特許第5964650号(P5964650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964650フィニッシャーを取り付けたステアリングホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964650
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】フィニッシャーを取り付けたステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B62D1/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-110564(P2012-110564)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-237313(P2013-237313A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091948
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 武男
(72)【発明者】
【氏名】村松 克弥
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−208571(JP,A)
【文献】 特開2009−040325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵用の把持部として形成されたリム部と、ステアリングシャフトに連結され、前記リム部の内側に配置されるボス部と、前記リム部と前記ボス部とを連結する複数のスポーク部と、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に離間して配された二つのスポーク部間に跨ってそれぞれ配置され、略I字状に形成された一対のフィニッシャーと、前記ボス部を覆い、前記各フィニッシャーに対して所定隙間を介在させて配置されたステアリングパッドと、を備えたステアリングホイールであって、
前記フィニッシャーは、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上方に配されたスポーク部に係止される上部係止部と、下方に配されたスポーク部に係止される下部係止部とを有し、
前記下部係止部は、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、前記フィニッシャーの内側面から前記フィニッシャーの下端側において対向するフィニッシャー側に向けて延設した延設部に設けられ、前記下部係止部は、前記延設部の裏面から立設された突起部及び係止片を有し、前記突起部と前記係止片とは、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に離間して配され、
ステアリングホイールの中立状態における上面視において、下方に配されたスポーク部には、前記突起部を嵌入させるとともに前記係止片を係合させる係合受け部が形成され、
前記延設部が前記ステアリングパッドにより覆われていることを特徴とするフィニッシャーを取り付けたステアリングホイール。
【請求項2】
前記延設部に開口が形成され、前記突起部の基端部と前記係止片の基端部との間が前記開口によって離間して配されていることを特徴とする請求項1に記載のフィニッシャーを取り付けたステアリングホイール。
【請求項3】
ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に沿った長孔が上方に配されたスポーク部に形成され、前記上部係止部が前記長孔に沿って摺動可能に、前記長孔に係止されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィニッシャーを取り付けたステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両を操舵するステアリングホイールに関するものであり、特に、フィニッシャーを取り付けたステアリングホイールに関するものである。尚、本願明細書においては、ステアリングホイールを中立状態にしたときの上面視において、ステアリングホイールの最上端側を上方とし、最下端側を下方として、上下方向を特定している。また、上下方向に交差する方向を左右方向として特定している。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両衝突時等における運転者の安全性を確保するため、変形可能な芯金構造を採用したステアリングホイールが各種提案されている。車両衝突時等において、例えば、ステアリングホイールに対して衝撃荷重が加わっても、ステアリングホイールの回転外周部を構成しているリム部や、リム部とボス部とをつなぐスポーク部が、反運転者側に変形することによって、ステアリングホイールに接触した運転者の衝撃を吸収して緩和することができるステアリングホイールの構成が採用されている。
【0003】
