特許第5964686号(P5964686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964686
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】アスコルビン酸顆粒剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/375 20060101AFI20160721BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20160721BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A61K31/375
   A61K9/16
   A61K47/22
   A61P39/06
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-170065(P2012-170065)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28775(P2014-28775A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150681
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 荘助
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100105061
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 喜博
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智文
(72)【発明者】
【氏名】中村 達雄
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−263906(JP,A)
【文献】 特公平03−069272(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/375
A61K 9/16
A61K 47/22
A61P 39/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アスコルビン酸を芯物質とし、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆された経口用顆粒
【請求項2】
L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルが、L−アスコルビン酸パルミテートまたはL−アスコルビン酸ステアレートである請求項1記載の経口用顆粒
【請求項3】
顆粒中のL−アスコルビン酸とアスコルビン酸の脂肪酸エステルの重量比が1:0.5〜0.5:1である請求項1又は2記載の経口用顆粒
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の経口用顆粒を配合した経口用複合顆粒剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスコルビン酸顆粒剤に関する。
【背景技術】
【0002】
L−アスコルビン酸は、栄養学上ビタミンCとして作用する物質である。さらに食品の酸化防止剤として、広く使用される。L−アスコルビン酸(ビタミンC)は、水溶性で強い還元能力を有し、スーパーオキシド(O2-)、ヒドロキシラジカル(・OH)、過酸化水素(H2O2)などの活性酸素類を消去する。L−アスコルビン酸の過酸化水素の消去は、グルタチオン−アスコルビン酸回路によって行われる。この回路に代表されるように、L−アスコルビン酸がデヒドロアスコルビン酸に酸化されても各種酵素によりアスコルビン酸に還元・再生されて触媒的に機能する。このため、生体の酸化ストレスの蓄積抑制などに効果がある。また、近年ではサプリメントとして健康維持を目的として広く摂取されている。
【0003】
L−アスコルビン酸は、強い酸性を示す物質であり、また強い還元性を示すことから、水や酸素、金属が共存する系ではこれらの物質と反応して、ビタミンCとしての活性を失い、さらに酸化還元反応により褐変化反応を促進する。このため、L−アスコルビン酸が他物質と共存している場合には、その物質と反応して速やかにビタミンCとしての活性を喪失してしまう。このため、L−アスコルビン酸を芯物質として、その表面を疎水性の物質で被覆しておく方法が提案されている。例えば特許文献1(特開平10−203965号公報)にはL−アスコルビン酸を芯物質とし、その表面を油脂やワックスで被覆する技術が開示されている。特許文献2(特開平5−221859号公報)には、ビタミンCを芯物質とし、油脂層、可食フィルム層、油脂層の3層にコーティングされた被覆ビタミンC顆粒が開示されている。これらの先行技術によるL−アスコルビン酸は、水不溶性の油脂やワックス、フィルムでコーティングされているため、顆粒を他の成分、例えば金属塩やビタミン類、蛋白質などの顆粒と混合したり、あるいは混合後打錠して錠剤としても、これらの成分と反応し難いため、L−アスコルビン酸も安定に保つことができ、しかも金属塩やビタミン類、蛋白質もL−アスコルビン酸と接触しないため、褐変化などの問題も発生しないといわれている。
