特許第5964758号(P5964758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964758
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】流体の流れから電力を発生させる装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/10 20060101AFI20160721BHJP
   F03B 13/26 20060101ALI20160721BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20160721BHJP
   F03B 13/22 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F03B13/10
   F03B13/26
   F03B17/06
   F03B13/22
【請求項の数】30
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-557611(P2012-557611)
(86)(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公表番号】特表2013-522530(P2013-522530A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】GB2011050523
(87)【国際公開番号】WO2011114155
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】1004347.9
(32)【優先日】2010年3月16日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1004321.4
(32)【優先日】2010年3月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509260042
【氏名又は名称】ヴァーダーグ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ ピーター
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/025629(WO,A1)
【文献】 米国特許第05709419(US,A)
【文献】 特表2005−520985(JP,A)
【文献】 特開平05−179992(JP,A)
【文献】 特表2002−533208(JP,A)
【文献】 特表2009−545692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/10
F03B 13/22
F03B 13/26
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域の水の流れを用いて電気を発生するための装置の上流側から下流側への落差が使用中にあるように水域を横切って設置される装置であって、
−間隔を置いた別々のエレメントの配列であって、各エレメントは、細長い流れ通路を定義し、そして上流側および細長い下流側を有しており、各エレメントには、その長さの少なくとも一部に沿って間隔を置いた一連の孔が設けられ、そして前記細長い下流側は、前記上流側から離れる方向に延びてテーパーが付けられており、前記エレメントは、隣接するエレメントの対向する壁がベンチュリ部および前記ベンチュリ部から下流に延びる第1のディフューザ部を定義するように並んで配置される、エレメントの配列、
−入口および出口を有する流れ導管、
−前記流れ導管内に位置するタービン、および、
−前記タービンに接続している発電機または水圧ポンプ、を備え、
ベンチュリ部を通る水の流れにより、水が前記流れ導管を通りそして前記孔を経て外に引かれて、結果としてタービンを駆動する流れを生じさせるように、前記流れ通路は前記流れ導管の前記出口に接続している、装置。
【請求項2】
前記エレメントが1つの配列において並んで配置されるときに、隣接するエレメントの対向する壁が前記ベンチュリ部から上流に延びる第2のディフューザ部を定義するように、各エレメントの上流側は、細長い形状を形成するために前記孔から離れて延びてかつテーパーが付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記上流側のプロフィールおよび前記下流側のプロフィールは、実質的に同じである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記上流側の前端部のプロフィールは、実質的にV形状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
各エレメントのプロフィールは、実質的に六角形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
各エレメントのプロフィールは、実質的に楕円である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記上流側のプロフィールおよび前記下流側のプロフィールは、実質的に異なる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
前記ディフューザ部を定義する各エレメントの外面は、前記ディフューザ部を通る乱流を誘発するために粗面である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ディフューザ部の範囲内に位置するスペーサ要素をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記スペーサ要素は、各エレメントと関連して前記ディフューザ部の範囲内で移動可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