リム部やスポーク部の変形によって衝撃をできるだけ大きく吸収するには、衝撃荷重によって変形するリム部やスポーク部が、より大きく変形するように構成しておくことが望ましい。ところで、ステアリングホイールでは、ボス部やスポーク部をフィニッシャーによって装飾している構成が多用されている。しかも、フィニッシャーは、ボス部やスポーク部を覆う構成になっている。しかしながら、一般にフィニッシャーとしては、リム部やスポーク部が変形したとしても、この変形に追従することができるようには構成されていない。
【0004】
この問題を解決して、衝撃荷重がステアリングホイールに作用したときに、フィニッシャーに邪魔されずにステアリングホイールを大きく変形できるようにした車両のステアリング装置が、特許文献1において提案されている。
【0005】
特許文献1における車両のステアリング装置では、ステアリングホイールの中央に配設したステアリングパッドの外周域に、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、略Y字状に形成したガーニッシュ(本願発明では、フィニッシャーに相当)が配置されている。
【0006】
そして、ガーニッシュの縦棒部分の裏面には、即ち、略Y字状において途中から二股に分かれる縦方向の棒部分の裏面には、係止突起と係止爪とが形成されている。また、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、下側に配されたスポーク部は、一対のフレーム部を有する構成になっている。ガーニッシュの裏面に形成した係止爪を係止する係止片が、一対のフレーム部間に架け渡された構成になっている。そして、一対のフレーム部におけるリム部側には、ガーニッシュの裏面に形成した係止突起を嵌合させる係合孔が形成されている。
【0007】
このように構成されているステアリングホイールに対して衝撃荷重が作用すると、ガーニッシュが略Y字状に形成されているため、リム部やスポーク部の変形に対してガーニッシュが突っ張った状態になり、ステアリングホイールの変形を妨げることになる。
【0008】
そこで、特許文献1における車両のステアリング装置では、ステアリングパッドの外形に略沿うように配した脆弱部が、ガーニッシュに形成されている。そして、ステアリングホイールに対して衝撃荷重が作用したときには、ガーニッシュ自体としては脆弱部を中心
とした撓み変形が生じることになり、ステアリングホイールの変形に対してガーニッシュが追従できるように構成されている。
【0009】
また、略Y字状に形成されたガーニッシュの縦棒部分における幅寸法としては、二股に分かれた斜め部分における幅寸法よりも相対的に大きな幅寸法となるように形成されている。ガーニッシュの縦棒部分における幅寸法を大きく構成することにより、脆弱部における撓み変形を生じ易く構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−208571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載された車両のステアリング装置では、ステアリングホイールに対して衝撃荷重が作用したときに、ガーニッシュに形成した脆弱部が破断すると、ガーニッシュの破断面は、外部に向かって露呈してしまうことになる。特に、ガーニッシュの裏面に形成した係止爪が、脆弱部よりもステアリングパッド側に近い部位に形成されている。
【0012】
これは、係止爪によってガーニッシュのステアリングパッド側に近い部位を保持するための構成になっており、脆弱部の破断を起こし易い構成にしている。このように構成されているので、ガーニッシュの破断面が、外方に突出しない構成にしておくためには、様々な対策を講じておくことが必要になり、そのためのコストの高騰やガーニッシュの重量増加等は避けられなかった。
【0013】
ところで、近年におけるステアリングホイールの構成としては、デザイン上の観点からステアリングパッドの外周域に対して略Y字状に形成したガーニッシュを用いる構成の代わりに、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、左右別個に形成した一対のI字状のガーニッシュを用いた構成が採用されている。
【0014】
このような一対のガーニッシュを用いた構成では、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、下側に配されたスポーク部側での各ガーニッシュの幅寸法としては、必然的に狭い幅寸法に形成されることになる。
【0015】
即ち、ガーニシュを略Y字状に形成したときのガーニッシュの縦棒部分における幅寸法内に、一対のガーニッシュの下端部側をそれぞれ配する構成になる。そのため、一対のガーニッシュの下端部側における幅寸法としては、必然的に狭い幅寸法に形成されることになる。また、ガーニッシュの横断面形状としては、逆コ字状に形成されることになる。
【0016】
その結果、一対のガーニッシュを用いたステアリングホイールにおいては、各ガーニッシュの下端部側の端末を如何にしてステアリングホイールの変形に追従されることができるように構成するかが、大きな課題になっている。
【0017】
しかも、横断面形状が逆コ字状のガーニッシュを、そのままステアリングホイールの変形方向に変形させようとした場合には、逆コ字状の両側面を外方向側に拡開させる変形を生じさせなければ、ガーニッシュをステアリングホイールの変形方向に追従させることができないことになる。
【0018】
そして、逆コ字状の両側面を外方向側に拡開させる変形を生じさせるためには、大きな曲げ応力を加えることが必要となり、ステアリングホイールの変形に対してその変形を阻
