するものである。
【0017】
また本発明は、上記電磁誘導加熱補助具と、前記蓄熱部材および/または伝熱性部材に載置するプレートとからなる電磁誘導加熱皿セットを提供するものである。
【0018】
前記プレートが、アルミニウム皿、陶器皿、磁器皿、遠赤外線放出部材からなる皿のいずれかであることを特徴とする、上記電磁誘導加熱皿セットを提供するものである。
【0019】
また本発明は、前記電磁誘導加熱補助具と前記蓄熱部材および/または伝熱性部材に載置するプレートとからなり、前記プレートが、底部に高台が形成されたことを特徴とする、電磁誘導加熱皿セットを提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、非磁性体の容器に収納された食材を加熱調理しうる電磁誘導加熱補助具と、前記電磁誘導加熱補助具と食材を載置するプレートとからなる、耐熱性、耐久性に優れる電磁誘導加熱皿セットとが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の電磁誘導加熱補助具と、前記電磁誘導加熱補助具とプレートとからなる電磁誘導加熱皿セットの態様を示す図であり、
図1(a)は、電磁誘導加熱皿セットの側面図であり、
図1(b)は電磁誘導加熱補助具の平面図である。
【
図2】本発明の電磁誘導加熱皿セットの部分断面図である。
【
図3】本発明の電磁誘導加熱補助具と、前記受け皿とプレートとからなる電磁誘導加熱皿セットの他の態様を示す図である。
図3(a)は、中央に貫通孔が形成された蓄熱部材が配設された電磁誘導加熱補助具の平面図であり、
図3(b)は、プレートを電磁誘導加熱補助具に載置した際の断面図である。
【
図4】警報手段を配設した本発明の電磁誘導加熱皿セットの態様を示す図であり、
図4(a)は、その断面図であり、
図4(b)は底面図である。
【
図5】本発明の電磁誘導加熱皿セットの製造方法を説明する図である。
図5(a)は、本発明の電磁誘導加熱皿セットの断面図であり、
図5(b)は、下から順に、電磁誘導加熱皿セットを構成する第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部と、第一の断熱性部材の張架した受け皿中部と、受け皿の把持部を有する受け皿天面部と、プレートの各断面図である。
【
図6】
図5(b)に示す第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部を説明する図である。
図6(a)は、第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部の平面図を、
図6(b)は第二の断熱性部材の平面図を、
図6(c)は、受け皿底部層の平面図を示す。
【
図7】
図5(b)に示す第一の断熱性部材を嵌着した受け皿中部を説明する図である。
図7(a)は、第一の断熱性部材を嵌着した受け皿中部の平面図を、
図7(b)は第一の断熱性部材の平面図を、
図7(c)は、受け皿中部層の平面図を示す。
【
図8】蓄熱部材を説明する図である。
図8(a)は蓄熱部材の平面図であり、
図8(b)は断面図である。また、
図8(c)は蓄熱部材に形成した突出部の部分拡大図である。
図8(d)は、前記突出部に装着する第一の断熱性部材の断面図であり、
図8(e)はその斜視図である。
図8(f)は、蓄熱部材の突出部に第一の断熱性部材を装着した際の部分拡大図である。
【
図9】
図5(b)に示す受け皿の把持部を有する受け皿天面部を説明する図である。
図9(a)は受け皿天面部の断面図を、
図9(b)は受け皿天面部の平面図を示す。
【
図10】貫通孔が形成された蓄熱部材の前記貫通孔に伝熱性部材が配設された態様の電磁誘導加熱補助具を説明する図である。
図10(a)は高台を有するプレートと前記補助具の断面図であり、
図10(b)はその断面図であり、
図10(c)は、貫通孔が形成された蓄熱部材の前記貫通孔に伝熱性部材が配設された態様の電磁誘導加熱補助具の平面図である。
【
図11】貫通孔が形成された蓄熱部材の前記貫通孔に伝熱性部材が配設された電磁誘導加熱補助具の他の態様を説明する図である。
【
図12】
図12(a)は、本発明の加熱調理用受け皿に配設しうる温度検知手段として、感熱部にシリコーンゴムを使用した温度スイッチを説明する断面図である。また、
図12(b)は、温度検知手段に警報手段としてブザーと発光ダイオードを配設した回路を説明する図である。
【
図13】本発明の電磁誘導加熱補助具に枠を配設し、これにプレートを載置した本発明の電磁誘導加熱皿セットの態様の一例を説明する図である。