各エレメントの前記下流側の端部は、複数のオリフィスを備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記下流側は流量制御弁を備え、前記流量制御弁は、前記下流側と前記流れ通路との間に設けられる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各エレメントは、前記上流側を前記下流側から切り離すために可動の分離パネルを備え、前記分離パネルは、前記流れ通路の断面積を変えるために制御可能である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記下流側は、浮力部を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記エレメントは、実質的に垂直に配置される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
各エレメントは、その下端部で水平のマニホルドに接続し、前記マニホルドは、前記流れ導管に接続している、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記エレメントを横切って水平に配置される水平の流れ管理ベーンをさらに備える、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
各流れ通路は、前記流れ通路の下に垂直に配置される一連のチャンバ、および、各チャンバから延びて、前記一連のチャンバの下方に位置する入口を有するフィーダ管を備える、請求項14〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
隣接するエレメント間に延びる少なくとも1つの水平の隔膜をさらに備える、請求項14〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記エレメントは、実質的に水平に配置される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
各エレメントは、垂直のマニホルドに接続し、前記マニホルドは、前記流れ導管に接続している、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
各マニホルドは、各チャンバが流れ通路の前記端部に隣接して配置される一連のチャンバ、および、前記チャンバから延びて、前記一連のチャンバの下方に位置する入口を有するフィーダ管を備える、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
隣接するエレメント間に延びる少なくとも1つの垂直の隔膜をさらに備える、請求項20〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記装置の前記下流側から延びるシンフォニックカウルをさらに備え、前記シンフォニックカウルは、カウル内部の水を大気圧から分離する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記孔は、開位置と閉位置との間を操作可能な閉鎖メカニズムを備え、前記メカニズムが閉位置にあるとき、前記孔を通る水の流れは妨げられる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
各孔は、個々に制御可能な閉鎖メカニズムを有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記閉鎖メカニズムは弁である、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記閉鎖メカニズムはゲートである、請求項25または26に記載の装置。
【請求項29】
水域の海流または潮の流れを用いて電気を発生する請求項1〜28のいずれか1項に記載の装置に含まれるエレメントであって、前記エレメントは、細長い流れ通路を定義し、そして上流側および細長い下流側を有しており、前記エレメントには、その長さの少なくとも一部に沿って間隔を置いた一連の孔が設けられ、前記下流側は、流れの方向に延びてテーパーが付けられており、前記エレメントが1つの配列において並んで配置されるときに、隣接するエレメントの対向する壁は、ベンチュリ部および前記ベンチュリ部から下流に延びる第1のディフューザ部を定義する、エレメント。
【請求項30】
潮または海流の流れから電気を発生する方法であって、請求項1〜28のいずれか1項に記載の装置を水域を横切って提供するステップ、潮または水の流れが前記ベンチュリを通って流れることを許容するステップ、および二次流れが前記流れ導管を通って流れて、そして前記タービンを駆動することを許容するステップ、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れる水域(body of flowing water)の波、潮流または海流のエネルギーを、エネルギーのより役立つ形態へ変換するためのシステムに関する。特に、本発明は、水域(body of water)の波、潮流または海流のような流れを用いて電気を発生させるための装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
発電への無公害アプローチとして海流、波または潮の流れを電気に変換するための多くの提案は、あった。
【0003】
波からエネルギーを抽出する以前のシステムは、波長に沿った楕円の水粒子のパス間の位相シフトによって生じる水面の上下移動を使用した。概して、以前のデバイスは、波面の周期的な上下移動を発電(通常は回転する)に役立つある形の運動に変換するための、機械式装置と連結するある形のフロート、または波面よりも上のある形のエアトラップボディを含んだ。この種のシステムは、しばしば機械的に複雑になり、周囲の波動スペクトルのエネルギー密度がピークに達すると思われる周波数で共振するために、効果的に仕事に同調する。波の周波数がこの設計共振周波数と異なる場合、出力は劇的に低下することができる。振動する縦の波動成分なしで横方向の流れだけがある(海流または潮流)場合、この種のシステムは役に立たない。
【0004】
横方向の流れのエネルギーを抽出するためのシステムは、提案された。この種のシステムは、流れによって振動させられることがありえるベーンの使用を含んだ。そして、機械式伝送システムがこれを回転運動に変換した。これらのシステムは、機械的複雑さ、他の動作タイプからエネルギーを抽出することができないなど、波力利用のシステムに類似の課題に直面する。他のシステムは、ハブの中に電気的発電機を有する大きな水中プロペラを特徴とする。そしてそれは、風の流れの代わりに水の流れを除けば風車に類似している。最大の入射海流エネルギーへの露出を得るためのさっと払われるディスクのために、ブレードは非常に長くなければならない。そしてそれは、洗練されたデザインおよび材料が翼の根元で応力に適応することを必要とする。従来のダムのような、沖合の防潮堰は、含んでいる壁の後ろで上げ潮の潮の流入を止めて、そして非常に小さい横断面積のタービンで再びそれを外へ漏斗状に通すことによって、水の流れの大きい断面の入射エネルギーを集中させようと模索する。下げ潮は、堰の後ろのラグーンに閉じ込められた水と、堰の海に面した側の下げ潮との間の十分な水頭の違いを提供する。この種の堰は、概して潮の河口全体に、非常に高価でかつ環境的に破壊的であり、そして、河口の局地的地形を有する潮の流れの相互作用が潮の差を増幅することを必要とする。
