特許第5964663号(P5964663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964663入札額決定装置、及び、入札額決定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964663
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】入札額決定装置、及び、入札額決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20160721BHJP
   G06Q 30/08 20120101ALI20160721BHJP
【FI】
   G06Q30/02 396
   G06Q30/08
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-130053(P2012-130053)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-254387(P2013-254387A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】507009009
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】道本 龍
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−506193(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0094673(US,A1)
【文献】 草野 隆史,データマイニングビジネスにおける最適化技術の活用,オペレーションズ・リサーチ,2010年 5月 1日,Vol.55 No.5,pp.301-306
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入札の結果に基づいてWebページにおける広告の表示位置又は表示有無の少なくともいずれか一方が決定される仕組みに対して入札する際の入札額を決定する入札額決定装置であって、
所定の過去期間毎の、入札額と、その入札額による入札の結果に基づいて表示された広告が選択された回数(以下、「第一の回数」という。)と、前記入札額に対応する期間に告主のサイトにアクセスされた回数であって前記広告が選択されることによって前記広告主のサイトにアクセスされた回数を除く回数(以下、「第二の回数」という。)とを複数組入力する過去情報入力手段と、
前記第一の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第一の価値」という。)と、前記第二の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第二の価値」という。)とを入力する価値入力手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記入札額と前記第一の回数とを乗ずることによってコストを算出するコスト算出手段と、
前記所定の過去期間に、前記第一の回数と前記第一の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第一の利益」という。)を算出する第一の利益算出手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記第二の回数と前記第二の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第二の利益」という。)を算出する第二の利益算出手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記コストと、前記第一の利益と、前記第二の利益とから損益を算出する損益算出手段と、
前記コストと、対応する前記損益との組から、利益が最大となるであろうと予測されるコストを求め、その求めたコストに基づいて将来の入札額を求める入札額決定手段と、
を備えることを特徴とする入札額決定装置。
【請求項2】
入札の結果に基づいてWebページにおける広告の表示位置又は表示有無の少なくともいずれか一方が決定される仕組みに対して入札する際の入札額を決定する入札額決定装置であって、
所定の過去期間毎の、入札額と、その入札額による入札の結果に基づいて表示された広告が選択された回数(以下、「第一の回数」という。)と、前記入札額に対応する期間に広告主のサイトにアクセスされた回数であって前記広告が選択されることによって前記広告主のサイトにアクセスされた回数を除く回数(以下、「第二の回数」という。)とを複数組入力する過去情報入力手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記過去期間における前記第一の回数及び前記第二の回数の夫々を、前記第一の回数及び前記第二の回数の夫々に対応した価値で重み付けすることにより、前記第一の回数及び前記第二の回数に応じた利益を算出する利益算出手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記入札額と前記第一の回数とを乗ずることによってコストを算出するコスト算出手段と、
前記所定の過去期間毎に、前記コストと前記利益とから損益を算出する損益算出手段と、
前記コストと、対応する前記損益との組から、利益が最大となるであろうと予測されるコストを求め、その求めたコストに基づいて将来の入札額を求める入札額決定手段と、
を備えることを特徴とする入札額決定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の入札額決定装置において、
前記入札額決定手段は、前記コストと対応する前記損益との組に基づき数理モデルを決定し、その数理モデルを用いて、利益が最大となるであろうと予測されるコストを求めること、
を特徴とする入札額決定装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の入札額決定装置において、
前記Webページは、検索キーワードに対応する検索結果を表示するものであり、
前記各手段は、検索キーワード毎に前記の処理を行うこと、
を特徴とする入札額決定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入札額決定装置において、