図13(a)は、その側面図であり、
図13(b)は枠を配設した電磁誘導加熱調理用受け皿の平面図である。また、
図13(c)は枠の平面図であり、
図13(d)は枠の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第一は、電磁誘導により加熱される蓄熱部材と、前記蓄熱部材が収納される収納部が形成された受け皿と
からなる電磁誘導加熱補助具であって、
前記収納部には、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維を成形した線状物、柱状物、中空柱状物からなる第一の
断熱性部材を介して前記蓄熱部材が固設され、
前記蓄熱部材は、前記収納部より小径かつ中央に貫通孔が形成された板状物であり、前記貫通孔には、前記貫通孔より小径の伝熱性部材が前記蓄熱部材と連設して配設され、かつ
前記受け皿は足部を有することを特徴とする、電磁誘導加熱補助具である。前記収納部の第一の
断熱性部材の下部に、炭素繊維からなる第二の
断熱性部材が配設されていてもよい。
又、本発明の第二は、上記電磁誘導加熱補助具と、前記蓄熱部材および/または伝熱性部材に載置するプレートとからなる電磁誘導加熱皿セットである。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0023】
(1)電磁誘導加熱皿セット
図1は、本発明の電磁誘導加熱皿セットの態様を説明する図である。
本発明の電磁誘導加熱皿セットは、食品を収納するプレート10と電磁誘導加熱補助具(以下、単に補助具と称する。)とからなる。補助具は、蓄熱部材と、前記蓄熱部材が収納される収納部が形成された受け皿とからなり、前記収納部には第一の
断熱性部材を介して蓄熱部材が固設され、かつ前記受け皿は足部が形成されている。なお、前記収納部の前記第一の断熱性部材の下部には、第二の断熱性部材が配設されていてもよい。以下、便宜のため、特に断らない限り、第一の断熱性部材と第二の断熱性部材とが配設された補助具を使用した態様について説明する。
図1(a)は、本発明の電磁誘導加熱皿セットの側面図である。本発明の電磁誘導加熱皿セットは、
図1(a)に示すように、食品を収納するプレート10と電磁誘導加熱補助具(以下、単に補助具と称する。)100とからなる。
図1(b)に補助具100の平面図を示し、
図2に
図1(b)に示す補助具100にプレート10を載置した電磁誘導加熱皿セットの部分断面図を示す。補助具100は、収納部が形成された受け皿(以下、単に受け皿と称する。)20の前記収納部に、蓄熱部材90を配設したものである。前記収納部の底面には第二の断熱性部材30が配設され、蓄熱部材90は第一の断熱性部材40を介して受け皿20に配設されている。プレート10を補助具100に載置すると、プレート10の底面が蓄熱部材90と接触し、蓄熱部材90からの伝熱でプレート10内に収納された食材が加熱調理される。蓄熱部材90は、電磁誘導により加熱される部材で構成される。本発明の補助具100を使用すれば、アルミニウムや銅などの電磁誘導により直接加熱しないプレート10に食材を収納した場合に、電磁誘導加熱装置によって加熱調理を行うことができる。
【0024】
蓄熱部材90は第一の断熱性部材40を介して受け皿20に固設されるため、受け皿20に接触することがない。このため、蓄熱部材90から受け皿20への伝熱が抑制され、受け皿20の熱劣化を抑制することができる。なお、電磁誘導加熱装置に使用する鍋類は、その加熱部にプレート10などの鍋類を密着するように載置して使用することが一般的であるが、本発明では補助具100の底部に足部23を形成し、補助具100から放熱させて把持部の加熱を防止している。
【0025】
本発明の補助具100は、蓄熱部材90が中央部に貫通孔を形成したものであってもよい。このようの補助具100の平面図を
図3(a)に、断面図を
図3(b)に示す。貫通孔の形成により蓄熱部材90の重量を軽減することができる。
【0026】
本発明の補助具100は、
図4に示すように補助具100の一部に温度を検知する温度検知手段60と、前記温度検知手段60で検知した温度が所定値以上である場合に警報する警報手段65とが配設されていてもよい。温度検知手段60として温度スイッチを使用し、補助具100が所定温度以上になった場合に警報手段65のスイッチが入るように設定すれば、補助具100と接触することなく把持に安全であるかを検知することができるため火傷などを防止することができ、かつ調理時の過加熱を回避できるため安全性に優れる。更に、温度検知手段60によって電磁誘導加熱調理装置の電源をON−OFF制御しうる停止手段80を配設してもよい。なお、