【0005】
波または流れのシステムにとっての1つの共通の課題は、産業的スケールで可能な発電のための海の十分に大きい横断面に対処するそれらの能力である。さらに、端部または縁部効果は、流れがエネルギー抽出システムを通過するよりはむしろ、エネルギーをそれから抽出するために流れに置かれる任意の構造の周囲に広がることをより容易にすることができる。この課題は、設置を非常に大きくすることによって少なくされることができる。しかしこれは、さらなる複雑さおよび出費に至ることができて、海流技術機能の範囲外に導いてよい。
【0006】
特許文献1は、ベンチュリ管がパイプ間に定められるように一連のパイプが配置される、波または海流の流れからエネルギーを変換する装置を開示する。これらのパイプ間の水の流れは、マニホルドの流れ導管によって供給されてタービンを駆動する水をパイプを通して引くポンプとしてベンチュリ管を作用させる。一連のパイプは、垂直面を有する配列を形成するように配置され、垂直面は、堰を形成するために海底に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2008/015047号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この種のエネルギー発生デバイスのための改良された性能を提供するために代わりのパイプ配置を提供することを模索する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、水域の水の流れを用いて電気を発生する装置であって:
−間隔を置いた別々のエレメントの配列であって、各エレメントは、細長い流れ通路を定義し、そして上流側および細長い下流側を有しており、各エレメントには、その長さの少なくとも一部に沿って間隔を置いた一連の孔が設けられ、そして下流側は、上流側から離れる方向に延びてテーパーが付けられており、エレメントは、隣接するエレメントの対向する壁がベンチュリ部および前記ベンチュリ部から下流に延びる第1のディフューザ部を定義するように並んで配置される、エレメントの配列;
−入口および出口を有する流れ導管;
−流れ導管内に位置するタービン;および、
−タービンに接続している発電機または水圧ポンプ;を備え;
ベンチュリ部を通る水の流れにより、水が流れ導管を通りそして孔を経て外に引かれて、結果としてタービンを駆動する流れを生じさせるように、流れ通路は流れ導管の出口に接続している、装置を提供する。
【0010】
エレメントが並んで配置されるときに、隣接するエレメントの対向する壁がベンチュリ部から上流に延びる第2のディフューザ部を定義するように、各エレメントの上流側は、細長い形状を形成するために孔から離れて延びることができて、かつテーパーを付けられることができる。上流側および下流側のプロフィールは、実質的に同じでありえる。
【0011】
一実施形態において、上流側の前端部のプロフィールは、実質的にV形状である。上流側のV形状の前端部については、ベンチュリのより大きい圧力低下は、発生してよい。より大きい圧力低下は、ベンチュリを通る一次流れを一緒にするために孔から外への二次流れを容易にするのを助ける。
【0012】
各エレメントのプロフィールは、実質的に六角形でもよく、または実質的に楕円でもよい。プロフィールは、使用中に各エレメントのプロフィールが流れの方向に延びるようなものである。
【0013】
一実施形態において、上流側のプロフィールおよび下流側のプロフィールは、実質的に異なる。
【0014】
ディフューザ部を定義するエレメントの外面は、ディフューザ部における乱流を誘発するために粗面であることができる。
【0015】
装置は、ディフューザ部の範囲内に位置するスペーサ要素をさらに備えることができる。スペーサ要素は、エレメントと関連してディフューザ部の範囲内で移動可能でありえる。
【0016】
装置は、『Spectral Marine Energy Convertor』(SMEC)である。
【0017】
エレメントの下流側の端部のバックエンドは、ディフューザ部で境界層制御を援助するために、複数の穿孔を備えることができる。
【0018】
下流側の端部は、流量制御弁を備えることができる。流量制御弁は、エレメントの下流側の端部と流れ通路との間に流れのパスを提供する。
【0019】
各エレメントは、上流側を下流側から切り離すために、可動の分離パネルを備えることができる。分離パネルは、流れ通路の断面積を変えるために制御可能でありえる。断面積を制御するおよび/または流れ通路の部分をブロックする他の機構は、用いられることができる
【0020】
システムは、システムの浮力を制御するかまたは変化させて、例えば水におけるその深さを上下させるために、浮力手段を備えてよい。浮力手段は、システムの部分において提供されてよく、および下流側で提供されてよい。浮力手段は、空気が導入されてよくまたは除去されてよい気密室でもよい。
【0021】
一実施形態において、エレメントは、実質的に垂直である。エレメントは、それらの下端部で水平のマニホルドに接続し、マニホルドは、流れ導管に接続している。
【0022】
装置は、エレメントを横切って水平に配置される水平の流れ管理ベーンをさらに備えることができる。各流れ通路は、流れ通路の下に垂直に配置される一連のチャンバ、および、各チャンバから延びて、一連のチャンバの下方に位置する入口を有するフィーダ管を備えることができる。
【0023】
垂直のエレメントを有する実施形態において、装置は、隣接するエレメント間に延びる少なくとも1つの水平の隔膜をさらに備えることができる。複数の水平の隔膜は、エレメントに沿って間隔を置かれた別々の間隔で2つの隣接するエレメント間に延びることができる。水平の隔膜は、隣接するエレメント間の垂直面における渦のサイズを最小にするのを助けてよい。
【0024】
別の実施形態では、エレメントは、実質的に水平である。エレメントは、垂直のマニホルドに接続し、マニホルドは、流れ導管に接続している。
