特許第5964642号(P5964642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964642
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】鉄筋端部測定装置及び鉄筋端部測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20160721BHJP
   E04C 5/03 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G01B11/02 H
   E04C5/03
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-95570(P2012-95570)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-221922(P2013-221922A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208695
【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】村野 慎一
(72)【発明者】
【氏名】羽石 亮平
(72)【発明者】
【氏名】山下 智仁
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−288676(JP,A)
【文献】 特開2009−115744(JP,A)
【文献】 特開平07−270136(JP,A)
【文献】 特開2004−354367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
E04C 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋の端部に形成された拡径部の寸法を測定する装置であって、
前記鉄筋が横たわって軸が位置決めされた状態で載置される受け台と、
前記受け台に載置された鉄筋の前記拡径部の端面を接触させて位置決めする位置決め位置とこの位置決め位置から離れた退避位置との間を移動する位置決め部材と、
前記受け台及び前記位置決め部材によってそれぞれ位置決めされた前記拡径部及び拡径部近傍に光を照射する光源と、
前記拡径部及び拡径部近傍を通過した光と前記拡径部及び拡径部近傍の鉄筋で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段からの撮像信号に基づいて前記拡径部の寸法を測定する検査部とを備え
前記受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、
前記1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台は、前記拡径部に一番近い受け台のみによって位置決めされる長さの鉄筋の重心が当該受け台上に位置されるように形成されていることを特徴とする鉄筋端部測定装置。
【請求項2】
前記鉄筋は、多数の半円状突条及び軸方向突条の突出部分を有する異形鉄筋であり、
前記受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、
前記1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台の前記鉄筋が載置される受け面が、断面逆ハの字状の一対の受け面であり、この一対の受け面の前記鉄筋の軸方向の長さが、前記半円状突条が少なくとも4つ載置され得る寸法で形成され、
前記1つの受け台又は2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台に載置された鉄筋をこの受け台に押し付けて前記鉄筋を固定する押え部材が移動可能に設けられている請求項1に記載の鉄筋端部測定装置。
【請求項3】
前記受け台は、2つ以上の受け台からなり、これら2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い箇所に配置された受け台以外の受け台が、前記鉄筋の軸方向にそれぞれ個別に移動可能に形成されている請求項1又は2に記載の鉄筋端部測定装置。
【請求項4】
前記測定を行う拡径部側の端面とは反対側の端面に接触して前記位置決め部材によって位置決めされた前記鉄筋の長さを測定する長さ測定部を備えた請求項1〜のいずれか1項に記載の鉄筋端部測定装置。
