(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964751
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】高温印刷部分と低温印刷部分の2つの部分を有する光起電力電池導体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/288 20060101AFI20160721BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20160721BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20160721BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20160721BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20160721BHJP
【FI】
H01L21/288 Z
H01L21/88 B
H01L31/04 260
H01L31/06 300
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-537403(P2012-537403)
(86)(22)【出願日】2010年11月5日
(65)【公表番号】特表2013-510435(P2013-510435A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】EP2010066863
(87)【国際公開番号】WO2011054915
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2013年10月11日
(31)【優先権主張番号】0957870
(32)【優先日】2009年11月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510094104
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ エナジーズ アルタナティブス
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(72)【発明者】
【氏名】ベッティネッリ,アルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスシェッティ,ヤニック
【審査官】
河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−080450(JP,A)
【文献】
特開2008−186927(JP,A)
【文献】
特開平06−318723(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02302689(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/288
H01L 21/3205
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料(1)上に少なくとも1つの導体を形成する方法において、
(E1)−シルクスクリーン印刷によって第1の高温ペーストを堆積させるステップであって、絶縁層(6)の下に位置するドープ領域(4、5)に重なるように、前記半導体材料の表面上にある絶縁層(6)上に前記第1の高温ペーストを堆積させ、前記第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストの加熱によって、前記絶縁層(6)が貫通され、前記絶縁層(6)の下に位置するドープ領域(4、5)との電気コンタクトを実現させるステップと、
(E2)−前のステップの間に堆積された前記第1の高温ペーストと前記絶縁層(6)に少なくとも部分的に重ねて、シルクスクリーン印刷によって、第2の低温ペーストを堆積させるステップとを有する方法。
【請求項2】
前記第1のステップ(E1)は、前記第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストを500℃より高い温度に加熱するステップを含み、前記第2のステップ(E2)は、前記第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストを500℃より低い温度に加熱するステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のステップ(E1)は、前記第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストを700℃より高い温度に加熱するステップを含み、前記第2のステップ(2E)は、前記第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストを300℃より低い温度に加熱するステップを含む請求項2記載の半導体材料上に少なくとも1つの導体を形成する方法。
【請求項4】
