【実施例】
【0015】
(実施例1)
図1ないし
図3は、本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、
図1、
図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、本体部1に組込まれるかみそりヘッド2とで構成している。本体部1の前面のスイッチパネルにはモーター起動用のスイッチノブ(スイッチ操作具)4と、電気かみそりの運転状態を表示する表示部が設けてある。本体部1の後面(背面)にはきわ剃りユニット6が設けてある。きわ剃りユニット6は、主としてもみあげ部分や髪の生え際を切揃える際に使用するが、例えばあごに生えた長毛やくせ毛を切断する際にも使用することができる。
【0016】
本体部1は、外ケース5と、外ケース5の内部に設けられる内ケース9とを有している。外ケースの前面にスイッチパネルが設けられ、後面にきわ剃りユニット6が設けられている。内ケース9の内部には回路基板と2次電池などが組み込まれており、回路基板には、先のスイッチノブ4で切換え操作されるスイッチや、制御回路を構成する電子部品、および表示部の光源となる4個のLEDなどが実装してある。スイッチノブ4を上向きにスライドすると、スイッチをオン状態に切換えてモーター14を起動できる。
【0017】
図1および
図2に示すようにかみそりヘッド2は、ヘッドベース13と、ヘッド支持体10と、3個の切断刃で構成される切断刃部11とヘッド支持体10に対して着脱される固定刃ホルダー12などで構成してある。ヘッド支持体10は、振動子ケースを兼ねるヘッドベース13に固定されており、ヘッドベース13はその下面に固定したモーター14およびモーターホルダー15と共に、首振り機構で左右および前後傾動可能に、かつ上下動可能に支持してある。この実施例では、モーターホルダー15の左右に設けた遊動脚17を内ケース9の環状枠9aで支持し、さらにモーターホルダー15と内ケース9との間に圧縮コイルばねからなる遊動ばね18を配置して、かみそりヘッド2の全体を左右および前後傾動可能に、かつ上下動可能に支持した。遊動脚17の下端には、環状枠9aで受止められる係合爪17aが設けてある。モーター14および回路基板を含む電装品ユニットは、ヘッドベース13と内ケース9との間に設けたシール体16で密封してある(
図1、2参照)。首振り機構としては、本体部1とかみそりヘッド2との間に形成された傾動隙間を詰めることで、前後傾動はせずに、左右傾動および上下動可能な構成とすることができる。かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動または/および前後傾動可能とすれば、かみそりヘッド2を肌の面変化に追随させることができる。したがって、かみそりヘッド2の切断刃部11を肌に常に密着する状態で追随でき、ひげを効果的に切断できる。かみそりヘッド2が本体部1に対して上下動可能とすれば、かみそりヘッド2を肌の凹凸に追随させることができる。したがって、かみそりヘッド2の切断刃部11を肌に常に適正な押圧力で密着させることができ、肌への負担を軽減できる。
【0018】
切断刃部11を構成する各切断刃は、仕上げ剃り用の第1切断刃20と、粗剃り用の第2切断刃21と、仕上げ剃り用の第3切断刃22とからなり、かみそりヘッド2の後側から前側へ向かって記載順に配置してある。粗剃り用の第2切断刃21は、主に長毛やくせ髭を切断するために設けられており、いずれも固定刃27および可動刃28のそれぞれがスリット刃で形成してある。仕上げ剃り用の第1切断刃20と第3切断刃22は、短毛を仕上げ切断するために設けられており、いずれも固定刃25・29が網刃で形成され、可動刃26・30がスリット刃で形成してある。
【0019】
かみそりヘッド2に設けた各切断刃20〜22の可動刃を駆動するために、モーター14と各可動刃26・28・30との間に、モーター14の回転動力を往復動力に変換して各可動刃26・28・30に伝動する駆動構造を設けている。
図1に示すように駆動構造は、モーター14の出力軸に固定される偏心カム31と、偏心カム31で互いに逆向きに駆動される2個の振動子32と、各振動子32・32の往復動力を各可動刃26・28・30に伝動する3個の駆動軸などで構成する。
【0020】
駆動軸は、第1切断刃20の可動刃26と第3切断刃22の可動刃30とを駆動する第1駆動軸35・37と、第2切断刃21の可動刃28とを駆動する第2駆動軸36とからなる。第1駆動軸35・37は、振動子32・32と一体に成形されており、第2駆動軸36は第1駆動軸37に固定してある。後側の振動子32には、きわ剃りユニット6に往復動力を伝動する第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38が一体に設けてある(