図4において符号50は、前記温度検知手段60や警報手段65に配設される電池である。電磁誘導による影響を避けるため、把持部に配設され、図示しないケーブルが温度検知手段60および警報手段65と連設されている。
【0027】
なお、本発明の補助具100において、第一の断熱性部材40の下部に第二の断熱性部材30を配設した場合には、この第二の断熱性部材30を補助具100の底面部とし、その下部に足部23を設けても良い。本発明では、電磁誘導加熱装置の加熱面と補助具100の底面部との間に足部による間隙が形成されるため、第二の断熱性部材30の下部にさらに他の部材による底面部を形成しなくても断熱性に優れ、補助具100が過渡に加熱されることがない。
【0028】
(2)補助具
補助具100は、収納部が形成された受け皿20に第一の断熱性部材40を介して蓄熱部材90を配設したものである。受け皿20を構成する部材は、第一の断熱性部材40および蓄熱部材90を配設し、食材を収納したプレート10を載置しても安定しうる強度や剛性を有する材質を広く使用することができる。たとえば、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。
【0029】
第二の断熱性部材30として、炭素繊維布のほか、アラミド繊維や、スラグ繊維、ガラス繊維、岩石繊維などの無機繊維、シリカ粉末などの無機粒子を配合した耐熱性塗料などの塗布層を用いることができる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性ピッチ、異方性ピッチ)系、フェノール樹脂系、レーヨン系、セルロース系、ポリビニルアルコール(PVA)系などの炭素繊維を用いることができる。無機繊維は、単独または2種以上を組み合わせて使用されてもよい。これらの中でも、軽量であり、断熱性および曲強度や耐衝撃性に優れ、かつ加工が容易な点で炭素繊維布やアラミド繊維布を好ましく使用することができる。第二の断熱性部材30は、加熱した蓄熱部材90の熱によって受け皿20が高温にならないように、収納部底面に配設される。
【0030】
前記蓄熱部材90は、第一の断熱性部材40を介して配設される。第一の断熱性部材40を介在させることで加熱された蓄熱部材90の受け皿20への伝熱を抑制できる。更に、第二の断熱性部材30を配設する場合は、蓄熱部材90と第二の断熱性部材30とが接触しないように、受け皿20の収納部に配設されることが好ましい。これにより、第二の断熱性部材30の熱劣化をより効率的に抑制することができる。第一の断熱性部材40は、断熱性に優れると共に蓄熱部材90を固設しうる程度の剛性を有することが好ましく、本発明では、炭素繊維からなる線状物、柱状物、中空柱状物を使用する。特に、炭素繊維からなる中空柱状物であれば、蓄熱部材90の外周に中空の穴や棒状物が挿入される突出部を形成し、このような中空の穴に棒状物を挿入し、これを受け皿20に固設して、蓄熱部材90を受け皿20に配設することができる。
【0031】
本発明の補助具100は、上記構成となればその製造方法に限定はない。たとえば、第二の断熱性部材30を配設する層と、蓄熱部材90を配設する層と、その上部の天面部との3層を一体に積層して製造することができる。
図5(a)に、このような3層で構成した補助具100にプレート10を載置してなる電磁誘導加熱皿セットの断面図を示す。
図5(b)に、下から順に、第二の断熱性部材30を貼付した受け皿底部20aと、蓄熱部材90を固設した受け皿中部20bと、補助具100の把持部を有する受け皿天面部20cと、プレート10の断面図を示す。受け皿底部20a、受け皿中部20bおよび受け皿天面部20cをこの順に積層し、それぞれを接着剤などで固定すれば補助具100を製造することができる。これにプレート10を載置すれば、
図5(a)に示す本発明の電磁誘導加熱皿セットとなる。なお、以下に貫通孔を有する蓄熱部材90を使用する態様を示すが、これに限定されるものではない。
【0032】
受け皿底部20aの構成を
図6に示す。
図6(a)は受け皿底部20aの平面図であり、
図6(b)は第二の断熱性部材30の平面図であり、
図6(c)は受け皿底部層24の平面図である。所定形状に切断した板状の受け皿底部層24に、第二の断熱性部材30を載置すると、
