特許第5964657号(P5964657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964657
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】接着剤用組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 167/00 20060101AFI20160721BHJP
   C09J 169/00 20060101ALI20160721BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20160721BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20160721BHJP
   C08G 64/02 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C09J167/00
   C09J169/00
   C09J175/06
   C08G18/42
   C08G64/02
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-120919(P2012-120919)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245312(P2013-245312A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 英三郎
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/063768(WO,A1)
【文献】 特開2011−213936(JP,A)
【文献】 特開2011−195840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
C08G 63/−64/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリオール(a)と、ポリカーボネートジオール(b)と、ポリイソシアネート(c)と、を含有し、
前記ポリカーボネートジオール(b)は、下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであり、
下記式(A)で表される繰り返し単位の60〜100モル%は、下記式(B)及び下記式(C)で表される繰り返し単位であり、
下記式(B)で表される繰り返し単位と下記式(C)で表される繰り返し単位の割合が、70:30〜30:70(モル比)であり、
1級末端OH比率が95〜99.5%である、
接着剤用組成物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族、又は脂環族炭化水素を表す。)
【化2】
【化3】
【請求項2】
前記ポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量が、450〜1250である、請求項1に記載の接着剤用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン系接着剤は、その構成成分を選択することで、幅広い物性、形態、硬化様式を設計することが可能であり、さらに、耐薬品性などの化学的性質にも優れるため、プラスチック、金属、木材などの多くの基材の接着に用いられている。中でも、柔軟性や耐レトルト性を要求される食品包装袋などに使用されるフレキシブル包装用ラミネーションフィルムの接着剤(例えば、特許文献1参照)や、耐加水分解性や耐熱性などの高い耐久性が要求される自動車部品の接着剤(例えば、特許文献2参照)に用いられている。近年は、長期にわたって接着強度を維持することが要求される、太陽電池裏面封止用シート用の接着剤として注目されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−285183号公報
【特許文献2】特開2011−195840号公報
【特許文献3】特開2008−4691号公報
【特許文献4】特開2011−213939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、用いるポリオールの反応性が低い場合、硬化時間が長くなるばかりか、未反応のポリオールが残留することで、接着性が低下したり、未反応ポリオールがブリードしたりするなどの不都合が存在する。また、結晶性の高い原料を用いた場合、接着層が白化するなどの不都合も発生する。従って、良好な接着性を有し、かつ長期にわたって接着強度を維持することが可能であり、柔軟性を有するポリウレタン系接着剤が求められている。さらには、濁りや斑、ブリードアウトがなく透明で、着色しにくい接着剤が望まれている。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、強靱な接着力を有し、長期間にわたって接着力を維持できる上、硬化後の外観が良好に保たれる接着剤用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネートジオールを用いることにより上記の不都合を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明の構成は、以下のとおりである。
【0007】
〔1〕
ポリエステルポリオール(a)と、ポリカーボネートジオール(b)と、ポリイソシアネート(c)と、を含有し、
前記ポリカーボネートジオール(b)は、下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであり、
下記式(A)で表される繰り返し単位の60〜100モル%は、下記式(B)及び下記式(C)で表される繰り返し単位であり、
下記式(B)で表される繰り返し単位と下記式(C)で表される繰り返し単位の割合が、70:30〜30:70(モル比)であり、
1級末端OH比率が95〜99.5%である、
接着剤用組成物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族、又は脂環族炭化水素を表す。)
【化2】
【化3】
〔2〕
前記ポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量が、450〜1250である、前記〔1〕に記載の接着剤用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、強靱な接着力を有し、長期間にわたって接着力を維持できる上、硬化後の外観が良好に保たれる接着剤用組成物を提供することができるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
〔接着剤用組成物〕
本実施形態の接着剤用組成物は、ポリエステルポリオール(a)と、ポリカーボネートジオール(b)と、ポリイソシアネート(c)と、を含有し、
前記ポリカーボネートジオール(b)は、下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基とを有するポリカーボネートジオールであり、
下記式(A)で表される繰り返し単位の60〜100モル%は、下記式(B)及び下記式(C)で表される繰り返し単位であり、
下記式(B)で表される繰り返し単位と下記式(C)で表される繰り返し単位の割合が、70:30〜30:70(モル比)であり、