前記第2のステップ(2E)は、前記半導体材料の表面上にある前記絶縁層(6)に前記低温ペーストを堆積させ、前記第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストの加熱によって前記絶縁層(6)が貫通されないステップを含む請求項1記載の半導体材料上に少なくとも1つの導体を形成する方法。
【請求項5】
少なくとも1つの導体を含む半導体材料において、
前記導体は、
導電性インクであり、絶縁層を貫通した状態で配置された第1の部分であって、銀及びアルミニウム、又は銀のみを含み、且つ、ガラス粒子を含む第1の部分と、
導電性インクであり、前記第1の部分と前記絶縁層を少なくとも部分的に覆っている第2の部分であって、銀、アルミニウム及び/又は銅を含み、且つ、有機成分を含む第2の部分とを備える半導体材料。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記第1の部分の下以外は前記絶縁層で覆われている前記半導体材料内にあるドーピングされたウェル(4、5)と電気的に接続されている、請求項5記載の半導体材料。
【請求項7】
前記第2の部分は、前記第1の部分より広い請求項5記載の半導体材料。
【請求項8】
前記導体は、前記第1の部分が脚部であり、前記第2の部分が頭部であるキノコ状の断面を有する請求項7記載の半導体材料。
【請求項9】
前記導体の頭部の幅は、前記脚部の幅の少なくとも2倍である請求項8記載の半導体材料。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記半導体材料の全幅に亘って、連続する又は不連続なストリップを形成する請求項5乃至9何れか1項記載の半導体材料。
【請求項11】
前記少なくとも1つ導体を含む半導体材料は、光起電力電池である請求項5乃至10何れか1項記載の半導体材料。
【請求項12】
前記半導体材料は、反対の型に電気的にドーピングされた2つのウェル(4、5)が配設された背面(3)を備え、前記背面は、絶縁層(6)によって覆われており、
前記半導体材料は、2つの導体を備え、
前記2つの導体のそれぞれは、
前記絶縁層(6)の層厚を介して前記ウェル(4、5)に接触した状態の前記第1の部分と、
前記第1の部分(7、8)に接触した状態で、前記絶縁層(6)の表面に配置され、カソード及びアノードを形成している前記第2の部分と
を備える請求項11記載の半導体材料。
【請求項13】
前記少なくとも1つのウェル(4、5)は、前記導体の第1の部分(7、8)の幅の少なくとも2倍の幅を有する請求項12記載の半導体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料上に導電性トラックを形成する方法及びこれによって製造される半導体素子に関する。また、本発明は、この方法によって得られる光起電力電池に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力電池は、半導体材料、通常、シリコンのウェハから製造される。この製造では、特に、このウェハの表面上に導体を形成する必要がある。この目的のために、従来の1つの方法では、セリグラフィ、すなわちシルクスクリーン印刷プロセスによって、ウェハ上に導電性インクを堆積させる。この方法は、簡潔で低コストであるという利点がある。
【0003】
シルクスクリーン印刷による金属化のための第1の技術では、「高温ペースト」と呼ばれるペーストの形式で導電性インクを使用し、この場合、方法は、ペーストの塗布の後に、500℃以上、通常、700℃〜800℃の高温でペーストを処理する最後のステップを含む。このような高温ペーストは、通常、導電特性のための銀及び場合によってアルミニウムと、半導体上で電気コンタクトを形成するために絶縁層を貫通する機能を担うガラス粒子と、1個以上の添加溶剤内に溶解され、ペーストに適切な流体力学的特性を付与する機能を担う樹脂等の有機成分とを含む。このようなペーストを高温に加熱するステップによって、銀が高密度になり、及び絶縁層が貫通して、最終的に電気コンタクト及び良好な接着性が達成される。有機成分は、加熱の間に燃焼され又は蒸発する。「高温」ペーストは、現在、(ヘテロ接合セルを除く)結晶シリコンを基体とする光起電力電池で用いられている。
【0004】
シルクスクリーン印刷による金属化のための第2の技術は、「低温ペースト」と呼ばれるペーストの形式で導電性インクを使用し、この場合、方法は、ペーストの塗布の後に、500℃未満、通常300℃未満の低温でペーストを処理する最後のステップを含む。このようなペーストは、高温に耐えることができないアモルファスシリコンを含むセル、例えば、「薄膜セル」と呼ばれるセル及びヘテロ接合結晶セルのために用いられる。低温ペーストは、導電特性のための銀の粒子と、有効な流体力学的特性を得るための有機成分とを含む。このようなペーストは、電気抵抗率が高く、従って、導電特性に劣っている。
【0005】
既存の導電性インクの使用は、導電特性が悪いために、限られた用途に制限されている。
【0006】