図3参照)。第3駆動軸38は、後側の振動子32から後向きに連出されており、その下端に断面コ字状の連結片39が一体に形成してある。第1駆動軸35・37の内部には、可動刃26・30を押し上げ付勢する内刃ばねが配置してある。
図2において符号41は固定刃ホルダー12の装着状態をロック保持する爪をロック解除操作するための解除ボタンである。
【0021】
ヘッド支持体10はヘッドベース13の上部周面を囲む枠体からなり、その上面がカバーで覆われている。カバーには、先の第1駆動軸35・37を突出させるための出力開口が形成してあり、この開口と第1駆動軸35・37との間を振動子パッキンで塞いで、毛屑などがヘッドベース13の内部に入り込むのを防止している。カバーの上面と固定刃ホルダー12とで囲まれる空間が毛屑収容空間となる。
【0022】
図1において、きわ剃りユニット6は、きわ剃りケース46の内部にバリカン刃構造の固定刃47および可動刃48と、受動アーム49とを組込んで構成してある。可動刃48と受動アーム49は連結されており、両者は左右方向に往復動自在にきわ剃りケース46に支持されている。きわ剃りユニット6は、本体部1の後面上部に設けられた四角形状の装着部51の内部に配置されており、その上部左右を一対の支軸52で支持することにより、
図1に示す待機位置と、
図3に示す使用位置との間を揺動できる。きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えるために、きわ剃りユニット6の下部に上下スライド自在な操作ノブ(ユニット操作体)83を設けている。
図3に示すように、操作ノブ83を押上げ操作すると、きわ剃りユニット6を上方揺動させて、同ユニット6を使用姿勢に保持できる。操作ノブ83を押下げ操作すると、きわ剃りユニット6を下方揺動させて、同ユニット6を待機姿勢に戻すことができる。きわ剃りユニット6が待機姿勢から使用姿勢に切換わった状態では、かみそりヘッド2側の往復動力が、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49とからなる伝動機構を介して可動刃48に伝動される。なお、伝動機構は、きわ剃りユニット6が使用位置にある場合はもちろん、待機位置にある場合にも往復動力がかみそりヘッド2側からきわ剃りユニット6へ伝動される、常時駆動型の伝動構造であってもよい。
【0023】
以上のように少なくとも左右傾動および上下動が可能な首振り機構を備えた電気かみそりにおいて、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38から受動アーム49への往復動力の伝動効率が大きく低下する要因は、例えば、きわ剃りユニット6の切断刃に毛束が挟まれて大きな負荷が作用するとき、負荷の反作用でかみそりヘッド2のみが左右動して、きわ剃りユニット6の左右動をする可動刃48を駆動できなくなるからである。また、かみそりヘッド2の左右動は、きわ剃りユニット6の切断刃に対する負荷が小さい場合でも、少なからず生じており、第3駆動軸38から受動アーム49への往復動力の伝動効率が低下するのを避けられない。
【0024】
上記のような、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間の往復動力の伝動ロスを解消するために、きわ剃りユニット6を使用する際に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを規制できるようにしている。
【0025】
きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制するために、操作ノブ83とかみそりヘッド2の間に規制構造を設けている。この実施例における規制構造は、操作ノブ83と一体に設けた左右一対のL字状の規制体84と、モーターホルダー15の左右の締結ボス部85に設けた上下方向の貫通穴からなる規制ガイド86とで構成する。規制体84には上下方向に長い棒状の係合軸84aが設けてあり、規制ガイド86の下端開口には、係合軸84aの係合を容易化する係合案内面87が上すぼまりテーパー状(すり鉢状)に形成してある。係合軸84aの軸中心は規制ガイド86の穴中心に対して、きわ剃りユニット6の側(後側)へ僅かに位置ずれする状態で設けてある。位置ずれの形態としては、係合軸84aの軸中心が、規制ガイド86の穴中心軸に対して平行に位置ずれする場合と、係合軸84aの軸中心を僅かに後傾させる場合のいずれであってもよい。