1級末端OH比率が95〜99.5%である。以下、本発明について具体的に説明する。
【化4】
(式中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族、又は脂環族炭化水素を表す。)
【化5】
【化6】
【0011】
〔ポリエステルポリオール(a)〕
本実施形態で用いるポリエステルポリオール(a)は、特に限定されないが、具体的には、ジカルボン酸とグリコールを原料に、エステル化反応で得ることができる。ジカルボン酸としては、特に限定されないが、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、マゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族、又は脂環族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ、1種又は2種以上を選択して用いることができる。また、ジカルボン酸は、その無水物、又はジメチルエステルなどのエステル誘導体の状態で重合に用いることができる。グリコールとしては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ポリオキシメチレングリコールなどの脂肪族、又は脂環式グリコールが挙げられ、1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0012】
本実施形態では、上記の原料を用いて重合したポリエステルポリオール(a)から1種又は2種以上を選択して用いることができる。また、その中でも結晶性が低いポリエステルポリオール(a)を用いた方が、経時的に接着層が白化することが回避できるので好ましい。ここで、用語「結晶性が低い」とは、常温付近に融点を有しないことをいう。
エステル化反応では、公知の反応触媒を用いることができる。
【0013】
本実施形態において、ポリエステルポリオール(a)の分子量は、特に限定されないが、具体的には、数平均分子量で5,000〜50,000が好ましい。分子量が5,000以上であれば、初期の凝集力が高く、層間剥離を起こすこともなく、50,000未満であれば接着剤の高粘度が原因で塗工性に問題が発生することもない。またこの観点から、10,000〜35,000であることがより好ましい。なお、ポリエステルポリオール(a)の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた方法により測定することができる。
【0014】
〔ポリカーボネートジオール(b)〕
本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)は、下記式(A)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基を有するポリカーボネートジオールであって、下記式(A)で表される繰り返し単位の60〜100モル%は下記式(B)及び下記式(C)で表される繰り返し単位であり、下記式(B)で表される繰り返し単位と下記式(C)で表される繰り返し単位の割合が、70:30〜30:70(モル比)であり、そして1級末端OH比率が95〜99.5%である。
【0015】
また、ポリカーボネートジオール(b)において、下記式(A)で表される繰り返し単位の割合は、好ましくは95モル%以上100モル%以下、より好ましくは97モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは99モル%以上100モル%以下である。
【化7】
(式中、Rは、炭素数2〜15の二価の脂肪族、又は脂環族炭化水素を表す。)
【化8】
【化9】
【0016】
(1級末端OH比率)
本実施形態におけるポリカーボネートジオール(b)の1級末端OH比率は、ポリカーボネートジオールを0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより初期留分として得られるアルコール類において、両末端が1級ヒドロキシル基であるジオールの、ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)の合計に対する質量%として定義される。ここでのジオールを含むアルコール類は、ポリカーボネートジオール(b)の末端部分のセグメントに対応している。具体的には、本実施形態における1級末端OH比率は、ポリカーボネートジオール(70g〜100g)を0.4kPa以下の圧力下、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱することにより、該ポリカーボネートジオールの約1〜2質量%に相当する量の留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得て、これを約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をガスクロマトグラフィー(GC)分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記式(1)により計算した値をいう。
1級末端OH比率(%)=A÷B×100 (1)
A:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
B:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和
【0017】
なお、上記の1級末端OH比率の測定のために行なうGC分析において検出される「ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)」としては、特に限定されないが、具体的には、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ペンタンジオール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノールなどが挙げられる。上記のようにポリカーボネートジオールを0.4kPa以下の圧力下で、攪拌しながら160℃〜200℃の温度で加熱すると、ポリカーボネートジオール(b)の末端部分のみがジオールを含むアルコール単位に分解されて蒸発し、留分として得られる。この留分中の全アルコール類における両末端が1級OH基であるジオールの比率を、本実施形態におけるポリカーボネートジオール(b)の1級末端OH比率とする。
【0018】
本実施形態における接着剤用組成物では、ポリカーボネートジオール(b)の反応性を適切に制御することが重要となる。1級末端OH比率が95〜99.5%であれば、適切な接着時間とすることが出来る。また、使用するポリイソシアネート(c)やポリエステルポリオール(a)の種類によらず、ポリエステルポリオール(a)とポリイソシアネート(c)とが優先的に反応して不均一な構造となることを回避できるため、接着強度が向上する。または、経時的な接着強度低下が小さいという効果もある。さらに、未反応のポリカーボネートジオールや低分子量のポリウレタンがブリードするという不都合も回避できる。また、1級末端OH比率が96%〜99.5%の場合、上記効果がより高いため好ましく、97%〜99.5%である場合、適切な接着時間を有し、接着強度が高く、経時的な接着強度低下も少ない、バランスに優れる接着剤用組成物を得ることができるためより好ましい。
【0019】
本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)の製造方法は、特に限定されないが、具体的には、Schnell著、ポリマー・レビューズ第9巻、p9〜20(1994年)に記載される種々の方法で製造することができる。