したがって、この技術は、例えば、現在、接合セル及び結晶シリコン基板の背面上のコンタクトのためには使用されていない。これらのセルは、通常、セルの上面に存在する金属化を排除することによって、シャドーイングが低減されるために、効率が高いという利点を有する。特許文献US2004/0200520には、このようなソリューションが開示されている。しかしながら、この文献に開示されているソリューションは、3個の金属のスパッタリング及び銅をベースとする電解質の再チャージによって導体を形成するために非常に複雑であるという短所がある。したがって、このソリューションの生産スループットには限界があり、コストも高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の包括的な目的は、より広範囲に適用できる、シルクスクリーン印刷による導体の構成のためのソリューションを提供することである。
【0008】
詳しくは、本発明は、以下の目的の全て又は一部を達成することを意図する。
【0009】
本発明の第1の目的は、導電性が良好であり、電気コンタクトの表面積を削減することによって光起電力電池の効率を高めた、シルクスクリーン印刷によって光起電力電池上に導体を構成するためのソリューションを提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、生産性が高く、効率的で低コストの手法を用いて、シルクスクリーン印刷によって光起電力電池上に導体を構成するためのソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、半導体材料上に少なくとも1つの導体を形成する方法において、(E1)−シルクスクリーン印刷によって第1の高温ペーストを堆積させるステップと、(E2)−前のステップの間に堆積された第1の高温ペーストに少なくとも部分的に重ねて、シルクスクリーン印刷によって、低温ペーストを堆積させるステップとを有する方法に基づく。
【0012】
第1のステップは、第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストを500℃より高い温度に加熱するステップを含み、第2のステップ(E2)は、第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストを500℃より低い温度に加熱するステップを含むことができる。
【0013】
1つの有利な変形例においては、第1のステップは、第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストを700℃より高い温度に加熱するステップを含み、第2のステップは、第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストを300℃より低い温度に加熱するステップを含むことができる。
【0014】
第1のステップは、絶縁層の下に位置するドープ領域に重なるように、半導体材料の表面上にある絶縁層上に第1の高温ペーストを堆積させ、第1のシルクスクリーン印刷された高温ペーストの加熱によって、絶縁層が貫通され、絶縁層の下に位置するドープ領域との電気コンタクトを実現させるステップを含むことができる。
【0015】
第2のステップは、半導体材料の表面上にある絶縁層に第2の低温ペーストを堆積させ、第2のシルクスクリーン印刷された低温ペーストの加熱によって絶縁層が貫通されないステップを含むことができる。
【0016】
また、本発明は、少なくとも1つの導体を含む半導体材料において、導体は、シルクスクリーン印刷された高温ペーストを含む第1の部分と、第1の部分を少なくとも部分的に覆うシルクスクリーン印刷された低温ペーストを含む第2の部分とを備える半導体材料に関する。
【0017】
シルクスクリーン印刷された高温ペーストは、銀及びアルミニウム、又は銀のみを含む金属部分を含み、シルクスクリーン印刷された低温ペーストは、銀、アルミニウム及び/又は銅等の1つ以上の金属を含むことができる。
【0018】
シルクスクリーン印刷された高温ペーストは、ガラス粒子を含むことができる。
【0019】
シルクスクリーン印刷された高温ペーストを含む導体の第1の部分は、第1の部分の下以外は絶縁層で覆われている半導体材料内にあるドーピングされたウェルと電気的に接続することができる。
【0020】
シルクスクリーン印刷された低温ペーストを含む導体の第2の部分は、第1の部分より広くすることができる。
【0021】
導体は、第1の部分が脚部であり、第2の部分が頭部であるキノコ状の断面を有することができる。導体の頭部の幅は、脚部の幅の少なくとも2倍であってもよい。
【0022】
シルクスクリーン印刷された高温ペーストを含む導体の第1の部分は、半導体材料の全幅に亘って、連続する又は不連続なストリップを形成してもよい。
【0023】
少なくとも1つ導体を含む半導体材料は、光起電力電池であってもよい。
【0024】
この場合、半導体材料は、反対の型に電気的にドーピングされた2つのウェルが配設された背面を備え、背面は、絶縁層によって覆われ、半導体材料は、2つの導体を備え、2つの導体のそれぞれは、シルクスクリーン印刷された高温ペーストから形成され、絶縁層の層厚を介してウェルに接触する第1の部分と、シルクスクリーン印刷された低温ペーストから形成され、導体の第1の部分に接触し、絶縁層の表面に配置され、カソード及びアノードを形成する第2の部分とを備えることができる。
【0025】
少なくとも1つのウェルは、導体の第1の部分の幅の少なくとも2倍の幅を有することができる。
