(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエバポシステムでは、キャニスタ及びパージバルブが離れた位置に固定され、且つそれらの向きを変えてパイプ部によって互いに接続されている。具体的には、パージバルブは、キャニスタの長手方向に対して直交する方向に沿って延びるように配置され、蒸発燃料供給装置がキャニスタの長手方向に直交する方向に幅広く形成されている。
【0005】
自動四輪車のように車体が大きい場合、広いエンジンルームに蒸発燃料供給装置を配置するので、蒸発燃料供給装置の形状及び配置の自由度が高い。他方、自動二輪車では、小さな車体の中に多数の構成部品を搭載させる必要があり、蒸発燃料供給装置の形状及び配置の自由度が低い。それ故、各構成部品の小型化の要望が自動四輪車の場合より更に大きく、蒸発燃料供給装置の小型化を図ることが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、従来のものに比べて小型化された蒸発燃料供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蒸発燃料供給装置は、エンジンに繋がる吸気通路に燃料タンク内の蒸発燃料を供給するための蒸発燃料供給装置であって、前記燃料タンクに繋がるタンク用管と、前記タンク用管を介して前記燃料タンクに繋がる流入口部と前記流入口部と連通する流出口部とを有し、前記流入口部から流入する蒸発燃料を吸着し且つ吸着した蒸発燃料を前記流出口部から排出するキャニスタと、前記キャニスタの流出口部に繋がる連結管と、前記連結管を介して前記キャニスタの前記流出口部に繋がるバルブ入口部と前記バルブ入口部と連通するバルブ出口部とを有し、前記バルブ入口部と前記バルブ出口部との間を開閉する開閉バルブと、前記バルブ出口部と前記吸気通路とを繋ぐ供給用管とを備え、前記キャニスタ及び前記開閉バルブは、第1方向に隣接するように配置されて互いに固定され、前記流入口部及び前記バルブ出口部のうち少なくとも一方と前記流出口部と前記バルブ入口部とが前記第1方向に直交する第2方向一方に延在し、前記連結管は、一端部に前記流出口部が接続され、他端部に前記バルブ入口部が接続され、中間部分に折り返し部分を有しているものである。
【0008】
本発明に従えば、キャニスタと開閉バルブとを第1方向に隣接するように配置し且つ互いに固定しているので、蒸発燃料供給装置の第1方向の長さが大きくなることを抑制できる。また、キャニスタの流出口部と開閉バルブのバルブ入口部とが第2方向一方に延在し、それらを繋ぐ連結管の中間部分に折り返し部分を形成させているので、キャニスタと開閉バルブとを第1方向に近接させることが可能になる。また、流出口又はバルブ出口の伸びている第2方向に連結管が延びることになるので、連結管を設けても実質的には装置全体の第2方向の長さが大きくなることがない。それ故、蒸発燃料供給装置の第1方向の長さが大きくなることを抑制される。これにより、蒸発燃料供給装置を従来のものに比べて小型化できる。
【0009】
上記発明において、前記流入口部及び前記流出口部は、前記キャニスタの基部から前記第2方向一方に突出するように前記キャニスタの基部に形成され、前記バルブ入口部及び前記バルブ出口部は、前記開閉バルブの基部から前記第2方向一方に突出するように前記開閉バルブの基部に形成されていることが好ましい。
【0010】
上記構成に従えば、流出口部、流入口部、バルブ入口部、及びバルブ出口部の全てが同一方向に延在するので、キャニスタ及び開閉バルブを第1方向に隣接配置する際に流出口部及び流入口部が開閉バルブに干渉したり、バルブ入口部及びバルブ出口部がキャニスタに干渉したりすることを防いで近接配置できる。また、流出口部、流入口部、バルブ入口部、及びバルブ出口部の全てが各々の基部から同一方向に延在しているので、タンク用管、連結管、及び供給用管の着脱を容易にすることができる。
【0011】
上記発明において、前記キャニスタは、大略長尺形状になっており、前記第2方向に延在するように配置され、前記開閉バルブは、前記キャニスタに対して前記キャニスタの長手方向に直交する前記第1方向に隣接していることが好ましい。
【0012】
上記構成に従えば、キャニスタの容量を確保しつつ、蒸発燃料供給装置の第1方向の長さが大きくなることを防ぐことができる。