キーワード毎にそのキーワードの入札額又はコストの上限を入力する個別制限情報入力手段をさらに備え、
前記入札額決定手段は、前記個別制限情報入力手段が入力した前記上限内で、前記コスト又は前記入札額を求めること、
を特徴とする入札額決定装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の入札額決定装置において、
コストの総額の上限を入力する全体制限情報入力手段をさらに備え、
前記入札額決定手段は、前記コストの総額が、前記全体制限情報入力手段が入力した前記上限内になるように検索キーワード毎の前記コストを求めること、
を特徴とする入札額決定装置。
【請求項7】
入札の結果に基づいてWebページにおける広告の表示位置又は表示有無の少なくともいずれか一方が決定される仕組みに対して入札する際の入札額を決定するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
少なくとも、過去の入札額と、その入札額による入札の結果に基づいて表示された広告が選択されることによって広告主のサイトにアクセスされた回数(以下、「第一の回数」という。)と、前記入札額に対応する期間に前記広告主のサイトにアクセスされた回数であって前記広告が選択されることによって前記広告主のサイトにアクセスされた回数を除く回数(以下、「第二の回数」という。)とを組として複数入力する過去情報入力ステップと、
前記第一の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第一の価値」という。)と、前記第二の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第二の価値」という。)とを入力する価値入力ステップと、
前記組毎に、前記入札額と前記第一の回数とを乗ずることによってコストを算出するコスト算出ステップと、
前記組毎に、前記第一の回数と前記第一の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第一の利益」という。)を算出する第一の利益算出ステップと、
前記組毎に、前記第二の回数と前記第二の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第二の利益」という。)を算出する第二の利益算出ステップと、
前記組毎に、前記コストと、前記第一の利益と、前記第二の利益とから損益を算出する損益算出ステップと、
前記各入札額と、それぞれ対応する前記損益とから、利益が最大となるであろうと予測される入札額を求める入札額決定ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
入札の結果に基づいてWebページにおける広告の表示位置又は表示有無の少なくともいずれか一方が決定される仕組みに対して入札する際の入札額を決定するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
少なくとも、過去の入札額と、その入札額による入札の結果に基づいて表示された広告が選択されることによって広告主のサイトにアクセスされた回数(以下、「第一の回数」という。)と、前記入札額に対応する期間に前記広告主のサイトにアクセスされた回数であって前記広告が選択されることによって前記広告主のサイトにアクセスされた回数を除く回数(以下、「第二の回数」という。)とを組として複数入力する過去情報入力ステップと、
前記組毎に、前記第一の回数及び前記第二の回数の夫々を、前記第一の回数及び前記第二の回数の夫々に対応した価値で重み付けすることにより、前記第一の回数及び前記第二の回数に応じた利益を算出する利益算出ステップと、
前記組毎に、前記入札額と前記第一の回数とを乗ずることによってコストを算出するコスト算出ステップと、
前記組毎に、前記コストと前記利益とから損益を算出する損益算出ステップと、
前記各入札額と、それぞれ対応する前記損益とから、利益が最大となるであろうと予測される入札額を求める入札額決定ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webの広告に関するものであり、入札単価によって広告の表示順序、表示有無等が決定される広告表示システムに対して入札を行う際の入札額を決定する入札額決定装置、及び、入札額決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによって指定された検索用語(キーワード)に対応する検索結果一覧を表示するシステムが知られている。そのようなシステムの中でも、広告主によって設定された入札額に応じ、検索結果一覧における各結果の表示順位を変動させるシステムが知られていた(以下、このシステムを「旧システム」といい、このシステムにおいて表示される検索結果一覧を「広告リスト」という。)。この旧システムにおいて、適切な入札額を決定する技術としては、下記の特許文献1に記載された技術が知られている。この特許文献1には、広告主が旧システムによって得られる利益が最大になるように入札額を決定する技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、広告リストは、検索用語に対して設定された入札額に応じて表示順位が変動するものであり、ユーザが求める検索結果の適合度が反映されたものではない。このため現在は、ユーザが求めていると推測される検索結果のリスト(以下、「通常リスト」という。)を主として表示させ、それに加えて、上述した広告リストを画面の端や画面の上部等に表示させるようにしたものが一般的になった。
【0004】
なお、広告リストにおける広告としては、広告主のサイトのURLに対応付けられたテキスト広告、広告主のサイトのURLに対応付けられた画像広告(いわゆるバナー広告)、又は、商品やサービスを宣伝するための広告動画が用いられる。また、複数の広告からなる広告リストの形式ではなく、最も高い入札額を提示した広告主の広告を1枠分のみ表示される態様が用いられる場合もある。