【請求項5】
鉄筋の端部に形成された拡径部の寸法を測定する方法であって、
前記鉄筋を受け台に載置して前記鉄筋の軸を位置決めするとともに、この鉄筋の拡径部の端面を位置決め部材に接触させてこの拡径部の端面を位置決めし、この鉄筋を押え部材によって前記受け台に押し付けて固定してから位置決め部材を拡径部の端面から離れた位置に移動させ、移動後、光を前記拡径部及び拡径部近傍に照射し、この拡径部及び拡径部近傍を通過した光と前記拡径部及び拡径部近傍の鉄筋で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像し、この撮像による撮像信号に基づいて拡径部の寸法を測定し、
前記受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、
前記1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台は、前記拡径部に一番近い受け台のみによって位置決めされる長さの鉄筋の重心が当該受け台上に位置されるように形成されていることを特徴とする鉄筋端部測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋の拡径部の寸法を測定する鉄筋端部測定装置及び鉄筋端部測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物やプレキャストコンクリート等に埋設される鉄筋の端部に、他の鉄筋やコンクリートへの定着のための定着部を設けることが行われている。定着部は、鉄筋の端部をU字状やL字状等に折り曲げて形成していたが、定着機能の高度化、定着部形成コストの削減を図るため、熱間据込み加工によって鉄筋の端部を拡径した拡径部を定着部とすることが行われるようになった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−257209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
拡径加工された鉄筋の端部が目的の形状となっていることを確認する検査は、ノギスとディプスゲージを用いて手作業により拡径部の径と厚み、偏心量を測定して行っており、多大な手間が必要であった。測定は、ノギスやディプスゲージ、必要に応じてスケールと複数の測定器を使用し、その検査作業負荷及び検査作業時間は、加工数の増加とともに年々大きくなっているのが現状であった。ノギスやディプスゲージといった測定器を用いて行う測定は、全て測定者の目視で行っているため、測定者により例えば測定者の熟練度による個人差により測定誤差が大きくなる可能性があり、場合によっては誤った検査結果が出てしまう可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、鉄筋の拡径部の寸法を精度良く測定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明に係る鉄筋端部測定装置は、鉄筋の端部に形成された拡径部の寸法を測定する装置であって、前記鉄筋が横たわって軸が位置決めされた状態で載置される受け台と、前記受け台に載置された鉄筋の前記拡径部の端面を接触させて位置決めする位置決め位置とこの位置決め位置から離れた退避位置との間を移動する位置決め部材と、前記受け台及び前記位置決め部材によってそれぞれ位置決めされた前記拡径部及び拡径部近傍に光を照射する光源と、前記拡径部及び拡径部近傍を通過した光と前記拡径部及び拡径部近傍の鉄筋で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの撮像信号に基づいて前記拡径部の寸法を測定する検査部とを備え、 前記受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、 前記1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台は、前記拡径部に一番近い受け台のみによって位置決めされる長さの鉄筋の重心が当該受け台上に位置されるように形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、受け台及び位置決め部材によって軸及び端面が位置決めされた鉄筋の拡径部及び拡径部近傍に光が光源から照射され、拡径部及び拡径部近傍を通過した光と拡径部及び拡径部近傍の鉄筋で遮蔽された光で形成されたシルエット像が撮像手段によって撮像される。この撮像手段からの撮像信号に基づいて検査部によって拡径部の寸法が測定される。また、寸法が測定される鉄筋の拡径部の軸及び端面が受け台及び位置決め部材によって位置決めされるので、拡径部を測定する際の測定誤差が可能な限り小さくなる。したがって、鉄筋の拡径部の寸法を精度良く測定することができる。