【0025】
各マニホルドは、各チャンバが流れ通路の端部に隣接して配置される一連のチャンバ、および、チャンバから延びて、一連のチャンバの下方に位置する入口を有するフィーダ管を備えることができる。
【0026】
水平のエレメント有する実施形態において、装置は、隣接するエレメント間に延びる少なくとも1つの垂直の隔膜をさらに備えることができる。複数の垂直の隔膜は、2つの隣接するエレメント間に延びることができる。垂直の隔膜は、隣接するエレメント間の水平面における渦のサイズを最小にするのを助けてよい。
【0027】
装置は、装置の下流側から延びるシンフォニックカウルをさらに備えることができる。シンフォニックカウルは、装置の後部で、ベンチュリを出る流れのミキシングから乱流を最小にするのを助けてよい傾斜したフードを作成する。カウルは、大気圧の下で下流側の装置の最上部で圧力を維持するのを助けてよい。
【0028】
孔は、開位置と閉位置との間を操作可能な閉鎖メカニズムを備えてよく、メカニズムが閉位置にあるとき、孔を通る水の流れは妨げられる。
【0029】
各孔は、個々に制御可能な閉鎖メカニズムを有してよい。閉鎖メカニズムは、弁および/またはゲートでよい。各孔は、個々に開閉されることができる。または、閉鎖メカニズムは、各配列のすべての孔を一度に閉じるために中央的に操作されることができる。閉鎖メカニズムの存在で、ユーザは、装置のアクティブパーツの断面積を変化させることができる。
【0030】
使用するエレメントの長さ、および装置のサイズは、変化されてもよく、そして、装置が用いられる深さ、所望の使用、エレメントの向き、関係する水深、水の範囲内の海流の流れのこの種の範囲の要因に依存する。装置は、何十メートルから数百メートルまでの範囲を超えて延びてよく、そして、システムが設置される水域の幅に依存することができる。
【0031】
装置は、任意の適切な材料から作られることができる。材料は、さまざまな異なる現実の軟鋼、ステンレス鋼、ガラス強化プラスチック、ポリカーボネート、コンクリートおよび/または合板を含むことができる。他の高合金鋼および金属もまた、必要に応じて用いられることができる。
【0032】
本発明の第2の態様は、水域の流体の流れを用いて電気を発生する本発明の第1の態様による装置に含まれるエレメントであって;エレメントは、細長い流れ通路を定義し、そして上流側および下流側を有しており、エレメントには、その長さに沿って間隔を置いた一連の孔が設けられ、下流側は、流れの方向に延びてテーパーが付けられており、エレメントが1つの配列において並んで配置されるときに、隣接するエレメントの対向する壁は、ベンチュリ部および前記ベンチュリ部から下流に延びる第1のディフューザ部を定義する、エレメントを備える。
【0033】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による装置の使用を含む水の流れから電気を発生する方法であって、装置を水域に提供するステップ、潮または海流の流れがベンチュリを通って流れることを許容するステップ、および二次流れが流れ導管を通って流れて、そしてタービンを駆動することを許容するステップ、を含む方法、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、添付図面を参照して例としてここに記載される。
図1図1は、海流の流れを横切って整列配置される本発明による装置の実施形態を示す。
図2図2は、海流の流れを横切る本発明によるパイプの配置の概略的平面図を示す。
図3図3は、水平に配置されたパイプを有する本発明の実施形態を示す。
図4図4は、本発明に用いる水平パイプの詳細を示す。
図5図5は、水平に配置されたパイプを有する本発明の実施形態の縦断側面図を示す。
図6図6は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図7図7は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図8図8は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図9図9は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図10図10は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図11図11は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図12図12は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図13図13は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図14図14は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図15図15は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図16図16は、本発明の装置に用いるパイプの横断面図の例を示す。
図17図17は、本発明の実施形態に用いるパイプの概略的横断面図を示す。
図18図18は、水平のベーンを有する本発明の実施形態の概略図を示す。
図19図19は、内部セグメンテーションを有する垂直に配置されたパイプを有する本発明の実施形態の概略図を示す。
図20図20は、水平に配置されたパイプを有する本発明の実施形態の概略図を示す。
図21図21は、垂直のパイプを有する本発明の一実施形態の概略図を示す。
図22図22は、図21の実施形態の切り取った図を示す。
図23図23は、図21の実施形態の別の切り取った図を示す。
図24図24は、本発明の実施形態の側面図を示す。
図25図25は、シンフォニックカウルを備える本発明の実施形態の側面図を示す。
図26図26は、水域の幅の一部を横切って設置される本発明の実施形態の概略図を示す。
図27図27は、図26の側面図を示す。
図28図28は、水域を横切って設置されるすきまを有する本発明の実施形態の概略図を示す。
図29図29は、水域に沿って設置される構造の鳥瞰図を示す。
図30図30は、水域に沿って設置される構造の側面図を示す