【特許文献1】特開2004−240937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した現在のシステムが広く用いられている状況では、広告主のサイトを訪れる経路は、広告リストがクリックされた場合と、それ以外の場合、例えば、通常リストがクリックされた場合とが存在する。このため、例えば、通常リストにおいて自社のサイトのページへのリンクが下位に表示される場合は、上位に表示される場合と比較して、広告リストにおいて広告が上位に表示される意義は高い。反対に、通常リストにおいて自社のサイトのページへのリンクが上位に表示される場合は、下位に表示される場合と比較して、広告リストにおいて広告が上位に表示される意義は低い。すなわち、広告リストへの入札額は、広告リスト以外の経路による自社サイトへの流入も考慮して決定する必要があると考えられる。
【0006】
なお、上記の特許文献1に記載された技術は、通常リストがクリックされたことにより自社サイトを訪れることが考慮されていないため、適切な入札額を決定することは困難である。
【0007】
本発明は、このような問題にかんがみなされたものであり、より適切な入札額を決定することができる入札額決定装置及び入札額決定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明
上記課題を解決するためになされた第1の発明にかかる入札額決定装置は、入札の結果に基づいてWebページにおける広告の表示位置又は表示有無の少なくともいずれか一方が決定される仕組みに対して入札する際の入札額を決定する入札額決定装置である。そして、過去情報入力手段と、価値入力手段と、コスト算出手段と、第1の利益算出手段と、第2の利益算出手段と、損益計算手段と、入札額決定手段とを備える。
【0009】
このうち、過去情報入力手段は、所定の過去期間毎の、入札額と、その入札額による入札の結果に基づいて表示された広告が選択された回数(以下、「第一の回数」という。)と、前記入札額に対応する期間に前記広告主のサイトにアクセスされた回数(以下、「第二の回数」という。)とを複数組入力する。価値入力手段は、前記第一の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第一の価値」という。)と、前記第二の回数の一回あたりの価値を導出可能な値(以下、「第二の価値」という。)とを入力する。
【0010】
コスト算出手段は、前記所定の過去期間毎に、前記入札額と前記第一の回数とを乗ずることによってコストを算出する。第一の利益算出手段は、前記所定の過去期間毎に、前記第一の回数と前記第一の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第一の利益」という。)を算出する。第二の利益算出手段は、前記所定の過去期間毎に、前記第二の回数と前記第二の価値とを乗ずることによって利益を示す値(以下、「第二の利益」という。)を算出する。損益算出手段は、前記所定の過去期間毎に、前記コストと、前記第一の利益と、前記第二の利益とから損益を算出する。入札額決定手段は、前記コストと、対応する前記損益との組から、利益が最大となるであろうと予測されるコストを求め、その求めたコストに基づいて将来の入札額を求める。
【0011】
なお、入札額決定手段が利益の最大となるコストを求める方法は様々な方法が考えられる。例えば、過去におけるコストとそれに対応する損益の組の中から、最も高い利益であった際のコストを選び、それを利益が最大となるコストとする方法が考えられる。他にも、過去におけるコストとそれに対応する損益との組に基づいて数理モデルを求め、その数理モデルに基づいて利益が最大となるコストを求める方法も考えられる。なお、利益が最大となるコストを求める方法はこれらに限らない。
【0012】
また、利益が最大となると予測されるコストに基づいて入札額を求める方法も、様々な手法が考えられる。例えば、過去における入札額とコストの組の中から、先に求めた、利益が最大となると予測されるコストに近いコストを有する組を選択し、その組の入札額を選択する手法が考えられる。また、過去における入札額とコストの組に基づいて数理モデルを求め、その数理モデルに、利益が最大となると予測されるコストを代入等して入札額を求める手法が考えられる。
【0013】
このように第一の発明に係る入札額決定装置は、入札の結果に基づいて表示された広告が選択された回数(第一の回数)に加え、広告主のサイトにアクセスされた回数(第二の回数)も利益として評価し、入札額を決定する。したがって、従来の技術よりも適切な入札額を得ることができる。
【0014】
(2)第2の発明
広告が選択されると、ランディングページ(着地ページ)などと呼ばれる自社サイトに誘導されることがある。このような場合を想定し、第二の回数(広告主のサイトにアクセスされた回数)から、第一の回数(広告が選択された回数)が除かれていると良い。
【0015】
このようになっていれば、第一の回数の増減が、第二の回数の増減として直接現れることがなくなるため、より適切な入札額が決定される。
(3)第3の発明
上述したように、入札額決定手段が入札額を求める方法は様々な方法が考えられる。特に、コストとそれに対応する前記損益との組に基づき数理モデルを決定し、その数理モデルを用いて、利益が最大となるであろうと予測されるコストを求めるようにするとよい。
【0016】
このようにして入札額を求める方法であれば、利益が最大となるであろうと予測されるコストを数理モデルから簡易な計算で求めることができる。なお、一旦、数理モデルを決定すれば、以降はその数理モデルを利用して適切なコストが決定できるため、過去情報入力手段が入力した情報を破棄することも可能になる。
【0017】
(4)第4の発明
上述したWebページは、ポータルサイトやショッピングサイト等、どのようなWebページであってもよい。もちろん、検索キーワードが入力されて検索されると、その検索キーワードを含むWebページであって検索者が求めている可能性の高い検索結果を表示するWebページであってもよい。このようなWebページに広告が表示されるようになっている場合は、広告は検索キーワードに対応するものが表示され、入札額が検索キーワードに対応していることが想定される。このような場合は、前記各手段は、検索キーワード毎に前記の処理を行うようになっているとよい。
【0018】
このようになっていれば、検索キーワードに対応して広告表示を行うWebページに対しても、適切な入札額を決定することができる。
(5)第5の発明
たとえ利益が最大になると予測されるコストであっても、広告主が許容できる額よりも高い場合が考えられる。このようなことを避けるために、キーワード毎にそのキーワードの入札額又はコストの上限を入力する個別制限情報入力手段をさらに備えるように入札額決定装置を構成し、入札額決定手段は、個別制限情報入力手段が入力した上限内で、前記コスト又は前記入札額を求めるようになっているとよい。