モーターホルダー15と締結ボス部85(規制ガイド86)と遊動脚17は一体形成されている。規制ガイド86は断面円形の穴からなり、規制体84の係合軸84aは、規制ガイド86の穴径より僅かに小さい径の断面円形の棒状体からなる。また、規制ガイド86の穴は、その周囲の一部が開放されていたり、或いは周囲に間隔をあけて配置されたスリットが形成されていても、規制能力さえあれば、その形態は種々変更できる。また、規制体84の棒状体は、実施例のように棒の径よりも軸の長さの方が大きい長軸状の棒に限定されるものではなく、棒の軸の長さよりも棒の径の方が大きい形態を含む概念である。また、本実施例では、操作ノブ83と規制体84とをプラスチックによって一体に成形した構成であるが、独立部品として形成した規制体84を操作ノブ83に対して、係合固定し、溶着固定し、あるいは締結固定するなどにより一体化した構成であってもよい。例えば、金属製の規制体84を操作ノブ83にインサート成形した構成、或いは金属製の規制体84の一端側に貫通孔を設け、当該貫通孔に操作ノブ83側に形成した突起を挿通した後、溶着固定する構成など種々考えられる。
【0026】
操作ノブ83が下方の待機位置にあるとき、係合軸84aの上端は締結ボス部85の下方において係合案内面87と隙間を介して対向しており、従って、かみそりヘッド2は左右および前後へ傾動でき、さらに上下動できる。このときの規制ガイド86の下端開口縁と係合軸84aの上端との間の距離とかみそりヘッド2の上下動ストロークH1は同じ3mmである。
図1に示すように、操作ノブ83を待機位置から使用位置まで押上げ操作すると、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換わって、その受動アーム49が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38に連結される。さらに、規制体84の係合軸84aが係合案内面87に案内されて規制ガイド86と係合して、かみそりヘッド2の左右傾動および前後傾動するのを規制する。また、係合軸84aの軸中心が規制ガイド86の穴中心軸に対して、後側へ位置ずれさせてあるので、係合軸84aが規制ガイド86と係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。従って、伝動機構の第3駆動軸38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。なお、この規制状態においても、かみそりヘッド2は上下動できる。このように、かみそりヘッド2の上下動を許容しながら、左右傾動および前後傾動を規制するので、切断刃部11によるひげ切断と、きわ剃りユニット6によるひげ切断を併用する場合であっても、切断刃部11に作用する無理な外力を逃がすことができる。したがって、きわ剃りユニット6が不用意に待機姿勢(使用不能状態)になるのを防止できる。規制ガイド86は貫通穴に限らない。きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えて、かみそりヘッド2の左右および前後傾動を規制したとき、かみそりヘッド2の上下動を可能にする穴の距離があれば袋小路状(行き止まり)の穴であってもよい。
【0027】
操作ノブ83および規制体84は、待機位置から上向きに距離(上下方向のスライドストローク)H2だけ移動してきわ剃りユニット6を使用姿勢に切換える。このときのスライドストロークH2は5mmである。このように、かみそりヘッド2の本体部1に対する上下動ストロークH1は、操作ノブ83の上下方向のスライドストロークH2より小さく設定してあるので、切断刃部11によってひげ剃りを行うとき、上下動するかみそりヘッド2が規制体84と接当干渉することはない。なお、操作ノブ83が下方の待機位置にあるときの規制ガイド86の下端開口縁と係合軸84aの上端との間の距離よりかみそりヘッド2の上下動ストロークH1を僅かに小さく設定する方が、上下動するかみそりヘッド2が規制体84と接当干渉することを確実に防止でき、より好ましい。
【0028】
(実施例2)実施例1では操作ノブ83に長い棒状の規制体84を設け、かみそりヘッド2の側に穴状の規制ガイド86を設けたが、