図6(a)に示す受け皿底部20aとなる。受け皿底部層24は、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができ、たとえば、ベニヤ板などであってもよい。これに、受け皿20に形成する収納部の形状よりも一回り大きい第二の断熱性部材30を載置し、必要に応じて耐熱性の接着剤などで固定する。なお、受け皿底部層24の背面には、図示しない足部23が形成されている。
【0033】
受け皿底部層24の厚さは、足部23を含めて1.5〜4.0mmであり、好ましくは1.5〜3.5mmである。4.0mmを超えると、電磁誘導加熱調理装置に載置した場合、電磁誘導加熱調理装置の加熱部とプレート10との距離が長くなり、電磁誘導によるプレート10の加熱効率が低下する場合がある。
【0034】
本発明では、補助具100に足部23が配設されることを特徴とする。電磁誘導加熱調理装置は、磁力発生コイルに高周波インバータから数十kHzの電流を流すことにより高周波磁界を発生させ、その上部に配置した鍋底にうず電流を誘起させ、このうず電流により鍋自体を加熱させるものである。鍋自体が加熱するため、熱気や輻射熱としてのロスが少なく高効率であるが、インバータ内部では半導体スイッチング素子が繰返しのオンオフにより発熱し、このような熱量が加熱部に伝熱される。電磁誘導加熱用の鍋類は一般に伝熱性であるためこのような熱量が鍋類に伝熱されるが、鍋類は加熱を目的とするため何ら問題は生じない。しかしながら、本発明で使用する補助具100の底部には、第二の断熱性部材(30)が配設されているため、加熱部で発生する熱量が受け皿20に伝熱され、その底部に蓄熱される。そこで、半導体スイッチング素子などに由来する電磁誘導加熱調理装置からの熱量、および加熱したプレート10から第二の断熱性部材30へ伝熱された熱量を放熱するため、補助具100に足部23を形成した。
【0035】
足部23の高さは、0.5〜2mm、好ましくは0.7〜2mmである。この範囲で足部23を形成すると、電磁誘導加熱調理装置と受け皿底部層24の底面部との間隙から補助具100の熱を効率的に放熱でき、受け皿の温度上昇を回避すると共に、部材を薄くしも熱量の伝熱が少ないため、補助具100の軽量化を図ることができる。
【0036】
受け皿底部層24に配設される足部23は、補助具100の熱が放熱できればよく、その形状や材質に制限はない。前記
図4では、略長方形の足部23を4箇所に形成する態様を示したが、これに限定されるものではない。電磁誘導加熱調理装置に使用する鍋類は、効率的に加熱するため鍋の底部を平面に構成する必要がある。しかしながら本発明では、補助具100の底面に足部を形成することで放熱させ、取り扱いの安全性を確保し、かつ熱劣化を抑制したものである。
【0037】
なお、第二の断熱性部材30の厚さは0.5〜3mm、好ましくは1.0〜2.5mmである。第二の断熱性部材30は、プレート10と接触しないため、この範囲で十分にプレート10からの伝熱を抑制することができる。
【0038】
受け皿中部20bの構成を
図7に示す。
図7(a)は受け皿中部20bの平面図であり、
図7(b)は蓄熱部材90の平面図、
図7(c)は受け皿中部層25の平面図である。受け皿中部層25は、
図7(c)に示すように中央が収納部の形状にくり抜かれ、かつ第一の断熱性部材40を介して蓄熱部材90を配設しうる溝部25aが3箇所形成されている。この受け皿中部層25に、第一の断熱性部材40を介して蓄熱部材90を嵌着などにより配設すれば、受け皿中部20bを製造することができる。受け皿中部20bは、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。
【0039】
受け皿中部層25の厚さは1.5〜5.0mmであり、好ましくは1.5〜4mmである。5.0mmを超えると、電磁誘導加熱調理装置に載置した場合、電磁誘導加熱調理装置と部材蓄熱部材90との距離が長くなり、電磁誘導によるプレート10の加熱が困難となる場合がある。
【0040】
図8に、本発明で好適に使用できる蓄熱部材90の一例を示す。電磁誘導加熱調理装置によって蓄熱部材90を加熱し、蓄熱部材90に接触するプレート10を加熱して食材を加熱調理するために配設したものである。
図8(a)は、蓄熱部材90の平面図であり、
図8(b)は断面図である。蓄熱部材90は、受け皿20に形成した収納部と接触せずに収納できるサイズおよび形状であればよい。蓄熱部材90の外周は、受け皿20に形成した収納部よりも小径に調製されるが、収納部の形状を問わず、円形、方形、その他の形状を採用することができる。ただし、プレート10の加熱効率を考慮すれば、面積を広くすることで加熱スピードを向上させることができる。