【0019】
このようになっていれば、広告主が許容できる、各キーワードの入札額、及び、各キーワードのコストによる入札を行うことができる。
(6)第6の発明
たとえキーワード毎のコストが広告主の許容できる額であったとしても、全てのキーワードのコストを足し合わせた総額が、広告主の許容できる額を超えてる場合が考えられる。このようなことを避けるために、コストの総額の上限を入力する全体制限情報入力手段をさらに備えるように入札額決定装置を構成するとよい。そして、入札額決定手段は、前記コストの総額が、前記全体制限情報入力手段が入力した前記上限内になるように検索キーワード毎の前記コストを求めるようにするとよい。
【0020】
このような入札額決定装置であれば、広告主が許容できる総額コストによる入札を行うことができる。
(7)第7の発明
ここまでは入札額決定装置として発明を捉えて説明したが、入札額を決定するコンピュータに実行させるためのプログラムとして発明を捉えても良い。
【0021】
その場合でも、プログラムをコンピュータに実行させることによって上述した入札額決定装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態の入札システムの構成を説明するためのブロック図である。
図2】ログデータ作成処理を説明するためのフローチャートである。
図3】ログデータの構成を説明するための説明図である。
図4】個別処理を説明するためのフローチャートである。
図5】最適コストの算出方法を説明するためのグラフである。
図6】全体処理を説明するためのフローチャートである。
図7】最適コストの修正方法を説明するためのグラフである。
図8】検索結果画面の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0024】
[構成の説明]
実施形態について、図1のブロック図を用いて説明する。入札システム11は、検索システム81及び広告主Webサーバ91と通信を行い、PC93は検索システム81及び広告主Webサーバ91と通信を行う。
【0025】
(1)入札システム11
入札システム11は、入札額決定装置21と、入札実施装置75と、出稿管理サーバ71と、出稿検知サーバ73とを備える。
【0026】
入札額決定装置21は、周知のサーバ又はPC(パーソナルコンピュータ)から構成され、入札実施装置75が検索システム81に対して入札する際の入札額等を決定し、入札額を含む入札の内容を示す入札指示データを生成し、入札実施装置75へ送信する機能を有する。
【0027】
入札実施装置75は、周知のサーバ又はPC(パーソナルコンピュータ)から構成され、入札額決定装置21から受信した入札指示データに基づき、入札に必要なデータからなる入札データを生成して検索システム81のリスティング広告管理サーバ85へ送信する。
【0028】
出稿管理サーバ71は、広告主(本実施形態における入札額決定装置21の管理者から見て顧客に相当する。以下、同様。)のCM出稿を管理しており、放送局等に対してCM出稿の依頼を行う。また、出稿管理サーバ71は、管理するCM出稿の日時やCMの対象商品・サービス等に関連するキーワードの情報を広告主出稿データとして入札額決定装置21へ送信する。
【0029】
出稿検知サーバ73は、広告主の競合他社や、広告主の取扱商品に関連する商品等を扱う会社の出稿を検知し、その出稿の日時やCMの対象商品・サービス等に関連するキーワードの情報を非広告主出稿データとして入札額決定装置21へ送信する。
【0030】
(2)検索システム81
検索システム81は、検索Webサーバ83と、リスティング広告管理サーバ85と、複数台のストレージサーバ87とを備える。
【0031】
検索Webサーバ83は、PC93から検索キーワードを受けて、ストレージサーバ87に記憶されているWebページに関するインデックス等を検索し、検索結果リストを表示可能なHTMLファイルを生成してPC93へ送信する。なお、このHTMLファイルを生成する際、リスティング広告管理サーバ85によって生成されたリスティング広告も表示可能にHTMLファイルを生成する。
【0032】
リスティング広告管理サーバ85は、入札実施装置75及びこれと同種の他装置からの入札データに基づき、検索キーワードに対応する広告の順位付けを行ってリスティング広告用のHTMLを生成し、検索Webサーバ83へ送信する。なお、リスティング広告管理サーバ85は、所定のタイミング(例えば、毎日決められた時間や、入札額決定装置21から要求があった際等)に、リスティング広告が表示された回数やクリックされた回数等の情報を広告クリックデータとして検索キーワード毎に入札額決定装置21へ送信する。
【0033】
ストレージサーバ87は、インターネット上のWebページに含まれるキーワードをインデックス化して記憶している。
(3)広告主Webサーバ91
広告主Webサーバ91は、周知のサーバ又はPC(パーソナルコンピュータ)から構成され、広告主が管理するいわゆる自社のWebサーバである。広告主Webサーバ91は、PC93からの閲覧要求に応じてHTMLファイルを送信する。なお、PC93からの要求のあった日時、要求ページのURL、要求のあったPC93を特定する情報等からなるアクセスデータを記憶しており、所定のタイミング(毎日決められた時間や、入札額決定装置21から要求があった際等)に、アクセスデータを入札額決定装置21へ送信する。また、広告主Webサーバ91は、広告主毎に存在するため、複数台存在する。
【0034】
(4)PC93
PC93は、一般の個人が所有する周知のPC(パーソナルコンピュータ)である。その個人は、PC93が備えるインターネットブラウザを介して検索システム81にアクセスし、キーワードを入力して該当するWebページの検索結果リストを表示させることができる。そして、その検索結果リストの中から選んだWebページをクリックすることによって、インターネット上の対応するWebサーバ(例えば、広告主Webサーバ91)にアクセスしてWebページを閲覧することができる。
【0035】
[動作の説明]
次に本発明の実施形態である入札額決定装置21の動作を説明する。
(1)ログデータ作成処理