害する抵抗としてガーニッシュが作用してしまうことになる。
【0019】
本願発明は、一対のフィニッシャー(特許文献1におけるガーニッシュに相当)を用いたステアリングホイールにおいて、ステアリングホイールに対して衝撃荷重が作用したときに、一対のフィニッシャーがリム部やスポーク部の変形に追従して、リム部やスポーク部の変形を許容することができ、しかも、各ガーニッシュの下端側の端末がリム部との接触状態から離反するのを防止することのできるフィニッシャーを備えたステアリングホイールの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明の課題は請求項1〜3に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明のフィニッシャーを備えたステアリングホイールは、操舵用の把持部として形成されたリム部と、ステアリングシャフトに連結され、前記リム部の内側に配置されるボス部と、前記リム部と前記ボス部とを連結する複数のスポーク部と、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に離間して配された二つのスポーク部間に跨ってそれぞれ配置され、略I字状に形成された一対のフィニッシャーと、前記ボス部を覆い、前記各フィニッシャーに対して所定隙間を介在させて配置されたステアリングパッドと、を備えたステアリングホイールであって、
前記フィニッシャーは、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上方に配されたスポーク部に係止される上部係止部と、下方に配されたスポーク部に係止される下部係止部とを有し、
前記下部係止部は、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、前記フィニッシャーの内側面から前記フィニッシャーの下端側において対向するフィニッシャー側に向けて延設した延設部に設けられ、前記下部係止部は、前記延設部の裏面から立設された突起部及び係止片を有し、前記突起部と前記係止片とは、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に離間して配され、
ステアリングホイールの中立状態における上面視において、下方に配されたスポーク部には、前記突起部を嵌入させるとともに前記係止片を係合させる係合受け部が形成され、
前記延設部が前記ステアリングパッドにより覆われていることを特徴としている。
【0021】
また、本願発明では、前記延設部に開口が形成され、前記突起部の基端部と前記係止片の基端部との間が前記開口によって離間して配されていることを主要な特徴としている。
【0022】
更に、本願発明では、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に沿った長孔が上方に配されたスポーク部に形成され、前記上部係止部が前記長孔に沿って摺動可能に、前記長孔に係止されてなることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本願発明では、略I字状に形成された一対のフィニッシャーを備えたステアリングホイールであっても、フィニッシャーの下端側において対向するフィニッシャー側に向けて延設した延設部を設け、この延設部の裏面に突起部及び係止片を立設させることで下部係止部を構成している。しかも、突起部と係止片とは、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に離間して配されており、前記上面視において下方に配されたスポーク部には、突起部を嵌入させるとともに係止片を係合させる係合受け部を形成している。また、延設部は、ステアリングパッドによって上方から覆われている構成になっている。
【0024】
このように構成されているので、ステアリングホイールに対して衝撃荷重が作用して、リム部やスポーク部が反運転者側に曲げ変形したときには、係止片に係合していた係合受け部の部位が、係止片側に回り込むように回動することになる。そして、フィニッシャー
の下部係止部は、係止片を係合している係合受け部の部位に引き連られた形で変形を行い、ステアリングホイールの変形に追従することができる。しかも、ステアリングホイールの変形にフィニッシャーが追従して変形しても、係止片を係合させている係合受け部の部位から係止片が離反することがない。
【0025】
また、係止片を裏面に立設している延設部は、フィニッシャーの下端部側から対向するフィニッシャー側に向けて延設した配置構成になっているので、ステアリングホイールの変形時には、延設部はフィニッシャーのステアリングパッド側における内面を捻じりながら、ステアリングホイールの変形方向に変形していくことになる。
【0026】
このように構成されているので、フィニッシャーの横断面形状が逆コ字状に形成されていても、逆コ字状に形成されたフィニッシャーのステアリングパッド側の内面を捻じりながら、フィニッシャーをステアリングホイールの変形方向に追従させることができる。
【0027】
即ち、横断面形状が逆コ字状のフィニッシャーを、そのままステアリングホイールの変形方向に変形させようとした場合には、逆コ字状の両側面を外方向側に拡開させる変形を生じさせなければ、フィニッシャーをステアリングホイールの変形方向に追従させることができない。