図8(b)では板状の蓄熱部材90の態様を示すが、これに限定されるものではない。蓄熱部材90に載置するプレート10の底部の形状が、たとえば両端が上部に反る円弧であれば、蓄熱部材90の上面の形状がこれに対応する円弧であってもよい。プレート10の底部の形状と対応させることで、プレート10の加熱効率を向上させることができる。
図8(a)に示すように、蓄熱部材90の外周には、受け皿中部層25に固定するための突出部93が形成されている。突出部93の長さは、蓄熱部材90の重量や配設される突出部93の数によって変動可能であるが、一般には3〜15mmである。
図8(c)に突出部の部分拡大図を示す。
本発明では、前記突出部93に、第一の断熱性部材40からなる管状体を装着する。
図8(d)は管状体の断面図、
図8(e)はその斜視図である。前記突出部93に管状体40を装着した際の突出部93の部分拡大図を
図8(f)に示す。
蓄熱部材90は、受け皿20と受け皿20と接触しないように配設されることが好ましい。受け皿20の熱劣化を抑制するためである。この趣旨に沿って蓄熱部材90を受け皿20に固定しうるものであれば、突出部93でなくてもよい。また、
図8(a)では3箇所の突出部93が形成される態様を示したが、突出部93の数、位置、形状はこれらに限定されるものではない。たとえば、蓄熱部材90の外周に内部に向かう線状孔を形成し、この線状孔に棒状の第一の断熱性部材40の一端を装着し、他端を受け皿20に装着してもよい。この態様でも、受け皿20に直接接触することなく、蓄熱部材90が固設することができる。
【0041】
蓄熱部材90は、更に、第二の断熱性部材30と接触しないように配設することが好ましい。これにより第二の断熱性部材30の劣化を効率的に防止でき、ひいては、補助具100の耐久性を向上させることができる。第二の断熱性部材30と蓄熱部材90とが接触しない場合の間隙は0.3〜2mmが好ましく、好ましくは0.5〜1.5mmである。このような間隙は、受け皿中部20bに形成する第一の断熱性部材40を嵌着する溝部25aの深さを調整することで、形成することができる。
【0042】
図9(a)に受け皿天面部20cの断面図、
図9(b)に受け皿天面部20cの平面図を示す。受け皿天面部20cは、両端を把持部として使用することができるように、受け皿中部層25よりも両端が長尺に形成されることが好ましい。なお、受け皿中部層25は、食材を収納したプレート10を安定して載置しうる深さ、載置した補助具100を変形することなく把持できる剛性、加熱したプレート10の伝熱を抑制しうる耐熱性が要求される。木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。受け皿中部層25の厚さは、他の部材の厚さにもよるが、一般には5〜40mm、好ましくは8〜30mmである。
【0043】
上記は、
図7に示す受け皿底部20a、受け皿中部20bおよび受け皿天面部20cをそれぞれ耐熱性接着剤を介して固定する態様を示したが、たとえば受け皿中部bの両面に複数の凸部を形成し、この凸部と対応する受け皿底部20aおよび受け皿天面部20cに収納部を形成し、これら凸部と収納部とを嵌合して各部材を固定してもよい。更に、締結具などの他の固定部材を介して固定することもできる。
【0044】
蓄熱部材90は、前記
図3に示すように中央に円形の貫通孔が形成されるものでもよい。プレート10が高台を有する場合には高台を貫通孔に挿入して蓄熱部材90に載置できるため、料理に合わせてプレート10の形状を広く選択することができる。更には、蓄熱部材90は、貫通孔が形成され、貫通孔に、これより小径の伝熱性部材95が配設されるものであっても良い。
図10(a)に、高台を有するプレートと前記補助具の断面図を、
図10(b)にその断面図を、
図10(c)に貫通孔が形成された蓄熱部材の前記貫通孔に伝熱性部材が配設された態様の補助具100の平面図を示す。
図10(c)に示すように、伝熱部材95は両端に伝熱性帯状物97を介して蓄熱部材90と連設される。この態様であれば、蓄熱部材90と伝熱部材95との間隙にプレート10の高台を挿入することができる。また、伝熱性部材95によって高台の中央からも加熱することができる。
【0045】
伝熱性部材95は、蓄熱部材90の熱量が伝熱される部材で構成される。たとえば、アルミニウムや銅などの金属を好適に使用することができる。これらは、伝熱性に優れると共に軽量であるため、加熱効率を高く維持したまま補助具100を軽量化することができる。伝熱性部材95は、蓄熱部材90の熱量が伝熱されるように連設される必要があり、溶接その他の方法で蓄熱部材90に配設することができる。なお、伝熱性部材95と伝熱性帯状物97とは、一体に形成されるものであってもよい。