ログデータは、入札実施装置75へ送信する入札指示データにおける入札額を決定する際に用いられるデータである。ログデータ作成処理は、ログデータを作成して記憶させる処理である。当該処理は、入札額決定装置21のキーボード等がオペレータによって操作されて実行開始の指示が与えられた際や、予め設定された実行開始時間が到来した際に実行が開始される。なお、当該処理は、入札額決定装置21のCPU(図示せず)が、ハードディスク等の記憶媒体(図示せず)からDRAM等のメモリ(図示せず)に読み出したプログラムに基づいて実行される。以下にログデータ作成処理を、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
入札額決定装置21のCPUは、ログデータ作成処理の実行を開始すると、ログデータを全て作成したか否かを判定する(S105)。この判定は、各広告主が予め設定したキーワードの全てについて、所定の過去日数分(例えば、過去30日)のログデータの作成を完了しているかどうかを判定することと言い換えることができる。入札額決定装置21のCPUは、ログデータを全て作成したと判定した場合(S105:Yes)、本処理(ログデータ作成処理)を終了し、ログデータを全て作成していないと判定した場合(S105:No)、S110へ処理を移行する。
【0037】
ここでログデータの一例について、図3を用いて説明する。一件のログデータは、「広告主コード」と、「キーワード」と、「年月日」と、「入札単価」と、「検索数」と、「広告クリック数」と、「非広告クリック数」と、「広告CV数」と、「非広告CV数」と、「検索数1件の価値」と、「広告クリック数1件の価値」と、「非広告クリック数1件の価値」と、「広告CV数1件の価値」と、「非広告CV数1件の価値」と、「コスト」と、「粗利」と、「損益」とを備える。
【0038】
「広告主コード」は、広告主を一意に特定可能なコードである。「キーワード」は、入札対象の検索キーワードである。「年月日」は、当該ログデータに含まれるデータの対象日である。ここまでの「広告主コード」、「キーワード」及び「年月日」がログデータの一意キーである。なお、ログデータの蓄積期間が例えば、過去30日であれば(過去60日や過去90日等でもよい。)、同一の「広告主コード」及び同一の「キーワード」であるログデータが、30件存在することになる。
【0039】
「入札単価」は、検索システム81において提供されるリスティング広告へ入札した価格であり、リスティング広告がクリックされた際に発生する1クリックあたりのコストである。「検索数」は、対応するキーワードによって検索が実行されてWebページに自社のリスティング広告が表示された回数である。「広告クリック数」は、対応するキーワードによって検索が実行されてWebページに自社のリスティング広告が表示されたうち、実際にリスティング広告がクリック(選択)された回数である。「非広告クリック数」は、オーガニック検索と呼ばれるリスティング広告以外の方法により、キーワードに対応する自社のWebページが訪問された回数である。なお、リスティング広告を除外することが好ましいがそれが難しい場合は、リスティング広告を含めた場合の回数であっても良い。「広告CV数」は、リスティング広告を経由して得た成果(ランディングページの閲覧、Web上での商品購入、会員登録、資料請求等)の数である。「非広告CV数」というのは、リスティング広告を経由せずに得た成果(Web上での商品購入、会員登録、資料請求等)の数である。ここまでの「入札単価」、「検索数」、「広告クリック数」、「非広告クリック数」、「広告CV数」及び「非広告CV数」は、主に、リスティング広告管理サーバ85より受信した広告クリックデータ、及び広告主Webサーバ91より受信したアクセスデータ等から導出される。
【0040】
「検索数1件の価値」は、「検索数」の1件の価値であり、対応するキーワードによって検索が実行されてWebページに自社のリスティング広告が1回表示されたことの価値である。「広告クリック数1件の価値」は、「広告数」の1件の価値であり、対応するキーワードによって検索が実行されてWebページに自社のリスティング広告が表示されたうち、実際にリスティング広告が1回クリック(選択)されたことの価値である。「非広告クリック数1件の価値」は、「非広告クリック数」の1件の価値であり、オーガニック検索と呼ばれるリスティング広告以外の方法により、キーワードに対応する自社のWebページが1回訪問されたことの価値である。「広告CV数1件の価値」は、「広告CV数」の1件の価値であり、リスティング広告を経由して得た成果(ランディングページの閲覧、Web上での商品購入、会員登録、資料請求等)1回の価値である。「非広告CV数1件の価値」は、「非広告CV数」の1件の価値であり、リスティング広告を経由せずに得た成果(Web上での商品購入、会員登録、資料請求等)1回の数である。ここまでの、「検索数1件の価値」、「広告クリック数1件の価値」、「非広告クリック数1件の価値」、「広告CV数1件の価値」及び「非広告CV数1件の価値」は、予め広告主が入札額決定装置21へ入力したデータによって導出される。
【0041】
「コスト」は、「入札単価」×「広告クリック数」によって導出される。「粗利」は、「検索数1件の価値」×「検索数」+「広告クリック数1件の価値」×「広告クリック数」+「非広告クリック数1件の価値」×「非広告クリック数」+「広告CV数1件の価値」×「広告CV数」+「非広告CV数1件の価値」×「非広告CV数」によって導出される。「損益」は、「粗利」−「コスト」によって導出される。したがって、「粗利」が「コスト」を上回れば損益は正(プラス)で、「粗利」が「コスト」を下回れば損益は負(マイナス)になる。
【0042】
説明を図2に戻し、入札額決定装置21のCPUは、未処理の広告主コードとキーワードとを決定する(S110)。広告主コードとキーワードのマスタデータは、図示しないハードディスクに記憶しているものとする。
【0043】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、リスティング広告管理サーバ85より受信した広告クリックデータ、及び広告主Webサーバ91より受信したアクセスデータのうち、S110で決定した広告主コードとキーワードとに対応するデータを、図示しないハードディスク等の記憶媒体からDRAMに読み出す(S115)。
【0044】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S110で決定した広告主コードとキーワードとに対応するデータであって、広告主によって予め入力されて記憶されていた「検索数1件の価値」、「広告クリック数1件の価値」、「非広告クリック数1件の価値」、「広告CV数1件の価値」及び「非広告CV数1件の価値」を表すデータを、図示しないハードディスク等の記憶媒体からDRAMに読み出す(S120)。