【0013】
上記発明において、前記開閉バルブは、前記キャニスタに一体的に固定されていることが好ましい。
【0014】
上記構成に従えば、キャニスタと開閉バルブとが一体化されているので、蒸発燃料供給装置をユニット化できる。これにより、例えば狭い場所での蒸発燃料供給装置の取付作業も容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0015】
本件発明の自動二輪車は、上述するいずれか1つに記載の蒸発燃料供給装置と、前記燃料タンクと、前記エンジンと、前記吸気通路とを備えるものであって、前記キャニスタ及び前記開閉バルブに対して前記燃料タンク及び前記吸気通路が前記第2方向一方側に位置しているものである。
【0016】
上記構成に従えば、流入口部が燃料タンクに向き、且つバルブ出口部が吸気通路に向くようになる。これにより、流入口部及びバルブ出口部が互いに反対側に向いている場合に比べて、タンク用チューブ及び供給用チューブを短くできる。
【0017】
上記発明において、前記エンジンを支持するフレームと、前輪を軸支し、前記フレームに回動可能に設けられているフロントフォークと、前記フレームの少なくとも一部分を覆うカウルとを備え、前記蒸発燃料供給装置は、前記カウルの内側に設けられ、前記キャニスタは、前記フロントフォークの車幅方向外側に配置され、記開閉バルブは、前記キャニスタより前記車幅方向内側に位置し、且つ前記フロントフォークより後方で前記フロントフォークの回動軌跡外に配置されていることが好ましい。
【0018】
上記構成に従えば、フロントフォークを避けつつ蒸発燃料供給装置を狭小なカウルの内側の空間に配置できる。これにより、蒸発燃料供給装置が地面に接触したり、他車に接触したりして損傷することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来のものに比べて小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態の蒸発燃料供給装置1を備える自動二輪車2について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、自動二輪車2に騎乗した運転者から見た方向を基準とする。また、以下に説明する蒸発燃料供給装置1及び自動二輪車2は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0022】
[自動二輪車]
図1は、本発明に係る第1実施形態の蒸発燃料供給装置1を備える自動二輪車2の右側面図である。
図1に示すように、自動二輪車2は、車体3、前輪4及び後輪5を備えている。前輪4は、略上下方向に延びるフロントフォーク6の下端部にて回転自在に支持されている。
図1乃至3に示すように、該フロントフォーク6は、その上端部に設けられたアッパーブラケット7と該アッパーブラケット7の下方に設けられたアンダーブラケット8とを介してステアリングシャフト9に支持されている。ステアリングシャフト9は、ヘッドパイプ10によって回転自在に支持されている。また、アッパーブラケット7の左右両端部にはハンドル11L,11R(
図1も参照)が夫々取り付けられている。左右のハンドル11L,11Rは、アッパーブラケット7から左方向及び右方向に夫々延在しており、運転者が両手で夫々を把持できるようになっている。また、自動二輪車2は、運転者がハンドル11L,11Rを回動操作してステアリングシャフト9をヘッドパイプ10内で回転させることにより、前輪4を所望の方向へ転向させることができるようになっている。
【0023】
図1及び
図3に示すように、車体3の一部分を構成するヘッドパイプ10には、左右一対のメインフレーム13が一体的に設けられている。左右一対のメインフレーム13は、ヘッドパイプ10から若干下方に傾斜しながら後方へ延びており、メインフレーム13の後端部には、左右一対のピボットフレーム14が接続されている。このピボットフレーム14には略前後方向に延びるスイングアーム15の前端部が枢支されており、このスイングアーム15の後端部に後輪5が回転自在に軸支されている。また、ヘッドパイプ10の後方には、燃料タンク16が一対のメインフレーム13に載せられており、この燃料タンク16の後方には、運転者騎乗用のシート17が設けられている。