【0008】
この場合において、鉄筋は、多数の半円状突条及び軸方向突条の突出部分を有する異形鉄筋であり、受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち測定を行う拡径部に一番近い受け台の鉄筋が載置される受け面が、断面逆ハの字状の一対の受け面であり、この一対の受け面の鉄筋の軸方向の長さを、半円状突条が少なくとも4つ載置され得る寸法で形成し、1つの受け台又は2つ以上の受け台のうち測定を行う拡径部に一番近い受け台に載置された鉄筋をこの受け台に押し付けて鉄筋を固定する押え部材を移動可能に設けることができる。
【0009】
この場合において、受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち測定を行う拡径部に一番近い受け台を、載置された長さが一番短い鉄筋の重心が当該受け台上に位置されるように形成することができる。また、受け台は、2つ以上の受け台からなり、これら2つ以上の受け台のうち測定を行う拡径部に一番近い箇所に配置された受け台以外の受け台を、鉄筋の軸方向にそれぞれ個別に移動可能に形成することができる。さらに、測定を行う拡径部側の端面とは反対側の端面に接触して位置決め部材によって位置決めされた鉄筋の長さを測定する長さ測定部を備えることができる。
【0010】
また、前記課題を解決するため本発明に係る鉄筋端部測定方法は、鉄筋の端部に形成された拡径部の寸法を測定する方法であって、
前記鉄筋を受け台に載置して前記鉄筋の軸を位置決めするとともに、この鉄筋の拡径部の端面を位置決め部材に接触させてこの拡径部の端面を位置決めし、この鉄筋を押え部材によって前記受け台に押し付けて固定してから位置決め部材を拡径部の端面から離れた位置に移動させ、移動後、光を前記拡径部及び拡径部近傍に照射し、この拡径部及び拡径部近傍を通過した光と前記拡径部及び拡径部近傍の鉄筋で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像し、この撮像による撮像信号に基づいて拡径部の寸法を測定し、
前記受け台は、1つの受け台又は2つ以上の受け台からなり、
前記1つの受け台及び2つ以上の受け台のうち前記測定を行う拡径部に一番近い受け台は、前記拡径部に一番近い受け台のみによって位置決めされる長さの鉄筋の重心が当該受け台上に位置されるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、本発明に係る鉄筋端部測定装置と同様に、拡径部の寸法が測定される。また、寸法が測定される鉄筋の拡径部の軸及び端面が受け台及び位置決め部材によって位置決めされるので、拡径部を測定する際の測定誤差が可能な限り小さくなる。したがって、鉄筋の拡径部の寸法を精度良く測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鉄筋の拡径部の寸法を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る一例の実施形態の鉄筋端部測定装置を示す斜視図である。
図2】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置を示す平面図である。
図3】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置の要部を示す側面図である。
図4】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置における受け台と固定部を示す正面図である。
図5】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置の要部を示す斜視図である。
図6】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置における受け台を示す斜視図である。