【0046】
蓄熱部材90は、鉄などの磁性体で構成され比重が重い。従って、蓄熱部材90を形成する貫通孔をより大型にし、伝熱性部材95をこれに対応して大型にすることで、軽量化することができる。
図11に、蓄熱部材90の幅が狭い点、これに対応してより大径の伝熱性部材95が配設される点、伝熱性部材95が、伝熱性帯状物97を介して4箇所で蓄熱部材90と連設している点で
図10と相異する補助具100の平面図を示す。蓄熱部材90と、伝熱性部材95および伝熱性帯状物97と間に間隙が形成され、これにプレート10の高台を挿入することができる。このようにして形成される間隙の位置やサイズは、使用するプレート10の形状に対応して適宜適宜選択することができる。
【0047】
なお、本発明の補助具100において、収納部に第二の断熱性部材30を有しない場合には、第二の断熱性部材30を配設しない受け皿底部20aを調製し、これに受け皿中部20bと受け皿天面部20cとを積層して耐熱性接着剤を介して固定して製造することができる。また、受け皿中部20bと受け皿天面部20cとをそれぞれ耐熱性接着剤を介して固定し、前記受け皿中部20bの下面に足部23を形成してもよい。
【0048】
また、収納部を構成する受け皿底部20aとして、受け皿底部層24を配設せず、第二の断熱性部材30を前記受け皿中部20bおよび受け皿天面部20cに積層し、第二の断熱性部材30の下部に足部23を形成して、本発明の補助具100を製造することもできる。前記したように、本発明の補助具100では、第一の断熱性部材40の下部に配設した第二の断熱性部材30を補助具100の底面部として使用することができ、これによってさらなる軽量化を図ることができる。なお、第二の断熱性部材30は、耐熱性接着剤によって前記受け皿中部20bの下部に接着及び固定することができる。本発明では、補助具100に足部23が配設されているため、電磁誘導加熱装置の加熱面からの熱を放熱することができ、補助具100の加熱が回避され、耐熱性接着剤による固定でも十分な耐熱性が確保される。
【0049】
(3)警報手段
本発明の補助具100には、補助具100の温度を検知し、その温度が所定値以上である場合に、警報を発する警報手段65を配設することができる。警報としてはブザー音などの音による以外に、点滅その他の光による方法であってもよく、双方を備えるものであってもよい。たとえば、所定温度に達するとスイッチが入る温度スイッチを温度検知手段60とし、この温度スイッチによって制御されるブザーやライトなどを警報手段65とすることができる。前記
図4に示すように、温度検知手段60を配設する箇所は、補助具100の収納部外周の底部が好適である。収納部の内側には加熱したプレート10が載置されるため、その外周は蓄熱部材90からの伝熱の影響を受けやすい。また補助具100の底部は、電磁誘導加熱調理装置の半導体スイッチング素子からの放熱を受ける。よって、補助具100の収納部外周の底部は、使用時に最も温度が高くなる箇所である。従って、この温度を基準とすれば直接補助具100に接触することなく把持可能か否かを検出することができるため、安全性に優れる。
図3に、補助具100の収納部外周の底部に温度検知手段60を埋設する態様を示す。温度検知手段60は、前記収納部外周の底部に代えて、把持部、天面部、その他に配設してもよい。なお、電源50、ブザーやLEDライトなどの警報手段65は、補助具100の把持部、天面部など電磁誘導により加熱されない箇所に配設する。
【0050】
温度検知手段60は、補助具100の所定箇所に埋設の他、接着、貼着その他の方法で配設することができる。温度スイッチは、温度上昇及び下降に対して直線的な熱膨張収縮性を有する感熱部と、前記感熱部によって移動する移動接点、および固定接点とによって構成することができる。本発明の補助具100は、電磁誘導加熱調理装置の加熱部の上で使用するため、電磁誘導によって加熱されない部材で上記感熱部、移動接点および固定接点などが構成される必要がある。一方、移動接点および固定接点は、導電性が要求される。本発明では、移動接点および固定接点を構成する部材として、真鍮、非磁性SUS、銅などを好適に使用することができる。また、感熱部を構成する部材としては、温度上昇及び下降に対して直線的な熱膨張収縮性を有するシリコーンゴムなどがある。このようなシリコーンゴムを使用した温度スイッチの一例を