【0028】
しかし、本願発明では、ステアリングホイールの変形方向に伴って、逆コ字状における一方の側面を捻じる構成になっているので、逆コ字状の両側面を外方向側に拡開させる変形を生じさせなくても、フィニッシャーを捻じりながらステアリングホイールの変形方向に追従させることができる。
【0029】
しかも、逆コ字状の両側面を外方向側に拡開させる変形を生じさせるときに要する応力よりも、フィニッシャーを捻じりながら変形させるときの応力は小さな応力で行うことができる。そのため、フィニッシャーに脆弱部を形成しておかなくても、フィニッシャーは、ステアリングホイールの変形方向に対して容易に追従することができる。また、フィニッシャーの延設部が、ステアリングパッドによって覆われた構成になっているので、意匠性にも優れた構成をステアリングホイールに与えることができる。
【0030】
本願発明では、延設部に開口を形成して、延設部の裏面に立設した突起部の基端部と係止片の基端部との間を開口によって離間させた構成にすることができる。このように構成することによって、ステアリングホイールの変形時には、突起部と係止片とがそれぞれ独立して変形することができる。
【0031】
突起部と係止片とがそれぞれ独立して変形することによって、下部係止部としてはステアリングホイールの変形に追従し易くなり、しかも、下部係止部を形成したフィニッシャーの下端がリム部から離間することなく、フィニッシャーはステアリングホイールの変形に追従することができる。
【0032】
本願発明では、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、上下方向に沿った長孔を上方に配したスポーク部に形成しておくことができる。そして、フィニッシャーにおける上部係止部を、上記長孔に係止された状態で上記長孔に沿って摺動可能に構成にしておくことができる。
【0033】
ここで、例えば、ステアリングホイールの中立状態における上面視において、ステアリングホイールがステアリングシャフト側に向かって回動しながら変形した場合について説明を行う。このとき、ステアリングホイールの変形に追従するフィニッシャーに対しては、フィニッシャーの下端部をステアリングシャフト側に向かって回動させる応力が作用す
ることになる。
【0034】
本願発明では、フィニッシャーにおける上部係止部を長孔に沿って摺動可能に、しかも、長孔に係止した構成になっている。この構成によって、フィニッシャーの下端部をステアリングシャフト側に向かって回動させる応力が作用しても、上部係止部が長孔に沿って摺動することによって、フィニッシャーの下端部をステアリングシャフト側に向かって回動させるのを滑らかに行わせることができる。
【0035】
このように、本願発明では、下部係止部を形成したフィニッシャーの下端をリム部から離間させることなく、フィニッシャーをステアリングホイールの変形に追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】一対のフィニッシャー、ロアカバーを組付ける前の状態を示すステアリングホイールの斜視図である。(実施例)
図2】ステアリングパッドを透明状態にして、フィニッシャーを組付けた状態を示すステアリングホイールの正面図である。(実施例)
図3】フィニッシャーの裏面側を示す斜視図である。(実施例)
図4図2のIV−IV断面図である。(実施例)
図5図1における長孔周辺の要部拡大図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明のフィニッシャーを取り付けたステアリングホイールの構成としては、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0038】
本願発明に係る実施例の構成を、図1図4を用いて説明する。図1に示すように、ステアリングホイール1は、図示せぬステアリングシャフトを連結するステアリングシャフト取付孔2aを有するボス部2、運転者が把持するリム部3、及びボス部2とリム部3の芯金とを結ぶスポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6bを備えた構成になっている。リム部3の芯金、ボス部2及びスポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6bは、アルミニウム合金やマグネシウム合金などを用いて一体成形によって構成されている。
【0039】
ボス部2及びスポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6bが、運転者側に露呈しないようにするため、ボス部2はステアリングパッド9(図2参照)によって乗員側が覆われ、スポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6bは、一対のフィニッシャー7a,7bによって覆われている。ステアリングパッド9の外周縁側は、一対のフィニッシャー7a,7bの内側面25との間で所望の隙間を介して配設されている。
尚、図2では、透明状態にしたステアリングパッド9を示している。
【0040】
各フィニッシャー7a,7bは、内側面25と外側面26とを上面で連結した横断面形状が逆コ字状に形成されており、各側面25,26には所望の意匠を施しておくことができる。また、各フィニッシャー7a,7bの上方側の端部上面27には、必要に応じてスイッチ類等を配設しておくこともできる。