図31図31は、異なる水位でのパイプの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、概して、特許文献1に開示された技術に基づく。そしてそれは、水域における潮、波または海流の流れを用いて電気を発生するための第1および第2のパイプの配置を含む装置を記載する。第1のパイプは、その長さに沿って間隔を置いた一連の孔を備えていて、水域への入口を有する流れ導管に接続している。隣接するパイプ間に定義されるベンチュリは、流れ導管を通って水を引いて、発電機に接続したタービンを駆動するために、孔を通って第1のパイプの内部から流れを誘発するベンチュリポンプとして作用する。
【0036】
用語SMECは、この種の技術を定義するために用いる。語「スペクトル」は、周囲の波動スペクトルがピークに達すると思われる周波数にかかわりなくパイプ間のいかなる水の運動からもエネルギーが抽出されることを示す。SMECは、「全スペクトル」である。それは、ゼロに近い周波数(すなわち潮の流れ)および一方向の(川の)流れでさえも、よく働く。
【0037】
本発明の基本原理は、隣接するパイプ間にディフューザ部が形成されるように、パイプが少なくとも1つのテーパー付きの側部を有するSMEC装置を提供することである。図1は、海流の流れを横切ってセットされる一連のパイプを備える装置の一部を示す。図2は、動作原理を説明するためにパイプの平面図を示す。
【0038】
装置は、隣接するパイプ間に定義されるベンチュリ12を有する基本的に同じ平面において、平行に間隔を置いて並んだ配置において垂直に配置されるパイプ10の配列を備える。パイプの下端部は、タービン18を収納している流れ導管16に接続された共通の水平マニホルド構造14に接続している。タービン18は、駆動軸を介して発電機に接続している。各パイプ10は、下流に向かってテーパー付きの側部20を備える。各パイプ10の上流側22には、流れ通路24、およびパイプの長手方向に沿って間隔を置いた孔26の列を備える。ベンチュリ部12およびディフューザ部28が、隣接するパイプ10の対向壁によって定義されるように、隣接するパイプ10は配置される。孔26は、それらが流れ通路24と流体連通していて、かつベンチュリ部12においてまたはその近くに位置するように、配置される。
【0039】
流れ導管を通って水40を引いて、タービンを駆動するために、パイプの配置を過ぎた所の水の一次流れ36が、孔26を通ってパイプの内部から出る流れ38を誘発するベンチュリポンプとしてベンチュリ12を作用させるように、水は、入口32を経て流れ導管16に入り、そしてパイプ10は、流れ導管の出口34に接続している。上流側の水面ヘッドから下流側の水位への落差は、ベンチュリ効果によって生じる。パイプ間のベンチュリによる海流の流れにつれて、増幅された水頭損失は、ベンチュリにおいて生じる。これは、孔26を通って外へ出る水の流れ38を誘発する。パイプ、流れ導管およびタービン全体のこの増幅された落差は、タービンを駆動するために用いることができる一次流れよりも小さい容積を有するマニホルド配管を通る高速の二次流れ38を誘発する。
【0040】
図3は、SMEC装置用のパイプ50の異なる配置を示す。そしてそれは、水域62の入口を横切って設置される。本実施形態において、装置のパイプ50は、実質的に水平の平面を有する実質的に水平に配置されて、垂直のマニホルド64に接続している。隣接するパイプの対向する壁がベンチュリおよびディフューザ部を定めるように、水平のパイプ50は、本質的に同じ平面において平行に間隔を置いて並んでいる配列に配置される。
【0041】
図4および図5に関して、各パイプ50は、テーパー付きの側部56、流れ通路58、およびパイプ50の長手方向に沿って間隔を置いた孔60を備える。ベンチュリ部66およびディフューザ部68が、隣接するパイプの対向する壁間に定義されるように、隣接するパイプ50は配置される。流れ導管を通って水を引いて、タービンを駆動するために、パイプの配置を過ぎた所の水の流れが、孔を通ってパイプの内部から出る流れを誘発するベンチュリポンプとしてベンチュリを作用させるように、水62は、入口を経て流れ導管16に入り、そしてパイプ50は、マニホルド64の出口に接続している。
【0042】
ベンチュリパイプの水平配置は、ベンチュリにおいて誘発された低圧を一次流れの自由表面から分離するのを助けることができる。これは、ベンチュリにおいて形成される低圧を維持するのを助ける。そしてそれは、二次流れを駆動して、これにより、達成可能な潜在的に役立つパワー出力を維持するのを助ける。
【0043】
ベンチュリによるエネルギー損失は、ベンチュリ内部での二次流れの一次流れとの再統合の結果として、発生することができる。二次流れから抽出されることができる役立つ仕事の理論的な最大量は、SMEC装置のジオメトリの関数である。ベンチュリのプロフィールのジオメトリは、ベンチュリのエネルギー損失に影響を及ぼすことができる。
【0044】
図6図11は、一方向流れに用いる装置を形成するために使用することができるパイプのプロフィールの例を示す。
【0045】
配列を形成している各パイプ70は、上流側72および下流側74を備える。流れ通路76は、上流側72と下流側74との間に配置される。一連の孔またはスロット78は、それらが隣接するパイプ間に形成されるベンチュリ部80においてまたはその近くに配置されるように、流れ通路76の長手方向に沿って定義される。孔またはスロット78は、最大の幅を有するパイプの位置において、パイプの長手方向に沿って間隔を置いて配置される。一方向流れ82に用いられるパイプ76において、パイプの上流側および下流側のプロフィールは、ベンチュリ80の下流のディフューザ部86よりも短いベンチュリ80への入口84によって異なることがありえる。
【0046】
流れ通路の長手方向に沿って定められる孔の個数、形状および配列は、異なることができる。孔という用語は、流れ通路への開口、スロット、続くスロット、細長い孔、および他の任意の適切な開口を含むことができる
【0047】
図6は、装置に用いられるベンチュリパイプ70の1つのプロフィールを示す。中空ベンチュリパイプ70は、短い実質的に半円形の上流側72から細長い下流側74にテーパーがついた実質的に涙形状を備える。二次流れの通路の一部を形成している流れ通路76は、パイプ70の長手方向に沿って延びる。孔78は、パイプ70の長手方向に沿って上流側72と下流側74との間に位置する。パイプ70は、内部控え柱88の追加によって補強されることができる。
【0048】
図7は、一方向流れのためのベンチュリパイプのプロフィールを示す。中空ベンチュリパイプ70は、短い尖った上流側72および細長い下流側74を有し、パイプ70の長手方向に沿って延びる流れ通路76を有している実質的に六角形の断面形状を有する。孔78は、パイプの長手方向に沿って上流側と下流側との間に位置する。