【0020】
本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)は、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジオール原料として用いる。これらジオールに加えて用いることのできる化合物としては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどの側鎖を持たないジオール;2−メチル−1、8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1、5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどの環状ジオールが挙げられ、1種類又は2種類以上のジオールを原料として用いてもよい。その量は、本実施形態で示す繰り返し単位の割合を満たせば、特に限定されるものではない。
【0021】
さらに、本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)の製造には、必要に応じて、1分子に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いることもできる。なお、ポリカーボネートジオール(b)の重合反応中に架橋してゲル化が起きないように、当該化合物は、原料とするジオールの合計量に対し、0.1〜5質量%にするのが好ましい。用いる場合の当該化合物の量は、より好ましくは0.1〜2質量%である。
【0022】
本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)の製造において用いられる炭酸エステルとしては、特に限定されないが、具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。これらの内から1種又は2種以上の炭酸エステルを原料として用いることができる。ジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いた場合、ジオールと炭酸エステルとの仕込み比などの条件により、本実施形態の1級末端OH比率を満たすポリカーボネートジオール(b)が容易に得られるので好ましい。また、入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネートを用いることがさらに好ましい。
【0023】
本実施形態で用いるポリカーボネートジオール(b)の製造においては、触媒を添加してもよいし、添加しなくてもよい。触媒を添加する場合は、通常のエステル交換反応触媒から自由に選択することができる。このようなエステル交換反応触媒としては、特に限定されないが、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウムなどの金属、塩、アルコキシド、有機化合物が用いられる。特に好ましいのは、チタン、スズ、鉛の化合物である。また、触媒の使用量は、通常はポリカーボネートジオール重量の0.00001〜0.1%である。
【0024】
ポリカーボネートジオール(b)の製造方法の一例として、カーボネートとしてジメチルカーボネートを用いる方法を述べる。ポリカーボネートジオールの製造は、2段階に分けて行うことができる。ジオールとジメチルカーボネートをモル比で20:1〜1:10の割合で混和し、常圧又は減圧下、100〜300℃で反応させ、生成するメタノールをジメチルカーボネートとの混合物として除去して、低分子量ポリカーボネートジオールを得ることができる。次いで、減圧下、160〜250℃で加熱して、未反応のジオールとジメチルカーボネートを除去するとともに、低分子量ポリカーボネートジオールを自己縮合させて、所定の分子量のポリカーボネートジオールを得ることができる。
【0025】
所定の1級末端OH比率を持つポリカーボネートジオール(b)は、原料ジオールの純度、温度や時間などの重合条件、さらに、カーボネートとしてジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いる場合は、ジオールとカーボネートの仕込み比などの条件より、1つの方法を選択して、又は適宜組み合わせることにより得ることができる。
【0026】
工業的に得られる1,5−ペンタンジオールは、一般的に、2級ヒドロキシル基を有する不純物として、1,5−ヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジオールを、各々0.2〜2質量%含有している。一方、工業的に得られる1,6−ヘキサンジオールは、一般的に、1,4−シクロヘキサンジオールなどの2級ヒドロキシル基を有する不純物を0.1〜2質量%含んでいる。これら2級ヒドロキシル基を持つジオールは、ポリカーボネートジオール製造時、エステル交換反応性が低いため、ポリカーボネートジオールの末端基となることが多く、その結果、末端に2級ヒドロキシル基を持つポリカーボネートジオールとなる。
【0027】
また、カーボネートとして、ジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いた場合、目的とするポリカーボネートジオールの分子量に対応させて、ジオールとカーボネートを化学量論量、又はそれに近い割合で仕込んで反応させると、ポリカーボネートジオールの末端にカーボネートに由来するアルキル基やアリール基が残存することが多い。そこで、カーボネートに対するジオールの量を、化学量論量の1.01〜1.30倍とすることで、ポリカーボネートジオールの末端に残存するアルキル基やアリール基末端が減り、ヒドロキシル基とすることができる。さらに、副反応により、ポリカーボネートジオールの末端がビニル基になったり、例えばカーボネートとしてジメチルカーボネートを用いた場合、メチルエステルやメチルエーテルになったりする。一般的に、副反応は、反応温度が高いほど、反応時間が長いほど起きやすくなる。そこで、反応温度を例えば200℃以下とすることで、ポリカーボネートジオールの末端がビニル基になることを抑制できる。
【0028】
(主成分割合)
本実施形態で用いられるポリカーボネートジオール(b)において、上記式(A)で表される繰り返し単位における上記式(B)及び上記式(C)で表される繰り返し単位の割合(以下、「主成分割合」ともいう。)は、60〜100モル%である。主成分割合が60モル%以上であれば、柔軟性のある接着層が得られるとともに、経時的に接着力が低下しにくいので好ましい。主成分割合が70〜100モル%の場合がより好ましく、85〜100モル%である場合がさらに好ましい。
【0029】
(共重合割合)
本実施形態で用いられるポリカーボネートジオール(b)において、上記式(B)で表される繰り返し単位と上記式(C)で表される繰り返し単位の割合(以下、「共重合割合」ともいい、上記式(B):上記式(C)で表す。)は、モル比で70:30〜30:70である。共重合割合がこの範囲であれば、経時的に白化することも無く、強靱で柔軟性な接着層が得られる、さらに、共重合割合がモル比で65:35〜35:65である場合がより好ましく、60:40〜40:60である場合がさらに好ましい。
【0030】