【0004】
しかしL−アスコルビン酸を上記の技術で被覆して顆粒を調製すると、相対的に顆粒中のL−アスコルビン酸濃度が低下してしまうという問題がある。これを防ぐために被覆層の厚みを相対的に薄くすると、必然的にL−アスコルビン酸が流出しやすくなり、あるいは被覆層を通過して流出し、複合顆粒剤や、複合顆粒を打錠した錠剤においてはL−アスコルビン酸の活性の低下や錠剤の褐変化、着色などの問題が発生する。
このようなL−アスコルビン酸の不安定性の問題を解決した物質として、L−アスコルビン酸の誘導体がある。特にL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルであるアスコルビン酸ステアレートやアスコルビン酸パルミテートが開発され、食品の酸化防止剤として広く利用されている。アスコルビン酸の脂肪酸エステルは、水に不溶性であり、水分の存在下で、緩やかに加水分解されてL−アスコルビン酸を放出するため、長期間L−アスコルビン酸の活性を保つため、食品の酸化防止剤として広く利用されている。しかし、アスコルビン酸の脂肪酸エステルは、嵩比重(嵩高)が大きく、顆粒化に適していない。また脂溶性のため、ビタミンCとしては即効性に欠けている。
【0005】
本発明者らは、L−アスコルビン酸の相対濃度を低下させず、アスコルビン酸を芯物質とする被覆した顆粒の調製技術を鋭意研究を行った結果、被覆層を形成する際に、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを被覆剤として用いることで、L−アスコルビン酸の相対濃度を低下させずに、安定な被覆された顆粒を提供できることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−203965号公報
【特許文献2】特開平5−221859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、L−アスコルビン酸を芯物質とし、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆された、安定なL−アスコルビン酸顆粒を提供することを課題とする。またL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆された顆粒を含む複合顆粒剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のとおりである。
(1)L−アスコルビン酸を芯物質とし、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆された経口用顆粒
(2)L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルが、L−アスコルビン酸パルミテートまたはL−アスコルビン酸ステアレートである(1)記載の経口用顆粒
(3)顆粒中のL−アスコルビン酸とアスコルビン酸の脂肪酸エステルの重量比が1:0.5〜0.5:1である(1)又は(2)記載の経口用顆粒
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の経口用顆粒を配合した経口用複合顆粒剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、L−アスコルビン酸含有量の高い、安定な顆粒を得ることができる。この顆粒は、従来L−アスコルビン酸と反応して、褐変化する金属塩やペプチドなどと共存しても、安定に保たれる。
またこの顆粒を用いた複合顆粒剤中に、金属塩やペプチドなどを配合することが可能となる。このような顆粒は、ビタミン、ミネラル、各種抽出物などを含有するサプリメントなどの複数成分含有する複合剤とすることができる。
また本発明により、ビタミンCが安定化され、保存中の活性喪失が抑制され、長期間保存が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明により調製した顆粒とコラーゲンペプチドの反応性を確認した試験画像。
図2】本発明の顆粒及び従来技術のL−アスコルビン酸顆粒から溶出されるL−アスコルビン酸を経時的に測定した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、本願発明においては、以下の説明をする際に「L−アスコルビン酸」という用語と同一の意味を有する「ビタミンC」を使用する場合がある。
本発明の顆粒は、芯物質にL−アスコルビン酸を用い、これをL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆した顆粒である。この顆粒は単独でL−アスコルビン酸(ビタミンC)顆粒剤として用いることができるし、他の栄養成分、金属塩や抽出物の顆粒剤、あるいはコエンザイムQ10などL−アスコルビン酸と反応しやすい薬剤の顆粒と混合して成型打錠することができる。あるいは、混合したものを顆粒剤として使用することができる。