【0024】
また、
図1に示すように、燃料タンク16の下方であって前輪4と後輪5の間には、並列四気筒のエンジンEがメインフレーム13及びピボットフレーム14に支持された状態で搭載されている。エンジンEには、変速装置(図示せず)が接続されており、この変速装置から出力される駆動力がチェーン(図示せず)を介して後輪5に伝達される。エンジンEの吸気ポート(図示せず)には、メインフレーム13の内側に配置されたスロットル装置18が接続されている。スロットル装置18の上流側には、燃料タンク16の下方に配置されたエアクリーナ19が接続されており、前方Fからの走行風圧を利用して外気を取り込む構成となっている。また、シート17の下方の内部空間には、蒸発燃料供給装置1及びスロットル装置18等の動作を制御するエンジンECU(電子制御ユニット)40が収容されている。
【0025】
また、
図2に示すように、ハンドル11L,11Rの前方Fには、ヘッドランプユニット20が配置されており、このヘッドランプユニット20のアウタレンズを除く部分が、平面視で大略U字状に形成されているフロントカウル21の先端部によって前方Fから覆われている。また、フロントカウル21は、
図1に示すようにヘッドパイプ10及びフロントフォーク6の上部の左右両側を覆うように被せられている。即ち、フロントカウル21は、車体3の前側部分の前側及び左右両側を覆うように被せられており、その後端部がエンジンEの左右両側の後方Rまで延在している。
【0026】
このように構成されているフロントカウル21の左側内面部とフロントフォーク6との間には、レギュレータ(図示せず)が設けられている。このレギュレータと反対側の位置、即ちヘッドパイプ10の右側方には
図3に示すように蒸発燃料供給装置1が配置されており、蒸発燃料供給装置1はフロントカウル21の右側内面部に固定されている。このように固定されている蒸発燃料供給装置1は、ハンドル11L,11Rを回動操作したときのフロントフォーク6の回動軌跡(
図3の二点鎖線参照)の右側(すなわち、外側)に外れるようにフロントフォーク6の後方Rに配置されている。更に詳細に説明すると、右側のフロントフォーク6が最も後方に位置したときに、この右側のフロントフォーク6に隣接するように配置されている。このように配置される蒸発燃料供給装置1の構成について、以下で詳しく説明する。
【0027】
[蒸発燃料供給装置]
蒸発燃料供給装置1は、燃料タンク16内で蒸発する燃料、即ちガソリン蒸気をスロットル装置18に供給するための装置である。
図4に示すように、蒸発燃料供給装置1は、基本的にキャニスタ22と、開閉バルブ23とを有している。キャニスタ22は、車体の前後方向(第2方向)に延びる細長い直方体形状の箱体31(基部)を有しており、箱体31内には、蒸発したガソリンを吸着する吸着物質、具体的には活性炭が収納されている。また、箱体31の前端部には取込口部31aが形成され、後端部には流入口部31b及び流出口部31cが形成されている。
【0028】
取込口部31aは、前方Fに延在する円筒状の突起部分であり、外気を取り込めるようになっている。また、流入口部31bは、第2方向一方である後方Rに延在する円筒状の突起部分であり、タンク用管25を介して燃料タンク16に接続されている。これにより、燃料タンク16内で蒸発したガソリンは、タンク用管25及び流入口部31bを介して箱体31内に導かれ、更に箱体31内で活性炭に吸着される。また、吸着されたガソリン蒸気は、取込口部31aから取り込まれた外気、即ち空気によって活性炭から離脱させられ、該空気とともに流出口部31cから箱体31の外へと流出する。また流出口部31cは、連結管26を介して開閉バルブ23に接続されている。
【0029】
開閉バルブ23は、ソレノイド型の開閉バルブであり、そこに入力される指令に応じて通路を開閉するように構成されている。詳細に説明すると、開閉バルブ23は、バルブ本体23aと、バルブ入口部23bと、バルブ出口部23cとを有している。開閉バルブ23の基部であるバルブ本体23aは、箱状に形成されており、その後端部にバルブ入口部23bとバルブ出口部23cとが形成されている。バルブ入口部23b及びバルブ出口部23cは、後方Rに延在する円筒状の突起部であり、バルブ入口部23bが連結管26を介してキャニスタ22の流出口部31cに接続され、バルブ出口部23cは、供給用管27を介してスロットル装置18に接続されている。