従来、ポリカーボネートジオール(b)は、上記式(C)で表される繰り返し単位と末端ヒドロキシル基からなり、それを用いて得られるポリウレタンは、高い結晶性を有し、耐加水分解性や耐熱性は高いものの、柔軟性や接着強度が不足していた。さらには、経時的に接着層が白化することもあった。本実施形態では、上記式(C)の繰り返し単位と、メチレン鎖長が近く、分岐構造を持たず、奇数のメチレン鎖を持つ繰り返し単位(上記式(B)の繰り返し単位)とを含むことで、ポリカーボネートジオール(b)の結晶性を低下させることができる。さらに、特定の主成分割合と共重合割合を有することにより、耐加水分解性や耐熱性などの耐久性を維持しつつ、接着強度と柔軟性を併せ持つとともに経時的に白化しにくい接着性組成物を得ることができる。
【0031】
(数平均分子量)
本実施形態で用いられるポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量の範囲は、300〜3000であることが好ましい。ポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量が300以上であれば、高い接着強度や柔軟性を有する接着剤用組成物が得られる。また、ポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量が3000以下であれば、接着剤用組成物の粘度が高くなりすぎて塗工性が低下することもない。さらに、ポリカーボネートジオール(b)の数平均分子量が450〜1250であれば、ポリエステルポリオールとの相溶性が向上するとともに、接着剤用組成物の均一性が向上し、高い接着性が得られるのでより好ましい。数平均分子量は実施例に記載の方法で測定することができる。
【0032】
本実施形態のポリカーボネートジオール(b)は、接着強度や柔軟性を向上させる目的で、その分子内に下式(D)の繰り返し単位で表される構造を更に含むこともできる。
【化10】
(式中、R2はアルキレン基を表し、該アルキレン基は2種類以上であっても構わない。また、xは2以上の整数を表す。)
【0033】
本実施形態のポリカーボネートジオール(b)において、分子中の式(D)の繰り返し単位の含有量は、特に限定されるものではないが、耐熱性が低下することを回避する観点から、式(A)で表されるカーボネートの繰り返し単位に対し、式(D)で表される(エーテル由来の構造を有する)繰り返し単位が0.05〜5モル%以下であることが好ましく、0.05〜3モル%以下であることがより好ましい。
【0034】
本実施形態において、ポリカーボネートジオール(b)の量は、ポリエステルポリオール(a)とポリカーボネートジオール(b)の合計に対して5〜95質量%であることが好ましい。この割合が5質量%以上であれば、柔軟性を有すると共に、経時的な接着強度低下が少ない接着剤用組成物が得られる。また、上記割合が95質量%以下であれば、高い接着強度を有する接着剤用組成物が得られる。上記割合が10〜80%であればより好ましく、15〜60%であればさらに好ましい。
【0035】
なお、本実施形態の接着剤用組成物には、式(B)で表される繰り返し単位のみで構成される重合体、及び/又は式(C)で表される繰り返し単位のみで構成される重合体が含まれてもよい。
【0036】
〔ポリイソシアネート(c)〕
本実施形態で用いるポリイソシアネート(c)は、複数のイソシアネート基(ブロック又は変性されたものを含む)を有する限りは、特に限定されないが、具体的には、2,4−トリレジンジイソシアネート、2,6−トリレジンジイソシアネート及びその混合物等のTDI;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート及びその混合物等のMDI;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等のNDI;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等のTODI;粗製TDI;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等のPMDI;粗製MDI等の芳香族ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート及びその混合物等のXDI;1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート及びその混合物等のTMXDI;フェニレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、2,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、2,2’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート及びその混合物等の水添MDI;イソホロンジイソシアネート等のIPDI;1,3−ビス(イシシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イシシアネートメチル)シクロヘキサン及びその混合物等の水添XDI;1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等のHDI;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートを挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を用いてもよい。なお、脂肪族または脂環式を用いた場合は、着色しにくい接着剤用組成物となるので好ましい。
【0037】
ポリイソシアネート(c)のさらなる例としては、前記イソシアネートの多量体(2量体、3量体、5量体、7量体など)、ウレタン変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体が挙げられる。さらには、イソシアネート基に、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、ピラゾール化合物、マロン酸ジエステルなどのブロック化剤を結合したブロックイソシアネートを使用することもできる。通常は1種のポリイソシアネートを選択して用いるが、これらのポリイソシアネートから2種類以上を選択して用いても構わない。
【0038】
ポリイソシアネート(c)の使用量は、ポリエステルポリオール(a)とポリカーボネートジオール(b)とに由来する水酸基(OH)に対する、ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)で表して、1.5〜10であることが好ましい。NCO/OHの値が1.5以上であれば、経時的に接着剤用組成物の接着力が低下することがなく、10以下であれば、十分な接着力を有する接着剤用組成物が得られる。NCO/OHの値は、さらに、2〜8であることがより好ましく、2〜5であることがさらに好ましい。
【0039】
〔その他の成分〕
本実施形態の接着剤用組成物は、必要に応じて、鎖延長剤を含有することもできる。鎖伸長剤としては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの短鎖ジオール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミンなどのジアミン類;及び水が挙げられるが、これらに限定されない。通常は1種の鎖延長剤を選択して用いるが、これらの鎖延長剤から2種類以上を選択しそれらを混合して用いても構わない。鎖伸長剤の使用量は、ポリエステルポリオール(a)とポリカーボネートジオール(b)の合計に対して、1〜50モル%であることが好ましい。