【0026】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連して、非制限的な具体例として説明される、特定の実施の形態の以下の記述によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】背面コンタクトの製造途中であり、本発明の一実施の形態に基づく導体を構成する前の段階の光起電力電池の横断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に基づく導体の構成のための第1のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の横断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に基づく導体の構成のための第1のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の底面図である。
【
図4】本発明の実施の形態の第1の変形例に基づく導体の構成のための第1のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の底面図である。
【
図5】本発明の実施の形態の第2の変形例に基づく導体の構成のための第1のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の底面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に基づく導体の構成のための第2のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の横断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に基づく導体の構成のための第2のステップの後の背面コンタクトを有する光起電力電池の底面図である。
【
図8】本発明の実施の形態の変形例に基づく背面コンタクトを有する光起電力電池の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、同じ半導体部品において、高温及び低温における2つのペーストの組合せの使用に基づいており、半導体部品の全体的な構造に不利益がなく、同時に、十分な導電特性を有する1つ以上の導体をシルクスクリーン印刷によって簡単に実現することができる。
【0029】
一例として、背面コンタクトを有する光起電力電池の構造によって本発明を説明する。但し、本発明は、あらゆる種類の光起電力電池に適用でき、より一般化して言えば、半導体構造上に導体の構成する必要があるあらゆる電子部品の製造に適用できる。
【0030】
図1は、製造の一段階における光起電力電池を示している。光起電力電池は、テクスチャ化(textured)された上面2と、研磨された背面3とを有する。上面2は、再結合によるエネルギ損失を制限するために特別な加工が施されている。光起電力電池の半導体基板を形成するシリコンウェハ1は、P型であってもN型であってもよく、好ましくは、単結晶である。光起電力電池1の背面3には、ドーピングウェル(doping wells)4、5が対称的に配設されている。ウェル4は、光起電力電池の基板1と同じ型にドーピングされており、ウェル5は、基板と逆の型にドーピングされている。更に、背面3上には、絶縁性パッシベーション層6を形成する1つ以上の誘電体の絶縁層が設けられている。
【0031】
図1に示す光起電力電池の仕上げには、特に、ウェル4、5を外部に電気的に接続するための金属導体を形成する必要がある。
【0032】
図2及び
図3は、本発明の実施の形態に基づく金属導体の形成のための方法の第1のステップE1を示している。このステップは、シルクスクリーン印刷によって高温ペーストを堆積させ、ウェル4、5を誘電体6の層に接続するために、それぞれの第1のコンタクト7、8を形成することを含む。具体的には、使用されたペーストは、例えば、赤外線加熱炉によって、高温処理された後、絶縁層6を貫通して、ウェル4、5に達する。ホウ素がドーピングされたウェル(p+)に接触するために用いられる高温ペーストは、銀及びアルミニウム(1〜2%)から構成し、リンがドーピングされたウェル(n+)に接触するために用いられるペーストは、銀から構成することが望ましい。
【0033】
これにより得られるシルクスクリーン印刷された導体7、8は、例えば、
図3に示すように、光起電力電池の幅全体を占め、それぞれウェル4、5の中央の一部に面して配設されたストリップとして形成される。これらのストリップは、必ずしも、全幅を占める必要はない。望ましくは、コンタクトストリップ7、8は、ウェル4、5の幅より狭い幅を有する。例えば、0.5mm〜1.5mmの範囲の幅のウェルでは、コンタクトストリップ7、8は、100μm〜200μmの範囲、より一般化して言えば、300μm以下の幅を有することができる。更に一般化して言えば、少なくとも1つのウェルの幅は、コンタクトストリップの幅の少なくとも2倍であることが望ましい。図面では、説明を明瞭にするために、これらのコンタクトストリップの寸法を意図的に誇張して示している。
【0034】
図4及び
図5は、これらの第1のコンタクトの変形例を示している。すなわち、