図12(a)に示す。ハウジング210に、シリコーンゴムを収納して感熱部220としたものである。感熱部220の先端部に、柄230aが形成された移動接点230が固設され、ハウジング210の端部に一対の固定接点240a、240bが配設されている。温度上昇により感熱部220が膨張すると移動接点230が固定接点240aと接触しスイッチが「ON」となる。冷却により感熱部220が収縮すると移動接点230が固定接点240aと離れスイッチが「OFF」となる。
感熱部220を構成するシリコーンゴムとしては、信越化学株式会社の製品名KE16、KE1091、KE1202、KE1204、KE108、KE106、KE109、KE10、KE1300、KE12等がある。ハウジング210は、非磁性かつ熱伝導率に優れる真鍮、非磁性SUS、銅、アルミニウムなどで構成すれば、速やかに感熱部220へ温度を伝達することができる。なお、移動接点230の前記柄230aには導電性部材からなるバネ部材250が配設されている。このようなバネ部材250の配設により、冷却時のスイッチOFFが容易となる。このような温度スイッチの原理は、特開昭63−24519号公報、実公平7−35267号公報、米国特許第4963851号公報などに記載されている。
【0051】
前記温度検知手段60で制御されるブザーやライトを配設し、把持部が所定温度を超えたことを非接触で警報することができる。前記ブザーとしては、電圧を検知して発振するブザーがあり、ライトとしては、発光ダイオードなどがある。たとえば、60℃を超えるとスイッチがONとなる温度スイッチを補助具100の底部に配設し、これによってブザーを制御させると把持部に接触することなく過加熱を検知でき火傷を回避することができる。また、前記温度スイッチによってライトを制御させる場合は、ライトを把持部に配設されば、光によって警報することができる。音や光によれば、聴覚や視覚が不自由な方が使用する場合でも安全性に優れる。
図12(b)に、温度検知手段60に、警報手段65としてブザー65aと発光ダイオード65bとを組み込んだ回路を示す。
【0052】
本発明では、温度スイッチを複数配設してもよく、たとえば、60℃以上でスイッチがOFFとなる温度スイッチによってライトを制御させ、70℃以上でスイッチがONとなる温度スイッチによってブザーを制御してもよい。このように複数の温度スイッチを配設すると、温度が60℃までは把持部近傍に配設したライトを緑色に点灯させ把持が可能であることを示し、70℃を超える場合には、ブザーで警報することができる。
【0053】
(4)停止手段
本発明では警報手段65に加えて、前記補助具100の温度が所定値以上である場合に、使用する電磁誘導加熱調理装置の電磁誘導を停止する停止手段80を配設してもよい。
一般に、電磁誘導加熱調理装置にはマイクロコンピュータを主体として構成される制御回路が配設され、使用する鍋類の材質を検出したり、この情報に基づいて加熱温度が制御される。電磁誘導加熱調理装置の加熱部の下部には加熱コイルが配され、その近傍にサーミスタなどの温度センサが取付けられている。前記制御回路には前記サーミスタの情報が入力され、サーミスタが感知する加熱部の温度が所定温度になるように高周波インバータの発振動作(トランジスタのオン,オフ動作)と発振停止(トランジスタの連続オフ)とが出力される。
本発明では、電磁誘導加熱調理装置の制御回路に、補助具100の前記温度検知手段60の温度センサによるON−OFF情報を入力させ、電磁誘導加熱調理装置の制御回路を介して、高周波インバータの発振を停止させるように制御することができる。補助具100の温度検知手段60の情報を電磁誘導加熱調理装置の制御回路に入力させるには、たとえば電池駆動が可能で、スペクトラム拡散通信で送受信しうる微弱無線モジュールを介して行うことができる。微弱無線によれば、消費電力が低く無線局の免許を受ける必要もないからである。なお、トグル検出部と復調部とを有するスペクトラム拡散方式では、送信側で搬送波を拡散するために使用した拡散符号を同期させた上で受信信号に乗算し、受信側で元の搬送波を再現するが、この復調の際に、乗算しようとする拡散符号を伝送遅延時間分だけ位相シフトさせる必要があり、シフト量を試行ステップごとに1チップ(拡散符号の最低時間単位)時間分ずつ増加して受信の成否を判定するスライド法などが採用されている。本発明で使用する微弱無線モジュールとしては、このようなスライド法において、期待信号の長さを、拡散符号の2チップ時間分よりも短く構成するものを好適に使用することができる。微弱無線は、本来、信号がノイズに埋もれやすいが、上記によれば受信信号の搬送波中にノイズによる短い位相変化点が含まれていても、トグル点の候補として検出される事態を回避することができる。電磁誘導加熱調理装置に、微弱無線モジュールからの信号受信手段を配設し、この受信信号を補助具100の温度情報として制御回路に入力させ、温度検知手段60のON−OFFと連動して制御させればよい。これにより、補助具100が所定温度を越える場合に電磁誘導加熱調理装置の加熱を停止させることができる。このような微弱無線モジュールは補助具100の底面の、たとえば前記