【0040】
本実施形態の接着剤用組成物の使用対象物は、特に限定されず、例えば、プラスチック、金属、木材、ガラス等に用いることができる。この接着剤用組成物を、ガラス面や金属箔、金属板、又は金属蒸着フィルムを基材として用いる場合、接着強度を向上させるために、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシランなどの(メタ)アクリロキシシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,3−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類が挙げられる。これらのシランカップリング剤を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて配合することもできる。シランカップリング剤の添加量は、通常は、ポリエステルポリオール(a)とポリカーボネートジオール(b)の合計に対して、0.1〜10質量%であってよい。
【0041】
本実施形態の接着剤用組成物は、必要に応じて、反応促進剤を用いることができる。反応促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレートなどの有機金属化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、モルホリンなどの含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸スズなどの金属塩が挙げられる。通常は、ポリエステルポリオール(a)、ポリカーボネートジオール(b)、及びポリイソシアネート(c)の合計に対して0.00001〜0.1質量%の量を添加してよい。
【0042】
本実施形態の接着剤用組成物には、必要に応じて、難燃材、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を用いてもよい。
【0043】
難燃材としては、特に限定されないが、具体的には、三酸化アンチモン、臭素化ポリスチレンが挙げられる。
【0044】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、具体的には、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸誘導体系、ベンゾフェノン系が挙げられる。
【0045】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどのヒンダードフェノール系、4,4´−チオビス[2−t−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]などのチオエーテル系が挙げられる。
【0046】
レベリング剤としては、特に限定されないが、具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物が挙げられる。
【0047】
消泡剤としては、特に限定されないが、具体的には、高分子量ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン油、アミノ基導入シリコーン油などの変性シリコーン油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン界面活性剤、鉱物油が挙げられる。
【0048】
本実施形態の接着剤用組成物は、必要に応じて、不活性有機溶剤を10〜100質量%含有することができる。不活性有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等の溶媒が挙げられる。これらの不活性有機溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0049】
本実施形態の接着剤用組成物の塗布量は、通常は、固形分として0.5〜10g/m2であってよい。塗布量が0.5g/m2以上であれば、十分な接着強度が得られるとともに外観不良となる可能性も少ない。塗布量が10g/m2以下であれば、フィルム端部から接着剤が漏出することもないので好ましい。
【0050】
本実施形態の接着剤用組成物は、使用時に、ポリエステルポリオール(a)及びポリカーボネートジオール(b)を、ポリイソシアネート(c)と混合する2液タイプの接着剤として使用してもよいし、ポリエステルポリオール(a)とポリカーボネートジオール(b)とポリイソシアネート(c)とが予め混合された1液タイプの接着剤としても使用できる。
【0051】
〔接着剤用組成物の製造方法〕
接着剤用組成物の製造方法は特に限定されず一般的に用いられる混合方法で製造することができ、必要に応じて有機溶媒や触媒を用いることができる。例えば、有機溶媒にポリエステルポリオール(a)と、ポリカーボネートジオール(b)を加え、撹拌して均一な溶液とし、当該溶液にポリイソシアネート(c)と、触媒を加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製することができる。
【実施例】
【0052】
次に、実施例及び比較例によって、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において示す物性値は、下記の方法で測定した。
【0053】
1)ポリカーボネートジオールの1級末端OH比率
ポリカーボネートジオールの1級末端OH比率は、以下の方法で測定した。ポリカーボネートジオール70g〜100gを300ccのナスフラスコに測り取り、留分回収用のトラップ球(trap bulb)に接続したロータリーエバポレーターを用いて0.1kPa以下の圧力下、攪拌しながら、約180℃の加熱浴でポリカーボネートジオールを加熱して、トラップ球に該ポリカーボネートジオールの1〜2質量%に相当する量の初期留分、即ち約1g(0.7〜2g)の初期留分を得た。これを、約100g(95〜105g)のエタノールを溶剤として用いて回収し、回収した溶液をGC分析にかけて得られるクロマトグラムのピーク面積の値から、下記数式(1)により算出した。
1級末端OH比率(%)=A÷B×100 (1)
A:両末端が1級OH基であるジオールのピーク面積の総和
B:ジオールを含むアルコール類(エタノールを除く)のピーク面積の総和
ガスクロマトグラフィーの分析条件: カラム;DB−WAX(米国J&W社製)、30m、膜厚0.25μm、昇温条件:60℃〜250℃、検出器:FID(flame ionization detector)
【0054】
2)ポリカーボネートジオールの数平均分子量
無水酢酸とピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K 0070−1992)」によって水酸基価を決定し、下記数式(2)を用いて数平均分子量を計算した。
数平均分子量=2/(OH価×10-3/56.1) (2)
【0055】
3)ポリカーボネートジオールの共重合割合と主成分割合
100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和した。冷蔵庫で1時間冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、GC(ガスクロマトグラフィー)を用いて分析した。GC分析は、カラムとしてDB−WAX(米国、J&W製)を付けたガスクロマトグラフィーGC−14B(日本、島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内部標準として、FIDを検出器として行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