【0049】
図8および図9は、支柱88の異なる配置を有する中空の中心部を有するベンチュリパイプの横断面形状を示す。パイプ70は、テーパーの付いた細長い下流側74と、より短い半円形の上流側72とを有する。半円形の上流側72は、下流側74よりも広い直径を有する。孔78は、下流側74との境界で上流側72上にパイプ70の長手方向に沿って位置する。
【0050】
図10および図11は、パイプを補強するために異なる支柱およびプレート配置を有する装置用のパイプの異なる実施形態を示す。パイプ70の横断面形状は、二次流れの通路のための流れ通路76を形成している短いテーパーの付いた凸状の上流側72を有する。パイプ70は、上流側72よりも長くて、上流側72から切り離された、テーパーの付いた細長い下流側74を有する。孔78は、流れ通路76からベンチュリへの二次流れのための下流側74との境界の近くの上流側72において、パイプ70の長手方向に沿って位置する。切り離された下流側74は、浮力部90を含むことができる。
【0051】
一次流れ82は、パイプ70間のベンチュリ80へと加速して、ベンチュリ部80を通って流れ、次いで、ディフューザ部86を定めるパイプの壁間において外へ広がる。
【0052】
パイプの下流側にテーパー付き部を設けることは、一次流れがベンチュリから出て減速するにつれて、圧力回復を補助するのを助ける。ベンチュリポンプの最適な機能のために、低圧状態は、ベルヌーイの定理に従うベンチュリ部の内部で維持されることを必要とする。この要求を満たすために、一次流れは、周囲の自由ストリームヘッドの方へ圧力回復の後退(back up)を与えるために、ベンチュリ部の下流側にあるディフューザ部を通ってスムーズに減速することを必要とする。
【0053】
パイプに対するより鈍くてより短い上流側は、良好な流れ調整を促進するベンチュリの入力部における正の圧力勾配を有する一方向流れにおいて用いることができる。
【0054】
装置が双方向流れを有する水域において用いられるときに、パイプは、図12図13図14に示すように実質的に同じプロフィール形状を有することができる。
【0055】
双方向流れ102a、102bに用いられるパイプ100は、テーパーの付いた下流側104および上流側106を有する。そうすると、2つのディフューザ部108a、108bは、ベンチュリ部110によって分離される隣接するパイプ100間に定められる。流れ方向102aが逆方向102bであるときに、パイプの対称形の形状によって、ベンチュリ110の入口部108bは、ディフューザ部になることができる。二次流れ112a、112bは、孔を通ってパイプ100から離れる一次流れ102a、102bと一緒になる。図12に示すように、双方向性のパイプ100は、水の流れ102の方向と平行に延びる実質的に楕円形状を有することができる。双方向流れに用いられるパイプの横断面形状のさらなる例を図13に示す。双方向パイプ100は、水の流れ102の方向と平行に延びる実質的に六角形の形状を有することができる。
【0056】
低いディフューザ角度を達成するために、長い翼弦長さを有するパイプは、得られる。図14は、隣接するパイプ100によって形成されるディフューザ部108a、108bの範囲内に位置するスペーサ要素114を有する双方向パイプ100の配列を示す。圧力回復を補助するために小さい有効角度をまだ保存する一方で、スペーサ要素114は、全部のアセンブリ上の短い翼弦長が使用できるようにディフューザ部の範囲内に配置されることができる。スペーサ要素114を有するディフューザ部108aを通過する一次流れ102の方向の変化は、流れのミキシングを促進して、圧力回復を補助する。
【0057】
図15に関して、スペーサ114は、ディフューザ部108a、108bの内外に移動可能でありえる。スペーサ114の移動は、一次流れの速度が連続的に変わり得る潮の流れのパフォーマンスを助けることができる妨害物比率を変える。ベンチュリ部の近くの位置からさらに下流の位置へのスペーサの移動は、妨害物比率を低下させる。
【0058】
適切な流れプロフィールを得るため流れ調整を改善するために、さらなる変化は、SMEC装置になされることができる。図16に示す実施形態において、スペーサ114a、114bは、ベンチュリ部の範囲内で隔膜116によって接続されることができる。これは、スペーサ周辺での不規則な分流を防止するのを助けることができて、流れ調整を助けることができる。
【0059】
妨害物比率は、装置の性能に影響することができる。妨害物比率は、ベンチュリ部で隣接するパイプ間のギャップの近くで2つの隣接するベンチュリパイプの中心線間の間隔を分けることによって形成される。
【0060】
ディフューザ部を定めるパイプの外面は、粗い領域を含むことができる。粗面は、ミキシングを促進することができ、かつ圧力回復を補助することができる境界層の乱流を促進するのを助ける。表面は、滑らかでない面(例えば窪みのある面)を有することができる。表面は、その製造中にパイプ上に形成されてよく、または、海洋生長物または類似物の自然な累積を許容することによって長い時間許容することによって、使用中にパイプに発達することができる。
【0061】
図17は、下流側124の翼後縁に穿孔122を備えるSMEC装置に用いられるパイプ120のプロフィールを示す。穿孔122は、パイプの下流側124の端部において形成されることができる。そして、流量制御弁126は、ディフューザ部の境界層から流れ通路128への水の流れを制御するために、下流側124の範囲内に位置することができる。流量制御弁126は、流れの剥離を防止するかまたは遅延させるのを助けるディフューザ部の境界層からパイプ120内へ水を引き込むために用いることができる。
【0062】
図18は、マニホルド136に接続して垂直に配置されたパイプ134を横切って水平に延びている流れ管理ベーン132を有する本発明の実施形態を示す。装置は、パイプの垂直に配置された配列を横切って水平に配置される1つ以上の流れ管理ベーン132を有する垂直パイプ134の配列を備える。水平ベーンは、それがベンチュリを通過するにつれて流れを実質的に水平に保つために平坦でありえる。
【0063】