【0030】
スロットル装置18は、4つの吸気通路41を有しており、各吸気通路41は、エンジンEのシリンダ42に個別に接続されている。各吸気通路41には、そこを塞ぐようにスロットルバルブ43が設けられており、スロットルバルブ43は、アクセル操作に応じて回動するようになっている。スロットルバルブ43を回動させることで吸気通路41の開度を調整できるようになっている。また、吸気通路41には、インジェクタ44が設けられており、インジェクタ44によって燃料タンク16内のガソリンを吸気通路41に噴射される。インジェクタ44は、吸気通路41においてスロットルバルブ43の下流側に配置されている。また、スロットルバルブ43の下流側には、蒸気供給口部45が形成されている。蒸気供給口部45は、供給用管27を介して開閉バルブ23のバルブ出口部23cに接続されている。
【0031】
このように供給用管27を介してスロットル装置18に繋がる開閉バルブ23は、バルブ本体23aの内部にバルブ入口部23bとバルブ出口部23cとを繋ぐ通路が形成されている。また、バルブ本体23aは、バルブ本体23aから後方Rへと突き出るように形成されるコネクタ23dを介してエンジンECU40と電気的に接続されている。バルブ本体23aは、エンジンECU40から開信号が送られると通路を開くようになっている。吸気管が通路に対して負圧となっているので、バルブ本体23aがエンジンEの駆動中に通路を開くと、蒸発した燃料が外気と共に吸気間に流れ込むようになっている。他方、エンジンECU40からの開信号が途切れると、弁体が元の位置に戻されて通路が閉じるようになっている。このように、開閉バルブ23は、バルブ入口部23b及びバルブ出口部23cの間を開閉する、すなわちキャニスタ22とスロットル装置18との間をエンジンECU40からの指令に応じて開閉するようなっている。
【0032】
詳細に説明すると、エンジンECU40は、自動二輪車2の車速を計測する車速センサ、エンジンEの回転数を計測する回転センサ、及び排気ガスに含まれる特定の成分のガスの濃度等を計測する燃焼ガスセンサ等の各種センサに電気的に接続されており、これら各種センサからの信号に基づいて開閉バルブ23を開閉するようになっている。即ち、エンジンECU40は、自動二輪車2の走行状態及びエンジン状態に応じてタイミングで蒸発燃料をスロットル装置18に供給するようになっている。
【0033】
更に具体的に説明すると、エンジンECU40は、エンジンEの駆動中において以下で説明する所定の条件を充足すると、開閉バルブ23に信号を送信して通路を開いてスロットル装置18に蒸発燃料を供給させるようになっている。所定条件とは、例えば燃料供給バランスの変動、走行フィーリング(例えば、定速走行時や燃焼状況非検出時等)への影響が小さいことである。
【0034】
以下では、蒸発燃料供給装置1の配置等を詳しく説明する。
図2及び
図3に示すように、キャニスタ22は、ブラケット24によりフロントカウル21の内面部に固定されている。また、
図5乃至7に示すようにブラケット24は、後方Rから見て大略U字状に形成されているブラケット本体24aを有しており、ブラケット本体24aの内空間にキャニスタ22が嵌まり込んで収容されている。また、ブラケット本体24aは、U字状の開口を閉じるようにその開口をフロントカウル21の内面部に向けて配置されており、ブラケット本体24aをフロントカウル21に取り付けるための3つのフランジ部24b〜24dがブラケット本体24aの両端部に夫々形成されている。
【0035】
フランジ部24b〜24dは、ブラケット本体24aの両端部から外側(上方又は下方)に延在しており、フロントカウル21の内面部に沿うように配置されてそこに締結されている。これにより、キャニスタ22は、その長手方向が前後方向(第2方向)に延在するように配置されてフロントカウル21の内面部に固定されている。また、ブラケット本体24aにおいて、フロントカウル21に対して左方に離れて位置する側板部24eの後端部に弁取付部24fが突設されている。弁取付部24fは、連結部分24gと取付部分24hとを有している。連結部分24gは、側板部24eの後端部から後方Rに延在し、取付部分24hは、フロントカウル21から内側に離れるように、即ち連結部分24gの先端部から左方に延在している。この取付部分24hには、開閉バルブ23が締結されている。