図7】本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置における受け台を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る鉄筋端部測定置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1図3及び図5に示すように、本実施形態の一例の鉄筋端部測定装置(以下、単に「測定装置1」という。)は、鉄筋10の拡径部11の寸法を測定するものである。鉄筋10としては、鉄筋コンクリートに用いられるものであれば特に限定されず、例えば、半円状突条(節10a)及び軸方向突条(リブ)の突出部分を有する異形鉄筋等が挙げられる。なお、鉄筋10として本実施形態では異径鉄筋を用いるが、これに限定されるものではない。また、拡径部11の測定を行う鉄筋10は、異径鉄筋であるが、この異径鉄筋には、異径鉄筋として用いられているすべてのものが含まれる、すなわち、長さが異なるものや径が異なるものが含まれる。鉄筋10の一方又は両方の端部には、拡径部11が形成されている。拡径部11としては、鉄筋10より拡径されていればその形状は特に限定されないが、例えば、特許文献1に記載されている熱間据込加工による拡径部が挙げられる。
【0015】
測定装置1は、鉄筋10が載置される受け台3と、鉄筋10の拡径部11の端面12の位置決めを行う位置決め部材4と、拡径部11及び拡径部11近傍に光を照射する光源5と、拡径部11及び拡径部11近傍を通過した光と拡径部11及び拡径部11近傍の鉄筋10で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像する撮像手段6と、撮像手段6からの撮像信号に基づいて拡径部11の寸法を測定する検査部とを備えている。これら受け台3、位置決め部材4、光源5、撮像手段6は、架台2に設けられている。
【0016】
架台2は、鉄筋10の寸法を測定する際に鉄筋10がぶれないように堅牢に形成されていることが好ましい。架台2は、例えば、アルミや鋼鉄等の金属製の断面略矩形状の枠材を直方体状に組んだ枠体等で形成されている。架台2の側面に位置される側枠2aは、上下方向に間隔をあけた互いに平行な2つの第1横枠材21の互いに対向する面の両端と略中央部をそれぞれ縦枠材22で連結した横長の略矩形状に形成されている。2つの側枠2aが水平方向に間隔をあけて対向した状態で後部上方の角部を除いた3つの角部がそれぞれ第2横枠材23で連結されている。この2つの側枠2aの後ろ側の縦枠材22及び中央の縦枠部材の互いに対向する面の上方は、第3横枠材24でそれぞれ連結されている。さらに、2つの側枠2aの上方の第1横枠材21の前側の縦枠材22と中央側の縦枠材22との略中央部の箇所は、第4横枠材25で連結されている。
【0017】
また、2つの第3横部材の略中央部には、前後方向に延びる第5横枠材26が載置された状態で取り付けられている。第5横枠材26は、例えば、断面横長でかつ上面が第4横枠材25の上面を含む平面と略同一平面上になる高さで形成されてなる。第5横枠材26は、先端が第4横枠材25の後端側の側面の略中央部に当接した状態で取り付けられ、かつ、後端が後部側の第3横枠材24より後方側に延びる長さで形成されている。また、第5横枠材26の上面の両側部の近傍には、ガイド溝26aがその長手方向全体にわたってそれぞれ形成されている。ガイド溝26aを形成する両壁の上端は、それぞれ対向する壁側に突出したガイド片26bとして形成されている。さらに、下方に位置されている2つの第1横枠材21の前側の第2横枠材23と略中央部の第3横部材の間は、例えば、2つの第6横枠材27が間隔をあけて連結されている。これら第6横枠材27上に、例えば、検査部やその他の機械や器具が載置可能になっている。なお、図1図4中、符号2bは、補強部材を示している。また、図1中、符号19は架台2すなわち測定装置1を移動可能にするキャスターを示す。さらに、架台2の下面には、架台2すなわち測定装置1の移動を防止するストッパが設けられている。
【0018】
また、第5横枠材26と前側上方の第2横枠材23との間には、図1図3及び図5に示すように、例えば、矩形平板状の照射板52が掛け渡された状態で取り付けられている。照射板52には、光源5が設けられている。光源5は、例えば、平行な光を上方例えば垂直方向の上方に照射するバックライト51である。バックライト51による光の照射範囲は、拡径部11及び拡径部11近傍を照射し得る範囲であって、例えば、幅方向の中央が架台2の幅方向(左右方向)の略中央に、前後方向の中央が第5横枠材26と前側上方の第2横枠材23との間の略中央に位置される矩形状の範囲である。この照射板52より上方例えば垂直方向の上方であって受け台3に載置された鉄筋10の拡径部11よりさらに上方には、撮像手段6が設けられている。