【0045】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S115及びS120で読み出したデータ基づいてログデータを構成する(S125)。すなわち、各データを上述したログデータの配置に並べ、さらに、コスト、粗利、損益を計算してログデータを完成させる。
【0046】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S125で構成したログデータを、図示しないハードディスク等の記憶媒体へ記憶する(S130)。そして、S105へ処理を戻す。
【0047】
このようなログデータ作成処理により、入札額決定装置21の図示しないハードディスク等の記憶媒体に、広告主コード毎及びキーワード毎にログデータが所定の過去日数分記憶される。なお、所定の過去日数分より前のログデータは、別の処理によって消去されるようになっているとよい。
【0048】
(2)個別処理
個別処理は、広告主及びキーワード毎に実行される処理である。個別処理は、入札額決定装置21のキーボード等がオペレータによって操作されて実行開始の指示が与えられた際や、予め設定された実行開始時間が到来した際に実行が開始される。なお、個別処理は、入札額決定装置21のCPU(図示せず)が、ハードディスク等の記憶媒体(図示せず)からDRAM等のメモリ(図示せず)に読み出したプログラムに基づいて実行される処理である。以下に個別処理を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
入札額決定装置21のCPUは、個別処理の実行を開始すると、図示しないキーボード等によって指定された一の広告主の一のキーワードに対応する「ログデータ」、広告主が設定した個別条件を示す「個別条件データ」、及び、CMの出稿履歴を示す「CM出稿履歴データ」を、図示しないハードディスク等の記憶媒体から図示しないメモリに読み込む(S205)。すなわち、「ログデータ」について言えば、同一の「広告主コード」と「キーワード」を有するものが、所定の過去日数分(例えば30日分)メモリに読み込まれる。また、「個別条件データ」の一例としては、キーワード毎の許容できる入札額の範囲やコストの範囲等を示すデータが考えられる。「CM出稿履歴データ」の一例としては、出稿管理サーバ71から受信して記憶しておいた広告主出稿データに基づいて特定できる所定の過去日数分の日単位のCM出稿本数のデータ、及び、出稿検知サーバ73から受信して記憶しておいた非広告出稿データに基づいて特定できる所定の過去日数分の日単位のCM出稿本数のデータが考えられる。
【0050】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S205で読み込んだログデータを整理する(S210)。整理の一例としては、各ログデータに含まれる粗利とコストに関する相関係数を求めたり、それに基づいてどのような方法によってモデル式を算出するかを決定することが考えられる。また、各ログデータを、自社のCM出稿のあった日のもの、他社のCM出稿のあった日のもの、自社も他社もCM出稿のなかった日のもの、というように分類することが一例として考えられる。以下では、ログデータをこれら3つに分けて以下の処理をそれぞれ行うものとするが、説明の便宜上これらを区別せずに説明を進め、必要に応じて適宜分けて説明する。
【0051】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、ログデータに基づいてモデル式を算出し、最適コストを算出する(S215)。ここで、図5を用いて算出方法の一例を説明する。
図5(A)は、横軸にLog変換したコストをとり、縦軸にLog変換した粗利をとり、ログデータに基づいて配置した黒点を重回帰分析等によって近似した直線を記したグラフである。なお、Logをとった理由は、線形化を容易にするためである。
【0052】
このような手法により、自社のCM出稿のあったときの直線、及び、競合他社のCM出稿があったときの直線、自社も他社もCM出稿のなかったときの直線をそれぞれ求める。なお、各直線は若干異なることが通常である。
【0053】
図5(B)は、算出した直線をLog逆変換した場合のグラフである。このグラフより、粗利が一定値に近づいていくことが読み取れる。
図5(C)は、横軸にコストをとり、縦軸に損益(粗利からコストを引いたもの)をとった場合のグラフである。このグラフを微分して傾きが0になる箇所を求める。その求めた横軸の値xgが最適コスト(最適投資額)である。このような最適コストを、自社のCM出稿のある場合、及び、競合他社のCM出稿がある場合、自社も他社もCM出稿のない場合、それぞれについて求める。なお、図5(C)のグラフを示す式をコスト・損益モデル式として、図示しないハードディスク等の記憶媒体に「広告主コード」と「キーワード」とに対応付けて記憶させておく。
【0054】
説明を図4に戻し、続いて入札額決定装置21のCPUは、S215で算出した最適コストに基づいて最適入札額を算出する(S220)。最適コストから最適入札額の算出方法は、例えば、過去の履歴を用い、最適コストと最適入札額との関係を示すモデル式を算出し、そのモデル式に基づいて最適コストに対する最適入札額を求める方法が考えられる。また、過去の履歴の中から近傍の履歴を選択し、その履歴より最適入札額を求めるといった方法でもよい。
【0055】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S215で算出した最適コスト及びS220で算出した最適入札額が、予め広告主が設定した個別条件(許容できる入札額の範囲やコストの範囲等)を満たすかどうかを判定する(S225)。予め広告主が設定した個別条件を満たすと判定した場合(S220:Yes)、S235へ処理を移行し、予め広告主が設定した個別条件を満たさないと判定した場合(S220:No)、S230へ処理を移行する。
【0056】
予め広告主が設定した個別条件を満たさないと判定した場合に進むS230では、入札額決定装置21のCPUは、最適コストと最適入札額とを、個別条件を満たすように修正する。例えば、S220で算出した最適入札額が個別条件を満たしていなかった場合、個別条件を満たすように最適入札額を修正し(例えば、図5(C)においてxgからxに変更する。)、修正後の最適入札額で最適コストを算出する。また、S215で算出した最適コストが個別条件を満たしていなかった場合、個別条件を満たすように最適コストを修正し、修正後の最適コストで最適入札額を再算出する。そしてS235へ処理を移行する。