図4は、2組の二重の不連続なコンタクトストリップ7’、8’を示している。
図5は、第2の変形例を示しており、ここでは、各コンタクトは、2本のより小さい寸法の連続的なストリップ7”、8”から構成されている。これらの2つのソリューションによって、コンタクトの表面積が削減される。
【0035】
何れの場合も、コンタクトを形成する最適の条件は、抵抗損失を制限するために、様々なコンタクトをドーピングウェル4、5の中心領域に配設することである。
【0036】
図6及び
図7は、本発明の実施の形態に基づく導体を構成するための方法の最後のステップである第2のステップE2を示している。これは、シルクスクリーン印刷によって低温ペーストを堆積させ、光起電力電池のアノード17及びカソード18を形成することを含む。これらのコンタクト17、18は、第1のコンタクト7、8に自然に重ねられ、それぞれウェル4、5からコンタクト17、18への電気リンクが実現する。
【0037】
低温ペーストは、約200℃の低温で加熱される。この低温ペーストは、誘電体層6に浸透しないので、このペーストを用いて非常に広いコンタクト17、18を形成することができ、これは、このようにして形成された導体の導電率を高めるために有利である。この低温ペーストは、銀、アルミニウム及び/又は銅等の1つ以上の金属を含むことができる。また、これは、異なる形式で形成してもよい。
【0038】
したがって、この第2のステップで用いられる低温ペーストは、誘電体層6に入り込まず、幅を更に広くすることができ、潜在的には、接続されるウェルの寸法より広くすることもできる。
図8は、このようなソリューションを示しており、ここでは、第2のコンタクト18’は、非常に広く、ウェル4の幅を超えている。
【0039】
このように、ここに説明した実施の形態は、高温のシルクスクリーン印刷を用いて形成された幅狭な第1の部分、すなわち脚部と、低温のシルクスクリーン印刷を用いて形成された第2の部分、すなわち頭部とからなる断面がキノコ形(mushroom shape)の導体の構成に基づいている。導体の頭部の幅は、脚部の幅の少なくとも2倍であることが望ましい。これらの2つのタイプのシルクスクリーン印刷の組合せによって、絶縁層を開口するためのステップを省略できるために製造工程が簡単であり、形成される導体が十分な導電特性を示す最適な結果が得られる。
【0040】
更に、選択されたソリューションにより、ウェル内で得られるコンタクトの表面積を制限でき、これは、再結合現象が回避されるので、光起電力電池の性能にとって望ましい。この高温ペーストの導体の幅は、良好なコンタクトを確実にすると共に、同時に、大きなパッシブ表面を確保するために、絶縁層6の貫通を最小化するように、最小の寸法となるように選択される。更に、このように高温ペーストから形成されるトラックの幅を狭くする(例えば、100〜200μm)ことによって、これらのトラックの高温での焼きしまり(densification)の後の冷却の間に生じるそり(warping effect)を低減することができる。そりを更に低減するために、このペーストは、削減された厚さ(1〜5μm)の上に堆積することもできる。なお、このようにしても、外部表面における導体を広げているため、十分な導電特性を得ることができる。すなわち、低温のシルクスクリーン印刷を用いるコンタクトは、逆に、抵抗を最小化する最大の幅を有し、最適な導電特性が達成される。したがって、このソリューションは、1mmの桁の幅を有する光起電力電池のドーピングウェルの通常の寸法との互換性を保っているという利点がある。
【0041】
補足的なオプションとして、このソリューションは、同じ材料、すなわち重合された低温ペーストでコーティングされたコンタクト領域のカソードコンタクトによる直流再充電(galvanic recharging)にも互換性がある。
【0042】
もちろん、本発明の概念は、上述した実施の形態以外の実施の形態で実現することもできる。
【0043】
したがって、本発明は、半導体材料上に少なくとも1つの導体を形成する方法において、E1−シルクスクリーン印刷によって第1の高温ペーストを堆積させるステップと、E2−前のステップの間に堆積された第1の高温ペーストに少なくとも部分的に重ねて、シルクスクリーン印刷によって、低温ペーストを堆積させるステップとを有するあらゆる方法を包含する。
【0044】
最後に、このソリューションによって、以下の利点が得られる。
【0045】
高温ペースト上に低温ペーストをシルクスクリーン印刷することによって、低導電率のトラック、特に、N+にドーピングされた要素に接触するために用いられる、高温ペーストによって得られる導電トラックの抵抗率を低減することができる。
【0046】
アルミニウムを含む高温ペースト上に低温ペーストをシルクスクリーン印刷することによって、アルミニウムがない界面を得ることができ、これは、ガルバニプロセスにおける再充電プロセスとの互換性を有する。
【0047】
複数の高温ペーストを用いて様々な導体を形成する場合、それぞれ異なっている可能性があるこれらの様々な高温ペースト上に低温ペーストをシルクスクリーン印刷することによって、最終的に、セルの表面全体上に均一な層を有するコンタクトを実現でき、これは、後に行われる可能性がある処理ステップ、例えばガルバニプロセスでの再充電等において、好適である。