【0019】
撮像手段6は、拡径部11及び拡径部11近傍を通過した光と拡径部11及び拡径部11の鉄筋10で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像するもので、特に限定されないが、例えば、2次元のCCDカメラ61が用いられる。CCDカメラ61としては、特に限定されず、例えば、中心が架台2の幅方向(左右方向)の略中央で、かつ、第5横枠材26と前側上方の第2横枠材23との間の略中央より若干前側の位置になるように配置されている。CCDカメラ61は、取付部材65を介して前側上方の第2横枠材23の略中央部に立設されている支柱28の後ろ側の面に取り付けられている。取付部材65は、CCDカメラ61の位置を前後方向に移動可能に形成されている。また、取付部材65は、支柱28に上下方向の取付位置が調節可能に取り付けられており、CCDカメラ61の前後方向及び上下方向の位置が調節し得るようになっている。また、CCDカメラ61は、検査部に接続されている。
【0020】
検査部は、CCDカメラ61からの撮像信号に基づいて拡径部11の寸法例えば直径、厚み、偏心量を測定するものである。また、検査部は、この測定値と基準値とを比較して拡径部11の合否を判定する判定機能を有してもよい。基準値は、例えば、基準となる拡径部11を形成してこの拡径部11の直径、厚み、偏心量を予め測定し、これら測定値を基準値とすることが好ましい。また、拡径部11は、鉄筋10の種類によって寸法が異なるので、種類の異なる鉄筋10毎に基準値を予め設定するようにする。
【0021】
また、架台2の上面には、図1図5に示すように、鉄筋10を例えば水平方向に延びた状態(横たわった状態)で載置する受け台3が設けられている。受け台3は、例えば、第4横枠材25の上面の略中央部及び第5横枠材26の先端の上面に載置された状態で取り付けられている少なくとも1つの受け台(第1受け台31)を有している。すなわち、第1受け台31は、測定する拡径部11に一番近い箇所に取り付けられている。第1受け台31は、上方が開口された断面略凹状の細長に形成されている受け部31aと、受け部31aの下面に設けられ、受け部31aの両側面の下方からフランジ状に突出した取付部31bとからなる。なお、受け部31aと取付部31bとは、別部材で形成してもよいし、一体に形成してもよい。受け部31aと取付部31bとが別部材で形成されている場合、例えば、受け部31aと取付部31bとがボルト17(図7参照。)等で連結される。
【0022】
受け部31aは、略直方体状に形成されている。受け部31aの上面には、鉄筋10が載置される受け面31cが設けられている。この受け面31cは、断面逆ハの字状の一対の受け面であることが好ましい。すなわち、受け面31cは、鉄筋10を軸が位置決めされた状態で保持するように内側にそれぞれ傾斜されている。この受け面31cすなわち受け台3による鉄筋10の位置決めは、鉄筋10の軸がCCDカメラ61による撮影方向と直交するように設定することが好ましい。受け面31cは、断面逆ハの字状に形成されていれば受け部31aの上面の形状は特に限定されず、受け部31aの上面の中央に断面V字状の凹みを形成してこのV字状の面を受け面31cとしてもよいし、断面凹状の両側部の上端面をそれぞれ内側に傾斜させて受け面としてもよい。また、受け面31cの幅は、拡径部11の測定を行う鉄筋10の径の異なるすべてに対応し得る幅で形成されていることが好ましい。
【0023】
受け部31a(受け面31c)の前後方向(載置された鉄筋10の軸方向)の長さは、特に限定されないが、異径鉄筋の節10aが4つ以上載置され得る寸法で形成されていることが好ましい。ここでいう異径鉄筋としては節10aの間隔が一番狭い鉄筋であることが好ましい。受け部31aの長さが3つ以下の節10aが載置され得る寸法で形成されていると、鉄筋10を載置したとき鉄筋10がぶれて鉄筋10を安定に載置することができず、特に、押え部材8とで鉄筋10を固定したとき鉄筋10がぶれることがあるからである。受け部31a(受け面31c)の前後方向(載置された鉄筋10の軸方向)の長さは、長さが短い鉄筋例えば長さが一番短い鉄筋10(例えば長さが約400mmの鉄筋)を第1受け台31のみを用いて位置決めし得る寸法で形成されていることが好ましく、例えば、異径鉄筋の節10aが10〜20載置され得る寸法で形成されていることが好ましい。また、受け部31aは、長さが一番短い鉄筋10(例えば長さが約400mmの鉄筋)を載置したとき、この鉄筋10の重心が受け部31a上に位置されるように形成されていることが好ましい。鉄筋10の重心が受け部31aより前方にあると、受け部31a(第1受け台31)に鉄筋10を載置する際に安定して鉄筋10の載置を行えないからである。