従来の安定化技術では、L−アスコルビン酸の安定化を図る目的で、油脂、ワックス、フィルムなどでL−アスコルビン酸を被覆していたため、顆粒中のL-アスコルビン酸の相対濃度が低下してしまうが、本発明によればこのようなことが発生しない。また安定性も保つことができる。本願発明は、L−アスコルビン酸の結晶を芯物質として、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆して顆粒を調製する。L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸エステルあるいはステアリン酸エステルが好ましく、特にパルミチン酸エステルが好ましい。
【0012】
本発明に使用するL−アスコルビン酸は結晶化した純度の高いものを用いることが好ましい。食品としては、食品添加物公定書「L−アスコルビン酸」記載のもの又はそれに準じるものを使用する。通常日本薬局方に収載されている規格品を用いる。またL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルは、パルミチン酸エステルやステアリン酸エステルの場合は食品添加物公定書に定める規格基準を満たすものを用いることが好ましい。
【0013】
L−アスコルビン酸の結晶は、そのまま芯物質とするか必要に応じて造粒を行う。
L−アスコルビン酸の結晶をそのまま芯物質とする場合、混練造粒法でL−アスコルビン酸結晶の表面をL−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆する。
混練造粒を行う造粒機としては、混練翼、解砕翼を備えた装置を使用する造粒機を用いることが好ましい。このような造粒機としては、例えば、品川工業所社が提供する三軸式混練造粒機を挙げることができる。
被覆するにあたっては、L−アスコルビン結晶とL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの重量比を1:0.5〜0.5:1とすることが好ましい。このようにすることにより、顆粒あたりのL−アスコルビン酸の相対量は、約80〜61質量%となる。これは、他の被覆剤を同量で用いた場合にはL−アスコルビン酸の顆粒中の含有量は、60〜33質量%にしかならない。本発明は、このように、相対濃度を高く設定できるので、同量のL−アスコルビン酸を摂取する場合、錠剤のサイズや顆粒剤の分包量を少なくすることができる。また他の成分を含ませる場合もその含有量を同じ容量で高くすることができる。
【0014】
L−アスコルビン酸を造粒した後、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆する場合のアスコルビン酸の原顆粒剤の製造方法は、特に限定されず、当該分野で公知の方法を幅広く使用することが可能であり、具体的には、押し出し造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、転動流動造粒法、混練造粒法等が挙げられる。これらの中でも、混練造粒法は好ましい。
【0015】
混練造粒を行う造粒機としては、混練翼、解砕翼を備えた装置を使用する造粒機を用いることが好ましい。このような造粒機としては、例えば、品川工業所社が提供する三軸式混練造粒機を挙げることができる。
造粒した場合のL−アスコルビン酸原顆粒の嵩密度(嵩比重)は、特に限定されないが、0.35〜0.75g/mLが好ましく、0.40〜0.65g/mLがさらに好ましく、0.5〜0.63g/mLが特に好ましい。嵩密度が0.35g/mLより小さいと、嵩高くなり、得られた最終顆粒をそのまま顆粒剤とする場合には一包あたりの分包量が増大する恐れがある。また、嵩密度が0.75g/mLを超えると、嵩が小さくなり、重質な顆粒が得られ、分包量も減少する。
【0016】
また、L−アスコルビン酸の原顆粒の50%粒子径は、特に限定されないが、400〜700μmが好ましく、450〜650μmがさらに好ましく、500〜600μmが特に好ましい。50%粒子径が700μmより大きいと、顆粒剤としたとき飲用しにくくなり、400μmより小さいと、原顆粒同士の凝集・凝塊を生じやすく、コーティングの障害となる恐れがある。
【0017】
次に、得られたL−アスコルビン酸原顆粒の水分の乾燥処理を行う。乾燥処理は、原顆粒剤の水分が2%以下になるまで乾燥することが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、通常の顆粒乾燥に用いる乾燥方法であればどのような方法であっても採用できるが、真空乾燥法及び送風乾燥法が好ましい。真空乾燥法と送風乾燥法は、それぞれ単独で実施しても、併用によってもよい。しかしながら、真空乾燥法を用いると、可能な限り顆粒剤の水分を除去することができるため、特に好ましい。
【0018】
次に、乾燥した原顆粒の表面を、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルで被覆する。被覆するにあたっては、L−アスコルビン酸原顆粒とL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの重量比を1:0.5〜0.5:1とする。このようにすることにより、顆粒あたりのL−アスコルビン酸の相対量は、約80〜61質量%となる。これは、他の被覆剤を同量で用いた場合60〜33質量%となるのに対して相対濃度を高く設定できるので、同量のL−アスコルビン酸を摂取する場合、錠剤のサイズや顆粒剤の分包量を最大で半分以下とすることができる。また他の成分を含ませる場合もその含有量を高くすることができる。
