特許第5964684号(P5964684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964684複数のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置と方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964684
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】複数のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置と方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20160721BHJP
   B65D 88/22 20060101ALI20160721BHJP
   B66C 1/10 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B66C1/34 P
   B65D88/22 Z
   B66C1/10 Q
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-167151(P2012-167151)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-24649(P2014-24649A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591198294
【氏名又は名称】株式会社日通総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
(72)【発明者】
【氏名】森 雄治
(72)【発明者】
【氏名】浜島 博文
(72)【発明者】
【氏名】立石 洋二
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 洋平
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表平04−501400(JP,A)
【文献】 特開平01−156298(JP,A)
【文献】 特開平06−064890(JP,A)
【文献】 特開平09−328284(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/018692(WO,A1)
【文献】 米国特許第06079934(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/22
B66C 1/00−3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り上げる装置であって、
複数の吊り材を垂下した吊り枠と、
吊り材の下端に取り付けた玉掛け具とよりなり、
隣接する吊り材間の間隔は、吊り上げ対象のフレキシブルコンテナの平面幅と同じもしくはフレキシブルコンテナの平面幅よりも多少広く、
玉掛け具は、
下方に開口する係合空間と、
前記係合空間の上部に位置し、フレキシブルコンテナの吊り手に取り付けた金属プレートを吸着して係合空間へと吸引可能な電磁石と、
前記係合空間を閉じるように玉掛け具内を摺動して、前記吊り手と係合する係合棒と、を備え、
電磁石の磁化および消磁、ならびに係合棒の摺動を外部からの遠隔操作で行えるように構成したことを特徴とする、
フレキシブルコンテナの吊り上げ装置。
【請求項2】
放射性物質を含む被収容物を、内部に収容した複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り上げる方法であって、
請求項1記載の装置を使用し、
すべてのフレキシブルコンテナを玉掛け具で係合して吊り枠で吊り上げ、
所定の位置でフレキシブルコンテナを玉掛け具から開放して行う、
フレキシブルコンテナの吊り上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り上げる装置と吊り上げ方法に関するものである。
なお本明細書で「吊り上げ」とは、特に別の意味を持たせた場合以外は、吊り上げた対象物を吊り降ろす工程を含めた意味で使用するものである。
【背景技術】
【0002】
放射性物質を含む土壌、落葉などを除去する場合に、フレキシブルコンテナと称する袋体に収納して現場や近くの仮置き場に収納する。
ここにフレキシブルコンテナとは、ポリエチレンやポリプロピレン等の丈夫な化学繊維で織った袋体である。
主に穀物や飼料、土砂などの粉状物質、または粒状物質の梱包、輸送に適しており、平均的なもので1トン、あるいはそれ以上の重量物を充填することができる。
袋体には、重量を支える丈夫な吊りベルトの長いループ部が上部に付いており、袋体をフォークリフトやクレーン等で持ち上げる際に使用する。
収納は上部の開口部から行い、マチ部分によって開口部を閉じることが可能である。
バッグ自体は軽量で折りたたみが容易であり、価格も安価であることから幅広い分野で使用される。
【0003】
その利用のひとつとして上記のようなフレキシブルコンテナの内部に放射性物質を含む土壌、落葉などを収納して現地や仮置き場に仮置きする方法が採用されている。
仮置きした後2〜3年で中間貯蔵施設へ運搬するので、膨大な量のフレキシブルコンテナの吊り上げ、運搬、吊り降ろしは効率よく迅速に実施することが必要である。
ところが従来技術を用いると、仮置き場に仮置きしたフレキシブルコンテナをクレーンやユニックを用いて1袋ずつトラックの荷台に積載し、中間貯蔵施設でも同様に1袋ずつ荷降ろしすることになり、多量のフレキシブルコンテナの扱いには問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−86963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような従来のフレキシブルコンテナの吊り上げ作業では次のような問題がある。