【0024】
取付部31bの幅は、第5横枠材26の幅と同じか又は若干小さな寸法で形成されている。取付部31bの受け部31aから突出する箇所である両フランジが第5横枠材26の両ガイド溝を覆うように受け部31aの幅が形成されている。また、取付部31bは、受け部31aの下面の前後方向の全体に設けられていてもよいが、例えば、前端から後方へ離れた箇所から後端までの受け部31aの下面に形成されていることが好ましい。すなわち、受け部31aの前端は、できるだけ前方に位置されていることが好ましく、これにより、特に短い鉄筋10を受け部31aに載置したとき、拡径部11側が下方に動くことなく安定して鉄筋10の載置を行えるようになっている。取付部31bは、前端が上面から見たとき第4横枠材25の上面の前端側の縁部と略同じ位置で幅方向の中央が第5横枠材26の中央と同じ位置になるように第4横枠材25及び第5横枠材26に取り付けられている。すなわち、取付部31bは、第4横枠材25の上面の前後方向の全部又は略全部に取り付けられている。第1受け台31より上方には、押え部材8が設けられている。
【0025】
押え部材8は、第1受け台31に載置された鉄筋10を第1受け台31に押し付けて固定するもので、ロッド82を介して支持体81に上下方向に移動可能に取り付けられている。支持体81は、第4横枠材25に立設した状態で取り付けられている支柱29の上方にL型取付部材85を介して取り付けられている。L型取付部材85は、上下方向の取付位置が調節可能に支柱29に取り付けられている。これにより、押え部材8の上下方向の位置を調節し得るようになっている。押え部材8の位置の調節は、第1受け台31に載置された鉄筋10の固定を行えれば特に限定されないが、例えば、下方に移動させたとき、第1受け台31に載置された鉄筋10を第1受け台31に押し付けて鉄筋10を固定する鉄筋固定位置と、その鉄筋10から上方に離れ第1受け台31からの鉄筋10の載置と載置された鉄筋10の第1受け台31からの離脱を容易に行える解除位置との間を移動し得るように調節することが好ましい。
【0026】
押え部材8の形状は、第1受け台31に載置された鉄筋10を第1受け台31に押し付けて固定することができれば特に限定されないが、例えば、前後方向に長い扁平な直方体状に形成されている。押え部材8の前後方向の長さは、例えば、第4横枠材25の上面の前後方向の長さと略同じで形成されている。この押え部材8は、第4横枠材25の上面の上方の第1受け台31に載置された鉄筋10を第1受け台31に押し付けるように配置されていることが好ましい。
【0027】
また、受け台3は、図1図2図6図7に示すように、第1受け台31以外に他の受け台である補助受け台32を有することが好ましい。補助受け台32の個数は、1つでも2つ以上でも特に限定されないが、測定を行う鉄筋10のうち長さが一番長い鉄筋10を安定して受け台3に載置し得るように例えば1つ、2つ又は3つ図示例では3つであることが好ましい。補助受け台32は、第1受け台31と基本的構成は同じで受け部32aと取付部32bと受け面32cとからなり、第1受け台31より前後方向の長さが短い寸法で形成されている。第5横枠材26のガイド溝に対応する補助受け台32の両フランジには、貫通穴31dが設けられている。補助受け台32は、幅方向の中央が上面から見たとき第5横枠材26の中央と同じ位置になるように第5横枠材26上に載置し、各ボルト15を両フランジの貫通穴31dを通して予め第5横枠材26の2つのガイド溝26a内に挿入してある各ナット16にそれぞれ螺合させることで、ナット16がガイド片26bに係合してボルト15の締め付けにより第5横枠材26に取り付けられるようになっている。また、ボルト15の締め付けを弱めることで、補助受け台32がガイド溝26aに沿ってすなわち第5横枠材26の長手方向に沿って移動し得るようになっている。よって、補助受け台32は、第5横枠材26に所望の位置に移動可能に取り付けられている。