各ベンチュリのすきまの上部の水面は、それがディフューザ部へと出て行くにつれて、減速に先立ってベンチュリの短い長さ上の高速度まで前方へ加速した水柱の自由表面である。自由水面の高さは、その全ヘッドから生じる合成力のバランスによって規定される。そして、その運動量および大気圧の変化率がそれに作用する。その局所的に減少した全ヘッドが指示するよりも高い高さで残る自由水面の高さは、準静的である。パイプで下げる自由表面のいかなる傾向も、デバイスの性能に有害な影響を及ぼすことができる。パイプ全体に管理ベーンを位置決めすることによって、自由表面の低下は、阻害されることができる。
【0064】
パイプ自体が図3に示されるように例えば水平のときに、パイプの水平配置は、水平管理ベーンがパイプの垂直配置に提供することができるのと同じ効果を本質的に装置に提供する。
【0065】
装置が潮の流れに位置する状況において、一次流れ水の自由表面は、可変的な高さを有することができる。図19は、水平のマニホルド142に接続している垂直パイプ140を有する装置の一部の断面図を示す。本発明のさらなる実施形態において、各パイプ140は、パイプの長さに沿って垂直に配置される複数のチャンバ144に分けられる。フィーダ管146は、各チャンバ144に接続していて、二次流れ水の自由表面が到達する最少の自由表面レベル148の下方まで延びる。必要なチャンバの数は、パイプがさらされる水位の変化、パイプの長さ、およびパイプの孔150の頻度に依存する。
【0066】
水位落下のような潮の流れにおいて、一番上の孔は、パイプ内部の水を大気圧に露出させる空気にさらされることができる。ベンチュリパイプ内部の水位は、次いで落下し、そしてパイプに沿ったより少しの孔が作動するので、より少ない電力は発生することができる。管を介して各々がパイプの下端部と流体連通する一連のチャンバを作成するパイプの内部セグメンテーションは、低い水位でさえ一次流れの水面下のすべての孔が利用されることを可能にする。
【0067】
本発明の他の実施形態において、装置が水平パイプ160を備えるときに、垂直のマニホルド164は、セグメント化されることができる。図20は、一連の孔162を備え、かつ垂直マニホルド164間に延びている水平ベンチュリパイプ160を有する装置の一部の断面図を示す。マニホルド164は、発電機170を駆動する駆動軸に接続しているタービン168を収納する流れ導管166に接続している。垂直のマニホルドパイプ164は、マニホルドの少なくとも一部の長さに沿って垂直に配置される複数のチャンバ172に分けられる。管174は、各チャンバに接続していて、チャンバから、二次流れ水の自由表面が到達する最少の自由表面レベル176の下まで延びる。各チャンバ172は、垂直マニホルド164から延びている水平パイプ160と一致するように配置される。必要なチャンバの数は、パイプがさらされる水位の変化に依存する。すべてのベンチュリパイプが個々のチャンバと関係していることは、必要でない。
【0068】
図21図22図23は、SMEC装置のさらなる実施形態を示す。この装置は、垂直パイプ200の配列を備える。垂直パイプ200は、テーパーの付いた下流側202および流れ通路204を有し、流れ通路204は、その長さに沿って配置される孔206を有する。パイプ200は、共通の水平マニホルド208に接続していて、水平マニホルド208は、垂直の流れ導管210に接続している。流れ導管210は、水域から水を受け入れるための入口212、および駆動軸を介して発電機216に接続していて流れ導管210の範囲内に位置する1つ以上のタービン214を有する。水平マニホルド218は、パイプ200および流れ導管210の全体に配置される。
【0069】
図24は、SMEC装置の一実施形態を示す。装置は、一連の垂直パイプ20を備える。垂直パイプ20は、装置の上部全体に延びている実質的に水平のバリア220を有するそれらの上端部で切り離される。使用中、水平バリア220は上流側の水位222の下に位置し、そしてパイプ20の上部は下流側の水位224の下に位置する。パイプの垂直長さは、特定の場所で流動状態に合うために、装置の設計中に選択される。実質的に垂直のバリア226は、水平バリア220から上方へ延びる。垂直バリア226は、水を通さず、上流側の水位をパイプの上部よりも上に保持する。
【0070】
図25は、SMEC装置の実施形態を示す。装置は、一連の垂直パイプ20を備える。垂直パイプは、装置の上部全体に延びているバリア220を有するそれらの上端部で切り離される。使用中、バリア220は、上流側の水位222よりも低い状態のままである。実質的に垂直のバリア226は、水平バリア220から上方へ延びる。垂直バリアは、水を通さず、上流側の水位222をパイプの上部よりも上に保持する。シンフォニックカウル228は、装置の下流側の端部に取り付けられる。垂直パイプ20の上部の間を流れる水は、下流側の水位224の高さを上回る高さでパイプ20の間から出る。カウル内の水の静水圧が大気圧以下に落ちることができて、これにより、カウルの下で水柱による均一な圧力勾配ができて、改善した流れの調整を容易にすることができるように、シンフォニックカウル228は、カウル内部の水を大気圧から分離する。
【0071】
SMEC装置を設置する方法は、装置のタイプによって、そして装置が設置される場所によって、変化することができる。方法は、位置まで装置の部分を浮かせておき、制御された洪水によって位置まで装置を降ろす、および/またはクレーンもしくは他の吊り上げ装置によって位置まで装置を降ろすことを含むことができる。SMEC装置は、水域全体にわたるように(すなわち川または海峡の岸から岸まで)設置されることができ、または水域全体の部分的にのみ設置されてもよい。
【0072】
従来の堰に関しては、輸送の通過ができるようにするために、ロックは、SMEC装置に組み込まれることができる。すきまは、船、魚または海産哺乳類が川を上下に通過できるようにするために、SMEC装置に組み込まれてよい。
【0073】
装置が装置よりも大きい横断面を有する流れに置かれる所で、自由端縁部の存在によって一次流れは、パイプを通過するよりはむしろ装置の周辺でそれることができる。水域と関連する装置の長さが長ければ長いほど、役立つ潜在的に利用できる出力エネルギーのパーセンテージとしての損失は、より少ない。
【0074】
端縁部損失の効果を減らすために、装置は、水が移動する水域全体にわたって(例えば川の岸から岸まで、または1つの海岸から他の海岸まで)延びることができる。装置180が水域182の全体を遮らない図26図27に示すように、端縁部損失は、最小にされることができる。この構成では端縁部損失を最小にするために、装置180の上流側で直角に延びる面184は、装置の自由端部に取り付けられることができる。面184は、パイプ186を通る水を導いて、端縁部の周辺で流れを最小にするのを助けることができる。二次流れ190のための入口188は、一次流れ192が自由端縁部の周辺よりはむしろパイプ186の間を通過するのを奨励するために、自由端縁部に位置することができる。