<1> 仮置きしたフレキシブルコンテナをクレーンまたはユニックを用いて1袋ずつ吊り上げてトラックの荷台に積載するような方法では処理に時間がかかる。そのために膨大な量のフレキシブルコンテナを迅速に処理することが困難である。
<2> フレキシブルコンテナの吊り上げ、吊り降ろしのたびに作業員が玉掛け、玉外しを行う必要がある。そのために放射性物質に近づく頻度が増加し、作業員の放射線被ばく量が増えて健康上で問題がある。
<3> なおここで「玉掛け」とは、クレーンやデリックなどのフックで荷を吊る際に、ワイヤー、ロープ、チェーンなどを荷に取り付ける作業のことをいい、一般には作業員が直接ワイヤーなどを操作する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決する本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置は、複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り上げる装置であって、複数の吊り材を垂下した吊り枠と、吊り材の下端に取り付けた玉掛け具とよりなり、隣接する吊り材間の間隔は、吊り上げ対象のフレキシブルコンテナの平面幅と同じもしくはフレキシブルコンテナの平面幅よりも多少広く、玉掛け具は、下方に開口する係合空間と、前記係合空間の上部に位置し、フレキシブルコンテナの吊り手に取り付けた金属プレートを吸着して係合空間へと吸引可能な電磁石と、前記係合空間を閉じるように玉掛け具内を摺動して、前記吊り手と係合する係合棒と、を備え、電磁石の磁化および消磁、ならびに係合棒の摺動を外部からの遠隔操作で行えるように構成したことを特徴とするものである。
【0007】
また本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ方法は、放射性物質を含む被収容物を、内部に収容した複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り降ろす方法であって、上記の装置を利用し、すべての吊り材下端の玉掛け具によってフレキシブルコンテナを係合して吊り枠で吊り上げ、所定の位置でフレキシブルコンテナを玉掛け具から開放して行うことを特徴とするものである。

【発明の効果】
【0008】
本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ方法と装置は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 複数のフレキシブルコンテナを同時に運搬する装置によって一度に多数のフレキシブルコンテナを吊り上げて吊り降ろすことができるから、膨大な量のフレキシブルコンテナを扱う場合でも効率のよい作業を行うことができる。
<2> 吊り材の下端に遠隔操作で係合棒が出入りする玉掛け具を使用するから、作業員がフレキシブルコンテナに接近する必要がなく、被曝の危険性がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置の実施例の斜視図。
図2】玉掛け具の実施例の説明図。
図3】自動玉掛けの状態の説明図。
図4】フレキシブルコンテナを搭載する荷台の実施例の説明図。
図5】本発明の吊り上げ作業の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照にしながら本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置と吊り上げ方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
<1>全体の構成
本発明のフレキシブルコンテナの吊り上げ装置および吊り上げ方法は、複数のフレキシブルコンテナを同時に吊り上げる装置およびその装置を利用した吊り上げ方法である。
吊り上げ装置は、複数の吊り材2を垂下した吊り枠1と、吊り材2の下端に取り付けた玉掛け具3とより構成する。
フレキシブルコンテナ4の詳細は前記したが、本発明の吊り上げ対象のフレキシブルコンテナ4では、汚染物質を収納する前に、吊り手41の一部に金属プレート42を事前に取り付けておく。
このように金属プレート42のフレキシブルコンテナ4への取り付けは、汚染物質の収納前であるから、作業員が被ばくする心配はない。
【0012】
<2>吊り枠
吊り枠1は、平面矩形の鋼製の枠体である。
この吊り枠1の側面、あるいは下面から複数本の吊り材2を下向きに垂下する。
この吊り材2は鋼線、鋼棒などによって構成する。
吊り材2の本数は、図の実施例では6本を2列に配置してあるが、この数値に限定するものではない。
吊り枠1の上には後述する玉掛け具3の係合棒31の出入りのための信号や、電磁石の磁化と消磁の信号を発信する発信機を搭載しておくこともできる。
【0013】
<3>吊り材の間隔
フレキシブルコンテナ4は等間隔で吊り上げる必要がある。
そのため複数本の吊り材2の設置間隔は、吊り上げ対象のフレキシブルコンテナ4の形状と一定の関係がある。
すなわち1本の吊り材2と、隣接する吊り材2と間の間隔は、吊り上げ対象のフレキシブルコンテナ4の平面幅と同じ、もしくはフレキシブルコンテナ4の平面幅よりも多少広く設置する。
平面幅とは、フレキシブルコンテナ4を平面視した場合にほぼ円形とみなして、その直径の寸法である。
このように吊り材2の間隔を設定することにより、フレキシブルコンテナ4群を一度に等間隔で整然と吊り降ろすことができる。
【0014】
<4>玉掛け具
玉掛け具3は、例えば断面を下向きのU字状に形成した鋼材のブロックである。