【0028】
位置決め部材4は、受け台3に載置された鉄筋10の拡径部11の端面12を接触させて位置決めする位置決め位置(図3の破線の位置)と、この位置決め位置から離れた退避位置(図3の実線の位置)との間を移動して、鉄筋10の拡径部11の端面12の位置決めを行うものである。端面12の位置決め位置は、上方から見たとき、拡径部11がバックライト51の光の照射範囲の略中央に位置されるように設定することが好ましい。また、CCDカメラ61の位置は、CCDカメラ61により拡径部11及び拡径部11近傍を通過した光と拡径部11及び拡径部11近傍の鉄筋10で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像することができれば特に限定されず、例えば、上面から見たとき、位置決め部材4によって位置決めされた拡径部11の端面12がCCDカメラ61の前後方向の中央より若干前方側に位置されるように設定するようにしてもよい。位置決め部材4は、例えば、矩形平板状に形成され、一方の表面が端面12が接触する接触面として形成されている。位置決め部材4の他方の表面には、ロッド42を介して支持体41に前後方向に移動可能に取り付けられている。支持体41は、取付部材45を介して前側の支柱28の後ろ側の面に取り付けられている。取付部材45は、上下方向の取付位置が調節可能に支柱28に取り付けられている。これにより、位置決め部材4の上下方向の位置を調節し得るようになっている。また、位置決め部材4は、図5に示すように、前記の接触面である面にこの面から突出(前後方向の後ろ側に突出)するネジ部材を設け、このネジ部材に螺合したナット4aの後方側の面を接触面として構成するようにしてもよい。これにより、ナット4aをネジ部材に対して回転させることで接触面の位置を微調節することが可能となる。
【0029】
また、架台2の第5横枠材26には、長さ測定部9が設けられている。長さ測定部9は、測定を行う拡径部11側の端面12とは反対側の端面に接触して位置決め部材4によって位置決めされた鉄筋10の長さを測定するものである。長さ測定部9としては、例えば、エンコーダ等を用いたものが用いられ、第5横枠材26の上面に長手方向に移動可能で受け台3に載置された鉄筋10の測定を行う拡径部11側の端面12とは反対側の端面に接触する可動片91と、可動片の位置から鉄筋10の長さを測定する測定部92とからなる。
【0030】
さて、このような測定装置1を用いて鉄筋10の拡径部11の寸法を測定するには、まず、測定を行う拡径部11をCCDカメラ61の下方に位置させて鉄筋10を受け台3上に横にして載置する。このとき、位置決め部材4を位置決め位置に位置させておき、この位置決め部材4に拡径部11の端面12を接触させる。鉄筋10を受け台3に載置させ、端面12を接触させた後に、押え部材8を下降させて鉄筋10を第1受け台31に押し付けて鉄筋10を固定する。固定後、位置決め部材4を位置決め位置から退避位置に移動させる。
【0031】
次に、バックライト51から光を上方すなわち拡径部11及び拡径部11近傍に向けて照射して拡径部11及び拡径部11近傍を下方から照らし、バックライト51及び拡径部11の上方に位置されているCCDカメラ61で拡径部11及び拡径部11近傍を通過した光と拡径部11及び拡径部11近傍の鉄筋10で遮蔽された光で形成されたシルエット像を撮像する。このとき、押え部材8と第1受け台31によって鉄筋10が固定されていることで、鉄筋10がぶれることなくCCDカメラ61によりシルエット像を撮像することができる。撮像されたシルエット像の撮像信号は、CCDカメラ61から検査部に送られる。検査部は、CCDカメラ61からの撮像信号に基づいて拡径部11の寸法例えば直径、厚み、偏心量を測定し、また、検査部が判定機能を有すると、この測定値と基準値とを比較して拡径部11の合否の判定を行う。この拡径部11の測定を行った鉄筋10の拡径部11の軸及び端面12が受け台3及び位置決め部材4によって位置決めされているので、拡径部11を測定する際の測定誤差が可能な限り小さくなる。
【0032】