【0019】
本発明のL−アスコルビン酸顆粒は、経時保存しても、変化が起こらず、外観もほとんど変化せず、またL−アスコルビン酸と反応する蛋白質、ペプチド、ビタミン、金属塩と共存しても反応せず、L−アスコルビン酸が減少したり、褐変化したりすることがない。異臭が発生することもない。また、水に分散させても顆粒中のL−アスコルビン酸が容易に水中に溶出してこない。
【実施例】
【0020】
次に、本発明を実施例、試験によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例・比較例
1.顆粒の調製
表1の比率の組み合わせで、結晶L−アスコルビン酸(食品添加物規格;BASFジャパン製)を芯物質としてL−アスコルビン酸パルミテート(DSM製)を被覆して、L−アスコルビン酸顆粒を調製した。被覆にあたっては、高速撹拌造粒法、三軸式混練造粒法を用いて行った。両方法の操作は次の通りとした。
【0021】
【表1】
【0022】
高速撹拌造粒法
表1の組み合わせでL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミテートをあわせて150gをハイスピードミキサー(LFS−GS−2J、深江パウテック)にて99%無水エタノールを滴下しながら高速撹拌造粒した。得られた顆粒は送風定温乾燥機にて50℃の条件で12時間以上乾燥した。乾燥終了後、整粒し顆粒を得た。
【0023】
三軸式混練造粒法
表1の組み合わせでL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミテートを合わせて150gをトリプルマスター(TMGV−5、品川工業所)にて予備混合を実施後、99%無水エタノール120gを加えて造粒を実施した。造粒終了後、ジャケット温度50℃および真空条件下にて10分間の一次乾燥を行い、得られた顆粒は送風定温乾燥機にて50℃の条件で12時間以上乾燥した。乾燥終了後、整粒し顆粒を得た。
【0024】
2.評価
(1)製剤適正
両方法による製剤適正を観察により、顆粒の状態、装置への付着残留量で評価し、製剤適正が優れている◎、製剤可能○、製剤化困難×として3段階評価し表2、3に示した。得られた顆粒を走査電子顕微鏡で観察し、顆粒表面のL−アスコルビン酸パルミテートの被覆状況を観察した。上記方法に実質的な差は認められなかった。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
(2)安定性試験
L−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸パルミテートを表1の比率で配合して、高速撹拌造粒法で被覆操作をした顆粒と、L−アスコルビン酸と反応し褐色に変化することが知られているコラーゲン加水分解ペプチド粉末(ゼライス株式会社製)をそれぞれ表1の顆粒中のアスコルビン酸量と同量になるように秤量し、ポリエチレン製袋に封入し、40℃、湿度75%の条件下で7日間静置し、観察した。結果を表4に示す。また、L−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸パルミテートを1:1の比率で用いて調製した顆粒とアスコルビン酸のみの顆粒のコラーゲンペプチドの7日目の反応状況を撮影した画像を図1に示す。
本発明の顆粒はコラーゲン加水分解ペプチドと混合してもなんら変化しなかった。
【0028】
【表4】
【0029】
(3)顆粒からのL−アスコルビン酸溶出試験
L−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸パルミテートを1:1の比率で配合して、三軸式混練造粒法で被覆操作をした顆粒を用いて、L−アスコルビン酸の溶出試験をおこなった。
溶出試験は、第十六改正日本薬局方に記載の溶出試験法(パドル法)に準拠した。
試験液として900mlのメタリン酸溶液を使用し、それぞれ顆粒を正確に秤とり、回転数100rpm、試験溶液温度37℃にて実施した。10分おきに試験液をFine Filter(F−72;富山産業株式会社)にて濾過後、243nmの吸光度から溶出量を測定し、溶出率を求めた。
対照として従来のコーティング技術で被覆した市販のL−アスコルビン酸顆粒(日本油脂株式会社製)を用いて測定した。
【0030】
溶出試験条件
試験液:0.05%メタリン酸水溶液(37℃)
測定波長243nm
パドル法 回転数:100rpm
アスコルビン酸として18mg相当量を秤量し、溶出試験に使用した。
【0031】
測定結果を図2に示す。
本発明のL−アスコルビン酸C顆粒は、速やかにL−アスコルビン酸が溶出してくることが確認され、溶出開始約15分後にはほぼ100%が、溶出液側に移行するが、従来技術の油脂被覆顆粒では溶出開始3時間後で約76%、12時間経過後も約90%程度の溶出に留まった。

以上の試験結果から、本発明のアスコルビン酸は空気中などの環境では安定を保ち、摂取した場合、速やかに胃や消化管内で溶出され、速やかに吸収されることがわかった。
図2
図1