図3(b)の電源50に近傍に配設することができる。
なお、上記は、温度検知手段60と微弱無線モジュールとを連設する態様で説明したが、温度検知手段60により警報手段65を稼動させると共に電磁誘導加熱調理装置の制御回路を介して、高周波インバータの発振を停止させるように制御してもよい。
【0054】
微弱無線モジュールは、送信情報を火災報知機、電話回線、パーソナルコンピューターなどに受信させれば、たとえば火災報知機を介して警報することができる。この場合、微弱無線モジュールは、警報手段65としても機能する。
【0055】
(5)枠
本発明の補助具100は、受け皿20の前記収納部の開放径より小型の開放径で形成された枠70を前記収納部に嵌合させてもよい。このような枠70が受け皿20に嵌合された補助具100の平面図を
図13(b)に示し、枠70の平面図を
図13(c)に、枠70の断面図を
図13(d)に、枠70を嵌合させた補助具100にプレート10を載置した電磁誘導加熱皿セットの側面図を
図13(a)に示す。枠70により小径のプレート100を安定して補助具100に載置することができる。このような枠70の直径は、使用する電磁誘導加熱調理装置の性能に応じて適宜選択することができる。
【0056】
(6)プレート
上記補助具100に載置して使用しうるプレート10は、伝熱性に優れる部材を広く使用することができる。たとえば、アルミニウムや銅や、またはアルミニウム層や銅層が積層された部材からなるプレートを例示することができる。また、電磁誘導により加熱しうる部材であってもよい。このような部材としては、鉄、鉄ホーロー、鉄鋳物、フェライト系ステンレス、鉄層を積層した鉄系多層鋼など磁性を有する部材を例示することができる。本発明の補助具100は、蓄熱部材90を配設する点に特徴があり、プレート10を含めた全重量を軽量化しうる点で、アルミニウムなどの伝熱性に優れかつ比重の軽い部材からなるプレート10を好適に使用することができる。このようなアルミニウムとしては、たとえば遠赤外線を放出するような部材であってもよい。遠赤外線を放射しうるアルミニウムとしては、古河スカイ株式会社製の商品名「スーパーレイ(登録商標)」などを使用することができる。温度300℃に加熱すると、遠赤外線領域である2.5〜10μm波長を分光放射率80%以上で放射するため、遠赤外線による調理を行うことができる。
なお、プレート10のサイズや形状は、補助具100の上記収納部の形状に対応して適宜選択することができる。
【0057】
(7)使用方法
本発明の電磁誘導加熱皿セットを使用して調理する場合は以下の方法による。まず、補助具100にプレート10を載置して電磁誘導加熱調理装置の加熱部に載置し、電磁誘導加熱調理装置のスイッチをONにする。これにより蓄熱部材90が電磁誘導加熱され、この熱量がプレート10に伝熱され、加熱されたプレート10の上で食材を加熱調理することができる。本発明の補助具100を使用すれば、食材を加熱調理した後、補助具100ごと食卓で食器として使用することができる。本発明の補助具100を使用すれば、ステーキ、焼肉、グラタン、スパゲッティー、その他、加熱によって可食しうる料理に広く使用することができる。
本発明の補助具100は、蓄熱部材90が電磁誘導加熱調理装置によって加熱されるため、電磁誘導でしない部材からなるプレート10を使用できる。このため、補助具100に、プレート10に代えて、アルミニウム製の皿に食材を収納した市販の鍋焼きうどんなどを載置して、食材を加熱することができる。
本発明の補助具100は、第二の断熱性部材30と第一の断熱性部材40とによって把持部への伝熱が回避され、かつ足部によって放熱されるため、受け皿10への伝熱が抑制され、受け皿を直接把持することができる。更に、本発明の補助具100に警報手段が配設される場合には、蓄熱部材90の過加熱などにより把持部が高温となった場合には、ブザーやライトの点灯により警報されるため、火傷を防止することができる。このような警報が発せられた場合は、把持部を鍋つかみなどを介して把持すればよい。