U字状に形成した玉掛け具3の内部空間を、係合空間32として利用する。
そして外部からの信号によって、係合空間32を横断して摺動する係合棒31を設ける。
係合棒31とは例えば外部からの電気信号を受けて、ソレノイドバルブ34から係合空間32を横断して飛び出し、あるいは元の位置に戻るプランジャーである。
係合空間32に飛び出した係合棒31、すなわちプランジャーの自由端は、係合空間32の他端面に形成したプランジャー受け35に挿入して位置の確保ができる。
このように、本発明の玉掛け具3では玉掛け作業を遠隔操作で行うものである。
さらに玉掛け具3には外部からの操作で磁化と消磁が可能な電磁石33を取りつける。
この電磁石33は、フレキシブルコンテナ4の吊り手41に取り付けた金属プレート42を吸着して係合空間32に牽引するためのものである。
【0015】
<5>吊り上げ作業
次に本発明のフレキシブルコンテナ4の吊り上げ装置の作動について説明する。
前記したように、除染作業にともなってフレキシブルコンテナ4に収納した土壌、落ち葉などは順次、現場や仮置き場に運搬して積み上げるので、整然とした状態で集積してあるとは限らない。
本発明の装置は、このように現場や仮置き場に集積してある膨大な数のフレキシブルコンテナ4を、効率よく吊り上げ、運搬し、中間貯蔵施設で吊り降ろすための装置である。
【0016】
<6>仮置き場での吊り上げ
まず現場や仮置き場では、フレキシブルコンテナ4は上記したように必ずしも整然と積み上げた状態であるとは限らない。
その状態で本発明の吊り上げ装置を使用して、吊り枠1を下降させ、各吊り材2の先端の玉掛け具3をフレキシブルコンテナ4に接近させる。
玉掛け具3の係合棒31は収納した状態にあり、したがって係合空間32は開放した状態にある。
一方、前記したように、フレキシブルコンテナ4の吊り手41の一部には事前に金属プレート42を取りつけてある。
そこで、1か所の玉掛け具3の電磁石33だけを遠隔操作で磁化させることにより、一番近いフレキシブルコンテナ4の吊り手41を吸引して係合空間32に引き寄せることができる。
吊り手41を係合空間32まで吸引したら、係合棒31を押し出して吊り手41を係合空間32に確保する。
この作業を連続して行うことにより、すべての玉掛け具3に1袋ずつのフレキシブルコンテナ4を係合することができる。
その状態で吊り枠1を吊り上げる。
【0017】
<7>吊り降ろし
すべての吊り材2に1袋ずつのフレキシブルコンテナ4を確保した吊り枠1を、運搬車両5の上から吊り降ろす。
運搬車両5が車輪と荷台を備えたトラックであれば、その荷台51にはフレキシブルコンテナ4の寸法に合わせた仕切52を設置する。(図3
その仕切52り内に、吊り枠1で確保したフレキシブルコンテナ4をクレーンなどで吊り降ろす。
仕切52の上端面は円弧面、傾斜面としておき、その仕切に沿ってフレキシブルコンテナ4を吊り降ろせば、均等な間隔を維持してすべてのフレキシブルコンテナ4を1袋ずつ、整然と仕切52内に収納することができる。
その状態を確認したら、遠隔操作によって玉掛け具3の係合棒31を引き戻し、係合空間32の一部を開放する。
その状態で吊り枠1を引き上げれば、すべてのフレキシブルコンテナ4は1袋ずつ整然と仕切内に収納した状態となる。
【0018】
<8>中間貯蔵施設での吊り上げ準備
本発明の装置は中間貯蔵施設にも設置してある。
中間貯蔵施設に車両5が到着したら、荷台51に整然と並んだフレキシブルコンテナ4の上に本発明の装置の吊り枠1を降ろしてゆく。
吊り枠1から垂下した吊り材2の間隔は、荷台に並べたフレキシブルコンテナ4の間隔と等しいから、各吊り材2の下端を、各フレキシブルコンテナ4の上に下げてゆくことができる。
【0019】
<9>玉掛け具での係合
玉掛け具3がフレキシブルコンテナ4の上に接近したら、玉掛け具3の電磁石33を起動して、フレキシブルコンテナ4の吊り手41に取り付けた金属プレート42を吸引する。
金属プレート42が吸引されることによって吊り手41の一部は玉掛け具3の係合空間32に位置する。
その状態で例えばソレノイドバルブ34に信号を与えて、係合棒31であるプランジャーを係合空間32を横断する状態で突出させる。
すると係合棒31はフレキシブルコンテナ4の吊り手41の間に進入する。
その後に電磁石33への通電を切って、吊り手41を自由な状態とする。
【0020】
<10>同時吊り上げ
各玉掛け具3での係合棒31の突出は、一度の信号によって同時に行うことができるから、すべてのフレキシブルコンテナ4は1袋ずつ各吊り材2の下端に取り付けられた状態となる。
その状態で吊り枠1を引き上げれば、荷台51上の全部のフレキシブルコンテナ4を同時に吊り上げて中間貯蔵施設内に運び込むことができる。
【0021】
<11>吊り降ろし
吊り枠1を貯蔵位置に移動したら、玉掛け具3の係合棒31を、信号によって同時に引き戻して、すべての玉掛け具3とフレキシブルコンテナ4の吊り手41の係合を解除する。
すでに電磁石33への通電は切ってあるから、すべてのフレキシブルコンテナ4と吊り材2との係合を解除でき、フレキシブルコンテナ4を所定の位置に設置できる。
吊り枠1は再度上昇させて、次の搬入作業に取り掛かる。
こうして膨大な数量のフレキシブルコンテナ4を、整然と効率よく迅速に中間貯蔵施設に搬入して積み上げることができ、しかも作業員がフレキシブルコンテナ4に接近することなく安全に行うことができる。
【0022】
<12>他の用途
以上の説明は仮置き場から中間設備への運搬、搬入の過程に関するものであったが、本発明の方法、装置はもちろんそのような状況での使用に限定するものではなく、例えば中間貯蔵施設内での扱い、その他一般の港湾での運搬、搬入など広い用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1:吊り枠
2:吊り材
3:玉掛け具
4:フレキシブルコンテナ
5:運搬車両
図1
図2
図3
図4
図5