したがって、本実施形態の鉄筋端部測定装置1は、鉄筋10の拡径部11の寸法を精度良く測定することができる。その結果、測定環境、測定者により発生し得るヒューマンエラーをなくすことができ、さらに、鉄筋10の拡径部11の寸法を自動で測定することも可能となる。また、従来のノギスとディプスゲージを用いて手作業による測定では、1本の検査にかかる時間は120秒程度掛かっていたが、この測定装置1では、15秒程度と従来より大幅な検査時間の削減が可能となる。さらに、検査部が判定機能を有すると、鉄筋10の拡径部11の判定を精度良く行うことができる。また、測定値や判定のデータを検査部でデジタルデータとして管理し、さらに、これらデータを紙媒体へのプリントアウト、持ち運び可能なメディア(USBメモリ、外付ハードディスクへの保存、SDカードなどのメモリカード等)へのデータの保存、LAN等によるデータの転送等により出力可能とすることで、例えば、検査表作成時間等を短縮することが可能となる。
【0033】
第1受け台31が、鉄筋10が載置されたとき半円状突条である節10aが4つ以上載置され得る長さで形成されていることで、第1受け台31に載置した鉄筋10がぶれない、特に第1受け台31に載置した鉄筋10を押え部材8とで固定したときに鉄筋10がぶれないので、鉄筋10の拡径部11の寸法を精度良く確実に測定することができる。また、図5に示すように、載置された長さが一番短い鉄筋10(例えば長さが約400mmの鉄筋)の重心が第1受け台31上に位置されるように第1受け台31が形成されていることで、特に長さが一番短い鉄筋10を第1受け台31に載置したとき、拡径部11側が重みで下方に動くことがないから、ずれることなく確実に拡径部11及び鉄筋10の位置決めを行えるので、鉄筋10の拡径部11の寸法を精度良く確実に測定することができる。なお、図5は、特に長さが短い鉄筋10を第1受け台31だけに載置した状態を説明するための図で、分かり易くするために補強部材等を省略してある。
【0034】
受け台3は、2つ以上の受け台31、32からなり、第1受け台31以外の補助受け台32がそれぞれ個別に移動可能に形成されていることで、鉄筋10の長さに応じて補助受け台32の位置を調節することができるので、鉄筋10を安定して受け台3に載置することができる。すなわち、長さが長い鉄筋10を第1受け台31に載置した場合、第1受け台31から後方に延びる鉄筋10の重量の方が重くなるので、この第1受け台31から延びる鉄筋10が下方に傾いて安定して鉄筋10を保持することができないからである。また、受け部31a(受け面31c)の前後方向(載置された鉄筋10の軸方向)の長さを、長さが一番短い鉄筋10(例えば長さが約400mmの鉄筋)を第1受け台31のみを用いて位置決めし得る寸法、例えば、異径鉄筋の節10aが10〜20載置され得る寸法で形成されていることで、例えば、長さが一番短い鉄筋10(例えば長さが約400mmの鉄筋)を第1受け台31のみで確実に位置決めすることができる。さらに、受け台3の鉄筋10を載置する受け面31cが、断面逆ハの字状の一対の受け面であると、径が異なる鉄筋10でも上面から見たとき鉄筋10の軸を同軸上に位置決めすることができる。よって、本実施形態の鉄筋端部測定装置1は、長さが異なる鉄筋10でも径が異なる鉄筋10でも拡径部11の寸法を精度良く測定することができる。
【0035】
また、長さ測定部9を備えることで、拡径部11の寸法の測定とともに鉄筋10の長さも測定することができ、この測定値も基準値と比較して鉄筋10の長さの合否の判定を行うようにすれば、鉄筋10の拡径部11の寸法及び長さを精度良く測定することができる。
【0036】
CCDカメラ61が、取付部材65を介して支柱28に前後方向及び上下方向の位置が調節可能に取り付けられているので、拡径部11に対してCCDカメラ61の位置を調節することができ、正確に拡径部11の寸法を測定することができる。また、拡径部11の大きさや鉄筋10の種類等に応じてCCDカメラ61の位置を調節することができるので、正確に拡径部11の寸法を測定することが可能となる。さらに、押え部材8で鉄筋10を第1受け台31に押し付けて固定する箇所が第4横枠材25上であるから、第1受け台31がぶれることなく鉄筋10の固定を行えるので、正確に拡径部11の寸法を測定することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 測定装置
2 架台
3 受け台
4 位置決め部材
5 光源
6 撮像手段
8 押え部材
9 長さ調節部
10 鉄筋
11 拡径部
12 端面
31 第1受け台
32 補助受け台
51 バックライト
61 CCDカメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7