【0056】
(i)共重合割合
上記の分析結果を用い、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとのモル比から、共重合割合(全体を100とした場合の、1,5−ペンタンジオールのモル数:1,6−ヘキサンジオールのモル数)を求めた。
(ii)主成分割合
上記の分析結果を用い、下記の数式(3)により求めた。
主成分割合(モル%)={(B+C)/A}×100 (3)
A:上記式(A)の繰り返し単位に由来するジオールの全モル数
B:1,5−ペンタンジオールのモル数
C:1,6−ヘキサンジオールのモル数
【0057】
4)ポリカーボネートジオールの原料ジオールの純度分析
ジオール原料として用いた1,5−ヘキサンジオール及び1,6−ヘキサンジオールをガスクロマトグラフィーで分析した。条件は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)を付けたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、FIDを検出器として行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
【0058】
5)ラミネートフィルムの作製
ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーX−10S、厚み50μm)に無溶剤ラミネーターを用いて、固形分重量で2〜2.5g/m2となるように接着剤用組成物を塗布し、溶剤を揮散させた後、ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーX−10S、厚み50μm)と貼り合わせた。40℃で3日間エージングを行った後、以下の評価に用いた。
【0059】
6)外観の評価
上記エージング終了後、さらに40℃で1週間放置した後、試験片を目視で観察した。
評価基準
◎:異常なし
○:僅かに濁り又は斑あり
△:少し濁りあり
×:濁り又はブリードあり
【0060】
7)接着強度の測定
JIS K6854−3(接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離)に準じて測定した。5個の試験片の平均値(単位:N/25mm)で評価した。
【0061】
8)接着強度の耐久性評価
試験片をサンシャイン型ウエザオメーター(スガ試験機製、WEL−SUN−DC)中で、1サイクル60分、うち12分の降水の繰り返しで所定時間(2000時間)経過するまで処理した。その後、上記7)の「初期接着強度の測定」に記載されたものと同じ方法で、接着強度を測定した。
【0062】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例1]
原料に用いた1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを分析した。1,5−ペンタンジオールは、純度が98.4%で、1,5−ヘキサンジオールを1.2質量%、1,4−シクロヘキサンジオールを0.1質量%含んでいた。残りの0.3質量%は、複数の不明物であった。1,6−ヘキサンジオールは、純度が98.9%で、1,4−シクロヘキサンジオールを0.7質量%含んでいた。残りの0.4質量%は、複数の不明物であった。以下の重合例では、ポリカーボネートジオール(b)の重合例6と13を除き、当該原料を使用した。
【0063】
規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置を備えた2Lのガラス製フラスコに、エチレンカーボネートを650g(7.4mol)、1,5−ペンタンジオールを370g(3.6mol)、1,6−ヘキサンジオールを450g(3.8mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧で攪拌・加熱した。反応温度を150℃〜190℃とし、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら10時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、190℃でさらに5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC1と称する。
【0064】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例2]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1に示す装置と原料仕込み量で反応させた。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧で攪拌・加熱した。反応温度を150℃〜190℃とし、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら10時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、190℃でさらに3時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC2と称する。
【0065】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例3]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを700g(7.8mol)、1,5−ペンタンジオールを450g(4.3mol)、1,6−ヘキサンジオールを450g(3.8mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC3と称する。
【0066】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例4]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを700g(7.8mol)、1,5−ペンタンジオールを480g(4.6mol)、1,6−ヘキサンジオールを400g(3.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC4と称する。
【0067】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例5]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを730g(6.2mol)、1,5−ペンタンジオールを250g(2.4mol)、1,6−ヘキサンジオールを500g(4.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC5と称する。
【0068】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例6]
原料の1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを蒸留で精製した。その結果、1,5−ペンタンジオールは、純度が99.0%で、1,5−ヘキサンジオールを0.4質量%含み、1,4−シクロヘキサンジオールは検出されなかった。残りの0.6質量%は、複数の不明物であった。1,6−ヘキサンジオールは、純度が99.1%で、1,4−シクロヘキサンジオールを0.3質量%含んでいた。残りの0.6質量%は、複数の不明物であった。上記の原料を用いてポリカーボネートジオールを重合した。