【0041】
ステアリングホイール1の裏面側にはロアカバー8が配されており、ロアカバー8によっ
てステアリングホイール1の裏面側が覆われている。ステアリングパッド9や各フィニッシャー7a,7bやロアカバー8は、ABS樹脂材などのような硬質の合成樹脂材によってそれぞれ一体成形によって構成されている。
【0042】
スポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6b に連結したリム部3の芯金の外周部は、軟質の合成樹脂材等によって覆われた構成になっている。
【0043】
各スポーク部4a,4b、5a,5b、6a,6bの配置構成を、ステアリングホイールの中立状態における上面視において説明すると、スポーク部4a,4bは、ボス部2から左右方向に延設した形状に構成されており、延設した先端部側は、リム部3の芯金に連結している。スポーク部5a,5bは、ボス部2から下方側に向かって延設した形状に構成されており、ボス部2側から離れた途中における下部屈曲部23bから乗員側に屈曲した形状に形成されており、乗員側に屈曲したスポーク部5a,5bは上部屈曲部23aにおいて下方に屈曲してリム部3の芯金に連結した形状に構成されている。
【0044】
スポーク部5a,5bの下部屈曲部23b間には、補強部22が形成されており、補強部22はスポーク部6a,6bによって上部に配したスポーク部4a,4bとそれぞれ連結した構成になっている。補強部22及びスポーク部6a,6bを形成しておくことにより、リム部3の操作を確実にボス部2に伝達させることができる。しかも、スポーク部4a,4b及びスポーク部5a,5bを軽量化した構成にしても、補強部22及びスポーク部6a,6bによってスポーク部4a,4b及びスポーク部5a,5bにおける強度を向上させることができるので、リム部3の操作が確実にボス部2に伝達できる。
【0045】
図3には、フィニッシャー7bの裏面における構成を示している。しかし、各フィニッシャー7a,7bの形状は互いに鏡面対称とした形状に構成されているので、フィニッシャー7aの裏面における構成としては、フィニッシャー7bの裏面における構成を鏡面対称にした配置構成として形成されている。そのため、フィニッシャー7aの裏面における構成の図示は、省略している。
【0046】
図3にフィニッシャー7bの裏面を示しているように、各フィニッシャー7a,7bの裏面において、各フィニッシャー7a,7bの上端側における部位には、上部係止部10が各フィニッシャー7a,7bの裏面から立設する形で形成されており、各フィニッシャー7a,7bの下端側における部位には、下部係止部12が形成されている。各フィニッシャー7a,7bの下端側と上端側との間における下端側寄りの部位には、中間係止部11が各フィニッシャー7a,7bの裏面から立設する形で形成されている。
【0047】
各フィニッシャー7a,7bの下端側には、各フィニッシャー7a,7bをステアリングホイール1に取り付けた状態において、対向する各フィニッシャー7b,7a側に向けて延設した延設部13a,13bが設けられている。各延設部13a,13bの裏面には、突起部14と係止片15とが立設されている。
【0048】
また、各延設部13a,13bには、開口16が形成されており、開口16を間に挟んで、上下方向に突起部14と係止片15とが配設されている。係止片15の頭部には、突起部14方向に突出した爪部15aが形成されている。そして、下部係止部12としては、延設部13a,13bと各延設部13a,13bの裏面に形成した突起部14と係止片15とを有した構成になっている。
【0049】
各スポーク部5a,5bの下端側には、各延設部13a,13bの裏面に形成した突起部14を嵌合させる嵌合孔18(図4参照)と係止片15の爪部15aを係合させる係止部19(図4参照)とが形成されている。嵌合孔18と係止部19とによって、係合受け部17が構成されている。
【0050】
図4は、図2におけるIV−IV断面図を示しており、下部係止部12と係合受け部17との係合状態を示している。また、図2は、ステアリングホイール1に一対のフィニッシャー7a,7bを取り付けた状態を示している。即ち、下部係止部12と係合受け部17とを係合させた状態において、図1におけるネジ28をスポーク部4a,4bに形成した長孔20とスポーク部5a,5bに形成した取付部21の裏面側からそれぞれ挿入して、上部係止部10と中間係止部11に螺入することで、上下方向に離間して配されたスポーク部4a,4bとスポーク部5a,5bと間に跨った各フィニッシャー7a,7bをそれぞれ取り付けることができる。
【0051】
上部係止部10は、図5に示すようにスポーク部4a,4bに形成した長孔20の下端寄りに取り付けられているので、ステアリングホイール1に対して衝撃荷重が作用して、ステアリングホイール1が反運転者側に変形したときには、各フィニッシャー7a,7bの上部係止部10が長孔20内に沿って上端寄りへと摺動することができる。
【0052】
次に、ステアリングホイール1に対して衝撃荷重が作用して、リム部3やスポーク部5a,5bが反運転者側に曲げ変形した場合を例に挙げて、このときの各フィニッシャー7a,7bが追従して変形する様子について説明を行う。ステアリングホイール1に対して衝撃荷重が作用して、リム部3やスポーク部5a,5bが反運転者側に曲げ変形すると、係止片15に係合していた係合受け部17の係止部19は、図示せぬステアリングシャフト側に回り込むように回動することになる。