【0036】
開閉バルブ23は、基端側の面を後方Rに向け、且つ後端部と反対側の面を取付部分24hに沿わせるように取付部分24hに取り付けられている。このようにして取り付けられている開閉バルブ23は、キャニスタ22の左側に隣接し且つキャニスタ22の後端部に寄せて配置され、ブラケット24を介してキャニスタ22に一体的に固定されている。このように隣接して一体的に配置することで、蒸発燃料供給装置1の前後方向の長さL1及び左右方向(第1方向)の長さL2、即ち蒸発燃料供給装置1の長手方向の長さ及び幅を特許文献1に記載されている蒸発燃料供給装置より小さくできる。つまり、蒸発燃料供給装置1の小型化を図ることができる。また、ブラケット24にキャニスタ22と開閉バルブ23とを取り付けることでこれらをユニット化できる。更に、フロントカウル21に蒸発燃料供給装置1を取り付けて、フロントカウル21と蒸発燃料供給装置1とをユニット化することができる。これにより、本実施形態のようにフロントカウル21の内側という狭い場所での蒸発燃料供給装置1の取付作業も容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0037】
このようにしてフロントカウル21に取付けられている蒸発燃料供給装置1は、前輪4よりも上方、且つメインフレーム13と略同じ高さに配置されている。それ故、キャニスタ22及び開閉バルブ23を燃料タンク16及びスロットル装置18のより近くに配置することができ、タンク用管25及び供給用管27の長さを短くすることができる。また、メインフレーム13の外側で且つフロントカウル21の内側の空間において、側面視でヘッドパイプ10及びフロントフォーク6に重ねて配置しているので、フロントカウル21内の空間を有効に利用することができる。
【0038】
また、開閉バルブ23のバルブ入口部23b及びバルブ出口部23cは、
図6に示すようにキャニスタ22の流入口部31b及び流出口部31cと同じ方向、即ち後方Rに延在している。
図3に示すように流出口部31c及びバルブ出口部23cが延在する方向の先には、燃料タンク16及びスロットル装置18が位置している。これにより、タンク用管25及び供給用管27が湾曲させて配置されることを防ぐことができる。それ故、タンク用管25及び供給用管27の全長が長くなることを防ぐことができる。
【0039】
タンク用管25及び供給用管27の配管についてさらに詳細に説明すると、
図2に示すようにタンク用管25はメインフレーム13の内側に延在し、供給用管27のキャニスタ22側の部分はメインフレーム13の外側を通すように配置され、メインフレーム13の前後方向中間部分からメインフレーム13の下方を通過してメインフレーム13の内側に入れるように配置されている。左右一対のメインフレーム13の間の空間にはステアリングシャフト9側の領域に様々な構成部品が所狭しと配置されている。供給用管27のキャニスタ22側の部分を前述のように配線することでその空間を避けて配管することができ、供給用管27と他の構成とが干渉することを防ぐことができる。なお、タンク用管25についても供給用管27と同様の配線を行うことで、タンク用管25が他の構成と干渉することを防ぐことができる。
【0040】
また、流出口部31c及びバルブ入口部23bが同じ方向に向いているので、流出口部31c及びバルブ入口部23bを繋ぐ連結管26には、中間部分に折返し部分を有する大略U字状の配管が用いられている。このように大略U字状の配管を用いることで、前述するようにキャニスタ22と開閉バルブ23とを左右方向に近接させて配置することができ、蒸発燃料供給装置1の幅を特許文献1の蒸発燃料供給装置より短くできる。
【0041】