【0057】
S235では、入札額決定装置21のCPUは、最適入札額と最適コストとを、広告主コードとキーワードに対応付けて、図示しないハードディスク等の記憶媒体に記憶させる。そして、本処理(個別処理)を終了する。
【0058】
このような個別処理が、共通の「広告主コード」と「キーワード」とを有するログデータに対して行われることにより、その「キーワード」の最適入札額と最適コストとが、自社のCM出稿のあった日のもの、他社のCM出稿のあった日のもの、自社も他社もCM出稿のなかった日のもの、それぞれについて算出され、記憶される。
【0059】
(3)全体処理
全体処理は、広告主毎に実行される処理である。全体処理は、入札額決定装置21のキーボード等がオペレータによって操作されて実行開始の指示が与えられた際や、予め設定された実行開始時間が到来した際に実行が開始されるが、上述した個別処理が既に実行されていることが前提となる。なお、全体処理は個別処理と同様、入札額決定装置21のCPU(図示せず)が、ハードディスク等の記憶媒体(図示せず)からDRAM等のメモリ(図示せず)に読み出したプログラムに基づいて実行される処理である。以下に全体処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
入札額決定装置21のCPUは、全体処理の実行を開始すると、図示しないキーボード等によって指定された一の広告主に対応する、キーワードと、最適入札額と、最適コストと、コスト・損益モデル式とからなる組を、図示しないハードディスク等の記憶媒体から図示しないメモリに読み込む(S305)。なお、それぞれに組は、さらに自社のCM出稿のあった日のもの、他社のCM出稿のあった日のもの、自社も他社もCM出稿のなかった日のもの、とそれぞれ存在する。
【0061】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、出稿管理サーバ71から受信した広告出稿データ及び出稿検知サーバ73から受信した非広告主出稿データに基づき、S305で読み込んだ各キーワードについて、自社のCM出稿のあった日の組、他社のCM出稿のあった日の組、自社も他社もCM出稿のなかった日の組のいずれを以降の処理に用いるかを選択する(S307)。すなわち、例えば、本日、自社のCM出稿の予定があれば、自社のCM出稿のあった日のログデータに基づいて求めた最適入札額を用いて以降の処理を実行し、1時間前に他社のCM出稿があったのであれば、他社のCM出稿があった日のログデータに基づいて求めた最適入札額を用いて以降の処理を実行する。
【0062】
続いて、入札額決定装置21のCPUは、S307の決定した組の最適コストの総額(キーワード毎の最適コストを足し合わせた額)を求め、その総額が、予め広告主が設定した全体条件を満たすか否かを判定する(S310)。全体条件というのは、例えば、許容できる総コストの範囲が考えられる。
【0063】
入札額決定装置21のCPUは、全体条件を満たすと判定した場合(S310:Yes)、S320へ処理を移行し、全体条件を満たさないと判定した場合(S310:No)、S315へ処理を移行する。
【0064】
全体条件を満たさないと判定した場合に進むS315では、全体条件を満たすように、キーワード毎の最適コストを修正する。ここで、図7を用いて、修正方法の一例を説明する。
【0065】
図7(A)〜(B)は、それぞれ、キーワード毎のコスト・損益モデル式をグラフ化したものである。
図7(A)は、個別処理においてx点が最適コストとして決定されていることが示されており、その点における傾きが直線で示されている。
【0066】
図7(B)は、個別処理においてxg点が最適コストとして決定されていることが示されており、その点における傾きが直線で示されている。
図7(C)は、個別処理においてx点が最適コストとして決定されていることが示されており、その点における傾きが直線で示されている。
【0067】
この状況において、最適コストの総額が全体条件を満たしていなかった場合、傾きが最も少ない図7(B)における最適コストをxg点からx点へ所定量(例えば、所定パーセント)だけ減額することにより、最適コストを修正する。
【0068】
説明を図6に戻し、続くS317では、入札額決定装置21のCPUは、S315で修正した最適コストに対応するキーワードの最適入札額を再算出する。そして、S315へ処理を戻す。すなわち、最適コストの総額が全体条件を満たすようになるまで、S315及びS317を繰り返す。
【0069】
一方、最適コストの総額が全体条件を満たすと判定した場合に進むS320では、入札額決定装置21のCPUは、キーワード毎に入札指示データを生成する。入札指示データというのは、入札対象のキーワード、入札額、広告内容を特定する情報(テキストやURLやバナー等)を含む入札の内容(入札条件)を示すデータである。
【0070】
続くS325では、入札額決定装置21のCPUは、S320で生成した入札指示データを入札実施装置75へ送信し、本処理(全体処理)を終了する。
このような全体処理により、共通の「広告主コード」に対応付いた各キーワードの最適入札額が最適化される。そして、その最適化された最適入札額によって「キーワード」毎の入札指示データが生成されて入札実施装置75へ送信される。
【0071】
[画面の説明]
PC93において、検索システム81の検索Webサーバ83に対してキーワードを指定した検索が行われた場合に、図示しないディスプレイに表示される検索結果画面の一例を、図8を用いて説明する。なお、ここで説明する検索結果画面は、本発明が想定している検索結果画面の一例を紹介するものであり、これに限るものではない。
【0072】
図8に示す検索結果画面101は、検索キーワード入力欄102、検索ボタン103、トップ広告欄104、サイド広告欄105、検索結果リスト欄106とを備える。
検索キーワード入力欄102は、再度の検索を行う場合に検索キーワードを入力するための入力欄である。検索結果の画面においても、その検索結果の画面が構成される際に入力された検索キーワードが表示されるように構成されている。
【0073】