【0075】
図28において、装置180は、タービン196が位置する入口を備えて途中で横切るすきま198を有して、水域182の全幅にわたって実質的に設置される。面184は、バイパス流れを阻害するのを助けるためにすきま198の両側においてモジュールの自由端縁部の各々に取り付けられ、その一方で、構造の開いた通路をさらに維持する。タービンを通る二次流れ190は、装置全体の落差に適応する。
【0076】
一実施形態において、SMEC装置の各々は、モジュールとして形成されることができて、川または他の水域(例えば河口、フィヨルド、水路)の長さに沿って配置されることができる。モジュールは、電気を発生させるために、海流または潮の流れを使用することができる。
【0077】
図29に示すように、モジュールから形成される一連の構造200は、川202または他の水域の長さに沿って設置される。各構造200は、水の流れ204の方向に垂直な川の幅全体に、そしてさらなるモジュールの上流側におよび/または下流側に配置される。
【0078】
図30は、川202の長さに沿って配置される3つの構造200を有する、運転中の装置の概略図を示す。さらなる構造は、必要に応じて設置されることができる。構造は、水が川を流れ下るにつれて水に対して障害を形成し、そして、河川水位の軽い増加は、SMECの背後で発生する。川の深さのこの増大は、装置の低い水頭のドライバである。各構造の背後で形成される自由ボード高さは、川を完全にさえぎることと比較して最小であるので、上流側の環境インパクトはより害がない。
【0079】
構造が間隔を置いた距離は、構造の配列の上流側で河川水位の最終的な増加を決定する際の一部をなす。各構造間の距離は、それが設置される環境に依存する。構造間の距離は、川が流れる土地の輪郭によって変化する。上流側の構造が配置される所の川の流れ水位がいかなる下流側のSMECによっても実質的に影響を受けないように、各構造間の距離は、充分でありえる。構造が十分に離れて間隔を置かれる場合、各構造のすぐ後ろの水頭の局所化された増加にもかかわらず、構造の上流側の河川の水位は、その原型のレベルに達する。
【0080】
パイプの高さは、構造が設置される川の深さに合うように選択される。パイプの長さは、バイパス流れを最小にするためにモジュールが河床まで延びるような長さである。
【0081】
モジュールは、水域の範囲内で移動可能であるように設置されることができる。図31に示すように、モジュールは、浮力部92または外部フロートを備えることができる。そしてそれは、パイプ20の上部を水面レベル94に保つ。水位94が落下するにつれて、SMECは、水位が上下するにつれてパイプ20の孔30およびモジュールが実質的に水浸しのままであるように、河床96上に転がることができる。
【0082】
一旦第1の構造が川に置かれると、さらなる構造は、第1の構造の上流側および/または下流側で川全体に配置されることができる。設置される構造の数は、環境および、発生することを必要とする電気の量に依存する。この実施形態は、沿岸の海流および潮の力をエネルギーに利用できないときに、内陸の水系に特に適用することができる。SMECモジュールは、潮の高さの範囲に依存しなくて、容積測定の流入および流出に依存する。これは、高速度で(例えば、有意な深さまたは幅を有する川)必ずしも流れているわけではない大きな水量がある水域において、SMECを特に適切にする。
【0083】
二次流れのパスを通して発生する摩擦損失は、得られることができる最大出力の減少に結果としてなる流れのパスの全体にわたって、多くの位置で圧力の低下を引き起こすことがありえる。水がタービンに入るにつれて、摩擦損失は、タービンへの吸入によって発生することができる。これらの損失は、滑らかに輪郭を描かれた入力ダクトを用いることにより最小にされることができる。
【0084】
電力消費タービンの流体力学の効率は、装置の全体の性能に影響を及ぼすことができる。制御可能なピッチ・タービンの使用は、性能を最大にするのを助けることができる。SMECに適するタービンの種類は、軸流れおよびカプラン・タービンタイプを含む。摩擦損失の全ては、鋭い端縁部を減らして、水と接触するタービンの部分の滑らかな内表面を使用することによって、最小にされることができる。タービンは、水中に低く置かれることができる。これは、周囲の運転圧力を増加させて、そして、ブレード面の上のキャビテーションからの抑制および性能劣化を助ける。水面より上に発電機を配置することは、いかなる電気機械とも接触する水のチャンスを減らす。これは、タービンと発電機との間の十分に長い駆動軸で達成されることができる。
【0085】
タービンからの排流は、流れ調整を受けることができる。これは、ディフューザを形成しているタービンの下流側で外側にテーパー付けられたドラフト管の位置を決めることによって達成されることができる。これは、二次流れから抽出されることができる仕事率を上昇させるタービンの下流側の減少した圧力低下を継続するのを助ける。
【0086】
水平マニホルドから延びている垂直パイプを有する装置のために、体積流量は、各次のベンチュリパイプへの水の流れとして減少する。したがって、本発明の一実施形態において、マニホルドの横断面領域は、沈殿物付着のための限界値よりも上の値でマニホルドの長さに沿って一定の流れ速度を与えるために、流れのパスに沿って減少することができる。この種の流れ状態はまた、マニホルドにおけるエネルギーを浪費する渦の形成を防止するのを助けることもできる。
【0087】
さらなる実施形態において、タービンおよび発電機は、装置から外部にいかなる破片または汚染も逆流させるポンプとして逆に動作するように設計されることがありえる。従来の汚れ止めの処理および機械的クリーニングツールはまた、海洋汚染および堆積作用が装置の性能に有することができる効果を最小にするために、装置に組み込まれることもできる。
【0088】
変化は、本発明にもたらされることができる。パイプのプロフィールのアスペクト比は、配列の最適な性能を提供するために変化することができる。パイプのプロフィールのアスペクト比は、プロフィールの長さLと、プロフィールの最も広い位置での幅Wとの比率である。
【0089】
さらなる変化は、本発明の範囲内にされることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31