本実施形態では、流出口部31c及びバルブ入口部23bとの外径寸法が異なっている。それ故、外形寸法が異なる流出口部31c及びバルブ入口部23bに夫々接続させるべく、連結管26は、L字型のジョイント部26aとチューブ部26bとを有している。L字型のジョイント部26aは、両端部に開口部を有するL型継手管部であり、その一方の開口部にキャニスタ22の流出口部31cが接続されている。L字型のジョイント部26aは、樹脂成型品であり、中間部分に略直角に屈曲する屈曲部分26cを有している。ジョイント部26aは、この屈曲部分26cより先端側にある他方の開口部が開閉バルブ23のバルブ入口部23bに向けて(即ち、左方に向けて)配置されている。このバルブ入口部23bは、流出口部31cより外形寸法が小さく、ジョイント部26aより口径が小さいチューブ部26bが接続されている。チューブ部26bは、可撓性を有しており、その一端部が接続されるバルブ入口部23bから円弧状に湾曲してジョイント部26aの他方の開口部に挿入されている。連結管26は、このようにして異なる外形寸法を有する流出口部31cとバルブ入口部23bとを接続することができる。また、連結26では、ジョイント部26aが樹脂で形成されており、ジョイント部26aがチューブ部26bに比べて撓まないようになっている。それ故、可撓性を有するチューブ部26bによって寸法や位置決め等における誤差を吸収している。
【0042】
更に、連結管26は、蒸発燃料供給装置1の後方空間1R(
図3参照)に突設されており、後方空間1Rには、燃料タンク16と流入口部31bとを繋ぐタンク用管25、及びバルブ出口部23cとスロットル装置18とを繋ぐ供給用管27とが延在している。連結管26は、この後方空間1Rにおいて中間部分に折返し部分を有するU字状に形成されて配置される。この後方空間1Rには、もともとタンク用管25及び供給用管27が伸びており、この方向に連結管26が突出しても蒸発燃料供給装置1全体の寸法が大きくなることがない。従って、蒸発燃料供給装置1の前後方向の長さが長くなることを実質的に防ぐことができる。また、連結管26を後方空間1Rに配置しているので、蒸発燃料供給装置1の左右方向の長さ及び上下方向の長さが拡張することを防ぐことができる。これにより、フロントカウル21の内面部に他部品に干渉することなく蒸発燃料供給装置1を配置することを可能にしている。
【0043】
更に、流出口部31cは、箱体31の後端部において流出口部31cよりも外側に配置されており、バルブ入口部23bから離して配置されている。つまり、流出口部31cは、箱体31の後端部においてフロントカウル21側に寄せて配置されている。これにより、流出口部31cとバルブ入口部23bとの間隔を大きくとることができ、チューブ部26bの曲率半径を大きくすることができる。それ故、チューブ部26bに剛性の高い材料を採用することができるようになり、連結管26の剛性を向上させることができる。
【0044】
また、バルブ入口部23b、バルブ出口部23c、流入口部31b、及び流出口部31cの全てが後方Rに突き出ているので、キャニスタ22と開閉バルブ23とを左右方向に隣接させても干渉する部分がなく、これらを近接させやすくなっている。また、バルブ入口部23b、バルブ出口部23c、流入口部31b、及び流出口部31cの全てが後方Rに突き出ているので、タンク用管25、連結管26、及び供給用管27の着脱が容易である。
【0045】
本実施形態の蒸発燃料供給装置1では、キャニスタ22と開閉バルブ23とがブラケット24を介して密着するように隣接配置されている。それ故、キャニスタ22と開閉バルブ23とが離れて配置されている場合に比べて連結管26を短くすることができる。また、流出口部31c及びバルブ入口部23bが同じ方向に向いており、バルブ入口部23bが形成されている開閉バルブ23の後端部は流出口部31cが形成されているキャニスタ22の後端部に近づけて配置されている。それ故、蒸発燃料を流通させるために通常の管に比べて製造コストが高い連結管26の長さを更に短くすることができ、蒸発燃料供給装置1の製造コストを低減できる。
【0046】
また、本実施形態の蒸発燃料供給装置1では、開閉バルブ23のコネクタ23dも後方に向けてバルブ用のハーネスが左右方向に延びる場合に比べて蒸発燃料供給装置1全体が大型化することを防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態の蒸発燃料供給装置1では、バルブ入口部23bの上方にジョイント部26aの他方の開口部を位置させることができるので、連結管26にL字型のジョイント部26aを採用せずに1つのチューブ状の管で流出口部31cとバルブ入口部23bとを繋ぐ場合に比べて、チューブ部26bが折れ曲がったり、外側に広がったりすることを防ぐことができる。これにより、連結管26内の流路面積を確保し、且つ連結管26が左右方向に広がることを抑えつつ、流出口部31cとバルブ入口部23bとの距離を短くできる。なお、上記の記載は、連結管26を1つのチューブ状の管で構成することを排除するものではなく、外側に広がることを許容できる場合は、連結管26を1つのチューブ状の管で構成してもよい。