図4に示すように逆の構成を採用することができる。詳しくは、モーターホルダー15の締結ボス部85の左右に、下向きに延びる丸棒状の規制体84を一体に設け、操作ノブ83の内面の左右にボス88を一体に設けて、ボス88に丸穴からなる規制ガイド86を設けることができる。規制ガイド86の上端開口には、下すぼまりテーパー状(すり鉢状)の係合案内面87を形成する。このように、規制体84と規制ガイド86は、かみそりヘッド2と操作ノブ83のいずれの側に設けてあってもよい。この実施例においても、実施例1と同様に、規制ガイド86の穴中心を規制体84の軸中心に対して後側へ位置ずれさせておくことにより、規制ガイド86と規制体84が係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。これにより、伝動機構の第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。実施例2以下の実施例において、実施例1と同じ符号のものは同じ機能を持つ部材として解釈するものとする。
【0029】
(実施例3)
図5および
図6は本発明に係る実施例3を示す。実施例3に係る電気かみそりにおいては、実施例1と同様に、かみそりヘッド2の全体が図示していない首振り機構で左右および前後傾動可能に、かつ上下動可能に支持してある。また、きわ剃りユニット6は、本体部1で下方の待機位置と、上方の使用位置との間で上下スライド自在に支持してある。操作ノブ83の上端には、きわ剃りケース46が固定してあり、固定刃47と可動刃48とがきわ剃りケース46から後向きに突出する状態で配置してある。操作ノブ83を押上げ操作すると、きわ剃りユニット6の全体が上方移動して使用姿勢に保持され、その受動アーム49が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38に連結されて、往復動力を伝動できる状態になる。この実施例から理解できるように、きわ剃りユニット6は、操作ノブ83と一体に設けられて操作ノブ83の上向きスライドにともなって上向きにスライドし使用姿勢に切換わる形態であってもよく、きわ剃りユニット6が揺動変位して使用姿勢に切換わる形態である必要はない。
【0030】
きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制するために、操作ノブ83の内面に左右一対のL字状の規制体84を設けている。規制体84の係合軸84aは断面四角形となっている。さらに、モーター14の全体を収容するモーターホルダー15の左右両側に、上下方向に長い断面矩形状の溝からなる規制ガイド86を設け、規制ガイド86の下端に係合案内面87を上すぼまりテーパー状に設けている。モーターホルダー15の下端の前後には、かみそりヘッド2の上方への進出限界を規定する左右一対ずつの係合脚89が設けてある。規制体84と規制ガイド86の上下の位置関係は実施例1と同じに設定してある。このように、かみそりヘッド2の上下動を許容しながら、左右傾動、および前後傾動を規制する規制構造は、モーター14の支持構造やかみそりヘッド2の首振り構造の違いに応じて、種々に変更した構造で実施することができる。この実施例においても、実施例1と同様に、規制体84の係合軸84aの軸中心を、規制ガイド86の穴中心に対して後側へ位置ずれさせておくことにより、
図6に示すように、係合軸84aが規制ガイド86に係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。これにより、伝動機構の第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。
【0031】
(実施例4)
図7および
図8は本発明に係る実施例4を示す。この実施例においては、操作ノブ83を上方の待機位置から下方の使用位置までスライド操作することにより、きわ剃りユニット6が
図7に示す待機姿勢から、
図8に示す使用姿勢に切換わるようにした。詳しくは、きわ剃りケース46の上端の前面側にブラケット101を設け、操作ノブ83とブラケット101をリンク棒102を介して連結した。また、操作ノブ83に同行して上下揺動する中継レバー103と、中継レバー103で上下操作される規制体84と、モーターホルダー15に設けられる丸穴状の規制ガイド86とで規制構造を構成して、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制できるようにした。符号104は中継レバー103を揺動自在に支持するレバー軸である。規制体84は、内ケースに設けたガイド突起105で上下スライドのみ可能に支持してある。
【0032】