【0069】
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを810g(6.9mol)、1,5−ペンタンジオールを370g(3.6mol)、1,6−ヘキサンジオールを450g(3.8mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC6と称する。
【0070】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例7]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1に示す装置と原料仕込み量で反応させた。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧で攪拌・加熱した。反応温度を150℃〜190℃とし、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら8時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、190℃でさらに2時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC7と称する。
【0071】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例8]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1に示す方法で反応を行い、さらに190℃で8時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC8と称する。
【0072】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例9]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例8に示す方法で反応を行い、さらに190℃で12時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC9と称する。
【0073】
[ポリカーボネートジオール(b)の重合例10]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを770g(6.5mol)、1,5−ペンタンジオールを460g(4.4mol)、1,6−ヘキサンジオールを300g(2.5mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC10と称する。
【0074】
[ポリカーボネートジオールの重合例11]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを580g(6.4mol)、1,6−ヘキサンジオールを800g(6.8mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC11と称する。
【0075】
[ポリカーボネートジオールの重合例12]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジメチルカーボネートを750g(8.3mol)、1,5−ペンタンジオールを480g(4.6mol)、1,6−ヘキサンジオールを400g(3.4mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、6時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜210℃とし、圧力9〜15kPaで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、210℃で3時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC12と称する。
【0076】
[ポリカーボネートジオールの重合例13]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例6で用いた1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを用いた。ポリカーボネートジオール(b)の重合例1に示す装置に、エチレンカーボネートを630g(7.2mol)、1,5−ペンタンジオールを350g(3.4mol)、1,6−ヘキサンジオールを450g(3.8mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧で攪拌・加熱した。反応温度を150℃〜190℃とし、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら10時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、190℃でさらに5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC13と称する。
【0077】
[ポリカーボネートジオールの重合例14]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1に示す装置に、エチレンカーボネートを660g(7.5mol)、1,5−ペンタンジオールを160g(1.5mol)、1,6−ヘキサンジオールを90g(0.8mol)、1,4−ブタンジオールを470g(5.2mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧で攪拌・加熱した。反応温度を150℃〜190℃とし、圧力3.0〜5.0kPaで、生成するエチレングリコールとエチレンカーボネートの混合物を留去しながら10時間反応を行った。その後、0.5kPaまで減圧し、エチレンカーボネートとジオールを留去しながら、190℃でさらに5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC14と称する。
【0078】
[ポリカーボネートジオールの重合例15]
ポリカーボネートジオールの重合例11において、1,6−ヘキサンジオールを1,5―ペンタンジオール710g(6.8mol)とした以外は、同じ装置を用い、同じ条件で反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC15と称する。
【0079】
[ポリカーボネートジオールの重合例16]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを780g(6.6mol)、1,5−ペンタンジオールを210g(2.0mol)、1,6−ヘキサンジオールを600g(5.1mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC16と称する。
【0080】
[ポリカーボネートジオールの重合例17]