【0048】
また、蒸発燃料供給装置1では、キャニスタ22を前後方向に延在するように細長い直方体状に形成している。これにより、燃料タンク16内で蒸発して導かれるガソリン蒸気を略全て吸着するのに必要な容量をキャニスタ22において確保しつつ、蒸発燃料供給装置1の幅が長くなることを防ぐことができる。更に、蒸発燃料供給装置1をフロントカウル21の内側に配置することで、蒸発燃料供給装置1が地面に接触したり、他車に接触したりして損傷することを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態の蒸発燃料供給装置1では、レギュレータと反対側に蒸発燃料供給装置1が配置されている。それ故、自動二輪車2において、蒸発燃料供給装置1がレギュレータと同じ側に配置されている場合に比べてフロントカウル21とフロントフォーク6との間のスペースを小さくすることができる。なお、蒸発燃料供給装置1が配置されている側と反対側のスペースに配置される車載装置は、レギュレータに限定されず、盗難防止装置が配置されていてもよい。
【0050】
更に、本実施形態の蒸発燃料供給装置1では、流入口部31b及び流出口部31cがキャニスタ22の後面の外周縁部より内側に位置している。それ故、タンク用管25及びジョイント部26aを固定するためのクランプ部材が流入口部31b及び流出口部31cに設けられても、そのクランプ部材が幅方向及び上下方向に突出することを防ぐことができる。
【0051】
また、自動二輪車2のような鞍乗り型車両の場合、前後方向寸法に対して左右方向寸法の方が短くなっている。それ故、本実施形態の蒸発燃料供給装置1のようにキャニスタ22の長手方向が自動二輪車2の前後方向に延在するようにキャニスタ22を配置することで、自動二輪車2が左右方向に拡幅することを防ぐことができる。なお、キャニスタ22は、必ずしも水平に配置されている必要はなく、水平面に対して上下方向に傾斜させて配置されていてもよい。
【0052】
[その他の実施形態]
前述する実施形態では、蒸発燃料供給装置1がフロントカウル21の右側の内面部に設けられているが、蒸発燃料供給装置1の配置位置は、そこに限定されない。例えば、蒸発燃料供給装置1の配置位置がフロントカウル21の左側の内面部であってもよく、エンジンEの下方であってもよい。また、
図1に示すようにシート17から後方Rに延びるリアフレーム51にブラケット24を介して蒸発燃料供給装置1を取り付けてもよく、リアフレーム51を覆うリアカウル52に蒸発燃料供給装置1を取り付けてもよい。また、フロントカウル21を備えていない自動二輪車2であっても、ヘッドランプユニット20だけを覆うビキニカウルの内面部に取り付けたり、ラジエータに走行風を案内するシュラウドの内部に取り付けてもよい。
【0053】
また、前述する実施形態では、バルブ入口部23b、バルブ出口部23c、流入口部31b及び流出口部31cの全てが同一方向に延在しているが、バルブ出口部23c及び流入口部31bのいずれか一方は、他の3つの口部と異なる方向に延在していてもよい。このように構成しても、連結管26は、タンク用管25及び供給用管27のいずれかと同じ方向に延びる。それ故、連結管26が蒸発燃料供給装置1の全体寸法に及ぼす影響が小さく、本実施形態の蒸発燃料供給装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0054】
また、前述する実施形態では、キャニスタ22と開閉バルブ23とがブラケット24を介して一体化されているが、ブラケット24を介さずにキャニスタ22に開閉バルブ23を直接固定してもよい。これによっても前述する実施形態の蒸発燃料供給装置1と同様の作用効果を奏する。
【0055】
更に、前述する実施形態では、蒸発燃料供給装置1を自動二輪車2に適用した場合を説明したが、3輪以上の騎乗型バギー車(例えば、ATV)や4輪車等のエンジンを備える乗り物全般に適用することができる。