不使用状態のきわ剃りユニット6は、きわ剃りケース46が垂直姿勢になっており、この状態から操作ノブ83を押下げ操作すると、その動作がリンク棒102を介してブラケット101に伝動されるため、きわ剃りケース46は水平の使用姿勢に切換わり、受動アーム49が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38に連結される。同時に、中継レバー103が時計回転方向へ揺動して、規制体84を上向きに移動させ、その上端を規制ガイド86に係合させて、かみそりヘッド2の左右傾動および前後傾動を規制する。そのときかみそりヘッド2は上下動可能となっている。なお、上記実施例1、2、3、4に係る電気かみそりのかみそりヘッド2は前後傾動する必要はなく、少なくとも左右傾動できる首振り機構で支持してあればよい。
【0033】
上記実施例に係る電気かみそりは以下の態様で実施することができる。
かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動可能に支持されており、本体部1の周囲にきわ剃りユニット6を配置している電気かみそりであって、
きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2側の往復動力が伝動機構を介してきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動されるように構成されており、
きわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制する規制構造を備えており、
規制構造が、棒状の規制体84と、規制体84が係合する穴状または溝状の規制ガイド86とで構成されて、その一方がユニット操作体83の側に、他方がかみそりヘッド2の側に設けられており、
ユニット操作体83が、本体部1で上下スライド可能に支持される操作ノブ83で構成されており、
きわ剃りユニット6を操作ノブ83で使用姿勢に切換え操作した状態において、規制体84と規制ガイド86とが係合して、かみそりヘッド2の左右傾動を規制することを特徴とする。
これにより、きわ剃りユニット6の使用時に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを規制構造で規制するので、かみそりヘッド2ときわ剃りユニット6との間の動力伝動部における動力損を抑止でき、従ってきわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。また、規制構造が、棒状の規制体84と、規制体84が係合する穴状または溝状の規制ガイド86とで構成されているので、きわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動をより効率よく行なうことができる。これは、穴状または溝状の規制ガイド86に棒状の規制体84が差し込まれることで、左右傾動の規制とともに前後傾動の規制を同時に行うことができるからである。つまり左右傾動に加えて前後傾動をもガタつきなく規制でき、その分伝動ロスを防止できるからである。なお、この構造であれば、全方位方向に傾動可能なかみそりヘッド2であっても、全方位への傾動を規制できるのはもちろんのことである。これは規制体84に外嵌する規制ガイド86で、規制体84の全方位方向への変位を規制できるからである。
【0034】
上記構成において、規制体84および規制ガイド86の少なくともいずれか一方の係合始端に係合案内面87を形成していることを特徴とする。
これにより、規制体84と規制ガイド86の中心位置がずれているような場合にも、係合案内面87で位置ずれを矯正しながら規制体84と規制ガイド86を係合できる。従って、かみそりヘッド2が中立位置から僅かに左右傾動している状態であっても、規制体84と規制ガイド86を支障なく係合させて、かみそりヘッド2の左右傾動を確実に規制できる。
【0035】
上記構成において、きわ剃りユニット6を操作ノブ83で使用姿勢に切換え操作した状態において、規制体84または規制ガイド86によりかみそりヘッド2をきわ剃りユニット6側に引寄せ操作したことを特徴とする。
これにより、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近させた状態で傾動不能に拘束できる。従って、伝動機構のきわ剃りユニット用の駆動軸38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、かみそりヘッド2ときわ剃りユニット6との間の往復動力の伝動効率をさらに向上できる。例えば、
図1に示す規制体の場合には、規制体84の係合軸84aの中心軸を規制ガイド86の穴中心軸に対して、きわ剃りユニット6の側(後側)へ僅かに位置ずれさせて、規制体84で規制ガイド86を引寄せ操作できるようにしている。
【0036】