ポリカーボネートジオール(b)の重合例1と同じ装置を用い、ジエチルカーボネートを740g(6.3mol)、1,5−ペンタンジオールを500g(4.8mol)、1,6−ヘキサンジオールを230g(2.0mol)仕込んだ。触媒としてチタンテトラブトキシド0.20gを加え、常圧下140〜150℃の温度で加熱・撹拌し、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら、8時間反応させた。その後、反応温度を150℃〜190℃とし、圧力10〜15kPaで、生成するエタノールとジエチルカーボネートの混合物を留去しながら2時間反応を行った。その後、0.5kPaまで徐々に減圧しながら、190℃で5時間反応させた。得られたポリカーボネートジオールを分析した結果を表1に示す。該ポリカーボネートジオールをPC17と称する。
【0081】
【表1】
【0082】
[ポリエステルポリオール(a)の重合例]
攪拌装置を備えた2Lの反応器に、イソフタル酸570g(3.4mol)、アジピン酸370g(2.5mol)、エチレングリコール210g(3.4mol)、ネオペンチルフリコール190g(1.8mol)1,6−ヘキサンジオール160g(1.4mol)を仕込み、窒素気流下で200〜230℃で6時間反応した。テトライソブチルチタンを0.1g添加した後、徐々に減圧を行った。圧力1.2〜2.5hPa、温度230〜250℃でさらに6時間反応を行った。得られたポリエステルポリオールの数平均分子量は12000、水酸基値は9.4であった。以下の実施例、比較例では、当ポリエステルポリオールを用いた。なお、水酸基値は、無水酢酸とピリジンを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する「中和滴定法(JIS K 0070−1992)」によって決定した。
【0083】
[実施例1]
酢酸エチル160mlに、ポリエステルポリオール(a)を100gと、ポリカーボネートジオール(b)としてPC1を25g加え、撹拌して均一な溶液とした。そこへ、ポリイソシアネート(c)としてイソシアヌレート構造タイプのTPA−100(旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量23.1%)を43g、触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズを0.017g加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製した。
【0084】
得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(所定条件でエージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0085】
[実施例2]
酢酸エチル135mlに、ポリエステルポリオール(a)を100gと、ポリカーボネートジオール(b)としてPC2を25g加え、撹拌して均一な溶液とした。そこへ、ポリイソシアネート(c)としてイソシアヌレート構造タイプのTPA−100(旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量23.1%)を64g、触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズを0.019g加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製した。
【0086】
得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(所定条件でエージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0087】
[実施例3〜6、実施例10、比較例1〜7]
ポリカーボネートジオールとして、PC3〜6及び10〜17を用いた以外は実施例1に示す方法で接着剤用組成物を調製した。
【0088】
得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(所定条件でエージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0089】
[実施例7]
酢酸エチル160mlに、ポリエステルポリオール(a)を80gと、ポリカーボネートジオール(b)としてPC7を25g加え、撹拌して均一な溶液とした。そこへ、ポリイソシアネート(c)としてイソシアヌレート構造タイプのTPA−100(旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量23.1%)を100g、触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズを0.023g加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製した。
【0090】
得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(ラミネートフィルムを作製し所定条件エージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0091】
[実施例8]
酢酸エチル110mlに、ポリエステルポリオール(a)を100gと、ポリカーボネートジオール(b)としてPC8を25g加え、撹拌して均一な溶液とした。そこへ、ポリイソシアネート(c)としてイソシアヌレート構造タイプのTPA−100(旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量23.1%)を23g、触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズを0.015g加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製した。
【0092】
得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(ラミネートフィルムを作製し所定条件エージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0093】
[実施例9]
酢酸エチル100mlに、ポリエステルポリオール(a)を100gと、ポリカーボネートジオールとしてPC9を25g加え、撹拌して均一な溶液とした。溶液の粘度が高いため、さらに酢酸エチルを100ml追加した。そこへ、ポリイソシアネート(c)としてイソシアヌレート構造タイプのTPA−100(旭化成ケミカルズ株式会社製、NCO含有量23.1%)を17g加えて撹拌し、接着剤用組成物を調製した。 得られた接着剤用組成物を用いてラミネートフィルムを作製し、外観、初期接着強度(ラミネートフィルムを作製し所定条件エージングした直後の試験片で測定)、接着強度の耐久性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に示される結果から、本発明による接着剤用組成物は、高い温度でのエージング後の外観が良好であり、かつ、初期の接着強度及び接着力の耐久性に優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、強靱な接着力を有し、長期間にわたって接着力を維持でき、かつ硬化後の外観が良好に保たれる接着剤用組成物が得られる。そのため、この接着剤用組成物は、プラスチック、金属、木材、ガラスなどの種々の基材の接着に用いることができる。特に、この接着剤用組成物は柔軟性や透明性を有するため、太陽電池裏面封止用シート用の接着剤に好適に用いることができる。