検索ボタン103は、検索キーワード入力欄102に入力された検索キーワードにより検索を実行する際に押下するためのボタンである。このボタンが押下されると、検索キーワード入力欄102に入力された検索キーワードが、検索システム81に送信されてWebの検索が実行される。
【0074】
トップ広告欄104及びサイド広告欄105は、いわゆるリスティング広告が表示されるための欄であり、トップ広告欄104は3件分、サイド広告欄105は5件分のリスティング広告が表示される。表示されるリスティング広告は、検索が実行された検索キーワードに対して入札を行った広告主によって指定された広告であり、入札額の順にそれぞれ並べられて表示される。そして、リスティング広告には、URLが関連づけられており、いずれかのリスティング広告がPC93の利用者によって選択されると、そのURLの示す広告WebページがPC93に表示されるようになっている。
【0075】
検索結果リスト欄106は、検索キーワードに関連するWebページの説明文が、PC93の利用者が望んでいるであろうと推測される程度の高いものから順に並んでいる。なお、各説明文には、対応するWebページのURLが対応付けられており、PC93の利用者によって説明文が選択されると、対応付けられたURLに基づいてWebページがPC93に表示されるようになっている。
【0076】
[実施形態の効果]
上記実施形態の入札額決定装置21は、リスティング広告が選択された回数(広告クリック数)に基づく利益だけではなく、リスティング広告を経由しない広告主サイトへのアクセスの回数(非広告クリック数)に基づく利益も加え、利益が最大となるであろうと予測されるコスト(最適コスト)を求める。そして、そのコストから入札額(最適入札額)を決定する。したがって、リスティング広告を経由しない広告主サイトへのアクセスの回数を考慮しない従来の技術よりも適切な入札額を得ることができる。
【0077】
また、入札額決定装置21は、コストとそれに対応する損益との組に基づき数理モデルを決定し、その数理モデルを用いて、利益が最大となるであろうと予測されるコストをキーワード毎に求める(S215)。したがって、キーワード毎に、利益が最大となるであろうと予測されるコストを数理モデルから簡易な計算で求めることができる。
【0078】
また、入札額決定装置21は、各キーワードの入札額とコストを、広告主がそれぞれについて許容できる額になるよう修正する(S230)。したがって、広告主が許容できる、各キーワードの入札額、及び、各キーワードコストによる入札が行われる。
【0079】
また、コストの総額についても、広告主が許容できる額になるよう修正する(S315)。したがって、広告主が許容できる総額コストによる入札が行われる。
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態及び下記の実施形態のうち、両立し得る構成については、組み合わせることが可能であることは言うまでもない。
【0080】
(1)口コミ情報の利用
上記実施形態では、一例として、本日に自社のCM出稿の予定があれば、自社のCM出稿のあった日のログデータに基づいて求めた最適入札額を用い、1時間前に他社のCM出稿があったのであれば、他社のCM出稿があった日のログデータに基づいて求めた最適入札額を用いる例を説明した。
【0081】
これらの他に、バズ情報と呼ばれる口コミ情報を利用してもよい。すなわち、あるキーワードについて、口コミ情報に基づけば大衆の注目度が高い、又は、高くなってきたと判断されれば、そのキーワードの最適入札額として、他社出稿有り、又は、自社出稿有りの場合のときのログデータに基づき計算された最適入札額を用いるようになっていてもよい。
【0082】
(2)テレビ番組内情報の利用
テレビ番組内で利用や紹介等された商品又はサービスに関連するキーワードを、放送前、放送時又は放送直後に取得できるように構成し、取得できたキーワードについては、他社出稿有り、又は、自社出稿有りの場合のときのログデータに基づき計算された最適入札額を用いるようになっていてもよい。すなわち、そのようなキーワードは、大衆の注目度が高いキーワードであると推測されるため、同様の状況であったときのログデータに基づく最適入札額を、そのキーワードの入札額として用いれば、高い利益が得られると考えられる。
【0083】
(3)ログデータの分類
上記実施形態では、各ログデータを、自社のCM出稿のあった日のもの、他社のCM出稿のあった日のもの、自社も他社もCM出稿のなかった日のもの、というように分類した場合を説明したが、これに限られない。例えば、さらに、他社も自社もCM出稿があった日のものという分類を加えてもよい。また、各日について、出稿数に応じてさらに細分化してもよい。
【0084】
[特許請求の範囲における用語との対応]
特許請求の範囲における用語と上記実施形態の対応を示す。過去情報入力手段の一例が、ログデータ作成処理のS115において行われる処理である。価値入力手段の一例が、ログデータ作成処理のS120において行われる処理である。コスト算出手段の一例が、ログデータ作成処理のS125において行われるコストを求める計算、すなわち、「入札単価」×「広告クリック数」の計算である。第1の利益算出手段の一例が、ログデータ作成処理のS125において行われる粗利の一部を求める計算、すなわち、「広告クリック数1件の価値」×「広告クリック数」の計算である。第2の利益算出手段の一例が、ログデータ作成処理のS125において行われる粗利の一部を求める計算、すなわち、「非広告クリック数1件の価値」×「非広告クリック数」,「広告CV数1件の価値」×「広告CV数」,「非広告CV数1件の価値」×「非広告CV数」の計算である。損益算出手段の一例が、ログデータ作成処理のS125において損益を求める計算、すなわち「粗利」−「コスト」の計算である。入札額決定手段の一例が、個別処理におけるS215、S220等の処理である。
【符号の説明】
【0085】
11…入札システム、21…入札額決定装置、23…データ取得蓄積モジュール、25…最適入札額決定モジュール、27…最終入札額決定モジュール、29…入札指示データ作成モジュール、71…出稿管理サーバ、73…出稿検知サーバ、75…入札実施装置、81…検索システム、83…検索Webサーバ、85…リスティング広告管理サーバ、87…ストレージサーバ、91…広告主Webサーバ、93…PC。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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