上記構成において、かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動、および上下動可能に支持されており、本体部1の周囲にきわ剃りユニット6を配置している電気かみそりであって、
きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2側の往復動力が伝動機構を介してきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動されるように構成されており、
きわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制する規制構造を備えており、
規制構造は、規制体84と、規制体84に対して上下に相対スライド自在な規制ガイド86とで構成されて、その一方がユニット操作体83の側に、他方がかみそりヘッド2の側に設けてあり、
きわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えた状態において、規制体84と規制ガイド86とが係合してかみそりヘッド2の左右傾動を規制しながら、かみそりヘッド2の上下動は許すように構成することを特徴とする。
これにより、きわ剃りユニット6の使用時に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを規制構造で規制するので、かみそりヘッド2ときわ剃りユニット6との間の動力伝動部における動力損を抑止でき、従ってきわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。また、規制構造が、棒状の規制体84と、規制体84が係合する穴状または溝状の規制ガイド86とで構成されているので、きわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動をより効率よく行なうことができる。これは、穴状または溝状の規制ガイド86に棒状の規制体84が差し込まれることで、左右傾動の規制とともに前後傾動の規制を同時に行うことができるからである。つまり左右傾動に加えて前後傾動をもガタつきなく規制でき、その分伝動ロスを防止できるからである。なお、この構造であれば、全方位方向に傾動可能なかみそりヘッド2であっても、全方位への傾動を規制できるのはもちろんのことである。これは規制体84に外嵌する規制ガイド86で、規制体84の全方位方向への変位を規制できるからである。さらに、かみそりヘッド2の上下動は許容しているので、切断刃部11によるひげ切断と、きわ剃りユニット6によるひげ切断を併用する場合であっても、切断刃部11に作用する無理な外力を逃がすことができる。したがって、きわ剃りユニット6が不用意に待機姿勢(使用不能状態)になるのを防止できる。
【0037】
電気かみそりによっては、本体部1の前面に設けたスイッチノブ(スライドノブ)4をオン操作するのに連動して、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換わり、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38の往復動力をきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動する構造のものがある。その場合のスイッチノブ4は、上記の実施例で説明した操作ノブ(ユニット操作体)83に相当するものとする。左右傾動のみの首振り機構を備えている電気かみそり或いは、左右傾動可能で、かつ上下動できる首振り機構を備えている電気かみそりの場合には、第3駆動軸38の連結片39と受動アーム49との前後方向のガタ付きは小さい。しかし、規制構造でかみそりヘッド2を引寄せ操作することにより前後方向の僅かなガタ付きを解消して、連結片39から受動アーム49への往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。本発明は、内刃のみで切断するタイプ、つまり外刃を備えていない電気かみそりにも適用できる。なお、上記実施例1、2、3、4に係る電気かみそりの規制構造は何れも、上下動は許容しながら、左右傾動および前後傾動を規制するものであるが、規制構造は、左右傾動、前後傾動および上下動のすべての変位を規制し、本体部1に対するかみそりヘッド2の動きを封じるロック方式の規制構造であってもよい。具体的には、規制構造が、棒状の規制体84と、規制体84が係合する穴状の規制ガイド86とで構成されている場合、その穴の奥部に行き止まりの壁を設ける。そして穴状の規制ガイド86に棒状の規制体84が差し込まれた規制状態のとき、その行き止まりの壁に棒状の規制体84の突端を突き当てる構成にする。