【0053】
このとき、各フィニッシャー7a,7bの係止片15を係合させていたスポーク部5a,5bの係止部19は、係止片15の爪部15aとの係合状態を維持する方向に回動することになる。このとき、リム部3やスポーク部5a,5bが変形する反運転者側への曲げ変形の方向によって、係止片15は図示せぬステアリングシャフト側に回り込むように引っ張り込まれた状態になったり、或いは、各フィニッシャー7a,7bを上方向側に押し上げる状態になる。
【0054】
このような状態に各フィニッシャー7a,7bがおかれても、上部係止部10が長孔20に係止された状態になっているので、各フィニッシャー7a,7bはこれらの状態を許容することができるように上部係止部10は長孔20内を摺動することができる。しかも、上部係止部10が長孔20内を摺動しても、下部係止部12と係合受け部17との係合状態は維持されることになる。
【0055】
このようにして、各フィニッシャー7a,7bは、ステアリングホイール1の変形に追従することができ、しかも、各フィニッシャー7a,7bの下端部は、リム部3との接触状態を維持しながら変形することができるので、ステアリングホイール1が変形しても、各フィニッシャー7a,7bの端部が、外方に飛び出る状態を防止しておくことができる。
【0056】
横断面形状が逆コ字状に形成された各フィニッシャー7a,7bを、逆コ字状の開放側に向かってそのまま曲げようとした場合には、逆コ字状の両側面25,26を外方向側に拡開させるように変形させなければ、各フィニッシャー7a,7bをステアリングホイール1の変形方向に追従させることができない。しかも、このように各フィニッシャー7a,7bを曲げさせるためには、大きな応力を各フィニッシャー7a,7bに作用させなければならない。
【0057】
各フィニッシャー7a,7bを曲げさせるためには、すなわち大きな応力を各フィニッシャー7a,7bに作用させるということは、ステアリングホイール1の変形に対して各フィニッシャー7a,7bが大きな抵抗になってしまう。
【0058】
本願発明では、ステアリングホイール1の変形によって、各フィニッシャー7a,7bに設けた延設部13a,13bに対して曲げ力が作用することになるので、ステアリングホイール1の変形時には、延設部13a,13bは各フィニッシャー7a,7bのステアリングパッド9側の内側面25
を捻じりながら、ステアリングホイール1の変形方向に追従して変形していくことになる。
【0059】
しかも、各フィニッシャー7a,7bの内側面25を捻じりながら、各フィニッシャー7a,7bをステアリングホイール1の変形方向に追従させる応力としては、上述した逆コ字状の両側面25,26を外方向側に拡開させるときに要する応力よりも小さな応力ですむ。その結果、各フィニッシャー7a,7bの横断面形状が逆コ字状に形成されていても、各フィニッシャー7a,7bをステアリングホイール1の変形方向に容易に追従させることができ、ステアリングホイール1の変形に対する大きな抵抗にはならない。
【0060】
また、延設部13a,13bにはそれぞれ開口16が形成されているので、開口16を挟んで上下方向に対向して配した突起部と係止片とは、ステアリングホイールの変形時にはそれぞれ独立して変形することができる。
【0061】
突起部と係止片とがそれぞれ独立して変形することによって、下部係止部としてはステアリングホイールの変形に追従し易くなり、しかも、下部係止部を形成したフィニッシャーの下端がリム部から離間することなく、フィニッシャーはステアリングホイールの変形に追従することができる。
【0062】
また、スポーク部5a,5bには、上部屈曲部23aが形成されているので、ステアリングホイール1の変形に対して上部屈曲部23aを中心としてスポーク部5a,5bを変形させることができ、更に、下部屈曲部23bを中心としたスポーク部5a,5bの変形も生じさせることができるので、スポーク部5a,5bの変形を容易に行わせることができる。
【0063】
しかも、スポーク部5a,5bが容易に変形可能な構成としても、スポーク部5a,5bの下部屈曲部23b間に形成した補強部22及びスポーク部5a,5bとスポーク部4a,4bとの間に配設したスポーク部6a,6bによって、リム部3の操作をボス部2に対して確実に伝達できる構成にしている。
【0064】
また、フィニッシャーの下部係止部を有する延設部は、ステアリングパッドによって覆われているので、露出することがなく意匠性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本願発明は、本願発明の技術思想を適用することができるステアリングホイールに対しては、本願発明の技術思想を好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・ステアリングホイール、 2・・・ボス部、 3・・・リム部、 4a,4b・・・スポーク部、 5a,5b・・・スポーク部、6a,6b・・・スポーク部、7a,7b・・・フィニッシャー、10・・・上部係止部、12・・・下部係止部、13a,13b・・・延設部、14・・・突起部、15・・・係止片、16・・・開口、17・・・係合受け部、20・・・長孔。
図1
図2
図3
図4
図5